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神奈川県微生物検査情報


神奈川県衛生研究所

第173号

2007年 3月
( 平成19年 7月 4日発行 )


話題

病原体取扱い規制

  「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律」に規定された病原体関連の条文が、平成19年6月1日施行となりました。

  感染症法改正の趣旨

  ○ 我が国においては、国民の生命及び健康に影響を与えるおそれがある感染症の病原体等の管理が、研究者、施設管理者等の自主性に委ねられており、その適正な管理体制は、必ずしも確立していない状況にありました。

  ○ 感染症の予防に関する施策の国際的な動向にかんがみ、生物テロに使用されるおそれのある病原体等の管理の強化が重要な課題となっていました。

  ○ このため、病原体等を病原性、国民の生命及び健康に対する影響等に応じて、一種から四種までに分類し、所持、輸入等の禁止、許可、届出、基準の遵守等の規制を設け、生物テロを含む人為的な感染症の発生及びまん延を防止する対策の強化を図るものです。

 

規制の概要
  

    ● 痘そうウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス等の一種病原体は、原則何人も所持することはできません。
    ● ペスト菌、ボツリヌス菌、炭疽菌等の二種病原体は、事業所ごとに厚生労働大臣の許可を受けなければ、原則所持することはできません。
    ● 多剤耐性結核菌、狂犬病ウイルス等の三種病原体を所持するには、所持の開始の日から7日以内に三種病原体等の種類等を事業所ごとに厚生労働大臣に届け出なければなりません。
    ● コレラ菌、赤痢菌、腸管出血性大腸菌等の四種病原体の所持は、厚生労働大臣の許可や届出は不要ですが、病原体管理の施設基準や、保管等の基準を遵守しなければなりません。
    ● 病原体所持者は、感染症発生予防規定を作成し、病原体等取扱主任者を選任し、従事者への教育訓練を行い、病原体の保管は、施設の位置、構造及び設備の技術上の基準や病原体等の保管等の技術上の基準に適合していなければなりません。また、二、三種病原体を運搬するには公安委員会の運搬証明書の交付を受けなければなりません。
 詳細は:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou17/03.html
(企画情報部)

  病原体検出  
表 1 病原体検出状況(保健所等別)―平成19年3月
<検出状況>
  • 3月の病原体検出数は合計96件、細菌6件、ウイルス90件であった。
  • 感染症および食中毒発生に伴う行政検査等では細菌が3件、ウイルスが54件検出された。
  • 病原体定点等の医療機関からの検査では、細菌が3件、ウイルスが36件検出された。細菌は小児科定点から、ウイルスは小児科定点、インフルエンザ定点、眼科定点及び基幹定点からの検出であった。
  • 保健所管内別の検出状況は表 1 のとおりである。



表 2 病原細菌検出状況(臨床診断別)―平成19年3月
<検出状況>
  • A群溶血レンサ球菌が、相模原市の小児科定点より4件(T3;3株、T12;1株)検出された。



表3 病原細菌検出状況(月別)―平成 19年3月
<検出状況>
  • カンピロバクター・ジェジュニが、2月に引き続き3月も1件検出された。平成18年12月を除いて3月から毎月検出されている。





表4 ウイルス・リケッチア検出状況(臨床診断名別)―平成 19年3月
<検出状況>
  • ノロウイルス感染による集団発生は3月に入ってやや減少したが、県域では7事例発生した。
    感染性胃腸炎患者から、定点医療機関からの5件を含めてノロウイルスが17件検出され、食中毒等からは20件検出された。
  • 3月のインフルエンザウイルスの検出数はAH3型25件、B型18件であった。
  • 感染性胃腸炎患者から、ロタウイルスが7件、サポウイルスが1件検出された。


表5 ウイルス・リケッチャ検出状況(月別)―平成 19年3月
<検出状況>
  • 3月に入り発生動向調査ではインフルエンザの患者報告数は最多であったが、インフルエンザウイルスの検出数ではAH3型は前月より減少し、B型はやや増加した。
  • ノロウイルスは、3月は前月の検出数を下回り、37件検出された。
  • ロタウイルス、サポウイルスが12月から毎月検出されている。



表6 食品・環境由来の病原細菌検出状況―平成 19年3月

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