アルコール依存症

掲載日:2021年8月19日

 大量のお酒を長期にわたって飲み続けることで、お酒がないといられなくなる状態が、アルコール依存症です。その影響が精神面にも、身体面にも表れ、仕事ができなくなるなど生活面にも支障が出てきます。またアルコールが抜けると、イライラや神経過敏、不眠、頭痛・吐き気、下痢、手の震え、発汗、頻脈・動悸などの離脱症状が出てくるので、それを抑えるために、また飲んでしまうといったことが起こります。
 アルコール依存症は「否認の病」ともいわれるように、本人は病気を認めたがらない傾向にあります。いったんお酒をやめても、その後に一度でも飲むと、また元の状態に戻ってしまうので、強い意志で断酒をする必要があります。ですから、本人が治療に対して積極的に取り組むこと、家族をはじめ周囲の人のサポートがとても大切です。

「アルコール依存症」とは

長年の習慣的な飲みすぎがもたらす病気

 お酒は「百薬の長」とも「万病のもと」ともいわれます。適量の飲酒は健康にいいといわれますが、多量のお酒は心身に好ましくない影響を及ぼします。

 飲みすぎが習慣化している人の中には、時間や場所を選ばずにどんなことをしてもお酒が飲みたくなり、飲み始めたらやめられなくなるといった状態におちいる人もいます。この段階は、もしかしたらアルコール依存症かもしれません。飲みすぎが習慣化してからアルコール依存症になるまでの期間は、男性で20年以上、女性はその半分の期間といわれています。

アルコール依存症は「進行性」の病気

 アルコール依存症の患者数は現在日本国内で80万人以上といわれていますが、その予備軍も含めると約440万人にもなると推定されています。

危険な量はどのくらい?

 どのくらいの量から「飲みすぎ」になるのでしょうか。
 厚生労働省が推進する「健康日本21」の中では、アルコール依存症の発症リスクが少ない「節度ある適度な飲酒」は壮年男性の場合純アルコール量換算で1日20g以下であるとの数値を示しています。これは1日ビール500ml(日本酒1合弱、25度焼酎なら100ml、ワイン2杯程度)に相当します。1日の飲酒量がこの3倍以上になると「飲みすぎ」となり、アルコール依存症になるリスクが高まると警告されています。単純計算すると1日にビール3本、日本酒3合弱、25度焼酎300ml、ワイン6杯程度を超える量にあたり、お酒に弱い人でない限り、ついおいしく飲んでしまう範囲といえます。
 おいしいお酒を控えることは難しいことですが、毎日これだけの量を飲み続けることはアルコール依存症に一歩一歩近づいている可能性があるのです。
まずは日ごろから量をコントロールできる飲み方をする、1週間に1日から2日は飲まない日をつくる、という習慣を身につけるようにしましょう。

早期に治療すれば回復が早い

 アルコール依存症が進むと、体や精神に悪いばかりではなく、飲酒運転で摘発されたり職場でのトラブルが重なって失業、というように社会・経済的な影響がだんだん大きくなっていきます。友人や家族との関係も影響をうけ、自分の内・外の世界で多くの大切なものを失うことになってしまいます。
 アルコール依存症は、早期に治療を始めればそれだけ治療効果があがりやすい病気です。とくにプレアルコホリズムという、依存症の手前できちんとした対策をとれば、肉体的な問題だけでなく社会的にも経済的にもより少ない損失で回復が期待できます。プレアルコホリズムの段階では減酒でも回復可能なことが多いのです。

 

アルコール依存症のサイン・症状

アルコールへの精神的な依存がある

 アルコール依存症への精神的な依存とは、強い飲酒欲求とそれに基づくコントロールのきかない飲酒で特徴づけられます。
具体的には次のような症状がよく見られます。

  • お酒を飲むべきでない時にも「飲みたい」と強く思う
  • 飲む前に思っていた量より、飲み始めるとつい多く飲んでしまう
  • いつも手元にお酒がないと落ち着かない
  • 数時間ごとに飲酒する「連続飲酒」をする

アルコールへの身体的な依存がある

 アルコールがいつも体内にある状態が続くと、脳はそれが普通の状態だと認識し、アルコールが抜けてくると、様々な不快な症状が出ます。

  • 酔いがさめると、次のような離脱症状(禁断症状)が出る
    手のふるえ、多量の発汗、脈が早くなる、高血圧、吐き気、嘔吐、下痢、イライラ、不安感、うつ状態、幻聴、幻覚
  • 離脱症状を抑えるために飲んでしまう

からだに現われるダメージ

 肝炎や脂肪肝、膵炎などの疾患や、生活習慣病、果ては消化器系のがんなどの背景にアルコール依存症がある場合があります。世界保健機関(WHO)によると、アルコール依存症は60以上もの病気や外傷の原因になると指摘されています。

こころに現われるダメージ

 うつ病、不安障害、パニック障害などの背景にアルコール依存症がある場合があります。
 この中でもとくに、「連続飲酒」と「離脱症状」はアルコール依存症の典型的な症状です。

プレアルコホリズムのサイン

 連続飲酒、離脱症状は出ていないけれども、お酒が大好きで体調を崩していてもやめられない人、いけないと思っても飲酒運転して事故をおこしたり、自分や人を傷つけたりといった問題をおこしている人などは、プレアルコホリズムが疑われます。

飲酒習慣スクーリングテスト

AUDIT (Alcohol Use Disorders Identification Test)

 

これらはあくまでも目安です。
 おかしいな?あてはまるかな?と思ったらまずは専門知識のある人に相談しましょう。困った時の相談先も参考にしてください。
 インターネットなどで一方的な情報を集めて自己診断することは早期治療を遅らせるだけでお勧めできない方法です。

 

アルコール依存症の治療法

治療の内容

 アルコール依存症の場合、治療は外来でも可能ですが、わが国では治療の主体は入院治療です。入院治療は次の3段階に分けられます。

(1)解毒治療

 体とこころに起きている合併症の治療と、離脱症状の治療。

(2)リハビリ治療

 個人精神療法や集団精神療法で、本人に飲酒問題の現実を認識して断酒の決断へと導く。退院後のリハビリ治療を視野にいれて自助グループへの参加なども始める。本人や家族に十分な説明をしたうえで抗酒薬の投与も開始する。

(3)退院後のアフターケア

(a)病院・クリニックへの通院

(b)抗酒薬の服用

(c)自助グループへの参加

という「アフターケアの三本柱」を継続する

 (1)の解毒治療は一般病院で行うことも充分可能ですが、(2)リハビリ治療と(3)退院後のアフターケアはアルコール依存症の治療のノウハウをもつ専門施設にゆだねるのがよいでしょう。
また、プレアルコホリズムの場合には、症状や本人の生活環境などを考慮して外来治療が可能な場合もあります。

アルコール依存症の治療で行われる精神療法

 アルコール依存症治療の中心的存在です。個人精神療法や集団精神療法で、本人に飲酒問題の現実を認めさせ断酒の決断へと導きます。

アルコール依存症での薬物治療の種類

  • 低栄養の治療
  • 肝臓などの治療
  • 精神症状に対する治療
  • 離脱症状への治療
  • お酒を遠ざける(抗酒薬)

断酒維持のための支援

 自助グループ:
 本人やその家族が同じ立場の人たちと交流し、断酒継続の助けとする断酒会やAA(アルコホーリクス・アノニマス)などがあります。

 


 

みんなのメンタルヘルス

『みんなのメンタルヘルス総合サイト』からの転載になります。

さらに詳しく知りたい方は、コチラをご覧ください。

 

本文ここまで
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