更新日:2020年9月18日

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第2回施策調査専門委員会審議結果

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

水源環境保全・再生かながわ県民会議 第2回施策調査専門委員会

開催日時

平成19年9月4日(火曜日)18時00分から20時00分

開催場所

かながわ県民センター403会議室

出席者【委員長・副委員長等】

田中 充【委員長】、古米 弘明【副委員長】

淺枝 隆、木平 勇吉

次回開催予定日

平成19年11月

所属名、担当者名

土地水資源対策課、担当者名 金井、原田

電話番号 045-210-3106

掲載形式

  • 議事録

議事概要とした理由

-

審議(会議)経過

(しとみ土地水資源対策課長)
本日は、お忙しい中、夜遅い時間帯に、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
委員の皆様には、7月31日に開催された第2回県民会議にご出席いただいているので、既にご承知かと思いますが、その時に議論になった地域別の県民フォーラムや、現地学習会についても、現在、事務局と委員の皆様とで、いろいろ進めているところです。県民会議の方も、委員会やフォーラム等の準備で、活発になってきております。
この施策調査専門委員会は、7月6日に第1回を開催しました。その時に頂いたご意見を、今回資料に整理しました。また、今回は、5か年計画に記載されている「水環境モニタリング」の各モニタリングについても、我々の関係課や研究員で議論、整理したので、説明します。
それから、情報提供のあり方について、コミュニケーションチームを作ったらどうかという話がありました。それについても、委員の方々ともいろいろな議論をしていますので、報告いたします。
いろいろとご議論いただければと思いますので、宜しくお願いいたします。

(田中委員長)
それでは、第2回施策調査専門委員会を開催いたします。
前回は7月6日、2か月前に開催し、少し間が空きましたが、その間に全体の県民会議が入ってきて、約1か月間になります。今回予定している議題は、議事次第にもあるように、主に2番、3番が中心的な議題になると思います。
今日は3名のオブザーバ委員に入っていただきますが、自由なご発言ではなく、節目でご発言をいただき、専門委員と役割を変えると前回確認しました。したがって、今日も議題ごとの終わりにご意見があれば伺いたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(オブザーバ委員了承。)

(田中委員長)
それでは、早速議題1から。これは、前回の委員会の意見のまとめと、それについての事務局の対応の考え方が中心になると思います。このことについて、事務局の方から説明をお願いします。

(事務局から、資料1について説明。)

(田中委員長)
資料1のご説明をいただきました。この資料は、前回の施策調査専門委員会で、主にご発言のあった内容を取りまとめて、こういう方向で今回の資料に反映している、あるいは、その旨を検討している、という趣旨の話ですね。具体的な内容は、資料2以降のことですかね。これは9本の事業についての評価の方法と、個別の水環境あるいは森林管理のモニタリング調査の進め方ということで、資料2以降の内容に一応反映して、前回の検討を踏まえてそのような整理になっていると思います。
資料1の説明について、専門委員の先生の方で何かございましたら。

(淺枝委員)
参考資料1の19ページ、21ページの相模川、酒匂川の調査地点ですが、県東部の河川の調査はされているのですか。

(星崎担当課長)
河川調査は、全県域で行っております。この資料は図6から始まっていますが、抜粋しています。
データはデータベース化はされていますが、地図情報までは行っていません。毎年そのような形で、データを整理して、年報の形で出しています。

(浅枝委員)
どのくらいの頻度で調査しているのですか。

(星崎担当課長)
これは、それぞれ調査項目も、調査主体も異なります。黒い丸の調査地点は基本的に毎月調査しています。

(淺枝委員)
白い丸の調査地点はどのくらいですか。

(大気水質課)
白い丸の調査地点は、少ないところで年に2回程度、多いところで毎月です。黒い丸の調査地点は毎月で、これは法律に基づき実施しています。

(淺枝委員)
はい、わかりました。

(田中委員長)
他にはいかがですか。

(木平委員)
水質調査で渓流の水質調査はしてないのですか。この参考資料1に書いてあるのは、比較的大きな河川ですね。森林の中の渓流の水質調査は、現在どうなっているのですか。

(星崎担当課長)
この調査の中ではしてないと思います。湖に流れ込む地点は若干していると思います。24ページの図11の宮ヶ瀬湖は、中津川や早戸川など若干調査しております。

(木平委員)
課としては調査していないのでしょうが、県としてはどうなのでしょうか。

(星崎担当課長)
課としてではなく、この参考資料1は、県も、国も、企業庁も、市町村も全部のデータとして、入っています。

(木平委員)
ということは、渓流域、つまり、森林の中の比較的小さな河川の水質のデータは、組織的にはないということですね。

(星崎担当課長)
そのような状況ですので、対照流域法や森林のモデルでそのようなところも測りたいとに思っています。

(木平委員)
対照流域法は、そのようなものではありませんがね。

(星崎担当課長)
水質がどのように改善されたかは、見たいと。

(木平委員)
それは、対照流域法の1箇所の問題ですがね。

(星崎担当課長)
ただ、沢はたくさんあるわけで、それでは、どこを選択するかという話になるので、基本的には公共用水域の相当の水が集まる所で測っています。

(田中委員長)
はい、では、よろしいですか。
それでは、議題2が本題になると思いますので、資料2の説明をお願いします。

(事務局から、資料2について説明。)

(田中委員長)
この資料2は、前回12本の事業を整理していますが、その中の9本の具体的事業についての組み立て方について、総論の意見をいただき、事務局が今回再整理して提示している資料です。確認しておきたいことなどございましたら、御発言をどうぞ。

(星崎担当課長)
前回の資料にあった目標の量の達成度に地点数、市町村別面積など細かく記述をしていましたが、今回、省略しています。データベースとしては、しっかり把握するということで、ご理解いただきたいと思います。

(木平委員)
「目標」のところですが、水源の森林づくり事業では、過去に県が確保したもの以外に、新たに5年間で6,215haを確保することになっていますが、既に確保できている面積がどれだけで、プラスして6,215haを確保するという示し方が分かりやすいと思います。

(田中委員長)
既に確保している面積は、分かるのですね。

(星崎担当課長)
分かります。

(木平委員)
「整備」という言葉には、いろいろ含まれており、ねらいは適正な手入れになると思いますが、整備の内容をはっきりさせないと分かりにくい。県民に理解してもらうためには、もう少し具体化しないといけない。整備には、一つは伝統的な木材生産林としての整備と、もう一つは水源かん養機能を高める整備があると思います。2つの整備は、内容が違うのです。従って、どのような整備をするのかについて、内容を分かるように説明した方がよいと思います。木材生産林は、売れる木を選ぶが、水源かん養のためであれば、単に雑木林でもよいわけです。木材生産林の整備は、主に間伐などですが、水源かん養の整備には、間伐は必要ないかもしれません。整備の内容を、目標を立てる時は、はっきり示した方がよいと思います。

