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更新日:2021年3月31日

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第21回国際言語文化アカデミア外部評価委員会・外国語にかかる教員研修事業小委員会「審議結果」

審議(会議)結果

審議会等名称

第21回国際言語文化アカデミア外部評価委員会小委員会(外国語にかかる教員研修事業)

開催日時

令和元年8月13日(火曜日)10時30分から11時30分

開催場所

神奈川県立国際言語文化アカデミア 206討議室

出席者【会長・副会長等】

服部 孝彦(大妻女子大学教授)【代表委員】、粕谷 恭子(東京学芸大学教授)

次回開催予定日

令和2年1月~2月

所属名、担当者名

国際言語文化アカデミア 沢登

掲載形式

議事録

議事概要とした理由

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審議(会議)経過

令和元年度の講座実施状況報告及び令和2年度の講座企画についての意見交換

《事務局説明》
英文ライティング添削講座は、口コミで人気が広がり応募が増えてきており、ここ数年の受講者はアドヴァンスト研修の修了者も増えている。また、TESOL関係の講座やタブレットの講座も人気があり申込が多い。この夏に実施した講座の中では、「教-21 夏期特別演習2019」、「教-22 授業のつくり方ワークショップ」、「教-23 英語教材作成のためのネタ帳」、「教-24 生徒の思考と学びを促すTeacher Talk(夏期編)」、「教-25 英語教員が発音指導で押さえておきたいポイント」等も多くの申込があり、夏期は全体的に申込が多かった。

