更新日:2025年9月22日
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R7第2回「新県民ホールに期待すること」
神奈川県を代表する文化施設である県民ホールを県民とともに建替えていくため、今後県の文化の拠点となる新ホールについて、どのような施設になってほしいか意見交換を行います。
県の課題をより当事者の目線から把握するために、黒岩知事が、当事者や特定課題に精通した関係団体などと少人数で意見交換を行います。当日はYouTubeで中継して、対話の内容について意見を募集します。皆様もぜひご視聴の上、ご意見をお寄せください。
令和7年度 第2回「黒岩知事と当事者とのオンライン対話」を開催します
令和7年9月3日(水曜日)13時40分から14時40分
X(旧Twitter)から、ハッシュタグ(#)「#おんらいんたいわ」をつけて投稿してください。
※ハッシュタグの前に半角スペースをいれてください。
@Taiwa_Hiroba(別ウィンドウで開きます)
令和7年11月3日までにご意見をお寄せください。
第2回 黒岩知事と当事者とのオンライン対話 意見募集フォーム(別ウィンドウで開きます)
司会 渕之上様
皆様、本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。
ただいまより、令和7年度第2回『黒岩知事と当事者とのオンライン対話』を始めます。
本日の司会進行役でございます。渕之上と申します。よろしくお願いいたします。
この対話は様々な課題に対する当事者の皆様の生の声を知事が伺い、当事者目線の意見を得ることで、今後の県の施策につなげていくものです。この様子はYouTubeでライブ配信を行うとともに、アーカイブで県ホームページにも掲載いたします。
今回のテーマは「新県民ホールに期待すること」ということで、神奈川県を代表する文化施設である県民ホールを県民の皆様と共に建替えていくため、新ホールについてどのような施設になってほしいか意見交換を行うものです。
本日は14時40分までを予定しております。YouTubeをご覧の皆様は、是非X(旧Twitter)から「#おんらいんたいわ」、「#おんらいんたいわ」を付けて、ご意見をお寄せください。なお、「おんらいんたいわ」についてはひらがなです。それでは意見交換に先立ち、黒岩知事からご挨拶申し上げます。
知事
神奈川県知事の黒岩祐治です。
本日は当事者とのオンライン対話にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。
このオンライン対話というのはですね、様々なテーマに合わせて当事者の皆さんと直接、私が対話をして、その思いを何とか実現していきたい。そんな思いで開いてるところであります。
今回のテーマは、「新県民ホールに期待すること」ということです。
県民ホールはつい先日、今年の3月末をもって、一旦閉じることになりました。閉館するじゃなくて、建て替えるということなんですけれども。老朽化してですね、しかもバリアフリー対応になっていないということで修繕を繰り返してきたので、もうこれは限界かなというので建て替えることにいたしました。建て替えるにあたってはですね、やはり出来る限り皆さんの想いを集約したような、みんなで建て替えるぞという、そういう県民ホールにしていきたいと思っています。
ですから、色々な形で、この県民ホールに関わっていらっしゃったことがあるとか、県民ホールに対して思いがある皆さんに、今日お集まりいただいて、自分が考える県民ホールの夢をぜひ語っていただきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
司会 渕之上様
それでは、参加者の皆様にご挨拶いただきましょう。こちらからお名前をご紹介しますので、一言ずつお願いいたします。
お一人目はバイオリニストの橘和美優様です。お願いいたします。
橘和様
バイオリニストの橘和美優です。本日はよろしくお願いいたします。
司会 渕之上様
次にバレエダンサーの吉川文菜様です。お願いいたします。
吉川様
吉川文菜です。今年の4月から東京バレエ団に所属しております。よろしくお願いします。
司会 渕之上様
続いて東京藝術大学声楽科の大泉結葵様です。お願いいたします。
大泉様
大泉結葵と申します。私は小学生の頃から芸能に興味を持って、映像や舞台などで活動した経験があります。その後、高校時代は神奈川総合高校を舞台芸術科の1期生として過ごしました。
現在は、幼い頃から大好きな歌を専門にするべく、東京藝術大学の声楽科で学んでいます。よろしくお願いいたします。
司会 渕之上様
続いて県立港北高等学校吹奏楽部3年生の鈴木太智様です。お願いいたします。
鈴木様
県立港北高等学校3年の吹奏楽部に所属しています。鈴木太智と申します。今日はよろしくお願いします。
司会 渕之上様
続いて美術家の平田守様です。お願いいたします。
平田様
美術家の平田守と申します。本日はよろしくお願いいたします。
司会 渕之上様
最後にオペラ演出家及び建築史研究者の吉野良祐様です。お願いいたします。
吉野様
お世話になっております。本日はよろしくお願いします。吉野と申します。
オペラを中心に公演に携わる仕事の他に、建築の文脈からも劇場のことを考えておりまして、県民ホールの再整備委員の方にも公募委員として参加させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
司会 渕之上様
それでは意見交換に移ります。
本日は二つのパートに分けて対話を行います。それぞれ参加者の皆さんにお話をいただいた後に、知事からコメント、続いて質疑を行います。
最初のパートは「私にとっての県民ホール」についてです。皆さんにはそれぞれの目線からお話いただければと思います。では最初に橘和様お願いいたします。
橘和様