(田中委員長)
確かに、「整備」という言葉は多義的なので、目標の考え方に整備とあるが、使い分けないといけない。

(星崎担当課長)
5か年計画でオーソライズされているものを記載したものです。目標とする林型として4つあり、公的管理、支援方法も4つあります。それごとにどれだけの目標を定めているかについては、地権者との関係もあり、定めていないというのが現状です。

(田中委員長)
事業の目標度をいう場合、整備の内容には2つあって、木材生産の整備と水源かん養の整備では、手入れの仕方も投入の仕方も異なるということですね。単に整備面積だけではなく、少し、意識して目標化しないといけないということだと思います。

(星崎担当課長)
基本的に、水源環境のための整備と言っています。

(木平委員)
水源かん養機能からして、あるレベルで低い、高いと判断できて、それを調査し、事業の進行に伴ってレベルがどんどん上がるというのは、分かりやすい。
森林の場合、面積もよいが、GISとか、箇所ごとの状況をデータで示す方が良い。県民から見ると、面積の数字だけでは、分かりにくい。現場を見ると荒廃の状況がすごいと分かる。地理情報を付けないと分かりにくい。森林課に既存のGISデータがあると思うので、利用すればよいと思います。

(淺枝委員)
面積で追いかけようとすると、例えば、衛星写真や航空写真を使うのはどうですか。今、モニタリングは、点の情報で、それも大変重要ですが、どのくらいの面積であるかを大まかにでも押さえておいた方が、整備した面積がきれいに出やすいのではないでしょうか。

(星崎担当課長)
元々の計画に際して、森林課の職員が人工林をAランクからDランクまで調査、評価して分類して、手入れが必要な面積を算定しております。

(淺枝委員)
モニタリングは、点の数が限られるので、それをカバーするものとして、例えば、航空写真などがうまく使えないか。

(星崎担当課長)
整備が進めば、どこが整備されているのか地理情報で分かると思います。もう一つは、資料5「人工林整備の状況調査」で、過去にこの施策を作るに当たって、A~Dのランク付けをしていますが、それをまた5年後に、一斉に調査するという考え方を持っています。1つは、各事業の進捗から見て、また全体としては、このような調査を5年おきに実施して、全体の状況を把握するという組み合わせで行います。

(淺枝委員)
それで、少し気になっているのが、渓流の流域の調査がないですね。その場合、土砂移動量をどのように測るのかが問題になります。何処がどれくらい削られたというデータは、難しいですね。そうかと言って、渓流の中の数点しかない所で土砂移動量を測っても、それほど全体に反映されないですね。そのような場合に、これをどのようにモニタリングするのか、先程から考えていたのですが、流下して溜まった先で測るのはどうでしょうか。

(木平委員)
渓畔林は土砂を測らないですよね。

(自然環境C)
水源の森林づくり事業で、モニタリングを50地点で行っているわけですが、各地点で、1つは植生の変化を見ます。また、ピンを20本くらい立てて、その土砂の移動量を測るので、箇所ごとの土砂移動量は分かります。渓流への流れ込みについては、別の調査が必要ですが、水源の森林づくり事業の範囲を超えるので実施していません。したがって、50地点における植生量の変化と、森林状態の変化、土砂流出量の変化については、5年ごとに観測しながら、継続的に効果を測定します。5年ほど前から調査を始めて、(14年度に設置した)3地点は今年で2回目の観測をしています。そのような形で継続して、水源の森林づくり事業については、比較的早く始まっているので、モニタリングも先行しています。多少の改良は必要だと思うので、今後はアドバイスを受けながら、修正していきたいと思います。

(淺枝委員)
はい、分かりました。

(木平委員)
森林のモニタリングの中で、先程、渓流の水質調査のデータがないとのことですが、私は必要だと思います。河川は、農地とか市街地の影響が大きいわけですが、渓流は、人間の影響が少ない、自然の森の中の渓流であり、それがすごく大きな水源としての影響があると思います。森林の中の小渓流の水質をモニタリングすることも必要だと思います。
それから、もう1つ、資料5の県内の人工民有林の調査について、森林の整備状況をA~Dの4ランクに分類すると言うこの言葉が前から、気になっています。手入れが適正にされていると言うのは、どういうイメージなのかな。水源かん養の場合に、別に手入れがされていなくても、水源かん養機能はあるんですよね。木材生産という伝統的なイメージが強いのではないかと思います。

(森林課)
そのランクについてですが、調査方法は、最初にA~Dランクの目安を写真で調査員に示しておいて、実際に現地に行って、目で見た感じで、林地の状態を目合わせします。Aランクは、林内に光が入って、下草がいっぱい生えている状態です。Bランクは、林内は少し暗くなっているが、最近数年内に間伐をした形跡があって、また少し経過してから間伐をすればよい状態です。Cランクは、林内がかなり暗くなっていて、下草も生えていない、また倒木も出始めている、手入れの状況も間伐が最近10年くらいされていない、あるいは全くされていない状態です。Dランクは、人工林として植林されたことは分かっているが、実際行ってみると、ほとんど整備されておらず、藪になっている状態です。ですから、手入れと言っても、間伐がされているとか、されていないだけではなくて、実際に林内の状況を見てランクを付けています。

(木平委員)
私もそのとおりだと思います。ですから、言葉ではなくて、これはAランク、これはBランクという指標となるような代表的な写真を見せて、5年間を通じて、それがどれくらい、上のランクになったのか変化量を調べないといけないと思います。ですから、現状はこうだというGISを作って、5年後には次のようなGISに変わったということを示せば、非常に分かりやすいと思います。

(古米委員)
これは素人考えですが、衛星画像を利用して森林域を評価する指標があると思うのですが、下草の状態などは衛星画像では分からないというのが、この分野では常識なんですか。下草が貧弱な状態であれば、必然的に森林にそのような状況が現れていて、例えば今回A~Dランクで示されたものと、衛星画像で解析したものが、累積できれば、わざわざ調査員が現地に見に行って、限られた地点で評価する指標で見るよりは、定量的に評価可能な方法が、この分野では出来ているのではないかなと想像するのですが、そうではないのですか。

(淺枝委員)
航空写真で、いわゆるレーザープロファイダーで森林の上空を撮影するものがありますね。あれを利用するのはどうでしょうか。ただ、予算がかかるとか問題があると思いますが。

