第七節 精神の障害

掲載日:2020年5月7日

1 認定基準

 
障害の程度 障害の状態
一級 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの
二級 精神の障害であって、前各号と同程度以上と認められる程度のもの

精神の障害の程度は、その原因、諸症状、治療及びその病状の経過、具体的な日常生活状況等により、総合的に認定するものとし、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に該当するものと認定する。

精神の障害は、多種であり、かつ、その症状は同一原因であっても多様である。

したがって、認定に当たっては具体的な日常生活状況等の生活上の困難を認定を判断するとともに、その原因及び経過を考慮する。

2.認定要領

精神の障害は、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」、「気分(感情)障害」(以下「そううつ病」という。)、「症状性を含む器質性精神障害」、「てんかん」、「知的障害」、「発達障害」に区分する。

症状性を含む器質性精神障害、てんかんであって、もう想、幻覚等のあるものについては、「A 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害」に準じて取り扱う。

A 統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害

1.各等級等に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

 
障害の程度 障害の状態
一級 1 統合失調症によるものにあっては、高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他もう想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の介助が必要なもの
2 そううつ病によるものにあっては、高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、ひんぱんに繰り返したりするため、常時の介助が必要なもの
二級 1 統合失調症によるものにあっては、残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他もう想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
2 そううつ病によるものにあっては、気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又はひんぱんに繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの

2.統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害並びに気分(感情)障害の認定に当たっては、次の点を考慮のうえ慎重に行う。

ア 統合失調症は、予後不良の場合もあり、施行令別表第3に定める障害の状態に該当すると認められるものが多い。しかし、羅病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもある。したがって、統合失調症として認定を行うものに対しては、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。
イ そううつ病は、本来、病状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すものである。したがって、現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活等の状態を十分考慮する。

3.日常生活能力等の判定に当たっては、身体的能力及び精神的能力、特に、知情意面の障害も考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

4.人格障害は、原則として認定の対象とならないものとする。

5.神経症にあっては、その症状が長期間持続し、一見重症なものであっても、障害の状態とは評価しない。(その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症又はそううつ病に準じて取り扱う)

B 症状性を含む器質性精神障害

 
障害の程度 障害の状態
一級 高度の認知症、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の介助が必要なもの
二級 認知症、人格変化、その他の精神神経症状が著名なため、日常生活が著しい制限を受けるもの

(1)症状性を含む器質性精神障害とは、先天異常、頭部外傷、変性疾患、新生物、中枢神経等の器質障害を原因として生じる精神障害に、謬原病や内分泌疾患を含む全身疾患による中枢神経障害等を原因として生じる症状性の精神障害を含むものである。
なお、アルコール、薬物等の精神作用物質の使用による精神及び行動の障害(以下「精神作用物質使用による精神障害」という。)についてもこの項に含める。

(2) 各等級等に相当すると認められるものを一部例示すると上記のとおりである。 

(3)脳の器質障害については、精神障害と神経障害を区分して考えることは、その多岐にわたる臨床症状から不能であり、原則としてそれらの諸症状を総合して、全体像から総合的に判断して認定する。

(4)精神作用物質使用による精神障害

ア アルコール、薬物等の精神作用物質の使用により生じる精神障害について認定するものであって、精神病性障害を示さない急性中毒及び明らかな身体依存の見られないものは、認定の対象としない。

イ 精神作用物質使用による精神障害は、その原因に留意し、発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する。

(5)器質障害としての巣症状については、「神経系統の障害」の認定要領により認定するものとし、その諸症状、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、全体像から総合的に認定する。

(6)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的能力及び精神的能力、特に、知情意面の障害も考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

C てんかん

 
障害の程度 障害の状態
一級 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作を極めてひんぱんに繰り返すため、常時の介助が必要なもの
 
二級 十分な治療にかかわらず、てんかん性発作をひんぱんに繰り返すため、日常生活に著しい制限を受けるもの
 

(1)てんかん発作は、部分発作、全般発作、未分類てんかん発作などに分類されるが、具体的に出現する臨床症状は多彩である。

また、発作頻度に関しても、薬物療法によって完全に消失するものから、難治性てんかんと呼ばれる発作の抑制できないものまで様々である。

さらに、てんかん発作は、その重症度や発作頻度以外に、発作間欠期においても、それに起因する様々な程度の精神神経症状や認知障害などが、如何稀ならず出現することに留意する必要がある。

(2)各等級等に相当すると認められるものを一部例示すると上記のとおりである。

(注)てんかんは、発作と精神神経症状及び認知障害が相まって出現することに留意が必要。また、精神 神経症状及び認知障害については、前記「B 症状性を含む器質性精神障害」に準じて認定すること。    

(3)てんかんの認定に当たっては、発作のみに着眼することなく、てんかんの諸症状、社会適応能力、具体的な日常生活状況等の他の要因を含め、全体像から総合的に判断して認定する。

様々なタイプのてんかん発作が出現し、発作間欠期に精神神経症状や認定障害を有する場合には、治療及び病状の経過、日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。

(4)てんかん発作については、抗てんかん薬の服用や、外科的治療よって抑制される場合にあっては、原則として認定の対象にならないものである。

(5)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的能力及び精神的能力、特に、知情意面の障害も考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。 

D 知的障害

 
障害の程度 障害の状態
一級 知的障害があり、食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
二級 知的障害があり、食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの

(1)知的障害とは、知的機能の障害が発達期(おおむね18 歳まで)にあらわれ、日常生活に持続的な支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあるものをいう。

(2)各等級等に相当すると認められるものを一部例示すると上記のとおりである。
なお、この場合における1 級と2 級の程度を例示すれば、標準化された知能検査による知能指数がおおむね35 以下のものが1級に、おおむね50以下のものが2 級に相当すると考えられる。

(3)知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断する。

また、知的障害とその他認定の対象となる精神の障害が併存しているときは、併合認定の取扱いは行わず、総合的に判断して認定する。

(4)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的能力及び精神的能カ、特に、知情意面の障害も考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

E 発達障害

 
障害の程度 障害の状態
一級  発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動が見られるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
二級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動が見られるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの

(1)  発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものをいう。

(2)  発達障害については、たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して行う。

また、発達障害とその他認定の対象となる精神の障害が併存しているときは、併合認定の取扱いは行わず、総合的に判断して認定する。 

(3)  各等級に相当すると認められるものを一部例示すると上記のとおりである。

(4)日常生活能力等の判定に当たっては、身体的能力及び精神的能力を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断するよう努める。

本文ここまで
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