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更新日:2023年7月21日

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神奈川県再犯防止推進会議の審議結果(令和元年度第1回)

会議結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

神奈川県再犯防止推進会議

開催日時

令和元年8月26日(月曜日)15時から17時まで

開催場所

横浜第二合同庁舎 低層棟2階集団処遇室(横浜市中区北仲通5-57)

出席者【座長】

小西 暁和【座長】、森 卓爾、三本松 篤(中臣委員の代理出席)、野﨑 和久、大津留 寿弥、杉村 二、中村 葉子、白戸 順一、栁川 義信、大伴 好子、上野 絵里奈(小川委員の代理出席)、志村 宗男、吉田 宏武、竹内 政昭、山下 康、伊部 智隆、原田 忠志 〔計17名(順不同、敬称略)〕

次回開催予定日

令和2年8月頃(新型コロナウイルスのまん延防止のため、令和2年3月に予定していた令和元年度第2回会議は開催中止になりました。)

掲載形式

  • 議事録

会議経過

1 あいさつ
 〔長島課長からあいさつ〕

2 開会
 〔事務局から委員の出欠について紹介、各委員からあいさつ〕

3 議題

 (1) 神奈川県再犯防止推進計画の評価・推進等について

(小西座長)
 まず初めに、神奈川県再犯防止推進計画評価・推進等について、事務局から説明をお願いいたします。

〔事務局から参考資料1、参考資料2、資料1及び資料2を説明〕

(小西座長)
 基本的には、計画の基本目標の実現に向けてどのように施策が展開されたかということで、来年度以降になると思いますが、神奈川県再犯防止推進計画について実施・評価・改善を行う際の取りまとめの方法として資料2のとおり案を作られたというわけですね。取組実績、課題と今後の対応を記載した上で、来年度行われる推進会議において、委員の方からの意見、これをまとめた形で評価に記載する形式を事務局からご説明をいただきました。この点につきまして委員の皆様のご意見を頂戴したいと存じますが、ご意見ありますでしょうか。参考資料1についてはご説明なかったのですが、これは神奈川県再犯防止推進会議設置要綱第2条の(1)が変わったということでよいでしょうか。

(事務局)
 参考資料1ですが、当会議の設置要綱になります。附則として令和元年7月17日から施行し、平成31年3月19日から適用するとあります。1ヶ所改正した点がございまして、座長からも説明してあった通り、第2条の第1項の部分で神奈川県再犯防止推進計画の策定及び推進等に関することと、改定後のものを記載しています。去年の設置要綱を作成した段階ではまだ名前が決まっていなかったので、神奈川県再犯防止推進計画(仮称)なっておりました。しかし、平成31年3月19日に策定ができましたので、(仮称)を消すという意味で今回改正をさせていただきました。

(小西座長)
 ありがとうございます。では、この議題につきまして、委員の皆様にご意見を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。

(中村委員)
 進行管理の関係について、参考資料として、県再犯防止推進計画構成事業一覧とありますが、例えば、4の(1)だとすれば、整理番号35から46について評価をするイメージなのでしょうか。ここに書いてある以外の小柱の構成施策について、検討する余地があるかどうか知りたいと思います。

(小西座長)
 事務局からお願いします。

(事務局)
 事務局の方で取組実績や今後の課題、対応のところを記載するときは、35から46の取組について記載をして、この会議の場でお示ししたいと思います。ただ、必要だと思われる小柱の構成施策について、この会議で議論いただき、最終的に委員の皆様で評価を定めていただければ構わないと考えていますので、これ以外のことについてもご議論いただくことは、可能と思っています。

(中村委員)
 可能であれば、それぞれの小柱に「その他」という項目を入れて検討できれば良いなと思っています。なぜそういうふうに思ったかと申しますと、事前にいただいていた参考資料4地方再犯防止推進計画策定の手引きが、令和元年8月法務省から出ていまして、その中に神奈川県の取組と類似する例として多く出てきていて素晴らしいなと思っています。一方で、この県再犯防止推進計画構成事業一覧の大柱の4「犯罪をした者等の特性に応じた効果的支援」でいくと県警が尽力している人身安全の関係のストーカーDVや子ども支援の関係、認知症の関係等は手厚く県再犯防止推進計画構成事業一覧に書いているのですが、参考資料4地方再犯防止推進計画策定の手引きには性犯罪や被虐待体験、摂食障害等の問題を抱えるという文言を確認すると、神奈川県再犯防止推進計画構成事業のなかには不十分な点も見受けられると思います。検察庁で今、捜査公判段階において、あらわれてくる再犯リスクの高い類型として、是非、地方公共団体の方のお力が必要だと思う提案が三点ほどありまして、提案させていただきたいと思うのですが、よろしいですか。

(小西座長)
 お願いします。

(中村委員)
 1点目に、児童虐待の事案の加害親に対する支援が、虐待を繰り返すことのリスクを避けるためには、とても必要だというふうに感じております。現在、検察庁が3機関連携で警察や児童相談所から年間170件ものケースの刑事事件になりうる児童虐待の通報をいただいています。その中でやはり繰り返しリスクが高いっていうケースは、加害者である親御さんに知的障がいや発達障がいや精神疾患があるというケースが散見されまして、単に児童相談所だけが尽力してもどうしようもならないという具合となっています。釈放時までに事後カンファレンスで集まっていただいて、様々な方と相談したというケースもあるので、虐待の加害者に対する支援や子どもたちが二度と虐待されないために検討することをお願いしたいと思います。
 2点目に、とてもその再犯リスクが高いケースで参考資料4地方再犯防止推進計画策定の手引きにも載っている摂食障害のある方の万引き累犯っていうのがとても深刻で、検察官もどう対応してよいのかと思うような重いケースがたくさんあります。実は7月、8月に2回検察官や検察事務官を連れて東日本成人矯正医療センターの見学と精神科の医者との意見交換会を行ったのですが、やはり経管栄養のような形で横たわっている摂食障害がある女性受刑者の方々には、虐待歴や性犯罪被害者だったことが原因となっていることや、発症は10代の頃っていうことがほとんどだっていうこともありまして、摂食障害の方を犯罪者にしないための早期介入がとても大切なことだっていうのを学んできました。学校現場等での周知教育や厚労省の方で、全国の都道府県向けて摂食障害治療支援センターを作りましょうということでモデル事業を行っている県もあり、そのような相談を行っている県の方では、だんだんと重症の方から、若い人の相談に裾野が広がってきているっていうことが報告されていまして、是非神奈川県も摂食障害治療支援センターをどこか拠点病院においていただければ、早期の段階で、そういう方の万引きへの移行を防げるのではないかと考えています。
 3点目は、性加害行為がある知的障がいや発達障がいのある方が、再犯リスクが高いように思われます。そういう方々の加害行為の対象が小学生以下の子どもたちであったり、より重い知的障がいがある方だったりするということで、その被害者に与えるダメージもとても大きいと思います。矯正や保護の認知行動療法での再犯防止プログラムの中になじみにくい知的障がいや発達障がいがある方に対する性加害行為の再犯防止のプログラムについて、県内の聖マリアンナ医科大学の安藤久美子先生が研究おり、検察庁の刑事政策総合支援室から7月にお話を伺った時に、安藤先生が神奈川県でも実施したいとおっしゃっていました。地域生活定着支援センターを介して何かそういう取組ができないかと思いました。特性というところで地方再犯防止推進計画策定の手引きにも書いてあるような対象の方で再犯リスクが高い方に向けて、新たな取組を神奈川発信でできるのではないかと考えています。やはり神奈川が全国的に様々な形で被害者支援をリードしてきているので、子どもたちが二度と被害に遭わないようにできる取組として進めていただければと思います。

