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更新日:2023年12月27日

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平成17年度第2回 神奈川県福祉の街づくり推進協議会(議事録)

福祉のまちづくり推進協議会の平成17年度第2回会議議事録です

 
  1. 日時:平成18年1月23日(月曜日) 14時~16時
  2. 場所:神奈川県民ホール 大会議室
  3. 出席委員:26名(左記のうち代理出席5名)
    鎌田委員、斎藤委員、高橋(儀平)委員、河合委員(代理)、大島委員、石橋委員、沖津委員、瀬戸委員、藤本委員、平山委員、佐藤(嘉明)委員、神内委員、高橋(正人)委員(代理)、赤澤委員、牧野委員、木原委員、藤井委員、横林委員、立松委員、加藤委員、江井委員、宮川委員、馬場委員(代理)、増田委員(代理)、近藤委員(代理)、稲垣委員
  4. 議題等
    • 議題1 商業施設のバリアフリー化について
      1. 商業施設のバリアフリー実態調査結果について
      2. バリアフリーアドバイザーの実施状況について
      3. 小規模商業施設のバリアフリー化について
    • 議題2 障害者団体の要望について
    • 議題3 その他
      1. 委員の公募について
      2. 県有施設のバリアフリー実態調査について
      3. 福祉有償運送の実施状況について
      4. カラーバリアフリーの取組について
      5. ユニバーサルデザインの研究について
    • 情報交換
  5. 資料
    • 資料1-1 商業施設におけるバリアフリー実態調査結果報告書
    • 資料1-2 平成17年度バリアフリーアドバイザー派遣実施報告
    • 資料1-3 小規模商業施設のバリアフリー化の推進について
    • 資料2-1 福祉のまちづくりに関する障害者団体からの平成17年度要望
    • 資料3-1 神奈川県福祉の街づくり推進協議会の委員を募集
    • 資料3-2 既存県有施設バリアフリー化進捗状況について(平成17年度)
    • 資料3-3 福祉有償運送に関する神奈川県施策について
    • 資料3-4 平成17年度カラーバリアフリーの取組について
    • 資料3-5 部局共同研究「ユニバーサルデザイン」
    • 資料4-1 情報交換案件
    • 参考資料 かながわ夢タウンニュース 18号
  6. 記録
    議題1 商業施設のバリアフリー化について

(高橋会長)
平成17年度第2回福祉の街づくり推進協議会をこれから始める。
大きな議題としましては三つほど掲げらているが、議題1は商業施設のバリアフリー化。最初に(1)と(2)について、事務局から説明をいただき、そのあと(3)小規模商業施設のバリアフリー化についてに進む。それでは、資料に基づき事務局からの説明をお願いしたい。

(事務局)
商業施設におけるバリアフリー実態調査結果報告書、資料1―1をご覧いただきたい。県下の商業施設のバリアフリー化がどれほど進んでいるか、現状を把握するためにアンケートを行った。この調査は神奈川県下で横浜市、川崎市を除く売り場面積200平米以上の商業施設2,321施設に対して行い753施設から回答をいただいた。その施設の回答結果をまとめたものがこの報告書になる。まず目的から説明する。
神奈川県下の民間既存施設のうち、特に不特定多数の方の利用がある商業施設の設置者、又は管理者に対して施設整備等の実態調査を行いバリアフリー化の現状を把握し、今後の民間既存施設対策に活かしていくことを目的としている。 主な調査事項は、22ページの次のページが実際に各施設に配布した調査票である。調査票のA欄では、施設及び利用状況ということで、店舗の業態や業種、建築年数、利用者の特徴などを伺った。続いてB欄では施設の整備状況ということで、実際の店舗の施設整備がどのようにされているのか、敷地内通路の幅、主要な出入口の幅やエレベーター、トイレ、階段がどのようになっているのか、を調査した。C欄では利用者からの要望の有無について、最後のD欄では施設の創意工夫について、それぞれ伺った。
そして1ページ目、最初の先程の概要のページに戻っていただくと、5の調査期日が平成17年2月10日から3月9日まで。6はこの調査結果報告書自体の留意事項で、有効回収数は753施設であるが、回答がない部分は空欄とし、また該当無しについて対象施設に含まれないものとしているため、有効回収数と各設問との合計数が合わない場合があるというのが一点、それから回答者の誤解等に基づき、関連する設問の集計結果の数値に若干の誤差を生じている場合がある、といった二つの留意点がある。
7の調査結果の概要だが、実際に調査結果をご覧いただきながら目立った点を説明させていただく。2ページ。A欄、店舗の利用状況等だが、問2建物の新築年は536施設から回答があり、1993年以前、ハートビル法や福祉の街づくり条例が制定される以前に建築された施設からの回答が68パーセントととても多いことが分かる。続いて4ページ、B欄。施設の整備状況ということで、1の敷地内通路は道路又は駐車場から施設の主要な出入口に至る通路を指しているが、(1)車椅子で通れる幅員が整備されている施設は92.4パーセントと高い割合だったが、(4)視覚障害者用誘導ブロックが敷設されている施設は22.5パーセント。視覚障害者への配慮が十分と言えない状況だ。2の車椅子使用者用駐車区画は、(5)区画がある施設が65.9パーセント、それから(8)主要な出入口までの経路が確保されている施設が70.4パーセントであるのに対して、(6)区画への誘導サインがある施設が41.6パーセント、(7)区画に国際シンボルマークが表示している施設が47.3パーセントと、区画があるのに誘導サインやシンボルマークが無い施設が目立った。次のページでは、3の主要な出入口、4の廊下については、比較的整備されていた。続いて隣のページの5の階段では(20)手すりの始終端部に点字表記による案内がされている施設が16.4パーセント、(22)階段の上段、下段に警告ブロックが敷設されている施設が21.1パーセント。敷地内通路同様、視覚障害者への配慮が十分とは言えない。6のエレベーターは、整備状況は十分とは言えない状況ではあるが、整備されている場合は、13人乗りのエレベーターを設置している施設が多い。続いて8ページ、7のトイレ、誰もが利用しやすいトイレ「みんなのトイレ」の整備状況は、42.4パーセントとまだまだ足りない状況だった。その下の表で(31)オストメイト対応がある施設が5.1パーセント、(37)のトイレの出入口に点字による案内表示がある施設は10.8パーセントと特に低い割合である。次のページ、8のユニバーサルデザインの観点での休憩場所、授乳場所では全ての質問に対して、整備されていない施設が多い。10ページの9の受付・案内板、案内表示では下の表を見ていただくと(49)案内板に触地図又は点字案内板のある施設、(50)受付又は案内板まで視覚障害者用誘導ブロックが敷設されている施設、(52)視覚障害者用の音声誘導設備がある施設、(53)聴覚障害者用の避難誘導ランプや電光表示板がある施設、こちらの項目が全て10パーセント以下と不整備が目立っている。
11ページからは、先程説明したA欄とB欄の調査結果を基に、店舗の業種、業態別の整備状況や、店舗の売り場面積別整備状況、それから建物の建築年代別整備状況、の三つの項目に分けた集計結果を記載している。21ページからは、B欄の回答者の創意工夫等について主な例を紹介している。
この実態調査を行うこと、また調査結果の集計結果で目立った点を周知することで、施設管理者、県民が少しでもバリアフリー化ヘの意識を持っていただきたいと考えている。
続いて、バリアフリーアドバイザーの実施状況について報告させていただく。
資料1―2をご覧いただきたい。まず、このバリアフリーアドバイザー制度の目的、システムについて。この制度は、民間既存施設のバリアフリー化の推進を目的とし、バリアフリー化を考えている建物を対象にバリアフリーアドバイザーとして登録した一級建築士を派遣して無料で改修の方法や、概算費用の見積りや、簡易図面の作成を行う制度だ。
この制度は、かながわ住まいまちづくり協会に県が委託して行っている事業で、実際の派遣はまちづくり協会が行っており、その実績を県に報告してもらっている。続いて今年度の実施状況報告をさせていただく。今年度のこの事業は、先程の商業施設の実態調査においてバリアフリー化の診断を受けてみたいと回答していただいた施設に対して派遣した。平成17年8月22日のマイカル茅ヶ崎サティを始めとし、10月24日の西友リヴィンよこすかまで計8ヵ所に派遣した。実際の診断や助言の内容は一部だが資料に書かれているとおり。簡単に説明させていただくと、施設内部ではトイレのバリアフリー化を主に助言、提案している。また施設外部ではアプローチのバリアフリー化を助言、提案した。派遣した各施設に対しては、写真や図面を入れた報告書を提出している。
最後に課題。17年度の派遣は20ヵ所程度予定していたが、現在8ヵ所に止まっている。平成18年度に向けて、派遣施設を開拓することが必要である。また調査施設がバリアフリー化に向けて明確な問題意識や動機を持つよう、アドバイザー自らが報告書を各施設に持参し、提案や助言を行うような改善を図っていく必要があると考えている。

