よくある相談例(FAQ) 会計

掲載日:2020年3月30日

会計


質問 問1 法人の会計は、どのようにすればよいのですか。
回答

回答

特定非営利活動法人の会計は、次の原則に従って、行わなければならないとされています。(法第27 条)


1 会計簿は、正規の簿記の原則に従って正しく記帳すること。
正規の簿記の原則とは、会計記録の正確性を期する上に必要な基準となるべき記録計算の方についての原則をいい、次の要件が満たされるものです。
(1) 取引記録が、客観的にして証明可能な証拠によって作成されること。
(2) 記録計算が正確に行われ、かつ順序区分など体系的に整然と行われること。
(3) 取引記録の結果を総合することによって、簿記の目的に従い、法人の財政状態及び経営績あるいは財産管理の状態などを明らかにする財務諸表が作成できること。


2 計算書類(活動計算書及び貸借対照表)及び財産目録は、会計簿に基づいて活動に係る事業の実績及び財政状態に関する真実な内容を明瞭に表示したものとすること。


3 採用する会計処理の基準及び手続については、毎事業年度継続して適用し、みだりにこれを変更しないこと。


その他の事業に関する会計は、特定非営利活動に係る事業に関する会計と区分し、特別の会計として経理しなければならないこととなっています。(法第5 条第2 項)

 

あわせて、平成23 年度に、内閣府において、特定非営利活動法人の会計について明確化を図り、もって市民・特定非営利活動法人・所轄庁の三者にとって分かりやすい会計のあり方を検討するための「特定非営利活動法人の会計の明確化に関する研究会」が開催されました。

 

その検討結果として計算書類等の考え方や様式例・記載例、作成上のチェックポイントなどが盛り込まれた「特定非営利活動法人の会計の明確化に関する研究会報告書」が平成23 年11 月に公表されました。


この研究会報告書で示された基準は、市民に分かりやすい会計報告をめざし、法人特有な事情を加味したものとして示されました。この基準を採用するかは法人の任意ですが、本案内の参考様式についてもこの研究会報告書から抜粋し、掲載しています。


「特定非営利活動法人の会計の明確化に関する研究会報告書」は内閣府のホームページで公表されています。考え方や記載方法等の詳細はそちらをご覧ください。
〔アドレスhttp://www.npo-homepage.go.jp/kaigi/kaikeimeikaku-kenkyuu

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質問 問2 NPO法人の会計の特徴は、どんなものでしょうか?
回答

回答

基本的には、普通の会社の企業会計と同じように複式簿記を使用します。企業会計では、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書を作成しますが、NPO法人の会計では、計算書類(貸借対照表、活動計算書)及び財産目録を作成します。


計算書類等は、事業年度終了後3ケ月以内に、県に事業報告書等と一緒に提出します。また、事業報告書等(計算書類及び財産目録を含む)の備置き等閲覧や、貸借対照表の公告の義務も定められています。


NPO法人の会計基準については、2010年7月に制定された「NPO法人会計基準」を参照するとよいでしょう。ただ、制定後、「NPO法人会計基準」は何度か改正されていますが、制定後の会計基準は諸法令との整合性が取れていないため、ご注意が必要です。


とくに「2017年12月12日最終改正」の会計基準を使用すると、2017年12月12日最終改正を厳密に適用する必要が生じ、事業年度終了直前のクレジットカードによる寄付金の収入は、まだ入金されていなくても収益として計上する必要があるなど、実務上の不都合が生じる可能性があります。


計算書類の注記には、「2010年7月20日 2011年11月20日一部改正」と記載して利用するか、ただ単純に、「NPO法人会計基準によっています。」とする方が無難でしょう。


また「NPO法人会計基準」では、ボランティアワークを評価して収益・費用に含める「ボランティア受入評価益」・「ボランティア受入評価費用」や、施設などを定価よりも安い費用で利用した場合に「施設等受入評価益」・「施設等受入評価費用」などの仕組みを取り入れていますが、これらの勘定科目は必ずしも使用する必要はないので、ご注意ください。


