平成24年度黒岩知事との“対話の広場”(地域版)県央会場 実施結果

掲載日:2018年3月15日
ステージの知事、事例発表者と発言者

知事のあいさつ

あいさつ

神奈川県知事の黒岩祐治です。今、“対話の広場”地域版を各地で実施しております。今日のテーマは、この県央地域がどうすればマグネット地域になるかということです。

対話の広場について

私は「いのち輝くマグネット神奈川」の実現を大きな目標に掲げて知事になり、1年半がたちました。「マグネット神奈川」とはどういうことかとよく聞かれます。これは、マグネット、つまり磁石のように引き付ける力を持った神奈川をつくりたいということです。

「マグネット」という言葉は、元々、「マグネット病院」という言い方で使っていました。私はジャーナリストとして、平成3年ぐらいからナースの問題を取材してきました。当時は、ナース不足が社会問題化していました。各病院はナースに来てもらうために、看護学校を回っていました。そんな時代に、人集めの苦労をしなくても、優秀なナースがどんどん集まってくる病院がありました。働きたくなる魅力があるからでしょうね。そういう病院のことをマグネット病院と呼んだのです。良いナースが集まってくると、良い医療が実現できる。その噂を聞いて、良い医療スタッフが集まってくる。このような、良い循環がめぐっている病院をマグネット病院と呼んでいたので、この言葉を頂きました。

県央地域の今後を考えるにあたって、マグネット県央を目指そうということです。そこに引き付けられるように行きたくなるとか、住みたくなるとか、そういった地域にどうしたら生まれ変わっていけるのか。

“対話の広場”地域版では、地域ごとにマグネットの種になるものは何かということを、それぞれお二人の方に事例発表していただいています。その後、会場の皆さんと対話をしながら、この地域をもっとマグネット力あふれる地域にするにはどうすればいいのか、議論をしていきます。

私が選んだ県央会場のサブテーマは、「宇宙でつながるまちづくりを『県央』から発信」。JAXAがあり「はやぶさ」の故郷である相模原。この力をどうやってマグネット力に変えていくのかということを皆さんとともに議論したいと思っています。

さがみロボット産業特区について

さがみ縦貫道路が2年後には開通する予定になっております。それに併せ、県央地域をロボット産業、生活支援ロボットの拠点にしていこうと、先日、国に「さがみロボット産業特区」を申請しました。現在、特区の指定を何とか勝ち取ってこようと、全力を挙げて取り組んでいます。

この特区のキャッチフレーズは「はやぶさの技術を介護の世界へ」。地域がもっと元気になっていくために、私も全力を尽くしたいと思っています。今日がそのきっかけになればと思っています。

緊急財政対策と神奈川州(仮称)構想について

今回は、マグネットについての議論の他に、特別に第2部があります。

現在、神奈川県は財政が非常に厳しい状態になっており、緊急財政対策を実行しようとしています。報道もされていますが、県が何をしようとしているのか私から御説明し、皆さんと共に議論したいと思っています。

もう一つの話題は、神奈川県のあり方、地方自治のあり方についてです。道州制という議論や、大阪都構想、政令市の独立という話もありますが、神奈川県はどんな方向を目指しているのか、県の基本的な考え方を御提示し、御質問にもお答えしていきたいと思います。

今日は皆さんに集まっていただいたのですから、充実した2時間にしたいと思います。最後までよろしくお願いします。

このページの先頭へもどる

事例発表

的川泰宣さん(宇宙航空研究開発機構名誉教授)

客席の質問に答える的川氏

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、文部省宇宙科学研究所(相模原)、航空宇宙技術研究所(調布)、宇宙開発事業団(筑波)の3機関が2003年に一つになってできた機関です。今でもキャンパスは3つあり、宇宙科学の本拠地は相模原です。衛星の利用や地球観測、有人飛行、これらを成り立たせる宇宙航空技術すべてを、JAXAという機関でやることになったということです。

JAXAの広報に約9年間携わってきましたが、大変幅広い活動をしているので苦労の多い期間を過ごしてきたと思います。今日は、JAXA宇宙科学研究所相模原キャンパスを主体にした広報のお話をさせていただきたいと思います。

まず、JAXAでは、活動の成果の発表をできるだけたくさん出すようにしています。ですから、記者発表の1年間の数は1年の日数より多いくらいです。JAXAの広報で心がけていることは、月並みですが、素早く、正確に、分かりやすくということです。

宇宙科学研究所は、淵野辺駅から歩いて15分ぐらいの所にありますが、研究所に臨時プレスルームを設置することもあります。例えば「はやぶさ」の時は、記者の方がプレスルームに寝袋持参で取材をしましたが、そういった機会も提供するという形で活動成果を発表しています。

また、JAXAでは一般の方への所内公開を積極的に行っています。以前は1年に1日だけ、一般公開を行っていましたが、7ヘクタールの敷地に2万人以上の人が押し寄せ、てんやわんやの騒ぎになっていました。一般公開でこんなに人が来る所は、日本中どこにもないという話で、皆さんの宇宙科学に対する興味が非常に高いことを表していると思います。

そういうこともあり、現在は、特別公開は年に2日行っています。また、特別公開だけでなく、原則として毎日一般公開を行っています。一般公開は所内のすべてを見学できるわけではありませんが、例えば「はやぶさ」の1分の1模型などは、土日も含めて、開館している時間でしたら、受付をすれば、自由にキャンパスに入って見られるようになっており、たくさんの方に一年中お越しいただいています。

特別公開では、成果だけではなく失敗も含め、あらゆることを見ていただき、どういう形で研究をやっているのか、その実態を見ていただくようにしています。説明のパネルなどは、幅広い年齢層の方を対象にして作成しており、幼稚園の子どもにも分かるように工夫しています。小さいお子さんには、職員がついてお話しするということもしています。また、宇宙に関心のある方はいろいろな側面から関心をお持ちなので、多様な面からの説明を心がけています。

「はやぶさ」が帰ってきた日は、パブリックビューイング(大型映像装置を使用して帰還の模様を見届けるイベント)を行い、大勢の方にお越しいただきました。「はやぶさ」が大気圏に再突入した光が見え始めた時の映像が出ると「うわーっ」といううなりのような声が起き、大変な興奮ぶりでした。

「はやぶさ」のカプセルの展示には、ものすごく多くの方のご来場が予想されたので、宇宙研究所の前にある市立博物館で展示を行いました。待ち時間が4時間ぐらい、炎天下でしたので、熱中症になる人が出ないかと気をつけました。それぐらい人気のある展示になりました。

特別公開では、「はやぶさ」の1分の1模型の周りが、押すな押すなの状態になってしまいました。これを緩和するためにも、普段見ていただくということが大変大事だと思いました。そこで最近は、一般公開のサービスも充実させるようにしています。

活動成果の発表は、折にふれていろいろな形でやるわけですが、国民と一体になるという点からも説明責任という点からも大切なことです。宇宙という分野は、ほかの分野に比べると使うお金がかなり多い印象があると思いますし、税金を使わせていただいている以上、できる限り説明をするということは我々の重要な責任だと思っています。

