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【ぜんぶどり移住】西湘足柄ライフスタイルツアー「農ある暮らしのリアル編」レポート(前編)
都会か、自然か。仕事か、暮らしか。移住を考えるとき、私たちはつい「どちらかを選び、どちらかを諦める」ことを想像してしまいます。
でも、神奈川県西部の「西湘足柄エリア」なら、何かを諦めることなく、欲しいライフスタイルをまるごと叶える「ぜんぶどり移住」ができます。
移住を考えはじめた方に、このエリアの魅力を体感してほしい——そんな思いから生まれたのが「【ぜんぶどり移住】西湘足柄ライフスタイルツアー」。
第2弾となる今回は「農ある暮らしのリアル編」をテーマに、南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町の6市町をめぐる2日間のツアーを開催しました。
西湘足柄での暮らしを五感で体感しながら、総勢25名のまちの案内人や先輩移住者、地域住民が本音で語ってくれた、ネットでは決して出てこない「移住のリアル」をレポートでお届けします!
DAY 1|中井町・山北町・南足柄市
DAY1 ハイライト
- 中井町:長閑な山間のまちをぐるりと一周、パン屋や公園を楽しむ
- 山北町:山の恵みたっぷりのご当地弁当を味わい、農家と移住者の「山の暮らし」に触れる
- 南足柄市:地元スーパーと道の駅をめぐり、農が身近にある暮らしを体感
富士山がくっきり見える、絶好のツアー日和
1日目の朝。新松田駅に、子供連れのファミリーから移住を検討中の60代まで、幅広い年代のユニークな面々が集合。
当日の天候は、直前までの雨予報が嘘のような快晴! 春のポカポカ陽気に包まれて、遠くには富士山がくっきりと顔を出す、絶好のツアー日和となりました。
バスに乗り込み、まず向かったのは中井町。まちの案内人・竹内哲也さんがバスに同乗して、中井町を案内してくれます。
』という団体を主宰しています」と自己紹介
このツアーでは、それぞれの訪問先で地域の“今”をよく知る「まちの案内人」や「先輩移住者」がお出迎え。暮らしのリアルや、移住後の本音を話してくれます。
哲也さんが移住希望者におすすめするのが、旧道沿いにある「宮川酒店」。
一見ふつうの酒屋さんですが、金・土曜の夕方からは角打ちスペースとして開放。毎週のように「中井町に来るのは初めて」という人が都内や県内から訪れる、中井町の「玄関口」なんだそうです。(町の玄関口が、まさかの酒屋さん…!)
続いて、もともとは移動販売車で中井町内での販売から始まり、人気を受けて実店舗を構えたパン屋「スノパン」を訪問。おやつ用に焼き立てパンを調達し、中井中央公園内の「なかい里都まちCAFE」へと向かいます。
移住後の「家計」と「仕事」のリアル
「なかい里都まちCAFE」では、哲也さんに加えて、中井町の先輩移住者である竹内みずほさん(竹内哲也さんの妻)、数間直也さんとの座談会がはじまります。
「夫婦で移住してきて5年目になります。『土に近い暮らし』というか、自分の手で何か作る実感がほしくて大磯町からより静かな中井町へきました」
そう話すのは、みずほさん。
数間さんは、大企業に14年勤めたのち、「転勤ありきの働き方」を変えたいと中井町へ移住。
「今は都内企業に勤めて、収入はそのままに田舎暮らしをしています。都心に住んでいた頃は、週末といえばショッピングモールに行く、そんな過ごし方でした。でも、中井町は真っ白なキャンバス。豊かな自然のなかで自分なりの遊びを、自分でゼロからつくる贅沢があります」
「今日は『移住してみて本当のところどうなの?』という質問に本音で答えます」と哲也さん。
すると、参加者から「移住して生活費は安くなりましたか?」と直球の質問が。
「家賃は東京のワンルームより圧倒的に安いです。ただ! 車が1人に1台必須なんです。車両代、車検、ガソリン代……その維持費を入れると固定費は劇的には下がらない。それが私の本音です」
それでも、とみずほさん。
「『食』の満足度は格段に上がります。
近所の方から山ほど野菜をいただいたり(笑)。食費は浮くし、何より新鮮でおいしい。移住の前後で『豊かさの質』が変わったと思いますね」
仕事に関しては「こっちの仕事だけで自立しようとすると、最初は大変かもしれない。まずはリモートワークを続けながら、少しずつ地域に根を張っていく『グラデーション移住』がリスクも低くておすすめです」と、哲也さんから現実的なアドバイスも。
座談会も終わりに近づいたころ、
「実は……あそこに、中井町の町長がふつうに座ってまして。町長、もしよければ最後にひと言いただけますか?」
まさかの町長登場です。
「実は私も東京からの移住組です。若い世代もシニア世代も、どんな人でも受け入れてくれる懐の深さがこの町にはあります。ぜひ今日だけで終わらず、また来て『居心地のよさ』を肌で感じてみてください」
町民と町長の距離感の近さが、中井町の「風通しのよさ」を象徴する、そんな一幕でした。生活の手触りを取り戻したい人にとって、中井町にはちょうどいい余白がある——。そんな感覚が、みなさんの佇まいと言葉から伝わってきました。
山北町の心のこもったおもてなしと、ベテラン農家・井上さんの挑戦
続いて訪れたのが山北町。
山北駅の駅前で、まちの案内人の石田貴久さん、石田七緒子さんのご夫婦と、ベテラン農家の井上正文さんが出迎えてくれました。
駅前の町並みや山北町の歴史を伺いながら、昼食会場へ向かいます。
お楽しみの昼食は、山北町・三保地区の特産品で作ったご当地弁当「みほ弁」。
このお弁当が、めちゃくちゃおいしい…!!
