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更新日:2025年10月10日

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平成29年度黒岩知事との“対話の広場”地域版(県央会場)実施結果

平成29年度黒岩知事との“対話の広場”地域版(県央会場)実施結果

対話の広場冒頭写真

概要

黒岩知事との“対話の広場”地域版(県央会場)

日時

平成29年11月6日(月曜日)18時30分から20時00分

会場

大和市文化創造拠点シリウスやまと芸術文化ホールサブホール

テーマ

スマイルかながわ

地域テーマ

ともに生きる!スマイル多文化共生社会!

内容

1知事のあいさつ

2事例発表

【事例発表者】

ハゲイ・パトリシア氏

(第4期大和市多文化共生会議副委員長)

伊藤素美氏

(「つるま読み書きの部屋」代表)

3意見交換

4知事によるまとめ

参加者数

210名

実施結果

知事の写真

知事のあいさつ

こんばんは。お忙しい中、お越しいただきありがとうございます。県民との対話の広場を各地域でやっていますが、今日は県央地域にやってまいりました。
今年1年間の統一テーマがあります。それは、「スマイルかながわ」です。その地域に合わせて、アレンジ版というような形でいろいろやっています。今日は「多文化共生」と「スマイル」を結び付けて議論したいと思います。
では、その背景について、ご説明させていただきたいと思います。「人生100歳時代の設計図」は昨年のお正月に神奈川県が言い始めたことです。最近「人生100年時代」という言葉をよく聞きますよね。最近、政府が言い始め、その対策の部屋なんかを設けて、かなり本格的にやり始めています。神奈川が最初に言ったということだけは、忘れないでいただきたいです。
1963年、100歳以上の人は、全国で153人でした。2016年は、だいたい6万6,000人くらいです。ところが、この後を見てください。この伸び方が半端ではありません。

人生100歳時代の設計図

急な角度で伸びています。2050年になりますと、約70万人が100歳以上になります。圧倒的な勢いで高齢化が進みます。こういう時代にどう対応すべきか。2050年というのは、人口が減っていると予測されていますから、割り算すると、142人に1人が100歳以上になります。
こういう中で、我々はできる限り、命が輝くような100歳時代を作りたいと全力を挙げています。「未病を改善する」ことについてアピールをしているところでもあります。
要するに何を目指すのか。我々が行き着いた今の結論は「スマイル」です。どんなに超高齢社会になっても、みんな暗い気持ちでいると、社会全体がせっかく長生きできてもつまらないではないですか。みんなが笑顔でいられるような、そんな神奈川を作りたいというのが県政の最大の目的です。
今までもいろいろな政策を進めていましたが、それを「スマイル」という言葉でまとめてみました。「共生でスマイル」「未病改善でスマイル」「マグネット力でスマイル」です。これを各地域でアレンジして、対話の広場を開催しております。そのような中で、県央地域で取り上げたのは「共生でスマイル」です。「ともに生きる」、これは、先ほどのともに生きる社会かながわ憲章にもありますが、我々が今、一番目指さなければいけないと思っているところでもあります。

県央地域の外国籍県民

 

ところで、神奈川県の外国籍県民は172の国と地域にのぼり、およそ18万5,000人いらっしゃいます。どんどん増えています。
この県央地域には3万5,000人くらいいらっしゃいまして、国別では中国、フィリピン、ベトナム、韓国が多くなっています。今日、後で出ていただく、事例発表者でもパトリシアさんの出身地であるペルーの方も多いです。いろいろな国の方がいる中でみんながともに生きる。みんながスマイルあふれる社会を目指していきたいと思っています。
神奈川県は多文化共生で、いろいろな国から来た人たちは文化や背景が違う中で、みんなが「ともに生きる」として様々な政策を進めてきています。

まずは、多文化共生イベントとして「あーすフェスタかながわ」をやっています。いろいろな国の方々が自国の芸能を披露をしたり、それぞれの民族衣装を着たり、自分たちの文化をみんなでアピールするイベントを年に1度やっています。行ってみると、神奈川県は本当に多文化だと実感します。
そして、医療通訳派遣事業もしています。外国から来て、病気になり、医者に行ったら、そこでどうやって自分の症状を話せばいいのだろうかと困る人が多いと思います。「痛い」のもキリキリと痛いのか、ドーンと痛いのか、表現もいろいろと違います。そういうときに、医療通訳派遣事業によって、いろいろな言語に対応してくれます。

それから、「かながわ国際ファンクラブ」というものも作っています。県ができる外交政策は、県内にいるいろいろな国の人たちを、みんな神奈川のファンにすることです。ファンになっていただき、その後、国に帰り、神奈川のことを忘れないでいていただければ、それがパワーになるだろうということです。
外国の方を徹底的に大事にしようと、みんなファンになってもらおうと「かながわ国際ファンクラブ」を作っています。これは、インターネットで会員登録できます。その中で面白いのは、いろいろな国の方がいますが日本人もいます。日本人はサポートする側です。昔から留学生の面倒を見てくれた方などボランティアをやっていた人もいます。
そういう方にメンバーになっていただいて、困ったことがあればなんでも言ってください。職業、付き合い、健康の問題でも何でも困ったことを、言ってくださいというクラブを作っています。そして、みんなが集まるようなパーティもやっています。
それから、言葉の問題も大きいですよね。「多言語支援センターかながわ」もあります。多言語による支援を行っております。保健医療、子育て支援、災害などに関するお問合せに、電話や窓口で対応しております。様々な言語に対応できるような電話も用意しています。
先ほど、「Together-AMessagefromKANAGAWA-」の映像も見ていただきました。これこそ多文化共生です。いろいろな国の方が参加していただきました。これは海外向けのメッセージでもあります。なぜ、これを作ったかというと、「多文化共生神奈川」は一番の売りだと思っていました。今、ちょうど来日されているトランプ大統領は、移民排斥だと言っていました。移民排斥は多文化共生と逆をいっています。アメリカの友人からは、「こんな状況だったらアメリカにいられない」という声も聞こえてきました。
そこで、「そういう人は神奈川に来ればいい」ということで、海外向けにメッセージの動画を作成しました。しかも、英語でみんなで歌って踊ってというものにしました。現在再生回数が35万回を超えています。内訳が分かるのですが、ほとんど海外の方が見ています。

そういうことで、「スマイルかながわ」のマークも作り、政策を進めようとしています。今日は、「多文化共生によるスマイル」をどうやって作っていくのかということで、2人に事例発表をしていただいた後、皆さんと自由に議論したいと思います。最後までお付き合いください。ありがとうございました。

 

事例発表

司会

始めに第4期大和市多文化共生会議副委員長ハゲイ・パトリシアさんをご紹介します。
ハゲイ・パトリシアさんは、平成13年にペルーから来日し、平成26年、公益財団法人大和市国際化協会の登録ボランティアになられました。
翌年、チャリティー・チャレンジ・ラン「DALE!DALE!コクサイ」のメンバーとなるとともに、第4期大和市多文化共生会議副委員長に就任され、平成28年、特定非営利活動法人日本ペルー共生協会神奈川の理事に就任され、現在に至っております。
それではハゲイ・パトリシアさん、よろしくお願いいたします。

