第十節 心疾患

掲載日:2020年5月7日

1 認定基準

 
障害の程度 障害の状態
一級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
二級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受るか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

心疾患による障害の程度は、呼吸困難、心悸亢進、尿量減少、夜間多尿、チアノーゼ浮腫等の臨床症状、X 線、心電図等の検査成績、一般状態、治療及び病状の経過等により、総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2級に該当するものと認定する。

2 認定要領

(1)この節に述べる心疾患とは、心臓だけではなく、血管を含む循環器疾患を指すものである。
心疾患による障害は、先天性心疾患、心筋・心膜疾患、後天性弁疾患、難治性不整脈、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)に区分する。

(2)心疾患の障害等級の認定は、最終的には心臓機能が慢性的に障害された慢性心不全の状態及び低酸素状態(チアノーゼ)を評価することである。この状態は先天性心疾患や後天性弁疾患、心筋・心膜疾患などのあらゆる心疾患の終末像である。この末期像には手術後も含まれる。

慢性心不全とは、心臓のポンプ機能の障害により、体の末梢組織への血液供給が不十分となった状態を意味する。左心室、右心室双方の障害を考慮に入れなければならない。左心室系の障害により、動悸や息切れ、肺うっ血による呼吸困難、咳・痰、チアノーゼなどが、右心室系の障害により、全身倦怠感や浮腫、尿量減少、顎静脈怒張などの症状が出現する。

先天性心疾患では、これらに加え、単心室機能障害、右左短絡による低酸素状態、フォンタン循環による慢性心不全などが加わる。

(3)心疾患の主要症状としては、胸痛、動悸、呼吸困難、失神等の自覚症状、浮腫、チアノーゼ、持続する咳嗽、喘鳴、低酸素(チアノーゼ)発作等の他覚所見がある。

臨床所見には、自覚症状(心不全に基づく)と他覚所見があるが、後者は、医師の診察により得られた客観的症状なので常に自覚症状と連動しているか否かに留意する必要がある。(以下、各心疾患に同じ)。

ただし、乳幼児の場合、精神発達遅滞が併存する場合は、この限りではない。重症度は、心電図、心エコー図、・カテーテル検査、動脈血ガス分析値(酸素飽和度は径皮酸素飽和度での代用可能)も参考とする。 

(4)検査成績としては、血液検査(BNP値)、心電図、心エコー図、胸部X 線写真、X 線CT 、MRI 等、核医学検査、循環動態検査、心カテーテル検査(心カテーテル法、心血管造影法、冠動脈造影法等)等がある。

(5)肺血栓塞栓症、肺動脈性肺高血圧症は、心疾患による障害として認定する。

(6)心血管疾患が重複している場合には、客観的所見に基づいた日常生活能力等の程度を十分考慮して総合的に認定する。

(7)心疾患の検査での異常検査所見を一部示すと、次のとおりである。

 
区分 異常検査所見
Levine III(ローマ数字の3) 度以上の器質的雑音が認められるもの
安静時の心電図において、0.2mV以上のSTの低下もしくは年齢に見合わない異常陰性T波の所見のあるもの
負荷心電図などで明らかな心筋虚血所見があるもの
胸部X 線上で心胸郭係数60%以上又は明らかな肺静脈性うっ血所見や間質性肺水腫のあるもの
心電図で明らかな右室肥大、左室肥大または両室肥大所見のあるもの
心電図で、重症な頬脈性又は除脈性不整脈所見のあるもの
体心室(体血圧を維持する心室)の駆出率(EF )40%以下のもの
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が200pg/mL相当を超えるもの

重症冠動脈狭窄病変で左主幹部又は右冠動脈(SIから3)に50%以上の狭窄、あるいは、3本の主要冠動脈に75%以上の狭窄を認めるもの

心電図で陳旧性心筋梗塞所見があり、かつ、今日まで狭心症状を有するもの

経皮酸素飽和度が90%以下であるもの

(注1) 原則として、異常検査所見があるもの全てについて、それに該当する心電図等を提出(添付)させること。

(注2) 「キ」についての補足

心不全の原因には、収縮機能不全と拡張機能不全とがある。

近年、心不全症例の約40%はEF値が保持されており、このような例での心不全は左室拡張不全機能障 害によるものとされている。しかしながら、現時点において拡張機能不全を簡便に判断する検査法は確立されていない。左室拡張末期圧基準値(5-12mmHg)をかなり超える場合、パルスドプラ法による左室流入血流速度波形を用いる方法が一般的である。この血流速度波形は急速流入期血流速度波形(E波)と心房収縮期血流速度波形(A波)からなり、E/A比が1.5以上の場合は、重度の拡張機能障害といえる。ただし、15歳未満はこれを適応しない。

(注3) 「ケ」についての補足

すでに冠動脈血行再建が完了している場合を除く。

(8)心疾患による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

 
区分 一般状態
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助のいることもあり、軽い運動はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50 %以上は就床しており、自力では屋外への外出がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としており、活動の範囲がおおむねべッド周辺に限られるもの

(9)前記(7) のいずれか2つ以上の異常検査所見があり、かつ、一般状態区分表のウに該当するもの、又は乳児で著しい体重増加の障害(標準体重の80 %以下のもの)を1級と、(7)のいずれか1 つの異常検査所見があり、かつ、一般状態区分表のイ又はアに該当するものを2級と認定する。

(10)各疾患によって用いられる検査が異なっており、また、特殊検査も多いため、診断書上に適切に症状をあらわしていると思われる検査成績が記載されているときは、その検査成績も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。

本文ここまで
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