(高橋会長)
それでは皆様方の意見を伺いたい。最初に資料1―1、商業施設におけるバリアフリー実態調査結果報告書について、意見があればお願いしたい。
最初の全体の概要の中に報告者の範囲が売り場面積200平米以上とあるが、回答3ページの問5を見るとそれ未満というのもある。これはどういう意味か。対象は売り場面積200平米以上ということだが、問5だとその200平米未満の方々も回答していると見えるが。

(事務局)
実は今回の調査の対象は商業統計から収集しているが、その統計で売り場面積が200平米以上と回答されているところにアンケートを送らせていただいた。それで改めて面積を訪ねたとところ、200平米未満であると回答されたところがあるということである。

(高橋会長)
集計結果は全て200平米以上ということか。

(鎌田委員)
建物の新築年が93年以前というのが68パーセントなので、現状の整備状況というのはこんなものかという感じであるが、福祉の街づくり条例やハートビル法があまり知られてないというのがちょっとショックで、この辺について広報を頑張るとか、少しインパクトのあるようなイベントとか、周知を徹底させる方向を考えていただきたい。

(高橋会長)
私も福祉の街づくり条例がもっと知られているかと思った。設計者の方が対象だとまたデータが違ってくるかと思うが。多分、他県のこういう認知率に比べても少し低いのではないか。このあたりはどう考えているか。

(事務局)
これからテレビやラジオ、それから県のたよりなどの広報を使い普及できたらと思っている。

(高橋会長)
是非、積極的に周知を。これは繰り返し説明し周知させていかないと中々分かっていただけないかと思うので、ご努力をお願いしたい。

(大島委員)
視聴覚障害に関しては、聴覚のほうは最後の創意工夫のところ手話講習を行っているというものがあったが、視覚障害の方に対しての対応があまり無いということを改めて感じた。この回答をしてくれた施設に対してフィートバックというのは、どのような形で行うのか。例えば、個別にこういうことをしたほうが良いんじゃないかとか、一般的にこういうことをやると良いんじゃないかというようなフィートバックがあるのか。

(事務局)
かながわ夢タウンニュースに調査結果を出して、皆さんに周知していきたい。施設でやっている例えば手話講習などの良い事例も出したいと思っている。

(高橋会長)
この調査の回答者には直接には何か周知するのか。

(事務局)
直接には特に今のところ考えていない。

(高橋会長)
いろいろ費用がかかってしまうということかも知れないが、できるだけ回答者に広く伝わるようお願いしたい。

(石橋委員)
今のフィートバックのことと関連するが、目的のところに今後の民間既存施設対策を推進する上でこのアンケートを実施したとある。先程のお話では啓蒙していくということだが、啓蒙だけで実際に既存施設対策が進むと考えているのか。

(事務局)
そのようには考えてはいないが、これからの条例改正の基本資料としたり、条例の考え方を広く普及できたら思っている。

(石橋委員)
条例で縛らない限り改善されないということか。

(事務局)
規模が小さい施設で、街づくり条例の求める条件を全て適合させていくことが中々難しい面もある。面積が小さいほど、例えば通路の幅が取れない、あるいは構造的に出入口の段差がとれない、そういう状況を踏まえ、今後は小さな施設に対して条例で縛らなければいけない部分と、お客様に来て欲しいというような気持ちを起こさせるための普及啓発の部分も織り交ぜて、バリアフリーがより進むように整備基準も見直したいし、いろいろ皆さんの意見をいただきながら考えていきたい。

(高橋会長)
次の議題が、小規模商業施設のバリアフリー化の推進ということで、この調査結果を踏まえ今後の対応をどうするかといったようなことだと思うが、そのためにも売り場面積ごとの集計があるが、もう少し区分けを小さくし細かな部分も少し分析しておいたほうがよいという感じもする。アドバイザーの派遣実施報告のご報告があったが、これについてはどうか。これは昨年度の今頃、アドバイザーの研修があったが現在は行われているのか。

(事務局)
17年の2月から3月までの試行派遣の結果を皆さんで持ち寄り勉強会を開いて、既存のバリアフリーアドバイザーたちの資質の向上ということで、研修をやっている。新たな養成ではなく、23名のアドバイザーたちに腕を上げていただくということを考えている。

(高橋会長)
スキルアップも大変重要だが、アドバイザーを増やしていくことも全体の底上げに非常に大事。個々の建築物の整備にそれぞれの建築士の皆さんは関わっているわけだから、できるだけアドバイザーを多く養成したほうがよい。できれば定期的に進められたほうがよいという感じがする。

(斎藤委員)
先程の調査結果の活用は、ということと同じだが、このアドバイザーの目的が、派遣して既存施設の改善を推進するということだが、それぞれこの8ヵ所で、問題が見つかって助言、整備をされて、その後の対応、整備の状況というのがどのようになっているのかを確認したい。提言しっ放しなのか、これを生かし改善が進んでいるのか。

(事務局)
アドバイザーの派遣が昨年の8月から10月にかけてということで、この間バリアフリーアドバイザーに集まっていただいた時にフォローアップが最も大事だというお話があった。ある一定期間経ったところで、どのような対応を考えられているか、この辺のフォローアップを考えていきたい。 勿論、助言どおりの対応を義務ということでアドバイスしている訳ではないので、あまり義務的にということではなくて、自主的な対応がされるよう誘導していきたい。まだ提言したばかりなのでそこら辺のフォローアップはもう少し時間を見てから図りたい。その前に17年の2月から3月にやったところは、試行派遣ということで、お願いして見させていただいたので、直すかどうか中々聞きにくいところがあり、17年度から派遣を開始した施設に対してのフィードバックをきちんと考えていきたい。

(木原委員)
今の話に関係あるが、先程の調査結果の中で、バリアフリー化について専門家の診断を受けてみたいと考えますか、という問いに対して「はい」が52件。これからはそういう方たちに声を掛けるというのも、一つの方法だ。それと、要望の中にも金融だとか、補助金だとか、そういう支援も何か考えて欲しいという話もある。そういうことであれば、例えば金融、県の制度融資なんかもあるが、改修、改築する場合にお金を貸していただけるという制度も考えられる。そういうお話も一緒にされると、少し気分的に楽になるのかなと感じる。

(事務局)
ご指摘のとおり店舗のバリアフリー化について、専門家の診断を受けてみたいかという問いかけに52件の回答をいただいた。そちらに対して今回のバリアフリーアドバイザーの派遣について声を掛け、受けたいと言っていただいたところに派遣をしている。ただ、途中で店長さんが変わられたりして、やっぱり派遣はいいというところが多く、まだ8ヵ所に留まっている。

(高橋会長)
それから、例えばアドバイザーの中で議論されているというお話が先程あったが、今の報告だとそのアドバイザーが実際に助言・指導を行ったが、その時のアドバイザー側の要望とか大変だったところなど、そういうものを少し課題として出していただいたり、あるいはアドバイザーを利用された建築主なり、相手方、その人たちがどんなふうにアドバイザーの助言を聞いているのかというようなことも、少し丁寧に整理をされたほうがよい。それでは(3)の小規模商業施設のバリアフリー化について、資料の説明をお願いする。

