2. 手足口病患者の流行状況およびウイルス検出状況
手足口病の週別患者報告数は、第27週(7/2~7/8)に定点当たり1.0人を越え、第30週(7/23~7/29)に3.05人と比較的中規模なピークを迎え、第33週(8/13~8/19)には定点当たり1.0を下回りました。しかし地域によって局地的流行が見られ、小田原地区では第17週(4/23~4/29)から定点当たり1.0人前後と継続的に流行が見られ、第30週(7/23~7/29)には8.50人とピークを迎えました。また、秦野地区、厚木地区では、第26週(6/25~7/1)あたりから流行がみられ、第30週には秦野地区で12.50人、厚木地区で5.55人とピークとなり、第35週(8/27~9/2)においても流行が続いています。
病原体定点医療機関から搬入された手足口病患者検体の咽頭拭い液51件について上記6種類の培養細胞および哺乳マウスを用いてウイルス分離を行ったところ、現在までにエンテロウイルス(EV)71型が20株、CA16が12株、CA10が5株、CA5が1株、エンテロウイルス以外ではCA16との重複感染でアデノウイルス2型が1株、ワクチン接種後に分離されたポリオウイルス1型が1株分離されました。
このことから今シーズンの手足口病流行はEV71とCA16による混合流行と推測されました。特に4月下旬から流行が見られた小田原地区では、7月上旬までに搬入された手足口病検体からEV71が分離されており、その後はEV71とCA16の両方が分離されるようになりました。従って、小田原地区の第17週からの局地流行はEV71によるものと推測されました。EV71は神奈川県域においては2003年、2005年、2007年と1年おきに流行がみられています(表2)。EV71は局地的に継続的な流行を引き起こす可能性があり、また重篤な中枢神経性の合併症を引き起こす場合があることから、今後もその発生動向には注意が必要です。 |