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2026.03.31

【ぜんぶどり移住】西湘足柄ライフスタイルツアー「農ある暮らしのリアル編」レポート(後編)

【ぜんぶどり移住】西湘足柄ライフスタイルツアー!

都会と自然、仕事と暮らし、ひとりの時間と地域との交流。移住によって何かを諦めるのではなく、欲しいライフスタイルをまるごと叶えられる場所。それが、神奈川県西部の「西湘足柄エリア」です。

そんなエリアの魅力を体感する【ぜんぶどり移住】西湘足柄ライフスタイルツアー「農ある暮らしのリアル編」。今回は、レポートの後編です。

ツアー2日目の舞台は、桃源郷のような里山が広がる松田町・寄(やどりき)、名水が自慢の開成町、そして2000年前から稲作が続く大井町。それぞれの土地に根ざした「農ある暮らし」を、引き続きレポートします!

前編はこちら 集合写真

DAY 2|松田町・開成町・大井町

DAY2 ハイライト

  • 松田町・寄:清流と緑豊かな里山で、童心に返って薪割り・焚き火・木工体験
  • 開成町:丹沢山と富士山の伏流水が流れるまちを散策し、水が育む米・酒・魚を味わう
  • 大井町:2000年前から続く田んぼに立ち、お米を自給する移住者の畑を見学
薪割り、焚き火、木工体験。「どん詰まり」の桃源郷で、童心に返る大人たち

2日目の朝は、松田町の寄(やどりき)エリアへ。新松田駅から車で20分ほどとは思えないほど、清流と緑豊かな里山風景が広がります。

バスを降りると川のせせらぎや鳥の声が聞こえ、思わず深呼吸したくなる気持ちのいい場所です。

里山の自然と人をつなぐ「NPO法人仂」を訪問。代表の根本秀嗣(ひでつぐ)さんと、「ちまき屋 山笑ふ」の伊藤友美さんが、寄ならではのアクティビティを用意して待っていてくれました。

秘密基地のような工場で薪割り、焚き火、木工体験と、参加者それぞれが興味をもったことにチャレンジ!

「大人は薪割りをどうぞ。日頃の鬱憤が晴れますよ」と根本さん。

いざやってみると、これがなかなか難しい。ずっしりと重みのある斧を持つと、緊張感と野生に戻るような不思議な感覚に。

斧を打ち下ろす1点に集中して、パカーン。なんとも言えない爽快感に夢中になる参加者も
薪や草木を焚き火にくべながら、火と遊ぶ子供たち

子供の名前を彫った木のチャームをつくる夫婦や、自分だけの作品づくりに没頭する人まで。

子供以上に木工に夢中になる大人たち……(笑)。みんな、童心に返ったように遊んでいました。

そして、お待ちかねのちまき!

かまどで蒸し上げたばかりのちまきには、炭の香り、竹の香りがおこわに移って、なんとも言えないおいしさです。

空気が清々しい里山で食べるちまきの幸福感!

ハイカーたちが山の上でコンビニのごはんやカップラーメンを食べているのを見て「ちょっと寂しいな」と感じたことが、伊藤さんのちまきづくりのきっかけだったと言います。

そこで、中学生の頃にお母さんがお弁当で持たせてくれた「ちまき」を思い出し、みんなにふるまったところ大好評。根本さんから「売ったらいいよ、これ」と背中を押され、ちまきの販売を始めたそうです。

寄には、ものづくりの「作り手」を受け入れる土壌がある

「ここは地形的に『どん詰まり』みたいな場所で。どん詰まりが好きな方々が集まってくる」

松田町の最奥部に位置する寄エリアを、根本さんはそう表現します。

「干渉されにくいんですよ、街中から。自由にやりたいんだっていう人がどん詰まりに来て『桃源郷みたいだな』なんて言いながら、お茶をすすって桜を眺めてね」

陶芸家、画家、ガラス工房、漆、シルクスクリーン……気づけば多彩なアーティストやものづくりの担い手たちが集まってくるほど、寄にはものづくりをする人を受け入れる土壌があると言います。