(事務局)
それでは資料1-3、小規模商業施設のバリアフリー化の推進について説明する。これまで商業施設の話をさせていただいたが、福祉の街づくり条例によるバリアフリー化の推進の手続きとしては、まず建築計画の段階で行政窓口において、事前協議を実施し、その協議の中で整備基準への適合チェック、つまりバリアフリー化をそこで担保する、そんな手続きになっている。それで事前協議の対象施設がどのようになっているのか、それが資料の2番目の丸のところであるが、福祉の街づくり条例の事前協議の対象施設ということで表がある。協議対象施設としては、規模要件の無いもの、つまり0平米以上のもの、それから200平米以上、300、500、1000平米以上と、それぞれ5段階の規模に分かれている。ここで商業施設の店舗等については、200平米以上が事前協議の対象となっている。
そこで課題だが、店舗等においてもコンビニエンスストアや薬局、あるいは理美容所などこういった施設については、県民生活に欠かせない施設であると思われるが、これまではその200平米以上が事前協議の対象になる、という要件があったので、それらの多くの施設は事前協議の対象とはならずにいた。今後こうした身近で欠かせない施設も、バリアフリー化を推進していくよう、何らかの手続きが必要と思われる。
他県の条例上の取り扱いはどのようになっているか、というのが4番目の丸である。例えば埼玉県では200平米未満の薬局、理容所、コンビニについても小規模建築物という範疇に位置付け、届出の対象としている。また、兵庫県では、100平米未満の物販サービス店舗については、全て小規模購買施設等ということで届出の対象と位置付けている。また、京都府はコンビニ、薬局、理髪店は全て届出の対象としている。また、大阪府は、50平米超の理容所あるいは100平米超のコンビニも対象とし、県内では横浜市の場合は薬局、理容所は全てが対象、川崎市の場合はコンビニ、調剤薬局は全て対象という具合に、必要と思われる施設については全てを対象としている。
こういう状況を踏まえた中で、今後の検討の方向性だが、まず店舗においても、公共性の高い特定の店舗について、例えばコンビニ、薬局、美理容所などについてはその規模に関わり無く事前協議の対象に加えることができないか。それからもう一点として、そうではなくて店舗全体の対象規模の面積を引き下げるということはできないか、その辺を今後検討していきたいが、皆さんの忌憚のないご意見を伺いたい。

(高橋会長)
小規模商業施設のバリアフリー化ということで、神奈川県も今の基準を改正した時に、少し対象の小規模化を図ったが、その後改正された他県の状況を見ると、かなり小さな部分まで含めているということもあるし、生活に身近な建築物等をさらにバリアフリー化を図らなければいけないという使命もあること、それから一つの課題としては、そういう公共性といったところで、どこまでの範囲を位置付けることができるか、というようなこともあるかと思うが、今後さらに商業施設等のバリアフリー化を図るための方策のアウトラインを説明をしていただいた。商工関係の団体の方がいらっしゃるかと思うが、今後の推進施策についてどうお考えか、ご意見をお聞かせいただきたい。

(木原委員)
会議所の皆さんも店舗の改修時にいろいろバリアフリーのお話もされているようだが、特に商店街連合会さんもいろいろとそういうお話を事あるごとにされているようだ。ただもう少しPRというか、福祉の街づくり条例そのものについて、あまりよく知っていないというケースが多く見られる。そういう意味では県のほうもPRに力を入れていただきたい。

(高橋会長)
先程の調査の中でも200平米以上500平米未満のところと、500平米超と数値の差がある訳だが、これは小規模だからその条例の基準を満たしてないかというと、その読み方とか、実際の運用の仕方とか様々な部分はあるかとは思うが、それから条例の整備基準、規則等を少し変えることで、さらに全体の福祉のまちづくりが進む、そういう側面もあるかと思うがいかがですか。

(斎藤委員)
県内の横浜市、川崎市で既に薬局、美理容所、コンビニが全て対象であるということ、あと先程のアンケートでも業種別と規模別でどうなってるのか細かく知りたいが、先程のアンケートでも、店舗の業種では医薬品とか、化粧品、コンビニ、これらは非常に整備率が高いと書いてあるから、そうであれば残りの全然対応してないところも全て含めて、今後早急にこの中に組み込んでいくということも時期としては妥当だと思う。だから、既にその方向で検討を進めていくべきで対象規模を引き下げていく、その時に特定の施設でやるのか、全部面積で切るのかというようなことを、こういうアンケートの状況から見て大分整備が進んでいるということであれば、すぐにでもそれぞれの対象を選んだり、基準を下げるということも可能なのかなと思った。

(高橋会長)
小規模施設の場合、どうしても道路なり歩道とほとんど接近していて、セットバックしているスペースがあまりないようなケースもある。そうすると境界の部分の問題がかなりでてきて、先程の調査結果でも、誘導ブロックの整備が小規模の場合はかなり少ないが、これも別にないから駄目だということではなく、なくても出入口が分かるということがあるかも知れない。その辺も含めて内容について更に吟味する必要がある。それからもう一つ大事なことは、個々の資料1―3に事前協議対象施設(指定施設)と書いてあるが、条例では、例えば店舗等については200平米以上が事前協議の対象となっているが、それ未満では条例の整備基準を遵守しなくてよいということではない。神奈川県の条例では200平米未満についても整備しなければいけない。ただ事前協議をする時には、200平米以上が対象だということ、この点も先程の条例の周知と同じように、さらに徹底していくこともすごく重要だ。先程発言をいただいたが、様々な地域の商工会の団体の方々と連携を取り合うことがより必要になってきていると思う。

(鎌田委員)
小規模までその条例で規制をかけるかという議論をどうするかという点で、やはり小さくても上手くやっている事例もあるだろうし、小さくてどうしようもない、条例をかけられても無理だというようなのもあると思う。もう少しいろんな事例を集め、少し議論を進めていただきたい。

(高橋会長)
是非そうした事例の収集等に関係者の皆さんのご協力をいただき、これはとても無理なんだと、そういったこともあるかと思うが、その辺のことも含め、しかも神奈川県は平坦部分は少ないかも知れないので、そういう条件もいろいろ加味しながら、推進しなければいけないかも知れない。これについては非常に重要なことで、それぞれの市町村単位で活発に展開していっていただかなければいけない。そのためには市町村、それから県民に条例、ハートビル法、あるいは交通バリアフリー法の趣旨の徹底を、さらに県の担当部局でも推進するようお願いしたい。
それでは議題2に移る。障害者団体の要望についてだが、これについてご説明いただく。

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(事務局)
この障害者団体からの要望は毎年挙がってくるものである。三つの障害者団体から挙がってきているが、一つは障害児者の生活と権利を守る神奈川県連連絡協議会、略称で「障神奈連」と資料には書いてある。もう一つが県民のいのちと暮らしを守る共同行動委員会、略称として「いのくら」。それから神奈川県視覚障害者福祉協会、略称として「視覚」という書き方をしている。本日はこの三つの団体から出された要望を説明させていただきながら、コメントしたい。
まず要望事項の中で、共通事項という部分について。この要望事項の頭に二重丸と一重丸が書いているが、二重丸は平成17年度、新規に出てきた要望で、一重丸は、継続要望ということで昨年度と同様のものが出ているということである。
それでは共通事項の最初の方の要望から説明する。まずは新規の要望だが、障害児者に配慮したトイレ、これは車椅子で使えるみんなのトイレであるが、こうしたトイレの扉は自動扉が望ましいが、手動の場合には軽い力で開き、全開した時に止まる構造とすることと、視覚障害者がエスカレーターを利用できるよう、音声誘導装置又は誘導ブロックを設置して欲しいということ。従来、どちらかと言うと、視覚障害者は危ないからエスカレーターに誘導しないといった部分があったが、今年度の要望では、きちんと誘導して欲しいということであった。それから三つ目として階段の段の端の色を見やすく、明確にして欲しいということ。これは視覚からの要望だが弱視の方の場合、階段の端がはっきりと分からないと困るということである。次は継続の要望だが、全ての公的、準公的施設のバリアフリー化について、例えば誘導ブロックを敷設するとか、ドアを引き戸方式でなくてはならない。あるいは各部屋の壁に点字ブロックによる表示とか、弱視者のために拡大文字を表示すること。そのような要望が挙がっている。また通産省のJIS規格にあった誘導ブロックを敷設するということ。それから、新規の要望として市町村の全庁舎ヘのエレベーター設置を県として支援すること、という事項が挙がっている。
次に鉄道の関係。主に車椅子使用者関係では一つだけ挙がっているが、券売機に関するものである。特にJRの名前が出ているが、券売機の液晶表示、これは車椅子使用者の目線の高さからだとちょっと見にくい、またテンキーは車椅子使用者も使用しており、一つ一つを大きくして欲しいという要望がある。
次の視覚障害者関係の要望。最近は女性専用車両というものがあるが、視覚障害者にも女性専用車両が判別しやすいように、何らかの処置をして欲しいということである。また転落防止のための配慮ということで、駅のホームにはホームドア方式を採用して欲しいというご要望がある。それから、新規の要望だが、JRの最新式の4ドアの電車のトイレだが、タッチ式のボタンが多いということで視覚障害者には使いにくいということで、音声なり何らかの視覚障害者への配慮をしてほしいとの要望がある。また新規の要望として、ホームのアナウンスを行う場合には上り線、下り線の方向別に、男女の声で区別して欲しいというものがある。それから磁気式のイオカード、これが廃止されたので、パスネットとスイカの共通化を図ってもらいたいという要望が新しく挙がっている。それから継続要望として、各種案内板は弱視者にも分かるように照明を明るくして、文字も大きくして欲しい、また歩行等にも支障のない程度に低い位置に設置してもらいたいという要望が挙がっている。
次に、路線バス関係。ノンステップバスについては、車内の車椅子スペースをできるだけ広く取り定員を撤廃してもらいたいということと、もう一つ、ノンステップバス等の車椅子の固定装置で固定しやすい装置の開発を行ってもらいたいという要望が挙がっている。
その他の要望として3点あり、一つは点字ブロックの上に障害物を置いたり、その上で立ち話などをしないよう県民に向けてPRをして欲しい、それから、街づくりに関する苦情処理機関を設置し、障害者の実態に応じた働きかけを行ってもらいたいということと、最後が福祉の街づくり条例の改正についての要望で、目的、定義、それから既存施設の整備について要望が挙がっている。目的については、そもそも移動に支障がでるのは障害者が悪いのではなく街に原因がある、それと人的な対応方法が原因で障壁となっている、そういう視点が反映されるような改正の要望である。それから既存施設については中々整備が進まないということで、既存施設についても整備基準に適合しないものについては、整備計画を作成して何年以内に整備するというような計画を提出させることとすることと、そのような改正案が出ている。