私にとって神奈川県民ホールは、本当に小さい頃からコンクールで演奏をさせていただいたりだとか、家族で演奏会に行ったりだとか、すごく身近で特別な存在でもあるんです。
直近ですと、昨年、「神奈川文化賞未来賞」というものを受賞させていただいて、その際に受賞者のコンサートで、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の皆様とメンデルスゾーンのバイオリンコンチェルトを演奏させていただいたんですけれども、その時は大きいホールでたくさんのお客さんも入って、自分の演奏してる感覚だと、意外と響きが少ない代わりに、自分の1つ1つの音を自分ですごくコントロールしながら表現するようなホールなんだなっていう印象がありました。
今後、ホールに対して響きっていうところで、響くようなホールに変わっていったら、すごく自分的には嬉しいなというふうに思ったのが印象です。
司会 渕之上様
続きまして、吉川さんお願いいたします。
吉川様
私が県民ホールの舞台に初めて立たさせていただいたのは、「横浜バレエフェスティバル」というバレエのガラ公演でした。そこでは世界で活躍しているプロのバレエダンサーとオーディションで選ばれた私のような若手が共演させていただきました。
私にとって、プロのダンサーと踊ることは初めてだったので、その公演で将来踊りを職業にするということを意識させられるきっかけになりました。
また、有料の公演というのも初めてでした。お金を取るからには、お客様を満足させなければならないという責任が伴います。間近にプロの方々がいることで、そういったことに気付かされる、そんな責任感でした。
私にとって県民ホールとは、将来の方向性を定めてくれた公演の舞台であり、大切な思い出の地でもあります。
また、先程も述べたとおり、県民ホールではガラ公演と呼ばれるソロの踊りや男女が組んで踊る抜粋の公演もよく行われています。そういった公演では、海外からゲストを招聘して行うことが多いため、多国籍的なダンサーがよく集っています。その傾向から、県民ホールは日本だけではなく、多文化な雰囲気を持っている、そんな印象が私はあります。
司会 渕之上様
では、大泉様お願いいたします。
大泉様
私は県民ホールに立ったことはないのですが、小学生の頃から県民ホールのことは知っていて、姉の中学校の吹奏楽コンクールで初めて行き、ものすごく大きなホールだなと感動した思い出があります。
また、高校生の時には、授業で近くの神奈川芸術劇場(KAAT)に通っていたこともあって、すごく身近なホールに感じています。私個人が県民ホールに抱いている思いですが、様々な種類の音楽と美術を楽しめる唯一無二の施設で、地元から愛されている場所だと思っています。
特に個性だと思っているのは、アイドルのコンサートで県民ホールを訪れたことがあるのですが、メインでやっているオペラとかバレエのお客様とは違う層の方がたくさん来ていて、とても驚きました。 私は演劇、オペラ、ポップスのコンサートなど色んなものを色んな場所で見るのですが、こんなにも多様なお客様が来る県の管理している施設はないと思っています。
現在は、声楽を本格的に学ぶことができているので、幼い頃からの経験と合わせて、より多面的に将来の芸術を考えていますので、県民ホールに神奈川県の文化芸術を守る、発展させる立場として積極的に関わらせていただきたいと思っています。
司会 渕之上様
吉野様お願いいたします。
吉野様
私は横浜で生まれ育ちまして、幼い頃から県民ホールというのは大変身近な存在でございました。演奏を聞くというのはもちろんなんですけれども、ギャラリーで展覧会に行ったりですとか、広場の心地よさも含めて様々な思い出がございます。
とりわけ、自分の中で思い入れが強いのは閉館の年、去年ですね。橋本愛さんが主演をなさったオペラの「ローエングリン」に音楽スタッフとして関わらせていただく機会がありました。私は国内の様々な劇場でオペラ公演に関わっておりますので、それとの経験と比べると、県民ホールは残念ながらお世辞にも綺麗とは言えない、かなり老朽化した設備ではあるんですけれども、そうやってクリエーションに向き合う中で、あの場所が持っている温もりですとか、手触りのようなものっていうのはすごく感じまして。そういった場所で最先端の表現を模索しようとしている皆様の姿が本当に輝いていたなということが、すごく印象に残っております。
数週間、皆さんとの時間も大切にしながら、劇場にこもってクリエーションをしていたんですけれども、何よりあのロケーションが素晴らしくて、山下公園でお弁当を食べる時間っていうのが何より自分にとっても充実した時間でした。
街の中に劇場がある。そこに人々が繋がっているということが、すごく価値のあることだなということを、閉館の年に改めて思った次第でございます。
司会 渕之上様
鈴木様お願いいたします。
鈴木様
私にとっての県民ホールということで、僕は、中学生の頃から吹奏楽をさせていただいていて、中学二年生の頃に初めてコンクールで県民ホールの舞台に立ちました。そこから高校二年生の時まで、県民ホールにコンクールで出演したんですが、金賞から銅賞まで、色んな賞をもらって、悔しい思いも嬉しい思いも、様々な思いをしてきた場所が神奈川県民ホールで、その思いがやっぱり強いです。
さらに、この県民ホールが閉館するっていうふうになって、周りの指導者の方とか生徒とかもやっぱりいい響きだったよねっていうような感じで、色んな吹奏楽をやっている人に、県民ホールは愛されているんだなっていうのを県民ホールが閉館してから肌で感じています。
私は、今年の3月の「ありがとう神奈川県民ホール」の吹奏楽フェスティバルということで、色んな学校だったりとか、団体の吹奏楽の方が集まって演奏する機会で、私も横浜市の高等学校の合同バンドで演奏させていただいたのですが、その中で色んな学校の吹奏楽部の方と交流できて、そういった色んな方と交流する機会が県民ホールにあるっていうことが、非常にいいことだなというふうに思っています。