(自然環境C)
対照流域法で、レーザープロファイダーを使って、そのようなものができるかどうか、調べる予定です。ただ、業者に聞くと、レーザープロファイダーでは、樹幹の下まで届かないので、林床植生の状況まで見るのは難しいと言うことです。樹幹粗密度、つまり樹幹の混み具合は分かるのですが、微妙な部分は難しいということで、そのような方向では検討しますが、飛行機を飛ばすのも、経費がかかるので、そのようなバランスも含めて、検討課題にしたいと思います。

(木平委員)
現在のところ、研究課題ということですが、やはり地上調査も併用しないといけないと思います。

(田中委員長)
木平先生がおっしゃった、人工林整備状況調査のランク付けの話で、水源かん養機能のランクと森林が荒廃している、または整備されているというポイントはずれているか。つまり、場合によっては、ある程度整備されていなくても、水源かん養機能を有している場合があると私は理解しました。だから、その「整備」という概念は木材生産としての整備が従来の考え方ですが、ここでは、水源かん養機能として整備するというのが、これが事務局の考え方です。そこで、これについて、差異や齟齬はないかという木平先生のご指摘だと思いました。例えば、A~Dの4段階のランクがありますが、これはおそらく従来型の林業の木材生産の考え方に近いと私は理解しています。これはほぼ水源かん養機能のランク付けと同じと考えてよいのでしょうか。その点について、木平先生いかがでしょうか。

(木平委員)
それは違います。
もう一つは主に人工林ですが、これは私人の土地ですが、木材生産を放棄した場所については、水源かん養に徹底すればよいし、道路に近い場所や地の利の良い場所は、木材生産林としての価値で整備する必要があり、水源林だけではやっていけないということになります。どこまでが木材生産林としての意味があるのか、どこを水源かん養とするのか、またその中間地帯もある。その点についても課題になります。これからは全ての人工林が、植栽されたままの木材生産林にはならないと思います。

(淺枝委員)
資料5の人工林整備状況調査で、スギやヒノキ林を対象としていますが、しかし水源かん養機能という場合に、広葉樹林の方がむしろ重要だと思います。水源かん養機能という視点に立った場合に、スギ・ヒノキに人工林が良いのか、広葉樹の方が良いのかという話は当然出ると思います。そこで、その点について、どのように考えるのか気になりました。

(星崎担当課長)
目標とする林型として1巨木林(樹齢100年以上の森林)、2複層林(高木と低木の二段からなる森林)、3混交林(針葉樹と広葉樹が混生する森林)、4広葉樹林(林内植生が豊かな地域の自然環境に適応している広葉樹林)の4つの目標林型を定めて、それに向かって森林整備を進めるわけですが、現実にこの地域をどの林型とするかは、森林所有者など地権者との調整もあり、苦労している点です。ですから、基本的には自然へ戻っていくという手段の中で水源かん養を高めるという話で、手段と目的が一体となっていて、なかなか切り離せないということです。

(淺枝委員)
それでは、樹種としてスギ・ヒノキにこだわるわけではないですね。

(星崎担当課長)
こだわっているわけではありません。

(淺枝委員)
元々、スギ・ヒノキで植えられているが、その樹種にこだわるわけではないと解釈してよろしいですね。

(星崎担当課長)
はい。

(木平委員)
モニタリングの時期ですが、5年間いろいろな作業や手入れなどの努力した結果、ランクが上がることが目に見えるような調査でなければならないと思います。

(星崎担当課長)
木平先生がおっしゃっているのは、この光環境のことですか。

(木平委員)
それも含めて森林のモニタリング調査を、5年間の間でいつ実施するのか。初年度に全部悉皆調査をするのか、それともそうではないのかということです。

(星崎担当課長)
1番の水源の森林づくり事業について言えば、整備されたところで定点を定めて観測します。

(森林課)
ポイントの設定は、平成14年度から設定しておりまして、順次少しずつ設定しております。森林整備を具体的に進めた現場で、ポイントを設定しております。それで一旦設定したポイントを5年の間隔で繰り返しモニタリングしていきます。

(木平委員)
確保したところについては、定点観測になるわけですか。

(森林課)
そうです。ポイントを50地点設定して、そこを定点観測します。

(木平委員)
50地点とはどういう意味ですか。整備される場所は50地点どころではないと思います。整備される場所の方が圧倒的に多いですよね。これはサンプリングの方法で調査するということですか。

(森林課)
はい、そうです。

(木平委員)
そうすると、なかなか整備の進捗は表れてこないのでは。

(森林課)
そうなのです。その50地点をいかに全体の何%、最終的には27,000haの確保を目標にしていますが、モニタリングのデータを活かして、どのように示せばよいのか、なかなか難しいと考えております。

(木平委員)
定点観測とのことですが、数年の間隔ですよね、森林の状態は数年の短期間ではそれほどに大きく変化しません。むしろ荒廃していた場所を整備するということに大きな意味があると思います。したがって、面的に調査する必要があると思います。

(森林課)
そこで下草の量を調べて、林内環境が良くなれば、たくさん茂っていくのでないかと期待しています。

(淺枝委員)
そうすると、水が集まってくる渓流を調査することは、集水域全体の特性を表すデータが出てくると思います。そのようなポイントになる渓流は特に注意しなければいけないし、もっと言うとそこの水量、つまり涸れている渓流がどれくらいあるのか、どのぐらい涸れなくなったのか、そういう所は流域全体を掴みやすいデータが出てくるのではないかと思います。

(古米委員)
私もモニタリングの項目で、渓流の水質よりも水量の方がもっと簡単に測ることができると思います。そのようなモニタリング項目がないと、森林と言っても、県民の皆さんにとって、水量でこれだけ効果が出てきたとか、こんなに水量変動のあったものが、安定した流れになり、流況がよくなったとかという方が説得力があると私は思います。測定箇所をどのように選定して、どのように測定すればよいのかを具体的に言わないままの意見では失礼かもしれませんが。

(淺枝委員)
おそらく流量や水量は測りやすいと思います。堰を作っておけば、そこに水が貯まるわけですから、地元の方たちでも測ることができる。そのようにすると、地元の方たちにも参加していただいて、モニタリングするところに上手く結びつけられないかと思いました。

(田中委員長)
降水量は年変動が大きくて、割と小さな流域で変動が大きいですよね。その点はどうでしょうか。

(淺枝委員)
雨が降らないときに行うのです。もっと言うと、地元の方に参加いただいて、いろいろな地点で調査すれば、多くの小流域で調査できます。

(木平委員)
多分、そのようなことを考えて対照流域法を採用するのは分かるのですが、それも5年間という短期間で森林を整備するから、今までどういう状態なのかと極めて分かりやすいものの方がよいのではないか。森林の調査は大変なので、実行可能のものを採用した方がよいのではないか。

