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更新日:2023年8月9日

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神奈川県再犯防止推進会議の審議結果(令和5年度第1回)

会議結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

神奈川県再犯防止推進会議

開催日時

令和5年5月25日 (木曜日) 14時から16時まで

開催場所

産業貿易センター B102(横浜市中区山下町2番地)

出席者

小西 暁和、德田 暁、上野 成雄、大津留 寿弥、鍛治 龍男、山添 聖可(代理:玉井 清一)、横田 正久、関口 靖彦(代理:佐藤 貴紀)、栁川 義信(代理:並木 弘)、松世 三重子、小川 めぐみ、田中 一哉、長澤 里香、山下 康、伊部 智隆、近藤 綾子〔計16名(順不同、敬称略)〕

次回開催予定日

令和5年8月2日(水曜日)

掲載形式

  • 議事録

会議経過

1開会

(事務局から委員の出欠状況を報告)

2あいさつ

(細川地域福祉課副課長)

3議事

(1)神奈川県再犯防止推進計画の令和4年度評価まとめについて

(小西座長)
 よろしくお願いします。国の方でも第二次再犯防止推進計画が策定されまして、今年度は神奈川県でも数度にわたりこのような会議を開き、これまでの振り返りをしつつ、新たな神奈川県の再犯防止推進計画を策定していくことになります。
 先ほども細川副課長からお話がありました、県の当事者目線の障害福祉推進条例は、これまでの神奈川県の歩みを踏まえつつ作られたものだと思います。県で作るものですので、こうした神奈川県らしさを出す計画を作っていくことが県民の皆様からも受け入れられるものになるのではないかなと思いますので、皆様よろしくお願いいたします。
 それでは早速ですが、議題1から入りたいと思います。まず、神奈川県再犯防止推進計画の令和4年度評価まとめについて、事務局から説明をお願いいたします。

<事務局より資料1について説明>

(小西座長)
 ありがとうございます。では、この議題につきましてご意見をいただければと思いますがいかがでしょうか。今回はいただいた意見を踏まえて、次回の会議の時に最終的に確定していくということになりますが、いかがでしょうか。

意見なし

(小西座長)
 私からよろしいですか。大柱2の小柱(1)の取組実績のところがわかりづらかったのでご教示ください。取組実績の丸の2番目、地域包括支援センター職員のことに関してですが、取組実績の記載の中の「地域ケア多職種協働推進事業、地域包括支援センターが開催する地域ケア会議への専門職員派遣を実施し」という部分の繋がりは並列なのでしょうか。地域ケア多職種協働推進事業を実施しということでしょうか、及びということでしょうか。ちょっとそこをご検討いただければと思います。
 他にございますでしょうか。またお気づきの点がありましたら後日でもメールで事務局にお伝えいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

(山下委員)
 19ページの評価案のところに「ストーカー加害者の」というところがありますね。ここの中の3段落目、「子供対象・暴力的性犯罪の」というところですが、出所後の所在確認を続けることで、支援していくことが重要であるということが書いてあります。確かにそれは一つあるんですけども、在所確認を続けるということが支援ではないと思うんですね。
 私もこの性暴力の支援、加害者の方の支援、今でも続けていて出所したその日に小学生の女の子をずっとねらってもう刑務所に30数年いらっしゃる方がいて、その方を今地域で支援をしているのですが、何とか6ヶ月間今のところ持っているんですね。本人の居場所づくりであるとか、性犯罪行為というものが依存症的なものであるだとか、そういった色々な支援をしていくことが再犯防止につながっているんです。だから、この出所後の所在確認を続けることだけだと弱いのかなって気がするんです。膨らませていく必要があるんじゃないかなと思っています。
 それから、9ページで定着支援センターのことを書いていただいていますが、取組実績で「被疑者等支援業務を7件に加え」とあるんですけども、今まで被疑者等支援業務は前年度1件で7件で確かに7倍になってはいるんですけども、圧倒的に増えたということではないので、大幅に増加したという10ページの2行目の表現は、「7件となった」ぐらいにしていただけるとありがたいです。

(小西座長)
 ありがとうございます。今の意見につきまして、事務局はご検討いただければと思いますのでよろしくお願いします。

(2)神奈川県再犯防止推進計画の改定の方向性について
 1 神奈川県再犯防止推進計画の概要
 2 県計画の改定のポイント
 3 これまでの県の取組の検証

(小西座長)
 続きまして、議題2でありますが、神奈川県再犯防止推進計画の改定の方向性ということについて、いよいよ内容に入っていきたいと思います。事務局からご説明をお願いいたします。

<事務局より資料2の1~3について説明>
 (小西座長)
 ありがとうございます。まず県のこれまでの取組についてお話をいただき、そして、新型コロナウイルス感染症が県の取組に与えた影響とこれまでの県の取組の検証について説明がありました。この部分に関して、ご意見等はございますでしょうか。

(田中委員)
 大変形式的なことですが「3 これまでの県の取り組みの検証 (1)神奈川県内の刑法犯検挙者中の再犯者数及び再犯率」となっておりますが、これは再犯者率の誤りという理解でよろしいですか。
 
(小西座長)
 ありがとうございます。ご指摘の通りだと思いますので事務局は修正をお願いします。他にお気づきの点等はございますでしょうか。ここでお気づきの点がございましたら、また後日でも事務局にお伝えいただければと思います。
 では、3ページの新型コロナウイルス感染症によって影響があったという部分について、それぞれのご活動にどのような影響が出たのかお話いただき、共有させていただければと思いますが、この点いかがでしょうか。保護観察所で何かございましたら、よろしくお願いします。

(上野委員)
 横浜保護観察所では保護観察処遇を行う上で対象者と直接対面して面接をすることが基本でしたので、直接会うことが困難になったことでどのように保護観察を進めていけばいいのかというところで大きな影響がありました。
 コロナ禍での対応としましては、緊急事態宣言が出ている期間はどうしても外出や接触ができませんが、生活状況を確認していかなければいけないので、対面による面接での生活状況の確認ではなくて、電話、或いは最近はメールを使って、状況を確認する等、SNSを使って本人の生活状況の確認に努めて、保護観察が切れないように継続できるように、進めてきておりました。
 他にも、緊急事態宣言が出ていない時については、コロナ禍でしたので、面接回数を少し減らしたりとか、或いは面接にあたっても本人に健康状態を確認して発熱や体調不良があれば延期するとか、或いは実際に面接する場面でも感染予防対策を徹底してもらって面接を実施してきました。
 そして、今はコロナが落ち着いてまいりましたので対面での面接も通常通り、会議等の開催も通常通り、ほぼ通常通りの形には戻ってきているところです。

