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更新日:2021年3月31日

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第19回国際言語文化アカデミア外部評価委員会・外国語にかかる教員研修事業小委員会「審議結果」

審議(会議)結果

審議会等名称

第19回国際言語文化アカデミア外部評価委員会小委員会(外国語にかかる教員研修事業)

開催日時

平成31年1月29日(火曜日)11時00分~12時00分

開催場所

神奈川県立国際言語文化アカデミア 101研修室

出席者【会長・副会長等】

服部 孝彦(大妻女子大学教授)【代表委員】

粕谷 恭子(東京学芸大学教授)

狩野 晶子(上智大学短期大学部准教授)

次回開催予定日

平成31年6月

所属名、担当者名

国際言語文化アカデミア 沢登

掲載形式

議事録

議事概要とした理由

-

審議(会議)経過

【議題】2019年度事業計画(案)の評価に関する意見交換
《事務局説明》

  • アカデミア発足後、常に総合教育センターとの差異を問われるが、現在は役割分担が確立しており、昨日も総合教育センターにおいて、県教育委員会とアカデミアが共催で行っている研修の場で、当所教員が基調講演を実施するなど、連携もうまく行っている。2019年度もこうした方向性を継続することにしている。
  • 夏期期間中に開講される講座やICT関連講座を中心に、解りやすく、かつ若い教員の興味を引くタイトルにするなどの工夫をした。
  • ICT関連の講座は平日の応募が減少傾向にあるので、夏期に集約する。
  • 一方、夏期に応募が多い「授業のつくり方」、「ティーチャー・トーク」、「発音指導」については平日にも類似の講座を用意する。
  • この2年間、試行的に土曜日に4講座実施してきた「思考力を育てる英語授業」は思ったより多くの参加があり、内容も好評なので、「生徒の思考力を深める質問」を追加し、5講座とする。
  • 教師は意外にパラグラフライティングについて詳しい知識がないので、夏期に講座を新設する。
  • ディベートについては外部講師を招聘し、ここまでできるということを見てもらう。
  • 小学校向けの出張研修については、もうクラスルーム・イングリッシュの時代ではないので、音声・映像教材の活用を主題とした内容に変更する。
  • 英語教育アドヴァンスト研修については、アクション・リサーチの実施にあたり、ポートフォリオを重視しながら進めている。年々ユーザーフレンドリーな内容になっており、自分が今何をやっているのか理解していない受講者はいなくなった。
  • 現在、アドヴァンスト研修受講者の報告書をまとめているが、英語教員の多くは研究報告書を論理的に書くことがあまり得意でないと感じる。中核的教員として、英語力・指導力を備えるだけでなく、後進を育てる力を身に付けるためにも、論理的な日本語による文章力を磨くことも課題である。

