2025年9月17日掲載
ライム病
ライム病(Lyme disease)とは、病原体であるスピロヘータ(ライム病ボレリア)を保有するマダニの刺咬によって媒介される細菌感染症です。日本では、2019年まで毎年数例から10例以上の報告がありましたが、2020年以降は20例以上の報告があり、増加傾向となっています。2025年は第34週(8月18日〜8月24日)時点で合計13例の報告がありました。
神奈川県では、2006年、2008年、2009年、2010年、2014年、2015年、2017年、2018年、2023年にそれぞれ1例ずつ報告がありました。2025年は第34週(8月18日~8月24日)までに1例報告がありました。
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感染経路
ライム病病原体であるボレリアは数種類確認されており、これらBorrelia属菌を保有するマダニがヒトを刺咬することで経皮的に感染します。日本では、涼しい気候を好むシェルツェマダニが主に媒介すると言われています。
症状
主に3段階に分かれます。
- 感染初期(感染から約1か月以内)
多くは、刺咬部を中心として環状に広がるライム病に特徴的な遊走性紅斑(直径約5cm)を呈します。同時に、発熱や悪寒、関節痛等のインフルエンザ様症状を伴うことがあります。 - 播種期(感染から数週間~数か月後)
病原体が体内を循環することで心疾患や神経症状(意識障害、髄膜炎、脳神経麻痺など)、関節炎といった多様な症状を呈します。 - 感染後期(感染から約1年~数年後)
播種期の症状に加え、慢性的な関節炎や皮膚・軟部組織炎等を呈します。
なお、日本では感染後期と見られる症例は現在報告されていません。
診断
病原体の検出として紅斑を呈した皮膚の生検検体からの分離・同定、PCR法で遺伝子を検出する方法があります。血液等を検体として、Western Blot法やペア血清により抗体価を測定する方法もあります。
治療
遊走性紅斑や神経症状に対してはドキシサイクリンやアモキシシリン、テトラサイクリン等、髄膜炎などにはセフトリアキソン等が用いられます。
予防
マダニに刺咬されないことが大事です。特に、野山や森林などマダニが生息する場所に出掛ける際は、肌の露出を避けたり忌避剤を使用したりと様々な対策をしましょう。