(小西座長)
 ありがとうございます。横浜刑務所ではいかがでしょうか。

(大津留委員)
 刑務所も近いところでして、やはり対面での面接ですね、緊急事態宣言時は職員の法律で定められたやらざるをえない面接以外はかなり抑制していたというところでございます。
 外部の機関では、例えば仮釈放にかかる地方更生保護委員会等も確保しなくてはいけませんし、あと採用面接では、企業さんに精査して面接していただくのですが、会わないとわからないところがあるので、最初はオンラインで緊急事態宣言中はやっていましたが、やはり直接会いたいという要望が強く、緊急事態宣言が明けた直後からは、刑務所として世間一般より厳しいラインを引きつつ、更生のために比較的柔軟に面接を実施していたかなというところです。
 ただ、改めて思ったのは対面の大切さですね。一般的な情報共有の職員同士のやりとりであればオンラインでいいのですが、どうしても出所するにあたって受け入れていただく方には、直接見ていただく必要がありますので、改めて対面の面接の大事さというのを感じたところでございます。

(小西座長)
 ありがとうございます。横浜地検ではいかがでしたでしょうか。

(横田委員)
 横浜地検におきましては、精神病の患者を入院させるにあたりまして、PCR検査の結果判明まで時間がかかっていた時期もございましたので、検査を実施しないとそもそも病院内に入れないといった制約があり苦慮する場面がございました。また当然、職員が新型コロナウィルスに罹患をしたということでマンパワーが不足して、連絡の迅速性が失われるなどの場面もございます。

(小西座長)
 ありがとうございます。地域生活定着支援センターはこの時期どうでしたでしょうか。

(山下委員)
 福祉サービスの利用という観点から考えると、やはり施設見学や実際に行って見ることが制限されたので、対象への説明が難しかったというのがあります。それから定着支援センターの業務としては本人と会うということが大前提ですけれども、全国の行政施設の面接ができなくなったため、テレビ面接を実施しておりました。そのため、支援を進めていくにあたって、本人に会えないということは非常に辛い状況だったなと思います。福祉サービス利用の展開がなかなか難しかったということが影響としてありました。

(小西座長)
 ありがとうございます。では、更生保護女性連盟では、いかがでしたでしょうか。

(松世委員)
 色々な行事が中止になり、オンラインを使える人たちも高齢化のためにいなくてやはり対面がいいねということで人数制限しながらも、会議を開いたり規模を縮小してできる事をやりました。やはりコロナ緊急事態宣言の令和2年、3年度あたりはほとんどのことができない状態で、皆さん四苦八苦して工夫しながらも何とかやり抜いたかなという感じです。

(小西座長)
 ありがとうございます。ではBBSの活動ではいかがでしたでしょうか。

(小川委員)
 会員同士の研修会、会議に関しては、基本オンラインになりました。施設訪問に関しては、やはり施設側の受け入れがどうしてもできないというのがほとんどでしたので、完全中止で何もできないという状態でした。ただ、一対一の友達活動という少年一対学生一というものに関しては、外で会ったり、連絡を取り合うことでなんとかやってきたという状態です。

(小西座長)
 ありがとうございます。あと先ほどの保護観察所のお話も関わるかと思うのですが、保護司のご活動の中では、いかがでしたでしょうか。

(並木委員)
 上野次長からお話があった通り、緊急事態宣言中の保護司会理事会は、感染防止対策を十分取りながらほぼ休みなく対面で実施しました。ただ、保護司会の総会等、多くの人を集めるものについては書面開催としました。そして、最も大事な保護観察は、ケースワークであり、その対象者の面接については、可能な限り実施していました。しかし、対象者の体調不良があるときは無理に行わず、電話で、或いは必要に応じて給与明細等も写メを撮って送ってもらい、今月はこんなふうにやりましたとか、こんな困り事がありますということを共有して、スマートフォン等を使った面接手段を講じるなどしました。私たちがコロナをうつしてもいけないし、また私たちもコロナをもらってはいけないということでしたが、相当の期間、困難を感じたところです。
 同時に、私どもの研修研鑽の機会も多く失われていましたが、オンラインの方式として、法務省H@という保護司専用ホームページが開設され、その中での研修、また、地域定例研修という観察所における研修もオンラインによりいつでも視聴できる状態となりました。しかし、結論を言うと、対面の大事さを感じたところです。

(小西座長)
 ありがとうございます。弁護士の活動の中ではいかがでしたでしょうか。

(德田委員)
 今回の再犯防止との兼ね合いで言うと、刑事裁判の期日が入らなかった時期があるとか、関係の被告人や関係職員が感染をしたり、或いはPCR検査で陽性になったということで、期日が伸びることがありました。あと、福祉職の方と連携して環境調整を図る場面では、受け入れ先施設が見つかりづらいとか、そもそも面会ができないというようなことがありまして、施設や受け入れ先によって大分違いがありました。
 また、緊急事態宣言がなくなり、世間一般の人は普通に出歩いたり飲食も始めてる時でも、施設やホームに入所されてる方は外出制限がとても厳しくかかっている場合もあり、再犯防止のテーマとは離れているかもしれないですけど、障害があったり社会的な生きづらさを抱えてるような方と一般の方との差別、格差というのが顕在化したところがあったという感想を持っています。

(小西座長)
 ありがとうございます。各構成員の皆様から色々お伺いしましたけれど、コロナが5月からは緩和され、通常の生活が徐々に戻ってまいりましたが、感染症拡大の背景には森林の開発とか、国際的な人の大規模な移動とか、かなり世界的な変化が背景にあるとされていますので、このような感染症は今後も起き得ることかと思います。ですので、こうした経験を共有し、今後同じような事態になったときに対応できる準備をしておくということは、大変重要かと考えております。
 また、対面の大切さを改めてコロナ禍で感じられたというご意見が多かったと思います。以前、ヨーロッパ等で調査を行ったのですが、IT機器を使って処遇を行うところも結構あるようです。例えば、VRを使った処遇プログラムの開発とか、或いは電子監視機器を使った処遇があるのですが、以前コペンハーゲンの保護観察所に行った時に、そうした機器を使った場合でもやはり対面で直接対象者と会って支援をするということが大事なんだということもおっしゃられていました。
 やはり、様々な機器が開発されていく中で機械を使っていくことも確かに便利な面はありますが、支援を必要とされている方に寄り添っていくという場面では、実際対面で会って話していくことの大切さが必ずあるというふうにも思います。その点も、このコロナ禍を通じて構成員の皆様がお感じになられたということをここで共有できればと思います。ありがとうございます。

 4 国第二次再犯防止推進計画の内容の勘案
 5 「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例 ~ともに生きる社会を目指して~」の趣旨の反映

(小西座長)
 では、次の議題に移ります。資料2の国の第二次再犯防止推進計画の内容の勘案ということについて、事務局から説明をいただいてもよろしいでしょうか。

<事務局より資料2の4及び5について説明>

(小西座長)
 ありがとうございます。国の第二次再犯防止推進計画の内容の勘案という点につきまして、ご意見やご質問等いただいて参りたいと思いますが、お手元の非常にしっかりとした重厚な資料について、横浜地方検察庁からご説明いただけますでしょうか。