ハゲイパトリシア氏

ハゲイ・パトリシア氏(第4期大和市多文化共生会議副委員長)

私は、ハゲイ・パトリシアと言います。ペルー出身の日系3世です。17年前に来日し、ずっと大和に住んでいます。男の子3人の母親です。日本語能力試験3級を取得し、2年前からいくつかのボランティア活動を始めています。現在は、子育てをしながら通訳としても働いています。今日、ここで私が発表するのは、2001年に来日し、大和で家族と暮らしてきた、私の経験です。そして、努力し、自分の力を発揮すれば、日本社会の一員になれることをお伝えしたいと思います。
今日の私のテーマは、「もらうだけではなく、与えることも」です。まず、日本にくるまでのペルーでの話をし、次に来日後、日本社会でどう暮らしたかを話したいと思います。
私はペルーで勉強しながら秘書の仕事をしていました。夫と知り合い結婚した頃、国が政治的、経済的に危機に陥りました。とても大変な時期でした。
私たちは、ペルーでコンピュータの会社を立ち上げ、経営していましたが、日本へ行くことを決め、会社を閉じて、ペルーを離れました。
私は、高校までは日系のラ・ビクトリア学校でしたので、来日までにひらがなとカタカナを書くことができました。ペルーでの先生は、ほとんど沖縄出身の方だったので、覚えていた単語は、神奈川県では通じませんでした。教わった歌は運動会の歌ですが、「珍しい歌だね」と笑われました。
来日して初めて勤めた会社では、とてもスピードが速くて、大変な作業の職場でしたが、ペルー出身の仲間が多くいて、親切に仕事のことを教えてくれたり、職場でも、生活でもスペイン語で会話ができたり、困ることなく暮らしていました。日本語は必要ないなと思っていました。
しばらくして、仕事を変えて、新しく検査の仕事を始めた時に日本語を使う機会が増えました。職場の人と会話をするのがとても難しく、初めて言葉の壁を感じました。日本語を学ぼうと決めて、新宿の日本語学校の日本語集中コースに6か月通いました。いろいろなことを覚えました。私にとって、とても大事な6か月でした。検査の会社に戻った時、今までに分からなかったことが分かり、上司とも丁寧な言葉で会話ができるようになりました。とてもうれしかったのを、今でも思い出します。
3年から4年後、最初の子どもができ、仕事を辞めました。一日中、家で1人で過ごすことが多くなって、外出も買い物と病院に行く程度でした。涙が止まらなくなったり、起き上がれなくなったりということが多くなりました。5か月ぐらいその状況が続き、毎日落ち込んでいました。日本で出産する予定でしたが、夫が心配して、ペルーにいる両親と相談し、私と赤ちゃんのことを考えてペルーで出産することになり、帰国しました。
出産後、日本に戻り、パートタイムで弁当屋で働き始めました。仕事は素早くでき、問題はなかったと思いますが、私の日本語が不十分だったのか、厳しく注意されたり、怒られたりしていました。私は毎日泣きながら家に帰っていました。次第に人への信頼が薄れ、日本語を覚えたい気持ちや、頑張りたい気持ちをなくしました。
しばらくして、2人目の妊娠がわかり、弁当屋を辞めました。二人の子どもの子育てに専念し、日本語の書類でわからないことや、相談したいことがあったときは市役所に行って、スペイン語の通訳を頼みました。あの頃は日本語に興味が向かなくて、身につけた日本語で十分だと思っていました。ペルー人のコミュニティにいれば困ることはなかったからです。
ところが、長男が幼稚園に入って困り始めました。幼稚園から受け取る書類の内容がわからないのです。最初は通訳の方のところに行って読んでもらっていました。でも、そのうち、「このままではいけない、迷惑をかけてしまう。自分の問題なのだから、自分で解決しなければいけない。」と思い始めました。電子辞書を買って、言葉や漢字を調べたりしていましたが、分からない表現も多くていつも困っていました。「もっと日本語を勉強し、日本人のコミュニティにも入れるようにしなければ」と思うようになりました。通訳の方と友だちになり、それがきっかけで日本語のクラスを教えてもらいました。
また、同じ頃、大和市国際化協会の方にも誘われて、不安ながらボランティアの登録もしました。メンバーの皆様はとても温かく、親切な方々で、すぐに打ち解けることができ、自分の感情、意見を言えるようになりました。これが、私のボランティア活動の始まりです。
ペルー料理のクラスを開き、自分の国ペルーの文化についても話すようになりました。
また、イベントに参加して、日本に住んでいる外国人としての経験を伝えたりしています。
2015年に第4期大和市多文化共生会議への参加を勧められ、副委員長になりました。副委員長になってわかったことがあります。大和市では外国人のために多くの支援が行われていますが、考えなければいけない問題も多くあることが分かりました。
まず、支援や活動についての情報が、本当に必要な人に届きにくいということです。情報が届いた場合でも、支援を受ける側が、残念ながら、支援に報いるために頑張ろうとしないことがあります。例えば、日本語のクラスでは、16人の方が始めたとしても、修了する時は、半分になっていることがあります。
また、支援をもらうことに慣れてしまっている人もいます。私が副委員長になってから、「ボランティアをしたい」と相談を受けたことがあります。そういう人は活動準備にも時給がもらえると思っていて、払われないと知ると、ボランティア活動をやめてしまいました。私はびっくりしました。とても残念に思いました。
もらうだけではなく、与えることもしてほしいと思います。人のために何かをすることは、言葉でうまく説明できませんが、気持ち良く感じます。活動が終わって、お礼の言葉を聞き、うれしそうな顔を見ると、相手の喜びが自分の心にも響きます。この「与える」喜びを他の人にも味わってほしくて、私は、いろいろな方に声をかけて、「一緒に活動しませんか」と誘っています。
次は、私も参加しているチャリティー・チャレンジ・ラン「DELE!DELE!コクサイ」というマラソングループについて話したいと思います。このグループには日本人やいろいろな国籍の人が参加していて、一緒に走ります。グループのメンバーが1km走るごとに10円の寄付をすることになっていて、例えば、4キロ走ると、40円を寄付します。こうして集まった寄付金は、毎年大和市の小児科のある病院に贈呈しています。今年は、それ以外に子育て中のお母さんたちのために多国語情報ガイドを作る資金にもあてています。マラソングループには、専業主婦や医師もいて、一緒に走っています。皆、とても仲良く大きな家族です。
私は、他にもNPO法人日本ペルー共生協会、AJAPEにも参加していて、神奈川支部の理事の一人です。AJAPEでは、小学、中学の外国につながる子どもたちの学習の支援をする教室を開いています。担当するボランティアの先生の中には、ペルー人の方もいま
す。AJAPEはコンピュータや、ペルーの民族舞踊のクラスも開講しています。民族舞踊のクラスでは、子どもたちが自分のアイデンティティを持ち続けられるようにと行っています。この他、大人向けの日本語クラスや日本人向けのスペイン語クラスも開講しています。
多文化社会の一員として住みやすい環境で、心地良くともに生きていくには「もらうだけではなく、与えることも」必要だと思い、私は活動を続けています。以上、私の経験、活動をお話しました。皆さんの前でお話する機会をいただき、とても感謝しています。皆さんの周りには、日本に住んでいるのに日本語が十分でない人々がまだまだたくさんいます。でも、皆、一生懸命頑張っています。この人たちがより深く日本社会に溶け込めるように、多文化共生社会が築けるように、これからもルールを守りながら、相手の立場も考えて活動を続けて行きたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。

