更新日:2025年8月15日
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R7第1回「宇宙関連産業の発展に向けた人材育成及び宇宙を活用した人材教育」
次世代の宇宙関連産業を支える人材の育成及び教育等に係る施策検討の機会とするため、宇宙関連産業関係者や宇宙開発に関心を持つ高校生など、宇宙に関わる多方面の当事者と意見交換を行いました。
県の課題をより当事者の目線から把握するために、黒岩知事が、当事者や特定課題に精通した関係団体などと少人数で意見交換を行います。当日はYouTubeで中継して、対話の内容について意見を募集します。皆様もぜひご視聴の上、ご意見をお寄せください。
X(旧Twitter)から、ハッシュタグ(#)「#おんらいんたいわ」をつけて投稿してください。
※ハッシュタグの前に半角スペースをいれてください。
@Taiwa_Hiroba(別ウィンドウで開きます)
令和7年9月25日までにご意見をお寄せください。
第1回 黒岩知事と当事者とのオンライン対話 意見募集フォーム(別ウィンドウで開きます)
全体進行 渕之上様
皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまより令和7年度第1回『黒岩知事と当事者とのオンライン対話』を始めます。本日のサポート役を務めます渕之上と申します。よろしくお願いいたします。
この対話は様々な課題に対する当事者の皆様の生の声を知事が直接伺い、当事者目線の意見を得ることで、今後の県の施策につなげていくものです。この様子はYouTubeでライブ配信を行うとともに、アーカイブで県のホームページにも掲載いたします。
今回のテーマは、「宇宙関連産業の発展に向けた人材育成及び宇宙を活用した人材教育」ということで、神奈川県内の宇宙関連産業の可能性、宇宙関連産業の人材育成について、様々な立場の方々を交えて意見交換を行うものです。
本日は12時までを予定してございます。YouTubeでご覧の皆様は、是非X(旧Twitter)から「#おんらいんたいわ」、「#おんらいんたいわ」を付けて、ご意見をお寄せください。なお、「おんらいんたいわ」についてはひらがなです。それでは意見交換に先立ち、黒岩知事からご挨拶申し上げます。
知事
神奈川県知事の黒岩祐治です。本日は大変お忙しい中ご参加いただきまして誠にありがとうございます。私は対話型の行政で進めてるんですけれども、対話の中の一つに、対話の広場というものがあります。これは、県民の皆さんに集まっていただいて、直接お話をするということでありますけれども、もう1つが、この当事者とのオンライン対話というものです。
この当事者とのオンライン対話というのは、ある1つのテーマについて、いろんな角度から、ご専門の立場の方から、意見を聞いてですね、そしてどう進んでいけばいいのかなということを考えるものになります。今までここでいただいたご意見を、県の政策に反映したこともたくさんありまして、私にとっては、非常に有意義な場だというふうに思っています。
今回は「宇宙関連産業」、ここに焦点を当てました。やはり宇宙の時代というのが、着実に近づいてるのかなということを感じますよね。将来はやっぱり宇宙に人が住むような時代というのも、そう遠くないんじゃないのかな、そんなことを感じています。
今、持続可能な社会を作るということが大きなテーマになっていますけれども、宇宙での生活というのは、まさに持続可能じゃなければできないなといったことの中で、これからいろんな産業、新しい産業をどういうふうに育てていけばいいのか、そのために人材をどうやって育てていけばいいのか、そんなことを、まさに当事者の皆さんとともに議論をしたいと思います。是非、よろしくお願いしたいと思います。
全体進行 渕之上様
では、ここからは進行を交代いたします。加持様、よろしくお願いいたします。
司会 加持様
ご紹介いただきましてありがとうございます。本日の進行役を担当する加持と申します。
今年の3月までJAXA、特に相模原にございます宇宙科学研究所で勤務してございました。現在、神奈川を拠点に、火星着陸あるいは地球大気突入、そういったビジネスに向けた技術開発プロジェクト、あるいは超小型ロケットのベンチャーなど、いくつかの宇宙関連のプロジェクトの方に参画をしてございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速でございますが、本日の参加者の皆様にご挨拶をいただきたいと思います。こちらから名前をご紹介させていただきますので、一言30秒程度で自己紹介をお願いできればと思います。では、九州工業大学大学院工学研究院の教授をなさっていらっしゃいます北村健太郎様、お願いいたします。
北村様
九州工業大学の北村と申します。
今は九州工業大学で超小型衛星と言われる非常に小さな人工衛星の研究開発を行っております。実は、前職で山口県にあります工業高等専門学校の方にも勤めておりまして、いわゆる技術者育成という文脈で、かれこれ20年ぐらい衛星を使った人材育成ということで取り組んでおります。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
司会 加持様
ありがとうございます。続きまして、聖光学院中学校高等学校宇宙開発研究会SeSDA及び有志で宇宙研究をされている生徒の皆様、お願いいたします。
聖光学院中学校高等学校の皆様
聖光学院宇宙開発研究会です。よろしくお願いします。
米国ケネディセンターにて研究発表を行いました、聖光学院有志の3人です。本日はよろしくお願いします。
司会 加持様
ありがとうございます。続きまして、福井県小浜市で教育長を務められていらっしゃいます小坂康之様、お願いいたします。
小坂様
福井県の小浜市の方で教育長をしております小坂と申します。
昨年度の3月まで福井県立若狭高等学校というところで教員をしておりまして、そこで延べ13、14年ほどかけて、子どもたちと宇宙日本食の鯖缶を開発しました。
先月のプロジェクトXで、特集していただいて、その教育活動としての鯖缶開発や、地域と連携しての宇宙とのつながりという部分での教育活動を展開しております。
4月から機会があり、小浜市の教育長を務めさせていただいておりまして、まだ教育委員長としては3、4ヶ月なのですが、知事が言われているような対話型の教育を推進してやっております。よろしくお願いします。