(横田委員)
 私からご説明をする前に、資料の整理だけさせていただこうと思います。もともと資料が膨大にございますけれども、資料の1-1がこのカラー刷りのもの、事件の受理処理裁判結果となってるもの、こちらに資料1-1というふうに書き込みをいただければと思います。このあと資料がいくつかあるんですけれども、まず資料の1-2が県が配っている「第二次再犯防止推進計画 令和5年3月17日」というものと全く同じでございます。資料の1-3が「特集地方に広がる再犯防止施策」と、ここまでが資料1-1、1-2、1-3。資料の2が、「入口支援の実施方策等の在り方に関する検討会検討結果報告書 令和2年3月法務省厚生労働省」というもの。続いて、資料の3-1が「薬物犯罪起訴、不起訴人員等の推移(罪名別)」というもの。資料3-2が、「依存症社会資源調査・調査報告書 令和2年3月」の横浜市健康福祉局のもの。それ以降は、「イチから学ぶ依存症支援」というものからスタートしまして、3-3が今申し上げたものです。3-4は、福岡県と福岡地検との連携による薬物事犯者に対する社会復帰支援の取組。3-5がコラム4で、精神保健福祉センターにおける薬物依存者の支援。3-6が「薬物依存症からの回復をみんなで支える地域ネットワーク」という資料、これは国立精神神経医療研究センターの作成のものです。資料4が、「性犯罪の再犯防止に向けた地域ガイドライン」となっております。
 ここからが私の発言でございます。私がお伝えしたいことというのは、配付した書面のとおりでございますので後でお読みいただくことを前提として、ここではポイントのみを申し上げます。被疑者・被告人の中には、様々な生きづらさを抱えて、その中で犯罪を犯してしまう方もいらっしゃるかと思います。7つの重点課題を踏まえて、地域による包摂を進める上では、罪種・特性に応じた専門的な支援をする必要があるかと思います。第二次再犯防止推進計画の(2)保健医療福祉サービスの利用の促進等のための取組におきましては、高齢者又は障害のある者等への支援や薬物依存の問題を抱える者への支援等というのが挙げられております。また、(4)の犯罪をした者等の特性に応じた効果的な指導の実施等のための取組では、性犯罪者等に対する指導等が挙げられております。そのために、高齢者や障害のある方への支援或いは薬物依存等アディクションを抱える方への支援、それから、性犯罪者に対する指導等を重点的にご検討いただければと思っております。
 ところで、刑罰というのは最後の手段とされており、刑罰権の行使というのはなるべく謙抑的になされるべきだとされています。これを前提にまず我が国の刑事司法の実情についてご説明をいたします。先ほどの資料1-1、こちらのカラー刷りのグラフをご覧ください。全国でも横浜地検でも、交通事故や道路交通法違反を含めると、全刑事事件の約6割が起訴猶予になります。検察官が起訴する事件というのは、全体の約3割でございまして、このうち約2割が略式請求といって、罰金刑を科す書面審査となります。約1割が公判請求といって皆さんがよくテレビで見る公開の法廷で行われる裁判になります。神奈川県内の公判請求と略式請求に関する資料というのが、この資料1-1の4枚目、「裁判結果(横浜地方検察庁・神奈川県、R4年)」と書かれたものになります。実刑になったのは、令和4年で申し上げますと、有期懲役と禁錮の469人と一部執行猶予42人でございますので、合計すると約500人強になります。また、保護観察のない全部執行猶予は1367人なので、実刑になる人の倍以上ということになります。保護観察ありの執行猶予というのは88人ですので、執行猶予判決の約1割弱にしか保護観察はつきません。これに対して略式請求、罰金・科料は合計9337人なので、公判請求の数とは比較にならないほど多いということがおわかりいただけるかと思います。刑事事件を起こしても、起訴猶予処分を受けたり、略式裁判で罰金刑となったり、執行猶予判決になる件数の方が圧倒的に多く、そうした方々というのは、刑務所に入らず、保護観察もつかず、地域社会に復帰してくるというのが実情でございます。
 続きまして、薬物事件だけをまとめた資料というのが先ほどご説明をした資料3-1になります。覚せい剤取締法違反については、75.7%が起訴率となっておりますが、大麻については50.6%。それから、麻薬取締法違反でも59.9%が起訴でございますので、起訴にならない事件というのは、裁判を受けずにそのまま社会に戻ってくる。では、執行猶予がつく割合がその裏のページに書いてありますけれども、大麻取締法違反では85.9%、麻薬取締法違反でも78.7%、覚せい剤取締法違反でも37%、これが全部執行猶予で、要は刑務所に行かずに社会に戻ってくる率ということになります。その下の表に書いてありますとおり、保護観察というのは、全体の1割弱にしかつきません。保護観察がつかない執行猶予判決を受ける残りの9割について適切な医療機関、支援機関につながる機会は多くないのが実態です。
 こうした方々を地域でどう迎え入れるのがいいのか、或いは皆さんが神奈川県をどんな街にしたいのかということが、入口支援で問われていることだと考えております。予防医学でいう3次予防、つまり社会復帰支援について、今後、神奈川県内でも本格的に取り組むべきだと考えられます。
 ところで現在、全国の様々な自治体で再犯防止施策が実行されています。その資料が1-3でございまして、令和2年度の再犯防止推進白書からの抜粋です。鳥取県、福岡県、小松市、長崎県、山形県、愛媛県、奄美市の取組が紹介されています。また、地域再犯防止推進モデル事業における取組事業における取組状況として、平成30年度開始の30例と令和元年度開始の6例が紹介されています。後で資料をお読みいただきたいのですが、13番の名古屋市、14番の滋賀県、17番の大阪府、19番の明石市、21番の鳥取県、27番の長崎市、28番の熊本県などの入口支援の取組というのが、特に参考になるかと思います。
 続きまして資料の2というのは法務省・厚労省が作成した報告書でございます。入口支援に関する現状や課題等がまとめられております。検察庁から福祉サービス等につなぐ場合には、「調整機関等」を活用するパターンが基本なものであるとされています。この資料2の別添2には、地域再犯防止推進モデル事業における入口支援の実施状況について、15例が紹介されております。県や市での様々な取り組みというのは、先ほどの再犯防止推進白書の取組と重複する場面もございますが、不起訴となった場合の各自治体の取組が参考になると思います。
 このように、色々な自治体で色々な取組をしておりますので、神奈川県内でも取り組めるものがないかということについて、皆さんのお知恵を拝借できないかというふうに考えております。
 ところで、地域の実情についてもご紹介をしたいと思います。実は神奈川県というのは依存症対策に関する社会資源について非常に恵まれた環境にございます。それがわかる資料というのが、資料3-2の横浜市の「依存症社会資源調査報告書」です。また、資料3-3のように、横浜市では「入門イチから学ぶ依存症支援」というパンフレットを支援者向けに作成しております。その内容というのは極めて良くできていますので、これを神奈川県内の各市町村に広めるだけでも、非常に効果があるのではないかと考えております。また、資料3-4は福岡県が「相談支援コーディネーター」を設置して、薬物事犯で執行猶予判決を受けた者について、アウトリーチをしている例についてのものでございます。非常に先進的な取組だと考えております。
資料4は、性犯罪の再犯防止に向けたガイドラインでございます。主に出口支援の場面において、どのような支援ができるか、インテークのやり方、再犯防止プログラムなどが紹介されています。こうした資料の活用についても、ご検討いただければと思います。
 被疑者・被告人の中には、高齢者だけでなく、障害を抱えておられる方、自分が依存症という病気であるということすら十分に理解していない方、どうやって依存症を治療していいのかわからない方、性犯罪を止められない方、住むところもない方など、様々な方がいます。こうした方々を地域で包摂し、再び活躍していただくために、神奈川県庁におきましては局を超えて一丸となっていただくことや、市町村との適切な役割分担をしていただくことを願っております。
 横浜地検には犯罪を犯した方々の情報がすべて集約されてきます。そうした方々で、支援を要する方が、仮に自分の個人情報を関係機関に提供することに同意した場合、どこにその情報をつなげばいいのか。神奈川県庁におかれましては、地域ごとに、ワンストップで被疑者や被告人を福祉サービス等につなげる「調整機関等」を整備していただき、横浜地検に教えていただきたいと思っております。
 さらに、厚生労働省の重層的支援体制整備事業等により、多機関連携やアウトリーチ等を通じた継続的支援を実施できるかと思いますので、市町村が入口支援でこれを活用できるよう、神奈川県からの後方支援をお願いしたいと思っております。
 ひとたび犯罪を犯しても、きちんと立ち直ってまた社会に戻っていける、社会でまた活躍できる、地域のみんなでそれを支える、そのような社会が「地域共生社会」の目指すところではないかと思います。そのために皆様のお力をお借りしたいと考えておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