司会

続いて、「つるま読み書きの部屋」代表伊藤素美さんをご紹介します。
伊藤素美さんは、大和市で、日本語教室「つるま読み書きの部屋」の代表として、履歴書の書き方や薬の飲み方など生活に役立つ日本語を教えておられ、外国籍住民の方々が、日本語を話せるのみならず、読み書きをする力をつけ、豊かな実りの多い生活ができることを目指していらっしゃいます。
「つるま読み書きの部屋」は、平成22年から大和市との協働による取組みを進めていらっしゃいます。
それでは伊藤さんよろしくお願いいたします。 

伊藤素美氏

伊藤素美氏(「つるま読み書きの部屋」代表)

ご紹介いただきました、伊藤素美です。大和市のボランティア日本語教室「つるま読み書きの部屋」で外国の方に日本語を教えています。
読み書きの部屋というと、多くの方が初めて日本語を学ぶ方に「あ・い・う・え・お」を教える教室かと思われるのですが、そうではないのです。私たちの教室はひらがなとカタカナを読んで書ける方が対象です。「えっ?」と思うかも知れませんね。日本語の文法は世界の言語の中で難しさで言えば中ぐらいです。でも、書いたり読んだりするのは、ひらがな・カタカナ・漢字が混じっているので、学ぶのがとても難しいのです。
「多文化共生」なんて漢字が5個も並んでいて、日本語を学ぶ人はため息が出ちゃいます。「みんな、笑顔でくらそう」ではどうでしょう。会話はまあまあできるけど、書いたり読んだりは苦手な方が多いです。「つるま読み書きの部屋」では自分たちでテキストを作っています。問診票やいろいろなお知らせなどを教材として生活に役立つ日本語を教えています。
日本語を教えていると言うと「英語で教えるのでしょ、すごい!」と言われるのですが、日本語で教えています。地域にもよりますが、大和市に住んでいる外国籍の方は中国・フィリピン・ペルー・韓国・ベトナムなどの方が多く、母語が英語でない方がほとんどで、英語が得意という方は少ないです。大和市は神奈川で横浜市、川崎市、相模原市、厚木市に次いで5番目に外国籍の方が多く、市民の39人に1人が外国籍の方です。思ったより多いと驚きましたか。
「つるま読み書きの部屋」は2010年から大和市との協働事業として、国際・男女共同参画課と共に活動をしています。協働事業となって、運営が楽になりました。でも、それ以上の収穫は、市の職員の方にお願いして、教室で専門のお話をしていただいたことです。AEDの使い方を救急救命課の方に、防災については危機管理課の方に、大和市の給食は保健給食課の方など、たくさんの課の方にご協力いただきました。
学習者にとって専門の方の話を聞くのはとても勉強になりますし、日本人スタッフも勉強になり、うれしかったです。でも、それ以上にうれしかったのは、来てくださった職員の方々が、日本語を学んでいる学習者に伝えるにはどうしたら良いかを一生懸命考え、戸惑いながらも学んでくださったことです。
また、「つるま読み書きの部屋」のやり方を他の日本語教室や日本語教育に関わる方々に使っていただきたいと思い、国際・男女共同参画課のお力をお借りして、ホームページを作りました。「つるま読み書きの部屋」で検索していただければ見つかりますから、のぞいてみてください。
教室では、学習者と日本人スタッフが同数ぐらいでテーブルを囲み勉強します。学習者は「先生が多くて贅沢な教室ですね」と言います。また、ある学習者は「先生の言っていることはわかるのに、他の日本人の話はわかりにくい」と言いました。実は、日本語教室で教える時は「やさしい日本語」で学習者と接しているので、理解しやすいのです。
やさしい日本語って初めて耳にする方もいらっしゃいますよね。簡単なという意味の「易しい」と、相手を思いやる「優しい」を一緒にした「やさしい」です。やさしい日本語のポイントは2つ。「ゆっくり話す」と、「わかりやすい日本語」を使うことです。
私の話はゆっくりで焦れったいと思っている方もいるでしょうね。教室ではゆっくり話すようにしています。わかりやすい日本語ですが「住所・氏名を記入してください」と「住所と名前を書いてください」とどちらがわかりやすいですか。外国の方と話すときは「やさしい日本語」を思い出してください。
私が大好きなことは、学習者に「日本に来て一番驚いたことは何?」と聞くことです。
ペルーの女性は「日本の街は静か、電車の中も静か」でした。きっとペルーでは、みんなが楽しくおしゃべりをしながら歩いたり、音楽が聞こえてきたり、賑やかで楽しいのでしょうね。
ペルーの男性は「トイレに入ったら、何もなくて驚いた」と初めて男子トイレの個室に入った時のことを話してくれました。そうですよね、和式トイレは床にちょこんとスリッパの大きいような物があるだけですものね。でも、初めて洋式トイレに入った日本人も驚いたでしょうね。
台湾の方は「麺を音を立てて食べる」です。台湾では音を立て麺を食べるのは大変失礼なことだそうです。世界の多くの国では食べる時に音を立てるのはマナー違反です。
でも、音を立てずにお蕎麦を食べたらおいしくなさそうだけれど。
いろいろな文化があります。お互いの文化を知って、認め合うのは大切なことだと思います。
「対話の広場」でお話できることになって、もう一度、「みんなが笑顔で暮らす」とは何かなと考えている時、新聞に入っていた「かながわ県のたより」を何げなく読んでいたら「ともに生きる社会かながわ憲章」が目に入りました。皆さんのお手元にパンフレットがあると思います。こちらのスクリーンにも映っていますね。ここには「障がい者」とありますけど、障がいのある人も障がいのない人も、お年寄りも子どもも、女性も男性も、日本人も外国人も、偏見や差別という壁のない、その人らしい暮らしをすることこそが多文化共生ではないでしょうか。多文化共生はみなさん一人ひとりの心の中にあります。 ご清聴ありがとうございました。

