第4回NII湘南会議記念講演会について

掲載日:2018年6月27日

 

「仮想通貨はお金の未来を変えるか-空想科学小説が現実になる日-」

ビットコインのような仮想通貨は、国家や中央銀行の後ろ盾なしに、世界中で流通する通貨を実現しました。インターネットを介して人から人へと転々流通する仮想通貨は、まるで未来のお金です。SF小説を現実のものにした仮想通貨は、社会に受容されるでしょうか。仮想通貨の可能性とリスクを考察し、貨幣の本質を探ります。

第4回NII湘南会議記念講演会動画

平成26年11月16日に開催された標記講演会の動画(リンク)(NII動画チャンネル) 

講演会終了後の質問


(質問1)ビットコインの作成者について

Q「ビットコインを流通させるためのソフトウェアー(プログラム)を作った人物は特定されているのでしょうか。論文の作成者と同一人物でしょうか。」

 A ビットコインを流通させるためのソフトウェアは、論文の趣旨に賛同した複数のエンジニア達が協力して完成させたと考えられています。論文の作成者とされる人物が直接に関与したかどうかはわかっていませんが、エンジニア集団の中には、論文の作成者とされる人物とある時期までコンタクトをとっていた人も存在したと伝えられています。


 (質問2)ビットコインのインフレ対策について

Q「インフレを防ぐ採掘の仕組みは本当に機能するのでしょうか。採掘が続く限り、通貨が無制限に増えることは無いのでしょうか。」

A 採掘によって新しく発行されるビットコインの量は、長期的には発行ペースが漸減するように設定されています。2009年頃から2012年頃までは、採掘に成功すると50BTC(ビー・ティー・シー:ビットコインの通貨単位)を入手することができました。2013年頃から2016年頃まで(すなわち現在)は、採掘に成功すると25BTCのビットコインを入手できます。2017年頃から2020年頃までは、12.5BTCのビットコインを入手できるように設定されています。

すなわち、採掘に成功した人が入手する新規発行通貨の分量は、最初の頃は最大量を得られるように設定され、4年ごとに発行量が半額になるように設定されています。これはちょうど、ゴールドラッシュの時代のアメリカの金鉱山では、最初の頃は比較的に採掘が容易であったのが、次第に採掘が進むにつれて採掘量が減少して、やがて金鉱山が枯渇していく様子に似ています。

 このように、ビットコインの採掘は、金鉱山の採掘になぞらえて設計されており、採掘量が4年ごとに半減するように設計することによって、新規通貨の発行量をコントロールしてインフレを防ぐように計画されています。


(質問3)ビットコインの採掘の報酬について

Q「採掘者の報酬が4年毎に半額になっているとのことだが、いずれは報酬がゼロとなるのでしょうか。」

A 採掘者の報酬は4年ごとに半額になっていくので、50BTC、25BTC、12.5BTC、6.25BTC、3.125BTC、1.5625BTC、と半減していきます。そうすると、報酬はいずれ限りなくゼロに近づきます。このとき、小数点以下の桁数に制限がなければ、報酬を半減することを無限に続けていくことができそうですが、実際には限りなくゼロに近づいたある時点で採掘がストップするように、予め設計されています。

報酬が限りなくゼロに近づいて採掘がストップするのは、2140年頃になる予定です。このように、ビットコインの採掘は、金鉱山になぞらえて設計されており、やがては金鉱脈が枯渇して採掘が終了するように計画されています。


(質問4)ビットコインのセキュリティについて

Q「ビットコインの大福帳はセキュリィティー面で安全性は確保されているのでしょうか。」

 A ビットコインの大福帳という仕組みは、直近の数百件程度の取引を一冊の大福帳に記載し、正しく記載されるとビットコイン大福帳の束の一冊として正式に登録されるように設計されています。

 このとき、直近の数百件程度の取引のデータをかき集めてきて、一冊の大福帳に記載する作業を行う作業のことを、採掘と呼んでいます。この作業は、有償ボランティアである採掘人と呼ばれる人たちが行いますが、もしも大福帳が不正確であったり改ざんが可能であったりすると、大福帳のセキュリティは確保されません。

