更新日:2025年6月4日
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次の審議会等を下記のとおり開催した。
神奈川県国民健康保険運営協議会
2025年3月19日(水曜日)14時00分から15時45分
県庁西庁舎 健康医療局会議室
新田 秀樹【会長】、川久保 君江、山本 浩子、遠藤 雄一郎、後藤 知良、宮川 弘一、石田 晴美、堀越 由紀子、篠原 正泰、長野 豊
未定
医療保険課 岩田
会長
それでは、議事に入りたいと思います。最初に、議事次第の(1)令和5年度国民健康保険事業会計の決算につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
事務局
令和5年度の、神奈川県の国民健康保険事業会計の決算状況についてご報告いたします。右肩に「資料2」と記載されているパワーポイント形式の資料をご覧ください。1枚おめくりいただきまして、1ページ目が、決算の概要のページでございます。
ページ中央より下部の表をまずご確認いただければと思いますが、令和5年度の特別会計の歳入総額は、約7,178億2,200万円、歳出総額は7,103億1,200万円でございまして、差し引きで決算剰余金が約75億1,000万円という結果になりました。
歳入・歳出ともに、昨年度と比べて1%程度の若干の減少でございますが、国民健康保険の被保険者数の減少等により保険給付費全体が減少したことが主な原因であると考えられます。
表のC欄決算剰余金ですが、マル2つでポイントを記載いたしておりますが、令和5年度は先ほども申し上げたとおり約75.1億円と、前年度に比べて約38.5億円増加しております。
決算剰余金の取扱いにつきましては、特に令和4年度と、資料に記載はございませんが令和3年度もそうなのですけれども、令和3・4年度の2か年は、保険給付費が当初予算よりも増加しまして、この増加分について、国庫の定率負担分が足りなくならないよう多めに交付があった、ということがございまして、この国庫支出金の超過交付分の精算のためにこの決算剰余金を全額充てる必要がありましたため、基金への積立までは実施できなかったという状況でございました。
ですが、令和5年度については、国庫の定率負担分が、精算の結果、超過交付ではなく、追加交付を要するような状況であったことや、保険給付費が当初の見込みよりは減少したといったような状況もございまして、国庫の返還への充当分については、表のとおり約4億4,000万円程度にとどまりました。
その残りの分につきましては、令和6年度の普通交付金、言い換えますと、保険給付の支払分でございますが、保険給付が、被保険者数が減少する一方で、1人当たりの医療費の増加があり、当初、市町村と協議して推計としておきました保険給付費の見込みまで減少していない、減少幅が鈍化している、といった状況から、令和6年度2月補正予算にて普通交付金予算を増額しております。その財源に、令和5年度の決算剰余金を52億円ほど充当しております。
今申し上げました2点、国庫返還への充当と、今年度の普通交付金への充当を行っても、今年度はなお剰余金の余りがございますので、この余り、表のF欄になりますけれども、この約18億4,000万円については、今後の不測の事態等に対応する財源となる財政安定化基金へ、この年度末に積み立てる予定でございます。
なお、令和6年度の普通交付金ですが、冬の感染症の流行などもございましたので、支払えなくなるということのないように余裕をもって補正予算を編成させていただいたことから、一定程度の残は出るのではないかといったところでございますが、まだ国庫金の定率負担分の歳入見込みが固まってない部分がございますことと、来年度の国庫金の精算状況を確認してみないと確定的なことは言えない状況でございます。
続きまして、2ページ目・3ページ目は、歳入の項目ごとの詳細な決算状況でございます。それぞれ主だった部分につきまして、少し触れさせていただきます。
まず、2ページ目上から7番目になります、特別調整交付金については、当初予算比で7割程度の決算額となっておりますが、こちらは市町村における、いわゆる「コロナ減免」といった、コロナによって所得に影響を受けた方等への保険料や一部負担金の減免が実績で当初予算編成時の見込みから減少したことなどが理由でございます。
また、財政安定化基金繰入金の増加については、例年、当初予算の時点では見込めない国庫の精算による返還額について、最終的に決算剰余金を充当してもなお返還額があったことに伴い、基金を充当して返還を行ったため、その分基金繰入金が増加した、というのが主な増加理由でございます。
続きまして3ページ目でございますが、前年度決算比の表でございます。
こちら、全体的なお話になりますが、冒頭でも少し申し上げましたとおり、国保の被保険者数が減少しておりますので、保険給付費の実績額に対して算定される国庫金や、県一般会計からの繰入金などは全体的に減少となっておりますが、一方で、高額医療費の関係については、医療の高度化等で増加している状況でございます。
また、個別に1点申し上げますと、前期高齢者交付金、こちらは、医療費が比較的かかるといわれております、前期高齢者の医療保険者間の偏在を調整するために、被用者保険などの現役世代から国保がいただいている交付金になりますが、こちらも、国保の被保険者の高齢化、前期高齢者の増加によって、交付額が増加しております。
歳入の主だった説明は以上でございまして、続きまして、4ページ目・5ページ目が歳出の項目ごとの決算状況でございます。まず4ページ目は対当初予算比でまとめた表でございます。
対当初予算比で申し上げますと、まず普通交付金は約2%程度でございますが、若干当初見込んだ保険給付費よりは下回った、という結果でございました。
また、特別交付金、これは先ほど申し上げたコロナ減免等、市町村が個々の事情に応じて行った減免や事業等の実績に対して交付される特別調整交付金や、保険者が保健事業等を行った実績や取組の評価に対して交付される保険者努力支援制度交付金、特定健診等の実施実績に応じて交付される特定健診等負担金などが含まれておりますが、こちらも実績が当初予算より減となったという状況でございます。
また、一般会計繰出金の下、国民健康保険事業費返納金でございますが、こちらは、当初予算を編成する前年度の秋~冬時点では、国庫の精算による返還金がいくらになるか見込めない関係上、当該年度途中に返還金が固まってから補正対応を行います関係で、当初予算と比べて決算額が大幅に増加しているものでございます。
また、財政安定化基金への積立ですが、こちらにも、当初予算編成時にはいくらもらえるかがまだ分からない、保険者努力支援制度の事業実施分に連動してもらえる「事業費連動分」という国庫金がございまして、こちらは金額が判明次第、補正予算で基金に積み立てて、翌年度取り崩して普通交付金の財源に充てる流れとなっておりまして、令和5年度におきましても、令和5年度中に額が確定し、交付されました事業連動分を、補正予算で増額しまして、積み立てたものでございます。
続きまして、5ページ目、対前年度決算比でございます。
対前年度で見ますと、やはり被保険者数の減と、それに伴う保険給付の実績の減が主な理由になりますが、全体的に前年度から減少しております。
ただ、その中でも、後期高齢者医療制度への支援金でございます、後期高齢者支援金につきましては、団塊の世代の後期高齢者制度への移行による被保険者の増により、増加している状況にございます。
