更新日:2020年9月18日

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第8回施策調査専門委員会審議結果

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

水源環境保全・再生かながわ県民会議 第8回施策調査専門委員会

開催日時

平成21年6月11日(木曜日)10時00分から12時00分

開催場所

かながわ県民センター 1504会議室

出席者【委員長・副委員長等】

田中 充【委員長】、木平 勇吉【副委員長】

淺枝 隆、天野 望、中村 道也、原 慶太郎

次回開催予定日

平成21年7月23日

所属名、担当者名

緑政課水源環境調整班、担当者名 原田

電話番号 045-210-4324

掲載形式

  • 議事録

議事概要とした理由

-

審議(会議)経過

(緑政課長挨拶)
緑政課長の渋谷です。
日頃から水源環境保全・再生について、ご理解、ご協力頂きありがとうございます。先日の県民会議においても、知事からお願いしましたが、今回第2期の専門委員会として、実行5か年計画の後半3年間について、ご議論して頂くことになります。水源環境保全・再生については、20年間の施策大綱を定めて、長期的に取り組むことになりますが、この5年間の事業の進捗状況について、専門的な視点で評価して頂き、その後の取組についても審議して頂くことになると思います。よろしくお願いします。

【事務局から委員の紹介、オブザーバの紹介、会議公開の説明、傍聴人の報告、コンサルタント(日本工営)の紹介を行なった。】

【委員長に田中委員が選任された。】

(田中委員長)
今、委員長に選任頂いた田中です。よろしくお願いいたします。
それでは、規定により委員長が副委員長を指名することになります。私としては、森林保全や生態系のご専門で、知見が豊富な木平先生にぜひお願いしたいと思います。
皆さん、如何でしょうか。よろしいですか。では、木平先生、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、本題に移りたいと思います。
まず、議題2「水環境モニタリング調査の平成20年度実績、平成21年度計画」です。これを森林関係と河川関係とに区別して審議したいと思います。

【自然環境保全センターから、資料1「森林モニタリング調査(対照流域法調査)」について説明。】

【森林課から、資料2「森林モニタリング調査(人工林現況調査)」について説明。】

(田中委員長)
この森林モニタリング調査は、森林保全に係る重要な課題ですので、少し時間をとって意見交換をしたいと思います。
まず、資料1の対照流域法について、質問や意見等、委員の先生からお願いしたいと思いますが。

(中村委員)
大洞沢は数年前に治山事業が行われ、ほとんど終了したと思っていますが、貝沢は将来的に治山計画があるのか、またはその周辺で新たに渓畔林再生以外の事業展開や計画があるのか。あるいは、森林課とその流域に関して、調整が行われているのか、お聞きしたい。

(自然環境C)
大洞沢については、施設工事はほぼ終了し、今後は県有林の森林整備事業と連携して進めるため、現在調整をしているところです。貝沢については、水源の森林づくり事業の確保地で、基本的には水源の森林事業の事業計画に沿った森林整備がなされるので、連携しながら水環境や森林環境の変化を調査していきます。基本的には、設定の段階から事業内容や箇所、整備方法について、事前に調整しながら進めています。
資料1の4頁の左図において、それぞれの目標林型、つまり森林整備の内容によって、色を区別しています。例えば、緑色の巨木林は長い年月伐採しない森林であり、C流域において、そのような森づくりの効果を時系列的に調査していきます。
A流域とB流域は、複層林として森林を上下2層にしていく場所です。現在は複層林になっていませんが、そのような誘導がなされ、施業内容を変化させる中でAとBの流域でどのような変化が起こるかを継続して調査していきますので、森林課とは密に連携しながら進めています。渓畔林について、まだ具体的に考えていませんが、現在、針葉樹になっている場所の河川の狭い範囲で森林を整備して変化を見ることができないか調整している状況です。治山事業等の計画については、現状では聞いていません。