(小西座長)
 中村委員から3点とりわけ児童虐待における虐待の加害者に対する支援の必要性、そして、万引きの繰り返しが見られるような摂食障害のある方の摂食障害治療支援センターの設置の必要性、そして、性加害行為のリスクが見られる者への支援ということで、新たな支援、とりわけそこに着目をしていく必要性があるのではないかというようなご提案がございました。また、矯正や先ほど少し地域生活定着支援センターのお話がありましたが、何か付随してお話いただけますか。

(山下委員)
 今、中村委員からお話があったところの性加害行為のところでお話をさせていただきたいと思います。地域生活定着支援センターで現在関わっている性加害行為の子ども達や大人もそうなのですが、かなりの数の方がいらっしゃいます。例えば、現在、何人か性加害行為ある方をリストアップして、集まっていただき、プログラムを実証していくというようなことを、この県の再犯防止の取組の中で一緒にできないかなということを考えたいなと思っています。まだ私も、それ以上は具体化していませんが、考え方として成り立つのかどうか、または、成り立って欲しいとは思っていますが、どういう工夫ができるのかどうか、そこら辺を考えていければなと思っています。

(小西座長)
 矯正施設側からも、お話頂けますか。大津留委員お願いいたします。

(大津留委員)
 非行犯罪に関する問題について相談をしている横浜法務少年支援センターは、「少年」とついておりますけど、年齢制限がありません。まさに性加害行為の話は、地域援助という形で、横浜法務少年支援センターでも相談を受け付けているというところでございます。実際にどれぐらいの数があるかっていうことを今すぐにお伝え出来ませんが、臨床心理士や公認心理師の資格を持っているものが半分以上おりますので、こういうケースであれば、アセスメントから始まり、あとはプログラムとまで言いませんけど、性的加害者や暴力行為の対象者であればワークブックを使って対象者に来ていただいて、何回かに分けて介入していくことはさせていただいております。刑事施設の中で、性犯罪者に対してR3という名で指導を行っていますが、非常に長い期間、長いものだと5ヶ月とか半年とかになりますけど、法務少年支援センターのワークブックは、プログラムと言えるまではできておらず、我々も模索段階にあります。もし、プログラムを策定するということであれば、保護観察中の方とも関連して、一緒にプログラムの策定に関わることができるのではないかと考えております。

(小西座長)
 ありがとうございます。もちろん計画策定の時点での様々な課題が立てられたわけですが、社会システムは変動していく中で、それに応じて新たな課題が出てくるということがございます。それは今後、全体の取りまとめをしていく中で、先ほど中村委員からあがったそれぞれの小柱に「その他」という項目を作る等、そのような提案を含めながら、この評価を行っていくことが必要ではないかと私自身も思います。来年度になりますが、取りまとめをしていく際に、その点を踏まえて作成していくという流れにしていきたいと思います。他にご意見が、この部分に関してありますでしょうか。

(事務局)
 事務局から補足させていただきますと、例えば検察庁の刑事政策総合支援室については、本計画24ページの方に中村委員からご意見いただきコラムという形で紹介させていただいております。また、大津留委員の方からお話のありました横浜法務少年支援センターについても意見を頂いておりましたので31ページの方で、紹介させていただいております。そういう意味では今回の県再犯防止推進計画構成事業一覧では県や県警の取組として、位置付けているものが一覧となっているだけであり、本計画として、少しでも関連性のあるものについては、幅広に議論していければと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

(小西座長)
 ありがとうございます。では、この点に関して、よろしければ次の議題に移りたいと思います。続きまして議題2のその他について、事務局から説明をお願いいたします。

 (2)その他

 〔事務局から参考資料3、参考資料4、参考資料5を説明〕

(小西座長)
 ありがとうございます。参考資料3から、神奈川県は全国的にも早い段階で再犯防止推進計画を策定したということが分かるかと思います。平成31年4月1日現在、ここでは14団体ということで、さらに、私が聞いているところでは、他にも兵庫県や東京都でも先日ですね、計画が決定し、ホームページ上で公開されるとのことでした。そして法務省から新たに出された地方再犯防止推進計画策定の手引きでも、神奈川県における取組が3つほど紹介されているということで、神奈川県の計画も今後さらに参考にされつつ、他の都道府県や政令指定都市、市町村でも策定が進むのではないかと思います。参考資料5についてですが、要望2は神奈川県からだされた要望ということで、市町村レベルでの数値の提供も必要だということは、確かにその通りだと思います。ただ現時点では市町村レベルでの数値というのが、まだ十分データが作れてないということですが、神奈川県内の各市町村が再犯防止のための計画を策定し、再犯防止を推進していくという上では、今後のこのデータを作っていくということは当然必要になってくると思うので、今後が待たれるところです。このように事務局からは法務省からの資料などについてご説明をいただきました。その他の議題においては、都道府県や県内の市町村の計画策定などについて、このような資料等に基づいて、また各団体各機関の取組などについての情報交換をこの場で行っていくということをしていきたいと思います。参考資料3にもございますが、神奈川県には指定都市が横浜市、川崎市、そして、相模原市という三市がございます。ここにありますように、この平成31年4月1日現在では、横浜市においては、平成32年3月頃に計画策定を予定しており、現在では、協議会等での検討中にあるということです。そして、川崎市においても、平成32年の3月ごろを計画策定日として予定しており、現在では庁内での検討中であると記載あります。そして相模原市では平成32年3月に計画を策定するということで、現在、協議会で検討中ということで、記載されています。平成31年4月1日現在のことで、その後もかなり進んでいるのではないかと思われます。この横浜市、川崎市、相模原市に関して現在関わっていらっしゃる委員の方もおられると思いますので、何か情報提供していただくことができればと思いますが、関わっていらっしゃる委員の方、お話いただけますでしょうか。