そんな場所に移住してちまき屋を営む伊藤さんは、「便利さを超越して自然が好きな人が集まってくる。それぞれに持ち味があって、好きなものがある」と話します。

もちろん、便利な暮らしではありません。ルーを買い忘れてカレーを諦めることも日常茶飯事、子どもの送迎で最寄り駅まで1日5往復することもあったとか。それでも、その道中が子供と1対1で話せる時間になっていたと、伊藤さんは振り返ります。

「吹奏楽部だった2人の子供たちは、足を川に入れながら河原で楽器を練習していた」という話も、都会とはまったく違った日常の豊かさを感じるエピソードでした。

「寄に興味がある」と思ったら、どうすればいいか。根本さんからはこんなメッセージが。

目的を持たない、ということが大事です。半日でも1日でも、寄にきてブラブラ歩いてみる。興味のあるものに、自分で付箋をつけていくような気持ちで。コミュニケーションできそうな人と出くわしたら、ちょっとだけオープンになってやりとりしてみる。そうすると、何かしらいい宝物と出会えるかもしれません」

「犬も歩けば棒に当たる」と話す根本さん自身、2〜3回散歩しただけで、今の住まいもここでの出会いも見つけてきたと言います。ビビッときた方は、まずは足を運んでみてください。

水が育む米、酒、魚。「魚とお風呂が一緒」と住民が笑う町

次に訪れたのが開成町。出迎えてくれたのは、まちの案内人・小林真理子さん。

築300年の古民家「瀬戸屋敷」の周辺を散策しながら、開成町の魅力について教えてもらいます。

「開成町の魅力は、何と言っても『水』かな」と真理子さん。

丹沢山と富士山、ふたつの山からの伏流水が混じり合うこの土地は、水道水にも地下水が使われるほど水が豊富で、水質も抜群。その恵みが、米や日本酒をはじめとする開成町の特産品の豊かさにつながっています。

その水で酒造りをしてきたのが、1865年創業の老舗「瀬戸酒造店」。一度は酒造りを休止しましたが、「水がきれいでおいしい開成町の魅力を伝えたい。酒蔵をまちの活力にしたい」という思いから、町おこしを機に2018年に復活しました。

「お酒の中身は約8割が水です。地下80mの井戸水を仕込み水に使っていて、柔らかく、まろやかな味わいが特徴です。お米を食べたときの自然な甘みをそのまま活かせるような酒造りをしています」と、瀬戸酒造店の奥津一樹さん。

町の花である「あじさい」の花酵母を使った「ff(フォルテッシモ)」を試飲

水の恵みは、お米やお酒だけにとどまりません。昼食は、自然に囲まれた開成町の釣り堀「開成水辺フォレストスプリングス」へ。

広大な敷地に湧き出る地下水で育ったトラウトサーモンは、臭みがなく、味わいも格別。水の清らかさが生きた、開成ならではの特産品です。

私たちも地下水でお風呂に入ってるから、魚と一緒だよね」と笑う真理子さん。地下水は、開成町の人たちにとってごく日常のもの。そして、それがちょっと自慢でもあるのです。

昼食のテーブルに並んだのは……

移住支援グループ「開成フレンドシップ」のみなさんが田植えと収穫に携わった自然栽培米のごはん、瀬戸酒造店の麹で仕込んだ醤油麹、自家製の味噌と梅干し、開成特産の弥一芋(やいちいも)を使った豚汁。

そして、フォレストスプリングスで育てたトラウトサーモンの燻製。

開成フレンドシップのみなさん

豚汁に入った弥一芋は、この日のために開成フレンドシップのみなさんが特別にとっておいてくれたもの。ごはんも、豚汁もおかわりする人が続出。

作った人の顔が見えるから、ひと口ひと口がただおいしいだけじゃない。真理子さんが語る「この町に住むと、どんどん手作り品が増えていく」という言葉の幸せを、そのままおすそわけしてもらったような食卓でした。

先輩移住者から話を聞きながら、会話は自然と開成町での暮らしへ。

「車がなくても、自転車でかなり動けますよ」
「開成は小田急線が止まるからアクセスがいい。小田原まで出たら新幹線も使えるし」
「道端の直売所のおかげで、食のクオリティが上がる」