<意見交換の内容>
(服部委員)アカデミアの研修事業を他の機関が引き継いだ時に、1回1回はしっかりした講座でも、継続的に全体を見据えることができていない単発的な講座になってしまう恐れがある。著名な先生が講演をしても、その講演がどのように他の講座と連動しているかが大切である。講座全体の骨組みがしっかりしていると受講者達は、受けた講座を自分の授業にどう落とし込めばよいか分かる。しかし、講座が単発だと、どのように授業に活用すればよいかの感覚がつかめない。
(事務局)アカデミアが行ってきたものと同じように骨組みを作っても、大学の先生をお呼びして講座を実施するだけだと上手くいかないと思う。アドヴァンスト研修の場合などは、平日の夜や休日などに受講者から質問や相談のメールがあるが、そのような時はなるべく早く1日~2日以内に返信している。そのようなことは外部の人にはできないので、担当となる人が1人はいないと、細かいところまで目が届かない。そのため来年度は後任になる人と一緒に働くことができると良いと考えている。国際課とも話をしているが、アドヴァンスト研修は無くしてはいけないと伝えている。
(服部委員)多くの都道府県の研修事業では、講座が単発になってしまっており、研修講座を実施する教育センター等は、全体として系統的な講座運営ができていないと考えられる。
(粕谷委員)しっかりとした設計図があるところは、ほとんどないように思う。
(服部委員)全体としての結びつきがなく、ナンバリングがしっかりとされていないことが多い。ナンバリングされていれば受講者も分かりやすいはずだ。最終目標として先生方が理論と実践を結び付けてしっかりと授業ができることに対してのナンバリングで、何がどのような順番で必要とされているかかが明確に示される必要がある。
(事務局)コアとなるカリキュラムはしっかりとしないといけないと考えている。
(粕谷委員)引継ぎをどこまでやれるかは、人がどれだけ専従できるかだと思う。今いる数の指導主事だけでなく人を増やす必要がある。ただ、指導主事を増やすだけでは上手くいかないので、専従してできる人員を増やさないといけない。知事の答弁では事業を無くすのではなく、事業移管で今後拡大充実する必要があると話しているので、言葉の通り実現するよう、県が取り組む必要がある。
(服部委員)指導主事がしっかりとコア・カリキュラムを作成できるために勉強する時間を確保することが大切である。県全体の教育に関わることなので、勉強の時間はしっかりと確保しないといけない。今までは、教育研究の両方をアカデミアでやっていた。教育の部分は総合教育センターが引き継げるとして、研究の部分の引き継ぎは総合教育センターでは難しい。アカデミアで作成していた紀要のような研究誌を成果としてしっかりと継続的に出せないと、引き継いだことにはならない。
(粕谷委員)英語担当の指導主事だけでなく、理科や体育等の他の教科の人達も経緯を理解していないといけない。
(事務局)そこは上手く調整していく必要がある。
(事務局)最近、中高担当の指導主事と話す機会があり、これから小学校の方がかなり大変な状況になるのではないかとのことだった。今、アカデミアでは小学校にあまり力を入れられていないが、引き継ぐときに県全体としてどのようにしていかなければいけないか指導主事と話していく必要がある。
(粕谷委員)来年度から5、6年生で検定教科書を使った授業が始まる。新たな課題が出てくると思われるので、そこで問題が出てきたらすぐに対応していかないといけない。
(事務局)検定教科書の見本を少し見たが、内容が沢山あるように感じた。
(服部委員)押さえるべき基本事項はしっかりと入れてあるが、教科書だけで手一杯になってしまう先生もいれば、もっと発展的なことができる先生もいる。『We Can!』等は基本事項を中心に作るしかなかったのでないかと思う。
(粕谷委員)『We Can!』については仕方がないところもある。できるようにさせていく為のテキストではない。そのほとんどが、リスニングテストなので、その前に授業でやっておかないとできないが、何をやっておかないといけないかは、今までと同じように繰り返し覚えることが中心となってしまっている。
(服部委員)国連英検ジュニアテストの指導検討委員会が教科書を分析しており、教科書を大きく変える必要はないが、SDGsを入れるようにした方がよいと報告していた。小学生の頃からSDGsについて触れることは大切である。
(事務局)県の研究指定校でもSDGsの研究指定を受けている学校もあるので、そういうキーワードは段々周知されてきている。
(事務局)最近行った小学校の研修の質疑の場で、クラスにいる帰国子女から先生の発音が良くないと言われるとの相談を受けたが、教育に関してはプロなので自信を持つようにお話した。
(粕谷委員)いい発音のお手本として、外部人材やデジタル教材を活用してもらえばよいが、本当に表現が生きて使われるところを見せ、意味と音を結びつけやすいお話をする担当が担任の先生なので、コミュニケーションのやり方が明確になればいい。
(粕谷委員)「教-45 <特別公開研究発表会>英語教員フォーラム」のように、修了生の人たちが若手を集めて個人勉強会みたいなものができたらよいと思う。
(事務局)アドヴァンスト研修の修了生は沢山いるので、リーダーとしての自覚を持ってもらえると良いと思う。若い方達で数人集まって勉強会をやる話も聞いており、始めはアカデミアの研修室を使いたいとの相談もあったが、校長先生の協力もあり、校務として学校でやることになった。アドヴァンスト研修の修了者が外に目を向ける必要があるとの考えで、海外留学から帰ってきた方を中心に色々と活動しようと、自主的に企画された。
(事務局)来年が最後の年なので、やるべきことなどがあればお伺いしたい。
(服部委員)これだけの組織は全国どこにもないので、アカデミア専任の先生がやっているような講座を核として、理論と実践を結びつけた講座をお願いしたい。
(粕谷委員)例えば全体を「教員の英語力」、「理論」、「研究法」、「授業づくり」などの項目に分けて項目毎に講座を分類して、その中から全部はできないとしたら各項目から2~3講座のようにすると、全体の流れが分かるので、引き継がれる人にも観点が分かる。現場レベルで大事だと思ったことが入っているので、それを違う切り口で見ていくと、どういう項目をカバーして、それがどのようにつながっているのかが見えると思う。
(事務局)平成15年に文科省の悉皆(全員)研修を各都道府県でやったときに、神奈川県はアクションリサーチをやった。全国で見るとアクションリサーチを核としたところ、ネイティブを呼び英語のトレーニングをやるという英語力に特化したところ、達人を呼んできて達人のデモンストレーションを見せるところの3つあったが、その中で一番効果があったのはアクションリサーチだと思った。理論を前面に出した講座は当時無かったと思う。
(服部委員)アクションリサーチは理論を前面には出していないが、理論の大切さは分るので、先生方に一番抵抗なく理論も受け入れられたのかなと思う。
(事務局)理論を学ぶと、理論に傾倒してしまう先生もいるので、丁度良いバランスを保つのは難しいこともあるが、理論を学び自信を持つのはとても教員として大事だと思う。
(粕谷委員)ネット上の教材はどうなるのか。
(事務局)アカデミアの名前を載せながら、教育センターなどに移すことができると良いと話している。
(服部委員)アドヴァンスト研修の報告書を毎年ダウンロードしている。先生方のコメントは正直にどのように授業力が伸びたか書かれているので読者にはとても参考になる。やる気のある先生の生の声を載せているのはとても良いと思う。
(事務局)今日見ていただいたマイクロティーチングの感想をお聞きしたい。
(服部委員)受講生の先生の話を聞き、優秀な生徒とやる気のある先生で、授業でしかできないものは何なのだろうかについて考えた。例えば、日本の教育を長く受けていると、教科書に書いてあることは正しいものと考え、その結果「受動的」な学習になってしまう。書いてあることに対して解釈が正しいのか、別の考え方があり、自分ならどのように解釈するかを考えることが大切だ。ソサエティ5.0で生きていく子ども達は、答えが一つではない問いに対して、答えを導き出すのが大切なので、そこに結びつける授業は今日の受講の先生方ならできると思った。
(服部委員)よく日本人はクリエイティブにならなくてはいけないと言うが、クリエイティブな考えをいきなりやらせると思いつきになる。まずバーティカル、すなわち縦の思考をしてから、ラテラル、すなわち横の思考をしなければいけない。
(服部委員)クリティカルシンキングとクリエイティブシンキングがあり、シンギュラリティが起きたときにクリティカルに、そしてクリエイティブに考える力がないとAIに負けてしまう。アルゴリズムであるAIにはクリティカルシンキング、クリエイティブシンキングはできない。従来の授業ばかりやっているといずれAIが全てできてしまう。シンギュラリティが起きたときに自分で考える力を子ども達に教育できていなければ、つける仕事が無くなってしまう。
(服部委員)学習者一人一人を伸ばす教育が大切である。これからは一斉授業の時代ではない。

<まとめ>
(服部委員)2019年度の講座は、英語教育で必要とされている内容を全て網羅している。これらの講座の数を絞るのは難しい。しかし絞らなければならない場合は、今アカデミア専任の先生でやっている講座をしっかり残していただきたい。理論と実践の両面をカバーしていた講座を実施していたのがアカデミアの良いところである。全国どこにもない研修講座を実施していた機関であるので、ぜひなるべく多くの講座を残すようにしていただきたい。

以 上

このページの所管所属は文化スポーツ観光局 国際課です。