(中村委員)
 川崎市は私も出席させていただいておりまして、それぞれの出席した委員が様々な取組を報告して、これからどうやっていくかという話をしています。川崎市の2回目の会議が9月25日に行われることになっておりまして、神奈川県の方も検察庁の方にふれあい広報で見学に来てくださったのですが、川崎市の担当者の方も8月30日に検察庁の方に来てくださることになっているので、入口支援の取組とか、検察庁の中の子どものための司法面接室とか刑事政策総合支援室の方を見ていただき、説明させていただきます。川崎市の委員には、聖マリアンナ医科大学の安藤先生も入ってくださっていて、いろいろな医療面からの支援をしてくださるということでした。

(山下委員)
 私の方で横浜市の方も参加をしているのですが、2回ほど開催をされています。それで具体的な施策の話が出てきていますが、正直、各部署での思いというか、考え方といいますか非常にばらつきがあります。文章的にも1ページ使って書いている部署もあるし、数行で終わっている部署もあるという中で、横浜市全体の統一感について指摘をさせていただいてはおりますけれども、かなり進んでいる状況になってきています。それから相模原市の方は、私ども神奈川県社会福祉士会に要請がありましたので、私どもの方から相模原市の方に在籍をしている会員に参加についてお願いをして、情報交換は常にしております。相模原市の方も地域福祉計画の中にきちんと位置付けをしていく。
 また、社会を明るくする運動についてどのぐらい知っているかみたいなところもアンケートをとって丁寧にフィードバックをし、計画の中に落とし込んでいくというようなことで、成年後見の関係と再犯防止の関係を中心にしながら地域福祉計画に盛り込むというところで、相模原市は進んでいます。

(小西座長)
 中村委員と山下委員にご説明いただきましたが、現在、横浜市、川崎市、相模原市でも、計画の策定がさらに進んでいるという状況にあり、また3市それぞれ特色もあるとお伺いしました。事務局からその点で補足がございますか。

(事務局)
 それぞれ政令指定都市の担当者とお話しする機会がありまして、横浜市と川崎市については、単独で再犯防止推進計画として策定する予定ですが、相模原市については、地域福祉計画に再犯防止を盛り込む形で策定をされるようです。三市ともいずれも今年度中に、策定をされる予定となっております。補足としては以上となります。

(小西座長)
 ありがとうございます。県内の政令指定都市については、お話いただいたような形で進んでいるということです。先ほど横須賀市もあがりましたが、その他の市町村でも、計画策定について進んでいると思いますが、いかがでしょうか。

(野﨑委員)
 横浜刑務所は小田原市とか、横須賀市にも支所がありますので、そのオブザーバーや委員で参加させていただいています。横須賀市も政令指定都市の様子を見ながら、第1回委員会を立ち上げたところです。話を聞いた限りでは、まだ再犯防止推進計画の具体的なイメージはできていない感じで、横浜市とか川崎市の策定の様子を参考にするようです。横須賀市の関係課長が集まって、第1回の集まりは勉強会のような形で開催されました。間を空けて2回目が開催される予定です。

(小西座長)
 ありがとうございます。久里浜少年院も同じ関係ということで、いかがでしょうか。

(杉村委員)
 横須賀市の方は、いわゆる連絡会議という位置付けで立ち上げまして、趣旨としては、顔の見える関係をまず作って、情報共有をするというスタンスでスタートをしているのかなという感じです。野﨑委員の方からお話があったとおり、県、横浜市、川崎市あたりの動きを参考にしてというところが若干あるかなと思います。顔の見える関係づくりというところで、再犯防止に係る担当者いわゆる出先機関等がある程度顔を突き合わせそういうような場を作ろうという形かと思います。

(小西座長)
 今までは、矯正施設の所在都市ということで、市の関係者の方と一緒に協議会を開くことは特にはなかったのですか。

(杉村委員)
 具体的には、そういう関係では少なくともなかったと思います。ですので、横須賀市としては相当大きな一歩という感じはしております。

(小西座長)
 今までなかった国の機関と市との関係において新たに顔の見える関係づくりを進めていくということは大きな一歩というようにいえるのではないかと思います。
では、事務局から他の市町村の策定状況についてお願いします。

(事務局)
 今月、県内の市町村に対して策定状況の調査を行いました。今のところ33団体中22団体程度回答が届いております。すでに計画の策定を予定しているのは4団体ございまして、それについては茅ヶ崎市、厚木市、座間市、開成町となっております。茅ヶ崎市については、単独で再犯防止推進計画を作る予定となっておりまして、その他3市町については、地域福祉計画と一体的に策定の予定となっております。座間市については、まだ具体的な策定予定日は決まってはいないのですが、茅ヶ崎市、厚木市、開成町については、令和3年3月に策定の予定となっております。それ以外の市町村については、まだ、計画策定の予定はなしということで回答をいただいております。以上です。

(小西座長)
 ありがとうございます。調査をされた結果、茅ヶ崎市、厚木市、座間市、開成町が策定予定ということで、茅ヶ崎市は単独で再犯防止推進計画を策定予定で、他の市と町に関しては、地域福祉計画と一体化したものを策定予定ということで、さらに今後の調査結果について、より明らかになった際には、今後、委員の間でも情報共有をするようにしてください。
 やはり市とか、さらに町や村の場合には、単独で作っていくことは自治体の体力としてもなかなか難しい面があるかと思います。その際には、県と協力した上で、県が再犯防止推進計画の意義などについて、より理解を深めていけるように支援をしていくことが大事になっていくのではないかと思います。

(小西座長)
 では、続いて、本日ご参加いただいている各団体の取り組みについての情報交換をさらに進めていきたいと思います。では、白戸委員からお願いします。

(白戸委員)
 私どもはハローワークを所管しておりまして、平成18年度から刑務所出所者事業について続
けています。実際に昨年度より、職場定着支援部分が手厚くなり、現在、継続して事業を行っているところです。様々な地方再犯防止推進計画の策定の手引き等を拝見させていただいたところ、障がいをお持ちの方の再犯率等について記載があると思います。ハローワークの職員に現状についてはどうなのか聞いてみたのですが、実際に刑務所出所者の方で障がいをお持ちでないかと思われる方、実際に手帳をお持ちということは明言はしないが、手帳をお持ちと思われる方についても、ご相談をいただいたりするということでした。実際に手帳をお持ちと申告いただき、ハローワークをご利用する方は数が少ない状況です。ただ、各企業が、障がいをお持ちの方を雇用するケースが増えている中で、雇用いただく企業に対して、障がいと刑務所出所者ということについて、二重の配慮を求めなければならないところが、今後の課題かと思います。特に就職先として多い建設関係は、どうしても危険な作業を伴う仕事が多いことなどから、障がい者雇用への理解が進んでおらず、難しい部分があるかと思います。ただ、二重で配慮いただく部分について、事業者の方に、どのようにご理解を頂くか、どういう支援をしていかなくてはならないかというところが課題であると個人的には思ったところです。その辺は委員の皆様と連携しながら実際に協力雇用主の方たちに対して、障がいをお持ちの方の支援をどうするのかを考えていきたいと思います。また、障がいをお持ちの方を受け入れる施設、受け入れて訓練をしていただけるような就労移行支援事業所の方にもお話を伺ったのですが、そういった障がいをお持ちで出所された方の支援をするケースもあるそうです。ただ、就労移行支援事業所もその規模や環境によって違いがありますので、マンツーマンでの支援や先ほどお話にもありましたが、性犯罪や暴力等、その犯罪の内容によっても支援の仕方がいろいろと変わってくるのではないかという部分についても、委員の皆様にご助言をいただけたらと思っております。

