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初期公開日:2024年1月22日更新日:2025年9月24日
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県は、脱炭素社会の実現に向けて、太陽光発電導入を推進しています。このページでは、次世代の太陽電池として期待されるペロブスカイト太陽電池に関する情報をお知らせします。
令和7年9月8日 | ペロブスカイト太陽電池の江の島での実証を終了しました。 |
令和7年6月13日 | 次世代型太陽電池普及促進事業費補助金の募集期間を終了しました。 |
令和7年4月30日 | 次世代型太陽電池普及促進事業費補助金(別ウィンドウで開きます)のページを作成しました。 ※令和7年5月1日から申請受付開始 |
現在、実用化に向けて研究開発や実証が進められているペロブスカイト太陽電池は、薄くて、軽く、柔軟である特徴から、これまでの技術では設置が難しかった場所にも設置でき、また、低コスト化が見込まれることから、次世代の太陽電池として、今後、飛躍的な普及が期待されています。
ペロブスカイト太陽電池は、上記の結晶構造を持つ化合物を発電層として用いる太陽電池で、さまざまな特徴があります。
シリコン系太陽電池が重くて厚みのあるものに対し、ペロブスカイト太陽電池は小さな結晶の集合体が膜になっているため、折り曲げやゆがみに強く、軽量化が可能です。
ペロブスカイト太陽電池は、材料をフィルムなどに塗布、印刷して作ることができます。製造工程が少なく、大量生産ができるため、低コスト化が見込めます。
ペロブスカイト太陽電池の主な原料であるヨウ素は、日本の生産量が世界シェアの約3割を占めており、世界第2位です(第1位はチリで約6割)。そのため、サプライチェーンを他国に頼らずに安定して確保でき、経済安全保障の面でもメリットがあります。
多くの利点を持つペロブスカイト太陽電池ですが、シリコン系太陽電池と比較すると、寿命が短く耐久性が低いこと、大面積化が難しいことなどの課題があります。また、変換効率の向上も課題です。
近年では変換効率が向上するなど、シリコン系太陽電池に対抗し得るとして有望視されていますが、今後もさらなる向上が求められています。
ペロブスカイト太陽電池は、用途や目的に応じてさまざまな市場の拡大が想定されています。
軽量で、フレキシブルなタイプは、ビルの壁面や耐荷重が小さい工場の屋根などにも設置が可能で、太陽光発電の導入量の増加が見込まれます。すでに開発に一定の進展が見られ、今後は量産化に向けた製造技術の開発を進めるとともに、サプライチェーン構築と初期需要創出がカギとなります。
屋内・小型タイプは、loTデバイスなど比較的小型な機器類に貼ることができます。こちらも、新たな市場への展開が期待できます。
また、超高効率型は、設置面積の制限などから高いエネルギー密度が求められる分野、たとえば交通や航空などの面でも利用が期待されています。低コスト化や、高い耐久性など、量産化へのハードルはまだ高い状態ですが、将来的な市場ニーズは高いと考えられます。
※出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/perovskite_solar_cell_01.html(別ウィンドウで開きます))
※「日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?(前編)~今までの太陽電池とどう違う?」(資源エネルギー庁)(https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/perovskite_solar_cell_01.html(別ウィンドウで開きます))をもとに作成
ペロブスカイト太陽電池は、桐蔭横浜大学の宮坂特任教授が開発した"かながわ発の次世代技術"です。この"かながわ発の次世代技術"の早期社会実装に向けて、県でもペロブスカイト太陽電池の実証や普及を行うために、民間事業者との連携協定を締結して取組を進めています。
ペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証や普及啓発に関して、県は、令和5年12月19日に、日揮株式会社及び株式会社エネコートテクノロジーズと連携協定を締結しました。
県内の脱炭素化を促進するため、既存建築物への導入を視野に、外置き、後付けを中心としたペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた実証に連携して取り組むとともに、これまで太陽光発電が設置できなかった箇所にも設置できる特長を広く情報発信していきます。