意見交換

知事

非常に素晴らしいお話をしていただきました。このお話をベースに、皆さんと議論していければと思うのですが、ちょっと追加で、私の方から質問させていただきたいと思います。
伊藤さん、そもそもですね、こういうボランティアを始めようと思われたきっかけはなんだったのですか。


伊藤素美氏(「つるま読み書きの部屋」代表)

きっかけは、私は日本語がしゃべれれば、日本語を教えられると思っていて、英語の先生に聞かれたことを話すと日本語がめちゃくちゃで、「ちょっとなぁ。」と思い、お友達が日本語教室をやっているということで、一緒に始めました。


知事

これまでに何人くらいの生徒さんというか、教えた方はいらっしゃるのか。


伊藤素美氏(「つるま読み書きの部屋」代表)

かなり多いです。100人、もう少しいるかな。

知事

もう何年ですか。

伊藤素美氏(「つるま読み書きの部屋」代表)

10年以上教えています。

知事

そうですか。その中で、逆に発見というか、新たなことを知るということなどはありますか。

伊藤素美氏(「つるま読み書きの部屋」代表)

日々新しいことの発見と言ってもいいです。やはり外国の方とは文化が違いますから、いろいろな文化の違いを知っては楽しんでいます。例えば、「お腹がすいた」と「お腹が痛い」では、日本人はどちらもお腹を押さえるので、一緒です。パキスタンの方ですかね、その方は「お腹が痛い」ときに押さえるけど、「お腹がすいた」ときには押さえない。なるほどと思ったことがあります。

知事

文化の違いを逆に学ばせてもらう機会でもあるのですね。

伊藤素美氏(「つるま読み書きの部屋」代表)

楽しいです。

知事

それは、パトリシアさんもおっしゃっていた「もらうだけではなく、与えることも」あるのだと、双方向性だということですよね。パトリシアさんのお話を聞いて、すごいなと思ったのは、絶望というか、涙を流して、「もうだめだ」と、「日本語を勉強したくない。」という気持ちになりながらも、それを乗り越えてきていますよね。それはなんだったのですか。

ハゲイ・パトリシア氏(第4期大和市多文化共生会議副委員長)

多分、子どもが生まれて、子どもをみると、彼らの成長を見て、日本に慣れてきたので、私も頑張ろうと思いました。

知事

お子さんの力が大きかったですか。

ハゲイ・パトリシア氏(第4期大和市多文化共生会議副委員長)

はい。大きかったです。

知事

そうですか。お子さんは日本語はお上手ですか。

ハゲイ・パトリシア氏(第4期大和市多文化共生会議副委員長)

上手です。

知事

大得意ですよね。幼稚園も行って、普通に子どもたちと遊んで、帰ってきて、お母さんは、孤立していると、日本語が上手になっていない。だから、例えばさっきお話にあった書類とかも読めない。

ハゲイ・パトリシア氏(第4期大和市多文化共生会議副委員長)

全然読めなかった。自分で何回も市役所に行って、通訳を頼んで、私も不安になって、自分でも頑張ろうという気持ちを強く感じました。

知事

これは、日本人も海外でよくやることですが、日本人同士だけで集まって、そこで、一つのコミュニティを作るというのは非常に多いです。パトリシアさんもペルーから来られても、最初はペルーの社会にいらしたということですね。そうたら、別に不自由しないわけですよ。
ところが、子どもさんの子育て一つにしても、孤立していってしまうことになります。
よくそれを克服されましたね。今、そういうことで悩んでいらっしゃる、同じような悩みを聞かれたりすることはありますか。

ハゲイ・パトリシア氏(第4期大和市多文化共生会議副委員長)

まだまだいっぱいあります。

知事

こういう素晴らしいお話を聞いた上で、皆さんと議論したいと思います。ここから先は、シナリオはありません。あるのは、20時までということだけです。対話の広場ですから、皆さんが発言をしないと、この会は止まります。何でも結構です。お二人に対する質問でもいいですし、県に対する質問でも意見でも結構ですし、自分はこう考えるという意見でもいいですし、それから、こういうことはどうでしょかという提案でも提言でも結構です。私はこんなことをやっていますというアピールでも結構です。では、よろしくお願いします。

はいどうぞ。

参加者1(男性・厚木高校生徒)

自分自身は高校生なので、高校生という立場から黒岩知事に質問というか、意見を言わせていただきます。短期留学等もしていて、他の文化と触れ合う場面も少々あったのですが、他の国の文化とか他の地域の文化とかを知ることは、新しい発見や新しい考え方を学べて、とても楽しいと思います。しかし、学校生活を通じて実際に学べる場面というのは、まだ少ないと思っていて、自分の友達とかでもそういったことに関心がない人も非常に多いです。でも、神奈川県が掲げている「スマイル多文化共生社会」というのは非常に素晴らしいことだと思うので、それを実現していくにあたって、僕たち若い世代の重要性というか、楽しさを伝えていければいいかなと思い、学校教育を通じて他の国の方や他の地域の方と関わる場面を増やしていただければありがたいのですが、どうでしょうか。

知事

ありがとうございました。高校生がストレートに話をしてくれるというのは非常にうれしいことですね。短期留学をされたというのは、どういうきっかけだったのですか。

参加者1(男性・厚木高校生徒)

学校のプログラムでオーストラリアに行かせていただきました。

知事

そういうプログラムが用意されているわけですね。それが少ない、もっとあったほうがいいということですか。

参加者1(男性・厚木高校生徒)

そこで行けるのが、20人だけだったので、本当はもっと行きたい人もいたし、そういう機会がもっと増えていけばいいのかなと思いました。

知事

20人というのは、1学年?

参加者1(男性・厚木高校生徒)

1年で20人ということなので、学年は問われません。

知事

3学年で20人ね。期間はどれくらい?

参加者1(男性・厚木高校生徒)

2週間ちょっとです。16か17日間くらいです。

知事

なるほど。非常に良い経験になったわけですね。これをもっと広げてくれということですね。これをどこまで広げられるか、20人というのは結構行っているかなという気もしますが。
さっき、伊藤さんが非常に良いことを言ってくださいましたね。「ともに生きる社会かながわ憲章」は、元々津久井やまゆり園事件がきっかけでね。あの容疑者、犯人は「障がい者はいなくなったほうが良いのだ」という、とんでもない考えに基づいての凶行ですよね。障がい者がいなくなったほうが良いということではないと、みんなで理解しようということで、この憲章をまとめました。元々は障がい者の話だったが、今、お二人の話を聞いていると、言葉がうまく話せないことも、考えればある種の障がいですよね。それを乗り越えて行くことも含まれています。
「私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します」日本語が十分しゃべれなくて、イライラして、「もういいよ」ではなくて、そういう壁を、偏見や差別も排除しましょうということです。もし、理解できないのなら、どうすれば理解できるようになるのかを考えましょう、それも多文化共生。
つまり、外国文化というものを、自分がそこに行って学ぶということは大変お金もかかることですし、みんなにこれをやってもらうということは、なかなかいかないです。
実は、身近なところにもそういうチャンスがあることに気付くことも大事ではないかなと思います。さっき「かながわ国際ファンクラブ」と言いました。この神奈川県内にはおよそ18万5,000人の方が住んでいらっしゃる。172の国と地域の方ですよ。この人たちと触れ合うというのも大きな自分の壁を乗り越えて行くきっかけにならないでしょうか。県は、わざわざ外国まで行って、留学しなくても、この県内に居るだけで、そういった皆さんと触れ合える場を作っています。そういったことによっても、自分の価値観を広げていく。そのような形で、是非やっていただければなと思います。こういった問題意識を持たれたということは非常に重要なことだと思います。我々もしっかり受け止めたいと思います。ありがとうございました。

