第十一節 腎疾患

掲載日:2020年5月7日

1 認定基準

 
障害の程度 障害の状態
一級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならめる程度のもの
二級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度もの

腎疾患による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び病状の経過、人工透析療法の実施状況、具体的な日常生活状況等により総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に該当するものと認定する。

2 認定要領

(1)腎疾患による障害の認定の対象はそのほとんどが、慢性腎不全に対する認定である。慢性腎不全とは、慢性腎疾患によって腎機能障害が持続的に徐々 に進行し、生体が正常に維持できなくなった状態をいう。すべての腎疾患は、長期に経過すれば腎不全に至る可能性がある。その原因となる腎疾患の中で最も多いものは、先天性腎尿路奇形、遺伝性腎障害であるが、他にも巣状糸球体硬化症、先天性ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎、慢性腎炎、糖尿病性腎症、膠原病、急性腎障害後の慢性腎不全等がある。

(2)腎疾患の主要症状としては、悪心、嘔吐、食欲不振、頭痛等の自覚症状、浮腫、貧血、アシドーシス、発育障害等の他覚所見がある。

(3)検査としては、尿検査、血球算定検査、血液生化学検査(血清尿素窒素、血清クレアチニン、血清電解質、血清シスタチンC等)、血液ガス分析、推算糸球体濾過値(eGFR)、腎生検等がある。

(4)病態別に検査項目及び異常値の一部を示すと次のとおりである。

(1)慢性腎不全
区分 検査項目 単位 中等度異常 高度異常
内因性クレアチニンクリアランス ml/分 15以上30未満 15未満
eGFR ml/分 15以上30未満 15未満

(注)小児において血清クレアチニン基準値が低く、年齢や性別でも基準値が異なることから、日本小児腎臓病学会による日本人小児のeGFR計算法を用いてeGFRを算出すること。
内因性クレアチニンクリアランスは、最も正確な測定法であるイヌリンクリアランスによる糸球体濾過値(GFR)よりも高値に出てしまう傾向があるため、イが30未満の時には中等度異常と取り扱うことも可能とする。

(2)ネフローゼ症候群
区分 検査項目 単位 異常

血清アルブミン g/dl 2.5以下
早朝尿蛋白量/クレアチニン比 g/gクレアチニン 2.0以上
夜間尿蓄尿蛋白量 mg/hr/平方メートル 40以上

(5)腎疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

 
区分 一般状態
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助のいることもあり、軽い運動はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50 %以上は就床しており、自力では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としており、活動の範囲がおおむねべッド周辺に限られるもの

(6)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

 
障害の程度 障害の状態
1級 1 前記(4)(1)の検査成績が高度異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のウに該当するもの
2 前期(4)(2)の検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イ又はウのいずれかが異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウに該当するもの
2級 1 前期(4)(1)の検査成績が中等度又は高度の異常を1つ以上示すもので、かつ、一般状態区分表のイ又はアに該当するもの
2 前期(4)(2)の検査成績のうちアが異常を示し、かつ、イ又はウのいずれかが異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のイ又はアに該当するもの
3 人工透析治療法施行中のもの

(7)人工透析療法施行中のものについては、原則として2級と認定する。
なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査成績、長期透析による合併症の有無とその程度、具体的な日常生活状況等によっては、さらに上位等級に認定する。

(8)検査成績は、その性質上変動しやすいものであるので、腎疾患の経過中において、最も適切に病状をあらわしていると思われる検査成績に基づいて認定を行うものとする。

(9)糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む。)、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎、先天性腎尿路奇形、遺伝性腎障害、巣状糸球体硬化症、先天性ネフローゼ症候群、急性腎障害等に罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、両者の期間が長いものであっても、相当因果関係があるものと認められる。

(10)腎疾患は、その原因疾患が多岐にわたり、それによって生じる臨床所見、検査所見も、また様々なので、前記(4)の検査成績によるほか、合併症の有無とその程度、他の一般検査及び特殊検査の検査成績、治療及び病状の経過等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。

(11)腎臓移植の取扱い

ア 腎臓移植を受けたものに係る障害認定に当たっては、術後の症状、治療経過、検査成績及び予後等を十分に考慮して総合的に認定する。
イ 特別児童扶養手当を支給されている児童が腎臓移植を受けた場合は、臓器が生着し、安定的に機能するまでの間を考慮して術後1年間は従前の等級とする。

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