地元の名茶「足柄茶」で24時間煮込んだヤマメの甘露煮は、頭から尻尾までまるごと食べられるやわらかさ。
「八丁やまめ養殖センター」でヤマメを育てる石田貴久さんによると、山北町の清らかな川の水を掛け流しで育てているから、臭みがまったくないんだとか。
昼食をとりながら、山北町で60年近く農業を営む井上さんにお話を聞きます。
「地球にも、人間にもいちばん優しいお茶をつくりたい」そんな思いでつくられている「井上茶」は、農薬を使わない有機栽培のお茶。遠くドイツ・ミュンヘンでも販売されています。
有機農業を始めたきっかけは、お孫さんの誕生。地域の農業とともに長く歩んできたぶん、その選択にはさまざまな葛藤もあったと言います。
それでも、「孫に何を食べさせたいか、一生懸命考えて。自分の孫には嘘をつけなかったんですよ」という一言が、胸に深く残りました。
「ヨーロッパでは有機農業が日常会話にのぼるのに、日本ではまだまだ特別扱い。山北町で有機をどう広めて、次の世代に継いでいくか。人生そんなに長くないんでね、今はこれをやりたいと思ってます」
おいしいお弁当と、そこに込められた思い。山北町が大切に育んでいるものが、じんわりと伝わってくる昼食でした。
山暮らしを支える助け合い。そこに生まれる豊かな循環
次に向かったのは、山北町の「ツリーウッドコーヒー」。
手づくりの木のブランコや滑り台、積み木もあって、子供たちのテンションも上がります!
店内にはジャズと子どもたちの笑い声が響く、なんとも居心地のいい空間で、移住者の関裕(ひろし)さんと、石田夫妻のお話を伺います。
関さんが山北町に移住したきっかけは、愛犬の存在です。
都会で犬を飼うことの難しさを感じていた関さんは、「犬がのびのび暮らせる場所を」と移住を検討。丹沢湖の湖畔にたたずむ物件を見た瞬間に「ここだ!」と直感したそうです。
移住後にいちばん変化を感じたのが、犬の様子。広い庭に手づくりのドッグランをつくり、毎日走り回るようになっただけでなく、顔つきまで変わったと言います。
「蛇口をひねればおいしい水が出る。ごはんもおいしくつくれるし、犬の健康にも絶対寄与してると思います」
言葉を話せない犬の顔つきが変わっていく——山北の暮らしの豊かさを物語る、印象的なエピソードでした。
生まれも育ちも山北町の貴久さんは、消防団、商工会、青年部、猟友会……と15個もの地域コミュニティに所属しているそうです。
「15個!」と司会者が驚くと、「いろんなところに所属できるのが、私にとっては喜びなんですよね。仲間もできるし、町に貢献できてるっていう実感が持てる」と貴久さん。
移住者が入りやすいコミュニティも多く、仲間を見つける入口はたくさんあるようです。
地域への溶け込み方について、結婚を機に移住した七緒子さんはこう話します。
「私は『最初がいちばん肝心』だと思います。勇気を出して近所に挨拶に回るだけで、地元の方との付き合いがガラッと変わります」
関係性を築いていくうちに、「あそこの物件がそろそろ空きそうだよ」など、人づてでしか回ってこない情報も入ってくるのだとか。
「犬のために」移住したと話す関さんですが、一緒に暮らすペットが、この土地の空気や水でどんどんご機嫌になっていく。その姿を隣で見ているうちに、めぐりめぐって自分自身の喜びにもなっていく。
山北の暮らしには、そんな豊かさがいたるところにあるように感じました。
地元スーパーと道の駅で食材チェック!