(小西座長)
 ありがとうございます。刑務所出所者で障がいをお持ちの方の就労支援における課題、また、その際の支援、理解について連携を図りながら行っていくことの重要性ということで、白戸委員からお話がございました。この点について他の委員で何かご発言がありますでしょうか。支援というところの連携は、委員の関わるそれぞれの団体や機関の間でも行っていく必要があるというようなことでございましたが、いかがでしょう。

(原田委員)
 今の白戸委員からのお話で、刑務所から出所した方の障がい者手帳の取得の関係ですけど、例えば障がい者手帳取得ですと、市町村の障がい福祉課の方が事務を担当すると思いますが、例えばハローワークと市町村の障がい福祉課との連携ということで、会議等はあるのでしょうか。

(小西座長)
 白戸委員お願いします。

(白戸委員)
 障がい者関係は事業としても元々古くから行われている事業なので、他の団体や市区町村の方等と密に連携させていただいております。特に協議会等で連携して、顔の見える関係というのは続けているところです。手帳取得後の就職支援や知的障がい者の方が認定を受けた後の支援で連携をさせていただいております。

(小西座長)
 他によろしいでしょうか。続きまして、竹内委員、お願いいたします。

(竹内委員)
 就労支援事業者機構の竹内です。私どもの団体は非常に小さな団体ですが、保護観察所に登録されている協力雇用主を支援しながら再犯防止に力を尽くそうという団体でございます。事業では、協力雇用主も、実際の雇用ケースがないと、なかなか士気も高まらないところもあり、ここ5年ほどは保護観察対象者の求職先として協力雇用主とのマッチングに努めているところです。当初は、私たちも、どういう協力雇用主がいらっしゃるか、よく分からなかった時期もありましたが、5年近く経つなかで、よく見えてきました。対象者の一人ひとりのことを考え心配する気持ちの高い事業主もいれば、正直申しまして、人手不足の解消だけを考えている事業所もあり、私どもは、その辺も見極めながら、就労へと繋げているところでございます。保護観察所に登録している協力雇用主は600事業所と伺っていますが、こうした事業所と日常的に接触しながら、社長はこの事業にどういう考えをお持ちなのか、職場の中にはどんな人がいるのか、どういう仕事内容をされているのか等を十分把握しながら、対象者とのマッチングに努めているところでございます。協力雇用主の数を増やそうと、他県では1000以上の事業所が登録されているところもありますが、私たちは数ではなく質を高めていく、協力雇用主としてふさわしい事業所になっていただくことが、この事業の伸展に効率的ではないかと考え、事業主とは、就労支援や更生保護事業とはどういうものかを話し合いながら、協力雇用主として育てていくことを行っているところです。また、私たちのところには、多くの年少少年がみえますが、彼らが何をしたいのか、どんな仕事があるかも分かってないこともあり、ハローワークに行っても求職活動が進みません。職場体験や就労体験がない少年には、仕事の話をしてもなかなか難しいものがあります。そこで私どもは、様々な関係機関と連携して、彼等に職場体験、就労体験を行うことについて計画中です。弁護士会、家庭裁判所、県警、横浜市の方に話を持ち掛けて、計画を練って、進めようとしているところでございます。また、11月5日に創立10周年の記念行事を行う予定です。10年間の総括ということですけども、多くの皆様に、事業の周知を図る目的もありますが、協力雇用主の声を集めた寄稿集や対象者の支援の事例集を発行して、それを配布しながら、地域の方に協力を求めていこうという計画も立てているところでございます。

(小西座長)
 ありがとうございます。10周年の事例集はホームページとかで公開されるのですか。

(竹内委員)
 小冊子にするつもりです。

(小西座長)
 就労支援事業者機構におかれましても、とりわけ協力雇用主の方は、実際に対象者に支援をしていくことが大事なわけであって、それをしていく事業者を育てていくということで、現在いろいろと取り組まれている。また、非行少年に関しても、就労体験や職場体験の取組を行われていることもご紹介いただきました。その点について、他の委員でご発言ありますでしょうか。白戸委員、お願いします。

(白戸委員)
 今、お話しいただいた特に協力雇用主さんは建築系が多いと思いますが、今、人手不足産業ということで、建築、警備、運輸、介護、この事業の求人が非常に増加していて、有効求人倍率が非常に高い状態になっています。ハローワークにも、人手不足で困っていることから、理解がないままに求人依頼をしてくるケースが非常に増えていると聞いております。竹内委員が言われた協力雇用主を育てていく事業をしていただくことで、受け入れ先の方が育っていくと、このような状況が解消されていくのではないかと思います。人手不足産業の企業は、様々なことをやっていらっしゃいます。実際に高校生向けにセミナーを行うこと等、それこそ若いうちから育てていこうっていうケースが多くなっていて、協力雇用主の方たちも参加して頂けるとよいかなと思います。

(小西座長)
 竹内委員よろしいですか。

(竹内委員)
 ある都市では、協力雇用主になると公共工事入札の参加資格に優遇措置が得られる制度があるので、それだけを目的に、協力雇用主に登録を申し出る事業者もなくはありません。ただ、登録の切っ掛けは、そのようなことであっても、私たちは事業所と接触し、話し合っていくなかで、事業への協力に関心を高めてもらえるよう働き掛けており、実際に対象者を雇用してくれた事業者もありました。日々の活動を地道にやりながら、協力雇用主を育てていく努力していきたいと思います。