そうした吹奏楽を通しても様々な人を繋げてきた、すごくかけがえのない場所だなっていうふうに私は思っています。
司会 渕之上様
平田様お願いいたします。
平田様
自分にとって県民ホールとは、お恥ずかしながら、ほんのつい数年前まで全く存在を知らなかったんですけれども、2023年度の神奈川県美術展で大賞をいただきまして、その際、両親に大賞いただいたんだよっていう話をしましたら、両親が若い時、何回も行ったことあるよっていう話を聞きました。自分は両親と年齢が当然のように離れているんですけれども、両親の若い時の話、例えばデートで行ったみたいな話を聞いた時に、自分は初めて知って見に行きましたが、両親は若い時にデートに行って県民ホールで催し物を見たっていうので、両親と話すきっかけみたいなのが生まれたんですね。なので、こうやって自分だったり、自分の両親だったりと世代を超えて触れ合う場所やきっかけになったっていうのが、公共施設としてとても素晴らしいなっていうふうに思いました。
自分の中で本当にお恥ずかしながら、県民ホールに対しては、まだ全然分からないこともいっぱいなんですけど、両親の思い出話みたいなのを聞けたっていうのが、自分にとっては嬉しいかなっていうふうに思っています。
司会 渕之上様
それでは、知事、今の皆様の発言を踏まえて、感想やコメントをお願いいたします。
知事
ありがとうございました。改めてこれまでの県民ホールが皆さんに愛されていたんだなということを、今直接お伺いできてよかったなと思いますね。私も感じたんですね。県民ホールをいよいよ3月末で閉じるぞって言って、それで「ありがとう神奈川県民ホール」というのを1か月間通してやったんですけれども。その時、いかにこの県民ホールが皆さんに愛されていたかっていうことを本当に感じましたよね。
一番最後のグランドフィナーレの時には、本当に皆がありがとうって感謝の気持ちを素直に表せる、そういう意味での素晴らしい県民ホールだったんだなという。この伝統をですね、これだけは何とかして繋いでいかなきゃいけないなと改めて思いましたね。
橘和さんにお伺いしたいのですが、響きの話をされましたけど、正直言って、今までの県民ホールは響きという意味では、ちょっと物足りなかったという意味ですか。
橘和様
そうですね。好みもあると思うんですけれども、ソリストとか一人で演奏するってなると、やっぱり音が客席の方に響いて聞こえるっていうのは、すごく自分が弾いてても気持ちもいいですし、聞いてる方も聞きやすいのかなって思います。
演奏はクラシックだけではなく、オペラとかバレエとか色んなことをできることがホールとしてすごく特徴でもあるのかなと思うので、響けばいいっていうわけではないと思うのですけれども、私はもうちょっと響きがあると嬉しいなっていうのは正直ありました。
知事
なるほどね。例えば、他の劇場であそこの劇場の響きはすごくいいよっていうと、どこかありますか。
橘和様
神奈川県のホールだと、やっぱりみなとみらいホールとかはすごく響きがあって、クラシックをやるうえでは、音響的にすごくいいホールだなっていうのは個人的に思います。
知事
やっぱりみなとみらいホールは、割とクラシックに特化というか、いいよね。
橘和様
そうですね。
知事
逆に県民ホールというのは、先ほど話にあったけれども、色々なことができる。
大泉さんもおっしゃってましたけどね。多様性っていうか、アイドルのコンサートがあるかと思えば、オペラからクラシックから色々なものがあるというので、大泉さんどうですか。やっぱり、新しい県民ホールもそういった皆に使えるようなものがいいのか、それともやっぱり音響だけはどこにも負けないとか、そういうのがいいのかどうでしょうか。
大泉様
私はやっぱり皆が使えるのがいいなって思いますね。近くに神奈川芸術劇場(KAAT)もあって、みなとみらいホールもあって、その色んなものを専門にした場所があるので、やっぱりそれらの真ん中にターミナルみたいな感じで、色んなものが集まる場所があってもいいんじゃないかなって思います。
知事
そうですよね。吉川さんも、先ほど多国籍とか多文化とか、そういう感じがして、それは良かったと言ってくれましたけどね。やっぱり県民ホールって言ったら、そういう海外からもどんどん来たくなるような要素っていうのはやっぱり欲しいなと思いますか。
吉川様
そうですね。バレエに限らず、色々なジャンルの公演を行うことで、海外のお客様にも楽しんでいただけるような劇場であるといいなと思います。
知事
そうですよね。じゃあ鈴木さんは吹奏楽を皆でやるときの響きっていうことからすれば、何か感じることがありましたか。
鈴木様
響きっていう点で言うと、僕は神奈川県民ホールの響きはすごく好きです。癖がないっていう言い方をするといいのかどうか分からないんですけれども、他の色んなホールですと、例えば観客があまり入っていない状態だと響きすぎてしまってとか、構造上、右から聞こえるはずのものが左から聞こえてしまうっていうのが、ステージの演者側では結構起こるホールが他にある中で、神奈川県民ホールは吹奏楽の合奏で演奏していると、すごくまとまって演者側からも聞こえていて、すごく演奏しやすいホールだなっていう印象があります。
知事
そうですよね。吉野さんは、オペラに実際に制作者として関わっていらっしゃるということですけど、響きっていうことからするとどうですか。
吉野様
そうですね。やはり、キャパシティの問題と関係していると思うんですけれども、県民ホールとして、例えば吹奏楽とか合唱の大会も含めて大きな催しをやるためには、ある程度、規模が大きくなることはやむを得ないとは思います。
一方でやっぱりオペラとかバレエとかに適した響きっていうと、もう少し箱のキャパシティ自体はやや抑え気味の方が後ろのお客様まで楽しんでいただけるっていうような、そういった相関関係もあるかとは思います。ただ、上演の形態とかは新しくなっているので、現代にふさわしいホールのあり方を考えるうえで、響きっていうことをまた再定義することが必要かなというふうに思っています。