(小西座長)
 ありがとうございます。資料提供とご意見をいただきましたが、事務局、その点いかがでしょうか。

(事務局)
 ご意見ありがとうございます。一つ一つしっかり持ち帰って検討させていただきたいと思いますので、また引き続き皆様のお力をお借りしながら、よろしくお願いいたします。

(小西座長)
 ありがとうございます。今日は今後この計画を立てていくという上での意見出しというようなこともございます。他の出席者の皆様からもぜひ色々と多角的にご意見を出していただければと思いますので、他の皆様いかがでしょうか。
 今の点に関してもよろしいでしょうか。何かご意見ございますでしょうか。田中委員お願いします。

(田中委員)
 国の第二次再犯防止推進計画の中に、その基本的な方向性といたしまして息の長い支援、それから、5つの基本方針、これの中では一次計画を踏襲したものですけども、切れ目のない指導支援という二つがキーワードとしてあります。息の長い、切れ目のないという今地検さんの方からご発表いただいたような入口支援は、刑事司法の最初の段階でございますので、この充実強化をどうしていくかというのは、大きなテーマになるのではないかと。個人的にも感慨深いものとして承りました。

(小西座長)
 ありがとうございます。他には、国のそれぞれの機関の皆様からはいかがでしょうか。上野委員、お願いします。

(上野委員)
 参考資料4の第二次再犯防止推進計画、国の第二次計画になりますけども、41ページと42ページをご覧いただけますでしょうか。41ページの下の方に3の(1)の(1)で、更生保護に関する地域援助の推進というのが第二次計画で新たに取組として掲げられました。
 それと右側の42ページの真ん中の相談できる場所の充実というところの具体的施策で、刑執行終了者等に対する援助の充実というこの二つが、新たに設けられているところですけども、この背景では昨年の6月に更生保護法が改正されておりまして、その改正後の更生保護法の施行が、今年の12月頃を予定されております。その改正後の更生保護法の中に今お話した地域援助と刑執行終了者等に対する援助というのが法律の中に明記されることになっておりまして、保護観察所でもこの二つについて今後取り組んでいくことになります。
 この辺りについても、県の計画に先ほど、支援ネットワークの構築っていうところがあったと思うんですけども、そこに連動してくるかと思いますのでその辺の取組を次回の計画に少し盛り込んでいただければということで観察所の方でも検討しまして、またお知らせできるような形で考えております。

(小西座長)
 ありがとうございます。では、横浜刑務所からはいかがでしょう。大津留委員、お願いします。

(大津留委員)
 第二次計画の方向性について特に意見は無いというか、刑務所としても、やはりネットワークとか民間団体との協力が必要かなと思います。先ほどの地検さんからお話があったワンストップの窓口ですが、これは横浜市の会議、私、令和元年度ぐらいから出てますが、そちらでも同じ議論が出ていたので、難しいことではあるんですけども、この会議でもそうですし県内の別の部署を交えて、県庁の中で、県の中で、色々部署を跨いでの議論になると思うので、ぜひ検討いただければなと思います。ただ、そのワンストップの窓口を出す一番の問題に、犯罪を扱うところの部署ですとなかなか言いづらいというところもあります。名称も含めてですけれども、位置付けを検討していただくのは非常にいいのかなと思います。

(小西座長)
 ありがとうございます。では鍛治委員、お願いします。

(鍛治委員)
 私もご提示いただいた方向性については特段意見がないといいますか、このままでよろしいのではないかと思います。第二次再犯防止推進計画で言いますと、この法務少年支援センターというのは、横浜少年鑑別所が地域援助業務を行うときに使っている名称なんですけれども、そこにおける地域援助の充実というところが入っておりますので、私たちの方でも対応をできる幅を増やして広げられていければなと思っております。

(小西座長)
 ありがとうございます。玉井委員お願いいたします。

(玉井委員)
 少年院にはなかなかこれといって独自で実施ができる部分が少ないのですが、刑務所さんからいろいろご意見出ていましたけれども、刑務所さんと協働しながらですね、色々なことができればなと考えておりますので、よろしくお願いします。

(小西座長)
 ありがとうございます。民間団体と、国や県、市町村といった地方公共団体との連携も非常に重要であると思いますが、この点について民間団体の中の国や自治体との連携について、どのような取り組みをされておられるのかぜひお話しいただければと思いますが、並木委員お願いいたします。

(並木委員)
 行政とは、地域福祉計画の中に再犯防止、更生保護に関する1章を置いてもらおうという 話し合いを始めたところでございますが、更生保護ということは国の事業だということが市の側には念頭にあるようです。更生保護サポートセンターの設置をお願いしてきたところですが、市の庁舎管理規定の中に更生保護の欄がないということで高い壁があって、最近までサポートセンターの設置等々、支援はまだ受けられないのですが、最初にもし上げたような地域福祉計画の中の位置付けについて、第6次が始まりますので、5年間かけて更生保護というものを地域の中でどう取り扱うかということを話し合う機会をようやく設けることができたなというところです。これについては、県下様々な温度差はあると思います。45地区ある保護区でもご苦労されているところだろうと思いますけど、地方公共団体との連携は必須のことだと思っておりますので、民間団体として保護司会としてその取り組みを強めていきたいとそのように思っております。