広報で非常に重視しているのは、打ち上げ前のキャンペーンです。例えば衛星や探査機を打ち上げる前に、その愛称の公募をしています。太陽の観測をやった「ようこう」、月に行った「かぐや」という探査機の名は、命名キャンペーンで皆さんから頂いた中から選びました。必ずしもトップ得票したものが選ばれるわけではないのですが、「かぐや」はトップでした。トップが「かぐや」、2番の「かぐや姫」は少し長すぎるので、「かぐや」になったのです。「かぐや」は、月面を上っていく地球や沈んでいく地球の姿をNHKのハイビジョンカメラが世界で初めて映像に収めて、世界的に注目を浴びました。命名キャンペーンに応募した方は「あの名前は俺が投票したんだ」と、参加意識があおられていくわけです。

その他には、氏名やメッセージを寄せていただき、それを探査機や衛星に載せて、宇宙に運んでいくというキャンペーンを行っています。これは、ハレーすい星の探査を1980年代に実施した時、私がはじめて提案しました。私が、ある高齢の先生にその案の説明をしたところ、「それは駄目だよ。ロケットは海に落ちるかもしれない、『俺の名前を海に沈めたな』とクレームがついたらどうする」と言われ実現しませんでした。年を取った人というのはいろいろなことを考えるんだなと、感心した覚えがあります。

90年代の終わりごろ、火星探査機「のぞみ」を打ち上げました。以前反対された先生は定年になられていて、私もいい年になっていましたので、今度は大丈夫かと思い提案したら、「まあいいんじゃないか」ということになりました。どのくらいの応募があるか、大変不安でした。せいぜい3,000人か4,000人くらいと言われていたのに、27万人集まり、大変評判になりました。また、その中には、涙の出るようなメッセージもたくさんありました。それも新聞でずいぶん報道していただきました。そうしたら、ハレー彗星の時に私の案を握りつぶした先生から電話がかかってきまして、「的川君、今度はいいことやったね」っておっしゃったんですよね。それで私、「先生、もうだいぶ前の話だけど、ハレーの時も私が同じ提案をしたことを覚えてらっしゃいますか」って言ったら、「うん、時代が変わったんだね」って笑われましたね。

その「のぞみ」の時は、「あなたの名前を火星へ」というキャンペーンを実施しました。500円玉より少し大きめのアルミ板に、応募した方の名前をエッチングで刻み込んで容器に入れ、現場の人と打ち合わせながら、探査機の下面に収めました。それが探査機と一緒に火星に向かって飛んで行ったんです。「かぐや」の時にも「月に願いを」というキャンペーンを実施しました。この時も非常にたくさんの人が集まりました。

そしていよいよ「はやぶさ」です。「はやぶさ」は小惑星という、小さな星に行きましたので、「星の王子様に会いに行きませんか ミリオンキャンペーン」というものを実施しました。ミリオンキャンペーンですから、100万人を目指しましたが、全世界149カ国から88万人が集まりました。宇宙のキャンペーンとしては、当時の世界記録です。

これはターゲットマーカーという、「はやぶさ」が目的の星に着いた時に、目印として最初に落としておいて、そこに光をパッパッと当てながら、それを目当てにして下りていくためのものです。この表を1枚剥がすと、そこに貼りつけてあります。88万人の名前を刻み込んで、野球のボールを縫い合わせるように貼ってありました。

プロジェクトマネージャーの川口淳一郎君が、「はやぶさ」のオペレーションで一番緊張したのはこの時だと言っていました。ターゲットマーカーがうまく落ちないと、88万人から叱られると思い、大変緊張したと。おかげ様でイトカワという星の上にこの88万人の名前はそのまま残っています。イトカワという星が崩れるまではあるでしょう。まだ何億年か先だと思いますが。

キャンペーンの狙いは、国民の皆さんが、自分の名前が探査機と一緒に飛んでいくことで、自分自身も宇宙開発をやっている気分になるということです。一方、宇宙開発に取り組む現場の人間は、皆さんと一緒に頑張っているという気持ちになり、大変鼓舞されます。そういう気持ちが濃く出てくる、良いキャンペーンだと思っています。

これまで重要とされてきたパブリック・アウトリーチというのは、我々が取り組んでいることをできるだけ伝えていくことですが、今ではパブリック・エンゲージメント、国民の皆さんも参加し、こちらも訴える、双方向のキャンペーンに変わっています。これからの宇宙の仕事というのは、双方向ということが大事になっていくと信じております。

JAXAと地域の関係についてお話ししますと、我々は地域の人々や企業と一緒に歩んで行くことを大変重視しています。相模原市は、「潤水都市さがみはら」をキャッチフレーズにシティーセールスに取り組んでいます。シティーセールスの目玉が「桜と宇宙」ということのようです。桜は、市役所近辺の桜並木が素晴らしいですし、宇宙は、我々の研究所があるから、これをやっていただいているんだと思います。

相模原市民桜まつりの時にはいろいろな出店が出ますが、そこで宇宙に関する展示もしています。あるいは「さがみ風っ子展」では、相模原市の子どもたちの工作や絵などを出しますので、その広場に宇宙の展示をする等、だいぶ前から取り組んでいます。

相模原市は政令指定都市になり、それまで県が採用していた教員を、市で採用するようになりました。そのため、教育分野で、相模原市内の大学や地域の方との連携が大変大事な分野になってきました。

また、相模原市には小中学校の教員を目指す人のための「さがみ風っ子教師塾」があり、私はそこの塾長を務めており、4年目に入ります。子どもを育てていくというのは大変大事なことです。相模原市はまだ子どもの数が増えています。子どもを大事にするという気風は、宇宙ともつながりがあると考えていますので、そういう点も重視しています。

オーストラリアに「はやぶさ」が帰ってきて、大気圏に再突入し、南十字星が迎える中、本体はバラバラになり、カプセルだけが生き抜いて、最後はパラシュートで回収しました。これがおそらく皆さんが最も「はやぶさ」に注目した瞬間です。

「はやぶさ」は、太陽系の始まりの頃の研究ということで注目されました。また「はやぶさ」のイオンエンジンも非常に注目を浴びました。でも、全国にいる「はやぶさ」ファンの中には、イオンエンジンや太陽系の起源なんかどうでもいいという人もたくさんいるわけです。科学的な注目を超えて、感動や共感を覚えた人も多かったのです。

ただ、宇宙航空研究の立場で言うと、探査機の姿勢制御のために使うコマは、アメリカで作ってもらった物ですが、それが故障しました。コマの代わりをするはずだったガスジェットも故障してしまい、これもアメリカから買った物だった、と非常に悔しい思いをしました。

