2025年9月17日掲載
日本紅斑熱
日本紅斑熱は、マダニによって媒介されたRickettsia japonica(紅斑熱群リケッチアの1種)による感染症です。日本では、2020年以降、年間の報告数は400例以上となっています。2025年は、第30週(7月21日~7月27日)時点で合計289例の報告がありました。
神奈川県では、年間の報告数は数例で留まっています。2025年は、第32週(8月4日~8月10日)、第33週(8月11日~8月17日)及び第36週(9月1日~9月7日)に1例ずつ報告がありました。
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感染経路
病原体を保有するマダニの刺咬により経皮的に感染します。
マダニが保有する病原体は卵を介して次代に受け継がれており、新たに生まれる幼虫や成長した成虫も同様に病原体を保有することになります。全ての発育ステージで感染機会が存在するため、長期にわたり患者の報告があります。
症状
潜伏期は約2~8日で、発熱・発疹・刺し口の3徴候が特徴となります。特に、発疹部にはかゆみや痛みが無く、四肢末端部(手掌や足底など)に発疹が広がる傾向にあります。
診断
血液や痂皮を用いた分離・同定による病原体検出やPCR法による遺伝子検出があります。また、血清を用いて抗体を検出する方法もあります。
治療
本疾患を含め、ダニ媒介性リケッチア症にはテトラサイクリン系抗菌薬が有効とされています。一方、β-ラクタム系やアミノグリコシド系薬は無効とされています。
予防
マダニに刺咬されないことが大事です。特に、野山や森林などマダニが生息する場所に出掛ける際は、肌の露出を避けたり忌避剤を使用したりと様々な対策をしましょう。