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サルの細菌性赤痢

≪定義≫
 赤痢菌(S. dysenteriae(A群赤痢菌)、 S. flexneri(B群赤痢菌)、S. boydii(C群赤痢菌)、 S. sonnei(D群赤痢菌))の経口感染による血液を混じた下痢を典型的な症状とする急性感染症。

≪臨床的特徴≫
 サルでの臨床症状はヒトに類似し水様性、粘液性、粘血性、膿粘血性の下痢、元気食欲の消失、嘔吐を呈する。発症個体では数日から2週間で死亡することが多い。病巣は大腸に限局しており粘膜の肥厚、浮腫、充血、出血が認められる。

≪届出基準≫
 診断した獣医師の判断により、症状や所見から当該疾病が疑われ、かつ、糞便や直腸スワブからの赤痢菌の分離同定がなされたもの。

≪備考≫
 サルからヒトへの感染例として、国内ではペットのサルからの感染事例、国外では飼育作業者や動物園での感染事例が知られている。
 糞便や直腸スワブからの赤痢菌の分離同定に際して、無症状保菌例からの菌分離は3日以上の間隔で3回以上の検査が必要である。また、検体は選択制の強いSS寒天培地と選択制の弱いDHL寒天培地やマッコンキー寒天培地などに塗布し培養する。疑わしいコロニーについてTSI寒天、LIM培地などの確認培地に移植するとともに生化学的性状及び、血清型別を行う。大腸菌などとの誤同定に注意を要する。サルモネラ症、エルシニア症、アメーバ赤痢などとの類症鑑別が必要である。


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