知事
この響きっていうのはやっぱり突きつめてみるとですね、例えば、今おっしゃったみたいなその劇場の規模を大きな劇場なのか、小さな劇場なのか、中くらいの劇場なのかっていうことによってもだいぶ違いますよね。
だから、あのオペラをやるためには結構大きな舞台、舞台装置も大規模のものがあるだろうし。例えばミュージカルも、オペラとミュージカルは同じようなものかと思いながらも、実はブロードウェイの劇場ってそんな大きくないですよね。なので、演目によってスケール感とかそういう求めるものが違ってくる。そんな気もしますけれど、吉野さんいかがですか。
吉野様
そうですね。やはりオペラとミュージカルの違いは、オペラは生音。マイクを通さずにより生に近い音響環境でやるっていうことが、やはり伝統として表現として重要だと思うので、そういう環境は守られるべきかなと思いますが、そのホールの規模に合った上演の形っていうのが模索されるべきだと思っております。
知事
今、丁度オンラインでご覧になっていた方からXでご意見が入りましたけどね。「Kアリーナを参考にしてほしいです。」これ、今私も話しながらちょっと思ってたんですよ。「音質、ライティング、見やすさが最高で、Kアリーナなら見に行くという心理になっています。通算8回行きました。」
あそこは20,000人入る大ホールだけど、音がすごくいいですよね。本当に針が落ちる音でも聞こえるんじゃないかっていうぐらいな感じですけれども。
吉野さん、どうですか。こういうKアリーナのあのパワーを。何であんなにすごいんですかね。
吉野様
ちょっと僕もKアリーナはあまり詳しくは存じ上げないんですけれども、やっぱり音響技術。その機械を通した部分でかなりフォローしてる部分もあるんじゃないかなと思いまして。
県民ホールは鈴木さんとかがおっしゃっていたように、生の響きでも十分に全てのお客さんに良い演奏を届けるってことも大きな特徴かなとは思いますので、大きい規模の方が興行的にはいいということもあるかもしれませんけれども、同じ場に一緒にいるっていうこと、同じ場所を共有する、時間を共有するっていう。その規模の限界はやっぱり僕はあるかなと思いますので、適切なサイズがあるのかなというふうに思っております。
知事
Kアリーナで、この間、ピアニストがピアノコンサートやったという話を聞きましたけどね。誰か知っている人いますか。
あんな大きな20,000人のところで、1人でピアノコンサートやったっていうので、すごいことだなと思って。橘和さんどうですか、あんなに大きなところでやってみるというのは。
橘和様
そうですね。本当にそんな20,000人規模とかっていうことは本当にないので、すごいなって思います。
でもやっぱり音響とかも多分、マイクを通すとか色々やっていると思います。
知事
その音響とかっていうのは、やっぱり建物の造りもあるだろうし、その技術っていうのもあるんでしょうね。
橘和様
もちろん、その楽器によっても本当に個体差もありますし、もちろん技術も大切だと思います。
知事
技術って音響ですか。
橘和様
本当に個人の持ってる技術もだいぶ関係するかなと思います。
知事
なるほど。大泉さんああいう音響技術の差っていうのも、出てくるんじゃないですかね。例えばスピーカーやマイクですごくいいやつとかあるじゃないですか。
大泉様
そうですね。私も音響を色々、ちょっとだけやった経験があるんですけど、その技術的な面も絶対にあると思いますね。
知事
やっぱり、これまでの県民ホールは響きがイマイチっとおっしゃったけど、本当はどこかに弱点があったのかもしれないですね。
大泉様
響きと、音量とか音響とかってまた全く違うものというか別なような気もします。
知事
なるほど。では平田さん、県民ホールは美術を展示するアトリエもありましたよね。
平田様
そうですね。
知事
存在についてはどう思いますか。劇場というのは必ずしも美術ができるようなスペースが求められてはもともといなかったかもしれないけれども、県民ホールはそういうスペースがありましたよね。
平田様
そうですね。ホールとしては、絵画の150号っていうサイズを展示できるっていうのは、とてもメリットだと思います。やっぱり公共空間でもどうしても美術の展示って言われると、すごい小さい作品が映える空間と大きい作品が映える空間っていうのが分かれてまして、県民ホールみたいなパブリック空間っていうのはやっぱり大きい作品がすごい映える空間であるっていうのが、すごいメリットだと自分は思います。
そういうところでやっぱり展示したいっていう。特に自分みたいな若手の作家とかは、こういう広い空間で展示したいなっていうのが魅力なので、建て替えられた後も大きい作品が展示できる空間は維持し続けてほしいなっていうふうに思います。
知事
なるほどね。とても参考になる意見ですね。ありがとうございました。
司会 渕之上様
それでは次のパートに移ります。
ここでは「見に行きたい、出演・出展したいと思うホールとは」について、皆様よりご意見をお聞きしたいと思います。先ほどの対話の内容などを踏まえつつお話ください。では橘和様からお願いいたします。
橘和様
先ほどの皆さんの意見を伺って、本当は私は響くホールがいいっていうことを言おうかなって思っていたんですけれども、やっぱり色んな用途で使えるホールってなると、一概に響きがあればいいっていうのは言えないのかなっていうのは正直思ったところがありました。
でも、私が演奏家としてホールに立つ上で、やっぱりアンサンブルとか他の人と演奏するっていう時に、一緒に音を作りやすい響きっていうのがあるホールは使いたいなって思う1つの理由でもあります。
あとは、やっぱりクラシック音楽をやっている目線でいうと、普段クラシックを聞かない方でも、身近に足を運べるようなコンサートがあったりとか、演奏会に行かなくてもちょっと涼みに行くだけとか、そういうふうに憩いの場のような空間があると、今もそうだと思うんですけれども、さらに地域に根付いたホールになると思います。
