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神奈川県微生物検査情報


神奈川県衛生研究所

第171号

2007年 1月
( 平成 19年 6月 2日発行 )


話題

2006/2007シーズンのインフルエンザの流行について

神奈川県の情報

  神奈川県では、インフルエンザの定点当たり報告数が第 4週に1.81と流行の目安となる1を超え、過去5シーズンと比べて一番遅い流行開始となりました。その後、第7週で定点当たり10.95と注意報レベル(定点当たり10)を超え、第8週に相模原市で警報レベル(定点当たり30)を超えたのをはじめとして増加を続け、 第11週(3月12日~3月18日)で定点当たり27.97とピークをむかえました 。ピーク時の患者報告数は8,924人でした。神奈川県全体としては警報レベルは超えなかったものの、第11週では秦野 (47.40)、厚木 (42.24)、茅ヶ崎 (32.55)と3つの保健所管内で警報レベルを超えました。ピーク後は春休みになったことも原因してか、急激に減少してきました。神奈川県健康増進課の3月19日現在の神奈川県・集団かぜ発生状況(記者発表資料)によると、欠席者の累計は12,159名、学級閉鎖数は970件でした。
   17週(4月23日~4月29日)までの報告数の推移をグラフに示しました。

神奈川県内のインフルエンザウイルス分離状況

  神奈川県衛生研究所における4月24日現在今シーズンのウイルス分離・検出数は表のとおりでした。インフルエンザウイルスAH1型が1件、インフルエンザウイルスAH3型が66件、インフルエンザウイルスB型が49件で、その割合はA型:B型が1.4:1と国立感染症研究所に登録された全国の分離数の比に近い値でした。5月8日に公開となった全国の分離数はAH1型が322件、AH3型が1,911件、B型が1,605件でした。

保健所別発生の推移グラフ

ピークまで(第7週~11週)
ピーク後 (第12週~17週)
 
( 企画情報部   佐藤善博 )

  病原体検出  
<検出状況>
  • 1月の病原体検出数は合計139件、細菌9件、ウイルス130件であった。
  • 感染症および食中毒発生に伴う行政検査等では細菌が 9件、ウイルスが95件検出された。
  • 病原体定点等の医療機関からの検査では、ウイルスが 35件検出された。
  • 保健所管内別の検出状況は表 1のとおりである。



<検出状況>
  • 横須賀市で感染性胃腸炎の集団発生が 4事例あり、うちノロウイルスを原因とする1事例から同時に黄色ブドウ球菌が3件検出された(ノロウイルスと複数検出)
    また、感染性胃腸炎の集団発生の別事例からウエルシュ菌が検出された(ノロウイルスは検出されず)。



<検出状況>
  • 腸管出血性大腸菌は、毎月継続的に検出されていたが、 1 月は検出されなかった。
  • カンピロバクタ・ジェジュニは、 12 月には 10 か月振りに検出されなかったが 1 月になり検出された。





<検出状況>
  • 12月に引き続き、1月もノロウイルス感染による集団発生が多発し、ノロウイルスは、感染性胃腸炎から45件、食中毒等から41件検出された。
  • 1月に入りインフルエンザが流行し始めた。集団かぜが6集団あり,うちインフルエンザウイルスAH3型によるものが1集団,インフルエンザウイルスB型によるものが5集団であった。検出数はインフルエンザウイルスAH3型が10株、インフルエンザウイルスB型が25株であった。
    今シーズンは AH3型とB型の同時流行であると考えられる。
  • 単純ヘルペスウイルス 1 型が咽頭結膜熱、ヘルパンギーナ、その他口内炎から 1 件ずつ 検出 された。


<検出状況>
  • エンテロウイルス 71 型が、 12 月に引き続き 1 月も手足口病患者から検出された。
  • ノロウイルスは、 1 月にはいり前月の検出数を下回ったが、サポウイルスが 2 件検出された。
  • 1月にはいりインフルエンザの流行が始まった。
  • 単純ヘルペス1型が、昨年後期から継続して検出され続けている。




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