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神奈川県微生物検査情報

神奈川県衛生研究所

第180号

平成20年2月20日発行
病原体検出は平成19年10月分


話 題

 

麻しん(はしか)の届出が増加しています。

麻しん届出状況

  平成20年1月から、麻しん及び風疹が全数報告の対象疾病になりました。第1週から第6週までの神奈川県の報告数は595件です。保健所別の届出状況では、横須賀市保健所227件、横浜市保健所214件、続いて鎌倉保健所61件、川崎市33件となっています(表1)。
  全国では第6週まで1556件、届出の多い都道府県は神奈川県595件、福岡県212件、北海道164件、東京都125件、秋田県110件となっており、5都道県が100件を超えています(表2)。

 
表1 保健所別報告数(平成20年1~6週)
表2 全国の届出上位都道府県(平成20年1~6週)
 
麻しんウイルスの検出状況
 平成20年に入り全国では、1月に秋田県から16件、大阪府から3件、三重県から1件、2月に秋田県から1件、計21件の麻疹ウイルスの分離・検出が報告されています。
  2007年1月以降の麻しんウイルスの分離・検出状況は図のとおりで、遺伝子型別ではD5型が最も多く分離・検出されています。


なお、麻しんの予防には予防接種が最も有効です。

図 麻しんウイルス分離・検出状況 IASR

 

 

  病原体検出  
表1 病原体検出状況(保健所等別)―平成19年10月

<検出状況>
  • 10月の病原体検出数は合計78件、細菌37件、ウイルス41件であった。前月に比べて検出数が細菌は21件から37件と増加し、ウイルスは16件から41件と大幅に増加した。これは、感染症および食中毒発生に伴う行政検査等のウイルスの検出数が増加したためである。
  • 感染症および食中毒発生に伴う行政検査等では細菌が30件、ウイルスが33件検出された。
  • 病原体定点等の医療機関からの検査では、小児科定点から細菌が7件、ウイルスが7件、基幹定点からウイルスが1件検出された。
  • 保健所管内別の病原体検出状況は表1のとおりである。



表2 病原細菌検出状況(臨床診断別)―平成19年10月
<検出状況>
  • 腸管出血性大腸菌O 157(VT1&2保有)が有症苦情事例より1件検出された。
  • サルモネラ O 7群が健常者より1件検出された。
  • サルモネラ O 9群が感染性胃腸炎患者より2件、有症苦情事例より12件検出された。いずれも海外渡航者(シンガポール)より検出されたもので、同一事例と思われる。
  • カンピロバクター・ジェジュニが感染性胃腸炎患者より2件、食中毒事例より9件、有症苦情事例より4件検出された。



表3 病原細菌検出状況(月別)―平成19年10月
<検出状況>
  • 腸管出血性大腸菌が9月に引き続き1件検出された。
  • カンピロバクター・ジェジュニが、9月に引き続き15件検出された。10月は、病原体定点、食中毒事例および有症苦情事例からの検出であった。
  • A群溶血レンサ球菌は5月以来の検出であった。


表4 ウイルス・リケッチア検出状況(臨床診断名別)―平成19年10月
<検出状況>
  • オリエンチア ツツガムシが、つつが虫病患者から8件検出された。発生動向調査では、つつが虫病患者の発生届けが40週(10/1~10/8)から出された。
  • サポウイルスが2件、感染性胃腸炎集団発生事例から検出された。
  • ノロウイルスが11件検出された。その内訳は感染性胃腸炎の集団発生事例から3件、食中毒事例から2件、小児科定点の感染性胃腸炎患者から1件、他自治体で発生した集団事例の関連調査から5件の検出であった。
  • コクサッキーウイルスA16型が4件、ポリオ3型が1件手足口病患者から検出された。
  • インフルエンザウイルスAH1型が14件、インフルエンザ様患者から検出された。
  • エコーウイルス30型が1件、無菌性髄膜炎患者から検出された。


表5 ウイルス・リケッチア検出状況(月別)―平成19年10月
<検出状況>
  • 9月に引き続き、コクサッキーウイルスA16型が4件、インフルエンザウイルスAH1が14件検出された。昨シーズン(2006/07年)のインフルエンザウイルスの検出は1月からであったが、今シーズン(2007/08年)のインフルエンザウイルスの検出の出足は速い。
  • 10月に入り、ノロウイルス、サポウイルス、オリエンチア ツツガムシが検出された。



表6 食品・環境由来の病原細菌検出状況―平成19年10月

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