(田中委員長)
大洞沢は実験区と対照区の流域があるわけですね。貝沢は整備の状況を見ていくということですか。

(自然環境C)
そうです。A、B、Cの小流域を対照整備点として、それぞれ違う方法で整備します。このAとBの一方は、ある程度整備の水準を落とすなど考えています。ただ、水源の森林づくりの山を預かっている場所ですので、極端に整備しない方法は不可能ですので、工夫が必要と考えています。
それから、大洞沢と貝沢は大体流域面積が類似しているので、丹沢のように非常に山が荒れた場所と貝沢のように非常に安定した山との違いも、非常に広い目で見れば対照になるので、貝沢流域の図の5番の地点に水文施設を設定して、流域全体の水収支の変化を時系列的に調査することも考えております。

(淺枝委員)
それでは、大洞沢の中でも対照流域があり、貝沢の中でも複数の流域を調査し、また、大洞沢と貝沢も比較するということですね。測定法は同じなのですか。

(自然環境C)
基本的に水文観測の堰を設置し、流出量の時間変化を調査する同じような内容の測定です。

(淺枝委員)
水量の調査は、この三角堰でよいのですが、例えば土砂動態なども調査する場合、どのような調査方法になっていますか。

(自然環境C)
流域間の比較は自然環境が大きく異なるため、例えば生物調査については、なかなか難しい面がありますので、主に水環境の違いを水文調査と言われる手法を使って調査します。ただ、大洞沢は非常に土砂がたくさん出る場所である一方、貝沢はほとんど土砂が出ませんので、土砂の測定については、どのような形で堰を設置するか検討しているところです。基本的には直接流出の流出特性を比較できる形にしようと検討しています。土砂の直接的な流出量は、非常に測定が大変ですので、その点について、貝沢は今検討しております。

(原委員)
昨年度の委員会でも議論になったことですが、対照流域法は、1年間の色々な変化が水量の影響なのか、例えば大雨などの異常値なのかを見極めることは非常に難しいと思いますが、1年間調査してみて、その辺の感触は如何ですか。結果が何とか出そうですか。

(自然環境C)
大洞沢は、丹沢大山総合調査においても、本流域を調査し、非常に変動が大きいので、ご指摘の問題は十分注意する必要がある流域であることが分かっています。そういうことで、当初は観測施設を設置して、すぐに森林整備をして比較する予定でしたが、森林整備後も一応3年間程度はそのようなレンジのいわゆる水量に影響されない変化や変動を一応把握できる形でデータを取ることでこの問題はクリアしようと考えております。
ですから、森林整備は当初21~22年度に予定していましたが、今ご指摘の問題点があるため、23年度に森林整備を実施して、施設設置後2~3年は事前の水文データを取り、その後に森林を操作して変化を調査する手順としております。対照流域調査会の中で、専門家からご指摘や、慎重に調査すべきという意見を多くいただきましたので、敢えてそのような取組に計画を変更しました。

(天野委員)
この事業の中に「混交林」という言葉がありますね。混交林とは、スギやヒノキを間伐して、そこに広葉樹を植林する事業だと思いますが、通常、間伐すると従来の植生の雑木林が勢いよく出てきます。この混交林の考え方は、従来そこに生えていたものを植えていくのか、ただ漠然とクヌギやナラを植えていくのか。また、どのくらいの割合なのか、例えば3割の針葉樹を残して、7割を雑木林に植え替えていくとか。私は間伐して、従来の種が生えていくスピードのほうが早く、大きくなるので、むしろ経費の点でも効率の点でも、自然植生を生かす、従来の山の勢いを取り戻すという点では優れていると思っていますが、その点は県はどのような考え方で臨んでいるのでしょうか。

(森林課)
混交林については、委員からもご説明ありましたとおり、基本的には間伐等を行いながら、原則としては自然に広葉樹が導入されるのを期待するものです。ですから、先ほど委員がおっしゃったとおり、その地に適したものが導入されることを期待して行っております。