(小西座長)
 では、続きまして山下委員お願いします。

(山下委員)
 お手元にブルーのパンフレットをお配りしていますが、県地域生活定着支援センターという名前で、制度としては10年目になります。神奈川県からは受託をして9年目になります。制度としては、特別調整や一般調整という仕組みが新たにできたということで、保護観察所と矯正施設と協働しながら、三者で行うものとなっております。網走、高知、秋田等を回る全国ネットの取組となっております。それから、パンフレットを開けていくと、私たちが支援を行っている特別調整の方々の要件が、左の上にあります1から6の方々になります。読んでいただきますと、高齢・障がいある方、退所後住居がない方とあります。そのほかにもいくつかありますが、一番ハードルが高いのが、5番の特別調整の対象となることを本人が希望していることとなります。
 業務内容は左の下の1から5まであります。少年院、刑務所から地域へ出すこと、それから出した後に引き続きずっとフォローしていくこと、それから会議等が含まれる啓発活動が私たちの業務内容になっています。現在、新規件数35件を受けていますが、昨年度からの継続もありますので、今日現在44件の新規のケースの方々の出所後の対応について、職員で全国飛び回っている状況です。それから、放火の関係だとか、性犯の関係とか、薬物依存、アルコール依存ですね、それからクレプトマニアといわれる方々、こういった累犯の障がい者も含めてですけども、非常に関わり方に工夫の必要な方々の依頼が多くなってきています。こういった方々が地域に戻る際にどのようにフォローを行っていくかという所で、非常に日々苦労していうところです。地域生活定着支援センターの取組としては以上です。

(小西座長)
 ありがとうございます。山下委員から地域生活定着支援センターの仕組みや、その現状についてお話をいただきました。とりわけその中でも、ハードルが高いのが支援対象者について特別調整の対象となることを希望しているかどうかという点である旨、お話をいただきました。当事者の方の動機づけは非常に重要なことだと思いますが、山下委員の中で心がけていらっしゃることが何かございましたらお話しいただければと思います。

(山下委員)
 支援対象者と何回も会うことができないので、信頼関係をどのように作っていくのかということを心がけています。今まで10回から20回刑務所に入っていても福祉と接点が全くない人もかなりいらっしゃいます。ソーシャルワークの一つでもありますが、本人の犯罪に至った背景等をじっくり話を聞きながら信頼関係を短い時間の中でも作っていき、矯正施設出所後も手厚く支援をしていく。当然私たちだけでは難しいので、地域ネットワークを作っていき、地域の中で犯罪をしないで生きていけるよう関わっております。

(小西座長)
 ありがとうございます。信頼関係をつくっていく大切さということでお話いただきました。では、中村委員お願いします。

(中村委員)
 1つ目は、検察庁の刑事政策総合支援室におきまして、福祉的支援があれば、再犯のリスクが減るということで、障がいの方や高齢の方に対して、社会福祉士の面談で支援につなげるという取組を数年前からしております。月水金と山下先生に来ていただいて、面談を行っていただいております。そこにつなぐためには、検察官が被疑者に対して、この人は福祉的な支援があれば、立ち直れるのではないかと気づくことが大事なので、発見する力っていうのを検察官につけていかなければいけないと思っています。明らかにホームレスの方や、生活保護がなければ暮らしていけないような方とか、明らかに重い知的な障がいの方とかであれば、気づきやすいのですが、抱える問題が複雑な場合や見えにくい場合には、見過ごしてしまうことがある。見過ごしてしまうことによって、1回目不起訴にして地域に戻り、2回目を起訴にして執行猶予がつき、また地域に戻るというように、刑事手続きに乗っては降りるということを繰り返し、最後に、刑事施設にという負の連鎖が起こってしまう。それについて考えていくために、研修や教育が必要だなと考えているところで、今、総務部の方では司法修習生の指導も担当しているので、司法修習生の万引きの在宅事件を何件か担当してもらって、直接社会福祉士の人の面談を傍聴したり、福祉事務所に対する同行支援に一緒に行ってもらったりと、神奈川県で弁護士さんになっていく人たちに、様々なことを知ってもらうことによって、弁護士会との連携も深めていきたいと思っております。また、9月には弁護士会のほうに入口支援の話を行ってほしいと言われているので、参加をさせて頂いて、できるだけ私達法曹界における刑手続きの中で、支援が必要な人を発見する力をつけていくことが、裾野を広げる意味で大事だと思っております。
 2つ目は、先ほどお話ししました再犯リスクが高いけれども、支援するのが容易ではないと
いう児童虐待の加害親の人や摂食障害を持つ累犯万引きの人や知的障がい等をお持ちの性加害行為の繰り返しのある方に対する支援については、様々な機関が協力してやっていかなきゃいけない。被害者のためにも喫緊の課題だと思っているので、現在、医療の関係者との関わりを一生懸命作っていこうとしているところです。
 3つ目は、県警の方にお願いがありまして、私達のところで、初めて不起訴にする前に微罪処分で1回検挙されるけれども、地域に戻る方がいらっしゃるので、微罪処分の時にも、福祉的支援に繋がるような仕組みがあるとよいと考えております。また、送致をしていただくときに、送致書の添付書類として、チェック表のようなものがあるのですが、愛知県では送致書のチェックリストを作るときに、障がい者手帳の有無や被害者側に弁護士さんいらっしゃるかどうかとか、福祉とか被害者支援等のチェック欄があるので、例えば、県警にもそのようなチェック欄があると、検察官たちも手帳をお持ちの方である等の気づきが生まれやすいと思います。神奈川県警の方でもその福祉的支援に繋がるような項目について送致書のチェック欄をご検討いただければ、より早期の段階で、福祉に繋がって再犯が抑えられるのではないかと思っています。せっかくオブザーバーで県警の方もいらっしゃるので提案させていただこうと思いました。

(小西座長)
 ありがとうございます。中村委員からは、まず、今後つなぐことを積極化していき、円滑に行っていく上で検察官が気づき、発見する力をつけていくことの必要性、研修及び教育等を通じてそうした場を作っていくということをお話しいただきました。次に、児童虐待事案の加害親、摂食障害のある万引累犯や性加害行為のようなリスクを持つ者への支援においては、医療との関わりを、今後、検討していくことが必要であるとのことでした。最後に、微罪処分の際の支援を今後検討していくことが必要ではないかということで、具体的にはその送致書に手帳の保持の有無についてのチェック欄を設ける事等のご提案もいただきました。今回出席されているオブザーバーの県警の方で何かお話しいただけますでしょうか。

(オブザーバー県警本部人身安全対策課)
 今、ご提案頂きました微罪の時の福祉に繋がる用意や送致書のチェック欄のところに手帳の有無をつけるということがありました。県警独自で提案しても難しい部分があるので、ご提案頂きました件も含めて、検察庁と協議しながら検討していければと思っております。

(小西座長)
 ありがとうございます。初期段階となる微罪処分等の段階では、障がいがあり又は高齢であり、そして軽微な犯罪を繰り返す対象者を発見する機会がかなり多いのではないかと思います。警察庁の方からお伺いしたところでは、微罪処分になった高齢者について、地域包括支援センターにつなぐことを勧奨しているということでした。そのような動きもあるということで今後より警察との連携も大事ではないかと思います。では、続きまして杉村委員お願いいたします。