また、先ほど歳入の部分でも申し上げましたとおり、高額医療費の増加により、特別高額医療費共同事業拠出金も前年度に比べて増額となっております。
その他、ヘルスアップ支援事業費については、令和5年度は、主に糖尿病治療中断者・未治療者の受診勧奨事業を充実させた影響等で、前年度よりも決算額が増額となっております。
また、財政安定化基金積立金が、前年度約23億から令和5年度で約6億9,000万円と下がっておりますが、こちらにつきましては、次の6ページ目の財政安定化基金の状況の中であわせてご説明いたします。6ページ目をご覧ください。こちら、県特別会計に置いている財政安定化基金の状況でございます。
令和5年度は、令和4年度と比べまして、積立額・取崩額ともに減少しておりますが、まず、積立額につきましては、毎年度、先ほども少し申し上げました、保険者努力支援制度交付金のうち、事業の実施状況等に連動してもらえる「事業費連動分」という国庫金の交付額の差でございます。
令和5年度の事業費連動分は、令和4年度に約23億円であったところ、国の予算配分の仕組みが変わったことにより、約半分の約12億円まで減少したのですが、この約12億円のうち、5億円については、国から、「特例基金の事業費分として、各都道府県の財政安定化基金に交付していたお金を充当してください」という指示があったため、その残りの約7億円のみが国庫金として交付され、それを積み立てた、というものでございます。
このため、積立額が前年度と比べますと減っている、といった状況でございます。
また、取り崩し額につきましては、令和4年度は、保険給付費が当初予算で見込んだものより大幅に増加し、補正予算で約168億円増額補正を行ったことに伴い、その主な財源として財政安定化基金を充当しました。
一方で、令和5年度は、先ほど歳出の決算状況でもご説明したとおり、普通交付金は当初予算の範囲内でおさまりましたので、補正予算において、追加で基金を取り崩すことなく、市町村への貸付財源・国庫の返還財源・年度当初の普通交付金への充当分、この3点の取り崩しで済んだことから、その分差が生じているものでございます。
また、財政安定化基金のうち、剰余金等を積み立てていた特例基金については、国において令和5年度末までの設置とされておりました関係上、令和4年度から順次、基金のうち「財政調整事業分」という括りに移行し、令和5年度末には、全て財政調整事業分に移すよう国から方針が示されておりましたので、令和5年度末には、特例基金は事業費分も含めて全てゼロ、という形となっております。
説明は以上でございます。
会長
どうもありがとうございました。ただいまの資料についてのご説明につきまして、ご質問等ありましたら、挙手のうえ、ご発言をお願いします。オンラインでご出席の皆様も、ご質問等ありましたら挙手をお願いいたします。
篠原委員
1ページの表をご説明いただきましたが、歳入歳出差引額が約45億あって、その利益処分として、1番下、財政安定化基金積立で18億4000万がいくという理解をしたのですけれども、この18億4,000万っていうのは先ほどの6ページの表との関係でいうと、どこに入ってくるのでしょうか。18億4,000万もこの中に入ってくるという理解をしたのですけれども、それを他のものと合わせたため、その数字が見えなくなってしまっているのかどうなのかということをお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
会長
はい、ありがとうございます。ただいまのご質問について、事務局いかがですか。
事務局
ご質問いただきました令和5年度の決算剰余金の1ページ目で申し上げますと、F欄の18億4,000万円ですけれども、こちら、令和5年度の決算の後に生じました決算剰余金でございまして、積み立て自体は、令和6年度に実施するものでございます。
そのため、6ページ目の令和5年度の積立額や取崩額にはまだ入っておりませんで、令和6年度の積立額の中に含まれてくるというものでございます。
篠原委員
理解しました、そうすると、次の運営協議会の報告の際に、いわゆる決算の処分を、18億4,000万に対して行い、この表の令和6年度の欄が作られてそこに反映されるという理解ですね。
事務局
仰る通りでございます。
篠原委員
ありがとうございました。
会長
篠原委員ありがとうございました。他、ご質問あるいはご意見がございますでしょうか。
長野委員
6ページの財政安定化基金の状況で、先ほど、取り崩し額のご説明をいただきましたが、令和4年度123億円に対して令和5年度46億8,000万と、異なっている理由が今ひとつよく分からないため確認です。保険給付費の増があったために、基金を取り崩したというお話ですよね。
事務局
はい、仰る通りです。
長野委員
その後、国庫補助分っていうのは精算で追加がありますよね、保険給付の増がありますので。そうしますと、取り崩したものが丸々どっかいってしまうという話ではなくて、精算した国庫補助分が戻ってくると思うのですけれども、その辺の関係はどうなのでしょうか。
会長
事務局、わかりますでしょうか。
事務局
令和4年度の基金の取り崩し額ですけれども、令和4年度は保険給付費の増がありまして、お金が足りなくなる恐れがないように、基金の方から予備費分、50数億円ありますが、そちらに充当する想定で一旦取り崩しをしておりまして、年度明けた令和5年度にその部分を、基金に積み戻しをしております。そちらのお金につきましては、こちらの表の中でこの令和5年度のところに積み戻しをされているというような形になります。
長野委員
そういうことですか、わかりました。取崩額で、取り崩したから財政が逼迫したとか安定したとか、そういうそれが一目でわかるというものではないということですね。
事務局
一旦取り崩した分も数字上はこちらの表の中に出てきてしまうというところがございまして、ちょっと分かりづらくなっているところがあり大変恐縮ですが、そういった形になります。
長野委員
はい、分かりました。ありがとうございます。
会長
その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは続きまして、議事次第の(2)になります。令和7年度国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率の算定結果についてということで、事務局からご説明お願いします。
事務局
議題2「令和7年度国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率の算定結果」について、事務局よりご説明いたします。資料3と記載のパワーポイントで作成した資料をご覧ください。こちらの資料を中心にご説明を進めさせていただきます。
議題2のご説明の流れといたしまして、1スライド目「目次」をご覧ください。まず、納付金の概要について、改めてご説明をさせていただき、令和7年度算定にあたっての主な変更点、納付金の算定結果、標準保険料率の算定結果の順でご説明をさせていただきます。
早速ですが、2スライド目、「1 国民健康保険事業費納付金(概要)」です。まず、納付金の概要のご説明に先立ち、改めて、平成30年度の国保制度改革後の国保財政の仕組みについて共有させていただければと思います。
改革前は、左側のように市町村ごとで財政運営していたところ、赤枠で囲った右側の制度改革後は、都道府県が財政運営の責任主体となりました。
制度改正後の納付金の位置づけですが、保険給付に要する費用を都道府県が全額市町村に支払うことになりますので、この保険給付に要する費用を賄うために、都道府県が、市町村から徴収する負担金となり、保険料が主な財源となります。