先ほど、平田さんがおっしゃっていたように、色んな世代の方が行ったことあるよとか、そういうふうに会話が弾んだりとか、神奈川県民の人全員が行ったことがあるっていう場所になるのはすごくいいんじゃないかなと思いました。
司会 渕之上様
次に吉川様お願いいたします。
吉川様
先ほど触れたように、県民ホールでは様々な演目が上演されています。ですが、私はぜひ全幕のバレエをもっと上演していただきたいなとも思っています。
私の所属している東京バレエ団など、多くの日本のバレエ団は固定の劇場を持っていません。そのため、色々な劇場を使用させていただきます。なので、県民ホールもぜひその選択肢の一つになっていただきたいと思います。
全幕を行うには、大掛かりな舞台装置や照明、音響など様々な設備が必要となります。なので、バレエ団の芸術監督のこだわりから、多数の変更が必要となることもあるかもしれません。ホール側のスタッフの方々や舞台監督の方には、臨機応変で柔軟な対応をしていただけると、全幕を上演することへのハードルが下がるかなとも思います。
また、バレエにはセリフがありません。そのため、先ほどからおっしゃられているように、オーケストラの音響がとても重要な要素の一つになります。バレエダンサーが音響に対して、そこまで意見を言うことは滅多にないのですが、音が効果的にお客様の一人一人まで届くようなオーケストラピットですとか、客席への配慮をしていただけると、ダンサーとしても踊りやすくなるかと思います。
さらに、この点に関しては、東京バレエ団の特色にもなるのですが、私たちのレパートリーには子どものための公演という、上映時間が短く、観客数を絞ったような公演があります。もし県民ホールにキャパの大きい大ホールだけではなく、小ホールのような小さな会場も併設していただけると、そういった別ニーズのお客様にも満足していただけるかと思います。
ここまで設備面のことを中心に述べさせていただきましたが、県民ホールのある横浜は、交通や観光の要所でもあり、日々多くの人々が集まっています。バレエダンサーの目線からすると、これまでも演目の多彩さなどから多文化な印象がありましたが、今後も国籍を問わず、人々が一息つけるようなホールであってほしいなと思います。
司会 渕之上様
大泉様お願いいたします。
大泉様
先ほどKアリーナの話が出て、すごく驚いたんですけど、私は県民ホールがそういったエンターテイメントのものと、アート・芸術との架け橋になればいいなと思っています。
県民ホールでは、先ほども言ったとおり、ポップスの上演とクラシックの上演と両方やっているのがとても魅力的なので、そういった活動を当初から50年間続けている県民ホールだからこそ、現代大きく開いているエンタメとアートの溝を埋められるのではないかと考えています。
私がクラシックを見に行ったり、聞きに行ったりするときに感じることがあって、やっぱり来ているお客様の年齢層が分かれているなという印象を持っています。若い人が本当に少ないというか、関係者や学習者がすごく多く来ていて、ただ音楽とかを直接楽しみに来ている人が少ないなというふうに思っています。
このまま世代交代をしていくと、クラシックを楽しんでくれる方が本当に少なくなってしまうのではないかと思っています。なんで若者が少ないのかっていうふうに思った時に、現代のSNS等によるエンタメの急激な発達によるものだと考えています。
芸術とかアートといった生のもの、人から直接伝わる感動に触れたり興味を持つ機会が、ネットとかを通して、すぐ触れられるエンタメに比べてやっぱり重さっていうか、手に取りやすいっていうところで、すごく差が出てしまっていると思います。アートは作り手とお客様との歩み寄りが大切で、その上で、お互いの感情を動かせるものだと私は考えています。そのコミュニケーションが、今の若者にすごく必要なものではないかと考えています。
ですが、かといって、全く芸術に触れていないというわけではないんですけど、俳優を応援することが目的の推し活が流行っていたりとか、この芸術ってなんだろうって考えさせられる面があるので、魅力が上手く伝わっていないのではないかと思います。
そこで、アイドルのコンサートなどエンタメを愛するお客様が県民ホールに来た際に、グッズを買った後の空いた時間などで、生のものに触れる楽しさ、喜びを体験していただけるように、例えば、音楽作品とプロジェクションマッピングとかデジタル系のものと合わせて流していくことによって触れやすくて、でも結局しっかり本物を見に行こうって思った時には、本物の感情が手に取れるみたいな入り口を作ることができたらいいのではないかと提案させていただきます。
司会 渕之上様
では、次は吉野様お願いいたします。
吉野様
2つの点からお話をさせていただければと思います。
1つは、より魅力的な主催事業を多く制作していけるホールになるといいなということです。良い設備を整えて、それによって多くの外部の団体が劇場を利用する、いわゆる貸館利用するっていうことも非常に重要だとは思うんですけれども、一方で、私が「ローエングリン」に携わった時のように、劇場が主体となって、ホールが主体となって、挑戦的なプロジェクトを進めていく。そこに多くの市民やあるいは県外の方を巻き込んでいく。県民ホールがそういう拠点になるということが非常に重要だと思います。
私は滋賀県のびわ湖ホールでもお仕事をすることがあるんですけれども、あそこも都道府県レベルの公共ホールとしては、非常に魅力的な企画を多く発信しておりまして、そこに多くの人々が集まっているという状況を拝見するに、大変魅力的な場所だなというふうに思いました。
そのように、主催事業を通じて、多くの人々が繋がれるということが1つ重要かなと思っております。
