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更新日:2023年10月17日

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かにゃさんぽ(認定NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク)

横浜市の「認定NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク」を取材した「かにゃさんぽ」の記事です。

移動サービスを利用して誰もが気軽にお出かけできる街に

2023年3月24日 金曜日

かにゃお
今日は、横浜市都筑区にある「神奈川トヨタビジネスモビリティセンター」にお邪魔するよ!認定NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワークさんの主催、神奈川トヨタ自動車株式会社さんの協力で、「ベテランドライバーの運転ヘルスチェック&福祉有償運送 担い手としてのやさしい運転振り返り」という講習会が行われるんだって。主催している認定NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワークの清水さん石山さんにお話を聴くよ。おはようございます、かにゃおです!

清水さん・石山さん
かにゃお、おはよう!こちらは、神奈川トヨタ自動車株式会社のご担当者さんです。

かにゃお
おはようございます!今日は講習会を見学させていただきます。よろしくお願いします!

神奈川トヨタさん
かにゃお、はじめまして!神奈川トヨタビジネスモビリティセンターへようこそ!
神奈川トヨタ自動車では、すべてのドライバーが安全に運転していただくため、今日のような職業ドライバーさん向けの講習会をはじめ、一般ドライバーさん向けにも運転ヘルスチェックや講習など、様々なサービスを行っています。このようなサービスを通して、車の運転をする方、車に乗車する方へのサポートをすると同時に、地域に暮らす方々、地域全体が安心できるモビリティライフを提供しているんですよ。

かにゃお
そうなんだ、神奈川トヨタ自動車さんは、車を作って売っているだけじゃなくて、そのあと、みんながずっと安全運転できるように、またその町で暮らす人が安心して生活できるように色々なサポートもしているんだね。
じゃあ、さっそく今日は職業ドライバー向けのフォロー講習会を見学させていただこうかにゃ。

神奈川トヨタさん
はい、では、講習会は2階です、こちらへどうぞ!

かながわ移動ネット1
(神奈川トヨタビジネスモビリティセンターの会場入口)
((左)石山事務局長(認定NPO法人かながわ福祉移動サービスネットワーク)、
(右)神奈川トヨタ自動車株式会社のご担当者様)

かにゃお
では、お邪魔します!ここが講習会の会場かにゃ?

清水さん
そう、ここが講習会の会場です。こちらにいらっしゃるのは、「福祉有償運送」、言い換えると「移動サービス」を担っているベテランドライバーの皆さんなのよ。

かにゃお
「福祉有償運送」も「移動サービス」も、聞き慣れない言葉だにゃ。

清水さん
福祉有償運送」、「移動サービス」というのは、介護を必要とする高齢者や障がいのある方など、単独で公共交通機関を利用して移動することが困難な方を対象に、国土交通省に登録したNPOや社会福祉法人、自治会等が車と介助で移動の支援をすることを言うのよ。どちらも同じ意味だけど、利用者側からとらえた「移動サービス」という言葉のほうが一般的に使われているわね。

かにゃお
へぇ~。知らなかったにゃ。ひとりで移動するのが難しい方が利用することができるサービスなんだにゃ。
あれ、みんな何かテストしているね。

石山さん
ベテランドライバーさんたちは年齢も高くなってきているから、「運転ヘルスチェック」ということで、警察で行われるのと同じ内容の「認知機能検査」をしてもらっているのよ。

神奈川トヨタさん
ドライバーの皆様が安全安心に運転を継続していくために必要な「目・耳・脳・身体」の4つの機能の状態を、年に一度人間ドックのようにチェックいただける、神奈川トヨタオリジナルの支援プログラムが「運転ヘルスチェック」になります。今はそのメニューの中の1つ、「脳」のチェックにあたる「認知機能検査」を受けていただいています。「運転ヘルスチェック」は職業運転手の方はもちろん、地域で運転をする高齢ドライバーの皆さまにとても好評いただいているプログラムで、神奈川県警と県知事からも感謝状をいただいているんですよ。

かにゃお
へぇ、それはいい取組だにゃ。免許更新の時でなくてもここで検査ができるなら、高齢のベテランドライバーさんにとっても安心だにゃ。

石山さん
そうね、日頃からチェックしておくことが大切よね。

かながわ移動ネット2
(講習会の様子)

かにゃお
今日は講習会の主催をしているけど、普段、かながわ福祉移動サービスネットワークさんはどのような活動をしているの?