再突入から帰還までを支えた物は、日本の中小企業や町工場で作っていただいた物がほとんどです。実は「はやぶさ」は予算があまりなかったんです。130億円で作ったというと高いように見えますが、NASAの人が来て「はやぶさ」をアメリカで作れば500億円掛かると言っていました。お金がないからどうするかと言えば、我々は自分の力でできるところまでやる。それから、町工場に行き「おじさん、これちょっと作ってくれない」と頼む。そうすると町工場は、恐るべきネットワークを持っていて、「あー、そういうものね。俺はできないけど、どこどこの誰々なら絶対できるよ」と教えてくれる。そのように、何百という中小企業や町工場にお願いしました。大きな企業にはもちろんお世話になりましたが、いろいろな中小企業の人たちのものがそこに詰まっていたから、フィナーレの部分は完璧になったんです。

こんなパーフェクトなフィナーレを迎えたということで、我々は日本のものづくりのすごさを改めて思い知ったわけです。地元企業にも随分とお願いしました。飲み屋でたまたま会った人にお願いしたこともあります。地元企業の宇宙部門への参入の機会を我々は増やしたいし、地元企業でもそういう意識が「はやぶさ」で随分高まったと思います。

我々からの働きかけだけではなく、地元企業からも参入したいという思い、その双方向のものが、まさしくパプリック・エンゲージメントの一種なんです。双方向での交流を開始して、我々も研究会を作りましたし、市の方もそういう研究会を作っています。

まちづくりという面では、淵野辺駅前には、イトカワカレーなどのグルメやグッズを売るお店があって、「はやぶさ」をしのびながらカレーライスを食べるというようなものも随分とあります。こういう動きを神奈川県全体に広げ、拡大していくという方向性を続けていきたいと思います。

相模原市は政令指定都市になりましたが、いろいろな県を見ると、政令市になると県と仲が悪くなる市が多いんです。独立性が増すためでしょうか。だから、神奈川県だけはそうなってほしくない。神奈川県は全国で唯一三つの政令市がある県ですから、知事さん中心にまとまって、県全体に宇宙を軸とした地域づくりを是非進めていただきたいと思っております。日本の国をつくる上で、地域力が大切な役割を果たし、その中に宇宙がきちっと位置付けられると良いと思っております。

このページの先頭へもどる

茅明夫さん(にこにこ星ふちのべ協同組合理事長)

意見交換時の茅氏

淵野辺では、JAXAさんと連携しながら、いろいろな活動に取り組んでいます。そんなお話をさせていただきます。

1988年、相模原市商業地形成事業で、淵野辺は地区中心商業地として位置付けられ、まちづくりのテーマとして「銀河をかけるまち、ふちのべ」が決まりました。

その数年前、JAXAの前身の文部省宇宙科学研究所が、駅の商店街とは反対側に出来ました。そこから将来何か生まれるという予感はなかったのですが、淵野辺には、地域資産とか歴史的資産が少なく、どんなまちづくりをしていいのか考えていた時だったので「銀河をかけるまち ふちのべ」をテーマにしていくことになりました。

非常にロマンチックな名前となっていますが、各店が星のようにきらめいて、お客さんにその星を駆け巡ってほしいという思いで商店街名を付けました。星型のシンボルマークを作り、数年後、これをもとに、商店街の「にこにこ星ふちのべ協同組合」という名前ができました。

当初は、商店街の通りに星座の名前を付ける等、ハード的な部分だけでしたが、ソフト的な事業として、地域が一体になれるお祭をしようと、ふちのべ銀河まつりを始めました。それから24年になります。それでも、「銀河をかけるまち ふちのべ」というテーマや通りの名前はあまり定着してはいませんでした。3年前、「はやぶさ」帰還があって、淵野辺としても何かをしようと、いろいろと呼び掛けましたが、なかなか気運は盛り上がりませんでした。

ところが、その後立て続けに「はやぶさ」映画の撮影、公開が始まり盛り上がりを見せたので、もう一度呼び掛けをしたところ、数軒のお店で「はやぶさ」グルメをやろうという話になりました。9軒の店が参加して、「いとかわカレー」をはじめとする、いくつかのメニューが決まりました。これを昨年12月に発表し、雑誌の編集長さん等マスコミ関係の方にお越しいただき、発表試食会を行ないました。ネーミングもお店ごとに工夫をして、「はやぶさ重」、「はやぶさトマト」など。「ローストチキンいとかわ」は、見た目が小惑星イトカワに似ています。「はやぶさちらし」、「はやぶさケーキ」、イトカワが、かりんとうみたいな感じなので、かりんとうドーナッツ「小惑星いとかわ」、「いとかわしぐれ」、「ギャラクシーサワー」といろいろな品物を次々作っていただきました。

私は雑貨屋をやっていますが、「はやぶさ」のパネルに似ているLEDライトに「はやぶさの翼」という名前を強引に付けて売り出しました。

ヨシダヘアデザインでは「はやぶさトリートメント」というのを始めました。7年後には髪の毛が帰ってくる、名前からして非常に楽しい。これは雑誌でも紹介されました。こんなトリートメントや文具屋のファイルなどパロディーも含めて、遊びを取り入れた商品開発をさせていただいております。テレビや新聞等マスコミからも、これは面白いということで取材していただきました。

行政の力も頂き、もう一歩進めようと、JAXAの先生方を巻き込もうと考えました。そのころ「はやぶさ2」の予算が削減されたという話が出ていたので、地元で「はやぶさ2」を応援する会を開きたいので、先生方に是非おいでいただきたいと呼びかけました。そして「はやぶさ」グルメの試食会をやりましたところ、マスコミもたくさん来てくださいました。当然、地域の方もご参加いただきました。地域にも認知していただきたいということです。こうしてJAXA公認、地域公認の「はやぶさ」グルメという形で動き出したわけです。

相模原市は全国のJAXAのある市町と「銀河連邦」を組織しており、淵野辺は「銀河をかけるまち」をキャッチフレーズとしています。そこで、相模原市では「はやぶさ」が帰ってきた6月13日を「はやぶさ」の日に認定することにしました。商店街では「はやぶさの日」を記念して、「はやぶさ」グルメやグッズの店が、売出しや割引をするイベントを組みました。

5月の金環日食の時は、淵野辺駅前のオーロラデッキで、金環日食を見ようという呼び掛けをして、観察用眼鏡を先着100名に配りますと予告したところ、朝4時ぐらいから、たくさんの人が集まって、100名をすぐにオーバーしました。

今日、会場のロビーを入った所に、着ぐるみの「はやぶさ君」がいましたが、あれは松竹の映画のキャンペーンで使った着ぐるみを、淵野辺が中心になって借りて、イベントなどで使わせていただいているものです。

ふちのべ銀河まつりは今年で24年目となりますが、地域を巻き込もうと、オープニングで地域の自治会長がステージに上って、餅まきをしたりしています。事業の中心でやっていただこう、という方向でやっております。

ふちのべ銀河まつりでは、多くの学生さんにも協力いただいております。

麻布大学さんの「じ~な」というサークルには、2日間、ゴミの分別を40名ぐらいでやっていただいています。桜美林大学さんには、ステージ周りの進行から、JAXAコーナーのブースでの販売等で御協力を頂いております。

