更新日:2024年4月1日

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ササの退行

ササの退行

シカの採食によるササの退行 (1980年代~2000年)

1980年代より、森の地面をびっしりと覆っていたササが、見る見る枯れ上って、退行していく。そんな光景が丹沢各地で見られるようになりました。

中腹から始まったササの退行は、次第に山頂に向かい、丹沢の主稜線部では、標高の高い限られた地域のみに残っています。

図で、黒い部分が量として比較的豊富にササが残っている地域で、グレーの部分は退行してしまった地域です。

図:1988~89年の稜線付近のササの分布図
1988~89年

 

図:1988~89年の分布図から1993年の分布図への矢印

図:1993年の稜線付近のササの分布図
1993年

※【図:古林(1994年)】

実は、現在、量として豊富な状態で残っているササは、多くがミヤマクマザサという種類で、シカに食べられても枯れにくい特徴があります。

ササは、シカの貴重な冬のエサでもあります。

このミヤマクマザサが標高の高い地域に比較的多かった、ということも、冬にシカが標高の高い地域に集中する要因の一つと考えられています。

写真:ミヤマクマザサ写真:スズタケ

一斉開花後のササの退行 (2013年代~  )

タケ・ササ類は、数十年~百数十年に一度の周期で多個体が同調して一斉開花し、その後、枯死することが知られています。丹沢山地に生息する主なタケ・ササ類は、アズマネザサ、スズタケ、ミヤマクマザサの3種があります。このうち、2013年から2014年にかけて、スズタケとミヤマクマザサで一斉枯死が見られました。

この結果、ニホンジカの採食を免れた地域においても、一斉枯死によるササの退行が観察されています。

ササの花の写真

 

 


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