清水さん
うちの法人は2003年から活動していますが、主な活動としては、移動が困難な方からの電話やメールでの外出相談お住まいの地域の移動サービスのコーディネート、移動サービスのドライバーとなるための「国土交通大臣認定運転者講習」や今日のような移動サービスを担っているドライバーさんや添乗員さん向けの講習、自治体と連携して移動サービスの担い手を増やすための地域の講習会など講習会の開催をしているのよ。ほかには、移動サービスの普及啓発移動サービスの活動をしている団体や活動を始める団体の相談や支援といった移動サービスの中間支援組織的な活動、県や市町村への意見提案や全国移動サービスネットワークと連携して国土交通省等への要望等、政策提言もしています。

かにゃお
障がいのある市民の方の外出相談から運転講習会、国や自治体への政策提言まで、幅広くて奥が深そうだにゃ。移動サービスの活動をする団体は、どのような団体が多いの?

石山さん
地域の社協自治会のOB社会福祉法人地域で開催された講習会に参加したボランティアで立ち上げたグループなど、様々な団体がいるんですよ。

かにゃお
へぇ~、自主的な団体も多くて素晴らしいにゃ~。そうだ、ホームページで、「かれんタクシー」っていうのを見たんだけど、それはどんな取組?

石山さん
かれんタクシー」は、障がいのある方が「付添いなしでタクシーに乗る」社会を目指して、タクシー協会やタクシー事業者さんたち、特別支援学校や福祉作業所等と協働で立ち上げたプロジェクトでね。子どもからお年寄りまで障がいのある利用者さんがタクシーを利用する際、タクシー事業者さんと事前に面談し、利用者の方もタクシー事業者さんもお互いを知ってからタクシーを利用して、利用者登録して継続して利用してもらうという仕組みを作ったの。協力していただけるタクシー事業者さんの数も、プロジェクト立ち上げ当初の3社から14社に増え、対象地域も横浜市内だけでなく川崎市内まで広がっているの。現在は、「かれんタクシー」をさらに周知して、利用者さんとタクシー業者さんのマッチング、コーディネートをしているのよ。この活動は、2020年に関東運輸局地域交通優良団体等表彰を受賞したのよ。

かにゃお
それはすごいにゃ。タクシーを利用する前に、タクシー事業者さんと面談するなんて、とても丁寧だにゃ。安心してタクシーに乗れるにゃ。

清水さん
そうなの。この「かれんタクシー」の利用者さんには、障がいのあるお子さんもいるのだけど、お母さんやお父さんが付き添わずにお子さん一人で乗車しても大丈夫なのよ。例えば、特別支援学校から放課後等デイサービスまでの送迎をお願いすると、タクシーの運転手さんが特別支援学校に行って特別支援学校の先生から利用者のお子さんを引き渡していただき、タクシーで放課後等デイサービスまで連れて行ってくれるのよ。

かにゃお
へぇ~!!それは、お母さんお父さんたちにはとても助かるにゃ!

石山さん
お母さんやお父さんの負担が少し軽くなって助かるわよね。障がいのあるお子さんが自宅までの送迎を利用すると、タクシーの運転手さんが自宅の玄関まで付き添って送ってくれるから、お母さんやお父さんは自宅でお子さんを待っていることができますからね。利用したお母さんからは、「初めて子どもに「お帰り」って言うことができました!」と嬉しそうに話してくれました。それまでは、常にお母さんやお父さんが付き添っていないと出かけられなかったからね。

かにゃお
なるほど。それは嬉しい感想だにゃ~。

かながわ移動ネット3
(車いすに乗ったまま乗車できるUD(ユニバーサルデザイン)タクシー)

清水さん
そうなの。タクシーの運転手さんも、最初は障がいのある方を乗車させるのは、どのように対応すればよいか分からなくて不安だったそうだけど、事前に面談して利用者さんの特性を理解して、実際利用者さんを乗せてみたら、ほとんどトラブルもなく、利用者さんはタクシーの乗車を楽しみにしてくれていて、乗っている間も車窓を眺めて楽しんでくれている様子が分かって、とても気持ちよく仕事ができた、障がいのない方を乗車させるのと変わらないと言ってくれているのよ。

かにゃお
そうなんだにゃ。みんなが幸せな気持ちになることができて、ほんとに素敵な取組だにゃ~。タクシー事業者と移動サービスのNPOとのパートナーシップ、素晴らしいにゃ!

石山さん
他の都道府県では、移動サービスを担っている団体はタクシーの利用客を奪う存在だと思われていて、タクシー事業者と移動サービスを担う団体はうまく連携できていないことが多いのよ。そんな中、神奈川県ではタクシー事業者と移動サービスを担う団体がうまく連携して障がいの方等の福祉輸送に取り組むことができていて、とてもいいことだなと思っています。うちのホームページでは、「かながわ福祉輸送情報 NPO&TAXI」として、神奈川県内のタクシーとNPO、両方の移動サービス情報を発信しているんですよ。

かにゃお
素晴らしいにゃ。清水さん、石山さんたち、かながわ福祉移動サービスネットワークの皆さんが一生懸命活動してくれているおかげだにゃ。

清水さん
かにゃお、そう言ってくれると嬉しいわ、ありがとう。タクシー協会で福祉車両の研修の講師などもさせていただいているのだけど、タクシー協会との連携の中で、UD(ユニバーサルデザイン)タクシーを取り扱っている神奈川トヨタ自動車さんとも出会うことができて、今日のような講習会が開催出来たり、福祉車両も寄贈いただいたり、様々なことを協働連携していただいているから、本当にありがたいです。

かにゃお
それはありがたいにゃ~。ところで、この活動を通して嬉しかったことはどんなこと?