淵野辺駅の近くの神奈川国際学生会館、市立共和中学校など、地域の団体が多く参加しております。JAXAさんにも出展や望遠鏡での観測会等をやっていただいております。

地域連携の一つとして、市民清掃の日というのを市内の全商店街でやっておりますが、淵野辺では中学生や銀行員さんが参加するなど、商店街よりもむしろほかの団体が多く参加しています。

桜美林大学の学生さんが、今日も会場に30名ぐらい来ていらっしゃいますが、ビジネスマネジメント学群の大熊ゼミや山口ゼミの学生さん等には、いろいろな事業で協力・参加いただいています。授業で淵野辺駅周辺の活性化を考え、プロジェクトを展開していただいています。プロジェクトの一つとして、「にこにこ星ふちのべのうわさ」という面白いイベントをやっていただきました。また、オープンキャンパスに来る高校生向けのグッズを、学生さんが地元の商店街で選んで価格を決めるという形で開発をしており、これが3年ぐらい続いています。

商店街の方でも、出来るだけ学生さんを巻き込みたいと思っているので、賀詞交換会や総会後の懇親会などに、地域の方々とともに学生さんが30人ぐらい参加して、市長さんや地域の方々と交流しています。

ナイトバザールやオーロラデッキの下での朝市などのイベント、最近では、10月の「銀河連邦サンリクオオフナト共和国直送復興支援サンマまつり」やハロウィン、11月のイルミネーション点灯式でも協力していただきました。

淵野辺商店街の賑わい、活性化というのは、JAXAや大学との連携無くしてはなかなかできないので、一生懸命巻き込む形で御協力いただこうとしています。学生さんにとっても、実証的な経験になり、実際的な授業になっていると思います。

最後になりますが、「商店街はまちのプラットホーム」というフレーズは、商店街を学生さんや地域の方の交流の場にしたいという気持ちを表したものです。商店街もこれからは地域の問題を共有し、その解決にも参加します。まちに商店街が必要だということを地域の方々に分かっていただけるよう、地域の方々と一緒に活動していこうと思っております。

このページの先頭へもどる

桜美林大学ソングリーディング部のユニット「クリーム」が地元応援パフォーマンス演技を披露 

意見交換(マグネット地域)

<知事発言>

地元の企業や大学との連携が実に素晴らしいですね。私がマグネットと言っている理想型がここにあると感じました。

これから会場の皆さんと議論していきたいと思いますが、企業との連携ということで、まず、企業の立場からの御意見を伺いましょう。

<参加者発言1(相模原市・男性)>

相模原市産業振興財団では、JAXAと相模原を中心にした地域のものづくりの企業との連携を深めていこうとする「モノづくり企業のための宇宙科学研究会」を今月発足させます。

御承知のとおり相模原市は内陸工業都市として発展し、機械、金属などの製造業の工場が多く集積しています。その中には日本中のどこにも負けない優れた技術や経験を持つ企業がたくさんありますので、宇宙開発に求められる素材や部品をもっと供給させていただきたいと思っています。JAXAとそのような関係ができることは、両者にとってより良いことだと考えています。

また、JAXAが研究している最先端の技術を地元の企業が学ぶことは、企業経営にプラスになります。宇宙分野の研究であっても、それを産業や民生品の分野にも活用し、新製品の開発、企業の新分野への進出にも広く応用していきたいと考えています。

<参加者発言2(座間市在勤・男性)>

ダブル技研(株)は座間市のSIP座間という工業団地にあります。周りには日本でも有数のトップレベルの技術を有している中小企業が多く、今までも中小企業と技術の連携を図り、互いに成長してきました。

県央地域には、加工や製作の先進技術があり、それは工業界の宝です。神奈川県が誇る日本の技術文化と言っても過言ではありません。

会場ロビーに展示しているのは「D-Hand」というロボットハンドで、工場での自動化推進、災害、生活支援といった幅広い用途をめざして作っています。ただ、中小企業は、ロボットを作る技術はあっても、開発に有する場所や、商品化までの時間、とりわけ資金が非常に厳しいという現状があります。

先程知事から話があったさがみロボット産業特区申請を、国が認定すれば、ロボット産業を通じて社会貢献でき、産業振興にもつながると思います。今後、さらに産業の集積化や、県央地域の活性化を図るためにも、ロボット産業特区は非常に重要で意義のある政策だと思っています。

<知事発言>

ロビーに展示している「D-Hand」は県で賞を差し上げたものですね。

<参加者発言2(座間市在勤・男性)>

本年度の神奈川県ロボット工業技術開発大賞を頂きました。

<知事発言>

このロボットハンドは、3本の指でつまめるという点が新しいそうですね。

<参加者発言2(座間市在勤・男性)>

工場などで使われているロボットハンドは、2本で左右からつかむという形になっています。3本の指だと、物体を全体的につかむことができ、不定形の物を持つことが非常に有利になります。今まで持てなかった、シュークリーム、ブロッコリー、マヨネーズなど不定形のものを持つことができるわけです。3本指のハンドは、ありそうでなかったものであり、非常に有意義な活用ができると考えています。

<知事発言>

もう、お一人どうぞ。

<参加者発言3(相模原市在勤・男性)>

グローウィング(株)もロボットを開発し10年ほどになります。基礎研究から始め、技術を高めながら、ようやくここまで来ました。製品を一から作るとなると、いろいろな障壁があります。我々のような小さな企業は、資金、リソース面で、次の段階に進む上で非常に苦慮しています。

そこで、今回特区を申請していただきましたが、その中で我々がどこまでできるか、ニーズを掘り起こすだけでなく、作っていかなくてはいけないという思いが私にはあります。技術だけではなく、ビジネスとして成長していく必要があると思っています。

<知事発言>

会場の展示品は、キャタピラで動いていくものですか。

<参加者発言3(相模原市在勤・男性)>

「FLIGO」といいまして、救助、災害用のロボットになります。

<知事発言>

さがみロボット産業特区に関連して、私は「はやぶさの技術を介護の現場へ」と言っているのですが、的川先生、「はやぶさ」の技術は介護の現場でどのように生かされるんでしょうか。

<事例発表者発言(的川氏)>

宇宙関係のものは、コンパクトで性能の良いものになっています。医療分野では、胃カメラ等は宇宙関係の技術をダイレクトに取り入れており、全世界で使われるようになっています。

「はやぶさ」自体が鉄腕アトムのような自立ロボットですが、一つ一つの技術がさらに小さくなって性能が良くなっていけば、介護や医療に大いに利用できると思います。

アメリカのNASAに関して非常に不思議だと思うのが、例えば火星探査機で使っているものが、我々の知らない日本の会社のものだったりするんです。恐らくCIAが調べているんですね。JAXAが知らない会社をアメリカが知っているというようなことは、非常に恥なので、相模原のそのような技術を我々自身がもっと知らなければいけないと思っています。

マグネットにはN極とS極があって、両極が引き合います。お互いに引き合うものを具体的に持つことで、お互いに近寄れるし、いろいろな分野にその技術が応用されて行くと思います。N極とS極をお互いに作り出す努力をこれからやればいいと思っています。