(高橋会長)
この要望は、それぞれ三つの団体からだが、いつ出されたものなのか。

(事務局)
障神奈連とは毎年8月に話し合いをやっている。いのくらについて9月から10月にかけて、視覚障害者の関係は確か7月頃で、これは視覚障害者福祉大会の場で出された要望である。

(高橋会長)
現在まで少し時間が経っているが、この間事務局としても各団体ヘ連絡をされたというようなこともあるのか。

(事務局)
それぞれへの回答は、その交渉を持った時期に、こちらから回答している。

(高橋会長)
できたら、要望と回答も含めて見せていただけると協議をしやすいかと思う。それから、その中で既に毎年あることだが、かなり対応策がそれぞれの各団体等で進んでいる分と、全くやられていない分ということの区別をした方がよいかと感じる。

(瀬戸委員)
要望に関してではないが、福祉のまちづくりの推進には、やはりハードとソフトが大事で、特に条例の周知等もやはり1割ということだと、やはりこれからその周知の手法をいろいろ考えていかないといけないと思う。やはり人の考え方、意識が変わらないと中々こういったことの推進は難しい。できたら情報開示、情報発信をインターネット等を使ってやっていくことによって、関係者のみならず、一般の県民も興味を持っていただけるような環境も作れると思う。やはり一般県民の方が参加をして福祉の街づくり条例を推進するのが一つの形ではないかと思うので、そういった新しい手法をご検討いただきたい。インターネットを使って、あまりお金をかけずに多くの方が参加できるフォーラムとか、こういった情報発信の場を作って福祉のまちづくりを推進すると、また違うアプローチがあるのではないかと思う。

(高橋会長)
交通関係ではJRの小口さん、この鉄道関係等では既に進行中のものがあるかと思うが、対応策が取られ始めているというようなことがあれば、少しお話しいただきたい。

(高橋(正人)委員)(代理 小口康弘氏)
一番目の券売機の件だが、JRとしても色々なタイプの券売機があり、最新式のものについては、様々なお客様のご要望などから車椅子の方でもご利用いただける構造としている。具体的には蹴込みを設けたり、従来型のものに比べて画面を大型化しその高さについても車椅子の方の目線を考慮する、あるいはテンキーについても小さいとのご指摘もあり大きいものにするなどといった対応を行った。
女性専用車の案内の件だが、現在、案内のための特別な設備は設けていないが、対応としては、自動放送と駅社員が適宜に案内放送を行い呼びかけることで案内をしている。
ホームドアについては、ラッシュ時の状況、車両の形式によるドア位置の違いなど考慮すると、問題として難しいのが現状だが引き続き検討したい。
それから、お話に出たトイレの件だが、これは最新式の4ドア電車、湘南新宿ラインや東海道線で使用されているもののことかと思う。車内のトイレについては、特急を含めて車両の形式によって仕様が異なるが、この最新式の4ドア車両についていうと、ドアを手動ではなく自動で開けられるというところに焦点を絞っているためタッチ式のボタンを採用している。現在はトイレの中に入ったあとの施錠については、同じようにボタン式としているが、これについては様々な使い勝手を考慮し手動の鍵をつけることも検討に入れている。車両のトイレについては、特急を含めて難しいところがあるが、そのトイレのあり方については継続して検討していきたい。
続いてホームのアナウンスについてだが、男女別の声で上下線を分けることが、すべての駅ではできていないというのが現状となっている。例えば、上下線が同じホームから発着する駅などもあるため、このような場合のアナウンスをどういう形で行うかについては検討段階にある。
イオカードの件だが、2006年度にはスイカとパスネット、バス共通カードの相互利用が行われることになっている。期日が確定した段階でプレス発表などでお知らせできると思う。
最後の各種案内板の件だが、これは駅に掲げる案内サインということに限っていうと、基本的にはどこの駅でも同じ考え方に基づき整備する必要性があるため、社内の基準を作っている。その他に公共交通機関旅客施設の移動円滑化整備ガイドラインなどがあり、これらの基準をもとに考えている。特に掲示器の高さについては視認性が重要であり、近くから見上げる場合と、遠くから見通す場合の二つを考慮している。また歩行中の安全性を確保することを考慮して高さを設定している。当然車椅子をご利用の方にとっては、見上げる角度が急になる、あるいは歩行者によって視線が遮られるような事象がありえることは認識している。案内掲示については、社内の基準を適宜見直し改訂などを行うことで対応していきたい。

(高橋会長)
バス関係については赤澤さん、いかがですか。

(赤澤委員)
皆様方にはバス利用に関してご理解、ご協力いただきありがとうございます。この質問事項に対する回答をさせていただく。一つはノンステップバスについて車いすのスペースを広く取ってほしい、それから定員数を撤廃せよと、こういうことだが、今現在走っているノンステップバスは国交省が立ち上げた委員会で標準仕様車として検討されたものである。それから今現在は国交省で次世代のノンステップバス標準仕様についての検討会を立ち上げているので、要望の趣旨をノンステップバスの標準仕様の中に入れてもらえるのかどうか私どもも分からないが、機会があれば日本バス協会を通じて、そういうところに意見を挙げていきたい。
二番目の問題だが、確かに車椅子の方が乗車されて固定するには時間がかかる。そういったことで安心、安全にご利用いただけるためには、なおかつスピーディーに固定できるものも合わせて、この中で研究されていくのではないかなと思う。
それから、この質問自体は今お話があったように、いのくらからの質問だが、実は私どもは平成10年からいのくらが参画する誰もが使える交通機関を求める神奈川実行委員会、委員長さんは鈴木治郎さんであるが、この団体と昨年だと10月に第8回目の意見交換会を行った。それから神奈川県身体障害者連合会とも過去2回懇談の場を持った。私どもはいずれに対しても県内の全バス事業者に出席いただき、障害者の皆さんから意見を聞いて、バス事業者としてできるものから率先してやっていっている。たまたまこの中には2項目しかないが、ノンステップバスを早く導入することや、もっと数を多くせよとか、あるいはダイヤ表へのノンステップバスであることの表示、あるいは運転者教育をしっかり行うようにというお叱り、ご意見を頂戴している。私どもとすれば色々部会等もあるので、その場を通じて事業者には徹底している。
それから、関東運輸局主導により、横浜地域における小中学校の総合学習の一環として交通バリアフリー教室をやろうということでバス協会、タクシー協会、運輸局主導の下に、横浜市の教育委員会、あるいは小学校、中学校の校長会に出掛け、こういうことの推進を図ろうということで取り組んでいる。
それから、ノンステップバスについては、これは平成22年までに20~25パーセントということが義務付けられているが、これ以上の導入は達成できると思う。以上私のほうからバスに関わるバリアフリーについて説明させていただいた。もう一つ、今啓発とか啓蒙とか情報発信、こういう話だが、私ども毎年全部のバス車内に、いわゆる心のバリアフリーということで、障害を持たない方々にもご理解、ご協力をいただこうということで、いろんな標語を作り車内広告を出している。