かながわ移動ネット4
(利用者を福祉車両に乗せる様子)

清水さん
やはり、送迎をしていると利用者の笑顔を見ることができることですかね。この活動をなくしてはいけないなと感じますね。ご高齢の利用者さんで、普段はグループホームから病院への送迎をしているんですけど、病院以外でもお出かけしましょうということで、移動サービスを利用して、お昼にみなとみらいで行われるクラッシックコンサートを聴きに行かれたんですよ。その男性は、病院へ行くときは、いつもジャージを着ていらっしゃったんですが、コンサートの日は、なんと帽子、ジャケット、ポケットにはハンカチーフというおしゃれな服装で行かれ、コンサートをとても楽しんでいらっしゃいました。外出して、社会参加することでみなさん元気になるんだなと実感しました。高齢化社会がどんどん進んでいきますが、外出が困難な方も移動サービスを利用することで外出の機会が増え、元気になってそれが介護予防になるので、移動サービスを普及させ、外出の回数を増やす地域の仕組みづくりが必要なのではないかと考えています。

かにゃお
移動サービスの普及、外出を増やす地域の仕組みづくり、大切なことだにゃ。
それでは、活動をしていて大変だったこと、困っていることはどんなこと?

石山さん
移動サービスって介護保険のような財政的支援がなくて、元々儲ける事業ではなく、利用者からいただく対価は安価で、移動サービスにかかる費用を対価だけでまかなうには財政的に厳しい、ということが大変な点ですね。すでに支援していただいている市もありますが、例えば、市役所の駐車場を福祉車両の駐車場として無償で提供していただけるなど、移動サービスの活動を継続できる程度の支援があると大変ありがたいです。そして、「福祉有償運送」は、国としては国土交通省の管轄だけど、中身は福祉ということででは地域福祉課と連携していますが、厚生労働省の福祉分野における管轄部署がないんです。コロナ禍でマスクや消毒液が必要なのに、病院や福祉施設ならマスクや消毒液が配付されたけど、移動サービスには配付されなくて困ったわ。けれど、県が、マスクや消毒液、高騰しているガソリン代の支援金を給付してくれて、大変助かりました。感謝しています。

かにゃお
自治体もできる範囲で応援してくれるとありがたいにゃ。

清水さん
あと、担い手不足も課題ですね。もともと、移動サービスの担い手は、定年退職した60歳~75歳くらいの方が多いんだけど、最近は企業の定年年齢が上がって65歳とか70歳まで働く方が増えてきて、移動サービスの担い手となる対象の方が少なくなってしまっているのよね。ただ、地域の社協や自治会、ボランティアグループなど、地域の講習会に参加して自分たちで買い物支援や通院支援をしようという人たちも増えてはいるの。

かにゃお
へぇ~。担い手問題はどこの団体でも課題となっているようだけど、定年の延長で移動サービスを担ってくれそうな年齢の対象者が減ってしまう一方、自分たちでやろうという人も増えているのはありがたいことだにゃ。
それでは、今後の活動について、これからどのように活動していきたいか、教えてにゃ。

清水さん
移動サービスに取り組んでいただいている団体が元気に続けられるような支援と、移動サービスの担い手の発掘ですね。地域が困っている現状を伝えて、自治会の会長さんや地区社協、横浜市内の地域ケアプラザなど、地域を動かしている方たちに、移動サービスは自分たちが取り組まないといけない活動であるということを認識して動いていただけるよう、さらに情報発信し、担い手を増やしていきたいと思います。そして、移動サービスを利用することで、誰もが気軽にお出かけを楽しんで、生活の質を上げることができるような社会になればいいなと思っています。

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(石山事務局長(左)、清水理事長(右))

かにゃお
これからの超高齢化社会には、すごく必要で大切な取組だにゃ・・・。地道で大変な活動だけど、移動サービスの担い手が増えてみんなが利用しやすくなるよう、これからも応援しているにゃ。
清水さん、石山さん、神奈川トヨタ自動車の皆さん、今日は、お話を聞かせていただいてありがとうございました!

清水さん・石山さん・神奈川トヨタさん
こちらこそ、ありがとうございました。
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