2つ目なんですけれども、公共が果たすべき役割をきちんと運営に生かしていただきたいということがございます。先ほどKアリーナの例が出まして、もちろんああいった20,000人を熱狂させる、商業的に成功しているということも非常に重要で、参考にすべき点はたくさんあるとは思うんですけれども、一方で、本日お集まりの方々、クラシックの演奏家やバレエ、オペラに携わるものから言わせていただくと、やはりそういう分野はどうしても商業的な成功っていうことというと、困難を色々と抱えている分野ではあるというふうに思っております。
公共劇場として、もちろん黒字化っていうのは非常に大事なことかもしれませんけれども、一方で、公共じゃないとできない文化芸術の事業ということがあるかなというふうに思っていますので、そういったものを責任を持ってやっていくっていうことが重要かなと思っています。法律ですとか社会制度っていうものでは救えないもの、つくり生み出せない豊かさっていうのを、我々は担っているというふうに自負しておりますので、そこにきちんと税金というか、お金を投じていただいて、それが県民の皆様や県外の皆様のためになるっていうサイクルを生み出すっていうことを、我々も意識してやっていきたいというふうに思っております。
司会 渕之上様
では鈴木様お願いいたします。
鈴木様
私達、吹奏楽を演奏している人が県民ホールを使わせていただくのは、コンクールの機会が多いので、コンクールに重きを置いて喋りたいなと思っているんですが、まず先程も話したんですけれども、いい響きというか、やっぱりこの県民ホールはすごくクセのない響きという話を先ほどさせていただきました。他のホールや一部のホールとかですと、例えば音がずれて聞こえるとか、そういうのがステージの中だけでも起こってしまって、結構学生などのアマチュアの団体だと合わせるのが困難になって、崩れてしまったりとかっていうのが起こってしまうようなホールっていうのもあることにはあります。
そういったものではなく、やっぱり県民ホールっていうのは非常にそういった面では演奏しやすいホールだったと私は考えています。
先ほど橘和さんがおっしゃったようなことと重なるんですが、アンサンブルを作りやすいホールっていうんですかね。そういった合奏のしやすさといいますか、舞台と客席の両方にいい音が届けられるようなホールになると、演者もすごくモチベーションが上がるかなというふうに思っています。
もう1つが動線のことなんですが、コンクールになると、非常に多くの学校から来た生徒たちがホールの中を移動しますので、今までの県民ホールですと、例えば横幅が狭くて急な階段というのがあって、そこで学生達もトラブルが起こってしまったりっていうのがあったり、あとは打楽器を搬入するエレベーターの近くに段差があって、慣れていない人が子どもを踏んじゃいかけたりとかっていう、そういった面で少し心配になる点が多くありました。そういう点で、様々な場面でも対応していただけるようにしていただけたら嬉しいなという点があります。
そして、やっぱり東関東大会ですとか全国大会のような県大会より上の大会というのを、少なくとも私が関わっている限りでは県民ホールでやったことがなくて、そういった上位の大会や全国大会などが行えるようなホールになると、神奈川県で吹奏楽をやっている人達のモチベーションになりますし、神奈川県民ホールで全国大会が行われるから、全国大会を目指して頑張ろうっていう原動力にもすごくなると思います。
そういったホールにするということになると、やっぱり通路の問題ですとか、あとはトラックの搬入場所というのが神奈川県民ホールですと、野外の小さな駐車場を使わせていただいていました。最近は夏に開催してますので、すごく暑いっていうのがあったりとか、あとは雨が降ってしまうと、やっぱり濡れてしまって滑ったりとか、危ないようなところも少しあるというような印象がありますので、そういったところをコンクールのためだけにっていうのは中々難しいかもしれないんですけれども、考慮していただけるとすごく吹奏楽をやっている身からしたらありがたいですし、全国大会などが開催されたら非常に嬉しいなと思っております。
司会 渕之上様
平田様お願いいたします。
平田様
自分は美術の立場から、特にギャラリースペースに対して申し上げると、やはり先ほど大きいスペースがあるっていうのがとてもいいっていう話をしたんですけれども、それと同時に綺麗な白壁があるっていうのが、美術作品にとってはとても重要で、今も当然白壁はあるんです。けれども、新しくなる際にはやはり大きくて真っ白な白壁が絵画にしても彫刻にしてもすごい映えるので、それはとてもお願いしたいなっていうふうに思います。
あと、先ほどの方もおっしゃっていたんですけれども、どちらかというと美術の世界でもクラシカルな表現をする方もいれば、もっと現代的な表現をする人もいて、そうなってくると、どうしても世代間による作品の断絶のようなものが、結構実情としてあります。そういうのを考えた時に今までオールドな表現手法である、絵画、彫刻っていうのが映える空間であるっていうことも大事なんですけれども、例えば若い20代、30代、40代くらいの作家ですと、インスタレーションとかビデオ表現、映像表現とか具体的な定型のしようがないような表現をアプローチしている作家もいっぱいいまして、そういう人たちがここだったらできるっていうのは、やはりニュートラルな何もない空間っていうのがとても重要になってきます。
なので、現行のただ白い空間っていうと、特徴がないように思われるかもしれないんですけれども、美術作家をやっている身としては、自分で色々やりようがあるっていうのがとても重要になってくるので、自分としては広くて白い壁が立っている空間っていうのが、とてもいいんじゃないのかなというふうに思います。
司会 渕之上様
それでは知事、皆様のご発見を踏まえて、質問や感想をお願いいたします。
知事
ありがとうございます。