司会 加持様
ありがとうございます。続きまして、宇宙飛行士を目指す研修医でありつつ、有志で宇宙医療を研究されておりますお二人、石橋拓真様と林誠一様、お願いいたします。
石橋様
東京大学医学部附属病院研修医の石橋拓真と申します。
神奈川県横浜市の出身です。研修医の本業と並行して航空宇宙医学の活動を行っておりまして、現在は一般社団法人のSpace Medical Accelerator(スペース メディカルアクセラレーター)という産官学連携を手掛ける社団法人の理事を務めているほか、米国のAerospace Medical Association(エアロスペース メディカル アソシエーション)という宇宙学の学会の国際連携委員も務めております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
林様
同じく研修医で東京科学大学病院研修医、同大学院博士課程在籍の林誠一と申します。
私自身は松戸市の出身で、宇宙飛行士の山崎直子さんと同じです。
神奈川県については、出身大学が聖マリアンナ医科大学ですので、大変ゆかりがあります。
私は物心がついたころから、宇宙飛行士に憧れを抱いておりまして、元々パイロットから宇宙飛行士になりたいという夢を抱いておりました。そこからいろいろ経て、今は医師として宇宙飛行士になるという夢に代わり、今に至ります。今日は普段話せないみなさんとお話できるのを楽しみに来ました。大変貴重な機会をありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
司会 加持様
ありがとうございます。続きまして、株式会社タカラトミーアーツのプロデューサーで、「宇宙なんちゃらこてつくん」の生みの親でいらっしゃいます宮下哲平様、お願いいたします。
宮下様
株式会社タカラトミーアーツの宮下と申します。
おもちゃ会社でキャラクターのライセンス窓口をさせていただいております。今日は頭にかぶってますけども、「宇宙なんちゃらこてつくん」の担当としてですね、お話させていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
司会 加持様
ありがとうございます。それでは意見交換に移ります。本日は2つのパートに分けて対話を行います。皆様にお話をいただいた後に、黒岩知事からコメントをいただき、質疑を行いたいと思います。
まず、最初のパートといたしまして、参加者皆様の取組についてということで、今回のテーマについて日頃取り組んでいらっしゃる内容についてお話をいただければと思います。では、順番に2、3分程度で頂戴できればと思います。早速でございますが、北村先生、お願いできますでしょうか。
北村様
私たち、九州工業大学の革新的宇宙利用実証ラボラトリーという組織を運営しております。私たちが得意としてるのは、超小型人工衛星の中でも、さらに小さいキューブサットと言われるものです。1番小さいものは、手のひらに乗るぐらいのものなんですが、こういうものをたくさん作っています。これの良いところは、従来の衛星と違って、非常に早く、安く衛星を作ることができるということです。このことによって、今まで宇宙産業に参画できなかったような人たちが、どんどん宇宙分野に参入できるようになっています。
また、私たちのキーワードとして、宇宙セクターに多様性をもたらしたいということでやっております。これを実現するために、九州工業大学には、50キロ以下の衛星をほとんど1か所で全部地上試験ができるような設備をつくり、ここに学外の企業さんや、他大学の方も活用していただき、どんどん試験できる環境を整えています。
これまでに九州工業大学は、こういった小さな人工衛星を29基打ち上げておりまして、これは大学で打ち上げている人工衛星の数としては、この8年間で世界最多ということになっております。そこに、大学生や大学院生をどんどん参入させていって、実践的に衛星作り、宇宙開発の教育を行っていくという取組をやっております。
もう1つの特徴としましては、途上国と新興国と連携した国際共同ミッションということで、宇宙開発の恩恵を得られていないような途上国の学生さんをですね、九州工業大学に呼んできて、その国で初めての人工衛星開発をして打ち上げるという取組、これを「BIRDS(バーズ)プロジェクト」と呼んでおりますが、10年以上行っておりまして、強固な国際ネットワークも作れている状況です。
日本人学生にとっても、留学生と一緒に衛星を作りますので、彼らからすると北九州にいながら海外留学しているような感じで、実際に衛星作りを学べるという環境を作っています。そして、こうしたプロジェクトを推進しながら、実践的な衛星システム全体が見渡せるような人材育成というのを行っています。そして、衛星を早く安く作るということと、こうした超小型衛星を、さらに月探査や新宇宙探査などの先端宇宙開発の中でも応用していくような技術開発というのを進めております。以上、簡単ですけれども、九州工業大学の取組をご説明させていただきました。
司会 加持様
ありがとうございます。続きまして、聖光学院中学校高等学校の皆様、お願いいたします。
聖光学院宇宙開発研究会(SeSDA)の皆様
聖光学院宇宙開発研究会(SeSDA)です。私たちは、宇宙開発や天文学工学に関する興味と探求心を持つ有志が集まり、主に学祭での展示を1つの大きな目標として活動を続けております。
例年の活動としては、宇宙関連のテーマを取り上げたレポートの作成や、ロケットや人工衛星を題材とした模型作成を行い、来場者の方々に宇宙の魅力や最新の開発動向をわかりやすく伝えることを心がけています。また、ペットボトルロケットの製作、発射も毎年行っており人気です。
さらに本年度は新しい挑戦としてライントレースロボットの製作にも取り組みました。宇宙探査の現場では、自律走行やロボティクスの技術が不可欠であり、私たちはその重要性を強く意識しています。
今後は、これまでの研究、展示活動に加え、ロボット開発を新たな柱の1つとして据え、より実践的で未来志向の活動を展開していく予定です。以上がSeSDAの発表です。
聖光学院 宇宙研究有志の皆様
続けて、聖光学院有志の取組内容を発表させていただきます。僕たちは、ワシントンDCにあるケネディセンターで行われた「Earth to Space」への参加依頼をNASAから受け、イベントでの発表を行いました。