(天野委員)
私が津久井町長を務めている時に、シカによる被害が問題で、丹沢のシカの増加の原因を、東京農工大学に何度かお邪魔して勉強させていただきました。一番の原因は戦後行われた拡大造林だということでした。従来ブナ林、雑木林であったものを全部皆伐して、そこへヒノキや杉を植林していったわけです。皆伐した所へ植林したから、いわゆる草がすごい勢いで繁茂した。シカにとっては従来なかった餌が大量に増加したために、大変な勢いで丹沢のシカが増加した。先生からそのような指導を受けました。貝沢の方はあまりシカがいませんが、丹沢の方は大量のシカがいますが、シカ対策とこの事業とはリンクしていかなければならない。シカの適正頭数とこの事業と並行して進めていかなければならないと思っています。

(木平委員)
今、天野委員が発言されたとおり、混交林化するときに自然に生えてきた雑木を大切にして、主に更新していくことが良いと仰っているし、森林課も基本的にその方針であるとのことなので、私もそのとおりだと思います。したがって、樹種はあまり問わずに、林野に自然に生えてきた雑木、広葉樹を大切にすることは良いのではないですかね。
第2に、シカが増加した原因は、開伐などにより沢山の下草が生えて、それに伴いシカの頭数が爆発的に増加してきたというのは、まさにそのとおりだと思いますし、今まで文献を読んでみると調査はそのことを明らかにしています。したがって、天野委員のご意見と同様に、私も間伐して下草を増加させることと、シカ対策をとることは同時並行の事業は必要だと思います。
丹沢大山自然再生委員会においても、森林の再生、人工林の管理とシカの管理は別問題ではなく、同時に進めなければならないという議論はあります。水源環境保全・再生では、シカ対策はあまり入っていませんが、必要だという議論もあるし、自然環境保全センターでもそのような調査は進めていられると思います。

(田中委員長)
今の点は、事業全般に係る話で、今後の施策のあり方や次期実行5か年計画にどのような形でつなげていくか、その点も射程に置いて考えていく大事な指摘だと思います。
それでは、対照流域法の調査は全体として順調に進捗しており、21年度は第1の調査地点である大洞沢についてはモニタリング調査を継続し、第2の調査地点である貝沢には観測施設を設置し、第3の調査地点の検討にも着手するとのことですね。
次に、資料2「人工林現況調査」についても、ご意見を頂きたいと思いますが、如何でしょうか。

(木平委員)
資料2の人工林現況調査については、過去2年間も議論されましたが、内容も非常に明快に出てきたと理解しましたが、私はいくつか疑問を感じます。
第1に、林分ごとに調査して、ランク付けすること理解できますが、問題はどのような評価基準によりランクされるのか、今一明確でないと思います。
第2に、森林の整備状況、光環境、下層植生、土壌状況の各項目を調査しますね。光環境、下層植生、土壌状況は、重要な項目だと思います。しかし、森林の整備状況については、整備により良い山ができるのであり、整備自体をランク付けする必要はないと私は思います。整備すれば光環境や下層植生、土壌状況が安定するのであり、整備は手段だと思います。最近整備していなくても非常に立派な山があります。例えば、南足柄市の最乗寺の境内林は、手を入れていないと思いますが、すごく良い森林です。だから、整備すること自体をランク付けすることは、少し難しいところがあると思います。
第3に、4つの項目でA、B、C、Dとランク付けして、最後の総合評価が重要です。ここの表現が「総合的に勘案」となっていて、もう少し分かりやすくする必要があると思います。そうではなく、科学や事実に基づくことだから、言い回しを工夫する必要があると思います。
最後に、収量比数調査についてです。要するに森林の密度が適正か否かの調査ですが、何故調査するのですか。密度管理とは、木材生産に関わることです。水源かん養機能や生物多様性の側面から見て調査が必要ならば納得できますが、密度管理を何故調査するのかが私の質問です。以上です。