参加者2(女性・相模原青陵高校生徒)

こんにちは。私は2年前にネパールから日本に来ました。来た時は、日本語が全然話せませんでした。また、日本の中学校にも行っていません。それでも、こうして高校生になれたのは、「セムラ」という教室で日本語を勉強したからです。私たちのように外国から来た生徒は日本語が勉強できる「セムラ」みたいな場所が必要です。相模原だけでなくて、もっとたくさんの場所に「セムラ」のような教室があればいいなと思います。ありがとうございました。

知事

ありがとうございます。わずか2年ですか。それまで全然日本語できなかったのですか。

参加者2(女性・相模原青陵高校生徒)

勉強しなかったから、できませんでした。

知事

すごいですね。そんなに集中して勉強できて、それだけ話せるようになったのですね。

参加者2(女性・相模原青陵高校生徒)

ありがとうございます。

知事

さっきの「つるま読み書きの部屋」は鶴間、大和だけのものなのですか。

伊藤素美氏(「つるま読み書きの部屋」代表)

どこの方でも結構なのですが、学生の方だと昼間のクラスが平日になってしまいますし、夜のクラスもあるのですが、19時くらいになってちょっと夜が遅くなってしまいます。ご参加いただくのは、どなたでもできます。

知事

鶴間に行っていただければ、できます。こういうボランティアは、他の地域ではやってないのですか。

伊藤素美氏(「つるま読み書きの部屋」代表)

ボランティアの日本語教室はいろいろなところにありますので、地域の市役所とか、そういうところで聞いていただければ、いくつかご紹介いただけると思います。

知事

先ほどご紹介した「かながわ国際ファンクラブ」をインターネットで調べてみてください。そうすると、そこは外国から来られた方がたくさん参加しています。そこに行くと、それを支援しようとするボランティアの人もいます。日本語のレベルをアップしたいという方はそれもできるし、逆に言うと、日本人の高校生も来ています。日本人の高校生は、そこで外国語の勉強をしようと、英会話を勉強しようと来ている人もいます。
そういった交流の場を作っていますから、是非「かながわ国際ファンクラブ」をチェックしてみてください。頑張ってください。

参加者2(女性・相模原青陵高校生徒)

ありがとうございます。

知事

皆さん、もう一度拍手で、ありがとうございました。うれしいですね。こういう方が発言をしてくれるのですから。
はい、どうぞ。また、高校生が挙がりました。どうぞ。

参加者3(男性・大和南高校生徒)

2年前にカンボジアから来まして、先月からアルバイトを探しているのですが、残念ながら、ずっと落ちていて、外国人の高校生には難しいです。日本のアルバイトはホールや接客などが中心で、外国人のように日本語があまりできない人には本当に大変です。外国人の高校生でもできるアルバイトがもっと増えてほしいと思っています。

知事

カンボジアから来られたのですか。日本人だと思っていました。あなたも2年でこんなにしゃべれるのですか。すごいですね。
例えば、コンビニなどで働いていらっしゃる外国人の留学生の方、結構いるじゃないですか。

参加者3(男性・大和南高校生徒)

僕は、コンビニが嫌いなので、違う仕事が良いです。

知事

嫌いなのね。どういう仕事がしたいのですか。

参加者3(男性・大和南高校生徒)

キッチンのスタッフとか、しゃべらないで、自分だけでやるような仕事が良いです。

知事

どうですか、伊藤さん、こういう相談に来られたら。

伊藤素美氏(「つるま読み書きの部屋」代表)

キッチンのバイトもありますし、よくお話ができない方ですと、お弁当屋さんでお弁当を詰めるバイトをなさったりしています。あと、冷凍食品なんかの野菜を切ったりしてあまりしゃべらないお仕事はあるけれども、それがバイトでできるかどうかがちょっとわかりません。

知事

パトリシアさん、そういうバイトを探したことありますか。

ハゲイ・パトリシア氏(第4期大和市多文化共生会議副委員長)

探したことはあります。私もたくさん探して、電話をして、「外国人にはできない。」と言われますが、それでも、「この仕事が好きだから。」ともう1回電話をしました。

知事

ネバーギブアップということですね。徹底的に行くぞということです。そして、さっきの話の「かながわ国際ファンクラブ」に本当に行ってみてください。そこでいろいろな情報交換があります。「あそこにこんな理解がある人がいるよ。」とか、そういう情報が飛び交っています。これが大事です。ありがとうございます。
県央には外国籍の方がたくさんいらっしゃると話をしましたが、わずか2年で、ここでこれだけ堂々と話ができるというのは、それだけでもとても立派なことだと思います。

参加者4(女性・相模原青陵高校生徒)

本日は、先ほど、私の後輩が話してくれた「セムラ」の活動について、みなさんに興味を持っていただきたく、紹介をしに来ました。「セムラ」とは、相模原青陵高校と大学とNPO等が協働して行っている多文化共生の学習支援拠点です。主な活動としては、彼女のように外国につながる人たちに日本語や学校の勉強を教えたりすることです。それ以外にも、クリスマスやハロウィンなどの外国ならではの イベントや、日本の七夕やお正月などのイベントの際にはパーティなどを開き、お互いの文化を知りつつ交流を深めています。
「セムラ」にはたくさんの国籍の人たちが来ます。中には、日本語が全くしゃべれない人や、先ほど発表していただいたとおり、英語圏以外の人たちも来ます。慣れない日本の環境の中で、来る生徒たちはみんな、一生懸命日本語を覚えようと勉強を頑張っています。先ほどお話していただいたパトリシアさんも日本語や日本の文化がわからなくて、泣いてしまったと聞いて、とても胸が痛んだのですが、私は日本に来て、日本の言語や文化がわからないという理由で、心を閉ざして泣いてしまうのはとても悲しいです。
そんな人のサポートが、「セムラ」ではできると私は思っています。
今からペンと紙が手元にあると思うので、ゆっくり日時と場所を言うので、さっき厚木高校の生徒の方で最初に意見を言ってくださった方も、もっと交流の場がほしいとか、今、この場に外国籍の方も何人かいると思うのですが、進路やアルバイトの相談も受け付けています。興味のある方はメモをしてください。知事は絶対にメモしてください。
毎週土曜日に相模大野にある相模女子大学で10時から11時半まで活動しております。
インターネットで「セムラ相模原」と調べたら、ホームページが出てきますので、詳細はそちらの方を確認していただいたほうが、私の緊張して、わかりにくい説明よりもわかると思います。知事にも「セムラ」に来て、一生懸命頑張っている生徒たちの姿を是非見ていただきたいです。お忙しいとは思うのですが、知事や会場の皆さん、是非来てください。以上です。