(田中委員長)
モニタリング調査は指標ですよね。事業のねらいは森林の手入れですが、森林の手入れとはどのような概念なのか、もう一度整理しないといけないと思います。モニタリングの測定方法を短期的に直接的に測るのと、長期的に積み上げて測る視点があるのではないでしょうか、そういうものを両先生がおっしゃるように、考えた方がよいと思います。
資料2に戻って、今提案されたこういう話があるのですが、これで足りるのか確認していきたいと思います。資料2の右側に「事業のねらいの達成度」があります。1番の水源の森林づくりや、4番の間伐材の搬出促進や、5番の地域水源林整備について、「森林の手入れが適正にされている面積」と記述されています。例えば、4番の間伐材の搬出促進事業は、1間伐材の搬出の支援をする、あるいは、2生産指導の活動を行うという内容ですね。最終的な成果は、森林の手入れが適正にされている面積ですが、この間伐材の搬出促進事業に対して、どのような指標が設定されますかね。つまり、「事業のねらいの達成度」は、最終目的に向かっての項目が設定されていると思います。この森林系事業のレベルと、資料2の裏面記載の各事業のレベルが違うのです。例えば、裏の7番の地下水保全対策は、「地下水の水質の適正な地域の数」、8番の公共下水道の整備は、「下水道の普及率」となっています。これも長期的な意味で言えば、地下水の良好な水質が増えていくこととか、水源環境の負荷軽減だから、最終的には対象の流域で水質が改善されていること、というようなものが設定されると思うのですが、ここでは、むしろ直接的な事業の達成度を設定していますね。少しレベルが違うように思えました。その点を整理したらどうでしょうか。

(星崎担当課長)
河川の全体の評価は、公共用水域の水質や、水生生物による評価を含めて、全体をどのような傾向に向かっていくのか把握することと考えています。下水道や合併処理浄化槽が普及することによって、ダム湖の窒素やリンなどの汚濁がいかに軽減されたかというのが、最終的な目標ですが、それでも構わないのですが、このような形が分かりやすいと思って、このように設定しました。

(田中委員長)
繰り返しますが、概念のレベルが違うのではないかという指摘です。例えば、8番の公共下水道の整備でも、9番の合併処理浄化槽の整備でも、水源湖の水質の改善という話になるのでしょうね。高度処理型の合併処理浄化槽を設置することが最終的な目標ではなくて、いくら設置されても水質が改善しないと意味がないですよね。
1番から5番までの森林系事業は、「森林の手入れが適正にされている面積」と記述されています。4番の間伐材の搬出促進事業は、間伐材の搬出を支援するための事業ですよね。その事業のねらいの達成度について、もう少し書き方が変わりませんかということです。

(星崎担当課長)
この事業は、年間24,000立方メートルを搬出し、搬出した森林所有者に対して補助金を出すことによって、その結果として、搬出を伴う森林整備について、森林所有者の方が自ら整備を行うことを喚起することを目的とする補助金です。年間24,000立方メートル搬出の目標を達成できれば、県としてはこの事業の目標を達成できていると考えるわけですが、前回委員会において、その効果として最終的に手入れが適正に行われている森林が確保されることが最終的な目標であるというご議論をいただいたので、このような形で記載しました。

(田中委員長)
そうすると、後ろの方の概念が直接目標ですね。

(星崎担当課長)
県の目標は、基本的に実行5か年計画の中で定めている事業の目標達成量を第一義的に実行しなければならないことです。これを行うことが我々の使命だと考えております。

(田中委員長)
「事業のねらいの達成度」の表示の仕方が、資料2の表側の森林系事業と、裏側の河川や地下水等の事業と、概念のレベルが違うのではないか、私は違うと思います。

(古米委員)
資料2の表側に記載の事業は、最終的に、水源環境保全にあたり、手入れがしっかり行われている森林がどれくらいあるべきだという目標に対して、それぞれの事業がどれだけの面積に対して貢献をしたという整理をされている。それに対して、資料2の裏側に記載の事業は、例えば全体として河川や地下水保全、あるいは下水道、浄化槽の整備という点で、汚濁負荷削減効果と関連付けて、居住人口に対して高度処理型の浄化槽の設置数や、下水道整備をどれぐらいの面積で行うのが望ましいのかを示し、それに対してどれだけ達成できたかを示してはどうか。あるいは削減すべき人為的汚濁量を何%削減するのかを示し、結果として、それに対してどれだけ削減できたかを示した方が、設置基数が何個と言われるより、保全対策を示すにはよいのではないか。

(星崎担当課長)
それはわかりますが、そこ流域全体の負荷量の調査は実施しない予定ですので。

(古米委員)
負荷量でなくてもよいのです。本来、あるべき浄化槽の基数とか。

(星崎担当課長)
それについては、調査により1,400基を全体計画基数として、この1,400基を高度処理型に代えて設置することが目標として定めております。それ以外は、下水道計画区域になるので、下水道を整備すれば、汚濁そのものがダム湖を通らないで、下に流れますので、汚濁は入らない形になります。

(古米委員)
それが最終的な目標値だから、それに対して何%設置できたという形で、事業のねらいの達成度を表現したらどうか。

(星崎担当課長)
はい。

(田中委員長)
9番の合併処理浄化槽の整備ですが、この事業のねらいは「ダム湖の水質改善を目指す」ことです。事業は確かに、高度処理型合併処理浄化槽を5年間に何基、20年間に何基設置するということですが、結局それはダム湖の水質改善のためです。「事業のねらいの達成度」は本来、水質改善であるということです。公共下水道の整備についても、同様です。
資料2の表側は、基本的に森林の保全・再生、つまり1番の水源の森林づくりから5番の地域水源林の整備について、水源かん養機能を主にした森林を保全するため整備することが目的になるので、それを一番右の「事業のねらいの達成度」には、単に何haを整備するとかではなくて、むしろねらいに近いものが達成度になっています。
これに対して、繰り返しますが、資料2の裏側の、6番の河川・水路の自然浄化対策から9番の合併処理浄化槽の整備までは、むしろ「目標」の考え方の数値的目標に近いものが記述されている。だから、1番から5番の事業と、6番から9番の事業に、概念の相違がないのかと指摘しているのです。分からなければ結構です。そう思わないと言われればそれまでかもしれません。
ほかの意見はいかがでしょうか。