(森林課)
まず、評価のランクの考え方については、総合評価において説明文章がありますが、基本的には水源環境の事業で実施しているので、下層植生及び土壌の状況を主眼に置いた評価を、総合評価でランク区分する形で考えています。したがって、例えば、Aランクの場合、下層植生や土壌の状況が良好な森林、逆にDランクの場合、土壌流出が激しく、下層植生も貧弱あるいは皆無である箇所になります。森林整備も勿論ですが、土壌保全を主眼に対策を取る必要がある森林、良い森林と悪い森林という形でランク区分することを考えています。
次に、森林整備状況のランク区分については、委員の意見のとおりで、「長期間(概ね10年以上)手入れの形跡がない森林」(=Cランク)であるから、森林の状態が良くないとは我々も考えておりません。この「ランク」という表現があまり好ましくないという懸念もありましたが、森林整備状況については、「最近、手入れが行われた森林(概ね5年以内に整備)」(=Aランク)が森林の状態として良い、あるいは「全く手入れが行われた形等がない森林」(=Dランク)が良くないと、上から順番に決めることではなくて、あくまでも区分としてA、B、C、Dを使用していると解釈すると考えております。
また、「総合的に勘案」という表現が抽象的との意見を頂きましたが、今説明したとおり、森林整備状況のランクと総合評価のランクは必ずしもリンクしていません。「総合評価」という書き方で個別の評価の積み上げの結果、自動的に決まる形のイメージになってしまいますが、あくまでも総合的な評価と個別の評価は、植生状況や土壌状況等はリンクする部分が多々あると思いますが、森林整備状況については必ずしも総合評価とリンクしないと認識しております。
最後に、収量比数調査についても、委員の意見のとおり、どちらかというと木材生産の視点で調査する部分がありますが、この収量比数調査については、今後の森林整備を行っていく上の一つの指標として、それぞれの森林整備状況のランクごとに収量比数を把握することによって、森林整備を今後行っていく上の指標としてデータを集める形で事実上考えています。

(木平委員)
県がここで言う良い森林とは、「土壌が安定して流出せず、そのために下層植生が豊かに生えていて、そのためには林内の照度が適度に明るい。このような森林が水源かん養機能としては望ましい。」と最初に明確にすれば、明快になると思います。
それならば私は納得できます。これは技術的な問題ではなくて、もう少し深く考える必要がありますが、私有林の木材生産と関係しているわけです。非常に微妙なところで、水源環境保全・再生は、森林に公益的機能としての水源かん養や生物多様性を高めることですが、木材生産はあくまでも土地所有者の個人の経済的な価値を高めることになります。だから、その事業を超過課税を財源として実施することはかなり難しいところがあります。この点については、整理して頂きたいと思います。人工林は、植林した当時は経済効果を目的として植林したわけです。しかし、社会情勢で木材生産が困難になった。だからこそ、そのような人を応援するために水源環境保全税が及ぶので、ここの問題は、常に整理しなければならないと思います。
収量比数調査について拘りませんが、木材生産をどう扱うかということです。手段として木材生産はあるかも知れませんが、木材生産を目的としては出さないということを言わければならないと思います。木材生産を振興する、林業を振興するために水源環境保全税を使うことは、絶対に行き詰まります。

(中村委員)
確かに木平先生の意見のとおりですが、実際にはこの2年間で水源環境保全税を財源として実施されている事業は、ほとんどが人工林に充てられていますが、収量比数調査はやはり木材生産が基本にあると思います。したがって、水源環境保全税であっても、収量比数調査を行うことに関しては、私はそれほど異論ありません。ただ、人工林の現況、いわゆる林分の見直しが必要だと思います。林分を見直した上で、木材生産のできる林分とそうでない林分を分けて、どういう水源林がベストであるかを整理し直す必要があると思います。これは、森林課も「森林50年構想」を出しているのですから、それを進めていただきたいと思います。
もう一つ、人工林現況調査について目視によると書いてあります。目視とは、森林に関わる人たちが長年の経験と体験で積み重ねてきたものと理解しますが、例えば、光環境の場合でも、人によって全然違うと思います。下層植生や土壌の流出についても同様です。例えば、地表が1cm流出した場合、1cmも流出したと驚くか、1cmで留まっているという違いもあると思います。ですから、目視を仮に行うにしても、並行して数値を出す必要があると思います。例えば、光環境も照度計を使うなど、数値として出して、それをランクの中に取り入れていくべきと思います。目視だけで調査することは、信じられませんでした。調査結果が公表されたときに果たして理解されるか否か、お聞きしたいです。

