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平成24年12月21日発行
神奈川県衛生研究所
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2012/13シーズン*の神奈川県における感染性胃腸炎の定点当たり患者報告数は45週(11/5~11/11)から増加し(定点当たり6.84人)、48週(11/26~12/2)には警報レベルの定点当たり20.0人を超え(21.29人)、2006/07シーズンに次ぐ流行となっています(図1)。 |
神奈川県感染症情報センターより |
*:2012/13シーズン:2012年第36週(9/3~9/9))~2013年第35週(8/26~9/1) |
感染性胃腸炎を起こす病原微生物には、ウイルスと細菌があります。 特に冬期では多くの場合ウイルスが原因です。 潜伏期は1~ 2日であり、吐気、嘔吐、下痢が主症状です。腹痛、頭痛、発熱などを伴うこともあります。一般的に症状は軽症であり、治療を必要とせずに軽快しますが、高齢者、免疫力の低下した人や乳児では重症化することもあります。 神奈川県衛生研究所では、感染症発生動向調査に基づく病原体サーベイランスで感染性胃腸炎患者から原因となる微生物の検査を行っています。 感染性胃腸炎を起こすウイルスにはノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルスなどがありますが、その中でもノロウイルスが最も多く検出されています(図2)。 |
衛生研究所微生物部資料より作成 |
冬期はノロウイルスによる食中毒の発生にも注意が必要です(図3)。 ノロウイルスによる食中毒は、ウイルスに汚染された二枚貝を生で食べたり加熱不足により発生することもありますが、主にウイルスに感染した調理従事者などの手指を介して汚染された食品(二次汚染)を喫食することにより発生します。 また、ノロウイルスを含んだおう吐物などが乾燥すると容易に空中に漂い、これが口に入って感染することもあります。 ノロウイルスは感染力が強く、患者の糞便やおう吐物にはウイルスが大量に含まれています。トイレ後の手洗いは石けんをよく泡立てて手指から手首までを充分に洗いましょう。 患者の便やおう吐物で汚れたものの消毒も速やかに処理することが感染拡大防止に重要です。 ノロウイルスの消毒には塩素系消毒薬が有効です。消毒用アルコールや逆性石けんは効果がありません。 |
「ノロウイルスによる食中毒発生状況」(厚生労働省)より作成 |
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参考 |