(小西座長)
 ありがとうございます。では、更生保護女性連盟ではいかがでしょうか。何かそういう取り組みがもしありましたら。

意見なし

(小西座長)
 ありがとうございます。BBS会ではいかがでしょうか。

(小川委員)
 BBSは、連携が取れているかと言われると難しいかなとは思います。横浜刑務所さんに、個別で見学させていただくということで、会員の育成のためにお願いすることもありますが、まだ強くできている部分ではないかなと思います。

(小西座長)
 少年院によっては、例えば行事に更生保護女性連盟の方とかBBSの方が参加されることがあるようで、自分も沖縄少年院に行った時に運動会に行きましたが、親御さんが来られない少年に関しては、更女の方やBBSの方が親代わりになって一緒に競技をしたりというのがありました。そういう連携も行事とかでもコロナが明けたらあるといいかもしれないですね。


(小川委員)
 以前刑務所があった時はさせていただいてはおりました。なくなってやはり途切れてしまったというところはありますね。

(小西座長)
 コロナが明けたら何かそういう連携も、再開できるかなと思いますのでよろしくお願いいたします。
 では、神奈川県就労支援事業者機構の方では、長澤委員、何か連携のようなものはございますでしょうか。

(長澤委員)
 国との連携といたしましては、まず法務省からの委託事業という中で、更生保護就労支援事業の就職活動支援業務を目標として令和3年4年それぞれ120件という数字を出していただいて、実際にそちらを目標に動いているというようなところがございます。実績としては120件を超えて行われているので、その点に関しては、進められているのかなというところです。
 もう一点、国としては厚生労働省での刑務所出所者等の就労支援事業を行っておりまして、こちらについては平成27年からになりますが、こちらも目標件数ということでハローワークさんの専用求人1000件という目標に対して、事業を運営しているというところです。こちらに関しても1000件は超えているという実績が出ております。それから県とのお話としましては、神奈川県の産業労働局さんとの連携で、職場定着の支援の部分で、こちらも目標値100件という目標値を出していただいていて、実際に当局の方では接触自体114件というような中で、すべてにおいて目標値に対して活動を実施しているというようなところがございます。
 あと前回、ちょっと違うかもしれないのですが、JANPIAの助成事業のところもご紹介させていただいたかと思うんですけれども、そちらの職場体験のところを実施をしておりまして、こちらは3年間、令和2年から4年までの助成事業だったのでもうすべて終了しておりますが、5年に関しては当機構の自己資金で運用しているというようなところでございます。

(小西座長)
 ありがとうございます。では、田中委員いかがでしょうか。

(田中委員)
 私どもの法人としての設置・活動の根拠となっておりますのが、更生保護事業法という法律であります。先ほど保護観察所の方から発言がありましたが、私どもの仕事の根拠となるこの更生保護事業法も、更生保護法と同様に昨年の通常国会で成立した刑法の一部改正法により部分改正されております。この改正更生保護事業法の施行が本年おそらく同様の時期に予定されているわけでございます。従来更生保護事業法に基づく連絡助成事業として、私どもは仕事をさせていただいていますが、これも新たな名称が地域連携・助成事業ということで、体裁を変える、また、その内実についても改革が求められているという段階であります。
 この神奈川県の中においてこの地域連携・助成事業をどのように行っていくかということにつきましては、今後、他県の先進事例等を参考にしながら検討していくところでありますが、おそらくこのネットワークの仕事というところと大きく重なる部分も出てくるのではないかと考えます。神奈川県におけるこのネットワーク関係の施策の中でどういう役割を担っていけるのかというのが、私どもの課題として検討している段階であります。

(小西座長)
 ありがとうございます。では、神奈川県社会福祉協議会は、これらの点に関して何かございましたらぜひお願いします。

(伊部委員)
 まず最初に、連携という言葉が使われているのですが、皆さんお使いになっている言葉の意味のレベルがバラバラですので、そこを一回整理することが今回の計画を作る上では必要なのかなと思いました。私の理解でいいますと、どうしても更生保護というのは私どもの福祉分野から見ますと、異分野の法務省管轄というようなイメージもありまして、主体的に別世界のように思えるけれど、主体的に関係づくりをしていくということをまず私どもとしては連携というふうに考えてる次第です。
 その意味ではここ最近の動きを二つほど申し上げますと、新しい計画を作る前に、この再犯防止の会議の状況につきまして、地域福祉課の皆さんに執筆いただきまして、私どもの機関紙を6月中旬に1万8000部発刊することになっておりますが、できるだけこの会議についてお知らせする努力をさせていただきたいと思っています。同時に、4年に1回、人材不足に直面しております、保護司さんというものがどういうものか、福祉タイムズの表面に大きな写真とともにどういう活動してるかの文字の情報でもご紹介していただくことで、今保護司会連合さんに候補者の方をご推薦いただきまして、近々取材に行く予定でおります。4年前には、今日ご欠席されました栁川さんに登場していただいて、やはり写真のインパクトが強かったせいか、保護司さんってこういう方なんだなと、罪を犯した方に関わってるので怖いようなイメージがあったけれど、こういう優しそうな人なんだなとそんな感想も事務局に寄せられたところでございます。私どもとしましては、あえて様々な接点を設けまして、県民の皆さんにもお伝えをし、福祉関係者にお伝えするような努力をさせていただきたいと思います。
 あと一点申し上げたいのは、今日この場というのは方向性を議論するという話なんですが、先ほど検察庁の方がおっしゃった話というのが、私はちょっとピンとこない部分があって、細かいところの分析から何か作り上げるのか、それとも大枠の部分を国の資料等を基に作っていくのか、私は二つの県の審議会の委員もさせていただきましたが、他の審議会や委員会の持ち方と大分違うので、どういうふうに検察庁さんのこの資料をもとに今後の会議でコメントしたらいいのか戸惑っているというのが実情でございます。示唆に富む、色々なご意見があるのもすごく勉強になりましたし、ぜひ資料を持ち帰って勉強させていただきたいと思っておりますが、次回以降の会議に今日のせっかくのご発言をどうやって生かしていけるのかということにつきましては、ちょっと私は戸惑ってるということを申し上げさせていただきます。

(小西座長)
 ありがとうございます。この点、進め方については次回、一つの枠を示しながらというふうなことで、それは事務局とも色々検討しながら進めていきたいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。では他に神奈川労働局の佐藤代理お願いいたします。

(佐藤委員)
 今年度からこちらの業務につきまして、ハローワーク全般の業務というのはもう今まで長く就いているのですけれども、こういった再犯防止であり、刑務所出所者でありといったところに関しては、さほど専門的な知識を持ち合わせてはいないのですが、これから新しくこの計画を作るということで、ハローワーク労働局としてお手伝いできるところ、十分検証しながら何でもと思っておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

