戻る
印刷用はこちら(PDFダウンロード形式)pdf

神奈川県微生物検査情報


神奈川県衛生研究所

第179号

平成20年1月21日発行
病原体検出は平成19年9月分


特 集

 

2007/2008シーズンのインフルエンザの流行について

神奈川県の情報

  神奈川県では、インフルエンザの定点当たり報告数が第45週(H19年11月5日~11日)に1.01、と流行の目安となる1、を超え、早い流行開始となりました。その後、第51週(12月17日~23日)では定点当たり9.97、と注意報レベル(定点当たり10)に迫っています。中でも、同第51週には茅ヶ崎保健所管内(16.30)、相模原市(13.13)、厚木保健所管内(12.94)、川崎市(12.92)、藤沢市(10.0)で注意報レベルを超えました。しかし、警報レベル(定点当たり30)には達しておりません。インフルエンザは例年1月以降、流行期となるので、今後の動向に注意が必要です。

図 神奈川県におけるインフルエンザ発生状況
 
神奈川県衛生研究所におけるインフルエンザウイルス検出状況

  当所における今シーズンのインフルエンザウイルス分離・検出数は表のとおりでした。Aソ連(H1)型が58件、A香港(H3)型が1件、B型は検出されておりません。検出は主にAソ連(H1)型でした。
   1月4日に公開となった全国のインフルエンザウイルス分離数はAソ連H1型が602件、A香港(H3)型が61件、B型が11件で、今シーズンのインフルエンザは主にAソ連(H1)型によるものです。

表 インフルエンザ様患者からのインフルエンザ等月別陽性数
 

  病原体検出  
表1 病原体検出状況(保健所等別)―平成19年9月

<検出状況>
  • 9月の病原体検出数は合計37件、細菌21件、ウイルス16件であった。
  • 感染症および食中毒発生に伴う行政検査等では細菌が21件検出され、ウイルスの検出はなかった。
  • 病原体定点等の医療機関からの検査では、ウイルスが小児科定点から10件、基幹定点から4件、定点外の医療機関から2件検出され、細菌の検出はなかった。
  • 保健所管内別の病原体検出状況は表1のとおりである。



表2 病原細菌検出状況(臨床診断別)―平成19年9月
<検出状況>
  • 腸管出血性大腸菌O157(VT1&2保有)が届出患者の家族より2件検出された。
  • サルモネラO7群および群不明が健常者より各1件検出された。
  • 腸炎ビブリオが集団食中毒事例より5件、有症苦情患者より2件検出された。
  • カンピロバクター・ジェジュニが食中毒事例から4件検出された。
  • 黄色ブドウ球菌が食中毒事例より4件検出された。
  • 赤痢菌が、海外渡航者(アメリカ、カナダ)より1件検出された。なお、これは陰性化した後に体調不良のため検査し検出された例である。



表3 病原細菌検出状況(月別)―平成19年9月
<検出状況>
  • 腸管出血性大腸菌が8月に引き続き2件検出された。
  • カンピロバクター・ジェジュニが、8月に引き続き4件検出された。9月は食中毒事例のみの検出であり、病原体定点からは検出されなかった。
表4 ウイルス・リケッチア検出状況(臨床診断名別)―平成19年9月
<検出状況>
  • 手足口病患者3検体から、コクサッキーウイルスA16型が2件、エンテロウイルス71型が1件検出された。感染症発生動向調査では9月の患者報告数は、減少傾向を示した。
  • ヘルパンギーナ患者7検体から、コクサッキーウイルスA2型が1件、同A6型が1件、同A10型1件、単純ヘルペスウイルス1型が1件検出された。感染症発生動向調査では9月の患者報告数は減少している。
  • インフルエンザウイルスAH1型が2件、インフルエンザ様患者から検出された。
  • 無菌性髄膜炎患者から、コクサッキーウイルスB5型が5件、エコーウイルス6型が1件検出された。


表5 ウイルス・リケッチア検出状況(月別)―平成19年9月
<検出状況>
  • 8月に引き続き、コクサッキーウイルスA6型が1件、同A10型が1件、同B5型が5件検出された。B5型については、7,8,9月と検出が続いているが、無菌性髄膜炎からは7月に1件、9月に5件検出された。なお、昨年10月にも無菌性髄膜炎から2件検出された。



表6 食品・環境由来の病原細菌検出状況―平成19年9月

戻る