更新日:2023年5月26日

ここから本文です。

第九節 呼吸器疾患

特別児童扶養手当の判定基準について

1 認定基準 

 
障害の程度 障害の状態
一級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならめる程度のもの
二級 身体の機能の障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が前各号と同程度以上と認められる状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えるとこを必要とする程度のもの

呼吸器疾患の障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績(胸部X 線所見、動脈血ガス分析値等)、一般状態、治療及び病状の経過、年齢、合併症の有無及び程度、具体的な日常生活状況等により総合的に認定するものとし、当該疾病の認定の時期以後少なくとも1 年以上の療養を必要とするものであって、長期にわたり安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のものを1 級に、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のものを2 級に該当するものと認定する。

また、呼吸器疾患による障害の認定の対象は、そのほとんどが慢性呼吸不全によるものであり、特別な取扱いを要する呼吸器疾患として肺結核 ・ 気管支喘息があげられる。

2 認定要領

呼吸器疾患は、肺結核と呼吸不全に区分する。

A.肺結核

(1)肺結核による障害の程度は、病状判定及び機能判定により認定する。

(2)肺結核の病状による障害の程度は、自覚症状、他覚所見、検査成績(胸部X 線所見、動脈血ガス分析値等)、排菌状態(喀痰等の塗抹、培養検査等)、一般状態、治療及び病状の経過、年齢、合併症の有無及び程度、具体的な日常生活状況等により総合的に認定する。

(3)病状判定により各等級に相当すると認められるものを一部例示すると下のとおりである。

(4)肺結核に他の結核又は他の疾病が合併している場合は、その合併症の軽重、治療法、従来の経過等を勘案した上、具体的な日常生活状況等を十分考慮して、総合的に認定する。

(5)肺結核及び肺結核後遺症の機能判定による障害の程度は、「B呼吸不全」の認定要項によって認定する。

 
障害の程度 障害の状態
一級 認定の時期前6ヶ月以内に常時排菌があり、胸部X線所見が日本結核病学会病型分類(以下「学会分類」という。)の1型(広汎空洞型)又は2型(非広汎空洞型)、3型(不安定非空洞型)で病巣の拡がりが3(大)であるもので、かつ、長期にわたる高度の安静と常時の介助を必要とするもの
二級
  1. 認定の時期前6ヶ月以内に排菌がなく、学会分類の1型若しくは2型又は3型で病巣の拡がりが三(大)であるもので、かつ、日常生活能力が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とするもの
  2. 認定の時期前6ヶ月以内に排菌が あり、学会分類の3型で病巣の広がりが1(小)又は2(中)であるもので、かつ、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とするもの
   

B.呼吸不全

(1)呼吸不全とは、原因のいかんを問わず、動脈血ガス分析値、特に動脈血酸素分圧と動脈血二酸化炭素分圧が異常で、そのために生体が正常な機能を営み得なくなった状態をいう。認定の対象となる病態は、主に慢性呼吸不全である。
慢性呼吸不全を生ずる疾患は、閉塞性換気障害(肺気腫、気管支端息、慢性気管支炎等)、拘束性換気障害(間質性肺炎、肺結核後遺症、じん肺等)、心血管系異常、神経・筋疾患、中枢神経系異常等多岐にわたり、肺疾患のみが対象疾患ではない。

(2)呼吸不全の主要症状としては、咳、痰、喘鳴、胸痛、労作時の息切れ等の自覚症状、チアノーゼ、呼吸促迫、低酸素血症等の他覚所見がある。

(3)検査成績としては、動脈血ガス分析値、予測肺活量1 秒率及び必要に応じて行う運動負荷肺機能検査等がある。

(4)動脈血ガス分析値及び予測肺活量1秒率の異常の程度を参考として示すと次のとおり(A表、B表参照)である。なお、動脈血ガス分析値の測定に当たっては、安静時室内空気下により行うものとする。

A 表 動脈血ガス分析値

 
区分 検査項目 単位 中等度異常 高度異常
1 動脈血酸素分圧 Torr 60~56 55以下
2 動脈血二酸化炭素分圧 Torr 51~59 60以上
         

(注)病状判定に際しては、動脈血酸素分圧値を重視する。

B 表 予測肺活量1秒率

 
検査項目 単位 中等度異常 高度異常
予測肺活量一秒率 30~21 20以下

(5)呼吸不全による障害の程度を一般状態区分表で示すと次のとおりである。

 
区分 一般状態
歩行や身のまわりのことはできるが、時に少し介助のいることもあり、軽い運動はできないが、日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床しており、自分では屋外への外出等がほぼ不可能となったもの
身のまわりのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としており、活動の範囲がおおむねベット周辺に限られるもの

(6)呼吸不全による各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

 
障害の程度 障害の状態
一級 上記4のA表及びB表の検査成績が高度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のウに該当するもの
二級 上記4のA表及びB表の検査成績が中等度異常を示すもので、かつ、一般状態区分表のイ又はアに該当するもの

なお、呼吸器不全の障害の程度の判定は、A表の動脈血ガス分析値を優先するが、その他の検査成績等も参考とし、認定時の具体的な日常生活状況等を把握して、総合的に認定する。

(7)慢性気管支喘息については、症状が安定している時期においての症状の程度、使用する薬剤、酸 素療法の有無、検査所見、具体的な日常生活状況などを把握して、総合的に認定することとし、各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである。

 
障害の程度 障害の程度

一級

最大限の薬物療法を行っても発作強度が大発作となり、無症状の期間がなく一般状態区分表のウに該当する場合であって、予測肺活量1秒率が高度異常(測定不能を含む)、かつ、動脈血ガス分析値が高度異常で常に在宅酸素療法を必要とするもの

二級

呼吸困難を常に認める。常時とは限らないが、酸素療法を必要とし、一般状態区分表のイ又はアに該当する場合であって、経ロステロイド薬の連用を必要とするもの

(注1) 上記表中の症状は、的確な喘息治療を行い、なおも、その症状を示すものであること。 
(注2) 喘息は疾患の性質上、肺機能や血液ガスだけで重症度を弁別することには無理がある。このため、臨床症状、治療内容を含めて総合的に判定する必要がある。

(注3) 「喘息+肺気腫(COPD)」あるいは、「喘息+肺腺維症」については、呼吸不全の基準で認定する。

(8)常時(24 時間)の在宅酸素療法を施行中のものについては、原則として2 級と認定する。

(9)原発性肺高血圧症や慢性肺血栓塞栓症等の肺血管疾患については、前記4 のA 表及び認定時の具体的な日常生活状況等によって、総合的に認定する。

本文ここで終了