(小西座長)
 ありがとうございます。続きまして近藤委員、これまでの議論を踏まえていかがでしょうか。

(近藤委員)
 本日はご専門の方々のお話を伺いしまして、第1回令和5年度の再犯防止推進会議を傾聴させていただきました。今後も、こちらのレリーフにもなります、社会を明るくする運動を大きな目標としてお一人お一人が光になれるような形で、地域の住民として包括的に、犯罪をした方の温かい見守りの気持ちを持って、こちらに参加させていただきたいと思います。ありがとうございます。

(小西座長)
 ありがとうございます。神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例の趣旨の反映というところに関しましても、いかがですか。近藤委員は県民の立場からして、どう感じられますか。

(近藤委員)
 とても気になりましたのが、再犯防止の犯罪の種別というか、それぞれの特性によってその更生とかその支援の方法が個別に対応されるということが今後大変興味深いところであります。

(小西座長)
 ありがとうございます。山下委員、いかがでしょう。

(山下委員)
 ちょっとよくわからなくなってきてるんですよ。正直、今日の会議の目的は神奈川県の次期の計画を立てるってことだとは思うんですけども、意見交換ってことだと思うんですけども、私は例えば横田委員からあったように、性犯とか覚せい剤だとか、高齢者だとか、そういった具体的な課題に関してこの再犯をどういうふうに防止するかってこと具体的な計画を立てていかなくちゃいけないのかなと思ってますし、今日薬務課の方も来てらっしゃいますけども、薬剤師の方が中心に多分やってらっしゃると思うんですけど、かなり薬の知識も詳しいと思うので、福祉子どもみらい局の地域福祉課との連携とか、そういったことも必要だと思うし、薬のことなんかも教えてもらえますしね。そういう連携なんかも県の中では必要になってくるんじゃないかなと思っています。
 あとずっと私言ってますけども、県営住宅に住まうということで、例えば矯正施設から出て直接、県住宅に住まうというようなことの施策をこの委員会として県としてどうするのとか、色々な切り口があると思うんです。今日お集まりの方々は私も含めてですけどもあらゆる分野が集まってるので、私はこの再犯防止計画の次期の計画に関してより具体的な中身を作っていきたいなと思っていて。そういう意味でオブザーバーで今日色々な部署の方が参加されています。県の中の取組というのも、もっともっと促進していければいいなと思っています。いい関係がつくれるといいなと思ってます。

(小西座長)
 ありがとうございます。

(山下委員)
 連携ということに関して言えば、定着支援センターは連携なしでは仕事が進みませんので連携そのものです。だから連携っていうと、役割分担ということでもないし、丸投げをし合うわけでもないですし。連携の中身って何だろうということは、突き詰めて考えていかなきゃいけないんじゃないかなあと思っています。

(小西座長)
 ありがとうございます。

(横田委員)
 ちょっとよろしいですか。

(小西座長)
 はい。

(横田委員)
 率直に申し上げて、県から先ほどお配りいただいた資料2の改定の方向性についてというペーパーなんですけれども、山下委員からも話ございましたとおり、例えば今後、保健医療福祉サービスの利用の促進というところが例えば2ページに書いてありますが、要はこれをしてどうやったら再犯防止に繋がるのかという具体的な方向性というのが残念ながら、この県の作成した資料では私は理解ができないんですね。先ほどご説明をしたのは、例えば福岡地検では、きちっとアウトリーチをしてくれて、再犯防止のために執行猶予がついた判決を受けたものについて、具体的な取組をしているわけです。こうした仕組みを神奈川県においても実用的に取り入れられませんかというこういうご提案をしてるんですね。
 これは別に覚せい剤取締法違反だけではなくて、例えばギャンブル依存に陥った方が財産犯を犯すとかアルコール依存症の方がDVをするとか、すべての犯罪に、もしかしたらこのアディクションの問題が関わってるかもしれない。そういった方々を我々地検で見つけた場合にどうやったらそれを適切な関係機関につなげられますかと。こういった議論を第二次計画ではすべきなのではないかというのが私の意見なんです。そのために色々な自治体で色々な取組をしているわけで、残念ながらその神奈川県の例というのも、先ほど申し上げた資料の中に、触れられておりますが、私がご紹介をしたような他の自治体で行われている取り組みと比べると、残念ながら、例えば効果にどれだけの実効性があったのかということについて私が正直刑事司法に関わる者として実感ができないんです。
 ですから、その時には、例えば一から神奈川県内で考えるというよりは、他の自治体での取組というのを参考にしていただいて、それを神奈川県、或いは神奈川県内の市町村においてどうやってアダプトできるのかということをご検討いただくというのが次の計画のステップなのではないかなあというのが私の意見なんです。
 ですから、先ほど伊部委員から戸惑っているというようなご発言ございましたけれども、そこは各自治体でどのような取組をしているのかということをまず知っていただくというのが私の本来的な発言の趣旨でございますし、それを踏まえた第二期計画にしないと他の自治体からどんどん神奈川県が遅れをとってしまうということにもなりかねないというふうに危惧しておりますので、そこの辺りのご理解をいただければというふうに考えております。

(小西座長)
 ありがとうございます。伊部委員いかがでしょうか。

(伊部委員)
 私が戸惑っていると申し上げたのは、今日は改定の方向性というところで、ポイントをいくつか事務局のほうでお書きになってますけれども、いきなり各論から入りますと、私のように更生保護の専門家でない人間から見るとやはり全体像が見えなくなると。各論に囚われてそこのインパクトが強すぎて、わからなくなると。その意味で、戸惑っていると申し上げた次第でございます。


(小西座長)
 ありがとうございます。今後の方向性として、今の議論を踏まえて事務局としてはいかがでしょう。

(事務局)
 今すぐにはお答えは難しいところですけども、やはり今お話いただいた具体な取組というところが今回は方向性ということで示せていないところでございますので、またいただいたご意見、地検さんであるだとか皆様からいただいたご意見を踏まえて、今後その中身について具体な取組について第二期計画でどのように入れ込んでいくのか取組を進めていくのか新たな取組をするのかみたいなところは、しっかりと中で議論させていただきたいと思っております。

(小西座長)
 ありがとうございます。はい、松世委員お願いいたします。

(松世委員)
 言い忘れてしまいましたけれども、県連の女性会といたしまして50地区あるんですけれども、それぞれの地区会で色々なところが連携して色々な活動をしてると思うんですね。私は川崎市なんですけれども、川崎市の川崎ダルクというところがありまして、実は川崎市の更女会の人たちとダルクさんと一緒に料理教室をやりましょうということで、今年度から定期的に料理教室をやることにいたしました。これは非常に再犯防止のためにいい仕組みができたなということで、喜んで参加するところでございます。

(小西座長)
 ありがとうございます。神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例の趣旨の反映というところにも関わってくるところかなとも思いますが、この点条例との関係で何かご意見ございますでしょうか。山下委員、この条例に関してどのようなご意見をお持ちでしょうか。