(淺枝委員)
例えば、光環境の場合、開空度の写真を上向きに撮影すれば良いと思いますし、下層植生の場合、完全な目視はまずいと思いますが、1平方mあたりの被度を調査したら如何ですか。場所が多いので難しいとも思いますが。

(中村委員)
定点で実施するならば、それほど難しいことでないと思います。例えば、下層植生に対する数値は、人によって変わると思います。下層植生の種類も、数種類でも良いと言う人と、ある程度の種類があって初めて健全だと言う人と違うと思います。だから、私は学生や調査会社を使ってでも、多少の数字を出す必要があると思います。

(原委員)
調査は全部のポリゴン42,000に対して実施するんですよね。その場合、多くの調査をするのでその効率化の問題と、調査者や年度よって基準が異なると困るので、その点の基準を例えば図示して、整理しておく必要があると思います。

(森林課)
中村委員のご意見のとおり、目視による調査は難しいという部分は、我々も認識しております。調査実施に当たっては、調査員が現地で代表的な森林を歩きながら目合わせを行うと同時に、写真など判断ができる資料を揃えて、なるべく個人差を埋める形で調査を行うことを考えています。
数量的な把握の調査が必要との意見を頂きましたが、この人工林現況調査については、県内の水源保全地域内に存する民有林人工林の現況を調査するもので、イメージとしては、この調査によって、全体像の面的な把握ができると考えています。数量的、数値的な把握については、水源の森林づくり事業において県内に50ポイントのモニタリング地点を設定して、光環境や下層植生や土壌流出など詳細なモニタリング調査を実施しているので、そちらの方でモニタリング調査のデータと照合しながらと考えています。

(木平委員)
具体的な調査方法は決めてしまわずに、進めながら適切な方法を判断した方が良い。目視による場合もあるかも知れないし、開空度カメラの場合もあると思います。いろいろ植生調査もあると思います。4万点の調査方法を宣言しても大変だから、実現可能な方法で行きましょう。詳しければ詳しい方が良いですが、詳しすぎると大変ですので。

(天野委員)
先ほど、森林が木材生産という話がありましたが、私は約20年前から水源環境に関する立ち上げを非常に主張したのですが、なかなか実現できなかった。今になるとその理由が理解できますが、当時は県も森林所有者も、宮ヶ瀬ダム建設に莫大な予算を投入する必要があり、水源林整備に回すことができなかったというのが理解できます。いよいよ森林を保全する時代になりましたが、そこで大事なことは、私は神奈川県の森林は決して広大でなく、小さなものだと思います。従来の概念から言うと、森林整備とは木材生産を経済材として見ていたが、やはり最終的には環境材です。そのような時代になった以上は、神奈川県の水源環境税を財源とする事業は、明らかに環境材として県民の財源によって確保し、継続し、保全するという点にもう一度戻らなければいけないと思います。ですから、今後さらに進めていく上でも、単なる森林整備ではなくて、水源林としてのランクや整備状況という新しい基準を作る必要があると思います。その点を押さえることが、税金を今後とも導入する上では大事か思います。

(星崎課長)
人工林現況調査の中で森林整備状況に関する調査について、木平委員からご意見を頂きましたが、現行の計画を策定する段階で、15年度に人工林整備状況調査の結果をA~Dランクで整理して、B~Dランクを手入れの必要な森林として整理しているので、評価の意味では、総合評価に移行することはありますが、森林整備状況についても調査しながら、前段の計画を策定した時と現状の変化についても、一つの軸として押さえたいということが1点です。
もう1点、皆様方から今、水源林としての評価、あるいは木材供給や生産としての限界などをご指摘頂きましたが、一方では、材の搬出促進や材の利用についても、この事業の中に入っているので、次の段階で整理したいと思います。