(淺枝委員)
5年間で、水質に顕著な効果があるのかが問題です。そのような結果が出ない可能性もあると思います。集水域の下水道を整備しても、例えば相模湖・津久井湖の水質が5年間でうまく結果が出てくれる保障はありません。下水道の整備はかなり早く効果が出る方だと思いますが、それですら時間がかかるし、河川の場合はもっと時間かかります。そうすると、資料2の表側の、1番の水源の森林づくりから5番の地域水源林の整備の「事業のねらいの達成度」のような指標を、裏側の6番の河川・水路の自然浄化対策から9番の合併処理浄化槽の整備のような形で、うまく入れられないか。モニタリングの指標も含めてですが。

(星崎担当課長)
例えば、8番の公共下水道の整備や9番の合併処理浄化槽の整備のところに水質と記載していますが、特に下水道の場合、エリアを定めて整備するので、そこに汚水が流れ込んでいる中小河川があれば、そこを測ればかなりの成果があると思います。ただし、浄化槽の場合には個々に整備します。山北町については、市町村設置型なので、下水道と同じような効果があるのかと思いますが。

(淺枝委員)
現在、どのくらいの普及率ですか。

(星崎担当課長)
高度処理型の合併処理浄化槽は0です。1,400世帯全てに設置するということです。

(淺枝委員)
高度処理型を100%設置するということですか。それならば、湖に影響が出るかもしれない。5年間だとしても、おそらく水質の観点からは結果が出ますね。

(星崎担当課長)
ただし、相模湖・津久井湖の負荷量の考え方を示すと、ほとんど影響は出ない。

(淺枝委員)
その場合に、県民に対してどのように説明するか。

(星崎担当課長)
少なくとも、私どもとしては、この計画を立てるときも自分たちの水源である湖に負荷を与えることはやめようという考え方で、この2つの事業は組んでいるので、たとえ結果が出なかったとしても、元の理論値からすれば、事業を実施した分だけ負荷を与えてないことを示したいと考えています。加えて、先程言ったとおり、下水道であれば流入の場所があるので、そこの水質が測れば改善した結果が測れるのではないかと思います。

(淺枝委員)
県民の方々に対して説明できるものが、その辺りから出てくるということですか。

(星崎担当課長)
垂れ流しの状況を見ていただければ、これがこのように改善されたということを納得いただけると思います。

(淺枝委員)
例えば津久井湖とか相模湖とか、今の整備数はいくつですか。

(星崎担当課長)
高度処理型の合併処理浄化槽は0です。

(淺枝委員)
下水道普及率は5年間で60%、20年間で100%になるわけですね。

(星崎担当課長)
もともと下水道計画区域が非常に広いので、下水道の整備が進めば、改善されるのではないかと思います。残った浄化槽区域については、高度処理型に転換していただきたいということです。

(木平委員)
この下水道計画は、高度処理も入った公共下水道が入るわけですね。

(星崎担当課長)
いいえ、そうではありません。湖には入らず、流域で引っ張って、茅ヶ崎市の柳島に持っていきます。東京湾などの場合、下水を高度処理していくことはありますが、ここでは行いません。

(古米委員)
下流側の取水には影響するかもしれないが、湖の水質には影響ないということですね。

(星崎担当課長)
そういうことです。

(古米委員)
あと、3番の渓畔林整備事業について、20haとの記述だが、これは該当箇所の目安がついていますか。

(自然環境C)
今年度、調査測量して、より具体的に決めていきます。

(木平委員)
20haという言葉もよいですが、何kmなど長さを併記した方が分かりやすいのではないですか。

(星崎担当課長)
目標としては、それは調査測量してみないと分かりません。結果として表記することは可能かと思いますが、目標として、現時点で置くのは難しいです。

(田中委員長)
調査測量とは何をするのですか。

(星崎担当課長)
沢の重点管理区域を測量します。5か年計画の中で、1調査測量と、2択伐等の森林整備を分けて記載していますので、この資料2の表中でも分けて記載しました。

(古米委員)
1番から5番の各事業は、森林の保全・再生の事業ですが、例えば、人工林の私有林が全体で27,000haとか、丹沢大山の特別保護地区など、いろいろと森林の定義や数値があり、場合によってはその対象地域の中に他の事業が含まれ、集合関係があるかと思います。その事業を実施することが他の事業の効果になるなど、いろいろなことが考えられる。それは、各事業ごとに目的と効果を考えると、途中までは区別できるけれど、資料2の一番右側の「事業のねらいの達成度」を見ると、みな同じような評価基準で評価されてしまい、どの事業によってどれだけ効果があったのかがわかりにくくなる。全てに通じることですが、最終的には大きな目標に対して、各事業がベストであることはよいことですが、他の事業とうまくバランスを取りながら最終目標に向かっているという、別の事業との兼ね合いのなかであるべき姿やねらい、つまり、いろいろな事業のメニューを揃えて同時に実施したからこそ、相乗効果というか、そのようなインデックスや見方を提示することが、重要な視点であると思います。一方で、個々の事業がきちんと識別できるようにするためには、いろいろな数値をもう少し分かりやすくしなければならないのではないか。例えば、間伐材の搬出促進について、間伐林は私有林の人工林から出てくるのか、別の場所から出てくるのか、疑問が生じる。この整理がGISのマップとしてできあがってくるのですか。

(星崎担当課長)
施策をどこで実施するのかは、決まっていますが、それをどのようにGIS化して、全体として見せていくかは、来年度予算の関係で、見せていけるようなものを検討していきたいとおもいます。

(淺枝委員)
それに関して、因果関係のフローを示すマップがまず必要かと思います。マップとはどういう意味かと言いますと、最終目標である水質に対して、例えば森林を整備して、どのような効果があって、それがどのように水質にたどりつくか、間伐材の搬出がどこに効果があり、水質にたどりつくとか、浄化槽は比較的わかりやすいけれど、全体の施策の流れの中でどのように位置づけられているか、これ以外にも水質に影響するものはたくさんありますが、それを全部含めた水質に影響する因子が並んで、それぞれがどのように影響しているか。そのようなものがないと、一般の県民は疑問を持つと思います。全部は難しいかもしれませんが、概略で構わないから、まずマップがあって、この事業はこれに関係すると示すものが必要です。

(田中委員長)
マップとは構造ですか。

(淺枝委員)
構造ですね。因果関係の構造を示すマップです。

(田中委員長)
それはやはり必要ですね。

(古米委員)
水質のことで、汚濁負荷構造や汚濁解析などの本質を議論だけをしてしまうと、現在実施しようとしている事業をなぜ今優先して実施するのかと聞かれたときに困ってしまうので、そのような場面や議論もあってもよいが、今我々に何ができるかという点からも事業の優先度なども整理してしておく必要はあるかな。