知事

緊張しているようにはとても見えなかったですけどね。「セムラ」と言うのですか。「セムラ」ってどういう意味ですか。

参加者4(女性・相模原青陵高校生徒)

「セムラ」は、英語だと「CenterforMulticulturalLearning&Activities」の略で、これだとちょっとよくわからないという人が多いと思うので、たくさんの国の生徒たちが来るとさっき話したように、本当にたくさんの国籍の方が集まる教室です。なので、今日は世界の村「セムラ」と覚えて帰ってください。

知事

どういうきっかけで参加されたのですか。

参加者4(女性・相模原青陵高校生徒)

私がこの「セムラ」のボランティアに参加したいと思ったきっかけは、中学までは、外国につながるハーフの友達はいたのですが、実際に高校に入った時に初めて、言い方がちょっとあれなのですが、純血の外国人のお友達ができて、もっと仲良くなりたいな、お友達になりたいなと思っていて、そうしたら高校に「セムラ」という外国の方とつながる、外国の人と交流が深められる活動があることを知って、授業の一環として、私は参加しています。

知事

そうですか。それで、そこには支える側は何人くらいが集まるのですか。

参加者4(女性・相模原青陵高校生徒)

支える側は、高校生だけではなくて、大学の方々やいろんな大学や学校の先生方も教えに来ています。

知事

そうですか。素晴らしいですね。本当は前に出て発表してもらいたかったくらいです。
しっかりメモしました。皆さん、覚えて帰りましょう。「セムラ相模原」をインターネットで調べてください。毎週土曜日10時から11時半まで、相模女子大学でやっています。ありがとうございました。これからも是非、頑張って、支援をしていってほしいです。こういうボランティア意識を持っていらっしゃる方、実際にやっていらっしゃる若い方がいるのですね。これは、心強いことです。どんどん高校生が挙がりますよ。

参加者5(男性・大和南高校生徒)

知事に質問したいのですが、伊藤さんが、外国人と話すときは、やさしい日本語でゆっくり話すこと、分かりやすく伝えることと言っていました。母語が英語ではない人も多いと聞きます。自分は世界で幅広く使われている英語が外国人と話すためのツールだと思っていました。
なので、厚木高校の方ほどしっかりしたものではないのですが、通っている予備校で開催されていた「イングリッシュキャンプ」というものに、今年の夏休みに参加させていただきました。そこでは、「日本のグローバル化」というテーマでやったのですが、今回の「多文化共生」というテーマといろいろな文化に触れるという点では同じだと思うので、お話させていただきます。英語で話すことに対して積極性を持つこと、相手を知るためには自分から行くことが大事だと思っているのですが、多文化共生社会の実現や維持のために、自らができること、学生としてできることは何かということを伺いたいのですが、知事はどうお考えですか。

知事

英語が世界共通語に近いということは、それは大体そうでしょう。いろいろな方がいらっしゃいますが、一番通用する言葉と言ったら、英語でしょう。だから、発想は間違っていないと思います。ただ、そうは言っても、英語圏ではない方もたくさんいらっしゃるわけですから、我々だってそうですよね、ずっと英語を習っているけれども、あまり話せない人はいくらでもいます。その中で、高校生として何ができるのか。もう、この中でヒントはあったのではないですか。私が答えるのではなくて、みなさんがその答えを出してくれています。「セムラ」もできるじゃないですか。これも参加してみたらどうですか。私が答えなくてもどんどん皆さんが答えを出してくれるのがうれしいです。こうやって情報が流れていくということが一番大事なことです。ありがとうございました。頑張ってください。

参加者6(海老名市・男性)

先ほどから知事が言っています「かながわ国際ファンクラブ」の会員でございます。
今、この会場にいる若い方は非常に活発に話をしてくれていますが、私はえびな国際交流の会の会員でありまして、二俣川に来られている神奈川県の研修生ですか、20年くらいやられていると思いますが、そういう方々と20年くらい交流しているのですが、今週も日曜日にいろいろな海外の方々と宮ヶ瀬にバーべキュー大会に、行っています。
私どもが今、国際交流をやっている理由というのは、私も少し海外に駐在したことがあるのですが、外から見ると、ここにいる方は皆さん素晴らしい人なのですが、日本人の若い方は、相当の割合で、海外に行きたくないという方が増えています。これは一番の問題だと思っています。日本は資源がない、だから海外でどんどん活躍しないと、なかなか国が、人口も減っていますから。
その中で、例えばいろいろなデータが日本人に対して良くないです。例えば、アメリカの大学生に海外で働きたいかと聞くと、80%が海外で働きたいと思っています。アジアですと、中国の方もやはり、80%くらい海外に行きたいと言います。日本はどのくらいだと思いますか。この間のデータでは50%くらいでしたが、今では30%くらいです。
海外には行きたくない、日本でのんびり暮らしたいという、残念ながら草食男子が増えたかなと。
海外に行きたくないという理由を我々もボランティアでよく考えたのですが、やはり、日本人はシャイです。島国ですし、教育も良くなかったです。一番恥ずかしがる中学生の時期に英語を習います。一番しゃべりたくない、ましてや外国語なんてしゃべりたくないと一番嫌な時期に英語を習いますから、英語が嫌いになります。嫌いになれば、勉強しない。勉強しなければ、話せない。話せなければ、海外にも行きたくない。
今、我々はいろいろな交流をやっているのですが、一番思うのは、小さい時、まだ恥ずかしいと思わない幼児の時から海外の方と接すれば、髪の色が違っても、何を話してもわからないですが、同じ人間だということがわかることが大事です。
今、キッズイングリッシュというのも、始めていますが、我々のキッズイングリッシュはお母さんと一緒に参加してもらうようにしています。お母さんは、我々の年代になりますと、英語は苦手です。私の娘も英語の短大を出ていますが、話せないです。
20年間英語をやっても、日本人は話せない人がほとんどです。今の学生さんは2年でもペラペラです。研修センターに来る方は6ヶ月でぺラペラです。驚異的です。なぜかというと、外国語をやらないと生活ができないということもあると思います。ですから、これから日本の若い人たちが海外に行くということが必要なので、今後幼児の英会話、勉強というよりかは、遊びです。是非、そういうのを増やしていただきたい。
私たちは今、ワンコイン、500円でやっています。こういった形で幼児教育からやれば、これからの将来は良いのではないかと思っていますので、是非知事にはそちらの方にも資金を出していただきたい。「かながわ国際ファンクラブ」もいいですが。
私は今、「かながわ国際ファンクラブ」では6年間、カザフスタンなどの方々とサポートファミリーとして関わっていて、娘みたいな感じになっています。カンボジアの方は、5年間、毎年来ていて、私もカンボジアに行って同窓会をやっています。ここにいるような若くて元気のよい方はごく一部です。是非、県もよろしくお願いします。