(高橋会長)
多面に渡り、いろいろ各関係団体との協議を進めていただいた。今、主として交通関係の話になったが、これについて鎌田先生、コメントがありますか。

(鎌田委員)
今、赤澤委員からバスについて、いろいろご説明いただいたがいくつか補足する。ノンステップバスの標準化の議論は、2001年、2年ぐらいにやっていて今は05年基準というものに国のほうで見直しを行っている。
それから、車椅子の固定装置についても2001年、2年あたりの検討の時に、日本自動車研究所で、ブレーキをかけた時にどれぐらい動くかとか、そういう実験をいろいろなタイプで行った。一番固定に時間がかからないのは、ヨーロッパにあるように、後ろ向きで固定はしないというやり方で、確かにそれもメリットはあるが、逆に利用者から後ろを向いて乗るのは嫌だというような要望もあり、中々上手い方法が見つからないというのが結論だ。その大きな理由は、車椅子の種類が沢山ありすぎ、車椅子側がもう少し標準化に協力的になってくると、バスのほうも標準化で上手い接点が取れるが中々そうならなかったというのが、その時の結論である。例えばチャイルドシートみたいに統一のアタッチメントをつけるようにするとワンタッチでできるということを、その時いろいろ議論したがそこに至らなかったのが実情である。
それから、鉄道関係の話だが、国の方では05年度に、弱視の方への対応ということで、少し大掛かりな調査をやっていおり、3月末までには報告書がまとまる予定である。これまでどちらかというと、視覚障害者というと、全盲の方への対応がメインであったが、弱視の方がどう見えるか、どう注意したらいいのか、あるいはどう上手くやっている例があるのか、そういうものを今集めてまとめている。

(赤澤委員)
鎌田先生に教えていただきたいが、いわゆるシニアカーをバスに乗せろという話があるが、それを乗せるような設備というか、そういうような形のものの検討とか研究とかされているのか。

(鎌田委員)
ハンドル型の電動車椅子(いわゆる「シニアカー」)は主としてお年寄りの方が利用されるが、身体障害者の方で特に脳性マヒでジョイスティックが操作できない方に福祉機器として、ハンドル型の電動車椅子を処方されている例があり、そういう方にはそれなりの配慮をすべきだということで、これも4年ぐらい前に国交省がバスではなくて鉄道だが、どういう条件で乗せるかというような議論をした。ある一定の条件の場合には対応するようにということで、鉄道会社によって対応がバラバラで一部で問題が起きているところもあるが、そういった議論がある。
それからバスについては、国交省の技術課の話としては、やはり狭い車内なので、回転半径がある程度より大きいものは原則乗れないというような認識ではあるが、例えば東京都は福祉局が、そういうものを福祉機器として処方している場合があり、実際に乗せているという例もある。その辺は現場でいろんな対応があり、それが逆にトラブルを起こしているところもあるが、国の方としては、やはりある回転範囲で回れるものでないと、いろいろな制約がかかるので厳しいだろうというのが今の見解である。

(高橋会長)
鉄道を含めて全国的に各地で利用者からいろいろな面で要望が出ているところは皆さんが承知かと思う。どうしても今整備されているところと、整備されていないところ、駅についても沢山あるので、どうしてもその差が目に付きやすくなってきた。以前だと、ほとんどやってないということで一括して要望なり意見を出すことができた訳だが、今段々、段々その差ができてきているので、遅れている部分とか進んでいる部分との、その両方向に偶然乗ってしまうと、何でここはこうなってんの、というようなことも利用者からさらに細かな要望も出始めているのではないかと思う。
それから関連して、1月19日に総務省がバリアフリーの推進に関する行政評価監視というものの勧告を、国土交通省あるいは公安委員会等に出している。ホームページからも見ることができるので、是非一度見ていただきたい。丁度昨年の今頃から総務省が交通バリアフリーを中心とした進捗状況が一体どうなっているのかということを調査し始めたものだが、それが報告書として出されているので、是非ご覧いただきたい。いくつか自治体がピックアップされているが、そういったところで、どんなところが課題として残っているのかというようなことがよく分かると思う。この議題については、今後もそれぞれ継続していかなければいけないが、各関係団体においては、ご配慮のほどをお願いしたい。それでは議題3のその他に移りたい。最初に(1)で委員の公募ということになる。これについては、委員の募集、公募ということで既に始まっているが、事務局からご説明を願いたい。

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(事務局)
それでは、委員の公募について説明させていただく。この件は、前回の協議会でもお話しさせていただいた。その中で、定員が2名では少ないのではないかというご意見もいただいたので、募集定員を4名にし、県のたより1月号において募集を開始し2月10日までが募集期間で、現在までに約40名の方からお問い合わせを受けている。
今後のスケジュールは、2月10日まで募集をした後、選考委員に応募書類をご覧のうえ採点をしていただき最終的には3月中には結果を応募者全員に通知する、このような手順である。
特に選考の基準としては、ともに生きる地域社会づくりの積極性、あるいは協議会参加ヘの目的意識、それから県民代表度、主張の的確性等を考慮していく。

(高橋会長)
40名からの問い合わせがあったということで、前回はそれ程いかなかったか。

(事務局)
前回、問い合わせは50名程である。

(高橋会長)
そうするとこれからその40名の方々、沢山の人がさらに問い合わせていただけるということは、先程のお話になるが、福祉の街づくり条例が様々な意味で周知が進むということになるので、またPRをしていただきながら多くの県民の方からご応募していただくように、お願いしたい。関係団体におかれましても、協議会委員の皆様方にもおかれましても、もし適切な人がいたらご応募していただけるようお願いしたい。
続いて、(2)の県有施設のバリアフリー実態調査についてお願いする。

(事務局)
資料3―2、既存県有施設のバリアフリー化進捗状況について説明する。福祉の街づくり条例では、県は自ら設置、管理する施設についての整備推進が県の責務ということとされている。そこで平成14年度の整備基準改正を機に、県有施設の実態調査を行ったところ、バリアフリー化があまり進んでいないという状況だった。その後、バリアフリーの整備促進の方策を考える中で、個々の施設の整備状況を定期的に把握することが必要だという考え方から平成17年度より毎年バリアフリー化の状況を各施設に照会して、その進捗状況の取りまとめを行うこととした。
平成17年度の調査は、県民利用施設のうち、独自に整備計画を持っている県営住宅や県立高校、警察を除く施設を対象として実施した。整備状況の概要は三つに分けてまとめているが、(1)は、施設を障害者等が利用するための基本的設備として、敷地内通路、主要な出入口、廊下、トイレ、駐車場について、それから(2)が地上階以外の階を障害者が利用するための設備として、階段やエレベーター、(3)はこの(1)、(2)以外の付帯的な措置として、カウンターとか、案内板、あるいは子連れへの配慮、こういった分野に分けて、それぞれまとめている。
それでは(1)の概略だが、敷地内通路、出入口、廊下、トイレ、駐車場、これらがどのようであったかということだが、通路等の幅員の確保、段差の解消は比較的進んでいる。その一方で視覚障害者誘導用ブロックの整備、いわゆる点字ブロックの整備が不十分であるという状況であり、また車椅子対応トイレの整備、車椅子対応駐車区画の確保は、一定程度は進んでいるがもう少し努力が必要、そのような結果になっている。具体的な数字が下に書いてあるが、車椅子で通れる幅員の確保という意味では、敷地内通路では98パーセント、出入口ではやはり98パーセント、廊下で97パーセントということで、かなりの部分クリアしているが、逆に視覚障害者誘導用ブロックについては、敷地内通路では53.7パーセントの設置率ということで、半数あまりに止まっている。あとは車椅子対応トイレは82.7パーセントに設置されているということで、数字だけ見るとまあまあというような感じがしなくもないが、車椅子に乗られている方からすると、これは100パーセントにしてもらいたいところかと思う。
(2)が階段、エレベーターの状況だが、エレベーターの設置割合は、ほぼ半数程度である。数字的には52.9パーセントだが、残り半分についてはまだ整備がされていない。それから階段は、上下端に敷く警告ブロック、いわゆる点状のブロックだが、この設置割合は(1)の視覚障害者誘導用ブロックよりもかなり低く、26パーセントである。その一方で階段とか、エレベーターへの手すりの設置については88パーセントとか、91.9パーセントであるが、100には届かない。
それから(3)のカウンター、案内板、子連れへの配慮では、車椅子でも使用できるカウンターの設置、これは6割あまり設置されているが、まだまだ全体としては不十分。それから乳幼児連れへの配慮、それがまだ数字の上でも進んでいない。ちなみに授乳場所、オムツ換えのできる場所を設置してある施設は24.6パーセントで全施設の約四分の1、それからトイレ内にベビーベット等の設置がある施設は約14.9パーセントで、まだまだ少ない。
このような状況の中で、ハード整備が不十分な分を補うソフト的な対応として何か工夫がないのかと、そういった部分をアンケートで入れたところ若干の回答があった。例えば主要な出入口は段差解消できていない、そのような場合には他の出入口でスロープを整備するというような代替的な措置、あるいは授乳、オムツ換えのできる場所が未設置である場合、そのような場合には休憩室、あるいは宿泊施設だと宿泊室で対応するように心掛けている、あるいは案内板がないような施設の場合には自作で、最近ではパソコンなどを使い案内表示を自作する、そのような取組が進められている。また、案内板上に非常口等の位置が未表示の場合には、テプラなどを使いシール等による表示を実施しているところもあった。
1枚捲っていただくと、それぞれの設備ごとの整備状況をグラフで表している。グラフは一番上の白い部分、それから真ん中の黒い部分、それから一番下のグレーの部分に分かれているが、白い部分は未整備の施設の割合、黒い部分が平成14年度から17年度までの間に新たに整備された施設の割合、一番下のグレーの部分が平成14年度時点で既に整備されていた施設の割合。新たに整備された施設を見ると、案内板や車椅子対応駐車区画における案内表示の整備がやや進んだ部分もあるが、全体的にはこの進捗状況は不十分なのかという感じになっている。それから資料の11ページ以下、これは主な整備について、施設の用途別に整備状況をグラフ化している。トイレ、駐車場などは集会場や文化施設、劇場といった人の集まる施設で比較的良く整備されている傾向があり、エレベーターは医療施設における整備状況が良いが、逆に学校や宿泊施設では全体的に整備が進んでいないといったことが伺える。
今後整備を進めていかなければならない部分は大変大きいが、限られた予算の中で効果的に利用者への配慮が進んでいくように努力していきたい。