依頼内容は、全球降水観測計画で収集された降水衛星データの活用について調査研究を行うことでした。NASAやJAXAの担当者の方々から数回講義を受けた後、複数のグループに分かれ、各自でテーマを設定し、先生や外部の方々のサポートを受けながら研究を進めました。
現地での発表では、ケネディセンターで米国、日本が口頭発表、英国とセネガルはオンライン発表を行いました。NASAからは、私たちが研究している衛星の解析責任者であるハフマン博士をはじめ、他の観測衛星の上席教育担当者も出席し、総勢130人以上の参加者の前で発表を行いました。
もともと発表は4カ国で1時間の予定でしたが、日本チームだけ別に1時間、発表と質問の時間をいただきました。小学生やその保護者からの質問が非常に多く、最終的に15分延長することになり、想像以上に盛り上がったのが印象的でした。また、大変ありがたいことに、NASAの方々から高い評価をいただくことができました。
帰国後の活動としては、NASAの方々からいただいたアドバイスをもとに各自研究を修正し、日本気象学会ジュニアセッションとJpGU大会においてポスター発表を行いました。以上で聖光学院の取組の紹介を終わらせていただきます。
司会 加持様
ありがとうございます。続きまして小坂様、お願いいたします。
小坂様
よろしくお願いいたします。福井県の小浜市というのは、古くから中国や韓国の窓口として栄えており、そこから京都まで魚介類、文化を運んできたという鯖街道という道があるのですが、その鯖街道を国際宇宙ステーションまで伸ばそうということで、明治時代から小浜で採れた鯖を缶詰としてずっと水産高校として作っているのを、宇宙まで上げていこうという活動になります。始めてから18年ほど経ってますので、最初に関わった子どもたちが親になっていて、その子どもたちがまた研究を継いでるという状況になります。
私は、大和市の出身でして、神奈川県で高校卒業して大学に行っており、神奈川県とはゆかりがございます。こちらが先月放送されましたプロジェクトXです。学校がもう廃校寸前そういった場所から、本当にやんちゃな子たちと一緒に宇宙を目指したという経緯がございます。
実際に、この国際宇宙ステーションのボーナス食と言われてる食事の分類があるのですが、この高校生たちが開発して作った缶詰を今も提供してるんです。それを宇宙飛行士の方たちが食べていただいてる。最初は宇宙日本食として取り上げていただいたんですけれども、海外向けにも展開しております。
左が明治時代から続いてる型でして、右側が新しい缶詰です。教育としては非常にレベルが高いことですが、この難しいというのがすごく大事だなと思っております。野口宇宙飛行士にも食べていただいて、大変なニュースになったのですが、宇宙食を作るというときに、やはり1番難しいのは宇宙に行ったことない子どもたちが、宇宙飛行士の気持ちになって作るということで、これがとても良かったなというふうに思ってます。
私もだんだん宇宙飛行士になってきまして、彼らと同じように平和のことを考えたりとか、環境のことを考えたりとか、そういった気持ちになれるという意味では、教育活動として面白いなと思っております。いわゆる探求学習といわれているところを活用したわけです。
打ち上がったのですが、残ったものはお土産屋で売っているものの、1個2000円で高いということで売れない。そこで、地域の企業さんに利益を還元したいということで、子どもたちが1個700円の缶詰を作って売っています。そういった商業面でも発展した例になります。以上です。
司会 加持様
ありがとうございます。続きまして、石橋様、林様お願いいたします。
石橋様
よろしくお願いいたします。まず、航空宇宙医学と申しますのは、宇宙飛行士や宇宙旅行者の健康管理と、宇宙を利用した医学実験、この2軸からなる分野になります。潜水医学であったり鉱山医学と並んで、いわゆる幅広く環境医学の1分野というふうにされております。
私は、東京大学在学中にSpace Medicine Japan Youth Communityという学生団体を設立いたしまして、6年ほど活動をしておりました。その中で、全国の医学生が、例えばJAXAの筑波宇宙センターであったり、自衛隊の航空医学実験隊であったり、そういったところを訪問するスタディツアーや、学生の自主的な研究会、勉強会の成果を基にした学会発表などを企画しておりました。
今後20年では、先ほども知事がまさにおっしゃった通り、民間の宇宙旅行者の数が大きく増えるということが見込まれております。それに伴い、宇宙旅行者の健康管理であったり、あるいは宇宙を利用した実験、特に再生医療の分野では非常に大きな伸びが期待されております。微小重力環境を利用した創薬であったり再生医療の研究、あるいは小型軽量の医療機器の新規開発など、幅広い分野にその影響が波及するものと考えております。
運用の面で申しますと、宇宙医学というのは究極の予防医学でありまして、未病の段階で飛行士であったり旅行者の状態をしっかりサポートしていくということが重要になりますし、あるいは、新たに宇宙空間で行う医療行為の開発を行っていくという点におきましては、宇宙環境では、リソースがかなり限られる、スペースも少ない、物も置けない、専門家もいないという環境ですので、その中でできることを増やしていくっていうのは、本当にサステナブルな医療、リソースが少ない中での医療を切り開いていくことにつながるというふうに考えております。
この新たな産業分野の振興には産官学の連携が不可欠でして、そこの橋渡し、モメンタム形成を行うために一般社団法人Space Medical Acceleratorを4年前に立ち上げまして、宇宙医療分野に関心をお持ちの宇宙関係の企業様あるいは医療関係のメーカー様との事業競争であったり、コンサルティングという活動を行わせていただいております。はい、活動紹介としては、以上になります。続いて林先生からお願いいたします。
林様
よろしくお願いいたします。私は、日本宇宙航空環境医学会の若手の会の世話人もさせていただいております。また、JAXAの国際派遣プログラムとJAXAへのインターンの経験もございます。こういった活動を今後につなげようと考えまして、博士課程の方では、宇宙学ではありませんが、医療機器、医療AIの研究室に在籍させていただきまして、私自身、興味分野である産官学連携のほうにも今後活かしていけたらなと日々思っております。