知事

ありがとうございます。かながわ国際ファンクラブを支えていただき本当に心から感謝申し上げます。こういう輪が広がっていくことはとても良いことですよね。関わった人たちがそれぞれの国に行ってもつながっていく、広がっていくというのは本当に大事なことだと思いますね。
幼児から英語を始めるということに対しては、いろいろと議論があるようですね。どうですかね。

参加者6(海老名市・男性)

多国語を話すという運動も世界ではあります。日本は島国ですから、いわゆる外人コンプレックスですね。私もボランティアを十何年やっていますけれども、やっぱり、電車の中で外人がいたら、目を背けてしまいます。目をじっと見られないというのは日本人の気質で、我々の年代はそうなのでしょうけど、今の学生は頑張っていますから、うちも大学生さんが会に入っています。やはり、コンプレックスをなくすことが一番ではないかなと思います。

知事

ありがとうございます。今日、ここに来てくださっている高校生はスーパー高校生ですが、なかなか一般にはまだ広がっていないかもしれない。確かにおっしゃるように海外に行きたくないという若い人が増えているというのは、世界から取り残されているのではないかなという心配があります。海外に出て行くと必ず何か得るものがあるはずです。

参加者6(海老名市・男性)

アジアで英語の試験を大学生がやると、30何カ国の中で、ラスト2位か3位です。

知事

こういうのを、一つのきっかけになるようにしたいと思います。ありがとうございます。今後とも「かながわ国際ファンクラブ」をご支援ください。

参加者7(女性・厚木高校生徒)

まず、最初に知事がアピールポイントでも何でもいいとおっしゃっていたので、一つアピールさせていただきます。11月3日に行われました即興型英語ディベート大会で、私たち厚木高校が優勝することができて、それをアピールさせていただこうと思います。
来月、全国大会があって、それに向けて、また頑張っているところです。
そして、私から2つ言いたいことがございまして、一つ目は、「かながわ国際ファンクラブ」など本当に素晴らしい活動がたくさん神奈川県にはあるということを今日の機会に知ることができました。実際に今の高校生とか、「セムラ」さんとか、たくさん素晴らしい活動があると思うのですが、実際にそれが知られているかということが問題だなと思っています。私たちはここに参加しているので、「かながわ国際ファンクラブ」などを知ることができたのですが、もっと沢山の方に知ってもらえるように、ポスターとか、学校で教えるなどの機会を増やしてみてはどうかと思いました。
それともう一つ、私の父はフィリピンから来ている人なのですが、海外から日本に来ている方って、ほとんどの方は仕事をしに来ていると思います。神奈川県と連携しているようなボランティアさんはたくさんあると思うのですが、もちろん、その活動を通じて、差別をなくしたり、多文化理解を深めたりなどはできると思うのですが、仕事の現場を通して、意識を変えていかないと根底は変わらないのではないかと思っていて、そのあたりを知事がどう思っているかを聞きたいです。

知事 

ありがとうございます。まずは、即興型英語ディベート大会、おめでとうございます。
これは、県内の大会ですか。

参加者7(女性・厚木高校生徒)

はい。神奈川県の公立学校が17校出場していて、そこで、15分間準備時間があって、ディベートをしていくというものです。

知事

全国大会、是非頑張ってくださいね。

参加者7(女性・厚木高校生徒)

ありがとうございます。

知事

2つめの質問の意味が少し分からなかったのですが、仕事を通じてどうしたらいいのですか。

参加者7(女性・厚木高校生徒)

たくさんの海外の方が今、日本に来ています。そういう方のほとんどは、日本に仕事をしに来ていると思うのです。多文化理解とか差別を無くすとか素晴らしいことだと思うのですが、仕事現場の意識を変えていかないと、差別はなくならないのではないかなと思っています。

知事

ボランティアだけではなくて、仕事そのもので変えていかなければだめでしょうということですか。

参加者7(女性・厚木高校生徒)

仕事現場の人の考え方をどう変えていこうとしているのか、お考えがあったら、教えてほしいです。

知事

さっきのパトリシアさんのお話にもヒントがありましたよね、仕事の現場の中でも変わるきっかけは。

ハゲイ・パトリシア氏(第4期大和市多文化共生会議副委員長)

私からのアドバイスは、日本語を勉強することは絶対に必要ということです。

知事

さっきのお話にもありました。ペルーから来られた方はペルーから来た人だけで集まっていると、心地良いのだけれども実は孤立する可能性もあるということ。外国から来られた方は、なるべく皆と触れ合う中にいたほうが良いというアドバイスでした。
また、「かながわ国際ファンクラブを知らなかった」ということですが、私も「戦略的広報」ということをずっと言っています。県庁の仕事の中でも広報はすごく大事で、非常に重点を置いてやっていますが、900万人を超える県民にはなかなか情報が伝わらないのです。いくらやっても「知りません」と言われ続けるのですが、ずっと発信し続けるしかないと思っています。今日ここに来てくださった方は、お互いの発言を聞いているだけでも、いろいろなことを知っていくではないですか。これはすごく大事なことです。実際、政策を進める中で、外国にゆかりのある方を支援するために非常に悩んでいることは、さっきお話がありました一番情報を必要としている人に「こんな支援プログラムがある」と伝えることが一番難しいです。そうですよね、伊藤さん。

伊藤素美氏(「つるま読み書きの部屋」代表)

日本の社会の中で情報を得ることは、外国籍の方にとってはとても大変です。多くの情報は日本語か少しの多言語で発信されていて、なかなか触れる機会がないということと、仕事をなさっていて、なかなかそういうものを見つけられないということです。時間がなくてね。でも、広報を続けることで、少しずつ少しずつ広がっていくのではないかなと思っています。

知事

パトリシアさんが、かつて悩んで家にこもって泣いてばかりいたという時期があったという話のように、その人にどうやって情報を届けるのか非常に難しいです。孤立していると、ある種、情報を遮断していますからね。いくら県の広報だといっても、孤立している方に届けるのは非常に難しいです。それでも、我々は色々な形でやり続けるしかないと思っています。ありがとうございました。

参加者8(男性・厚木高校生徒)