NPO法では、会計に関しては、以下の条文が存在します。
1)法第二十七条(会計の原則)特定非営利活動法人の会計は、この法律に定めるもののほか、次に掲げる原則に従って、行なわなければならない。

  1. 削除(平成15年4月1日以降)
  2. 会計簿は、正規の簿記の原則に従って正しく記帳すること。<正規の簿記の原則>
  3. 財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、会計簿に基づいて収支及び財政状態に関する真実な内容を明りょうに表示したものとすること。<真実性・明瞭性の原則>
  4. 採用する会計処理の基準及び手続については、毎年(事業年度を設けている場合は、毎事業年度。)継続して適用し、みだりにこれを変更しないこと。<継続性の原則>

 

正規の簿記の原則は、原則として複式簿記による記帳を意味します。手書きの現金出納帳でも、その記録をもとに複式簿記で計算書類などを作成することは可能です。


真実性・明瞭制の原則は、現金の増減の都度、現金出納帳に記載します。 そして、現金出納帳の現金残高を常に実際の現金残高と一致させます。原因不明で、現金出納帳と実際の現金残高が一致しない場合には、一時的に「現金過不足」としておき、現金出納帳の残高は、常に実際の現金残高と同じにします。また、誰にでも分かる会計報告を作ることも大切です。


継続性の原則は、たとえ会計担当者が交代しても、毎年同じ勘定科目を使い、毎年同じ会計処理を行うことを要請しています。もちろん、必要がある場合には、勘定科目を変更・追加することは可能ですが、その変更・追加は会計係の独断でおこなうのではなく、総会や理事会等の合議で決めましょう。

 

※早坂 毅 オンラインアドバイザー回答(税理士)

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質問 問3 NPO法人の会計処理に必要な知識は?
回答

回答

簿記や経理の知識のあるメンバーがいれば便利ですが、小規模な団体にとって、必ずしも簿記や経理の知識がある人がいるとは限りません。しかし、年間数百万規模で、資産もほとんどない団体であれば、公認会計士や会計事務所に依頼するほどのこともなく、少し学べば対応できるでしょう。会計の専門家の中でも、非営利法人の会計の知識の無い人もいますので、専門家の指導が必ずしも正しいわけではありませんので、ご注意が必要です。


現金出納帳には、現金の出入りを記帳します。現金残高は、現金の出入りが発生する都度記帳します。帳簿の現金残高と実際の現金残高に差異が生じた場合には、その差異を現金過不足として記帳して、必ず帳簿残高と現金の実際有高を一致させておくことが重要です。


源泉徴収すべき報酬の支払い(たとえば講師への謝金など)等がある場合は、支払総額から10.21%(100万円を超える部分は20.42%)を源泉徴収して、徴収した源泉所得税を国庫に納付します。源泉徴収とは、講師謝金の支払い時に、その謝金から一定の所得税を国に代わって徴収・納付し、残額を本人に支払う制度です。


団体の行う事業に対して法人税が課税されるとき(収益事業を行っている場合)には、青色申告する団体は、かならず複式簿記の記帳が必要です。但し、小規模の団体であれば、現金出納帳があれば、それを基にして、決算のときにでも複式簿記に仕訳することが可能です。(収益事業を行わない場合には、法人税の申告は不用ですから、青色申告も不要です)


質問 問4 NPO法人は、どのような会計方式をとるのが良いのでしょうか?
回答

回答

会計の原則は、NPO法第27条に定められた3つの原則(問2において記載有)を斟酌します。
会計方式は、発生主義による複式簿記を基本とします。その根拠は、内閣府により作成された「特定非営利活動促進法に係る諸手続きの手引き」(平成24年2月)です。

 

この中では、「現段階においてNPO法人の望ましい会計基準とみなされる『NPO法人会計基準』をベースとした計算書類等の標準的な科目例、様式例、記載例ですが、計算書類の作成に当たっては、これらに限定されるわけではなく、上記の位置づけに該当するものであれば足ります。例えば現金預金以外に資産や負債がないようなNPO法人においては、より簡易な記載で足りるなど、『NPO法人会計基準』に示されている他の様式・記載例等を参考にして作成することも可能です」としています。