(田中委員長)
先生方から重要なご指摘を頂き、この調査の意義や位置づけ、方法等の課題が分かりましたので、森林課も少し先生方にご意見を伺って、有効な調査にしていただきたいです。勿論、過去の調査との継続性やデータの蓄積の側面もあるので、大きく変更することは難しいと思いますが、工夫する必要があるのではないでしょうか。
また、総合評価の中で、整備の状況の話と水源環境としての森林の質の話を、かみ合わせた評価をしていますが、分けた方が良いかも知れません。
それでは、次の議題です。資料3「河川モニタリング調査」について、ご説明をお願いします。

【環境科学センターから、資料3「河川モニタリング調査(動植物等調査)」について説明。】

(田中委員長)
ありがとうございました。如何でしょうか。

(淺枝委員)
相模川の調査は20年度で終了しましたが、少し整理し直す必要があると思います。資料3の26頁図8において、河川などの事業により生物多様性が向上したというストーリーですが、それは上流域であれば、サンショウウオのようにあると思います。しかし、下流の本川では、今は樹林化が進み、陸地化してきており、確実に生物多様性は増えていますが、望ましい形ではありません。
そこで、どの領域をモニタリングするかが必要ですし、また、外来種と在来種を区別して整理する必要があると思います。外来種の増加により、生物多様性が向上したとは言えないですよね。

(環境科学C)
今回のモニタリング調査は定点で実施しているので、その定点の例えば植物について、淺枝先生が仰るような樹林化も多分出てくると思います。樹林化が良いのか悪いのかという問題はあるかと思いますが、それについて個別に検討していきたいと思います。

(淺枝委員)
そうですね。とにかく結果がうまく川を評価できる形に検討して頂ければと思います。

(天野委員)
基本的なことで失礼ですが、「良質な水の安定的な確保」と言う目的がありますが、水源環境保全・再生の事業の範囲は何処までですか。上流域に4つのダムがあり、その下流に寒川堰があり、ここでほとんどの飲料水は取水されている。相模川の場合は、工場用水はほとんど地下水を使っています。安全な水の確保とは飲料水ですよね。

(星崎課長)
施策大綱や5か年計画の中で、相模川の寒川取水堰から上流部分と、酒匂川の飯泉取水堰から上流の部分、それと地下水を主要な水源としている地域については、その地域も施策対象にしています。

(田中委員長)
施策対象とは事業全体の話ですね。

(淺枝委員)
生物調査の生物種については、種の数を考えていますよね。例えば、付着藻の全体量を量として捉えていますよね。そのような調査を住民参加型にうまく取り入れられないですか。

(環境科学C)
県民参加型の調査については、20年度は参加者が調査したい項目を調査して良いということで特に制限は設けなかったのですが、自分たちが何を調査してよいか、なかなか決められないことが多かったです。ですから、21年度はアドバイザーとも相談して、一応生物を決めて、県民の方が分かりやすく、沢山いて、水質や周囲環境の指標になる種を選んで、参加者には調査して頂くことを考えています。トビケラや水生昆虫や魚になると思います。

(中村委員)
動植物調査について、かなり詳しく説明頂きましたが、ただ、河川環境の評価の基準が私もいま一つ理解できないです。その生物がそこにいることが評価の基準になるのか、あるいは、その生物がそこにいることが逆におかしいのか。その点を知りたい。

(環境科学C)
今回の河川モニタリング調査は、最初のデータベースになることを考えているので、現況として存在した生物をデータベースとして記載しています。その中で、例えば、外来種や水質や周囲の環境と結びつく生物を指標として評価していくことになります。
したがって、その生物がいたからどうかという評価は、今回はしておりません。今後、評価していきたいと考えております。