 そこで、一冊の大福帳を作るためには、そこに含まれる数百件の取引の数字を利用した、ある面倒な数学の問題を解いて、その解答を貼り付けなければ完成しない仕組みになっています。具体的な計算の内容はここでは省略しますが、大福帳に含まれる数百件の取引のデータを加工して、これを暗号化するための数式に代入して、その解答が奇跡的にきれいな数字になっていたら正解とされるというルールです。採掘人は、奇跡的にきれいな数字が見つかるまで、数十万回も数字の加工と計算を繰り返します。

 この計算は、無限に繰り返していればそのうち正解が見つかるはずですが、実際には最初に正解を発見した一名だけが勝利する早い者勝ちになっています。勝利者の計算タイムは、平均して10分間です。

 この計算には、二つの意味があります。一つ目は、暗号化された奇跡的にきれいな解答を大福帳に貼り付けるという役割です。この解答をスタンプとして貼り付けなければ、大福帳は完成しません。二つ目は、大福帳を作るために平均して10分程度かかる面倒な計算を行ったことを証明するという役割です。この計算をやり直さない限り、大福帳を改ざんすることはできません。

この計算をやり直して、大福帳の中身を改ざんして、もう一度、暗号化して元に戻すことができれば、大福帳のセキュリティは確保されません。しかし、この暗号計算は、一方向性の強い不可逆的な計算であり、暗号化の計算が10分程度で完了するのに対して、反対方向の「原像」を探すという計算には膨大な時間がかかるという性質を有しています。

現在のコンピュータ資源では、「原像」を探すための計算を行うことは、人間の生活時間ではほとんど不可能に近いとされています。このため、大福帳の暗号を解き直して、中身を改ざんすることは可能性として十分に低く、従って大福帳のセキュリティは相当程度に確保されていると考えられています。


 (質問5)地域版のビットコインについて

Q「地域版(神奈川版)ビットコインのメリットと課題を教えて下さい。」

 A ビットコインは世界中を縦横無尽に流れる仮想通貨ですが、実は地域通貨として利用することができる設計になっています。もともとビットコインは発行者も管理者も必要のない構造になっていますが、地域通貨として利用するときには、そのコミュニティの中だけで流通するように設定して、発行者や管理者を仮想的に設定することができます。

この地域版のビットコインというのは、もともとのビットコインの仕組みをそのまま利用しながら、「地域通貨の発行者」を仮想的に置くだけで済むので、とても簡単に地域通貨を創り出すことができます。こうして、地域版(たとえば神奈川県版)のビットコインというものを設定することができます。

地域版のビットコインを流通させるメリットは、コミュニティの中でのお金の流れが手に取るようにわかるようになることです。たとえば、地域の商店街の食べ歩きイベントを実施する際に、地域版のビットコインを導入してみると、どのお店に行った人は、次にどの店に行く傾向があるといった消費動向がわかり、これを簡単に可視化することができます。

ここまでは通常のマーケティング調査と同じですが、ビットコインは人から人へ転々流通するという性質を有しますから、食べ歩きイベントの余りチケットを友達にあげるという行動や、食べ歩きイベントを盛り上げるアーティストの方に応援の意味を込めて「投げ銭」としてビットコインを送金するなど、人から人へのお金の流れも可視化することができます。

こうした、人から人へのお金の流れを可視化して、地域振興を実感できるという地域版ビットコインの役割がもっとも発揮されると期待されているのが、2020年の東京オリンピックです。首都圏には世界各国から旅行者がやってくることが期待されており、神奈川県には多くの外国人旅行者が宿泊し、地域とのふれあいを楽しむことでしょう。

そのとき、地域版のビットコインが能力を発揮すると期待されています。地域版のビットコインは、ビットコインの基本的な仕組みをそのまま利用していますから、世界で普及しているほとんどのスマートフォンに対応しています。つまり、特別に発行されたカードや読取端末を設置しなくても、スマートフォンにお財布アプリをダウンロードするだけで、すぐに利用することができます。

このように、世界の誰でも利用できるというグローバルな性質と、地域版(神奈川県版)のビットコインという地域コミュニティに最適化された性質とを兼ね備えることができるのが、地域版ビットコインのメリットです。


本文ここまで
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