3スライド目をご覧ください。スライド下に記載しています算定イメージも併せてご確認いただければと思いますが、納付金の総額は、「保険給付費」に加え、「後期高齢者支援金」や「介護納付金」などの支出見込額を推計し、そこから国公費などの収入見込額を差し引いて、算出します。
市町村ごとの納付金は、「医療費水準」や「所得水準」、「被保険者数」に応じて按分し、算出します。4スライド目に、参考として、納付金算定の流れのフロー図も添付しておりますので、あわせてご確認いただければと思います。
5スライド目をご覧ください。各市町村の納付金は、「医療費水準」、「所得水準」、「人数シェア(被保険者数)」それぞれ高い方が、より納付金が多く配分されることとなります。
6スライド目に、参考として、国が作成しております納付金算定スケジュールの資料を添付しておりますので、あわせてご確認いただければと思います。
続きまして、7スライド目、「令和7年度の納付金算定にあたっての主な変更点」です。まず、「納付金算定における変更点」から見ていきます。
保険料水準の統一に向けて、令和6年度の納付金算定からの変更点ついても、改めて共有をさせていただければと思います。
保険料水準の統一に向けた取組については、本日はお時間に限りもありますので、詳しいご説明は省略させていただきますが、お手元にお配りしております、昨年度改定した国保運営方針の22ページから26ページにかけて記載しておりますので、併せて参考にご覧いただければと思います。
1点目、「医療費指数反映係数α」についてです。
保険料水準の統一に向けては、まずは、納付金の配分に医療費水準を反映させない「納付金ベースの統一」をめざしていくことになりますので、納付金に各市町村の医療費水準をどの程度反映させるかを決定する係数である「医療費指数反映係数α」を段階的に引き下げるため、令和6年度から「1」を「0.6」に引き下げています。
次に、2点目、「高額医療費共同負担方式の導入」ですが、こちらも保険料水準の統一に向けた取組の一環として、令和6年度から、納付金ベースの統一に向けて、高額医療費を県全体で負担することとしています。
8スライド目に、参考として、「高額医療費共同負担を実施した場合の影響」をまとめておりますので、あわせてご確認いただければと思います。
7スライド目にお戻りいただき、3点目、「既存の激変緩和措置の取扱」についてです。
「制度改正に伴う激変緩和措置」については、平成30年度の制度改正時の市町村との協議を踏まえ、国からの財政支援が令和5年度で終了いたしましたが、例外的に、「納付金ベースの統一」に関する激変緩和措置が終了する、令和11年度まで、基金を財源とし継続することとしています。
9スライド目をご覧ください。次に、4点目、「子ども医療費助成に係る減額調整措置の廃止分」につきましては、令和6年度算定と同様、国予算額を参考に、本県への影響額、約2.36億円を見込んでいます。
次に、5点目、「保険者努力支援制度交付金(取組評価分)の配分の見直し」につきましては、令和7年度から、都道府県分・市町村分の配分の見直しが行われ、これまで都道府県分と市町村分が、全国で500億円:500億円の1対1とされておりましたが、全国で600億円:400億円の6対4に変更されました。
これに伴い、都道府県分でみると交付金の配分が増となるため、納付金の減要因となる一方で、市町村分でみると配分が減少するため、各市町村の交付金の獲得状況などにより標準保険料率の増要因となる場合があります。
次に、6点目、「退職者医療分に係る納付金の取扱」についてですが、過年度精算分も含めすべて廃止となります。
10スライド目をご覧ください。 続きまして、「標準保険料率算定における変更点」についてです。
こちらからは、納付金ではなく、標準保険料率の算定の段階における変更点となります。
「標準保険料率」については、後段で詳細をご説明させていただきますが、統一的な算定ルールに基づき、市町村間や都道府県間の比較を可能とし、保険料率の「見える化」を図るため算定した、「理論上の値」となります。
まず、1点目、「αの引き下げに伴う激変緩和措置」ですが、こちらは、県の既存の繰入金を活用し、αの引き下げに伴い納付金が増額する市町村に対する激変緩和措置になります。
令和7年度は、αの引き下げ前の「1」で算定した納付金と、「0.6」で算定した納付金を比較し、差額の「60%」を補填するよう、繰入金の配分を調整いたします。
今後の財政補填措置は、下の表でまとめておりますが、αの段階的な引き下げと併せ、財政補填措置も段階的に縮小していくことで、「納付金ベースの統一」を目指していきます。
11スライド目をご覧ください。次に、2点目、「医療費水準に着目した財政補填措置」についてです。
αの引き下げ後においても医療費適正化に向けたインセンティブを確保するため、令和6年度から、既存の繰入金の配分において、「医療費水準が低いこと」を評価する指標を新たに設けています。
こちらの評価指標を設定することで、1点目でご説明いたしました「αの引き下げに伴う激変緩和措置」と併せまして、「納付金ベースの統一」に向けて、医療費水準が低いことにより納付金が増額する市町村に対して、財政的な配慮を行うこととしています。
12スライド目をご覧ください。 次に、3点目、「決算補填等目的外の法定外繰入金における基金積立分の取扱」についてです。
市町村の政策的な判断により一時的に基金積立を行うようなケースが生じた場合、標準保険料率の算定上、歳入の増要因として取り扱われるため、翌年度の標準保険料率が過少に算定されてしまうことから、市町村と協議のうえ、基金積立分を考慮しない取扱いに見直しを行いました。
次に、4点目、「都道府県標準保険料率の算定」についてです。
令和6年度の算定から、国の通知に基づき、納付金ベースの統一となる【α=0】のケースでも標準保険料率を算定し、公表しています。
13スライド目をご覧ください。 納付金及び標準保険料率の算定にあたっての「制度改正に等に伴う影響」をまとめています。
まず、1点目、「高額療養費制度の見直し」についてです。今般の国会における議論において、高額療養費の自己負担限度額の見直し案が凍結されたところですが、納付金算定時点においては、制度改正の影響として、保険給付費の減(マイナス0.21%・マイナス10.7億円)を見込んで算定しているため、算定した保険給付費が過少となっている可能性が考えられます。
こちらは、議題3の「令和7年度国民健康保険事業会計予算(案)」にも関係してきますが、令和7年度の保険給付費の実績が、算定した保険給付費(予算額)を上回る場合は、増額の補正予算を編成するとともに、県の財政安定化基金の取り崩しなどにより財源をまかなう必要が生じる可能性が考えられます。
次に、2点目、「高額医療費負担金の見直し」についてです。
14スライド目の国の資料をご覧ください。項目1に見直しの経緯などがまとめられておりますが、財政制度等審議会からの指摘等もあり、「納付金ベースの統一が進んでいけば、高額医療費の共同負担による市町村間の財政負担の平準化という意義は失われる」ことを踏まえ、令和7年4月から、対象レセプトの基準額を現行の80万円から90万円に引き上げることになりました。
15スライド目に図がございますので、ご覧ください。高額医療費負担金については、これまでは、定率の公費負担部分を除き、国・都道府県がそれぞれ4分の1ずつ負担していたところですが、事業イメージに記載の80万円のラインが引き上げられ、点線のラインまで引き上げられると、その引き上げ部分の国・都道府県がこれまで負担していた分が保険料に置き換わることになります。