NPO法人の会計の目的は、その団体の構成員やそれ以外の利害関係者、寄付者、利用者などに対して、分かりやすい計算書類等が作成できれば、企業会計基準でも、社会福祉法人会計基準、公益法人会計基準などでもいいのです。

 

※早坂 毅 オンラインアドバイザー回答(税理士)

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質問 問5 活動計算書や財産目録の作成方法は?
回答

回答

『NPO法人会計基準』を利用して発生主義の複式簿記を基本とします。
活動計算書は、企業会計でいう損益計算書ですが、その様式は、企業会計とは異なり、経常収益、費用と、経常外収益、費用に大別されています。また、経常費用は、事業費と管理費に分けられます。


事業費とは、法人が目的とする事業を行うために直接使用される人件費やその他の経費です。管理費とは、法人の各種の事業を管理するための費用で、総会及び理事会の開催運営費、管理部門に係る役職員の人件費、管理部門に係る事務所の賃貸料や光熱費等をいいます。


小規模な法人では、事業部門と管理部門が明確に分離されていません。その場合、年間の勘定科目ごとの経費の合計額を、合理的な基準(従事人数比や事業所の面積比など)で按分して、事業費と管理費を算出するのも一つの方法です。


貸借対照表は、財産目録のうち、価格が1円以上のものを集計した表です。神奈川県が作成した「特定非営利活動法人関連事務の案内」の様式を参考に作成するとよいでしょう。


財産目録は、事業年度終了日にどれだけ財産や負債を有していたのかの一覧表です。現金残高、預金通帳の残高、郵便振替口座の残高、それ以外の財産(お金を支払って購入したもの)や負債(借入金や源泉所得税などの預かり金)などを、具体的に数量でも記載し、金額表示をします。正味財産は資産マイナス負債(正味財産=資産-負債)とします。

 

現物寄付でもらった重要な資産は、価格0円として、記載するようにします。財産目録は、貸借対照表とは異なり、価格が0円でも、記載することが可能です。


現金、預金以外にほとんど財産や負債のない法人であれば、小遣い帳・家計簿程度の記録をしておき、それを集計しても計算書類や財産目録を作成できます。


質問 問6 任意団体から特定非営利活動法人を設立する場合、会計や現金、銀行口座、備品などの引き継ぎでの留意点は?
回答

回答

任意団体とNPO法人とは別団体ですから、会計や会計帳簿を引き継ぐことはできません。しかし、任意団体から現金や備品などの財産等を引き継ぐことは、可能です。NPO法人成立の日(登記をした日)からは、新たな帳簿(現金出納帳など)を記帳する必要があります。

 

NPO法人の成立後も任意団体名義(あるいは任意団体代表者の個人名義)の通帳を使うことはできますが、できるだけ早いうちに、NPO法人名の口座を新たに開設して、任意団体名義の口座の資金は新口座に移動することが必要です。


また、任意団体の財産を、新たに設立するNPO法人に引き継ぐかどうかは、任意団体構成員の総意によって決まりますので、引き継ぐ際には、任意団体の議事録なども準備し、財産の移転の意思をはっきりとさせるのが良いでしょう。


金融機関では、口座名義人の変更、つまり、任意団体名から法人名への変更はできません。一旦預金残高の全額を任意団体の口座から引き出して、そのお金を、新たに作った法人名義の通帳に、受入寄付金として入金する方法が一般的です。この際、NPO法人への寄付金には、税金はかかりません。


また、机やいすなどの備品等については、NPO法人の財産目録に取得理由を『現物寄付』として、評価額が不明な場合には、価額0円と記載しておくとよいでしょう。


財産目録は、数量と金額を記載しますので、机やいすなど、金銭的にはほとんど価値のないものでも、それが法人の財産であることを示すために、金額0円(取得時の価額が不明なものも含む)で、毎期、財産目録に記載しておくことが重要です。

 