「脱炭素化促進のためのペロブスカイト太陽電池の普及に関する連携協定」協定書(PDF:138KB)
ペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた実証や普及啓発に関して、県は、令和6年3月29日に、株式会社マクニカ及びペロブスカイト太陽電池の開発者である桐蔭横浜大学の宮坂特任教授が代表取締役を務めるペクセル・テクノロジーズ株式会社と連携協定を締結しました。
ペロブスカイト太陽電池と蓄電池を活用した実証に連携して取り組み、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化やエネルギーの地産地消を推進していくとともに、ペロブスカイト太陽電池の薄く、軽く、曲がるといった特徴や、発電効率等の優位性を広く情報発信し、神奈川県内の脱炭素化をさらに促進していきます。
「脱炭素化促進のためのペロブスカイト太陽電池の社会実装に向けた連携協定」協定書(PDF:132KB)
県と日揮株式会社及び株式会社エネコートテクノロジーズの3者は、令和6年2月7日から9日までパシフィコ横浜で開催されたテクニカルショウヨコハマ2024(第45回工業技術見本市)において、ペロブスカイト太陽電池の紹介ブースを出展しました。
ブースでは、連携協定の紹介に加えて、日揮株式会社と株式会社エネコートテクノロジーズが苫小牧の実証で使用しているペロブスカイト太陽電池のモジュールや、日揮株式会社のシート工法(遮熱シートと一体化してペロブスカイト太陽電池を設置する施工方法)のミニチュアモデル等を展示し、多くの来場者にご覧いただきました。
引き続き、ペロブスカイト太陽電池の普及に向けた取組を進めていきます。
参考:日揮株式会社のシート工法の概要は別ページ(別ウィンドウで開きます)をご覧ください
県と日揮株式会社及び株式会社エネコートテクノロジーズは、令和6年7月29日(月曜日)から、江の島「サムエル・コッキング苑」において、ペロブスカイト太陽電池の早期実用化に向けた実証を開始し、同日13時から実証開始式を開催しました。実証は令和7年9月8日(月曜日)終了しました。
※左上から「サムエル・コッキング苑 実証場所外観」「開始式出席者写真」「実証場所への展示品」
県と日揮株式会社及び株式会社エネコートテクノロジーズは、令和6年7月30日(火曜日)から県庁新庁舎1階において、ペロブスカイト太陽電池の展示をしています。
県庁にお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。
「県庁新庁舎1階への展示品」
県と株式会社マクニカ及びペクセル・テクノロジーズ株式会社の3者は、令和6年8月17日及び18日に未病バレー「ビオトピア」にペロブスカイト太陽電池ブースを出展し、親子参加型のペロブスカイト太陽電池体験プログラムを実施しました。
多くの親子連れの方々にプログラムにご参加いただき、「薄くて・軽く・曲げられる」といったペロブスカイト太陽電池の特長を実際に体感いただきました。プログラムの参加者からは「大変勉強になった、ペロブスカイト太陽電池を一般的に見かける日が来るのを楽しみにしている(保護者様)」や「ペロブスカイト太陽電池をいつもの生活につかったらいいと思った(お子様)」など、ペロブスカイト太陽電池普及に向けた期待のお言葉をいただきました。
県と株式会社マクニカ及びペクセル・テクノロジーズ株式会社の3者は令和7年2月22日(土曜日)に、はまぎんこども宇宙科学館で親子参加型のペロブスカイト太陽電池ワークショップを開催しました。当日はペロブスカイト太陽電池と発電した電力で動く鉄道模型等も展示しました。
ワークショップでは、ペロブスカイト太陽電池の研究開発や実証実験に携わる方々を先生としてお招きし、トークイベントを実施しました。先生からの説明を親子で熱心に聞き入られており、質問も多く出るなど関心の高さを実感しました。また、太陽電池作成体験では、作成に苦労しながらも発電に成功した時の子供たちの嬉しそうな顔が印象的でした。参加者からは「開発に直接かかわっている教授や会社の方が生き生きと解説していただいたので、聞いていてとても面白く楽しかったです」「神奈川ですごい技術があることがほこらしいと思った」「生活に関わる内容で、(ペロブスカイトを)いろんなことに実用できたら楽しいだろうと想像できた」などのお言葉をいただきました。
このページの所管所属は環境農政局 脱炭素戦略本部室です。