(星崎担当課長)
この水源環境保全・再生施策については、総論として、どのような事業ができるのか体系を作り、100数十億という形で議論を始めたが、議論の過程で計画案が削られ、最終的に残ったのが38億円の12本の事業です。私どもとしては、12本の事業をどのように実施したのか、どのような効果があるのかを、県民や県民会議の皆様に示していく責務を負っていると考えています。
しかし、水質については、例えば相模川の下流域には下水道が整備されていない所もあります。そちらの方が水質への影響が大きいので、そこに本来予算を付けるべきではないかとの考えもありますが、何度も議論を重ねて、超過課税の特別財源を使ってこれらの12本の事業を行うという結論ができた経緯があります。

(淺枝委員)
マップがなぜ必要かを言うと、水質を良くするためには下流域の都市地域の中の整備を進めた方が効果は早いですが、まずこちらを先に整備しましょう、それは皆さんの合意でできたわけですが、「効果が良くならないではないか。」と言われたときに、実際の構造はこのようになっていて、今進めていることはこちらだけれど、他に大きな要因があるため、だから、なかなか水質の影響として出てこないのだ、という説明にも使えると思います。そうしないと、実際きれいになったのかと聞かれた時に、本当に答えがなくなってしまいます。

(古米委員)
知った上で事業を実施するのと、知らずに実施しているのとでは、大きな違いがあります。これをうまく言わなければいけない。

(田中委員長)
時間がきてしまいましたが、まだいろいろ確認したい点があります。例えば、4番の間伐材の搬出促進の「ねらい」や「考え方」のところに、「有効利用」という言葉がありますが、有効利用する事業や指標はどうするのかが抜けていると思います。また、間伐材の搬出については、1番の水源の森林エリアなのか、5番の地域水源林エリアなのか、あるいは重複しているのか、また別の異なる地域なのかが不明確です。それについても整理した方がよいと思います。
さて、オブザーバのみなさん、ご意見、ご質問等ありますでしょうか。

(牧島オブザーバ委員)
木平先生から始まった、森林の「整備」の内容ですが、ボランティアや森林所有者の方が、この地域はどのような施策や事業の対象となっているのかが分からないと、結局、森林に手を入れることは大変なことなのですが、やはり昔のような人工林で、木材を生産するという方法で動かざるを得ない。つまり、それ以外の方法で、何をしたらよいのか、それがどうなるのか、という話がありますから、「整備」が木材生産の方に向かうのか、それとも水源かん養林としての方に向かうのか、それがとても水源林のマッピングの時には非常に重要だと思います。その意味でも、方向付けがされますから、いろいろな人がいろいろなことを感じて、そのベクトルの中で動いて行くということがあると思うのです。そのようなことを非常に的確にご指摘いただいたと思います。
過去にしてきたことは、遮二無二、木材生産に向かっていた訳ですが、今後は必ずしもそうではないことを打ち出していただくのは、大変勇気のあることだと思いますが、根拠を持って明確に示していくことが、そういう意味で非常に大事なことだと感じました。そういう意味では非常にありがたかったです。

(真覚オブザーバ委員)
資料2の中で、2番の丹沢大山の保全・再生対策の中の3県民連携・協働事業について、これは今回の水源環境保全・再生施策の中で言われている県民の意思を反映させる、また、県民の参加を仰ぐという観点から考えると、この項目だけでなく、例えば、水源の森林づくり事業の推進や、ボランティアで、実際に動いていくこともあります。やはり、県民に理解してほしいという観点からすると、どのような形で県民の方の参加していただく場を提供できるか、あるいはそのような活動を通じて必要性とか施策の有効性を実感してもらえるか。これがあると県民参加や理解の促進がもっと推進できると思うのです。一県民として考えると、そのような場がどの事業に具体的に提供できるか、あるいはもっとマンパワーとして活動に有効利用できるかという観点から、具体的に参加できるかを広くPRしていくことも大事かなと考えています。

(片山オブザーバ委員)
1番の水源の森林づくりについて、私は森林所有者ともよく話をするのですが、すでに森林を提供した方が欲張ってしまうのです。自分が水源の森林のために土地を依頼したのか、あるいは自分の森林を良くするためなのか、それはどっちが得なのか、計算して言うのです。私は、「あくまでも水源の森林づくりという題目で参加したのだから、そちらを主体で考えなさい。」と言いますが。森林所有者としては、欲張ってしまうのです。
木平先生がおっしゃった、渓流の水質検査について、参考資料1の酒匂川流域を見る限り、水が出ている最上流部まで調査地点があります。これから上流域は水がほとんど無い状態ですよね。そのような森林があるところです。昔はごうごうと流れていたところですが、現在はほとんど水がありません。

(古米委員)
そのような渓流の水質ではなくて、水量自体もないということですね。

(片山オブザーバ委員)
森林を整備したから、これだけ水量が増えたということが分かれば、森林所有者の方もそのような考えを持つこともあるのでしょうが。

(田中委員長)
それでは、資料2について、これが今日の中心的な議題ですが、全体としていろいろとご意見を聞いた点や、表の中でバーで空欄になっている部分についても、それでよいのかということを考えていかなければならないところです。先生方、またお気づきの点などがあれば、ファックスやメールや電話で事務局にお知らせいただくということで整理したいと思います。
続いて資料の3~7ですか、一括してモニタリングの方法について、事務局から説明していただいて、意見交換したいと思います。

(事務局から、資料3~7について説明。)

(田中委員長)
資料3が、実行5か年計画にある「水環境モニタリング」の全体で、あと資料4~7が個別の資料になっています。今日は、結論はまだ出さなくて良いのですか。

(星崎担当課長)
基本的には、このようなモニタリング調査を実施する中で、特に注意すべき点などの話があればいただいて、次回、特に資料6、7の河川モニタリングについては、具体的に検討した結果を示したいと考えています。

(田中委員長)
それでは、先生方、ご意見等ございましたらどうぞ。

(木平委員)
森林のモニタリング調査について、対照流域法は大体この方法でよいと思いますが、しかし、設定して同じ状態で観測して、伐採等して、その後の水源かん養機能を調査するとなると、非常に長い期間の、研究に近い調査になると思います。早急に何かしらの結果を得ようとするものではなくて、長期的に継続できる体制を整えておくことが大切だと思います。5年や20年で終わるのではなく。

(星崎担当課長)
ずっと、観測するということですか。

(木平委員)
ずっとですね。対照流域法は長く継続しなければ具合が悪いですね。
次に人工林整備状況調査ですが、これは森林モニタリングの重要なところですね。資料5を見ると、5年ごとに状況を調査するとのことですが、5年ごとと言うと、実行5か年計画の期間中に1回だけ調査するということですか。