知事には2つお願いしたいことがあります。僕は、この会が非常に素晴らしいと思っていますが、この会の参加者の大半を占めているのは大人です。「スマイル多文化共生」というのは、少なからず、多文化のことを理解しなければならない。そういうことを考えると、こうした会をするのは、大人たちだけではなくて、中学や高校でやるべきだと僕は思います。大人がいくらやろうが、中学や高校の子どもたちがやらなければ、そこで終わりです。1世代で終わりです。ということを考えると、中学や高校でこうした会を実施する方が効果があると思います。
そうした会に誰が行くのかという話ですが、今の中学校において、国際理解がどれだけ進んでいるかというと、僕は全く進んでいないと思います。いくら生徒に言ったところで、「しょせん他人事」だとか、そういった理由で切られます。間違いないです。だから、まず、こうした会を中学や高校でやること、そして、一定のリズムを保った頻度でやったほうが、「スマイル多文化共生」につながると思います。ですので、知事には、異文化を知っている人や異文化の人を定期的に中学や高校に送って、スピーチやプレゼンをするようにしてほしいです。
僕たちは、毎週のように国際交流をすることで、理解を進めていますが、大半の生徒はそんなことを知りません。小学校ではやる必要はないですが、中学や高校でやることで、多文化共生に繋がると僕は思います。
また、そうした会に知事が毎回出る必要はなく、地域の人やセンターから人を送るくらいでいいです。

知事

2つと言っていませんでしたか。

参加者8(男性・厚木高校生徒)

そうでした。もう一つは、毎年、高校に留学生が来ます。日本人はとてもシャイで閉鎖的です。さっき大人の方がおっしゃっていたように島国であることによるデメリットだと僕は思っています。ですので、外国人の方が日本でホームステイすることは、日本の文化を学ぶという点においては、非常に重要なことだと思うのですが、少なからず、それはストレスにもなります。しかも、ホームステイ先を探すということも容易なことではないです。探すのには、やはり時間がかかりますし、うちの学校でもそうでした。
なかなか手を挙げてくれないです。
これは、理想論になるのですが、外国人の留学生や労働者の方のために、建物を作ってほしいです。シェアハウスから始まるかもしれませんが。今の日本に外国から来る時にホームステイ先がなかなか決まらないという問題点を解消するために、県がお金を出してアパートを建ててほしいです。ただし、これはかなりの理想論なので、今は無理でも構いません。

知事

ありがとうございます。中学や高校で県もしっかりやれよということですが、県も確かにやらなければいけないかもしれませんが、私が答えるまでもなく、答えが出ています。県がやらなくても皆さんがやっているではないですか。そこが素晴らしいと思うのですよ。行政というのが、どこまで何をやるのか。「アパートを建ててほしい。」とのことでしたが、既に二俣川にそういった施設があります。「県がやってほしい」ということは、我々がしっかり受け止めてやりますが、高校生や中学生が、自分たちで何ができるかを考えて動くということが大事です。さっきありましたよね、「セムラ相模原」。高校生が動いています。そういうアクションを広げていってほしいなと思います。県としてもしっかり受け止めたいと思います。

参加者9(男性・厚木西高校生徒)

神奈川県では、外国人の方に向けていろいろな取組みをやっているように感じていますが、多くの外国人の方々はそれを活用できていないと思います。また、日本人が外国人の方にチャンスを与えていても、活用できない人がいる限り、共生は難しいように感じます。パトリシアさんも言っていましたが、「日本人が与えるだけでなく、外国人もできることをしたほうがいい。」と思いました。そのために神奈川県は、新しく資金を使い、外国人のための施設を作るのでなく、チャンスを活かすためのきっかけを作っていったらいいと思いました。

知事

ありがとうございます。先ほど言ったとおり、いろいろなメニューを用意していますが、届けたい人に届かないというのがあります。是非、皆さんにも届ける役目を担っていただきたいです。

参加者10(相模原市・女性)

相模原市にずっと住んで大好きになりました。最初にネパールから来た時には、日本語は全く話せなかったです。日本の皆さんの外国人コンプレックスのように、私もコンプレックスがあり、外に行くのも嫌になりました。子どもたちの情報は全くありませんでした。相模原市にビザの関係で行ったのですが、日本語の案内や勉強のことなどが何もありませんでした。子どもの勉強やいろいろなことを学ぶことに非常に時間がかかりました。幼稚園の弁当を作るのに、2時間くらいかかりました。
文化が違うと大変な苦労がありました。外国人に向けていろいろな活動や支援があり、心から感謝しています。しかし、チラシを外国人が見ても、どこに行けばよいのか分かりません。
自分はずっと英語関係で育ってきていたので、大学にすぐ行けるのかなと思っていましたが、そうではありませんでした。大きなブレーキになり、やることがなくて、言葉は話せなくて、パニックになったことがありました。
また、子どもが「外人」と言われるのを嫌がっており、日本の子どもに「外人」と言わないよう先生に頼みました。そして、その言葉をどれくらい子どもたちが理解しているのかと思ったら、全く伝わっていませんでした。直接、子どもたちに「外人」と言わないように頼んだこともあります。学校や先生がまず外国人について学ぶべきだと思います。
もう一つ、仕事を探す時にどこへ行けばよいのか分かりません。外国から来ている子どもたち、もちろんアジアの発展途上国から来ている子どもたちも多いです。自分の国に行って、「そこそこの家でもいいから買いたいな。」「古い車でもいいので乗りたい。」など夢を持って来る人たちにとっては、すぐに仕事がやりやすいように、「外国人でも雇います」のようにタイトル一つでも書いてくれると、外国人にとって日本は暮らしやすい場所になるのではないかと思っております。
私は、日本で15年間仕事をしてきて日本の教育は非常に素晴らしく、世界一だなと思いました。外国人の子どもたちを弁当屋さんでバイトさせるだけではなくて、もう少し夢を持って活躍できたらいいと思います。

知事

ありがとうございます。いろいろな事があったけれども、冒頭に「相模原が好きだ」と言ってくださったこと、嫌いにならないでいてくださったことに感謝したいと思います。
ご指摘されたとおり、我々も外国人に理解のある人もいるし、いろいろな支援のメニューも用意してやってはいるのですが、なかなか情報が届かない部分があります。ご指摘されたことを考えてみると確かに抜けていた部分があったかなと感じます。反省しながら、向き合っていきたいなと思います。

参加者10(相模原市・女性)

本当に今日は感謝しております。外国人に対して、支援するだけではなくて、技術を教えて、自分で働いて、食べていくことを学ばせていただけたら、心から感謝します。

知事

ありがとうございました。とても良い発言で締めていただきました。
本当に、持ちつ持たれつということをしっかりやっていくということが何よりも大事なのでしょうね。我々が何かをして「あげる」、して「もらう」というような関係ではなくて、お互いに補い合いながら、支え合いながら、というのが、「ともに生きる」ということではないでしょうか。県は多文化共生を一番の売りにしています。神奈川県が国際化していなかったら、日本はどうなのですかと、日本の最先端を走り続けようと思っています。本日、情報交換させていただいて、「私はこんなことしよう」とか、「こういうところにこんな情報を出してあげよう」とかが多文化共生の進むきっかけとなればと思います。皆さんとともにスマイルかながわを目指したいと思います。
お二人も、皆さんも、ありがとうございました。


参加者からのご意見

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