《意見交換内容》
(服部委員)英語の教員にも論理的な文章を書く訓練が必要であるということだが、そもそも論理的な英語を書く力がなければ、論理的な日本語を書くこともむずかしいといえる。
(事務局)授業研究の結果を報告する際など、口頭のプレゼンでは大丈夫なのだが、レポートとなるとなかなか簡単にはいかない。事前のリサーチや、自分自身で文献に当たるという習慣も必要だ。委員の皆様が学生や院生に教えている立場から、こうした点で何かご助言があればご教示願いたい。
(服部委員)今の若い人たちは、あまりきつく言いすぎると落ち込んでしまうことが多い。この部分は改善する余地があるとやさしく指摘して、自分で考えさせる必要性を感じる。私はサンドイッチ方式で、「全体としてはよく書けている。ただ、この部分は改めたほうが良い。君ならもっと上手に分りやすく書けるはずだ。」と「褒めて、改善点を指摘し、励ます」という順番で指導している。
(狩野委員)文章を書く段階ごとにピア・リーディングを行い、お互いにコメントを入れていくと、できる人には励みになり、できない人にはできる人の文章を読んで、こうすれば良いというモデルを得られる。課題を出す時点で、ピア・リーディングを入れると知らせておくことが大事で、小さなところから積み上げて行って、最後にまとまったレポートにしていくようにすると良い。
(事務局)現在、報告書を作る際、ポートフォリオに研究の段階ごとに進捗を記述するようになっており、それに沿っていけば、しっかりしたレポートになるようにしているのだが、その段階ごとにピア・リーディングをしていくのは良いかもしれない。
(狩野委員)事前リサーチという点では、段階ごとに、読んでおくべき本のリストを作り読んでもらうというやり方は効果がある。
(服部委員)アドヴァンスト研修参加者が、過去の修了者の授業を参観するのはとても良いと思う。
(事務局)過去には希望があったら申し出てほしいと言っていたが、システマティックにやった方が良いのではないかということで検討している。
(服部委員)高等学校英語教員フォーラムもとても良い試みだが、参加者をもう少し多くしたい。英語教育の専門誌に広報を出すなど、県内だけでなく、県外にも広報をするべきである。
(事務局)現状はオープンになっていないが、他の事業の講座でも、定員を超えて抽選になった場合のみ県内在住・在勤者優先としているので、事前にその旨を周知しておけば、県外の方も対象にはできると思う。教員研修事業の場合は今まで県外にはほとんどアピールしておらず、また県として県外に訴えるメディアをほとんど持っていない。ホームページを作っても県外の教員にはなかなか見てもらえないが、英語教育の専門誌に載せることができるのであれば、アピールに繋がるかもしれない。
(服部委員)夏の小委員会では外部評価委員が高等学校英語教員フォーラムを見学しても良いと思う。また発表後の質問者として外部評価委員が参加するのも良いかもしれない。スピーチもパワーポイントの資料もとても良く準備されているが、質問をすると上手に答えられないことがよくある。準備段階での指導が大事だといえる。
(事務局)夏の小委員会スケジュールについては様々な形での実施が考えられると思う。
(服部委員)発表後の質問者については、外部評価委員でなくても、アカデミアの教員が行うことでもよいのではないか。相手が応えやすい質問の見本を見せてあげるという点で、ティーチャー・トークの講座にもつながっていくと考える。
(狩野委員)アドヴァンスト研修修了者の取組みについて、研究会等で事例発表をしていただくことは可能か。
(事務局)機会をいただければ、ご紹介できる。先生方の勉強にもなると思う。
(服部委員)高等学校英語教員フォーラムについてもそうだが、そもそも高校の管理職の方々はアカデミアの研修案内のパンフレットの内容を自分の学校の先生方にどのように周知しているのか。
(事務局)職員室のどこかに掲示されているだけという場合もあるようだ。研修に行きやすい環境になっているかどうかも重要な要素である。
(粕谷委員)現在、研修計画のパンフレットは高校に配布しているのか。中学校や中等教育学校はどうなっているのか。
(事務局)高校に配布するほか、中等教育学校にも配布している。アドヴァンスト研修では基本的に高校の教員を対象にしている。中学校の先生を募集する場合、市町村の教育委員会を通じてということになる。
(粕谷委員)外部評価委員にパンフレットを共有させていただければ、必要な時に教育委員会などに紹介しやすい。
(事務局)今後、小委員会委員の皆様には複数部お送りするようにしたい。
(服部委員)データを添付ファイルで送ってもらうかたちでも良い。印刷はこちらで必要な部数だけ行えばよい。
(粕谷委員)「英語教員研修」は中高対象、ということだとすると、これからは小学校にも英語専科の先生がいる可能性があり、明確ではない。校種との対応が明確な名称にしてはどうか
(服部委員)「はじめよう!授業改善」については、前年の題名に比べ、よりわかりやすく、親しみが持てる表現になり、先生方も受講したいという気持ちになると思う。
(事務局)2018年度に「セルフ・リフレクション」という講座名であったが、題名に怖気づく人がいたようなので柔らかいタイトルにした。「アクション・リサーチ」という言葉も「リサーチ」という言葉がハードルになるようなので、目的をズバリ出した講座名にした。こうした柔らかいネーミングにして、若い人に来てもらいたいという思いもある。
(服部委員)「教師のためのパラグラフライティング」の事業実施計画書に「これまでのライティング添削講座を通じ、参加者に共通に見られる弱点が明らかになった」とあるが、これは具体的にはパラグラフの話題の結束性や論理の一貫性がないということか。
(事務局)そのような趣旨だと理解している。
(服部委員)パラグラフライティングができないと、論理的に考えることは難しい。パラグラフライティング力は他の英語の技能にも影響を与えることになる。
(事務局)もう一つ、最近の傾向として、話したり書いたりするためのパターンやフレームを教えるようになってきてはいるが、内容的に筋が通らない英語を書いた生徒を、教員が適切に指導してきれていないといったとこがある。ここでいう弱点にはそういう点も含んでいる。
(服部委員)文章を書く場合、日本語で書くとおかしくないが、英語で書くと論理的に不自然に感じる場合もある。
英語の自由英作文などでは、200字で書く課題を300字で書く練習を日頃から実践していると、字数を削ることにより、さほどの困難もなく、論理的な英語が書けるようになる。

《まとめ》
(服部委員)2019年の講座編成計画においては、日本の英語教育に共通する課題を適切に洗い出しており、その課題に対応した講座が設けられており、とても良い。アカデミアのそれぞれの講座の目標がよく理解できる。今、英語教育に必要な事項に的確に対応できる講座といえよう。アカデミアで実施している英語教員研修講座の多くは、他の都道府県の教員研修講座では、あまり行われていないので、アカデミア講座の素晴らしさをもっと大きくアピールしてもよい。アカデミアの課題としても取り上げられている「同僚性の構築」は重要で、時間がかかっても解決していかなければならない問題である。地味ではあるが、重要なことを継続してやっていくと、必ず結果に表れてくる。今後ともよい講座の実施をお願いしたい。

以 上

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