※早坂 毅 オンラインアドバイザー回答(税理士)

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質問 問7 NPO法人スタッフが講演などで得た謝金を、法人で受け取ることはできますか?また、受け取る際の留意点を教えてください。
回答

回答

講演の依頼主が、NPO法人の代表者や職員などの個人に謝金の支払いをする場合には、謝金の支払者は、所得税法204条により所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付することになっています。


この仕組みを、源泉徴収制度といい、支払者(講演の依頼者)は、支払額から一定の所得税を徴収して、それを支払いを受ける個人(講演をした人など)に代わって国に納付する制度です。


支払いを受けるのが法人(NPO法人を含む)であれば、この制度の適用を受けることはありません。法人として受け取るときには、法人の口座に入金するか、現金で受領するのであれば、法人名で領収書等を発行します。


また、報酬に対して源泉徴収が行われるのは、以下に掲げた場合(所得税法第204条)のみですので、これ以外のものの支払いは、源泉徴収義務は生じません。


所得税法 204条 (源泉徴収義務)
1 居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。
一 原稿、さし絵、作曲、レコ-ド吹込み又はデザインの報酬、放送謝金、著作権(著作隣接権を含む。)又は工業所有権の使用料及び講演料並びにこれらに類するもので政令で定める報酬又は料金
二 弁護士(外国法事務弁護士を含む。)、司法書士、土地家屋調査士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、測量士、建築士、不動産鑑定士、技術士その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
三 社会保険診療報酬支払基金法(昭和23年法律第129号)の規定により支払われる診療報酬
四 職業野球の選手、職業拳闘家、競馬の騎手、モデル、外交員、集金人、電力量計の検針人その他これらに類する者で政令で定めるものの業務に関する報酬又は料金
五 映画、演劇その他政令で定める芸能又はラジオ放送若しくはテレビジョン放送に係る出演若しくは演出(指揮、監督その他政令で定めるものを含む。)又は企画の報酬又は料金その他政令で定める芸能人の役務の提供を内容とする事業に係る当該役務の提供に関する報酬又は料金(これらのうち不特定多数の者から受けるものを除く。)
六 キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ又は客に接待をして遊興若しくは飲食をさせるものにおいて客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の者(以下この条において「ホステス等」という。)のその業務に関する報酬又は料金
七 役務の提供を約することにより一時に取得する契約金で政令で定めるもの
八 広告宣伝のための賞金又は馬主が受ける競馬の賞金で政令で定めるもの


質問 問8 請求書・領収書がもらえない場合の対処方法は?
回答

回答

請求書・領収書の無い支払いには、お祝い金やお香典、交通費などがあります。また、領収書などを紛失することもあります。交通費以外で請求書や領収書のない支出を現金出納簿に記録、記帳するときは、「支払証明書」「交通費精算書」の様式を作成して、支払いを行った人を記入してもらいます。


出納係は、その支払証明書や交通費精算書など(これらを証憑「しょうひょう」といいます)と引き換えに現金を渡します。


「支払証明書」は、用紙に、以下の事柄を記載します。

  1. 支払いの日(実際に支出した日)
  2. 支払先名称、電話番号、住所
  3. 支払額
  4. 支払内容(○さんへのお祝い、お香典など)
  5. 請求書などを受けられなかった理由
  6. 精算日(現金出納から出金した日)
  7. 支出実施者署名欄


「交通費精算書」も、以下の事柄の記載欄を作っておきます。

  1. 出張日(または移動した日)
  2. 精算した日(現金出納から出金した日)
  3. 出張先(移動先)
  4. 用務(なぜそこへ行ったのか、○○研修会参加など)
  5. 交通費の合計額 
  6. 支出実施者の署名欄


交通費精算書は、必要事項が記入されていれば、交通費精算アプリなど印刷して使うことも可能です。


不正や間違えを防ぐために、これらの証憑は、必ず支出を実際にした人(立替えて支払を行った人)が記入し、現金出納係は、その証憑があれば支払いを行います。

 

※早坂 毅 オンラインアドバイザー回答(税理士)


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