(山下委員)
 4月から条例がスタートしていますけども、当事者目線の中に罪を犯した人の視点を取り入れていくことができたらすごくいいなあと思います。ただ、罪を犯した人が私は罪を犯しましたと公表してるわけでもないので、なかなか難しいと思いますが、例えば、今川崎ダルクの話も出ましたけども、私も川崎ダルクには何人か刑務所を出た方を繋いでますし、川崎だけじゃなくて、横浜、相模原、湘南も含めて色々なところに直接刑務所からお願いしてっていうような方が結構いらっしゃるので、例えば、覚せい剤の関係とかであれば、ダルクさんに声かけて、もちろんつなぎもできます。その中から何人か話を聞かせてもらうとか、あとダルクだけじゃなくて、実は私のやっている作業場があるんですけども、そういったところにも少年院から出た少年たちを受け入れて、実際パン作りとかやってもらってるとか、色々こう頑張ってやってる方がいると思うんですよね。そういった人たちに、なぜ犯罪をしてしまったのかということをインタビューしてみたりだとか、当事者の方が犯罪に至った経緯も聞きながら、その施策に反映していくこともできるのではないかなと思うんです。残念ながら、当事者団体、アルコールとか覚せい剤の当事者団体はもっといっぱいあるんですけども、罪を犯したっていう意味での当事者団体は、聞いたことがありません。県から言われて、そういう集まりもあってもいいのかなと思いながら、難しいなと思っています。
 とはいえ、やっぱり直接声を聞くっていうのは大事だと思うんですね。更生保護施設に入った方のインタビューで、朝日新聞のAERAから依頼があって、更生保護施設で今頑張ってる人を紹介して、色々な取組があちこちでありますので、少し情報収集しながらやっていけると条例のところに繋がっていくのかなと思います。

(小西座長)
ありがとうございます。


(德田委員)
よろしいでしょうか。

 

(小西座長)
はい、お願いします。

(德田委員)
 まず、当事者目線の障害福祉推進条例とこの再犯や更生支援との関係で言えば、個別的な論点にはなってきてしまいますが、罪に問われて社会復帰される中で、特に性犯であるとか放火であるとか、そういった方の場合、差別や偏見にさらされて、環境調整ができず受け皿を見つけることができないために更生に繋がらないということが非常によく起こっている状況です。これは差別偏見解消の問題ですから、県として、現場の受け皿や受け入れ先施設の理解を得られるような取組をしていくべきなんだろうと、それがともに生きる当事者目線の条例にもかなうことなのかなというのが一点。
 そして、行政との連携については、弁護士会としては、この再犯防止推進会議や横浜市の更生支援の会議に委員として出たりとか、行政というわけではありませんが、神奈川定着と意見交換を持たせていただいているところです。ですので、今回の第二期再犯防止推進計画においては、弁護士会と県との連携、或いは情報共有が必要であるというところまで踏み込んだ内容にしていただけると非常に良いのかなとは思っています。というのも、日弁連としては、罪に問われた障害者の刑事弁護連絡会PTというのを設けていて、更生支援を必要とする生きづらさを抱えた高齢者障害者の刑事手続きについて、各地の社会福祉士会や福祉職と弁護士会が連携してあたる枠組みを作るということをやっていまして、神奈川県では大分前から、神奈川県社会福祉士会と協定を結ばせていただいていて、高齢や、特に知的発達障害のある方について、刑事手続きに乗せられてしまった場合に、弁護士と福祉職が連携しながらあたっています。その中で更生支援計画を作り、本人の更生支援や環境調整につなげているという取組を実施していて、福祉職の方が中心になってやっていただいてるんですが、そこに行政の担当職員の方が入ってくることがあまりないんですね。そこで主体的に行政のワーカーが関わってくださることによって、非常に受け皿調整とか本人の更生支援がレールに乗っていくというようなケースがあるものですので、そういった仕組みを現場レベルまで落とし込めないかなあというふうには思ったりします。
 更生支援計画については、今まで東京大阪等でこの更生支援計画を矯正施設に引き継ぐというような試行をやっていましたが、それが今年度から全国で矯正施設に引き継ぐというようなことがなされることになってきました。そういった動きから、更生支援計画というのは、出所後、社会に復帰したあとに基礎となる計画になるわけですから、現場で本人を支援する行政の担当者にも引き継がれていくべきなのかなと。そのような情報を行政の担当ワーカーさんは持っていないと思うんです。だから、そういった情報共有が、弁護士会や福祉職、受け入れ先の事業者だけでなく行政の担当者とも連携できるような、そういったところまで見据えた推進計画になっていただくといいのかなと思います。


(小西座長)
 ありがとうございます。事務局の説明にあった、当事者である、過去に犯罪をした者が所属し、立ち直りを支援している団体等へのヒアリングということがあります。この点は何か保護観察所で関連する団体の情報とかございますでしょうか。

(上野委員)
 私どもで承知しているのは、やはりダルクさん系になってしまいます。薬物依存症リハビリ施設ということで、当事者の方が職員であったり施設長さんだったりという形で所属していますので。ちなみに、神奈川県内には八つのリハビリ施設が存在しておりまして、観察所との連携としましては、保護観察所で薬物の再乱用防止プログラムを実施しているのですが、その時に職員の方にプログラムに参加していただいて、保護観察対象者が話をするんですけれども、そこに助言者として加わっていただくことで、協力いただいております。プログラムも保護観察の期間中しか原則できませんが、保護観察が終わった後もダルクに通ってミーティングに参加し、引き続きリハビリに努めている方も多くいらっしゃるのが実情です。
 あと、これは団体ではありませんが、協力雇用主さんの中には、過去に非行なり悪さをして一回保護観察受けたことがあるけど、その時に保護司さんにお世話になって立ち直れたので恩返しがしたいというような形で登録していただいてる方もおられます。ただ、ご本人が前歴があることを表に出したくないこともあるので、ヒアリングには応じてもらえる可能性は低いかもしれませんが。

(小西座長)
 ありがとうございます。私も、元当事者で少年のときに保護観察を受けていて、今保護司をされている方を知っています。東京の方なのでちょっと難しいかもしれませんが。保護司会で何かそういう団体についてご存知ですか。

(並木委員)
 保護司の事務には三つの大きい分けがありまして、一つは、保護観察を受ける人の生活指導と援護。それから二つ目は、意外と知られていませんが、矯正施設からの帰住に関する生活環境の調整というものがとても大きな役割としてあります。その時に、精神であったり、障害であったり、そういった情報をヒアリングして県の生活支援センターや行政区の福祉職の方であったりとか、ワンストップ相談窓口等の社会資源につなげていけるように、僕たちは勉強しなきゃいけないと思っています。三番目は、根本ですけど、犯罪予防の活動。この三本が僕らの仕事ですので、こういう場に出席させていただいて、様々な方と繋がっていければいいなと思っています。
 本日は行政の方もおみえですが、「ともに生きる社会かながわ憲章」に基づいて、更生保護は国の政策で地方公共団体は一歩距離を置くというのではなく、国絡み県絡み、そして地域絡みで誰一人取り残さない、そういう取組が福祉の面でもそうでしょうし、我々の更生保護の分野でも必要だと思います。そういった時のサポーターを地域において増やしたいということもあり、毎年“社会を明るくする運動”を全国的に展開しているところです。この場を借りまして、様々な意味で非行、再犯をしてしまった人の立ち直り援助をしていただければ、本当にありがたいなと思ってます。