次に向かったのは南足柄市。足柄山の麓に広がる自然豊かなエリアで、金太郎伝説ゆかりの地としても知られています。
まちの案内人・斎藤健介さんと合流し、地元の食をめぐります。
地元スーパー「小田原百貨店(愛称:オダヒャク)」と「道の駅 足柄・金太郎のふるさと」を訪れ、地元の食材をチェックします。
斎藤さんによると、南足柄のスーパーは山間部にありながら、小田原漁港が近いため、魚の品ぞろえが豊富なのだとか。
地元の子供たちが給食で飲む「金太郎牛乳」や、小田原の味噌「いいちみそ」(加藤兵太郎商店)、地酒など、斎藤さんのおすすめを聞きながらスーパーを見学しました。
道の駅には、西湘足柄エリア2市8町の特産品が集まり、食の豊かさを実感。どれも車で30分ほどの距離で育てられたもの。これほど近い範囲に多様な食材がそろうことも、このエリアで暮らす豊かさのひとつです。
「朝早くに来るとお値打ち品をゲットできますよ」というお得な情報も教えてもらいました。
「やってみないとわからないことだらけ」 自分なりの正解をつくっていく、先輩移住者のマインド
スーパーや道の駅のあとは、南足柄市の地域拠点「shiro」へ。先輩移住者の大野優衣さん、山之内亜希さん、斎藤さんに移住の経緯や暮らしぶりを伺いました。
移住と聞くと「完璧に準備してから」と考えがち。でも、3人に共通していたのは、失敗しながら修正し、また試して……そうやって自分だけの暮らしをつくっていく、しなやかなマインドでした。
東北出身の山之内さんが南足柄に移住したのは、結婚がきっかけ。
「住んでみたら、気候がすごく合って。今まで住んできた地域は、暑すぎたり寒すぎたりして体調を崩しやすかったんですが、ここは一年を通して温暖で体調もよくなりました」と、にこやかに話します。
自宅の庭で畑づくりにも挑戦しましたが、「子供が2歳と5歳で、地域活動もしすぎちゃって……半年で挫折しました(笑)」と正直に明かしてくれました。
それでも今は、近所の農家さんのお手伝いとして家族ぐるみで農に関わり、自分なりの農との距離感を見つけています。
「実家が工務店で、高校生の頃から『自分が設計した家に住みたい』という夢がありました」と話すのは、移住3年目の大野さん。
30歳から始めれば40歳には理想の庭ができると逆算。空き家バンクで見つけた廃墟同然の物件を直感で即決し、解体・新築から土壌改良まで一から手がけました。
草抜きが大変だからとヤギを飼い始めたところ、まさかのヤギアレルギーが発覚……。「やってみないとわからないことだらけです(笑)」と笑いながらも、庭は着々と育ち、野菜畑やチューリップの花畑が広がっています。
今ではご近所さんと野菜の物々交換をするなど、理想に近い景色が少しずつ生まれているそうです。
移住を迷っている人へ、斎藤さんはこう語ります。
「移住って、最後の『えいっ!』が難しいじゃないですか。でも、自分の中で『いいな』と思ったところがあったら、怖くても踏み出してみる。そうやって踏み出した一歩が、自分の正解になっていくんだと思いますよ」
参加者から「農業ボランティアに興味があるんですが、窓口はありますか?」という質問が出ると、山之内さんからこんな答えが。
「窓口、私が作りたいんです! 農家さんって、知らない人を農地に入れることに抵抗がある方も多くて。でも窓口があれば、みなさん行きやすくなるし、農家さんも頼みやすくなる。だから今、それを作りたいなって」
移住先として完璧な場所を探すのではなく、選んだ場所をおもしろがって、理想の暮らしを自分の手でつくっていく。そんな3人の姿が、移住へのハードルを少しだけ下げてくれるようなお話でした。
これにてツアー1日目は完走! 続く2日目は、桃源郷のような里山が広がる松田町、名水が自慢の開成町、そして2000年前から稲作が続く大井町へ。
それぞれの土地に根ざした「農ある暮らし」の魅力に迫った、レポート後編もぜひご覧ください。
後編はこちら