早速ですが、今日のパネリストには聖光学院中学校高等学校の中学生、高校生もいますので、中高生のご聴講者もいるかと思います。そこで、今回のテーマが「宇宙関連産業の発展に向けた人材育成及び宇宙を活用した人材教育」というテーマでしたので、私が最近関わっているものの中から、宇宙産業の発展も意識しつつ、学生も含めた宇宙人材教育関連でいくつか話題提供も兼ね、紹介させていただきます。
まず、昨年開催されたスペースアイデアコンテストという、全国の大学生および大学院生を対象とした宇宙事業提案の援助をしてくださるコンテストがあります。こちらについては、チームでコンテストで優勝させていただきまして、今後に向けて、他のいくつかのコンテストなど含め、さまざまな場で事業提案をチームで行い、活動しております。
次にご紹介しますのは、私も参加している宇宙ごはん研究会という「宇宙×食」というテーマに魅了され集まった専門分野や出身もさまざまなメンバーが、それぞれの視点を持ち寄りながら活動を行っている研究会です。現在開催されております大阪・関西万博にて、夏休みの1週間、宇宙食に関する展示を行う予定です。また、現在、プロジェクトの実現に向け、クラウドファンディングを立ち上げる予定もあります。
次にご紹介しますのは、周産期小児宇宙医学協会です。後ほどご紹介させていただきます航空宇宙医学の学会でシンポジウムを企画中です。宇宙での周産期医療体制の整備、病気やハンデキャップを抱える子どもが安全に宇宙に生きるシステムの構築、すべての子どもが宇宙で活躍できる世の中を目指しています。
最後にご紹介しますのは、日本宇宙航空環境医学会です。第一線で活躍される研究者やフライトサージャンの先生など、航空宇宙医学分野を専門とされる方々が多く参加されます。今年で第71回を迎え、今年11月にも開催予定です。現地参加すると、皆さんとても優しいので分け隔てなく話せます。ぜひお越しください。
他にもご紹介したいことは多々ございますが、こうした場は学生から社会人まで航空宇宙学分野の人材育成へとつながり、その人材が今後の神奈川、日本、そして世界の国や民間の宇宙旅行を含めた有人宇宙開発を率いていくような持続可能な人材育成をしていくのかもしれないですね。私からは以上です。
司会 加持様
ありがとうございます。続きましてタカラトミーアーツの宮下様、お願いいたします。
宮下様
ありがとうございます。私どもの会社はおもちゃ会社ですので、宇宙と子どもとか、宇宙のキャラクターであったりとか、宇宙と遊びみたいな、そんな切り口で、宇宙の取組というのをしております。
まず1つ目としては、昨年の1月ですね、日本初の月面着陸成功をした時に、月面の写真を撮ったチョロQ、月面探査ロボットを、タカラトミーと、JAXAさんとかSONYグループさんと大学さんと一緒に共同開発をしまして、おもちゃの技術やノウハウが月面着陸成功に貢献したという、そんな取組が1つございます。
もう1つは、こちらの「宇宙なんちゃらこてつくん」というキャラクターになっております。こちらの作品は2019年に生み出したキャラクターで、NHK Eテレでのアニメ放送もあり、子どもたちの中で、「宇宙のキャラクター知ってるものなんですか」と聞くと、一番に選んでくれてるような作品にまでなっています。アニメだけではなく、イベントとか、プラネタリウムとか、JAXAさんをはじめとした各企業さんとの取組であったりとか、あとは商品のグッズ展開など、より子どもたちの生活に密着したところで展開をすることで、かなり好評をいただいてるようなところでございます。
立ち上げた当初の思いとしては、宇宙をもっと身近にしていこうという、そんな思いをもって今も活動していまして、宇宙の小難しいお話というよりも、気軽に気楽に楽しめて、見てるうちにいつの間にか宇宙のことに興味を持ってもらえる、そんな最初の入口的なキャラとして展開をさせていただいております。
そうしたこともあり、今年度、神奈川県の宇宙応援アンバサダーに就任させていただくこともできました。こちらはキービジュアルですけれども、神奈川県の宇宙に関する街並みであったり、神奈川県にある企業さんであったり、JAXAさんが関わってる衛星のビジュアルにさせていただいています。いろいろ連携しながら盛り上げていければと考えています。どうぞ、よろしくお願いたいたします。
司会 加持様
皆様、取組のご紹介ありがとうございました。それでは、黒岩知事、今の皆様のご発言を踏まえて、感想、コメントをお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
知事
ありがとうございました。もうなんか目が覚める思いというかですね、もうここまでいっているのかなということを聞いてびっくりしたという感じですね。こういう分野では、日本は遅れてるのかなと思ったけれど、そうじゃなくて、ある部分ではすごく進んでるのかなっていう感じはしましたよね。
「宇宙なんちゃらこてつくん」、本当にありがとうございます。もう大人気で、引っ張りだこでありましてね。宇宙産業が広がっていくためにベースが上がってくるというのは非常に力強いなということをすごく感じています。
それとこの鯖缶ですが、僕いつもね、プロジェクトXは見ているんですけど、たまたま海外出張と重なって見ていなかったのですが、素晴らしいですね、これ、食べましたよ。めちゃくちゃ美味しいですよ。それで、小坂さんに1つだけ聞きたいんですけれど、普通の鯖缶と宇宙鯖缶とは何が違うんですか。
小坂様
基本的には一緒なのですが、宇宙食には標準食というのがあるんです。標準食というのは、JAXAが発注をかけて、栄養素とかを考えて作るもので、宇宙日本食というのは、古い言い方ですけど、ボーナス食と言って、宇宙飛行士が最後選んで搭載するものになります。宇宙飛行士が好んで選んでいくのですが、選ばれたものを宇宙日本食というくくりでJAXAさんの方が指定して製造しています。基準としては標準食とほぼ同じで非常に難しい基準になります。
知事
なるほど。あと、聖光学院の皆さんのNASAに呼ばれたっていうのは、なんで呼ばれたのかということと、何を発表されたのかかがよく分からなかったんですけど、もう1回言ってもらえますか。
聖光学院 宇宙研究有志の皆様
僕たちがNASAに呼ばれたのは、日本では気象分野を5年生後半で学習するため、小学生に衛星観測と気象について学習し、英語で報告してもらうことは不可能だったので、僕たち高校生や中学生が呼ばれてNASAに行きました。