先ほどの国の資料の中に、「納付金ベースの統一が進んでいけば、高額医療費の共同負担による市町村間の財政負担の平準化という意義は失われる」という記載がございますが、これは、仮に1つの市町村で高額な医療費が発生したとしても、納付金ベースの統一、つまり医療費の多寡を納付金の配分に反映しなくなると、医療費を県全体でならして負担することになるため、保険料への急激な影響はなくなると言うことができるため、国において見直しが行われたという背景がございます。
13スライド目にお戻りいただきまして、高額医療費負担金の見直しの影響として、歳入の減要因(マイナス18.9億円)を見込むとともに、国の激変緩和措置として歳入の増要因(プラス約5.0億円)を併せて見込んで算定しています。
次に、3点目、「保険者支援制度の見直し」についてです。こちらについては、先ほどの高額医療費負担金の見直しと併せ、見直しが行われるものになります。
14スライド目の国資料の2項目に記載がございますが、保険者支援制度は、所得水準の低い保険者の財政基盤安定化のため、各市町村の平均保険料算定額と低所得者軽減の対象者数に応じた財政支援を行うものであり、平成30年度の制度改正時の追加公費(全国で3,400億円)の事業規模を維持していくため、各軽減割合に対する支援率の見直しが行われたものになります。
令和7年度の標準保険料率の算定には加味しておりませんが、令和6年度の実績ベースで影響額を試算すると、県全体で約10億円の公費の増になります。
続きまして、17スライド目、「令和7年度の納付金の算定結果(概要)」についてです。 算定にあたっての主な変更点は、ただいまご説明したとおりですが、市町村ごとの納付金の算定結果は、資料3別紙1で1人当たり納付金の増減を含めた「各市町村の納付金総額」を一覧でまとめておりますので、併せてご確認をいただければと思います。
国が示した公費などの係数等を踏まえ、納付金を算定した結果を下の表にまとめております。表の上から順に見ていきますと、被保険者数の減に伴う保険給付費の減等により、「保険給付費」の「総額ベース」では、前年度比で、2.08%の108億円の減となる、「5,091億円」となりました。
「保険給付費」の「1人当たりベース」では、前年度比で、0.62%の2,148円の増となる、「34.6万円」となりました。
次に、「納付金」の「総額ベース」では、前年度比で、4.91%の121億円の減となる、「2,345億円」となりました。
「納付金」の「1人当たりベース」では、前年度比で、2.29%の3,734円の減となる、「15.9万円」となりました。
これまで増傾向が続いていた「納付金」の「1人当たりベース」が今回減少に転じた要因としては、被保険者数が減少している中で、歳入となる国庫負担金等の減少幅が小さいことが要因の1つであると考えています。
加えて、令和7年度の納付金算定においては、秋の試算(仮係数)から本算定(確定係数)にかけて納付金総額が増となったことに伴い、令和6年度決算で一定の決算剰余金が生じることが見込まれることもあり、市町村と協議のうえ、令和7年度の執行状況により、決算剰余金や県の財政安定化基金から約31.3億円を充当する想定で納付金を算定したことも、減要因の1つであると考えています。
続きまして、18スライド目、「4 令和7年度標準保険料率の算定結果(概要)」をご覧ください。
まず、標準保険料率の概要について、改めてご説明させていただきます。標準保険料率は、統一的な算定ルールに基づき、市町村間や都道府県間の比較を可能とし、保険料率の「見える化」を図るため算定した理論上の値となります。
各市町村は、標準保険料率も参考にして、市町村の加入者の「所得」、「世帯の状況」、「保険料(税)水準」等を総合的に勘案して保険料(税)を決定することになります。
そのため、県が示す標準保険料率と各市町村が実際に算定する保険料(税)率は異なるものとなります。
下の表では、標準保険料率の種類をまとめておりますので、ご確認いただければと思います。
19スライドをご覧ください。こちらでは、全国統一の算定基準(2方式)で算定した、令和7年度の都道府県標準保険料率をまとめています。
令和7年度の都道府県標準保険料率については、1人当たり納付金額の減もあり、「医療分」「後期分」「介護分」ともに、「所得割率」「均等割額」が減となっています。
各市町村の市町村標準保険料率の算定結果につきましては、資料3別紙2の1と2でお配りをさせていただいておりますので、併せてご確認ください。
かけあしで大変恐縮ですが、以上で議題2の資料のご説明を終了させていただきます。ありがとうございました。
会長
ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして、ご質問あるいはご意見がございましたら、挙手の上ご発言をお願いいたします。オンラインの方も先ほどと同様にご質問等ございましたら、カメラに向かって手を挙げていただければと思います。
長野委員
1つ質問ですが、9ページの、保険者努力支援制度交付金の配分の見直しのところですが、令和7年度に都道府県分を100億増やして、市町村を100億円減らしたことについて、この背景と言いますか、これはどのような考え方に基づくものなのか教えていただきたいのですが。
事務局
保険者努力支援制度交付金の配分の見直しの背景でございますけれども、全国的に保険料水準の統一に向けた取り組みといったものを進めていきますと、納付金の算定をするのは、基本的に都道府県ベースで算定をいたします。そうしますと、公費の歳入を、都道府県レベルで算定する保険給付費ですとか、納付金総額というところに反映していかないと、納付金算定において、言い方が少し雑になってしまうのですが、市町村さんにお金を渡しすぎるっていうような形になる可能性がございますので、都道府県の方に、歳入の財源を集めまして、県として平準化していくという観点で、こういったところの見直しが進められていると考えております。
長野委員
分かりました。ありがとうございます。
会長
確認ですが、この500対500を600対400に見直すということは、国が決めているのですよね。
事務局
はい、そうです。
会長
なかなか複雑でございますけれども、大まかな流れとしては、要するに都道府県の方に財政単位を統一して、それに伴って徐々に保険料を平準化していくという大きな流れの中で、だんだん市町村から財政に関しては都道府県の方に、ウエイトが移っていくというプロセスの一環としてこんな見直しを国がしたのかなと思われます。
他にいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、もし何かまたお気づきの点がありましたら、後ほどご質問いただいて結構ですので、一旦ここまでとしたいと思います。
それでは、議題(3)令和7年度の国民健康保険事業会計予算案について、事務局からご説明お願いします。
事務局
議題3「令和7年度国民健康保険事業会計予算(案)」について、事務局よりご説明いたします。資料4と記載のパワーポイントで作成した資料をご覧ください。こちらの資料を中心にご説明を進めさせていただきますが、資料4別紙1は本県の議案となりますので、併せてご確認いただければと思います。
1スライド目をご覧ください。「令和7年度県国民健康保険事業会計当初予算の概況」について、歳入・歳出の概要を簡単に図にしてまとめたものになります。
