更新日:2023年5月26日

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第六節 肢体の障害

特別児童扶養手当の判定基準について

第一 上肢の障害

1.認定基準

 
障害の程度 障害の状態
一級 両上肢の機能に著しい障害を有するもの
両上肢のすべての指を欠くもの
両上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの
二級 両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの
両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの
一上肢の機能に著しい障害を有するもの
一上肢のすべての指を欠くもの
一上肢のすべての指の機能に著しい障害を有するもの

2.認定要領

上肢の障害は、機能障害、欠損障害に区分する。

(1) 機能障害

ア 「一上肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「一上肢の用を全く廃したもの」とは、一上肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう

(ア)不良肢位で強直しているもの
(イ)関節の最大他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1 以下に制限され、かつ筋カが半減以下のもの
(ウ)筋力が著減又は消失しているもの

イ 両上肢の用を全く廃した場合には、上肢装具等の補助具を使用しない状態で、日常生活動作において次のような動作を行うことが全くできないものである。

(ア)さじで食事をする
(イ)顔を洗う(顔に手のひらをつける)
(ウ)用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
(エ)用便の処置をする(尻のところに手をやる)
(オ)上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
(カ)上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

ウ 「上肢の指の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「上肢の指の用を全く廃したもの」とは、指の著しい変形、麻痺による高度の脱力、関節の不良肢位強直、瘢痕による指の埋没又は不良肢位拘縮等により、指があってもそれがないのとほとんど同程度の機能障害があるものをいう。

エ 「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指の用を全く廃したもの」とは、両上肢のおや指の用を全く廃した程度の障害があり、それに加えて、両上肢のひとさし指又は中指の用を全く廃した程度の障害があり、そのため両手とも指間に物をはさむことはできても、一指を他指に対立されて物をつまむことができない程度の障害をいう。

オ 「指の用を廃したもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。

(ア)指の末節骨の長さの2 分の1 以上を欠くもの
(イ)中手指節関節(MP )又は近位指節間関節(PIP ) (おや指にあっては、指節間関節(IP)に著しい運動障害(自動可動域が健側の自動可動域の2分の1 以下に制限されたもの)を残すもの

(2)欠損障害

ア「上肢の指を欠くもの」とは、基節骨の基部から欠き、その有効長が0 のものをいう。
「両上肢のおや指及びひとさし指又は中指を欠くもの」とは、必ず両上肢のおや指を基部から欠き、それに加えて、両上肢のひとさし指又は中指を基部から欠くものである。

イ「指を失ったもの」とは、おや指については指節間関節(IP )、その他の指については、近位指節間関節(PIP )以上で欠くものをいう。

(3)関節可動域の評価については、各関節の最も主要な運動を重視し、他の運動については、参考とする。

(4)関節可動域の評価は、原則として、健側の関節可動域と比較して患側の障害の程度を評価する。
ただし、両側に障害を有する場合にあっては、別紙「肢体の障害関係の測定方法」による参考可動域を参考にする。

(5)関節可動域の評価に当たっては、単に関節運動域のみではなく、次の諸点を考慮した上で評価する。
ア.筋力 イ.巧緻性 ウ.速度 エ.耐久性

(6)人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものは、そう入置換した状態で認定を行うものとする。

第二 下肢の障害

1 認定基準

 
障害の程度 障害の状態
一級 両下肢の機能に著しい障害を有するもの
両下肢を足関節以上で欠くもの
二級 両下肢のすべての指を欠くもの
一下肢の機能に著しい障害を有するもの
一下肢を足関節以上で欠くもの

2.認定要領

下肢の障害は、機能障害、欠損障害に区分する。

(1)機能障害

ア 「一下肢の機能に著しい障害を有するもの」すなわち「一下肢の用を全く廃したもの」とは、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの、すなわち、次のいずれかに該当する程度のものをいう。

(ア) 不良肢位で強直しているもの
(イ) 関節の最大他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減以下のもの
(ウ)(筋力が著減又は消失しているもの。ただし、膝関節のみが100度屈位の強直である場合のように単に1関節の用を全く廃するにすぎない場合であっても、その下肢を歩行時に使用することができない場合及び一側下肢長が他側下肢長の4分の1 以上短縮している場合には、「一下肢の用を全く廃したもの」と認定する。