(高橋会長)
かなり進みつつあるが、用途によっては若干遅れているところもある。特に学校が全体的に低いが、後半の凡例のところを見ると職業技術校ということで、いわゆる訓練校、そういったことも背景にあるかと思う。それから、全ての施設ではないが、ちょっと低いなと思われてる今の学校や宿泊施設といったところの、特にバリアフリー化が必要とされる方々の利用状況とか、そういうようなものも少し合わせて、今後ご報告していただいたほうがよいという感じがする。このように定期的な進捗状況チェックは、県の施設で職員の方々も何年かごとに変わるので、神奈川県の福祉の街づくりでこういうことやってるんだということを知らしめる非常に良い機会になっていると思う。それでは次の議題のほうに移る。福祉有償運送の実施状況、資料の3―3。それでは説明をお願いする。

(事務局)
この推進協議会で昨年から毎回ご報告させていただいている。高齢者の方、障害者の方、いわゆる一人で公共交通機関を使えない方に対して、ボランティアたちがサービスを始めたというものに、どのように仕組みを作っていくかというところを、報告させていただく。 実施状況を見ていただきたいが、運営協議会の設置の誘導については、神奈川県内全域で運営協議会を開催している。その結果、平成16年度実績で、サービス実施団体は167団体あり、道路運送法の許可を取ろうと予定していた団体、明確に予定していた団体が99だが、うち本日時点で93団体が運営協議会で了解を得ている。この次に道路運送法の許可を運輸支局に求めていく訳だが、12月末現在で54団体が既に許可を受けている。概ねサービスの低下にならない形で、運営協議会等も動いているかと思う。2番目はセダン型の特区の認定ということで、一昨年の12月8日に認定されている。それから3番目として、こういったボランティア団体を誘導するためにかながわ福祉移動サービスネットワークと一緒に、県提案型協働事業ということで、いくつかの事業をやるとともに、こういった事業をやるには道路運送法の許可が必要か、というお知らせを県のたより平成17年2月号及び12月号で周知した。
運転者研修は20回、約1,000人研修する予定になっている。運行管理業務を行う中心になる方たちも、約90人程度の研修予定になっている。窓口もNPOで指導するような形で委託をしている。実際の移動制約者の方たちへのサービスの提供は、今後も大きな課題で、本日ご参加の鎌田先生、それからバス協会の赤澤委員、タクシー協会の牧野委員にご参加いただき、10月2日にシンポジウム、これはNPOのかながわ福祉移動サービスネットワークとの共催という形であったが、交通事業者、NPO、行政等約100人が参加して活発な議論を行い、地域交通を地域のみんなで作っていく、みんなの資源、知恵といろんな事業者の方とか、NPOとか協力して作っていきましょうというような共通認識に立ち、その後月に1回程度その勉強会を開いている。勉強会の中から、具体に例えば採算が取れる部分であれば、ドンドンやっていただくというようなことで話を進めている。
1枚捲っていただくと、全国の状況が出ている。全国の状況についてはもうちょっと時点が新しくなればより進んでいると思う。有償運送の運営協議会は、全国的に7月時点ではまだ48地域しかできていない。現在その倍ぐらいにはなっているが、全国的にはまだまだ進んでいない。またセダンの特区では神奈川県を含め、6県が県域でやっている。現在75地域。重点指導期間といわれている準備期間の中で、もう一回だけ2月に申請があるが、そこでどれぐらい増えるかということである。実は国土交通省で昨年の暮れに、新たなフレームということで、制度を変えますということが出ている。簡単にその概要について触れさせていただくと、今道路運送法第80条のただし書きという例外規定で福祉有償運送を認めているが、登録制で明確に新しい条文を位置付け、今年の2月の通常国会に提案して、早ければ10月を目途に施行したいというお話である。それからその時点でセダン型の車が使えるということを、特区の全国化という形で認めるということである。それから有償運送の新たな制度としては、今までの考え方は基本的には維持するが、安心、安全のために事後チェックというか、白タクと言われているような行為のないように、またいい加減な形で運行が行われないように、事後チェックは厳しくなっていくということ。その一定の研修なり資格なりを、運送をやっている方に求めていくということが変わってくる。最後のところだが、経過措置を設けるので、現時点では道路運送法の例外規定で許可になっているところは、新法でも登録されたものと見なすというような形になっている。こういう形で道路運送法が変わり、福祉有償運送の枠組みが少し形が変わっていく。

(高橋会長)
鎌田先生、この件に関しましていかがですか。

(鎌田委員)
今説明にあったように10月にシンポジウムをやり、その後全国からお集まりいただいて、日本財団でもっと大きなシンポジウムがあった。私たちがちょっと懸念しているのが、国交省がどんどん新しいことをやっていくが、本当に大丈夫なのかという担保をどこまで考えているのかというのが良く分からず、もう少し大きな、有償運送だけではなくて、いわゆるコミニティバスとか、地域の足をどう守るのかという視点での議論が欲しいと思っている。金井課長代理を中心に今週の土曜日にも研究会があるようなので、そういったところで議論を進めていきたい。