図の真ん中に記載のとおり、県国保特別会計の歳入歳出予算の総額は、約6,724億円となり、前年度比で約186億円の減となります。
予算額の減少要因としては、先ほどの納付金算定でも触れましたが、団塊の世代の後期高齢者医療制度への移行や被用者保険の適用拡大による被保険者数の減少に伴い、保険給付費の見込みなどが減少したことによるものです。
主な歳入・歳出の状況については、2スライド目の令和7年度歳入歳出予算額の内訳と併せて見ていきたいと思います。
2スライド目をご覧ください。こちらでは、予備費を除く、令和7年度歳入歳出予算額の内訳をまとめています。
まず、スライド左側の歳入ですが、最も大きいのは、歳入予算の約35%を占める「国保事業費納付金」となります。議題2でもご説明いたしましたが、前年度比121億円減の2,345億円となります。
次に、「国庫支出金」は、前年度比13億円減の1,765億円となり、約26%を占めるとともに、県の「一般会計繰入金」は、前年度比22億円減の461億円の約7%を占めています。
また、医療保険間の前期高齢者の偏在を調整する「前期高齢者交付収入」は、前年度比62億円減の2,053億円となり、約30%と大きな割合を占めています。
次に、スライド右側の歳出ですが、最も大きいのは、保険給付費となる、歳出予算の約76%を占める「普通交付金」です。保険給付費等交付金から「普通交付金のみ」を抜き出してみると、前年度比112億円減の5,098億円となります。
この普通交付金に、国の特別調整交付金や保険者努力支援制度交付金のほか、都道府県繰入金、特定健診等負担金など、市町村の個別の事情に応じて市町村に交付する特別交付金をあわせた保険給付費等交付金の全体を見ると、前年度比120億円減の5,211億円となります。
また、後期高齢者医療制度へ支払う支援金や、介護保険の2号保険分である介護納付金を見ると、合計で前年度比67億円減の1,456億円となります。
歳入歳出における、その他の主な増減としては、財政安定化基金からの繰入金が32億円の増となっておりますが、議題2の納付金算定でもご説明させていただいたとおり、仮係数から確定係数にかけて納付金が増額となった対応として、執行状況により充当する想定で計上しているものになります。
簡単な説明で大変恐縮ですが、以上で議題3の資料のご説明を終了させていただきます。ありがとうございました。
会長
ありがとうございました。ただいまの令和7年度予算案ですが、ご説明につきまして、ご質問等ありましたら、挙手の上ご発言いただければと思います。いかがでしょうか。
それでは、こちらもまた、後ほど戻って質問いただいて構いませんので、今ないようでしたら、いったんここまでということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、議題の(4)国民健康保険制度における制度改正等についてでございます。こちらも事務局からご説明をお願いします。
事務局
最後の議題といたしまして、主に情報共有の意味合いが強いものでございますが、右肩に「資料5」とございます、「国民健康保険の制度改正等について」の資料に基づき、ご説明をさせていただきます。
早速ではございますが、2ページ目をお開きください。まずは、「子ども・子育て支援金制度」についてでございます。
国の資料を中心にご説明してまいりますが、政府が、少子化対策の抜本的な強化にあたり策定した「こども未来戦略「加速化プラン」」の中で、子育て世帯を支える新しい分かち合い・連帯の仕組みとして、少子化対策に受益を有する全世代・全経済主体に、医療保険の保険料とあわせて、令和8年度から支援金を拠出いただく仕組みであります、「子ども・子育て支援金制度」が開始いたします。
支援金はこちら、資料に記載の児童手当や給付金などの事業に充てていく、といったものでございます。
3ページ目に続きますが、この支援金制度については、国保においては、医療分・後期分・介護分の保険料(税)と同様に、低所得者の軽減措置や、国庫の定率負担等の財政支援等を行うこと、また、18歳以下の支援金に係る均等割額を全額軽減する仕組みも併せて導入されることとなっております。
また、この支援金分の負担増については、全世代型社会保障改革と賃上げによって、実質的な社会保障負担軽減の効果を生じさせ、支援金制度による上昇の効果が超えないようにする、といったこともアナウンスがされております。
制度の意義や支援金の使途についてですが、4ページ目でございます。概要のみに触れる形ですが、この子ども・子育て支援金制度ですが、少子化対策を実施することによって、子育て世帯のみならず、社会システムが維持されることによって、全世代が利益を得るだろう、という考え方のもと、全世代での「分かち合い」という仕組みとなっている、ということがこちらに記載されてございます。
続きまして5ページ目ですが、支援金については冒頭も申し上げましたとおり、子ども・子育て支援金については、医療保険料とあわせた賦課・徴収が令和8年度分から行われていきます。この点につきましては後ほど詳しくさせていただきます。
また、基本的な方向性の囲みの中ですが、先ほども少し触れさせていただきました、国保における、低所得者軽減や国庫での財政支援についての方向性が示されておりますが、このあたりの実務的な政令・省令等の改正はこれからとなっておりまして、細かな実務面は、今後、国からの情報を確認しながら実施していくこととなります。
参考値にはなりますが6ページ目、こちらが、国が試算した、子ども・子育て支援金制度を導入した場合の、加入者1人当たりの平均支援金額の月額分となります。令和8年度から段階的に支援金の増額をしていくこととなっておりまして、令和10年度には、国保ですと平均で月400円の負担、という試算がされております。
続きまして7ページ目ですが、子ども・子育て支援金も含めた、保険料(税)の賦課総額イメージをまとめております。
先ほどの議題でご説明しました、県から市町村に、国保財政運営のため納付を依頼する国保事業費納付金ですが、こちらが現在、医療給付分・後期支援分・介護納付分となっておりますところ、4つ目の項目として「子ども分」が増えるような仕組みでございます。
子ども・子育て支援納付金として、神奈川県の国保が納めるべき必要総額が国から示されまして、その必要総額から、国費等の収入額を控除し、各市町村の医療費水準や所得水準等をもとに、市町村ごとに納付が必要な納付金額を算出いたします。
この納付金額を納めるために必要な保険料賦課額を、市町村が、均等割・平等割・所得割などの算定方式に基づき、医療分の賦課額・後期分の賦課額・介護分の賦課額、そして、新たに追加された子ども分賦課額、といった形で算定いたしまして、各世帯に賦課していく、といった流れとなります。
この、子ども分の賦課額を決定するための算定方式については、各市町村において決定していく形となりますが、県の運営方針にも定めております、保険料水準の統一、においては、この子ども分ももちろん含めまして、算定方式等の統一が必要となっていくものでございますので、今後市町村とも議論を進めていきたいと考えております。
子ども子育て支援金につきましては、最後となります、8ページ目でございますが、令和8年度から賦課が始まりますので、令和7年度、もうすぐそこに控えます来年度でございますが、秋口から本格的な県における納付金算定、市町村における保険料算定、と始まってまいります。
システム改修や実務的な部分など今後、自治体による準備も本格化してまいりますが、国の方向性を踏まえながら、市町村とも協議し、進めてまいりたいと考えております。子ども・子育て支援金制度につきましては以上でございます。