イ 両下肢の用を全く廃した場合には、杖、松葉杖、下肢装具等の補助具を使用しない状態で、日常生活動作において次のような動作を行うことが全くできないものである。

(ア)立ち上がる
(イ)歩く
(ウ)片足で立つ
(エ)階段を登る
(オ)階段を降りる

ウ 「関節の用を廃したもの」とは、関節の自動可動域が健側の自動可動域の2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの(例えば、常時固定装具を必要とする程度の動揺関節)をいう。

(2)欠損障害

ア「一下肢を足関節以上で欠くもの」とは、ショパール関節以上で欠くものをいう。

イ「趾を欠くもの」とは、中足趾関節(MP )から欠くものをいう。

(3) 関節可動域の評価については、各関節の最も主要な運動を重視し、他の運動について参考とする。

(4) 関節可動域の評価は、原則として、健側の関節可動域と比較して患側の障害の程度を評価する。

(5) 関節可動域の評価に当たっては、単に関節可動域のみでなく、次の諸点を考慮した上で評価する。

ア.筋力 イ.巧緻性 ウ.速度  エ.耐久性

(6)

人工骨頭又は人工関節をそう入置換したものについて、両下肢の3大関節のうち、4関節以上に人工関節をそう入置換したものは、原則として二級と認定する。

第三 体幹の障害

1 認定基準

 
障害の程度 障害の状態
一級 体幹の機能に座っていることができない程度又は立ち上がることができない程度の障害を有するもの
身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
二級 体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの
身体の機能に障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

2.認定要領

(1)体幹の障害
体幹の機能障害は、高度体幹麻庫を後遺した脊髄性小児麻痺、脳性麻痺などによって生ずるものである。

ア.「体幹の機能に座っていることができない程度の障害を有するもの」とは、腰掛、正座、あぐら、横すわりのいずれもができないものをいい、「体幹の機能に立ち上ることができない程度の障害を有するもの」とは、臥位又は坐位から自力のみで立ち上れず、他人、柱、杖、その他の器物の介護又は補助によりはじめて立ち上ることができる程度の障害をいう。

イ.「体幹の機能に歩くことができない程度の障害を有するもの」とは、室内においては、杖、松葉杖、その他の補助用具を必要とせず、起立移動が可能であるが、野外ではこれらの補助用具の助けをかりる必要がある程度の障害をいう。

第四 肢体の機能の障害

1 認定基準

 
障害の程度 障害の状態
一級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
二級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認めれる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

2 認定要領

(1) 肢体の機能の障害は、原則として、「第一 上肢の障害」、「第二 下肢の障害」及び「第三 体幹・脊柱の障害」に示した認定要領に基づいて認定を行うが、脳卒中などの脳の器質障害、脊髄損傷などの脊髄の器質障害、多発性関節リウマチ、進行性筋ジストロフィーなどの多発性障害の場合には、関節個々 の機能による認定によらず関節可動域、筋力、日常生活動作等の身体機能を総合的に認定する。

(2)肢体の機能の障害の程度は、運動可動域のみでなく、筋力、運動の巧緻性、速度、耐久性及び日常生活動作の状態から総合的に認定を行うが、各等級等に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

 
障害の程度 障害の状態
一級 1 両上肢の用を全く廃したもの
2 両下肢の用を全く廃したもの
3 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの
4 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの
二級 1 両上肢の機能に相当程度の障害を残すもの
2 両下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
3 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
4 四肢の機能に障害を残すもの

(3)日常生日常生活動作と身体機能との関連は、厳密に区別することができないが、おおむね次のとおりである。

ア 手指の機能

(ア)つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
(イ)握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
(ウ)タオルを絞る(水をきれる程度)
(エ)ひもを結ぶ

イ 上肢の機能

(ア)さじで食事をする
(イ)顔を洗う(顔に手のひらをつける)
(ウ)用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
(エ)用便の処置をする(尻のところに手をやる)
(オ)上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
(カ)上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

ウ 下肢の機能

(ア)立ち上がる
(イ)歩く
(ウ)片足で立つ
(エ)階段を登る
(オ)階段を降りる

(4)身体機能の障害の程度と日常生活動作の障害との関係を参考として示すと、次のとおりである。

ア 「用を全く廃したもの」とは、日常生活動作のすべてが「一人で全くできない場合」又はこれに近い状態をいう。

イ 「機能に相当程度の障害を残すもの」とは、日常生活動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」をいう。

ウ 手指の機能と上肢の機能とは、切り離して評価することなく、手指の機能は、上肢の機能の一部として取り扱う。