生涯学習相談デスク

生涯学習コラム
「紅葉坂だより」

「生涯学習」の多様性は、人の数だけ学びがあることを示しています。学習相談員もまた、さまざまな分野にわたって関心を抱きながら日々実践しています。この学びはどこにつながるのか、地域の中でどう活かせるのか、人とどうつながるのかなど、その方向性やあり方にも興味を抱いています。
本コラムでは、さまざまな観点から幅広い生涯学習を紹介しています。

トップ > 生涯学習相談デスク > 生涯学習コラム「紅葉坂だより」 > 学習相談ボランティア育成のための研修会in川崎市

学習相談ボランティア育成のための研修会in川崎市

2026/10/10

川崎市には、区ごとに「市民館」と呼ばれる、公民館と文化会館の機能を併せ持った施設があり、市民の生涯学習に関する活動拠点となっています。市民館の中には、社会教育事業の一環として、市民ボランティアが生涯学習に関する相談に対応する事業を展開しているところがあり、学習相談ボランティア育成のための研修会が開催されています。昨年度は高津市民館で行われた研修会に講師としてお招きいただきましたが、今年度は高津市民館以外にも、既に学習相談ボランティアを活用した「まなびカフェ」を運営していらっしゃる麻生市民館からもお声がけをいただき、それぞれの市民館で研修を担当させていただきました。

【麻生市民館:学習相談「まなびカフェ」ボランティア入門研修】

麻生市民館では7年前から「まなびカフェ」を運営していらっしゃるとのことで、当日は、日頃から学習ボランティアとして「まなびカフェ」に関わっていらっしゃる方7名と、新たに学習ボランティアをめざして参加している方1名の、合計8名が出席してくださいました。

私が担当したのは研修の第5回で、「学習情報提供・学習相談の実際(2)~神奈川県立図書館生涯学習相談デスクについて~」という内容でした。ここまでの研修で、みなさん既に、生涯学習社会と学習相談の意義に関する講義や、プロコーチによるコーチングの講義を受講されており、また、実際に学習ボランティアとして活動していらっしゃる方たちが大半なので、講義の内容については、事前に麻生市民館の担当者にご相談しながら検討を重ねました。

当日のプログラムは、「1、生涯学習相談デスクとは」「2、生涯学習に関する相談業務全般について」「3、生涯学習相談デスクでの相談事例」「4、「まなびノート※」の活用法(実践)」の4項目で構成し、最後に質疑応答の時間を設けました。3で取り上げる事例は最近実際に相談デスクで扱ったものから選び、実際の相談の様子をより具体的にお伝えすることで、既に学習相談員としてのキャリアを積んでいらっしゃるみなさんに、すぐにご活用いただけるよう工夫しました。

相談業務を遂行する上でのポイントとしては、(1)相談者からの丁寧な聞き取り、(2)日頃からの幅広い情報収集、の2点を中心に説明しました。今回のプログラムにはコーチングの講義が含まれていたことから、相談者からの聞き取りに関してはコーチング的なアプローチが有効であることを確認し、あくまでも相談者自身が回答に辿り着けるよう導くことが相談員の役割であることをお話ししました。

また、最近の傾向として、簡単な検索については多くの方がパソコンやスマートフォン等でできるようになったため、検索では解決できないような複合的な相談が増加しており、相談員には以前にも増して「相談者のニーズを丁寧に聞き取る姿勢」や「幅広い情報収集とそのアップデート」が求められるようになってきたこともお伝えしました。

講義の中で受講生の皆さんに体験していただいたのが『「まなびノート」の活用法』です。「まなびノート」とは、県立図書館の広報・生涯学習推進課が作成した、生涯学習を進めるためのノートです。講義では、最初に各自で「まなびノート」に記入していただき、次に記入した「まなびノート」を使いながら、二人一組になって「相談者」と「相談員」のロールプレイを実施しました。時間が限られていたため、相談の導入部分しか実践できませんでしたが、相談員として経験を重ねていらっしゃる方が多かったので、みなさんすんなりと聞き取りができているようでした。

最後の質疑応答では、各自の経験を踏まえた具体的な質問が多く出され、講師としても手ごたえのある研修会となりました。

麻生市民館でおこなった研修の様子

【高津市民館:生涯学習コンシェルジュ入門】

昨年も研修講師に呼んでいただいた高津市民館。今年度は研修の名称も「生涯学習相談コンシェルジュ研修」と一新され、その効果もあってか、20名の定員一杯の応募があったそうです。研修会当日も、会場には大勢の受講生の熱気が溢れていました。

講義のプログラムそのものは麻生市民館で実施した内容とほぼ同じものですが、今回の受講生はこれから相談員をめざす方ばかりということで、要所々々を初心者向けに手直ししました。また、麻生市民館のプログラムにはコーチングの講義と実習が入っていましたが、高津市民館ではその部分が「学習相談のための傾聴・カウンセリングの基礎知識」「学習相談のための傾聴の練習・ロールプレイ」となっていたため、講義の内容もそれに合うよう説明の部分に変更を加えました。

みなさん熱心にメモを取ったり頷いたりしながら受講してくださり、「生涯学習相談コンシェルジュ」として活動したいという熱い思いが感じられました。すでに研修も第5回ということで、お互い顔なじみになっているためか、「まなびノート」を使用したロールプレイも和やかな雰囲気の中でスムーズに進んでいるようでした。

高津市民館の研修は、受講生が多かったこともあり、みなさんの反応がダイレクトに伝わってきて、講師としても楽しい時間を過ごすことができました。担当者のお話では、生涯学習相談コンシェルジュ事業を早々に始められるよう準備を進めていらっしゃるとのことで、受講生のみなさんがコンシェルジュとしてデビューする日も近そうです。

高津市民館でおこなった研修の様子

市民の生涯学習に関する相談に市民ボランティアのみなさんが対応する、という川崎市の取組は、これからの生涯学習のあり方を先取りしているといえるでしょう。今後このような取組が他の市区町村でも広く展開されることを期待します。また、県立図書館生涯学習相談デスクとしても、学習相談ボランティア育成の推進に向け、引き続き川崎市と連携させていただきたいと思います。

川崎市生涯学習財団及び麻生市民館・高津市民館のみなさま、ありがとうございました。

※「まなびノート」はこの「学びstyleかながわ」からもダウンロードでき、使い方も詳しく説明されていますので、ぜひご活用ください。
「まなびノート」の詳しい情報はこちらからご覧いただけます。