(杉村委員)
 久里浜少年院は特殊な少年院で、全国少年院の中の位置付けとしては、最後の受け皿の位置付けのようなものになります。県の再犯防止推進計画の中で、力を入れて取り組んでいる内容としましては、非行の防止等という部分で、具体的施策の中で申しますと、神奈川県立総合教育センターが行う研修を、県内の矯正施設と連携して企画・実施するなどして、少年非行の未然防止について、教職員の理解を促すという部分になります。この夏休みに、県の先生方の研修という形で受け入れさせていただきました。学校の先生に来ていただいて、実際の少年を見ていただくという試みになります。昨年度まで神奈川医療少年院で行っていた事業を今年から久里浜少年院が引き継いだという形になりますが、昨年度までの神奈川医療少年院の場合ですと、いわゆる発達障がいを持つ少年たちにどのような支援ができるかというテーマがあるものですから、特別支援学校の先生方が非常に多く参加されるような傾向がありました。今年もその傾向を引き続いた形になりまして、教育委員会の方を含めた事前打ち合わせの段階で、具体的なこのような支援をすると上手くいきますという成功事例を提案するということであれば、久里浜少年院ではなく、別の少年院の方が良いというお話をさせて頂きました。どちらかというと久里浜少年院は成功事例のケースよりは、何度も失敗してしまった子が最後に来るところなので、失敗事例は多くある傾向にあります。そのような傾向を踏まえて、久里浜少年院という最後の砦と言われる少年院にいる子どもたちが、決して極悪非道の悪がいるわけではなくて、福祉の方でも支援が難しく、医療の方でも対象ではないという形ではじかれ、少年院という仕組みの中で、久里浜少年院で受け入れるしかないような子どもたちがいるということをご理解していただくという趣旨で研修を受けていただきました。「明日のジョー」の世界のようなものではなく、多くの理由から様々なセーフティーネットをくぐり抜けて落ちてしまう子が最後に行きつく少年院だというようなことを先生方にご理解いただく趣旨でお話をさせていただきましたし、そういう理解をしていただいたと手前味噌ながら評価をしております。非行の防止という施策の中に少年非行について、関係職員の理解を促すという項目がありますが、暴走族でブンブンやっていわゆる若気の至りで少年院にいるような子どもたちばかりではないということは、きっと先生方も充分ご理解いただいていると考えているのですが、子どもの質が変わって少年の非行犯罪の性格が変わって、どちらかというと拠り所がなくて、どこのセーフティーネットにも引っかからない或いは引っかかったのだけれどもそれを利用できずに放り投げてしまうような子たちが非行少年となり、少年院に入っていくような形になっているということを広く理解していただくために、研修をさらに受け入れていきたいと思います。
 また、教育委員会をはじめ、いわゆる県再犯防止推進計画にあります非行防止の観点で様々な研修で少年院を是非利用していただきたいと思います。最後に、久里浜少年院は、自分たちの専門性をさらに向上させようということで、近隣にございます文部科学省所管の特別支援教育総合研究所、特総研って呼ばれる施設ございますけれども、そちらの方といろいろと協力関係を作りながら、久里浜独自でできることってもっと他に何かあるのではないかという形で様々な勉強を進めているところです。様々な意味で、今の少年非行、少年矯正の現状ご理解いただく上で、どういう形でも発信していきたいと思いますので、ぜひ活用いただければと思いますし、我々も力を尽くしたいと思っております。

(小西座長)
 ありがとうございます。実際、この夏休みも、神奈川県立総合教育センターの教職員の研修を受けられたということや、県再犯防止推進計画の具体的施策に関係する部分で、成長過程でなかなか上手くいかなかった少年達が多いけれども、実際収容されている少年がどうなのか、現状を見てもらうことの意義についてお話しいただきました。続きまして大津留委員お願いします。

(大津留委員)
 私の方から、県再犯防止推進計画に記載されている取組の紹介等、最近の様々な相談受けている中での問題意識ということをお伝えさせて頂ければと思います。県再犯防止推進計画の31ページに、横浜法務少年支援センターについて記載させて頂いております。こちらも併せてお読みいただければと思います。大前提として、横浜少年鑑別所の中、外部からの相談を受け付ける別称として横浜法務少年支援センターを設けさせていただいております。平成27年に新しく少年鑑別所法が制定されまして、それに基づいて、外部の関係機関或いは一般の方からの相談を受け付けているところです。我々の強みは何かというところですが、鑑別業務で培ってきたアセスメントと考えております。鑑別というのは家庭裁判所から依頼を受けて、4週間弱ぐらい少年の収容をおこなっている間に、その少年の性格傾向や何が犯罪、非行に繋がっているのかということを分析することで、その点を生かして、関係機関からご依頼いただいております。少年矯正の現状でいうと少年鑑別所、少年院に入る数は非常に減っておりますけども、法務少年支援センターの活動は、平成30年で500件その前は400件、1年ごとに100件ずつ増えているところで、今年も予測として150から200件以上増えるのではないかという状況で、取組を行っているところです。県再犯防止推進計画の中に入れていただきましたが、少年の中でも児童相談所或いは県警の少年相談保護センター等と様々な少年非行の関係する団体あり、重複する部分もありますが、それぞれ役割分担とそれぞれの立ち位置を明確にしつつ、お互い棲み分けをしながら連携していくのが良いのではないかと思っています。それで言うと、私達も心理を専門にしている職員が多数おりますので、知能検査や性格検査が無料でできますので、そこを生かしてアドバイスをさせていただいております。最近は、虐待が混じっているケースで、鑑別所内もしくは通所している施設内において、問題行動の事例も増えております。少年、もう少し上の年代も増えてきておりまして、最近、家庭内暴力の事件とか幾つかありましたけど、その関連で相談が増えてきているというところでございます。関係機関の方や保護者の方が来ていただいて相談いただく際に、よく申し上げるのは、アセスメントした上で実際関わっていただく方々にはぜひ問題行動が終わった後、小康状況が続くのですが、一旦何となく関係者の方も安心してちょっと目を離すというか、一瞬手がゆるむ時期があります。この時期は、対象の方は努力している時期でもありますので、ちょっと良くなったときに褒めることや、もしくは指導しなきゃいけないということをアドバイスさせていただいております。アセスメントと同時に、どのような関わり方が良いかお話させていただきますけども、関係機関との役割分担もそうですし、様々な対象者がいらっしゃいますので、それに向けたアドバイスが必要かなと思います。最後に、検察庁の方からのご依頼を受けまして、入口支援ということで被疑者段階での知能検査もしくは認知症の検査もさせていただいておりまして、そういう点でも、連携を深めているところでございます。