(星崎担当課長)
はい。1回です。

(木平委員)
次の5年間のときにもう一回調査するということですか。

(星崎担当課長)
そうです。すぐに調査しても、そう大きく変わるものではないと思います。整備の履歴があるので、個別の方ではどこをどのように手入れしてきたかは分かるわけです。この調査は、現地に行って全体的に調査するものです。

(木平委員)
その現地の積み上げデータは、毎年、どこかを整備するわけですよね。

(星崎担当課長)
そうです。水源林として確保した森林を整備していきます。

(木平委員)
そのように毎年発生するデータも追加していけば、変化は分かるのではないですか。

(星崎担当課長)
事業量としては、把握すべきものと想定していますし、そのようなものを、県民に対して出していくために、どのようにデータベース化をしていくかを検討していきたいと思っております。

(木平委員)
5年に1回、一斉に調査するのですか。

(星崎担当課長)
これは1年で調査することを想定しています。人手がかかるので2年くらいかかるかもしれませんが。

(木平委員)
森林については、県の森林課や緑政課が、営々といろいろなデータを持っているわけですよね。そのデータを生かさずに、白紙の状態で、ある年に一斉に調査するのではなくて、現在のデータを生かし、それから毎年発生する事業データを追加していけば、資料がどんどんできあがるのではないですか。

(星崎担当課長)
データの蓄積はしていきますが、それとは別に現実的に現地を見て、その下草の状況等を見て、ランクを付けると想定しています。

(木平委員)
それはよいですが、大変なことですよね。

(古米委員)
50地点を調査するのですか。

(星崎担当課長)
この調査は、50地点ではなく、全部です。

(古米委員)
全部というのは。

(星崎担当課長)
県内民有林の人工林30,000haです。

(田中委員長)
調査は、1年の調査期間にどれぐらいやるのですか。30,000ha全部調査しますか。

(星崎担当課長)
全部やります。

(田中委員長)
30,000haを1年間に踏査して、5年ごとにデータを蓄積していくと。

(古米委員)
何か効率が悪そうだね。毎年整備しているのに、1年後の所もあれば、4年後の所もある。費用と人材をかけるのであれば、ルールを決めて、調査をすればよいのでは。素人考えですが、A~Dのランク付する調査について言うと、多数地点を車で回って、写真を撮って調査する。そのような作業をすれば、限られた人員で一斉に調査するより毎年少しずつ調査した方が効率的と思います。

(田中委員長)
これは、調査時期も、春から始めて全部回って行くのですか。時期を夏と決めて調査しますか。

(森林課)
相当膨大な作業なので、1年間でできるか、あるいは2年かかるかは分かりません。それで、水源の事業で確保した場所や整備した場所は、基本的には履歴があるから分かりますが、ただ、木平先生が先程からおっしゃっているように、整備したからといって、そこに下草が生えているかは、確認しなければ分からないですよね。そこで、例えば人工林の間伐を5年や7年に1度実施しますが、1回整備した場所を、実際にその途中の年度で確認に行くことは、県の職員も人数が少なくなっている中で、なかなか難しいです。そのため、この人工林整備状況調査は、基本的に外部に委託して調査することになると思います。

(淺枝委員)
下草であれば、非常に季節性が強いですね。

(森林課)
もちろんそうです、本当は夏の間にやらなくてはならない。

(古米委員)
県民参加型調査では無理ですよね。

(木平委員)
先程も話があったように、「人工林」とか「私有林」とか、言葉の使い方を少し整理した方がよいですね。県有林もあり、国有林もあり、私有林もあり、どこからどこまでやるのか。

(田中委員長)
資料5の人工林整備状況調査は、資料2の中の1番の水源の森林づくり事業の対象地域である水源の森林エリアを調査するわけですね。

(森林課)
いいえ、水源の森林エリアだけではありません。地域水源林エリアも対象ですし、1番の水源の森林づくりは私有林だけですが、この調査は県有林も対象です。

(木平委員)
天然林も多いですよね。天然林をこの調査の対象にしているのか。特に流域の水源の問題を考える場合、集計したときに、所どころ穴のあいた地図は、流域管理の観点から、説得力がないのです。だから、天然林も、国有林も、県有林も、私有林も精度が異なってもカバーする方がよいのではありませんか。

(森林課)
理想的には天然林も調査したいのですが、費用や手法の関係で、いろいろ検討しているところです。

(木平委員)
どこにあるかという情報はすでに持っていますよね。

(森林課)
はい。

(木平委員)
ですから、そのような情報を大いに活用されたらよい。

(田中委員長)
資料の6、7の河川モニタリングの関係でご意見ありますか。

(淺枝委員)
資料7の県民参加型調査は、どのぐらいの頻度や場所数の想定で考えていますか。

(星崎担当課長)
まだ、検討中です。

(淺枝委員)
そうですよね。おそらく一番重要なのは、県民が継続して興味を持って、調査に参加していただくシステムをどのように作るのか、というところだと思います。

(古米委員)
国土交通省や環境省が実施している水質調査や水辺の調査活動に、上手に連動させていく工夫をした方がよい。いつも縦割りだとバラバラ実施になりがちですが。相互に補完できるように場所を調整して調査するという工夫もありますが。

(田中委員長)
話のように、このような調査は、国がマニュアル等を作成しているのでしょう。住民参加型というので、何か違うのですか。

(淺枝委員)
支流は、どの程度ありますか。同じやり方を支流の小河川で調査することもあるかもしれません。

(星崎担当課長)
多様な指標には、結構文化的な調査項目などもありますよね。多様な指標と言うので、確かにそのとおりかもしれませんが。

(田中委員長)
おっしゃることは、国が国交省も環境省も実施しているのに、また新たな指標を使って調査することは大変だから、使えるものは使って、むしろデータとして豊富な、流域を広く捉えるものに工夫した方がよいのではないか、ということですよね。

(古米委員)
一緒に調査するというのは、同時に実施することではなくて、国はここを調査するから、補う部分は県が調査して、相互に情報交換するということです。

(淺枝委員)
例えば水質調査、水生生物調査、河川環境調査と3つありますが、ポイントごとにストレスを変えた方が良いかもしれませんね。合併処理浄化槽を整備した箇所は水質、河川の多自然型整備した箇所は水生生物や河川環境など。

(田中委員長)
ありがとうございました。オブザーバの皆さん、どうですか。

(片山オブザーバ委員)
資料5の人工林整備状況調査のランク付けは、やはり木材生産に重きを置いたものだと考えています。木材生産ばかりではなく、公益的機能も要求されておりますので、ランク付けもA~Dで分けることも結構ですが、それをもう少し考慮したうえで調査したほうがよいと思いました。