<知事発言>

日本の最先端の技術は最高のものを作るが、製品化するところが非常に弱く、いつの間にかアメリカで製品化されているということをよく聞きます。原点は、自分たちの本当の力を知るということなんですね。

「はやぶさ」の大気圏突入という最後のクライマックスが、中小企業のパワーによって支えられていたということは、皆さん御存知なかったのではないですか、感動的です。それだけのパワーを持っているのですね。

<事例発表者発言(的川氏)>

「はやぶさ」は2007年に帰る予定だったのですが、2010年に帰って来ました。設計寿命を3年過ぎていても完璧に働くということは、技術そのものが余裕を持って完璧に作られているということなんです。こんな素晴らしいものづくりのレベルは、よその国にはないと思います。

<知事発言>

県央地域には多くの技術が眠っているので、これをさがみロボット産業特区で一気に花開かせたいと思っています。

<参加者発言4(座間市在勤・女性)>

私は県央地域の小学校教員で、5年生の担任をしています。今日の話は、わくわくしながら聞きました。神奈川の素晴らしいところを誇りに思いますし、子どもたちもこれを引き継いでいってほしいです。

知事にお願いがあります。今、学校は本当に忙しいです。昨日のテストやプリントに丸をつけ、授業の準備をして寝たのは2時。それでも家族のことで、朝は5時半に起き、今日は体育をやったり、研究会に出たりという毎日を送っています。

教員を減らさないでほしいです。神奈川の苦しい財政事情はよく分かりますが、教育は神奈川の未来を引き継いでいく子どもたちを育てていく仕事です。一人ひとりに行き届く教育をしたいので、教育にかけるお金を削らないでいただきたいと思います。

<知事発言>

前半はマグネットの話なので、その話は後半でお答えします。

<参加者発言5(厚木市在住高校生・男性)>

ベトナムから来て4年目、現在、県立相模原青陵高校で勉強しています。学校では応援団リーダー部に所属し、他の部の応援や、地域の応援の活動をしています。

私が住んでいる厚木市には、たくさんの外国人が住んでいます。私のような若者が学校や地域で日本語を学んだり、自分の文化を発表したり、文化交流したりするという場がもっとあればいいと思います。

また、役所や病院で困っている外国人がたくさんいます。将来、私はボランティアとしてこういう人たちの役に立ちたいと思っていますが、知事はどのように思われますか。

<知事発言>

県ができる最大の外交は何だろうと思い、「かながわ国際ファンクラブ」を立ち上げました。神奈川県に留学や駐在で住んでいる方、それから観光で来られた方も含めて、神奈川のファンになってもらいたいと思ったからなんですね。

ファンクラブのサイトは、神奈川県のホームページから入れば御覧になれますし、登録するだけでメンバーになれます。メンバーの中にはサポーターという方もいて、留学生をずっと支援し続け、留学生の母と言われている日本人もいます。

企業の中にもサポートする人がたくさんいて、そういった人たちもメンバーになっています。「かながわ国際ファンクラブ」ではネット上でいろいろな交流をしており、住宅の問題や生活の細々した困り事の相談を、サポーターたちがフォローしてくれるサイトを作っています。是非そこに参加してください。

ファンクラブでは、ネット上だけでなく交流のパーティーも行っています。私も参加していろいろお話をすることもあります。みんなが神奈川のファンになって帰国したら、将来的に様々な形で神奈川の発展にもつながるし、その方の国の発展にもつながると思います。是非すぐファンクラブに入ってください。

<参加者発言6(鎌倉市在住・男性)>

私のイメージだと、宇宙というと筑波宇宙センター、技術であれば大田区なのですが、「宇宙イコール相模原」に持っていくために、相模原のライバルの筑波や大田区に勝つための広告上の戦略などがあればお伺いしたいです。

<事例発表者発言(的川氏)>

宇宙開発は筑波とか、技術は大田区というのは誤解があると思います。「はやぶさ」の技術は全国に散らばっているので、大田区に相談に行ってもその技術がない場合もあります。そういう時、「熊本のこういう人ができる」などと紹介してくれるネットワークがあり、全国のどこにどういう技術があるかという地図が、今できつつあります。

相模原には素晴らしい会社がたくさんあるのですから、臆することはありません。相模原でしかできないものもあれば大田区でしかできないものもあるということです。筑波宇宙センターと相模原キャンパスには上下の関係は一切ありません。筑波でやっていることと相模原でやっていることは全く違い、我々もライバルとは思ってないし、そういう心配はないと思います。

<知事発言>

相模原と「はやぶさ」のつながりは意外に知られていないのではないでしょうか。

<事例発表者発言(的川氏)>

そうかもしれませんね。

<知事発言>

しっかりリンクしていかないといけないですよね。

<事例発表者発言(的川氏)>

中小企業とか町工場の技術という点では、全国均等に散らばっています。探り当てた所であれば、我々はどこにでも頼みに行きます。

<知事発言>

私は、商店街はこれから大事だと考え、マグネット商店街を目指すべきだと言っています。経済のエンジンを回すためには、観光が非常に大事なので、県内の商店街を巡っていくツアーを作ろうと思っています。商店街観光ツアー。それぞれの地域の個性あふれる商店街を巡っていく。淵野辺ならJAXAと「はやぶさ」。「はやぶさ」商店街は他には絶対無いので、ちょっと見てみようかという感じになるのではないかと思います。

<事例発表者発言(茅氏)>

B級グルメなどとは違って、テーマが「はやぶさ」だったことで、非常に注目を浴びました。マグネットと考えた時、地域の方を引き付ける以上に、JAXAに来られる全国の方を淵野辺商店街に引き付けようと考えて取組みを始めたわけです。

<知事発言>

商店街は地元の人が買い物に来る所ですよね。マグネット商店街というのは、外の地域から、わざわざ集まってくる商店街。マグネット病院の「病院」を「商店街」に替えたらそうなる。もっと発信をして、「はやぶさ」を全体で感じられるような商店街にしていってほしいと思います。

<事例発表者発言(茅氏)>

「はやぶさ2」は2014年に打ち上げられ、帰還が2020年の予定です。我々は、「はやぶさ2」の応援ということで、グルメやグッズのメニューもバージョンアップさせてやっていきたいと考えています。

<知事発言>

ほかに、どなたか。

<参加者発言7(横浜市在住・男性)

神奈川大学で20年教授をやり、今は名誉教授と総合理化学研究所の特別所員をやっています。私は大学で企業との産学連携を20年やってきました。JAXAの前身のNASDA(宇宙開発事業団)という組織の社外開発部員もやっていました。今、「神奈川県航空宇宙産業参入プロジェクト」の委員をやっています。神奈川県には素晴らしい企業がたくさんあります。特に航空宇宙関係に使える技術を持っている企業が非常に多く、実際に部品を作って供給している企業もかなりあります。プロジェクトでそのリストを作っています。航空宇宙関係の製品を世界に売りたいという方は、無料なので是非応募していただきたいと思います。