(小西座長)
 ありがとうございます。横浜法務少年支援センターにおいて現在行われている取組等についてご紹介いただきました。では、野﨑委員お願いします。

(野﨑委員)
 再犯防止に向けて、刑務所で行っている取組を紹介させていただきます。大きく分けて3つありまして、「刑務作業」と「教科教育」と「改善指導」になります。
 「刑務作業」とは、もともと犯罪者は勤労意欲や習慣がなかったりすることがありますので、勤労に意識を向けるのが、主な目的です。その他に資格や技能を身につけるための職業訓練なども様々行っています。建設機械や電気工事とか、かなり高度なプログラムができる人を養成するということから、基本的なパソコン作業等があります。それは全国の刑務所がいろいろな科目をやっていまして、受講希望な人間が審査に通れば、その刑務所に移送されて訓練を受けて帰ってくるというものです。
 「教科教育」は、学力が犯罪に起因している人もいますので、高卒認定の資格を取ることや基礎学力が足りない人に対しての基礎学力を身につけさせます。
 「改善指導」とは、全国の刑務所でも行っていますが、R0からR6という分類に分けてプログラムを実施しています。
 R0とは、一般改善指導と言われるもので窃盗防止指導や特殊詐欺いわゆるオレオレ詐欺に関わった人間に対する改善更生プログラムであるとか、アルコール依存、そして暴力防止ということで、妻子を衝動で殴ってしまう人たちに対してのプログラムです。
 R1は薬物離脱指導になります。
 R2は暴力団の離脱指導です。これは県警の助力等をいただいて、暴力団を出たいという意思表示をした人に対して、暴力団の方で離脱を認めさせてもらうようなご協力をいただいています。
 R3は性犯です。性犯の再犯率が非常に高いので、各施設で様々な分担をしていますが、再犯率の高い高密度、中密度、低密度と分類をさらに分けて、各施設が得意とするプログラムを持って行っています。高密度、低密度というのは、要は再犯率の高い人で、強姦とか重大なものだけではなく、下着泥棒とかでも、衝動を抑えられずに、とにかく行ってしまう人は分類の中では高密度に入ってくることがあります。
 R4とは被害者の視点を取り入れた指導ということで生命犯になります。人を殺してしまった人に対する生命犯の倫理に対する教育になります。今月で申し上げると、例えば大阪の池田小学校事件の実際に子どもを亡くされたお母さんが被害者の視点から人を殺してしまった人達とディスカッションして、被害者の気持ちや加害者と被害者の視点のずれ等をお話しして頂きました。自分のお子さんを亡くされた方ではありますが、冷静に一人一人に対して、アドバイスのような発言をされていました。
 R5とは交通安全の教育です。刑務所に来る方の交通安全の教育は切符を切られた人たちに対してではなく、悪質な交通違反です。繰り返し免停を受けていながらもその事故を起こすまでの交通違反をしてしまう等、そういう人たちのプログラムになります。
 R6とは、就労支援です。働きたいという意思を示したときにどういった障がいがあるかということを考えながら、就労に結びつけるということになります。今年に入ってまだ9件ですけども、在所中に内定をいただいて、出所と同時に働いて、住居等の環境整えてもらうプログラムになります。特別改善指導として、受刑者早い段階で調査して、生い立ちなども詳しく調べて必要だと思われるプログラムに組み込んで在所中に刑務所の中で可能なことを行っていく。ただ、課題としては、出所後に、対象者によって、医療や福祉に結びつけるのか、もしくはその就労先さえ見つけてしまえば再犯しないのか等、そのような出口支援を調整しなければならない。このようなことを山下委員等、ご協力いただいて行っています。ちょっと話題の中で出てきましたが、福祉に40年、50年過ぎても1度もそういったご縁をいただいたことがないまま最後の刑務所までたどり着いてしまって、そこでも手帳のことをよく分からずに、助けるために、手帳を持たせるよう支援する人もいます。最近、確か山下委員の方で手がけた人だと思いますが、障がいのことを言うと母親に叩かれた経験があり、手帳が欲しくても私はもらえなかったっていうような人を調整してもらったことがあります。要は刑務所でいろんなプログラムを組んで、相当な期間やったとしても、その後社会に出すときにどういったところに上手につなげていくかということが一番難しいところでしょうか。

(小西座長)
 ありがとうございます。刑務所における作業、教科指導、改善指導といった矯正処遇についてのお話と課題ということで、社会に出る時に、どのようにつなげていくかが課題としてもたれているというお話をいただきました。だいぶ時間もおしてしまっていますが、各機関団体からの重要なご意見、ご指摘をいただいています。終わらない場合には次回続きからというのは可能でしょうか。事務局としていかがでしょうか。この後も一言二言ずつというよりも次回から続きを行い、各機関団体の方からご意見、ご指摘等を頂いたほうがよいかと思います。