(牧島オブザーバ委員)
資料7の河川モニタリングの県民参加型調査について、全国一斉水調査で結構参加している方がいるので、水質調査はかなり共通する部分があるのですね。水生生物調査や河川環境連続性調査はプラスアルファの項目だと思いますから、そういう意味で時期は同じでなくても、あのマニュアルをアレンジして調査すれば、広がる可能性は大きいのではないかと思います。

(田中委員長)
真覚さんはどうですか。

(真覚オブザーバ委員)
結構です。

(田中委員長)
ありがとうございました。それでは資料3~7の調査の方法については、今日のご意見を踏まえて、再度整理していただきたいと思います。さて、時間も予定の8時を少し回りましたが、最後の議題の4番コミュニケーションチームについて、事務局からご説明いただけますか。

(事務局から、資料8について説明。)

(田中委員長)
公募委員の皆様が中心となって、コミュニケーションチームが立ち上がりました。牧島さんが、チームリーダーということで、よろしくお願いします。それでは、コミュニケーションチームのことについて、何かありますか。

(古米委員)
元々県民会議で、分かりやすく情報提供することが重要ですが、施策調査専門委員会の業務負担量が多くなって大変なので、工夫したらどうですかと、私が最初に発言したので。
言い換えれば、提供するための元の情報を、コミュニケーションチームにどのように提供するのかが逆に問われているので、ある意味このような情報が欲しいと、逆に専門委員会に対して言っていただいた方が、我々もまたデータの整理の仕方について、難しいがこういうことは絶対に本質的に必要だろうという意見交換をするなど、キャッチボールが必要かなと思います。

(田中委員長)
施策調査専門委員会の事業成果を調査する、あるいはデータを集めて発信することは、来年度以降になるわけですかね。

(星崎担当課長)
そうですね。データの整理そのものは来年度以降でお願いします。

(牧島オブザーバ委員)
雑駁に言って、今日のような空中戦のような話を分かりやすくというのは、なかなか難しいと思います。

(田中委員長)
事業の評価を、分かりやすくすることは県民向けに重要ですが、同時に正しく事業の効果を測ることができる、事業の効果を適切に評価できる、そういう仕組みが我々には必要になるわけです。つまり両面から考えなければならないということ思います。

(古米委員)
資料2の時に申し上げればよかったのですが、淺枝先生が言われたように、いろいろ実施している事業が、全体の大きな目標に対して、どのように関与しているのかという相互関係図があるとよい。そして、今はこの事業とこの事業とこの事業にどれくらいの予算を付けて、5年間でここまで実施すると計画している。だけど、これらの事業は20年先まで実施する計画している事業もあるし、5年で終わる事業もある。淺枝先生は、それをきっとマップとおっしゃったと思います。
そのようなマップができれば一番良いのですが、改めて9つの各事業を並べた時に、田中委員長が言われたように、「事業のねらいの達成度」の表現において、少し概念がずれているように感じるのは、非常に長いタームで見ている事業や、比較的短いタームで見ている事業もある。また、本当の目的や効果を考えると、県外の事業として実施されることが望まれている場合もあるし、県内で実施できる事業もある。その意味では、いろいろ取り揃えられているんです。
それについて、我々は理解できるが、県民にとっては分かりにくいと思います。それをこの「事業のねらいの達成度」という「目標」でも「ねらい」でもいいのかも分からないけど、この事業は非常に長いタームで見ている事業で、ここが目標ですということが、今書いてある言葉だけではなかなか判断しにくい。何か事業のタイプ分けをした方がよいと思います。例えば、浄化槽の整備は、我々ができることを実施するタイプのプライオリティの高い事業ですから、このような達成度評価で我々も評価している。また、森林の整備事業は、長いタームで見る事業だから、今ここまで実施していることは、まだ成果が出ていないが、長い目で見てくださいと。そのように言わない限りやはり県民には納得できないのでは。各事業ごとに特徴があるわけだから、その事業はこういう特徴がありますと。
先程申し上げたのは、その事業にとって一番大事なのは、バラバラではなくて、その事業とこの事業がセットで実施されていることがとても重要ですと。本当はこの事業とこの事業を実施した方がよいが、今それができていないということも、裏を返せば見えてきますよね。
そのような事業の特徴と、事業ごとの繋がりを、やはり初年度の間にマッピングという相互関係図を、各事業がどのような特徴のある事業ですということを、早めにまとめておいた方が後々困らないわけです。

(田中委員長)
今古米先生から、非常にいいご指摘があって、たぶん今日の議論のひとつの到達点かと思います。おっしゃるように、この9本の事業が、長期的に実施して成果が出るものと、短期的に成果が出るものと、書いておいた方がよいかもしれません。そのようなことが、結局ある種の事業のねらいとか指標化にも意図されてきます。先程の話からも、長期的な渓流の水文調査も考えなければならない。長期的に見ればそのような話が必要だろうと、そういう観点からのご指摘だろうと思います。事業の構造がどのようになっているのか、これは県としても苦しいところですが。構造が長期的にできても、この事業とこの事業を実施すれば非常に効果があるとか、そこまで事業を組む最初の段階で戦略的に考えたのではないと思います。

(古米委員)
将来を考えた上で、戦略を作らなければいけないのでしょう。

(田中委員長)
これは今回、委員・専門家が揃っていますから、そのような点では、水源環境保全・再生のための戦略を考えて、当面5年間は現行の計画で実施せざるを得ないが、それ以降の第2次を考える上では、もう少し事業の組み換えも視野に置くと積極的に受け止めましょう。
ありがとうございました。先生方よろしいでしょうか。約10分ほど延長しましたが、それでは第2回の施策専門調査委員会を終わりたいと思います。

【会議終了】

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会議資料

資料1 前回(第1回)施策調査専門委員会の意見要旨

参考資料1 平成17年度神奈川県水質調査年表(抜粋)

参考資料2 神奈川県内河川の底生動物(抜粋)

資料2 水源環境保全・再生実行5か年計画の各事業のねらい、目標、内容及び指標

資料3 水環境モニタリング調査

資料4 森林のモニタリング調査(対照流域法等による森林の水源かん養機能調査)

資料5 森林のモニタリング調査(人工林の整備状況調査)

資料6 河川のモニタリング調査(河川の流域における動植物等調査)

資料7 河川のモニタリング調査(河川水質の多様な指標による評価)

資料8 水源環境保全・再生に係る県民へのわかりやすい情報提供のあり方について(コミュニケーションチームの結成)

 

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