(高橋会長)
是非この推進協議会のほうにもご報告いただきたい。それでは続いて(4)のカラーバリアフリーの取組について、資料の説明をお願いしたい。

(事務局)
それではカラーバリアフリーの取組について説明する。資料は3―4。平成17年度のカラーバリアフリーに関する取組は、考え方の普及啓発を目的とした講演会と、色覚障害当事者による施設チェック、モニター調査という二つの面から行っている。
最初の講演会だが、昨年の9月6日に実施した。医療、博物館、学校、建築、行政等の関係者を対象に行い、講師は東京大学助教授の伊藤啓先生にお願いした。内容は色覚障害のメカニズム、色覚障害で困る場面、求められる配慮、あるいはどのような工夫をしたらいいのか、そういった面についてお話しいただいた。従来、県職員向けの講演会は実施したことはあるが、外向けに講演会を実施したことは初めなので、最も基本的な部分からご講演いただいた。
次にモニター調査を10月から1月にかけて行った。色覚障害者で組織するNPO法人にカラーユニバーサルデザインオーガニゼイション、これはCUDO、略してクドーという法人があるが、このNPO法人CUDOのご協力のもと、施設の案内表示、展示パネル等における色使いについて点検調査を実施し、助言や改善案の提案などを行った。対象地となる施設は病院、博物館、学校、行政機関等より希望を募ったが、今回は、9月に実施した講演会に参加した施設、このようなモニター調査を希望しますかとアンケートを行った。それで手が挙がったところが6施設ほどありその施設に対して調査を実施した。
具体的に実施した施設は、予備調査実施施設ということで横浜動物園ズーラシア、横浜こども科学館、横浜美術館、県立歴史博物館、、横浜都市発展記念館・ユーラシア文化館、それと県立岩戸高校、この六つの施設に対して実施した。予備調査は、このCUDOの事務局長お一人の調査だが、この方も強度の色覚障害ということもあり、大方の課題はこの方の調査で大体洗い出すことはできる。ただ、色による情報発信を多く行っている施設については、やはり色覚障害の方によって見え方は様々なので、様々なタイプの色覚障害者で構成する調査チームによる本調査を行った。この本調査を実施した施設が県立歴史博物館と、横浜こども科学館である。
予備調査、本調査を通じ共通して言えることは、色のみによる情報提供を行っている場合には、改善の余地が見られる場面が多々見られるということだ。また照明の状態や色の部分の面積とか、線の太さとか、その辺の条件によって大分認識の可否に差が出てくるという指摘があった。実際どのような例があったかというのが、例1という写真付きで説明がしてある。この例1の写真は歴史博物館のもので、僧の名前を赤、黒、青の三色に色分けしている。この僧の名前の色とこのパネルの右下に色分けの凡例があるが、この右下の凡例の色を照らし合わせなければならないということが色覚障害者の方にとっては大変困難であるという指摘があった。例えばこの文字の色分けだけではなく、僧名の横に丸や三角や四角などを付けて、僧の種類を区別していくというような助言があった。それから例2は、二つの写真のうち上側は展示パネル全体を写したもので、下の写真はそのパネル右下の凡例の部分を拡大した写真である。これは凡例に使われている色がオレンジ、黄色、緑ということだが、色覚障害の方から見ると、この色は混同しやすい色の組合せであるということで識別困難であるという話があった。また、よく下の写真を見ると等高線が三色ぐらいに分かれているが、これだけ細い線だと色の区別がつかないといった話があり、それに対する改善案として、このオレンジ、黄色、緑の色、こういった三色を使う場合、例えば前の例のように丸、三角、四角を付けられるような図面でなく色で分けなければならない場合には、例えばブルー、黄色、緑にすれば色覚障害の方でも見やすいといった助言をいただいた。また、等高線の色分けをしてあるが、そもそもこれに意味がないのではないかという指摘もあった。
こういった博物館の場合、常設の展示はすぐに変えるというのは大変だが、企画展も実施するので、そういった企画展をやる場合には、その都度こうした考え方を反映しやすいという状況があるので、参考にしていただけるということである。
今年度の取組は、この講演会の実施とモニター調査の実施という、この2点だが、まだまだ他の県ではこういった取組をやってないので、我々も雲を掴むような部分もあるが、来年度も実施方法や対象などを検討しながら取り組んでいきたい。

(高橋会長)
神奈川県におけるこの色覚障害者ヘのカラーバリアフリーの取組みは、全国に大変有名で様々な資料で神奈川県が出したガイドラインが引用されいる。講演会とモニター調査ということだが、モニター調査の本調査については、何人ぐらいの方が参加されたのか。

(事務局)
1チーム8名である。

(高橋会長)
実際には色覚障害のレベル、あるいは文字をどのくらい読めるとかいったことも含めて、ちょっと個人的な興味がある。それで議題3のその他の最後だが、ユニバーサルデザインの研究について、これについて資料3―5でご説明願いたい。

(事務局)
それではユニバーサルデザインの研究について説明する。
この研究は、昨年の4月下旬から開始し、その後10月に中間報告をし、2月に最終報告をするという予定で進めている。研究の進め方だが、ユニバーサルデザインをどう県の施策に活かしていくのか、県内全域に広げていくための県の役割はなんなのか、そういったことを検討するとともに、街づくりを例として具体的な施策のあり方を検討している。
次にユニバーサルデザインを推進していくための基本的な認識として、四つの点を重視して検討している。まず、ユニバーサルデザインの考えは、県の基本的な施策であるという点。つまりユニバーサルデザインは誰もが暮らしやすい社会を目指すという考え方では県の施策の基本となるものであるということが、まず一点目。また二点目としては、県職員の意識を変えることが大切であること、つまり個々の県職員の意識を変えることで、個々の担当事業にユニバーサルデザインの考え方を取り入れることが重要になってくるということ。三番目として、できることから始めるということだが、施策の優先順位を考えて、できるところから着手していくことが大切であるということ。それから四番目としては、人的対応と心のユニバーサルデザインとあるが、折角ハードが整っても、やはり人の支援を受けられる環境整備の確保がこれは大切なことであるということを基本認識として推進していくことが大切であると位置付け検討を進めている。
それで現在、報告書を作成中だが、資料の3にその骨子を紹介している。これは12月時点の報告書案の骨子だが、全部で第1章から第5章まである。第1章は従来の県の取組と県民意識。この中で従来の県の取組として福祉の街づくり、交通施策、あるいは道路施策に関する取組を再確認するとともに、各種計画においてユニバーサルデザイン、あるいはバリアフリーという言葉がどのように扱われているのかについて触れている。二番目に県内市町村の取組状況。三番目に現状に関する県民意識ということで、県政モニターへアンケート調査を実施した、その結果を載せている。アンケートの結果だが、ユニバーサルデザインについて意味まで理解していたという方は43パーセントという数字が出ており、意味は分からないけど言葉は知ってたという人はその他に29パーセントになっている。実際、県政モニターの方というと、かなり意識の高い方たちであろうと思われるので、一般的にはもう少し割り引いて考えられなければいけないと思うが、このアンケート結果は私どもの予想を上回るものであった。
第2章は、他の都道府県の動向と国の動向について調べたものをまとめている。まず(1)の都道府県の動向は、ユニバーサルデザインヘの取組状況の調査ということで、ユニバーサルデザイン推進指針といったガイドラインを作っている都道府県の紹介で、(2)は先進自治体の取組から見る今後の方向性ということで、ユニバーサルデザイン先進県の静岡県、あるいは熊本県における推進体制を調査しまとめたものである。静岡県、熊本県ともに、強いトップダウンがあってその下で進められている状況である。それから国と民間機関においても取組が進められている。国土交通省では主に街づくりのユニバーサルデザイン、経済産業省ではものづくりに関するものに取り組んでいる。
第3章では、神奈川県におけるユニバーサルデザインの推進についてということで、まず一つ目に神奈川県がユニバーサルデザインを推進する意義について。神奈川県が推進する意義としては、高齢化の進展、これはどこの県でも同じだが、神奈川県でも例外なく進んでいる。その他に神奈川県としては外国籍県民の割合が他県に比べると高いという状況もある。また民間でもユニバーサルデザインに取り組むなど、社会全体での取組が進んでいるといった背景もありこうした中、やはり県としてもユニバーサルデザインを進めなければいけないであろう、そのような観点に立っている。それから県の取組方向については、ユニバーサルデザインの推進のために何をすべきかを示すユニバーサルデザイン指針案を示すとともに、それを推進をさせるための仕組みとして、やはり職員研修や指針の進行管理についても触れている。
第4章では街づくりのユニバーサルデザインについて触れている。これは街づくりを例として具体的な取組を検討しているもので、建築物については福祉の街づくりの条例の限界と、ハートビル条例の必要性についての検討、あるいはより使いやすい施設設備のための利用者参加の手法の検討、あるいは既存施設対策、小規模施設の整備促進ヘの対応策について検討を進めている。
それから第5章では、福祉の街づくり条例の今後についてということで、例えばハートビル条例ができるということになってきた場合、福祉の街づくり条例の役割も整理していく必要があるであろうと、その辺について検討している。