過去のNASA、JAXAの講演会に多数出席している聖光学院と、あともう1校の渋谷幕張中学校にも打診があり、両校の中学生ならば英語発表が可能であるということで、衛星データを分析してみたいという生徒がいるだろうと推測し、この「Earth to Space」というイベントへの参加が決定しました。
知事
それで、内容としては何を発表されたんですか。
聖光学院 宇宙研究の有志の皆様
衛星を使って、宇宙から地球に降っている降水の観測データ、雨量を観測するデータを使って、解析・研究をしました。
知事
そうですか。すごいですね。まだまだ聞きたいことはあるんだけど、次のパート行かないと時間がなくなっちゃうので、先に進めてもらえますか。話をまた後で聞かせてもらいたいと思います。
司会 加持様
知事、ありがとうございます。それでは、次のパートに移りたいと思います。
ここでは、本日のテーマになっております宇宙関連産業の発展に向けた人材育成や人材教育の課題等ということで、皆様よりご意見を伺いたいと思います。では、改めて順番にコメントをいただきたいと思います。お時間の関係ありますので、お一人、2、3分程度でお願いできればと思います。
では、早速でございますが、順番ということで、九州工業大学 北村先生からお願いできますでしょうか。
北村様
ありがとうございます。宇宙産業で必要な人材像ということで、我々はいろいろと取り組んでいるんですが、大体3段階あると思っております。1つは実際に手を動かして物を作るものづくり人材というところなんですが、ここは他産業から結構入りやすいところですね。例えば、宇宙は専門ではないけど、電気回路の設計ができますとか機械設計ができますとか、そういう人は入りやすい。
もう1つが、その上の段階で、衛星システム全体を見通した設計ができる、システム設計ができるとか、あるいはその衛星の統合ができるとか、我々はシステムエンジニアリングと言ってますが、この人材が今ものすごく不足しているということを、どこの宇宙企業さんに聞いても、皆さん口を揃えておっしゃいます。ここを増やす努力というのは大学でもやっているんですが、さらにその先を考えると、例えば宇宙産業を2倍に発展させる、産業規模を2倍にするという時は、今ある企業が、人工衛星を今の2倍作ったら産業規模が2倍になるかというとそうではなくて、宇宙を利用した新しい産業を作っていく必要がある。
そのためには、ものを作る人と同様、仕事を作れる人というのが絶対に必要で、我々はそれをCTO人材というふうに名前をつけています。工業大学ですので、どうしても技術者の人材育成の延長になってしまいますが、技術が分かるだけではなく、その上でちゃんと社会的な課題であるとか、自分たちの持ってる技術がどう役に立つのかとか、あるいは他の技術の目利きができ、それを使って何ができるか、さらに言うと、そういう産業に投資をしてくれるようなステークホルダーに対してその重要性が説明できるかとかですね。そういうところまでちゃんとできる技術者を育成していかないといけないなということで、私たちはこのCTO人材というのを目標に、いろいろな新しい人材育成プログラムをやっていこうというふうに考えているところです。
先ほどの鯖缶の話とかも、まさにここに繋がる話だなと思って伺ってたんですけれども、技術だけじゃなくて、宇宙を利用して新しいことをやれるというアイデアを出せる人材を育てたいなというふうに考えております。簡単ですけれども、以上です。
司会 加持様
ありがとうございます。続きまして、聖光学院中学校高等学校の皆様からお願いいたします。
聖光学院宇宙開発研究会(SeSDA)の皆様
我々、聖光学院での宇宙に関する、学校での授業っていう観点でお話させていただきますと、どうしても宇宙に関する話というのは、例えば地学の分野で多少のお話というのは先生からいただけますが、さらに専門的な宇宙の知識というのは、どうしても授業の範疇ではなかなか得られない状況です。そうした知識は、自分たちでネットであったりとかSNSを活用して得るという方法しかないので、どうしても高校生・中高生でそういう情報を得るというのが、厳しい現状で苦労しています。
聖光学院 宇宙研究有志の皆様
同じく学生の立場というところから話をさせていただきたいと思うのですが、学生の立場からするとどうしても先ほどの理由などから、宇宙を身近に感じにくいというのが率直な感想だと思います。
例えば、私は高校1年生で、進路選択とかそういった場面に面しているのですが、そういう時に宇宙と言っても、実際どのような仕事があるのかなどをなかなか教わってないので、まさに今日のように、いろんな方々から、こういう役職があるよとか、こういう仕事があるよとか、そういう話が聞ける機会を増やしていただけるとありがたいですし、まさに今日、その医療と宇宙をまたぐ、そんな分野があるんだということを知れたので、このような機会を作っていただけると学生としてはありがたいと思っています。
司会 加持様
ありがとうございます。続きまして、小浜市小坂様よろしくお願いいたします。
小坂様
教育の観点から話をさせていただくと、延べ300人ぐらいの生徒・先生が関わったんですけど、関わった子どもたちと先生に一致している特徴があるんですよね。その特徴っていうのが、「自分がやった!」「主人公だ!」って思っているんです。宇宙開発は私がやったと言うわけです。プロジェクトXも、なんで私は映らないんだっていう、苦情の電話がだいぶ来るぐらいです。やっぱりそういう主体性を育てるって教育がすごく大事だなと思います。
教育の部分で、宇宙を題材にした時に、子どもたちのワクワクするような興味、関心というのは大事にしてきたというのは、私の教育のど真ん中な部分です。このすごいとか面白いとかいうのを、「Wonder(ワンダー)」って僕は呼ぶんですけど、こういうWonderを呼び起こすような教育というのがすごく大事で、どうしても教育って、考えさせようとか、深く学ばせようとなりがちなんですけれど、そういうシステムは作りつつも、やはりワクワクするとか、そうしたことを対話で紡いでいくいうことが大切だと考えています。それが少しずつ宇宙への興味・関心となって、積み重なっていくことで主体性になっていく。この主体性をどうやって育てるかという部分が大事だったのかなと思います。
先ほどの高校生たちも、そういう機会がなかったという話をされてましたけど、やはりそういうワンダーを沸かせるような体験であったり、宇宙にいた方たちとの対話だったりとかという部分なんかはすごく大事だと考えています。現場でのやり取り、例えばこの写真は「どんな宇宙食ができたらいいですか」とプロの魚屋さんに聞いてるやんちゃな女の子の様子なんですが、こういう関係者との対話みたいなものは、すごくその子たちの興味関心を引き立てるということが分かっています。
