令和7年10月1日発行
神奈川県 腸管出血性大腸菌感染症情報(1)37週
腸管出血性大腸菌感染症は、ベロ毒素を産生する大腸菌(O157など)の感染で起こります。主な症状は下痢・血便・腹痛ですが、溶血性尿毒症症候群(Hemolytic uremic syndrome:HUS)や脳症などを起こして死に至ることもあります。特に野外で調理する場合(バーベキューなど)、食材が汚染したり、手指衛生が疎かになることがあるので注意しましょう。予防対策として、①食前・トイレの後・動物とのふれあい後などは石鹸と流水で十分な手洗いを行う、②調理器具の消毒・殺菌を確実に行う、③肉を調理する時は中心部まで加熱(75℃以上で1分間以上)する、④生肉調理後の調理器具で生野菜の調理をしない、⑤生野菜はよく水洗いをする、などが挙げられます。また、強い腹痛や下痢(特に血便)の症状がある場合は速やかに医療機関を受診しましょう。
[1]神奈川県の週別報告数(2025年第1週~第37週)
第37週(9月8日~9月14日)は24例の報告があり、2025年の累計報告数は257例になりました。36週は集団発生が報告されたため、報告数が多くなっています。
[2]神奈川県の年齢階級別性別累計報告数(n=257)(2025年第1週~第37週)
年齢階級別では20代が最も多くなっております。性別では男性が約45%、女性が約55%でした。
[3]神奈川県の保健所別累計報告数(n=257)(2025年第1週~第37週)
保健所別に見ると、横浜市からの報告数が最も多く、全体の約46%を占めています。
10万人当たりの報告数で見ると、鎌倉保健福祉事務所三崎センターが最も多くなっています。
[4]神奈川県の血清型別報告数(2025年第1週~第37週)
血清型別では、O157が164例と最も多く報告されています。血清型がO157の場合、無症状病原体保有者は約18%と少ないですが、他の血清型の場合は50%以上と高くなっています。
※1人から複数の血清型が検出される例もあるため、累計報告数は一致しないことがあります。
*内訳は以下のとおりです。
O5:1例、O8:2例、O25:1例、O69:1例、O76:1例、O91:1例、O98:1例、O100:3例、O108:1例、O109:1例、O115:1例、O128:2例、O136:1例、O146:1例、O150:2例、O152:1例、O165:1例、O166:1例、Og123又はOg186:1例、Og8又はOgSB17:1例、血清でのO抗原凝集抗体又は抗ベロ毒素抗体の検出(HUS発症例に限る):1例