とても具体的で色々な話が出てきて、とても面白く聞かせていただきました。そんな中でちょっと思ったのは、KAATって皆さんご存知ですか。神奈川芸術劇場っていう。この劇場も実は県の持っているものなんですけれども、ここはまた、今皆さんがおっしゃったような要素を結構持ってるんじゃないのかなと実は思っていてですね。
色々なことをやるのだけれども、大ホールと中ホールで、中ホールっていうのは自由に細工ができるんですね。客席を全部取っぱらっちゃって、そこで美術展をやったりすることもできるし、客席も自由に作ったりとかできるっていうのものあるし、割とシックで色合いも非常にきれいでというのが、実はあるんですけれども。
吉川さん、バレエの立場からしたらKAATでは小さいんですよね。
吉川様
そうですね。私も一度KAATには、タップダンスの公演を見に行かせていただいたことがあるんですが、客席との距離感もとても近くて、客席が一体になって密になって、タップダンスのダンサーの1人に集中して見れるような、とてもまとまった雰囲気で集中力の高い緊迫したような雰囲気の公演だったので、とても刺激のあるものでした。
ですが、バレエとなると具体的なキャパ数としては1,000以上はどうしても欲しいかなとは思います。
知事
先ほど、全幕のバレエができるようにとおっしゃっていたけども、全幕のバレエの後ろのセットは、結構大きなセットが入れ替わり立ち替わり出てくるのがあったりすると、劇場は見えるところだけじゃなくて、その奥のスペースっていうのも相当広くなければ駄目でしょうね。
吉川様
そうですね。舞台転換は幕を下ろした状態の1分ほどで行ったりもすることがありますので、舞台のスタッフの方々にはいつも奔走していただいているんですが、舞台の大きさ、客席の広さの両方はとても大切な要素になると思います。
知事
ですよね。
だから橘和さん、それぞれやる演目によって、大きさや求められるものが実は違ってくるんですよね。バレエやオペラは大きな舞台が必要だけど、クラシックはあまり大きくてもあれだなって。
先ほど吉川さんが小ホールもあった方がいいっておっしゃっていましたが、それはどうですか。
橘和様
本当に小ホールの方が、クラシックをやるうえで演奏させていただく機会がどのホールでも多いです。やっぱり大ホールってなるとオーケストラでの演奏とかが多いので、小ホールがあるとやっぱりアンサンブル、弦楽四重奏とか、個人のリサイタルとか、そういうものにも利用しやすいというのはあるので、小ホールは是非あったらすごく嬉しいなと思います。
知事
そうですよね。
大泉さん、先ほどおっしゃってくださったのを聞いていて、KAATのイメージが近いなっていうふうに実は思っていたのですが。新しい県民ホールはKAATとは違う魅力が欲しいわけですよね。
大泉様
やっぱり、県民ホールはKAATよりも、遠くにいる人たちが一堂に会する場所というイメージです。 KAATは現代的でミュージカルや舞台、舞踊公演もあり、空間美術や映像も投影していて、特定の層というかコアな感じがしていてすごく好きなんですけど、県民ホールは大きなホール、色々な人が来る場所で、多くの人に伝わるっていうのが大事だと思っています。
知事
なるほど。
先ほど、吉野さんがおっしゃったことはすごく大事だと思うのですが、県民ホールというのは公共のホールなんですよね。だから、公共の果たすべき役割っていうのが実はあって、そこはやっぱりある程度追求しなきゃいけないなっていう。
そこで主催事業というと、実はKAATの主催事業では、KAATで作った作品とか色々あるのですが、その公共というところを意識した時にこれすっごく大事だと思うんだけど、やっぱり小ホールは必要ですよね。
吉野様
そうですね。やはり、先ほど申し上げたクラシックとかの文脈で、主催事業をやっていくってなった時に、必ずしも2,000人近くのお客様を対象にすることばかりではなくて、もっと小規模でやることがふさわしい音楽の公演もありますし、小規模だからこそ、より出演者とお客様が繋がれるっていうこともありますので、色々なスケールの事業をやることで魅力がより引き出されていくのかなというふうに思います。
知事
ここのところはやっぱり、よく皆さんと話をしていかなきゃいけないなと。
今日の議論の中でも、よく見えてきたのはやっぱりスケールもそうだし、質もそうだし、色々な求めるものが、実は自分のやる演目によって若干違ってくるというね。こういった中で、それをしかも公共でやるということですよね。
どの辺でやるのかっていうので、みんなの合意で綺麗にやっていくと、実は個性がないものになってしまうかもしれない。個性を出して行こうとすると、どこかに偏っちゃうかもしれない。その辺の問題がありそうですね。
大泉さん、KAATは入り口のロビーのところに大きな映像とかあってね、それを見ながら、だんだん階段を上がっていくみたいなことがあって、そういうのを見ると充実してはいるんですけれどね。やっぱり新しい県民ホールにもそういう仕掛けが必要でしょうか。
大泉様
そうですね。すごくいいと思います。
知事
平田さん、今のKAATは先ほど言ったように、普段の多目的ホールみたいなところは色々な美術を展示、作品を展覧する場にしたりもできるんですよね。だから、アートも舞台や芸術も何でもできちゃうみたいになっています。
新しい県民ホールもKAATみたいな感じにした方がいいのか、それともやっぱり今の県民ホールみたいに、このスペースは美術館みたいですよという感じにした方がいいのか、どちらがいいと思いますか。
平田様
そうですね。やはり県民ホールっていうのは歴史ある建物なので、県民ホールで展示をやったことによって箔がつくみたいなのも、美術家にとっては結構大事だったりします。
もちろん、KAATみたいなところはそこでの良さがあり、県民ホールは県民ホールの良さとして、やはり古くからある伝統的な建物、歴史があるものだっていうのが、今までの良かったところなので、その伝統性みたいなのは残していったうえで、新しくするっていうのがいいのかなと思います。