今までこういう対話については、本当に小学校とかで力は入れてたんですけれども、教員の育成の部分では、個人プレーになっていました。この対話をしっかりさせるというのは、知事の方針でもあるというのをお聞きしたところですが、対話と簡単にいうものの、私も実はハワイ大学で対話を学んで、研究の過程でうまく指導できるようになっていったということがあり、やはり型と心構えみたいなものがあります。なので、単に子どもたちに宇宙教育をさせるんではなくて、子どもたちがやりたい、自分で宇宙についてもっと深く知りたいって思わせる、そういう教員としてのアプローチというのをやはり基本から学んでいく必要があると思います。簡単に対話というふうに言うんですが、なかなかできていない部分だと思います。
あとは、そういう意味で、JAXAの宇宙教育センターというのを私たちは利用させてもらったのは大きかったです。私の実家の近くだったので、わざわざ実家に子どもたちを泊めて、相模原の宇宙センターまで行きました。こうした財産が神奈川県にはあるので、そういったものをご利用されるというのは1つの手かなというふうに思っております。以上です。
司会 加持様
ありがとうございます。では、続きまして、石橋様、林様、お願いいたします。
石橋様
私の方からは、中等教育と高等教育をつなぐといったようなところからお話しさせていただければと思います。先ほどご紹介いたしましたSpace Medicine Japan Youth Communityという団体で、もう8年ほど活動しておりまして、メンバーも500人ほど全国の医学生を中心に集まっているんですけれども、日々活動している中で、中学生、高校生の方々からものすごいお問い合わせをいただきます。
実際にまさに先ほど聖光学院の皆様がおっしゃっていたような、こんな分野があるなんて知らなかった、宇宙と言ったらどうしてもロケット、衛星工学というようなイメージが進路としては非常に強いため、宇宙に興味はあるけれども、医師を選んだというような方も多いんです。
なので、そういう時に、我々の立場としては、もちろん工学がすごく大きなパートであることは間違いないけれども、宇宙っていうのは場でしかないのであって、人間活動に関わる全てが宇宙に関わるんですよという立場で、その中の重要な1つに医療も医学もありますという立場で、中高生の皆さんにはお話をさせていただいております。
実際、設立当初は基本的に医学生が中心になったんですけれど、その後、どんどんその他の分野の学生さんも増えていまして、例えば、この団体の活動を通して、宇宙での医療に関わる法整備に関心が湧いたといって法学部に進んだ学生さんもいらっしゃいました。こういった形で、本当に多岐にわたる分野への橋渡しのきっかけとして、宇宙がスパイスとして役立つというところはあるのではないかなというふうに考えております。
もう1点、この8年間の活動の中から見えていることといたしましては、先ほど林先生からお話がありました、宇宙航空環境医学会の年次学会ではですね、毎年学生セッションというのが自主的に開催をされるんです。この学会の特徴として、若手が活発で、学生であったり卒後10年目以内の医師の方の活動が盛んで、発表数もとても多くなっています。
その要因として考えられることとしましては、この宇宙医学、宇宙医療の分野がブルーオーシャンであり、そしていろいろな機会がオープンに提示されているということがあるのかなというふうに思っております。解かれなければならないけれども、まだ誰もトライしていない問いとして、クリニカルクエスチョンであったり、その研究にあたってのリサーチクエスチョンというのが本当にたくさんありまして、それにトライをした時にサポートをしてくださる先生がたくさんいるという環境が、この学生の主体性、自主性の高いレベルでの発揮につながっているのかなと考えております。林先生、お願いいたします。
林様
ありがとうございます。私自身も大変ワクワクしながらお話を伺わせていただいておりました。
私自身、学生だった立場であり、今は医療者であるという立場からお話しさせていただきます。
まず、この民間宇宙旅行が進んでいっている国際化の環境の中で、例えば民間宇宙旅行で言うとスペースXさんがいらっしゃると思いますが、そういった国内外の情勢にも目を向けて動いていくというのが、やはり大事になってくるのかなと思います。まさに、今日ご参加されています学生の皆さんはもうすでに動いていて、私自身、幼い頃にこういった友達がたくさんいたらなと思いました。
また、こういった宇宙を身近に感じるという意味で、石橋先生から、学生の時に教えていただいた言葉で、「人あるところに医あり」という言葉があるんですけども、まさに医学というのは、宇宙を身近に感じられる入口の1つなのではないのかなと思います。
また、先ほどの宇宙食の鯖缶の話なんですけど、まさに学生を応援してくださるような先生がいるといった応援してくれる環境というのは、やはり大事なのかなとお話を伺ってて感じました。安心して、自分は宇宙開発に興味がありますと、そういったところに興味がありますということを安心して言える環境、こういったところが、知事もおっしゃっていたような、持続可能な人材育成においては大事なのかなと思っております。
持続可能な人材の話の流れで、このまま航空宇宙学会の方のお話させていただくんですけれども、先ほど石橋先生からもお話があったように、学生セッションですとか、たくさんの専門分野の航空宇宙学の専門家の先生がいらっしゃいます。こういった学生に限らず社会人の方でも、課題と興味ある学会に足を運んで、そこの1歩を踏み出すと、興味のある分野の専門家の先生たちと分け隔てなく話せるのかなと、お話を伺いながら、持続可能な人材育成に繋がるのかなと思っております。
司会 加持様
ありがとうございます。では、続きまして、宮下様、お願いいたします。
宮下様
ありがとうございます。「宇宙なんちゃらこてつくん」の観点で言いますと、子どもたちに向けて宇宙を身近にするという目的になります。人材育成とか宇宙人材の教育みたいなところですと、まずは、宇宙人材の人が足りないよというのをいろいろな方から話をお伺いするので、まずは宇宙人材というピラミッドがあるとすれば、そのピラミッドの1番下の裾野を広げるいうところをですね、そのパイを増やすっていうところを「こてつくん」で積極的にやっていきたいなと思ってます。
