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更新日:2023年11月17日

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特別自治市構想(通称「特別市」)に対する神奈川県の見解

指定都市市長会等が提唱する「特別自治市構想」に対する神奈川県の見解についてご説明します

神奈川県の見解(PDF:895KB)

県では、「特別自治市構想等大都市制度に関する研究会(令和3年度開催)」の意見や提言を踏まえ、同構想に対する見解をとりまとめました。

特別自治市構想が仮に実現した場合、県内全域における行政サービスが大幅に低下するなど、現在の指定都市域の住民を含む県民生活に大きな影響を及ぼすおそれがあるため、住民目線から見て法制度化することは妥当でないと考えます。

 

【特別自治市構想とは】

特別自治市とは

(❢特別自治市が実現すると…)

 現行の指定都市が県から実質的に独立し、県と市の権限・税財源を一元的に管理することになります。また、特別自治市では、1人の市長と市議会のみで地方自治を担います。

 

【特別自治市構想の課題・懸念】

1 県の総合調整機能への支障

 県は、医療資源や水源など、県内に偏在する地域資源を有効活用し、広域的なスケールメリットを活かした取組や、市町村のバックアップといった取組を展開するなど、県内全域で「総合調整機能」を発揮しています。

 

(❢特別自治市が実現すると…)

 資源等が集中する指定都市が区域外となることで、こうした県の「総合調整機能」に大きな支障が生じ、指定都市域を含む住民サービスが低下するおそれがあります。

 例えば、コロナ禍における広域での入院・搬送調整(※1)や、大規模災害時の人的・物的支援の広域調整、警察事務(※2)等に支障が生じることが懸念されます。

 

※1 <新型コロナウイルス感染症対策の医療提供体制「神奈川モデル」>

入院

 

※2 国の第30次地方制度調査会答申では、検討すべき課題として「組織犯罪等の広域犯罪への対応」が指摘され、県の研究会においても、これまで県内で完結していた多くの事件が「県境を越えた広域事案」となり、自県及び特別自治市で解決しない事案の比率が増大し、連絡調整コストが増加し、対応力が弱体化するといった懸念が示されています。

 

 

2 財政面からの影響

 本県の県税は、約6割が指定都市域から、約4割が同市域外から収入しています。

 

財源不足

 出典:令和元年度神奈川県決算をもとに作成

 

(❢特別自治市が実現すると…)

 指定都市域の税源がすべて移譲されれば、大幅な県税の減少が生じます。

 また、県から指定都市に財源を集中させることにより、県の財源不足は約680億円(※)になると見込まれます。

 その結果として、各種医療費助成や私立学校経常費補助等の県の行政サービスの水準維持が困難となり、現行水準の行政サービスが提供できなくなるおそれがあります。

 ※出典:令和元年度神奈川県決算・交付税算定

 

                     

3 県民・市民への大きな費用負担  

 現在、指定都市域内にある県有施設は717施設(財産価格は約1兆465億円(※))あります。

  ※出典:神奈川県県有財産表(令和3年3月31日)

 

(❢特別自治市が実現すると…)

 例えば、県庁舎や警察本部庁舎などを特別自治市の区域外へ移転する、または市への移管が必要となります。

 その際、新たな用地取得や移管費用等が発生し、指定都市域を含む住民に費用負担が生じます。

移転

 

4 住民代表機能への影響

 現行の地方自治制度の仕組みは、広域自治体(都道府県)と基礎自治体(市町村)の「二層制」で、それぞれに代表者である公選の首長と議会を置き、住民の多様な意見を反映させ、地域の実情に応じたきめ細かい行政サービスを提供しています。

 

(❢特別自治市が実現すると…)

 道府県と指定都市の権限と税財源を併せ持つ巨大な「一層制」の地方自治体となります。

 そうなると、1人の市長と市議会のみで地方自治を担うことになり、住民意思を的確に反映できるのか疑問があります。

代表

県内3指定都市との議論

令和4年5月、第44回県・横浜・川崎・相模原四首長懇談会を開催し、特別自治市構想等大都市制度について神奈川県と県内3指定都市とで率直な意見交換を行いました。それぞれの考え方を共有するとともに、今後も、県と指定都市の課題を共有し、住民目線で解決を図っていくため、知事、三市長のトップレベルでの協議を行っていくことで合意しました。

四首長懇談会

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