続きまして、「医師手当拠出金」でございます。
こちらも、子ども・子育て支援金と似たような仕組みのものでございますが、この拠出金制度の背景といたしましては、地域の医師偏在対策ということで、国が具体的な取組事項を、今般まとめたところでございます。
その中で、10ページが国の資料でございますが、細かく恐縮ですが、医師偏在対策の具体的な取組として、左側(1)のマル1、「重点医師偏在対策支援区域(仮称)」の部分でございます。
今後も定住人口が見込まれるが、人口減少より医療機関の減少スピードが早い地域を「重点医師偏在対策支援区域」と設定し、優先的・重点的に対策を進める、ということで、この重点区域については、厚生労働省が示す候補区域を参考としつつ、都道府県が可住地面積あたりの医師数、アクセス、人口動態等を考慮し、地対協や、各医療保険者・医療関係団体で構成する「保険者協議会」で協議の上、選定することと、という方針が示されております。
この「重点区域」ですが、経済的インセンティブも設ける方向性が示されておりまして、具体的な取組の右側、(3)経済的インセンティブでございますが、こちらに「派遣医師・従事医師への手当増額」とございまして、この手当増額分を、「医師手当拠出金」として、医療保険者からの拠出金を財源に実施する形となります。次の11ページに概要を記載しておりますのでご覧ください。
支援対象といたしましては、今後、先ほど申し上げました地対協・保険者協議会において選定された重点地域に派遣・勤務した医師への手当増額でございます。
この増額分の総額を、国において都道府県ごとに按分し配分、そして、その財源は医療保険者から拠出、ということでございます。
仕組みといたしましては、先ほどの子ども・子育て支援金と似たような仕組みとなることが想定されますが、次の12ページをご覧ください。
医師偏在対策のその他の施策も含めまして、段階といたしましては、法案が閣議決定され、現在国会にて審議中、という段階でございます。まだ、具体的な仕組みはこれからという段階でして、実施時期においても、3年を超えない範囲で今後検討されます。
資料は、医師手当拠出金の導入に係る条文案の部分を抜粋しております。今後につきましては、国の動きを注視してまいりますが、国保制度・国保財政運営にも関わる制度改正の動きということで、情報共有させていただくものでございます。
医師手当拠出金に関しましては以上でございます。
続きまして、高額療養費制度につきましてですが、14ページをお開きください。
こちら、昨今報道などで大きな話題にもなっている部分でございますので、皆様ご承知いただいている部分かとは思いますが、高額療養費は年々増加しており、結果として現役世代の保険料増加につながっていることから、セーフティネットとしての高額療養費の役割を維持しつつ、全ての世代の保険料負担の軽減を図る観点から、高額療養費の自己負担限度額等の見直し案が示されたものでございます。
こちら、15・16ページと、見直し案の1番最後の段階、多数回該当は据え置き、自己負担限度額の見直しを図る案を掲載させていただいておりますが、自己負担限度額の引き上げも含め、高額療養費制度の見直しは全て凍結、という判断が下されたところでございます。
17ページでございますが、先ほど、納付金の説明においても少し触れさせていただいたところでございますが、県国保財政への影響といたしましては、保険給付費総額が10.7億円減少するものと推計しておりましたが、この減少影響が、見直し凍結によりなくなるため、今後の保険給付費の推移にもよりますが、基金へ積み立てた剰余金等で、必要に応じて賄っていくものとなります。
18ページは参考までに、県内における、1件80万円超のレセプト、この「80万円」が、「高額医療費負担金」として、国費や県の一般会計で一定割合の財政支援の対象となるレセプトの基準額でして、この80万円以上のレセプト合算額の推移を現したものでございますが、令和3年度・令和4年度のところで、コロナの受診控えのリバウンド等もありイレギュラーな動きも見受けられますが、右上、国保の被保険者数が一定程度の割合で減少しているにも関わらず、やはり医療の高度化・高額薬剤の普及等の影響か、80万超の給付費は上昇傾向にあり、右下ですが、1人当たり保険給付費が上昇傾向にある1つの要因とも捉えられるかなというところでございます。
ただし、高額療養費の見直しが必要な治療の抑制につながることはあってはならないことですので、今後、国が改めての検討を行うとのことですが、国の検討の方向性を注視しながら、県財政に与える影響等についても確認してまいりたいと考えているところでございます。
抗菌薬の分析状況についてご説明させていただきます。
抗菌薬につきましては、現在の医療において非常に重要な役割を果たしておりまして、感染症の治療ですとか、患者の予後の改善に大きく寄与しているとされております。その一方で、薬剤耐性菌に伴う感染症の増加というものも国際社会の中で大きな課題の1つとなってきています。
1980年以降ですが、院内を中心に、薬剤耐性菌の脅威が増加していることなどから、抗微生物薬の適正使用ということをしっかりと行っていかなければ、将来的に有効な抗菌薬がないというような事態が憂慮されております。
ですので、現段階で、抗菌薬といったものがどのように使用されているかどうかを認識しつつ、適正な使用が求められているという状況になってきております。
次のページをお願いします。次のページは参考ですが、現状、全国での抗菌薬の使用割合を表したグラフになっております。
コロナの頃の2020年には使用が減少しているのですが、コロナ明けの2022年以降はやはり増加傾向にあるということで、DIDという指標があるのですが、こちらが、2022年から2023年にかけてですね、約22%増となっており、増えてしまっている状況でございます。
次のページをお願いします。
こういった状況を踏まえまして、神奈川県としましても、抗菌薬の適正使用にしっかりと取り組んでいく必要があるという認識がございます。また、先ほどの議題でも少し話がありました、保険者努力支援制度の指標においても、都道府県の医師会や薬剤師会と連携し、子どもの抗菌薬処方の適性化につながるような取り組みを実施するというような指標が、令和7年度から設定されたこともございます。
こういったことを踏まえまして、まずはしっかりと、県内での抗菌薬の使用状況などを分析しつつ、その結果をもとに、保険者協議会など、いろいろな場で情報共有しながら、適正使用に向けて支援をしていこうと考えてございます。
また、今、始まったばかりではあるのですが、地域フォーミュラリや、後発医薬品等について、地域で検討する際の参考資料としても活用いただけるのではないかと考えてございます。
今年度、簡単ではございますが、県全体と、二次医療圏別の使用割合、先ほどの指標DIDを用いて、どのような使用状況になっているかということを分析させていただいている状況にございます。また結果については、場は未定でございますが、皆様にしっかりと情報共有させていただきたいと考えておりますので、その際はご協力のほどよろしくお願いいたします。以上でございます。
会長
ありがとうございました。国保における制度改正、それから抗菌薬の使用状況の分析ということでございました。ただいまのご説明につきまして、ご質問あるいはご意見がございましたら、挙手をお願いします。
篠原委員