そういうことができれば、今日いらっしゃる皆様の活動に繋げて、宇宙人材はどんどん活躍できるようになるのかなと思っています。とはいえ、「こてつくん」は子どもたち向けなので、数年後、5年後というよりも、日本の10年後、20年後というところを見据えたかたちで、宇宙の仕事ってどういうことがあるんだとか、今まさに宇宙産業・宇宙ビジネスが広がってるんだというところを、より分かりやすくキャラクターを通して伝えることで、子どもたちの将来のきっかけ、仕事をするきっかけになるハブ役・パイプ役というところが担えればなと思ってます。
課題解決に向けて、これからもどんどん人材を増やす裾野の活動をしていきたいなと思いますので、より皆さんに貢献ないしお繋ぎができるような活動ができたらと思っております。
司会 加持様
皆様の大変貴重なコメント、ありがとうございました。
私からも、これまでいただいた内容を整理も兼ねて、簡単にコメントさせていただければと思います。私も、宇宙業界に20年間おります。その観点から、テーマそのものになっていますが、宇宙分野の人材育成というと2つの軸があると思います。
1つは宇宙を活用した人材育成ということで、宇宙はあくまでもツールであり、人材育成をどう行うかという点です。本日、お話ございましたが、「こてつくん」のように、宇宙という未知な分野そのものがモチベーションとなりますので、科学教育やアントレプレナー教育など、そういったものにつながる裾野を広げる入口としての宇宙というやり方もあります。また、入った後に、聖光学院の皆さんもおっしゃっていただいたように、授業の中でとどまらないような興味・関心をどうエンカレッジをして、宇宙を使って能力を高めていただくのか、新しいことに挑戦をしていただくのか。さらに、小浜の鯖缶の話のように、宇宙を使ってやりたいという気持ちをエンカレッジして主体的な人材にどうなっていただけるのか。こういう形で宇宙を活用した人材育成というのは非常に効果があるのではないかなというふうには思っています。
もう1つの軸が、宇宙開発・宇宙産業のための人材育成になります。私もいくつかの宇宙関連のベンチャーのプロジェクトに参画していますが、現在、全く人が足りていないというのが正直なところで、人を紹介してほしいということをいろんな場面で言われます。そのうえで、本日、北村先生からの活動のご紹介がございました。九州工業大学は、人工衛星をやるための設備が一通り揃っておりますし、人を育てる実際のプロジェクトを抱えていますので、そういった中で宇宙産業に多くの人材拠出、提供いただいているところですが、それでも足りない。
やはり技術的、心理的に宇宙産業への参入というのは、やはり障壁が高いということもありますので、他の産業からどう宇宙産業に参入いただくのかという点が私としては大事かなとも思っています。そういった意味で、宇宙産業・宇宙産業に入るために必要なスキルとはどういったものなのかというリスキルという点も今後は大事になってくるかなというふうに思っていますし、ぜひ宇宙産業に新しい方々が入っていただけることをこの業界にいる人間としては期待するところでございます。
この2つの側面は、それぞれ連携して、相互に効果をし合うものでございますが、宇宙が持つキュリオシティ・ドリブンという言葉があって、好奇心をどうドリブンしていくかという、宇宙を表す1つの言葉ですが、こういった宇宙の特徴を生かして社会に求められる人材育成をどう進めていくのか、宇宙産業でどうこの国を豊かにしていくのか、そういったことを我々としてはこれからやっていかなければいけないのかというふうに考えている次第でございます。
まとめも兼ねまして、私の方からもコメントをさせていただきました。それでは、知事、質問、ご感想、皆様のご発言を踏まえましてお願いできればと思います。
知事
なんか皆さんの話を聞いていてね、まさにワクワクするような感じがしましたね。本当に広大な、新しい世界がこう見えてるぞっていうか。そこに本当に真剣に取り組んでいくってことは、すごく大事なことだなと思いました。
その中で、やはり聖光学院の皆さんがおっしゃった、宇宙のことを勉強しようと思ったら地学くらしか学校に授業がないんだっていう話、これ非常に示唆的だなと思います。例えば、宇宙学という講座というか、そういうのを例えば中学・高校生の間から作っていくって、そんなことってどうなんでしょうか、あり得ないでしょうかね。どなたか。北村先生、いかがですか。
北村様
ありがとうございます。実は、九州ではですね、いくつかの高校で、宇宙教育を積極的に取り入れたいということで、そういうプログラムを作ってる高校もございます。今日はご紹介しそびれましたけども、佐賀県では実際に高校生を参加させて小さい人工衛星を作るというプログラムをやられておりまして、昨年打ち上げしたんです。ちょっと残念ながら衛星はうまく動かなかったのですけれど、そういった取組をいろいろされていますので、神奈川県でも適用できるものはたくさんあると思います。
知事
いや、それ面白いですよね。だから、宇宙といった時、我々が宇宙で生活をするということを前提に、どうすりゃいいのかって考えた時に、例えばね、「WOTA」という技術があるんですよ、水循環システムというね。10年以上前に作られて、我々もこれはすごいなということで連携しているのだけれども、例えばシャワーを浴びた水を循環させてAIですぐ綺麗にして使えるという技術なんです。これはこの前の能登半島の地震で、すごい役に立ったわけです。こういうのは、まさに宇宙産業なわけですよ。
宇宙へ持っていったら水循環というのは非常に重要なことになってくるというようなこととか、完全密閉型のその植物工場っていうのがあるというのを聞いて、この間見に行ったら、例えばCO2の濃度から何から全部コントロールできて、最適なものができたらもうどこでもできるという、農業革命だという話があったりとかね。
つまり、宇宙で生活するということを前提にしたら、今持続可能な社会を作ろうとかいろんなこと言ってるけれども、宇宙で生活する時にどうすればと考えたときに、一気に前にどんと進んでくるような、そんな感じが実はしていて、新しい産業として本当に大事になってくるなと思ったんですよ。
