更新日:2020年8月7日

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第12回県民フォーラム(湘南・県央地域)実施結果

第12回水源環境保全・再生かながわ県民フォーラムの概要です。

結果概要

 
日時 平成23年2月6日 日曜日 第1部:13時30分~15時50分
第2部:16時00分~16時55分
会場 FORUM246 4階 大研修室
参加者 122名

第1部

主催者あいさつ
水源環境保全・再生かながわ県民会議座長 堀場勇夫

シカの管理と連携した森林の育成・整備は、県民会議としても非常に重要な課題であるという認識のもと、施策を進める上で皆さまのご意見を賜ることが非常に大切であると考えている。

水源環境の保全・再生の取組も、第1期5か年計画の4年目を終えようとしており、現在、第2期5か年計画の策定に向けて検討が行われているので、皆さまからご意見を賜りたい。

堀場座長
主催者あいさつ 堀場座長

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県の水源環境保全・再生施策について

河原水源環境保全課長が説明を行った。

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基調講演
丹沢自然保護協会 中村道也 理事長

「人工林の管理にシカはいらない、猪もいらない、人もいらない」というのが所有者の思いだろう。しかし、こうした環境を作り出してしまった一番の原因は私たち人間の生活である、という基本に返って野生動物のことを考えていく必要がある。

山の中に住む私が子供の頃、シカやタヌキ、キツネなどの野生動物を見る機会はほとんどなかった。多くの野生動物は人間の生活圏と自然環境の境界線上で生きている。しかし、人口増加と共に、野生動物が棲む場所を人間が占有してしまった。

最近、「保護管理」という言葉が定着してきた印象を持つが、「保護」という部分が抜け落ちているように思われる。「保護管理」の基本は「保護」が前提である。動物の数を減らして、被害を減らすことが、あたかも「保護管理」であるような誤解が生じている。

森林のことを捉えるときに一番大切なことは、一般に「多様性」と表現される、「豊かさ」をまず基本に考えることである。

かつて、行政は、時代に合わせた方針転換や取組をあえて避けていた時があった。93年から実施された「学術総合調査」の調査結果は丹沢の予想以上の荒廃を指摘するものであったが、行政が一体となった丹沢の保全対策はほとんど実施されなかった。

行政の財政事情が悪化している中、森林に対する新税の検討を県に要望した。これは、丹沢の現状を知るための勉強会「丹沢フォーラム」で、エコシステムマネジメント導入をテーマにワークショップを開催したときの出席者からの発言に端を発したものである。

水源税の最大の負担者である都市部の住民が求める森林は、野生動物の棲む豊かな森林だろう。しかし、丹沢の森林の半分を人工林が占めていることも現実なので、人工林の整備に税を投入することも仕方ないが、本来県民が要望する森林の管理も無視してはならない。その中で、野生動物の保護管理が重要なテーマとなる。これからは野生動物が棲んでいることを前提とした森林の管理を考えなければ、保護管理の本来の目的を達することは難しい。

中村理事長
基調講演 中村理事長

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パネルディスカッション

コーディネーター
東京農工大学 名誉教授 木平 勇吉

パネリスト
伊勢原森林里山研究会 理事長 山口 寿則
伊勢原市森林組合 代表理事専務 平田 光一
丹沢自然保護協会 理事長 中村 道也

各パネリストからの活動報告に引き続き、会場からの質問・意見等を踏まえ、パネルディスカッションを行った。

パネルディスカッションの趣旨について

(木平委員)

「森林は歴史の所産である」という表現がある。私たち人間が行ってきたことの積み重ねが現在の森林になっている。そして、これから私たちがすることが将来の森林になる。県民の立場から、いろいろな考えを自由に発言し、自己主張してもらいたい。

 

活動事例・意見発表

(山口氏)

伊勢原森林里山研究会は、当初、里山地域を中心とした活動を行っていたが、2001年の森林・林業基本法の制定などを契機として、人工林での活動も行っている。

丹沢大山総合調査を契機に日本大学と連携する機会を持ち、建築地域共生デザイン研究室に日向地域再生の専門機関として参加している。また、森林管理・住宅研究室では、石雲寺の森混交林施業に伴う植生調査と経年変化の調査を行っている。さらに、畜産経営研究室・草地学研究室では林床植生による野生動物(シカ)の牧養力測定を行っている。

農山漁村(ふるさと)地域力発掘支援モデル事業として、日向ふるさとづくり協議会を発足し、獣害対策実験農場など行政と連携した取組も行っている。また、伊勢原市の谷戸田オーナー制度推進管理者としての活動や、旭硝子(株)のCSR活動なども行っている。

活動を通して、持続的活動を担保する制度、多様な主体との連携、地域再生の必要性、材を搬出する場合の下流の担保、などの課題が見えてきた。

 

(平田氏)

林業が成り立たない現状では水源税は非常に有難い制度である。

シカの食害や角磨の被害を受け、森林の成長を妨げている実態がある。また、地肌が荒れ、土砂崩れが起きている現場も随所にある。森林の再生を念頭に置き、かながわ森林再生50年構想に基づく、標高等に応じた動物や人間との関わりを早期に整備していく必要がある。

北海道の知床半島を訪れた際、林業関係者との話を通して、天敵により野生動物等の生態系バランスを保つことも、ある意味、共生を保つ1つのあり方であると感じた。

パネルディスカッション

【荒廃している森林で問題となっていること、及びその解決策とは。また、シカが生きていける森林の環境に必要なものとは。】

(山口氏)

林床植生の不足、生物多様性が担保できていない状況などが見受けられる。自伐林家など、森林に経済としてのシステムを再構築していくことで森林整備が進んでいくと考える。

シカに限らず生物にとって、まず、食糧があるという環境が大切である。また、人間の生活圏と森林との間に緩衝部分を設け、お互い直接衝突しないようにすることが必要である。

 

(平田氏)

林業が林業として成り立つ仕組みが十分でない。水源税により林業が成り立たない部分を手助けしていただいているが、林業者からも情報を発信し、納税者に議論してもらうが大切である。

天然林の再生・植生の回復が、シカの住環境の整備にとって重要である。

 

(中村氏)

人工林については、木材利用の変化に伴う森林の手入れ不足や放置林の問題がある。自然林に関しては、複合汚染や野生動物による食圧の問題がある。神奈川県民の中でも森林に関心を持っている方はわずかだと思う。水源税を通して行政に関心を持ってもらうことが大切である。

公有林を整備し、野生動物を抱え込んでいくということを考えていく必要がある。そのためには人工林管理のあり方・手法を煮詰めていかなければならない。

 

木平委員
コーディネーター(木平委員)
パネリスト
パネリスト(左から山口氏、平田氏、中村氏)

第2部

「第2期かながわ水源環境保全・再生実行5か年計画」の素案の説明と意見交換を行った。

<以上、文責は水源環境保全課。敬称略>

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