ご説明ありがとうございました。まだ決まっていないのかもしれないのですけれども、医師偏在対策のところですが、この前保険者協議会に出席をしておりましたら、重点地域が神奈川県の中にもあって、県西地区が重点地域になっているというお話がありました。先ほどご説明があったように、保険者から広くお金を集めて、それで重点地域に行かれる医師に少し上乗せして配分していくっていうお話のように理解しておりますが、神奈川県の場合だと県西地区に行く医師にも、保険者から集めてお金が行くという形になるのでしょうか。
会長
事務局、ただいまのご質問についてお答えできますか。
事務局
篠原委員仰っていただいた通り、保険者協議会の方で、厚労省の参考指標では県西地域が重点区域に、候補として上がるというところでお話があったというふうに伺っておりますが、まだこちらプランに落とし込んでの決定ではございませんが、今後、県西地域をということで進むだろうというところでございます。そうしますと、県西地域で勤務・派遣される医師に対して、医師偏在対策の拠出金ということで拠出されるお金がその手当の増額に充てられるだろうというところでございます。以上でございます。
篠原委員
もしも県西地区ということになると、島しょや僻地などという、地方の特に医師がいないところに行っていただく上乗せ金と、それから県西地区に行ってもらう上乗せ金とは、当然ハードルが違うと思うので、差をつけなきゃいけないのかなと思っているのですけれども、その辺りは均等になるのでしょうか。
事務局
増額分が、具体的にどういう基準で手当として上乗せされていくかというところは、まだ詳細が出てございませんので、今後国の状況を確認して、決めていくというところと考えております。
篠原委員
分かりました。そうしますと、厚労省の方針としてまずは、各県ごとに一番へこんでいるところという方針があったように思うので、それで県西地区が今選ばれていますけれども、それはあくまでも、厚労省の方針であって、今後いろいろな協議を経て、最終的にその配分される地域が決まっていくっていうような感じなんでしょうかね。
事務局
仰る通りと考えております。
篠原委員
ありがとうございました。
堀越委員
県西地区は、福祉圏域の県西地区と同じですか。
事務局
同じ2市8町です。
堀越委員
ありがとうございます。
事務局
後藤委員お願いします。
後藤委員
抗菌薬の使用状況分析についてなんですが、事業の概要には、子どもの、と入っていますが、分析は、子どもだけで行うのか、それともすべてを対象にするのかについて、教えていただけますか。
事務局
今年度の分析に関しましては、子ども等で絞らずに全体地域としての使用状況を分析していく予定でございます。
またこの結果をもちまして、どういった分析が必要かということが少しずつ見えてくると思いますので、それ以降、また年齢であったり、もう少し地域を細かくであったり、ということを考えていく材料として、まずは全体地域でとうことを考えております。
後藤委員
ありがとうございます。その結果が出た後に、ある程度、分析された後なのだろうと思いますが、当然他県、他の都道府県との比較とかっていうのも当然考え方に入ってくると思うのですが、それも当然おやりになるということでよろしいでしょうか。
事務局
現時点で細かく検討までは行っていないのですが、様々な比較対象が当然存在すると考えております。そのため、まず県内の比較、各市町村ですとか、もっと細かくいろいろな比較をするのと同時に、他県との比較というのも当然対象として挙がってくると思いますので、来年度以降、今年度の分析を踏まえた上で、どういったことが県の保険者さんの医療費適正化等に役立てるかということをしっかりと考えつつ、分析を行っていきたいと考えております。
会長
後藤委員、よろしいでしょうか。
後藤委員
はい、ありがとうございます。
会長
他、いかがでしょうか。長野委員、お願いいたします。
長野委員
私も抗菌薬のお話になるのですが、22ページの事業概要の中段に、県内の抗菌薬の支給状況分析結果について、保険者協議会等で周知を行うとありますけれども、私ども協会けんぽでは、令和6年度の事業として、神奈川県と県の医師会さん、薬剤師会さんとの連名で、かかりつけ医やかかりつけ薬局を持ちましょうという働きかけと一緒に、抗菌薬の適正使用を呼びかけるポスターやチラシを作成してこれから関係機関に配布することを予定しております。
ついては、市町村国保の皆さんも今後足並みをそろえて、被保険者等への周知を図っていただくようお願いしたいと思います。
会長
ありがとうございました。ご要望ということで、承りたいと思います。
堀越委員
今の抗菌薬のことですけれども、ちょっと立ち入ったことになるかもしれませんが、この調査は、対象疾患や診断名と同時に、誰が処方せんを出したかっていうところまで調査されるのですか。
事務局
今回の抗菌薬の適正使用分析については、あくまでレセプト情報を活用し、地域でどれぐらい現状使用されているかというような分析になります。お話いただいたような細かい分析については、行っておりません。
堀越委員
ありがとうございます。
会長
他、いかがでしょうか。
篠原委員
すごくベーシックな質問で恐縮なのですけれども、先ほどからいろいろな国保の財政のときに被保険者が減っているというようなお話があり、それで、資料5の18ページには、具体的に県内国保被保険者数の推移ということでお示しをいただいていて、確かにそうだなと思ったところですが、これは高齢化によって、後期高齢者医療制度の方にどんどん率としては流出しているというようなことが、要因なんでしょうか。それとも、いわゆる社会減というようなことが起きているんでしょうか。その要因はどんなところにありますか。
事務局
篠原委員おっしゃいます通り、ちょうど世代的にここ2・3年で団塊の世代がちょうど75歳に移行するという時期でございまして、一昨年ぐらいから3か年かけて、後期高齢者医療制度に移行するというところで、大幅にといいますか、一定の割合で国保の被保険者数が後期の方に流れているという状況でございます。それから、昨今被用者保険の適用拡大というところも段階的に見直しが国の方で進められているところでございまして、その影響で被用者保険の方に移っていかれるという方もいらっしゃって、大きなこの2つが被保険者数の減少の大きな要因と考えております。
篠原委員
ありがとうございます。そうすると被保険者が減っていくということ自体は国保の財政からいったら、良い方向に移るのでしょうか、それとも悪化の方に推移するのか、その辺りはどんな感じでしょうか。
事務局
財政規模的には、縮小していけば保険給付費も縮小するというところはありますけれども、ただ、やはり被用者保険等の適用拡大もございまして、現役世代といいますか、その部分の保険料を納めていただけるところの世代が少なくなっているというような課題もございまして、それで、国民健康保険の財政的にはそこまで良くはなっていないというところが現状というところでございます。公費の獲得ですとか医療費適正化ですとか、そういったところが課題と考えてございます。
篠原委員
ありがとうございます。さっき先ほど円グラフで財政のところを分かりやすく説明していただいたのですけれども、一般会計からの投入と、それから、いわゆる安定化基金とがあると思いますが、その入れ方っていうのは何か比率が決まっているのでしょうか。財政安定化基金がたくさんあっても、一般会計からの法定外繰入を行うことが可能なのか、それが何か足らないときに積立金から入れるのか或いは一般会計から入れるのかというところの、率や額の考え方っていうのはベースがあるんでしょうか。
会長
財政安定化基金の繰入や貸付のルールのお話かと思いますが、事務局いかがですか。