そんな中で、未病サミットというのを2015年からやっているんですけれど、宇宙と医学ということに1番先に反応してくださったのは、向井千秋さんなんですよ。未病サミットの冒頭で基調講演をやってくれて、彼女の講演のテーマが宇宙と未病だったんですよ。何を言ってるんだろうと思ったんだけど、要するに、宇宙から見たら、衛星写真をいろいろ撮ると中国からの黄砂が流れてくるのが全部わかると。黄砂の下で、どんな健康被害が起きてたかっていうデータがあって、これを重ね合わせると、気候と健康というものがどう繋がってくるのかということが、科学的に見えてくるという、こんな話をされててですね、これまさに未病の考え方なんだという話をされていて、すごいなと思いました。
そして、研究を重ねていくと、例えば台風が接近すると頭が痛くなるという人がいますよね。うちの奥さんもそうなんだけども、あれはなんでなのかとかね。雨が降ると古傷が痛むとかってあるじゃないですか。それもなぜなのかというのが解明ができてくるというようなことがあって、従来型の医学の世界でも、宇宙というのを1つ掛け合わせただけで、全然違った世界が見えてくるということがあると思うんです。石橋先生、そういう感じはやはりありますかね。
石橋様
そうですね、本当におっしゃる通りだと思います。まさしく向井千秋先生から、私も林先生もいろいろと教えをいただきまして、航空宇宙医学は究極の予防医学であるというのは本当におっしゃる通りだなというふうに思っております。一つの特徴としまして、先ほど環境医学というのを申し上げましたけれども、これはそのままあらゆる臓器に関わるということなんですよね。心臓にも関わる、肺にも関わる、筋肉にも関わる、その場所が違うだけという分野の切り口になりますので、全てのあらゆる医学分野の、新しいブレイクスルーのきっかけとして活用できるような分野なのかなというふうに理解をしております。
知事
ありがとうございます。私がね、未病という時に、白、赤、健康か病気かじゃなくて、白からのグラデーションだと言ってるんですけどね。でも、医学の専門家の皆さんは赤のとこにドーンと入ってきますよね。でも、そうじゃなくて、自分の身で考えた時に、グラデーションだろうという全然違った視点が見えてくるということだと思うんですよね。
石橋様
本当におっしゃる通りでして、やはり宇宙での医療を考えるには、まず宇宙での生活を考えなければいけないですし、医療という中に閉じこもらず、より広い生活全般を見据えた中での医療というような視点が身につくものかなと思っております。
知事
そう、ひらがなで書いて「いのち輝く」と我々は言ってんだけどね。「いのち輝く」といった時に、医療というのはその一部というか、そういう、ぱっと開けたり、いろんなものが繋がって「いのち輝く」んだというのを、目指していくという中で、やはり宇宙というのを要素に入れるとすごく見えやすくなるという気がしますけど、いかがですか。
林様
私もそう思っております。今知事がおっしゃったように、医療と人というのは密接に関わってくるので、人の生活のすぐそばに人の健康というものがあって、その未病のお話にも繋がると思うんですけども、健康があってこそ、例えばその今後の宇宙旅行にも繋がっていくと思います。ですので、そういった実際に行くという話になった時に、資源がやはり限られていますので、そういったところにも県としての産業の介入の余地があったりするのではないのかなと考えております。
知事
それとともに、実は今日、日産の社長が来られて、日産の神奈川県にある2つの工場が生産しなくなるということでね、どう対応するのかということを散々議論してたところなんですよ。で、その時に日産の工場が閉鎖したらその従業員をどうするかという時に、この中でいただいたのは、宇宙関連産業は人が欲しくてしょうがないんだと、他産業から入ってきてほしいと言っていたんです。まさにここですよね。
今まで自動車部品を作っていた人たちが実際いなくなったらどうしようという時に、宇宙でやるんだとなった時に、加持さん、これすごく可能性ありますよね。いかがですか。
司会 加持様
おっしゃる通りで、他の分野、特に自動車分野で高い技術を持った企業さん、あと人材が豊富にいらっしゃるというふうには思っていますので、マッチングと言うんでしょうか、宇宙業界はこういう人材が欲しいと、自動車業界でこういう方がいるというようなマッチングのような機会があって、その橋渡しのようなもののサポートをいただけると大変ありがたいなというふうに思います。
知事
ありがとうございます。本当、今、県も特にピンチなんですけどね、ピンチをチャンスに変える、何らかの方向性を、皆さんからヒントをいただいたと思いまして、本当にワクワクしました。ありがとうございました。
司会 加持様
黒岩知事、ありがとうございます。では、改めまして、知事から今回の対話の総括、締めくりを改めて頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。
知事
いや非常に、想像以上に充実した時間だったなと思いますよね。やはり、宇宙の生活が当たり前になるような時代がもう目の前に来てるという状況の中で、どうやってそこにアプローチしていくのかという時に、今人手不足や産業のいびつなところもあるけども、そこにガンガン投入していくとなった時にですね、新たなステージが見えてくるっていうか、今まで1つの分野では突破できなかったいろんなものがあったと思うけれども、宇宙というステージを作ったときにいろんなものが見えてきて、そこに若い人材が入っていって活躍していけばすごいことが起こりそうだなという予感を感じましたね。ここで終わっちゃうのが本当にもったいないくらいですけど、ほんとに今日はいい話をありがとうございました。感謝します。
司会 加持様
はい。黒岩知事ありがとうございました。それでは進行を県にお戻しします。よろしくお願いします。
全体進行 渕之上様
加持様、進行役を務めていただきましてありがとうございました。本日はご参加の皆様、貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。またYouTubeをご視聴いただいた方、皆様ありがとうございました。本日の様子は神奈川県のホームページに掲載し、YouTube動画も配信いたします。またご意見も受け付けてございますので、県のホームページからご意見をお寄せください。それではこれを持ちまして、令和7年度第1回『黒岩知事と当事者とのオンライン対話』を終了いたします。皆様ご参加ありがとうございました。
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