(事務局)
 会場の使用時間がありますので、可能な限り行いまして、今回説明できなかった皆様には、次回、ご意見、ご指摘を伺いたいと思っております。

(小西座長)
 では、可能な限り進めさせていただきます。三本松所長お願いします。

(三本松所長)
 本日お集まりの各機関団体に所属されている委員の皆さんには、日頃からお世話になっております。私どもは、皆様方が所属している機関団体と連携をとりながら日々の処遇を進めさせていただいております。保護観察所から再犯防止施策の取組状況につきましては、本日2枚ものカラーの両面印刷の資料の方を添付させていただきました。国の方の再犯防止推進計画は、5つの方針で7つの重点事項に基づいて計画されております。7つの重点事項それぞれについて、すべてではなく、簡単ではありますが、保護観察所の取組状況について記載させていただいたものです。これまで他の機関団体の皆様方が発表された内容等も含まれておりますので、手短に説明させて頂きます。最初に就労の確保のための取組ということで、ハローワークをはじめとして、神奈川県の就労支援事業者機構の皆様と協力雇用主の皆さん方にお世話になっております。保護観察所の方に登録いただいている協力雇用主は600を超えております。今、日々雇用者数は常時60名を超えているという段階ですが、正確に言うと、対象者を雇っていただいている会社の数が60社を超えていて、1社に複数名就職している場合もありますので、対象者の数としては80人、90人が常時就職しているということになります。問題は就職した後の職場定着にもあるということで、これは県の方からの委託を就労支援事業者機構の方で受けまして、平成30年度の例でいえば、就労支援の対象者と雇用主、合わせて80名以上の方々と延べ350回に及ぶ面談或いは電話等を行い、就職した後も接触を保って職場定着を図っている事業になります。国の方でも注目しておりまして、おそらく次年度の予算要求の中にも盛り込むのではないかといわれております。次のページに、住居確保のための取組ということで、更生保護施設や県内にあります自立準備ホーム、また特別調整を経た住居確保ということで、地域生活定着支援センターの皆様と連携しながら、取り組んでいるところでございます。この写真の施設は小田原にあります報徳更生寮の施設でございます。薬物依存を有する者への支援のための取組ということで、刑の一部の執行猶予制度が導入され3年目になり、一部猶予で薬物事犯者が仮釈放或いは実刑満期後に2年、3年間、保護観察所の方でプログラムを受けながら保護観察を実施する対象者が非常に増加して参りました。これは全国的な傾向かと思います。こうしたプログラムにも、県の精神保健福祉センターや医療センターの方、またダルク等の民間団体の方々にプログラムのアドバイザーとして参加していただいて、連携協力を確保しているところでございます。引受人や家族会の開催も年3回開催しておりますし、また医療機関、保健所等を交えてケースカンファレンスも年間複数回開催しているところでございます。4番目は、学校等と連携した就学支援の実施のための取組、5番にそれぞれの特性に応じた効果的な指導等の実施のための取組ということで、ここに薬物事犯以外の性犯罪や暴力防止あるいは飲酒運転防止といった、今、保護観察所が持っている処遇プログラムの残り3つについてもこちらの方で記載してございます。また、犯罪被害者等の視点をとり入れた指導等ということで、更生保護の機関が実施している被害者の視点をとり入れた取組を記載してございます。社会貢献活動につきましても、今本格実施されて数年経過しますが、県内21ヶ所で、平成30年度に95回ほど社会貢献活動を実施し、延べ208名の対象者が参加しております。6番目に民間協力者の活動の促進、広報啓発活動の推進のための取組ということで、特に今、県内で各保護司会の団体ごとに更生保護サポートセンターの設置を国の方でも進めております。暫定設置も含めて現在27ヶ所ということで、可能な限り、本年度中に、もっと多くの保護司会により対応する自治体においてこのサポートセンターの開設に向けて取り組んでいるところでございます。ただ、今この更生保護を支えていただいている民間ボランティアの一番大きな団体であります保護司の適任者の確保という課題があります。神奈川県では保護司の定員が2,001名のところを、8月1日現在で保護司件数が1,710人ということで充足率が85.5%になっております。全国平均が大体90%ありますので、神奈川県では若干全国平均を下回っているという段階です。ここ2、3年、少しずつですが、充足率が低下してきている現状にあります。この現状を何とか歯止めをかけて更生保護の裾野を広げる民間の立場で更生保護に参画していただける方々をいかに増やしていくかということで、県内のそれぞれの市町村自治体の方にも働きかけをしながら、保護司適任者の確保に努めるようということで準備を進めている所でございます。
 その地方公共団体との連携強化のための取組ということで、ここには地方再犯防止推進計画について書かせていただきました。県の方で、本年3月に全国の中で本当に早い方の部類で再犯防止推進計画を策定していただきまして誠にありがとうございます。これを受けて、先ほどお話がありましたけども、横浜市、川崎市の政令市でそれぞれ地方版の再犯防止推進計画の策定が進んでいるところですし、相模原市におきましても、地域福祉計画への盛り込みということで、まさに今日その協議会が開催されておりまして、私どもからも派遣しているところでございます。先ほど県の方から県内の市町村の状況につきまして、照会をした結果についても、ご報告をいただきましてありがとうございます。この中に上がっていなかったのですが、県の西にございます小田原市は更生保護施設所在地になりまして、また小田原少年院は廃庁となりましたけれども、まだ拘置所も残っているということで、私どもとしては小田原市につきましても非常に重視している市町村の一つに考えているところでございます。市の方の福祉関係の部署に対しましては、こうした地方における再犯防止推進計画の進捗状況をご説明しながら、こちらの方から勉強会を開催しませんかということでお話を仕掛けているところでございます。先日、小田原市長が、担当部署の担当者を伴って、小田原の報徳更生寮の方に直接視察に訪れて、職員の方々と意見交換をするという貴重な機会を持っていただきました。保護観察所としてはこうした機会を逃さず、そのあとの取組の推進について、市の方にも働きかけをして参りたいと考えております。保護観察所の取組としては以上になります。保護観察所のみで実施している取組もございますが、県内の関係機関の皆様と手を携えながらこうした再犯防止の施策を進めているところであります。引き続きご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

(小西座長)
 ありがとうございます。時間が迫っていますので、後半の委員の皆様のお話は次回いただければと思います。最後に、東京矯正管区の方からお話お願いします。

(オブザーバー東京矯正管区)
 矯正管区の方から作成している広報誌の方をご用意させて頂きまして、机上に配らせて頂きました。矯正施設所在地自治体会議ということで、県内では横浜市と横須賀市に御参加いただいている矯正施設がある首長さんが集まり、意見交換会が開催されていることのご紹介、また裏面にはまた高齢者の犯罪についての紹介をさせて頂きました。先ほど山下委員から対象者が福祉に入ることが難しいというお話がありましたが、左下の方に社会復帰支援プログラムという取り組みのご紹介を記述しておりまして、こういったこともご参考にして頂ければと思いまして、ご用意いたしました。

(小西座長)
 今回、半分の委員からとなりましたが、現在取り組まれている活動やそのなかで出てきている課題について重要なお話がたくさんありました。今後も再犯防止推進会議の場において、各機関団体の取組等の情報交換を行っていき、再犯防止の推進をより一層連携して行っていければと思いますので、次回の会議でもう半分の委員の皆様からお話しいただきたいと思います。そのほか事務局からお話がありますでしょうか。

(事務局)
 次回の推進会議につきまして、年明けの1月から3月の間を予定しております。日程調整をさせて頂きまして、開催とさせていただきたいと思います。内容としては、引き続き情報交換を行っていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

(小西座長)
 次回は情報交換を主に行って、来年度以降、本日ご検討いただいた形での評価という段階に進んでいきたいと思いますのでよろしくお願いします。皆様よろしいでしょうか。では、これをもちまして本日の議事は全て終了としたいと思います。本日長い時間ではありましたが、ありがとうござました。また次回もよろしくお願いいたします。

会議資料

次第・委員(PDF:160KB)

【資料1】本県計画の進行管理について(PDF:130KB)

【資料2】全体取りまとめイメージ(PDF:162KB)

【参考資料1】神奈川県再犯防止推進会議設置要綱(PDF:272KB)

【参考資料2】神奈川県再犯防止推進計画・概要版(PDF:700KB)

【参考資料3】都道府県及び指定都市の計画策定状況(法務省調査結果)(PDF:131KB)

【参考資料4】地方再犯防止推進計画策定の手引き(法務省)(PDF:787KB)

【参考資料5】法務省に寄せられた要望事項への回答について(法務省)(PDF:254KB)

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