<知事発言>

神奈川には、まだまだ潜在力がたくさんあります。最後にお一人どうぞ。

<参加者発言8(伊勢原市在住・男性)>

相模原にJAXAという組織があり、どんな役割を果たしてるいのかはおおよそ理解できました。お聞きしたいのは、特区になると何が変わるのかということです。

もう一つは、なぜ医療なのかということです。静岡県ではファルマバレープロジェクトという、県が推進する医療関係のプロジェクトが立ち上がっています。静岡には医薬品関係の企業が多いということ、がんセンターが非常に高度な研究をやっており、それを役立てたいということで動き出したと聞きました。なぜ医療なのか、特区なのかという点について、いかがでしょうか。

<知事発言>

なぜ特区なのかということですが、さがみ縦貫道路(圏央道)の2年後の開通をチャンスだと言う人もいますが、私はピンチになるかもしれないと思っています。開通によって、土地の安い埼玉県の方に神奈川の工場がどんどん吸い取られていくことが十分あり得るからです。神奈川は相当なマグネット力を持たなければいけないと思っています。県央地域にはJAXAがあり、様々な素晴らしい技術を持つ中小企業があるので、それらを生かし、ロボット産業でこのエリアを活性化していくことを訴えています。

では、なぜ特区でなければならないかと言うと、例えば災害支援ロボットは、製品開発に当たり、強い電波を出して実験をする必要があります。ところが、電波については規制があり、簡単には実験ができないのです。そこで電波法の規制を緩和してもらえるエリアを特別に作り、開発を進めていきたいと思っています。

ロボットの中でも生活支援ロボットに焦点を当てています。介護現場で働くようなロボット、それは人の形をしているとは限りません。例えば一人暮らしの老人が家の中で具合悪くなったとか、お風呂で沈んでしまったとき、それを察知し、すぐに連絡するようなものも含めてロボットと言っています。こういうロボットのニーズはあると思います。

災害支援ロボットと介護ロボットを柱にしていきます。その際、最先端の「はやぶさ」の技術、これは大変な宝ですが、それが生かせたらと思うのです。しかし、そういったロボットを開発したくても、様々な規制が邪魔するわけです。だから、規制を特別に緩和してもらう、それで特区と言っています。

もう一つ、どうして医療なのかというのは、非常に重要なポイントですが、後半のテーマとかかわっているので、後半にお答えします。

知事によるまとめ(マグネット地域)

県央地域には、これだけの素晴らしいパワーがあるということを、是非皆さんに知っていただきたい。世界が注目して感動した「はやぶさ」の技術がここにあるということです。そういうものを、商店街が地元の人たち、企業や大学生とも連携しながら、一つのマグネットの力にしていこうという動きもあるわけです。

商店街の話と、世界最先端の科学技術の話が結び付いていくのは面白いですね。これがうまく融合した時に、ここにしかないマグネットの力になると思っています。

会場の皆さんはそれを知ったわけですから、今日をきっかけとして、どうしたらそれを、自分の力でもっと磨き上げていけるか、工夫していただきたいと思います。 

このページの先頭へもどる

客席に発言を促す知事

知事による「神奈川県緊急財政対策」及び「神奈川州(仮称)構想案」の説明

神奈川県の人口の変化[資料1] [資料2]

神奈川県で、なぜ緊急財政対策が必要なのかをお話しします。

これは、年齢別人口のグラフで、1970(昭和45)年は、きれいなピラミッドの形になっていました。[資料1]

しかし、2050(平成62)年になると、逆ピラミッドの形で、85歳以上の方が非常に多くなってきます。[資料2]

人口の年齢構成が大きく変わっていっているというのが、日本の状況なんですね。急速な高齢化は日本全体の問題ですが、特に神奈川はその傾向が著しいのです。

介護・措置・医療関係費の推移[資料3]

既に高齢化の影響が表れています。介護・措置・医療関係費が、わずか7年間で約2倍になっています。

義務的経費の見通し[資料4]

平成15年度から平成24年度までの県税収入と義務的経費を見ていきましょう。

人件費等、介護・措置・医療関係のお金、借金の返済に充てるお金、これらを合わせて、義務的経費といいます。これは、どうしても掛かってしまうお金です。

県税収入の推移を見てみると、平成18年度頃から義務的経費を上回るくらい伸びていましたが、平成20年のリーマンショックでがくんと落ちました。そこから立ち直れない状況が続いています。現在の財政状況がかなり厳しくなっているということは、これでお分かりになると思います。

神奈川県の職員定数の推移[資料5]

神奈川県が財政対策を今までやってこなかったのかというと、そんなことはありません。神奈川県は全国に先駆けて行財政改革にしっかり取り組んできました。これは私の功績ではなく、これまでの知事たちが一生懸命取り組まれたんですね。

平成9年度から平成24年度までの神奈川県の職員定数の推移を見てみますと、警察官と教員は少し増えていますが、知事部局の職員は大幅に減っています。平成9年度の職員数を100とすると、平成24年度は56.3。人数で言えば、当時1万3,551人いたものが、今は7,629人。6,000人近く減らしてきているのです。 

出先機関の見直し[資料6]

県の出先機関も、平成9年度は279機関あったのを、平成24年度には132機関と、半分にしています。 

教職員人件費の見直し[資料7] 

このように頑張ってきたのですが、構造的な問題もあります。

県の年間予算は1兆7,730億円ですが、その28.8パーセントが学校の先生を含む教育職員の給料なんですね。そして、そのうちの43.2パーセントは、政令市の教育職員の給料なんです。給料だけは県が払って、人事権は政令市が持っているのです。この構造は、法律で決まっているんですね。

県債年度末現在高の推移、地方交付税及び臨時財政対策債の推移[資料8] 

もう一つの構造的問題が、借金に関する問題です。

平成24年度、神奈川県全体が抱えている借金は3兆5,355億円です。予算の倍が借金なんですね。ただし、県が放漫経営をやっていたのではないことは、先程御説明しました。グラフの黄色い部分は県債ですが、これは少しずつですが減ってきています。県独自の借金はこうやって減らしてきているんですね。

ところが、赤い部分はどんどん増えています。これが平成13年度から始まった臨時財政対策債です。通常、地方交付税は国から現金で交付されるのですが、国も財政が厳しいので、地方交付税の代わりに臨時に借金で受け取ってくれということになったんです。臨時ということだったんですが、以後11年間続いています。平成24年度で見てみますと、本来ならば3,270億円現金でもらうべきところを、そのうちの4分の3、2,430億円は借金を押し付けられているんですね。こういう構図があるから、県の借金はどんどん増えていくわけです。国に対し、早く廃止してくれと強く訴えています。

都市部に高い臨時財政対策債の割合[資料9

神奈川県の税収は、東京都を除けば全国で一番多いんですよ。ところが、そのために臨時財政対策債を高い割合で押し付けられることになるんです。神奈川県、愛知県、大阪府等、比較的財力のある府県に借金を大量に押し付けるという、こういう構図になっています。