先ほど言い逃してしまったのですが、パブリック空間だとどうしても特に絵画の展示ですと、ピクチャーレールというものから、ワイヤーを吊るして展示するというのがすごい一般的なのですが、パブリック空間でも壁に直接釘打ちとかがもしできるようになったら、とてもすごいなって思います。
ただ、どうしてもその場合ですと、展覧会が終わったら、業者が入ってパテ埋めをして、壁を施工し直すみたいなので、すごいお金がかかってくるので、どのくらいの頻度でそういうのができるのかっていう予算の兼ね合いもあって中々難しいとは思うんですけれども、やはりそういう格式ある空間で、現代美術の展示ができる、絵画がきれいに見える展示ができる、彫刻が美しく見える展示ができるっていうのが、ちょっとわがままなんですけど、すごいいいのかなっていうふうに自分は思います。
知事
なるほどね。色々聞いてみるものですね。やはり専門家の立場からすれば、壁に釘打ちができるようなものがあるといいっていうのは聞いて、そうなんだと思って、ちょっとなかった視点だったんですよね。
鈴木さん、今、まだ高校生で凄いですね。動線やトラックの搬入の話とか、場所の話だとか。そんな所まで気付いていらっしゃるわけですね。そういうとこって結構大事ですよね。
鈴木様
そうですね。コンクールとか、その他演奏会などでも吹奏楽部ですと、やっぱり楽器の搬入、搬出とかも生徒たちで行わなきゃいけないっていうふうになってくるので、そういう場所で結構、生徒が出入りしたりっていうのは多いので、そういうところについても考えてはいます。
知事
丁度、Xでこういう意見もきてますよ。「駐車場予約機能があるといいですね。県民ホールは家族で行くことも多くありますので、駐車場難民になるのを防ぐこともできるかなと思います。」
確かに劇場の表側だけじゃなくて、そういう駐車場とか、搬入や動線とか、そういうこともやっぱり配慮しながら、新しいものをつくっていかなきゃいけないっていうことですよね。
皆さんの話を聞いて、面白かったですね。ありがとうございます。
司会 渕之上様
皆さんありがとうございます。では、そろそろお時間になりますので、知事、今回の対話の締めくくりをお願いできますでしょうか。
知事
まだまだ皆さん、言いたいことがいっぱいあるかもしれないので、ぜひまた改めて色々なご意見をお話しいただきたいと思います。
けれども、こんな形で、皆で対話しながら、ああだこうだってを夢を語りながらですね、つくっていくということをしていきたいと思います。
今はまだ正式には決まっていませんけれども、小ホールって話もありましたけど、今の大きな方向性の中では、大劇場だけじゃなくて、中劇場なのか小劇場なのか分からないけど、またそれよりも小さめの規模のものはつくるというのは、大きな方向性の中では、我々は感じているところでもありますね。 やはり今日お話をしてみて、やっぱりそういうのは必要かなというふうには思いましたね。
それとともに、KAATというのは、非常に我々としては、自慢の劇場にもなるんだけれども、これをさらに乗り越えるような県民ホールっていうのをつくっていくっていう必要性ですよね。やっぱり、小さいところで大きいことはできないから、まず、ある程度の大きさっていう県民ホール。今までの県民ホールぐらいのスケール感で、大きなオペラ、それから全幕バレエもできて、大型セットもバンバン入れ替えることもできるっていうのがあるけれども、それだけじゃなくて、もう色々なことができるっていう。
実は今までの県民ホールもですね、ある時はかなフィルのオーケストラ、バレエやったり海外から来たオペラやってたと思ったら、次の週は演歌ショーをやったりするんですね。そういうことをやっていて、そういう意味で多様な感じで、出し物によって色々な人が色々な形で来るというかね。結果的には、皆の、私にとっての県民ホールっていうようになってくるというね。
こういった県民ホールが今までで紡いできた、こういう伝統、そしてみんなに愛されたっていうものは、しっかり繋いでいきながら、新しい時代に合わせた形、今日はあまりお話ができませんでしたけど、例えばどんな建物にするのかっていうのはありますよね。劇場というのは、海外で見たときに、その劇場そのものが皆が行きたくなる。中で何もやっていなくても、劇場を見に行きたいんだとかっていう、そんな劇場もあるわけだからね。観光スポットにもなるようなら、そんな要素も必要ですよね。
しかもこれからは、今日はその話があまり出なかったが、テクノロジーですよね。これから様々なテクノロジーがどんどんどんどん出てきて、そういったものも自由に取り入れられていくようなね。そういうことをやろうと思えばできる。
実はKアリーナの支配人に話を聞いたら、大容量の電源を持ってるんですよ。それがあるから色々な仕掛けをやっても、照明や音響でどんなことをやっても対応できるっていうのは、それだけの電源を持ってるからだっておっしゃってましたけど、そんなことも必要なのかなと思いました。
今日は本当に色々な皆さんのお話を聞けてよかったと思います。是非これからも、まだ途中ですから是非参加して、皆さんの夢を叶えるような劇場をともに、つくっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。今日はどうもありがとうございました。
司会 渕之上様
本日ご参加の皆様、貴重なご意見を頂きましてありがとうございました。また、YouTubeでご視聴いただいた皆様もありがとうございました。本日の様子は神奈川県のホームページに掲載し、YouTube動画でも配信いたします。また、ご意見も受け付けておりますので、県のホームページからご意見をお寄せください。それではこれをもちまして、令和7年度第2回『黒岩知事と当事者とのオンライン対話』を終了いたします。皆様、ご参加いただきましてありがとうございました。
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