(高橋会長)
現在、部局共同研究ということで、ユニバーサルデザインの研究を進められ、年度内に報告が完成されるというようなことを伺っている。

(平山委員)
直接は関係ないのだけれど、先程来話があった福祉の街づくり条例のPRも必要だということで、実は条例整備基準が改正になった時の解説書が作られて県庁第二分庁舎の1階に売られているが、要はそれがどの程度皆さんに使われているのか、折角手引きが作られているのだから活用されればと思うが、売れ具合というか活用され具合は何かわかるか。

(事務局)
詳しい資料が手許にないが、概ね800部程度の販売実績があると把握している。そのほかインターネットにも載せている。

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(高橋会長)
それでは、情報交換に移りたい。石橋委員からの提案があるがこれについて説明願いたい。

(石橋委員)
現在、全身性障害者と視力障害者の移動介護をやっている上での思いを書いた。確かに区画整理の時にはスミ切りをしていただけるが、そうでない所を移動しているとガイドして初めて、街角がこんなに不便なのかと感じて書いたものである。特に、垣根は濃くなるほど先々がよく見えない、枯れてくるとよく見えるという状況で、こういうところは福祉の街づくり条例の考え方を一人一人が理解してくれないとならないと思う。ただ、工事で今まで建物があったときはスミ切りになっていないまでも、商店の窓越しに車が来るとか来ないとかわかったのが、その建物が建て替えられるときに板で全部囲われると全く車の動きや人の動きが分からない。施主で気の利いたところは網をかけてくれたり見えるようにはしていただいている。この辺は基準で規制するものではないと思っているが、一つの話題提供と思い実体験から提案させていただいた。

(高橋会長)
実際には、歩道があればいいが無いところの問題がかなりある。個人の土地にも絡んでくるので難しいが、新たに市街地整備するとか都市計画を導入するといった時には考えられるが、現実的な対策は難しい側面もある。建築物の中であればスミ切りまでいかなくてもコーナーを取るとかミラーを設置するだけで解決する場合がある。

(平山委員 それぞれが携わるときに、特に市町村がまちづくりを考えるときにこういう配慮を提案していくことが必要だ。法律、条例で決めていくことは中々難しいが、景観条例などまちづくり関係の条例が大分できてきているので、それを実行に移すときにこのことも含めて取り入れるとよいかなと思う。やはり市町村関係のまちづくりを進められるところに取り入れられるよう話題にするというのがよいのではないか。

(高橋会長)
幹線道路ではミラーを設けるという形になっているかと思うが、斎藤先生いかがですか。実際にまちの点検で利用者の方から要望はありますか。

(斎藤委員)
こういう問題は多いが、基本的にはお願いを続けていく以外他にないのかなと思う。それからこれと先程、工事中のというお話があったが、これは横浜市のほうのガイドラインにもあるが、こういう問題は非常に難しいが、これを言い続けていくことによって、これまで気がつかなかった対応が出てくるような気がする。横浜市の工事中の歩行者に対するバリアフリーなんかは、例えば我々が点検している時に、本当に既存の施設のバリアは沢山あったが、時々気になってたのが工事中のことだった。そういう意味では、皆さんが介助して気になったこと、あるいは我々がそういう点検中で、気づいたことを言い続けていくとそれがいつの間にか基準になって、スミ切りはやっぱり作ったほうが良いよという社会的なコンセンサスができるので、それをやはりお願いして言い続けて訴えて、将来的に長い時間かけないでガイドラインや方針になる、住んでいる人たちの問題意識を高めていくということ以外にないのかなという気がする。

(高橋会長)
それでは折角名前が出たので、横浜市の加藤さん、いかがですか。この全国初の工事中の歩行者に対するバリアフリー推進ガイドラインだが、その背景も含めて少し説明いただけますか。

(加藤委員)
今、斎藤先生が言われたとおりで、工事期間中は、障害当事者たちだけでなくて高齢の方も含めて、非常に通りづらいということに配慮し、そういう工事期間中の工事の場所においてはガイドラインを決めてそれぞれの事業者にお願いしていこうといったようなことで、これは総務局で公共工事におけるガイドラインという形で我々と一緒になってやってきた。先程のコーナーの見通しを良くする件だが、実際に都市計画の分野の中でも、先程街づくり協定のお話が出たが、例えば環境設計制度とかを利用したりして、大きな開発の分野ではそれなりに見通しの良い街づくりというところでは、別に四角を丸くするだけでなくて、都市デザインという分野の中からも、いろいろな形で進んではいるが、それ以外に歩道と車道が明確になっていなかったり、あるいは歩道の中に電信柱が通ってたりと、そういった街づくりの中でもまだ多様なケースとまだまだ遅れているところがある。そういったところも含めて今後どうするかは、ある意味では大きな課題なのかなと思っている。今はこれから開発する分野についての交通バリアフリー法に基づく基本構想とか、ありていのところから少しずつ普及しながら、それぞれの意識の浸透を図っていくしかない。いずれにしても、言葉だけではなくて一つの実践を通じて、あるいは当事者の声を十分に踏まえながらといったことで、最近では福祉局と市社協、障害者団体の間で、ナビゲーションシステムを作り、障害者の皆さんの意見を入れながら点検している例もあります。

(高橋会長)
石橋さんのご発言は、ご自身の様々な活動の体験ということだが、自転車の方でもそれから聴覚障害の方でも、いろいろな方々、高齢の方でもいろんな意味で問題提起については、共通する部分があるかと思うので、これからの街づくりに皆さんとともに考えていかなくてはいけないと思う。

(横林委員)
チェーンストア協会だが、最初の話題で商業施設などが出てきた中で、私どもの会員はそれなりの規模だと思うが、小規模云々の話の中で実態はどんなのかということで、私の思いつきで申し上げる。視覚障害者に対する配慮は少ない、こういう話が先程のアンケートにも出てきているが、実態として、視覚障害者の方がお買い物等で一人で来られることはかなり少ないのが実態ではないのか。だから、ハード設備的な部分の対応もこれは必要な部分、一人で何とかということもあると思うが、実際はやはりだれか一緒でないと買い物できない、若し一人で店内等に来られたにしても、商品を選ぶ等々について、相当の制約があるので、設備施設的なものへ求める部分と人的な対応というか、ソフト的な対応を小規模の店では優先されるのが実際的なのかな、という部分もあるので、設備施設的なものだけを追っかけていいかどうか、少し微妙だなと思いながら聞いていた。実態として中々お一人でというケースは少ないかなと思う。

(高橋会長)
先程のこれから進めるためにどうしたら良いかという点で、そういう利用実態等も含めていろいろ検討して、対応策を考えていかなければという感じにはなるかと思う。そのためには、今お話があった方々との話し合いもきちんとしていかないといけないかと思う。それでは、事務局の方から用意されている議題と情報交換については、これで終わりにしたい。それではこれからの予定も含めて事務局のほうに戻したいので、何かあればご説明お願いする。

(稲垣委員)
本日は長時間ありがとうございました。この協議会の委員の任期は2か年となっており、16年度、17年度とお願いをした。正式には今年3月までだが、実態的には本日が最終回になろうかなと思っている。本日も多々ご意見いただき、特に条例の周知、情報の提供、そういった点はもっと配慮せよと、こういった受け止めをしている。例えば分かりやすいパンフレットを作るとか、あるいは市町村との課長会議等ともございますので、そういった場面で福祉の街づくり条例については適宜、適切に周知をしていきたい。
今後、高齢化社会が進み、現在、本県でも高齢者保健福祉計画の改定作業をしているが、ほぼ10年後の2026年には65歳以上の方々の人口比率が23パーセントになるというふうに見込んでいる。それから福祉の構造改革の中で、施設から地域へといった大きな流れがある訳で、そういったことを考えると、福祉の街づくり条例のコンセプトは非常に大事だと思っている。従って、福祉のまちづくりの考え方が、行政は勿論、社会全体の中でもっと高い、大きな位置付けになるように、いろんな意味で発信をしていきたい、こんなふうに考えている。
来年度以降は、また委員としてご協力をお願いする方いらっしゃるかと思うが、皆様も引続き、神奈川県の福祉の充実のために、いろんな場面でご協力をいただきたいということをお願して、御礼の挨拶とさせていただく。
本日は最終回となりますが、本当にありがとうございました。

(高橋会長)
それではこれで今年度第2回協議会を終了する。2年間という期間であったが、ご協力いただき誠にありがとうございました。また、引き続きお願いする方もいらっしゃるかと思うが、神奈川県の福祉のまちづくりがさらに推進されることをお祈りして、会長としての任を終えたい。ありがとうございました。

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