平成25、26年度の財政収支見通し[資料10]

このような状況を踏まえ、平成25年度、26年度予算を考えると、計1,600億円の財源不足が生じることになります。

義務的経費の見通し[資料11]

平成25年度以降の義務的経費がどうなっていくのか、グラフを見てみましょう。今後、高齢化が進み、介護・措置・医療関係のお金が増えていきます。そして、国から地方交付税の代わりに背負わされてしまう借金も、どんどん膨らんでいくわけです。

一方、歳入総額を見てみますと、平成26、27年度頃に県税収入の伸びを予測しているのは、消費税増税を見込んでいるためですが、大幅な収入増は期待できません。したがって、義務的経費が歳入総額を上回る状況が10年もたたないうちにやってくることになります。もうそういうところにきているんです。

このような状況ではありますが、医療や福祉関係のお金を削りますと言ったら、皆さんどう思われますか。黒岩は、いのち輝く神奈川の実現を目指すって言ってたじゃないか。なんで、医療や福祉の予算を削るのかということになりますね。

医食農同源

そこで、私は、東西医療の融合とか、医食農同源とか、未病を治すということを言っています。食の力によって、病気にならない体をつくる。併せて、食の活動や農業のあり方にも取り組んでいこうということです。

例えば糖尿病だと、悪くなったら人工透析となりますが、人工透析を始めれば医療費はどんどん増えていきます。そこで、食のあり方等によって、人工透析に至らないようにする。そうすれば、御本人の生活も楽になり、御負担も軽くなります。私は、医療費削減を先に考えるのではなく、こうやって、結果的に医療費を抑えるというようにしたいんです。

生活支援ロボット

先程話題に出た、医療や介護の現場で生活支援ロボットの力を借りたいというのはそういうことなんですね。介護の負担を減らしたり、ある種の治療的な役割を果たしたり、そういうロボットがあります。そういった最先端のものを取り入れて、皆さんの生活の質を改善し、なおかつ医療、介護のお金を抑える、そういう方向を目指してやっていきたいと思っています。

経済のエンジンを回す取組み

景気が良くなって、県税収入が増えてくれば、様々な問題は解決するんです。そのために、経済のエンジンを回す取組みとして、さがみロボット産業特区や京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区で頑張っていこうとしています。

神奈川臨調

神奈川県緊急財政対策を提案するに当たっては、6名の専門家からなる外部有識者調査会神奈川県緊急財政対策本部調査会いわゆる神奈川臨調から提言を頂きました。提言の内容は、県有施設を3年以内に全廃、補助金も、すべて一時凍結というものでした。ただし、短期間での検討をお願いしたこともあり、一つ一つの県有施設や補助金について、精査した上で結論を出したものではありません。我々は神奈川臨調から、本当に必要なものは何か、すべてゼロベースで考え直してくださいという提言を受け取ったわけです。

緊急財政対策の主な取組み[資料12

その提言を受けて、県がまとめたのが神奈川県緊急財政対策です。県有施設の見直しの結果、施設ごとに、廃止や移譲、民間活力を導入するということもあるでしょう。その見直しを今一つ一つやっているところです。

補助金、負担金についても、必要性や内容の妥当性を検証し、廃止、削減等について、一つ一つ検討しているところです。

それとともに、県民の皆様に痛みをお願いしなくてはいけないときには、自分たちももっと身を切る覚悟でやらなくてはいけないだろうと思っています。県はこれまでも、職員や施設を減らしてきましたが、今後も削減に取り組み、人件費総額を抑制してまいります。

中長期的課題への対応[資料13

臨時財政対策債を地方交付税に戻してほしいということは、引き続き国に要望いたしますが、同時に、本県独自の取組みとしても、県債の管理目標を掲げ、借金を減らすように努力してまいります。

また、教育の問題についても、政令市の教職員には、政令市に人事権があるにもかかわらず、県が給料を払っています。この状況を「ねじれ」と言いますが、これを早く解消してくれと、国に求めているところであります。ただ、教育の問題は非常に重要ですから、財政危機だからといって、教育費をばっさり切るわけにはいかないですね。そこで、教育だけは、神奈川臨調とは別に神奈川の教育を考える調査会で1年かけて、教育のあり方とともに、財政的な問題をどう克服できるか、検討していただいているところです。

先ほど参加者の方から教員は大変忙しいというお話がありました。お忙しい中で、よりよい教育をやっていかなくてはならない。しかし、今のままのことをやっていったら、神奈川県の財政は破綻します。だから、どうするかということを知恵を絞って皆で考えましょうと言っているんですね。

おわりに

今日、皆さんに神奈川の財政状況をお話ししたのは、危機感を共有していただきたいと思ったからです。実はこれは神奈川だけの問題ではなく、日本全体の問題なんですね。でも、まずは神奈川から、この危機を脱していこう、そのモデルを神奈川から示していこうということで、皆さんにお願いをしているということなんです。

タイタニックという映画がありましたが、あの中でも船が沈むわけがないと思っていた人と、大変だとすぐ脱出した人がいたのです。神奈川という船は沈みかけています。早く対応することが大事です。県の考えを押し付けるのではなくて、皆様と共に知恵を絞っていきたいと思っています。 このページの先頭へもどる

会場の皆さまとの意見交換(緊急財政対策)

< 参加者発言1 (相模原市・男性)>

大きく二つ質問します。

一つは、来年度の700億円の財源不足ということについてです。平成24年度の普通交付税大綱を見ますと、地方特例交付金は減っていますけれども、地方交付税と臨時財政対策債は増えていますから、差し引き109億円の増になります。平成23年度の決算では、49億円の黒字になっています。ということは、現在、158億円の財源確保ができていると思うんですが、なぜその158億円というのを県民に明らかにしないのですか。

それから、この問題での二つ目は、同じく普通交付税大綱を見ますと、神奈川県の今年の基準財政収入額は8,029億円で、昨年度に比べて124億円増えているんですね。これはどう見ても税収が増えるということじゃないですか。このことをどうお考えなのか、そして…。

<知事発言>

二つということだったんで、二つお答えしましょう。皆さんからお聞きしたいと思いますので。

<参加者発言1 (相模原市・男性)>

大きく言って二つと言ったんです。

もう一つは、平成30年度に県の財政が破綻するというお話についてですが、それは地方交付税制度というのを全く無視したものだと思いますよ。公債費や介護・措置・医療関係費が増えていますが、これは基準財政需要額に入るじゃないですか。税収が変わらなかったら、その分が歳入となって増えるわけですから、あのグラフはおかしいですよ。 あのグラフを元にして、平成30年度に、全歳入を持ってきても、義務的経費すら払えないというようなことを言うのはおかしいですよ。あのグラフというのは撤回してもらいたいと思います。