(小西座長)
 近藤委員、このような当事者の方について、今のお仕事の関係でも何か知っていれば教えていただきたいと思いますが。

(近藤委員)
 私の職場は障害者のグループホームなのですが、やはりご家庭でDVや、虐待等を受けて、社会で自立生活を送るための一人暮らしまでのワンステップとして、グループホーム等を利用される方が最近顕著に見られます。そういったところで、自立支援という形で、地域包括的に、社会全体で横の繋がりで、若者の育成を見守っていきたいと感じております。

(小西座長)
ありがとうございます。

(伊部委員)
 意見なのですが、当事者の中に家族が含まれるかどうかというのは障害福祉の関係でも、再三厳しい議論があったということも承知をした上で申し上げますが、犯罪を起こした加害者をマスコミ殺到等から守るということや、また犯罪を犯した者が出所した後に、家族が受けられるような支援活動をしている団体が全国に三つあるというのを聞いているんです。もし神奈川にもそういう団体があれば、再犯防止のために、環境を整えるという意味でヒアリングしてもよいのではないかと思います。
 あと、犯罪を犯した当事者団体については、東京のNPOというのも存じ上げてます。どこに意見を聞くかということは、非常に難しい政治的な判断を要するかと思いますが、幅広く色々な人たちの協力をもとに再犯防止する環境づくりをしていくという視点の中では、幅広い対象にヒアリングすることがよいのではないかと感じた次第でございます。

(小西座長)
 ありがとうございます。山下委員お願いします。

(山下委員)
 もうまとめに入ると思うので、一言言わせていただきたいのですが、県の資料2の4ページに、国の第二次計画の基本的な方向性が書かれていますので、ここを見ていただければと思うのですが、一番上の丸に、息の長い支援という形で書いてあります。この、息の長い支援や切れ目のない支援はよく使う言葉ですが、その息の長い支援とは具体的に何なんだろうというところまで神奈川県としては踏み込みたいと思うんです。
息の長い支援、それから切れ目ない支援と同時に今私たち福祉更生保護、刑事司法ソーシャルワークの分野では、伴走支援という言葉が一番ぴったりくるかなと思って、なるべく使うようにしてますし、伴走支援ということがとても大事だと思うんですね。伴走支援もその言葉の意味としては、息の長いとか同じものになってしまいますが、具体的な中身を出して、神奈川県の特徴として出していきたいなと思っています。
 それと同時に、私たち福祉業界の人間がずっと使ってきた伴走支援という言葉を国が重層的支援体制整備事業の中で初めて使ったんですね。その重層的支援体制整備事業もモデルから、現在は次の段階に移っていますし、地域での包括的な支援として取組が始まっています。横田委員の文章にも、最後に書いてありますが、この重層的支援体制整備事業とこの再犯防止とをどう関係づけるかについて、すぐに申し上げることはできませんが、そういう視点もあってもいいと思います。基本的な神奈川県の姿勢として、各地方公共団体とどう連携していくのかというところで、さらに再犯防止を考えていくことが大事かなと思います。

(小西座長)
 ありがとうございます。

(鍛治委員)
 すみません、私もいいですか。

(小西座長)
 お願いします。

(鍛治委員)
 過去に罪を犯した方が主体となって活動している団体ということで、知識として知っているレベルになりますが、少年院を出た人たちがやっている団体でセカンドチャンス!というものがあるのですがご存知ですかね。活動の実態はよくわかりませんが、ざっとホームページを見ると神奈川県内には川崎に一つ支部のようなものがあるのと、横浜に女子の支部が置かれてるそうで、電話番号は掲載されていないので、ホームページの問い合わせフォームから問い合わせをする必要があるようです。また、こちらの団体は、立ち上げの時点で、元法務教官だった人が関わってるようです。

(小西座長)
 なるほど。ありがとうございます。
 大変いろんなご意見ありがとうございます。時間も差し迫ってまいりましたが、今後の方向性について検討していく上での様々なご意見をいただきました。やはり、神奈川県らしさということで先ほども、山下委員からお話があったこの息の長い支援というか、伴走型支援というところも突っ込んで検討していくこともできるのではないかとか、そういういかに神奈川らしさを出していくのかというようなところですよね。
 そして、この再犯防止のエビデンスという話がありました。今の研究では、エビデンスがあるものとして、当事者を中心に考えてくことが重要であるということが、再犯防止の上でも言われているところです。何かプログラムをさせても、おそらく認知行動療法等自体に関しても一定程度の効果があるのですが、それよりもむしろ、本人が、治療者も含む他者と信頼関係を作って、本人のアイデンティティが変わっていくことこそが再犯防止において非常に大きな効果があるという研究が各国でも出されているんですね。それに基づいて、法務省でも保護司制度や更生保護ボランティアの重要性等に関して再認識されているところでもあります。
 そうした観点からも、当事者目線の神奈川県の取組というのは、再犯防止という観点からも実はものすごく大きな効果をあらわしていくところがあるのではないかと考えております。そこで当事者の意見をヒアリングすることも重要だと思います。確か、横浜市では再犯防止推進計画策定委員会の中にマザーハウスの五十嵐さんという当事者の方が入っていますし、また、東京都の再犯防止推進協議会でも、セカンドチャンス!に関わってこられた髙坂さんが講演をされています。当事者の方の意見を聞いて、何がニーズとしてあるのか、そして何が社会復帰の上で支障だったのか、こうしたところの認識というのが行政サービスを提供する上で重要な知見として持つ必要がありますし、再犯防止の中でも非常に大きな効果があらわれてくるのではないかとも考えます。そうした点からも、ぜひ今後の計画についてまた事務局でも練っていっていただければと思います。
 もうお時間になりましたので、ここで事務局の方から何かございますでしょうか。

(事務局)
 次回の推進会議ですが、令和5年の8月の開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
(小西座長)
 では、本日の議事はこれをもちまして終了といたしますが、最後、ご挨拶をいただけるということです。よろしくお願いいたします。

4閉会

(細川地域福祉課副課長)

会議資料

次第・委員(PDF:169KB)

【資料1】令和4年度評価まとめ(案)(PDF:677KB)

【資料2】「神奈川県再犯防止推進計画」の改定の方向性について(PDF:541KB)

【参考資料1】神奈川県再犯防止推進会議設置要綱(PDF:299KB)

【参考資料2】神奈川県再犯防止推進計画(2019~2023年度)構成事業一覧(PDF:195KB)

【参考資料3】国第二次再犯防止推進計画(概要)(PDF:359KB)

【参考資料4】国第二次再犯防止推進計画(PDF:516KB)

【参考資料5】神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例~ともに生きる社会を目指して~(PDF:320KB)

 

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