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6. 影響と適応策の事例【自然災害】河川洪水

河川への影響

 気象庁地球温暖化予測情報第9巻(2017年)によると、21世紀末の降水量の将来予測について、年降水量や季節ごとの3か月降水量の将来変化は、ほぼ全国的に有意な変化傾向は見られませんが、有効な気候変動対策がとられなかった場合には、「滝のように降る雨(1 時間降水量50mm 以上の短時間強雨)」の発生回数が、約2倍に増加する予測が示されています。

 また、気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会では、21世紀末頃を想定した降水量や一級河川の洪水発生頻度の変化について評価を行っています。その結果、12時間以上の連続降雨を対象とした降雨量の変化(全国平均)は、厳しい気候変動対策をとった場合でも1.1倍に、有効な気候変動対策を取らなかった場合は1.3倍に増加することが予測されます。さらに、洪水発生頻度は、それぞれ約2倍、約4倍と増加することが示されています。

滝のように降る雨の回数の将来変化(神奈川県)の図表

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河川の洪水対策(ダム)

 ダムには、洪水を防ぐ「治水ダム」、水を利用する「利水ダム」、治水ダムと利水ダムの2つの役割をかねそなえた「多目的ダム」の3種類があります。

 多目的ダムでは、平常時は、下流に必要な水(河川の機能を維持するための水量や水道水の供給等)を、水力発電設備等を使用して放流しています。一方で、台風などの大雨の場合は、ダムに流れ込んでくる水の一部を貯めながら、水力発電設備に加え、ダムゲートから放流することで、下流の洪水被害を軽減します。

 台風や大雨が多くなる季節は、貯水できる空き容量を確保するため、前もってダムの水位を下げて洪水に備えた管理をしています。また、大きな洪水の発生が予測される場合は、洪水になる前に予備放流や事前放流により、あらかじめゲートから放流し、洪水に備えた水位まで更に下げて大雨を待ち構えます。

城山ダム放流中(令和元年台風19号の際の放流)の図表

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河川洪水の対策(遊水地)

 遊水地とは、河川堤防の一部を低くして河道からあふれた水を一時的に貯留することにより、洪水被害を軽減するためにつくられた池のことです。大雨が降ると、雨水が短時間に多量に河川に流れ込みます。このため、遊水地をつくり、その中にあふれた水を一時的に貯めることで下流に洪水が一気に流れ出すことを防いでいます。

境川遊水地における洪水貯留の様子の図表

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河川洪水の対策(災害時の避難行動)

 災害に備え、住んでいる地域の避難場所や、避難場所への経路をハザードマップなどを使って、確認しておくことは大切です。さらに、自分自身がとる標準的な防災行動を時系列的に整理し、とりまとめておく「マイ・タイムライン」を作成することで、時間的な制約が厳しい洪水発生時に、行動のチェックリストや避難判断のサポートツールとして役立ち、逃げ遅れゼロに向けた効果が期待できます。

河川洪水の対策の図表

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