<知事発言>

来年度、700億円不足するというのは、ある時点での見通しの額です。今、いろいろと取り組んでいますし、税収額も変わってくるから、この数字は今後変化します。

私が言っているのは、来年のことだけではなくて、将来の大きな問題のことです。先程人口ピラミッドのグラフをお見せしましたね。ご老人がどんどん増えてくるんですよ。そして、高齢化の傾向は財政面で既に現れてきているんです。

高齢化ということは悪いことじゃないですよ、長生きできるようになったんだから。だから、皆さんに幸せな生活を送っていただくために、今できることはどんどんやっていかなくてはいないということを言っているんです。

20年先を見据え、今やらないで先送りしたら、どんどん事態は悪くなるということを申し上げているのです。県税収入が伸びていけばいいわけですから、それを伸ばすために、経済のエンジンを回すというマクロの話をしているんです。

<参加者発言1 (相模原市・男性)>

私の質問に答えていません。あのグラフがおかしいと言っているのですから、ちゃんと答えてください。

<知事発言>

グラフはおかしくありません。20年後は、高齢化が進み、人口ピラミッドが変わっていくんですから、財政的な影響も出てくる。皆さんに間違った嘘のことを言って何になりますか。それだけの危機なんですよ。

<参加者発言2 (相模原市・男性)>

今の方が言われているのは、義務的経費が増えれば地方交付税の収入になって、収入も増えていくというのが今の地方財政制度の基本なのに、収入がそのままで、歳出だけが増えていくという知事の説明はおかしいのではないかという指摘です。それが第1点です。

次に、本日配布された「緊急財政対策」という冊子に、補助金の廃止のリストが載っています。その中に、保健福祉局の民間社会福祉施設運営費補助金とか小児医療費助成事業補助金等があります。知事にお聞きしたいんですが、県民の命にかかわるような福祉や医療を切り捨てて、果たして経済のエンジンを回せるのでしょうか。私は、このことによって、神奈川県はそれこそ泥沼になるんじゃないかと考えます。

先程知事は、県税収入が伸びればいいのだから、そのために、経済のエンジンを回そうと、さがみロボット産業特区等をやるんだということをおっしゃいました。要するに、それで財政難が解決するだろうということだと思うんですけれど、もし、本当に効果があるというのならば、福祉等の切り捨てをやる必要はないんじゃないですか。

<知事発言>

先程臨時財政対策債のことを申し上げましたが、本来なら地方交付税として全部交付されるべきものなんですよ。国にこの構図を変えてくれということを言っているわけです。

それから補助金の問題ですね。今、補助金を全部リストアップして、一つ一つ検討しているところです。何もこれを全部切るなんて言っていません。

私は「いのち輝く神奈川」を作りたいと言っていますが、20年後もいのち輝く神奈川であってほしいと思っています。そのために今やらなくてはいけないことは何なのかを御理解いただきたいと思って言っているわけです。

たとえば、「この補助金ちょっと我慢してください、早く経済のエンジン回しますから」、ということはあるかもしれません。ただ、経済のエンジンというのは、ある程度の仕掛けとか、いろんなことやっていかなくてはなかなか回っていかないですよ。それをやっていく中で、マグネット地域、世界から注目される県央地域を作っていこうと言っているわけです。そういう意味で、この対話の広場もやっているということです。あれを一つやればいい、これを一つやればいいという話ではありません。

<参加者発言3 (相模原市・男性)>

政令市の教職員の人件費を県が負担しているとのお話がありましたが、教職員給与への国の財政措置は、国庫負担と交付税措置で賄われていると思います。このことについては、政令市も一般市町村も、基本的には変わらないと思います。

「ねじれ」と言われているのは、教職員の人事権等(人事権者と給与負担者が一致しない)についてで、財政的な裏付けとは全く違う話です。ですから、政令市が多いから神奈川県の教職員の人件費が高いという説明は成り立ちません。それが一つです。

それから、人口ピラミッドの説明の中で、知事から、少子化対策や子育て支援を強化するという言葉が全く出てこなかったのはなぜなんだろうと思いました。

また、神奈川県緊急財政対策が正式に決まる前の神奈川臨調の最終意見。この中で市町村補助について、県が補助金を廃止する場合は、市町村と足並みを揃えて、事業そのものを廃止することに取り組むべきであるというようなことが書いてありました。これはひどすぎますよ。各市が小児医療費の無料化を何とか広げていこうとやっているときに、県がこういう逆向きのことをやろうとしているわけです。

長く続いた相模原市と町田市との境界についての協議が整ったのですが、相模原市から町田市に移る人はいても、逆はほとんどいません。これは、東京都と神奈川県の福祉制度の格差、これが非常に大きいとみんな言っています。

子育てや福祉へのお気持ちが知事の説明に全く伺えないのはなぜなのか。地方自治体の長として、向いている方向が違うのではないかと思います。

<知事発言>

政令市の教職員の給与を県が払わされているのは事実です。地方交付税は、大きなどんぶりの中に入ってくるので、一つ一つに対応してるものではないんです。

そして、今日は触れませんでしたが、少子化対策は大事だと思っています。人口ピラミッドの問題を解決するには、子どもの数を増やしていくということが大事ですから。

このことに関してですが、先日、県庁で開催した対話の広場では、女性の活躍をテーマに議論しました。その時に、少子化対策として、働く女性をしっかりサポートするものが必要だろう、そういう点で神奈川は遅れているという意見がありました。女性の年齢別の就職率を見た場合、結婚されたころになるとちょっと下がって、少し年数がたつと上がってくるんですよ。これが欧米ではあまり下がらない。日本はどうしても下がってくるんですが、神奈川は全国で2番目に下がり方が激しいんです。少子化対策は何とかしなくてはと思っていますので、これからも全力を尽くして取り組んでいきます。 

それと、市町村と県との関係について、先程神奈川臨調の提言のことをおっしゃいましたが、その提言を受けて、我々がどうやって実行していくかという話をしてるわけです。県では、市町村としっかり話をして物事を進めてまいります。市町村の長や事務局も含めて、いろんな形で御相談をしているところです。

知事によるまとめ(緊急財政対策)

残念ながらもう時間が過ぎてしまいました。こういう説明会をこれからもやっていきますので、今日の話で納得できなかった、もっとこれ聞いてみたいという方は、どんどんいらしてください。

それとともに、ファクスやメールでもご意見をお寄せください。

こうやって議論を積み重ねながら、合意点を探っていきたいと思っているところです。 今日は長い時間ありがとうございました。

このページの先頭へもどる

「神奈川県緊急財政対策」に関するお問合せ先

総務局 財政部 財政課

「神奈川州(仮称)構想案」に関するお問合せ先

政策局 自治振興部 広域連携課

          

関連ページへのリンク

神奈川県緊急財政対策本部

これからの神奈川県のあり方について(案)平成24年12月版

注)県民の皆様からの御意見等により、平成24年12月版より「神奈川州(仮称)構想案」という表現は使用していません。

ロビーの展示と知事

県央地域以外の会場

「黒岩知事との“対話の広場”地域版」全県の会場はこちら

過去の開催状況

 

Adobe Readerのダウンロードページへ

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先から無料ダウンロードしてください。