事務局
予算上の一般会計からの繰入金ですけれども、こちらにつきましては、すべて法定の負担金という形となっておりまして、県で負担するのが、保険給付費の9%を負担するという財政調整繰入金というものと、あとは、特定健診に要する費用の一定の割合を負担するというものと、あとは高額医療費の負担金の中の4分の1部分といったところのその3つがございまして、こちらは、全て法定の負担金になっておりますので、県の方で率を変動させて繰り入れするということができるようなものではございません。そういったところもありますので、基金からの繰入金につきましては、国や県などのその定率の負担金以外の部分で足りなくなるような場合は、基金の方から取り崩して充当するという形になります。
篠原委員
よく分かりました。そうすると、法定外繰入っていう表現はあんまり正しくないということですかね。
事務局
そうですね、県からの繰入金は法定外ではなくて法律上定められているものですので法定の繰入金という形になります。
篠原委員
逆に言えば、神奈川県の場合には法定外はないということですね。
事務局
県レベルでは行っておりません。
篠原委員
市町村レベルでは行っているということですね、裏を返せば。
事務局
そうです。令和8年度までを目標として、決算補填等目的の法定繰入金の解消というところは進めているところでございます。
篠原委員
減らしていこうということですね。
事務局
仰る通りです。
篠原委員
構造と考え方はよく分かりました。ありがとうございました。
会長
よろしいでしょうか。保険料水準の平準化を進めていく上では、やはり法定外が入りますと平準化の数字が出てこなくなりますので、平準化に向けてこれを解消していくということもやっていくのだろうと思います。
他いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
いろいろとご質問等いただきましてありがとうございました。今、議題の(4)までまいりましたが、本日のご説明全体を振り返りまして、何かさらに確認するようなことなどございましたらご質問ください。
長野委員
本日お配りいただいた運営方針についてでもよろしいでしょうか。
会長
はい、お願いします。
長野委員
はい。1点だけ確認というか意見を申し上げたいのは、15ページのですね、今篠原委員からお話ありましたが、決算補填目的の法定外繰入金の状況というのを見ると、前回の協議会でもご説明いただいたところですが、繰入が多い理由の1つに普通調整交付金の国からの1人当たり交付額が少ないということが、あげられています。
そこでお聞きしたいのは、神奈川県の普通調整交付金の交付団体と不交付団体それぞれの数を教えていただきたいのと、この1人当たりの額が少ないのは、県内では最もウエイトが高いのが横浜市ですよね。多分そうだと思うのですが、横浜市が不交付団体になっていることが大きく影響しているのではないかと私は思っているのですが、例えば横浜市を除いて、1人当たりを算出して、全国と比較するとどうなるかとかですね、もう少し多角的に分析された方がいいと思うのですが、この点について県のお考えがあればお聞かせいただきたいです。
会長
事務局、いかがですか。
事務局
今おっしゃられました、交付団体・不交付団体というところでございますが、普通調整交付金につきましては、県全体の所得と、かかった医療費の差額を、普通調整交付金で補填するというようなものでございまして、こちらにつきましては、市町村レベルで不交付団体・交付団体ということの整理ではございません。本県の方が、交付額が少ないといったところは、本県の特徴といたしましては、全国的に見て、医療費水準が低いということと所得水準が高いといったところもございまして、全国的に見るとその交付額の配分が少なくなってしまっているというような状況がございます。
長野委員
はい。すいません市町村ごとに交付・不交付というのはないということなんですが、交付は、県に対して交付されているということでしょうか。
事務局
おっしゃる通り、県に一括で交付されまして、県の方で保険給付費の財源、予算ベースで申し上げますと、普通交付金の財源に全額充当するような形になっておりまして、市町村個別に交付するような形にはなっておりません。
長野委員
わかりました。いずれにしても、実際に各市町村、すべて積み上げで、医療費なりその所得っていうのは計算されているわけですよね。
事務局
そうです。
長野委員
そうしますと、そこで私申し上げたいのは、やはり横浜市の影響が大きいのではと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
事務局
普通調整交付金については、一般的な交付税と同様で、調整対象需要額と言われるいわゆる医療費相当分から、県自体の収入額、調整対象収入額と呼んでいますが、これを引いた差額が、普通調整交付金として補填されるということになりますと、いわゆるその所得が高ければ高いほど、この普通調整交付金がなかなか来ないという扱いになろうかなと思います。
ただ、横浜市の影響がどれだけあるかというところになりますと、この普通調整交付金を算定するにあたっては、いわゆる上限、保険料として確保するための上限の部分を引いた後の額として算定しております。
そのため、1人当たりの調整対象収入額というところのレベルで考えますと、横浜市は必ずしも県全体の他の市町村に比べて高いわけではないというような状況もありますので、そういった意味では単純に横浜市の収入が高いというところが、普通調整交付金の額を下げるという形では影響はしていないと思います。
長野委員
今ひとつ仕組みに理解が及んでいませんが、分かりました。
会長
県レベルで入れる交付金と、市町村の独自判断となるお金とのバランスの問題かなという気がいたします。それで今、長野委員が疑問に持たれるようなことが起きているのかなと思います。ただそれについて、県単位での保険料水準の平準化をする中で市町村間のばらつきの解消を進めていこうというのが、この運営方針の話でございまして、一応その目指している年度は令和18年度としておりますので、現在は、そこに向けての平準化のプロセスが始まったところだと思います。
ありがとうございました。その他、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日は、円滑な運営にご協力いただきまして、また、活発なご意見を頂戴いたしましてありがとうございました。以上で令和6年度第1回神奈川県国民健康保険運営協議会を終了いたします。皆様どうもありがとうございました。オンラインでご参加の皆様におかれましてもありがとうございました。
1.(資料2)令和5年度国民健康保険事業会計決算について(PDF:526KB)
2.(資料3)令和7年度国民健康保険事業費納付金及び標準保険料率の算定結果について(PDF:1,616KB)
3.(資料3別紙1)令和7年度国民健康保険事業費納付金算定結果一覧表(PDF:206KB)
4.(資料3別紙2-1)令和7年度標準保険料率算定結果一覧表【α=0.6】(PDF:94KB)
5.(資料3別紙2-2)令和7年度標準保険料率算定結果一覧表【α=0】(PDF:93KB)
6.(資料4)令和7年度国民健康保険事業会計予算(案)について(PDF:350KB)
7.(資料4別紙1)令和7年度神奈川県国民健康保険事業会計予算議案資料(PDF:174KB)
8.(資料5)国民健康保険における制度改正等について(PDF:2,531KB)
このページの所管所属は健康医療局 保健医療部医療保険課です。