(星崎課長)
21年度は相模川の調査結果を解析し、並行して酒匂川を調査します。補足調査が必要ということであれば、来年度実施する予定でおります。

(田中委員長)
今後の解析の検討を行うことになりますが、水質と生物と行うことになりますので、そこでもう一度整理をしていただきたいと思います。
さて、次の議題について、資料4をご説明頂きたいと思います。

【緑政課から、資料4「各個別事業(1~9番事業)の平成20年度実績、平成21年度計画」について説明。】(今回は主に事業実績を報告。次回モニタリング調査の結果を報告。)

(田中委員長)
今回は、事業費や事業量を報告して頂きましたが、次回もう一回議論する段階だと思います。
最後に、議題その他として、前回の県民会議で金澤座長から、各専門委員会で課題や今後の方針を少し考えてほしいとのことでした。それでは、事務局で準備して頂いた資料5について、説明して頂いてよろしいですか。

【緑政課から、資料5「第2期の活動方針・検討課題」について説明。】

(田中委員長)
この専門委員会としての活動方針や検討課題についてです。それについて、次回県民会議で報告してほしいという座長からの要望があり、次回県民会議の8月3日の前に、もう一度この専門委員会を開催して、少しこれらの課題について、議論したいと思います。本日は、課題認識を例示した上で、少しこの内容について具体的には次回の専門委員会で意見交換したいと考えています。したがって、もし盛り込むべき項目等があれば、事務局にご連絡して頂き、それを含めて進めたいと思います。
最後に、渓流調査の検討を平成20年度に大分詰めて行いまして、第1期で退任された古米先生からもご提示を頂きました。これについての取扱いを皆さんと共有したいと思いますが、文献など既存の知見を少し渓流調査、渓流の挙動、水質の挙動、あるいは土砂流出の挙動などのデータを少し集めていただき、1回それをご報告頂きたいと私は思っていました。その上で、もう一度この水源環境の中で渓流調査をセットしたら良いのか考えたいと思います。基礎となる知見の整理を一回事務局でして頂けないでしょうか。よろしくお願いします。

(星崎課長)
分かりました。

(田中委員長)
それでは最後に、オブザーバとしてご参加された委員の皆さんから、一言コメントやご意見やご要望があればお願いします。

(柳川委員)
2点あります。先ほども外来種の話が出ていましたが、例えばサカマキガイやコモチカワツボなど、県内の主要河川である相模川、酒匂川に急増している状態ですから、21年度はもう少し外来種のテーマをモニタリング調査の中に入れていただきたい。もう一点は、先ほど天野委員も仰っていましたが、森林整備とシカの問題との連動を並行して行う時期に来ているというのが個人的な考えです。

(小林委員)
事業と直接関係は少ないと思いますが、最近CO2削減の話題が非常に多くなっています。そこで、間伐によるCO2削減効果を報告書の中へ、参考に記載があっても良いのではと思います。それは目的ではなく成果として。

(久保委員)
私、資料1(対照流域法)の4頁の図(貝沢の観測施設)を見て、例えば混交林や複層林の定義がどうなっているのか、また、各観測ステーションがこの区域を代表しているのか考えながら見ていました。私にはここの状況が分かりませんので、いずれ見せて頂きたいと思いました。

(岩渕委員)
森林整備の作業が沢山行われていますが、動物との共存を考えて頂ければと思います。繁殖地など考慮する必要があると思います。

(井伊委員)
森林について、非常に興味深く話を聞かせて頂きました。自分の考えもないわけではありませんが、さらに勉強して、次の機会に意見を述べたいと思います。

(田中委員長)
この専門委員会で議論した結果は、県民会議で報告しますので、その段階でまたご意見があれば、どうぞお願いします。それでは、本日の専門委員会はこれで終了とします。どうもありがとうございました。

【会議終了】

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会議資料

資料1 森林モニタリング調査(対照流域法調査)

資料2 森林モニタリング調査(人工林現況調査)

資料3 河川モニタリング調査(動植物等調査)

資料4 各特別対策事業(1~9番事業)の平成20年度実績、平成21年度計画

資料5 第2期の活動方針・検討課題

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