買い物は松田町や南足柄市、習い事は小田原市へ。開成町を起点に、近隣の町をうまく使いながら自分に合った暮らしを組み立てている様子も見えてきました。

家庭菜園から新規就農まで。自分のペースで始める「農ある暮らし」

ツアーの最後に訪れたのは大井町。東名高速の大井松田ICからほど近い立地ながら、一歩入ると日本の原風景ともいえる里山が広がります。

里山エリアの山田地区で、移住者として田んぼづくりを実践する農ある暮らしアンバサダー・遠藤千世さんの畑を見学しました。

遠藤さんは、ファッション業界で30年、東京の最前線で働いてきた経歴の持ち主。

転機になったのは、親の看病でした。食や健康の大切さを実感し、「まずは東京のベランダでプランター栽培から始めました」と、農への一歩を踏み出します。

それから8〜9年のあいだに、農との付き合い方は「プランター栽培から庭の畑、やがて週末の田んぼ」へと少しずつ本格化し、2年前に大井町へ移住。今では、完全無農薬・無化学肥料で、お米の自給率100%を達成しています。

大井町の「農ある暮らし空き家活用事業」に応募し、築約100年の古民家で生活する遠藤さん

畑に立ちながら、遠藤さんはこの土地の魅力を語ります。

「『山田』という地名が物語っているように、あの山の麓から湧き出た水が、そのままダイレクトにこの田んぼに入ってくる。弥生時代の初め、2000年くらい前から稲作が行われていたという説もあります。水も豊富で、日当たりもよく、米づくりに最高の場所なんです」

「収入は、東京にいた頃に比べたら何分の一です。でも、お米を自給できたことで、将来への不安は本当になくなりました」と、清々しい表情で話してくれました。

田んぼの見学後は、食・運動・癒しをテーマにした体験型施設「BIOTOPIA」へ移動。お話の続きを伺いました

遠藤さんが住むのは、わずか14軒の集落。移住当初は不安もあったそうですが、役場の担当者が一緒に挨拶回りに行ってくれるなど、町の手厚いサポートもありました。

「私は手作業で田んぼを一から開墾したんです。農家さんから見ればしっちゃかめっちゃかだったかもしれませんが、毎日朝晩欠かさず水を見に行く姿を、地域の先輩たちは見守ってくれました」

それを実感したのが、ある日の出来事。80代のおばあちゃんが遠藤さんを訪ねてきて、こう言ったそうです。

病気してから畑はもう辞めようと思っていたけど、あんたを見て元気をもらって、今年もまた畑ができた

そう言って、育てたさつまいもを手渡してくれました。

楽しそうに畑を耕す姿が、気づけばまわりや地域への小さな励ましになっていく。遠藤さんのような「農ある暮らし」への一歩を、大井町は制度としても後押ししています。

農家でなくても農地を借りられる「夢おおいファーマー制度」をはじめ、家庭菜園レベルから本格的な田んぼづくりまで、農への入口が広く開かれています。

自分のペースやライフスタイルに合わせた「農ある暮らし」の実現をサポート

これから農ある暮らしを始めたいという人へ、遠藤さんからこんなメッセージが。

「迷ってるなら、やったほうがいいと思いますよ。田んぼは1年に1回しかできないから、1年考えてるのがもったいない。やればどうにかなります。自給力をつけることは、心の自由につながりますから」

終わりに

2日間のツアーで出会ったのは、自分たちの暮らしを心からおもしろがっている人たち。

新しい暮らしへの挑戦と挫折、ときには孤独を感じる瞬間も……そうした良いも悪いも包み隠さず話してくれた、その正直さこそが「移住のリアル」でした。

ありのままの暮らしぶりに触れたことで、移住の知識や情報だけでなく、「自分はどう生きていきたいのか」という問いかけを持ち帰った参加者も多かったはず。そこで暮らす人の生き方、人となりに接し、それぞれが何かを受けとった2日間だったのではないでしょうか。

移住とは「正解」があるものではなく、自然や土地、そこで暮らす人との関係のなかで、自分なりに納得できる暮らしをつくる——その試行錯誤のプロセスそのものなのかもしれません。

都会も自然も、仕事も暮らしも、何かを諦めなくていい西湘足柄エリアだからこそ、自分なりの心地よい暮らしをかたちにしていける。このレポートが、あなたの暮らしを描くきっかけになれば幸いです。

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