初期公開日:2025年10月16日更新日:2025年10月16日

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子ども支援交流会(第1回)実施報告

子ども支援交流会(第1回)の実施報告です。

【実施報告】令和7年度子ども支援交流会(第1回)を開催しました!

地域の子どもへの支援に携わる団体・企業などが交流し、相互の関係づくりを進めることを目的に、子ども支援交流会を開催しました。

この交流会では、神奈川県内で活動する団体の学習支援の取組を知っていただき、より広げていくために、第18回かながわこども・子育て支援大賞等受賞団体の中で学習支援に携わっている団体の取組事例を紹介し、交流会を行い、28名の方々が参加されました。

 

  • 開催日r7-koryukaichirashi_1

令和7年7月17日(木曜日)

  • 開催場所

波止場会館4階 大会議室1・2

 

 

 

 

 

 

 

 

内容

取組事例紹介

【取組事例紹介①】

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(PDF:5,237KB)(別ウィンドウで開きます)

登壇者

あすのち

乾代表

 

 

 

 

「あすのち」は座間市と横浜市、オンラインで活動しており、「子どもが自分の明日を信じていける社会」を目指して活動している。代表の「学びたくても学べない」経験から、「自分たちの住む地域に誰でも行ける学びの場を作ろう」と2017年に高校生団体として設立した。

対象は小学生から19歳で、いつでも、誰でも、無料で参加可能。主な事業は「夕暮れ学級(学習サポート事業)」と「さつきプロジェクト(フリースペース事業)」である。同日、同時間帯に部屋を分けて開催しており、子どもたちは過ごし方を自由に選択できる。また、不定期にイベントも開催している。

夕暮れ学級では、マンツーマンで実施することで子どもたちが自分のペースで勉強できている。さつきプロジェクトは、「様々な変化の中でも変わらない安心が感じられる場づくり」を目指し、多様な人との関わりを作ることを目的に活動している。

活動の中では、「理由を言わなくても参加できる場づくり」「子どもも大人も互いに学びあう」「時間と回数を重ね一対一の関係性を築く」「子どもを真ん中に活動する」ことを大切にしている。

現在のスタッフは18歳から24歳が一番多く、仕事との両立が課題である。今後は新社会人のスタッフが無理なく活動できる仕組みづくりや物品を保管する倉庫の確保、生徒の交通費支給などを行っていきたい。また、段階的に活動日を増やし、将来的には県内に常設の学びの場と遊びの場を作ることを目標としている。子どもたちが自ら探しに行かなくても、まちの中で当たり前に信頼できる大人や、自分の未来に希望を持てるようなきっかけに出会えるような社会を作りたいと思っている。その1つになれるようにこれからも少しずつ活動を広げていきたい。

 

【取組事例紹介②】

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(PDF:3,136KB)(別ウィンドウで開きます)

登壇者

つどいの場きらく学習室

露木 和子氏、渡邉 俊夫氏、小原 松蔵氏

 

 

 

 

「つどいの場きらく学習室」は支援を求めている子どもと地域の社会貢献したい大人をマッチングさせた無料の学習室である。コンセプトは1対1の無料学習支援。コロナ禍での学校の休校、家庭で孤立する子どもの問題をきっかけに、つどいの場きらくを運営する大人たちが立ち上がり、サロンを子どもたちの学習支援の場にすることとなった。この時に「地域の子どもを地域で育てる」という土台がしっかりできたと思う。

学習支援は互いに都合のよい日時を決めて、1時間を単位に実施している。現在小学生14人、中学生13人、先生は19人。96歳の方も先生を担っている。

活動の中では「その子その子に合った学習」「点数を取るテクニックより力を伸ばす」「雑談による子どもたちとのコミュニケーション」を大切にしている。また、活動を続けるにあたっては、「講師間の繋がり、連携」「講師の確保、増員」「保護者との会話」が大切と考えている。

本学習室は、サロン活動の参加費のみで運営維持しており、学習室の講師、サロン活動のスタッフもすべてボランティアである。また、地元の方やサロン活動参加者の方々の協力があり、運営できている。「きらく学習室モデル」は地域で子どもたちの学びを支えて、高齢者には居場所を提供するという温かい仕組みになっている。このモデルの核は「楽しむことが支援につながる」という考え方。サロン活動の参加者は、自分たちの参加費が子どもたちの学びのサポートになっていることをとても喜んでいる。ここで学んで育った子どもたちが、いつか大人になって、今度は地域の支える側になってくれる日を楽しみに毎日活動している。

 

【取組事例紹介③】

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(PDF:2,030KB)(別ウィンドウで開きます)

登壇者

特定非営利活動法人メダカのお弁当

鈴木 雄大理事長、鈴木 佳奈子事務局長

 

 

 

 

「メダカのお弁当」は2022年3月に活動をはじめ、同年11月にNPO法人を設立し、昨年1月より学習支援事業を開始した。「支援が必要な方に必要なものを継続的に届ける」ことを中心に取り組んでいる。主な事業は「食事食材支援事業(お弁当の提供、こども食堂、子育て文化活動支援金給付等)」「無料学習支援事業(メダカの学校)」である。また「特定非営利活動法人さがみはら子どもの居場所サミット」としても活動しており、「さがみはら子どもの居場所サミット」「さがみはら子ども・子育て・ママ・パパ支援大賞」を実施している。今年度は「365日のメダカのお弁当」「メダカの学校を新たに2教室開校」「インクルーシブ進学就労フェア in 相模原の開催」にチャレンジ予定である。

無料塾(メダカの学校)に取り組む中では、「学習支援としての立ち位置を明確にし、ミスマッチを防ぐこと」を大切にしており、対象は「勉強したい、進学したいが経済的事情で通えない子どもたち」としている。学力や進路が家庭の経済力によって左右される構造が社会課題の1つだと思っており、機会の平等を推し進めたいと考えている。

活動を続けるポイントは「外部からの理不尽さに耐える心の強さ」「仲間は多く組織運営はシンプルに」である。課題と感じることは、学習支援のニーズが顕在化しづらいことに加え、成果が現れるのに時間を要するため支援者も手応えを感じづらく継続が難しいことである。一方で、あらゆるプレッシャーのない本当の学びの環境が無料塾にはあり、このような無料塾を必要としている子どもたちもいる。

無料塾は完璧な支援ではないが、それでも何もしないより、確実に誰かを動かす力がある。10年後、誰かの出発点になるかもしれない。そんな小さな可能性に、火をともす場所であり続けたいと思っている。あなたなら、どう動きますか?

 

【取組事例紹介④】

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(PDF:3,280KB)(別ウィンドウで開きます)

登壇者

非営利組織寺子屋くすくすの木

野田 由栄子代表

 

 

 

 

 

「寺子屋くすくすの木」は「非営利組織小さな森の学校」をきっかけに設立した。2014年に「小さな森の学校」を設立し、愛川町の地域課題解決に向けて事業を進めてきた。主に学習支援(土曜寺子屋)や保護者相談等を行ってきた。外国にルーツを持つ子どもたちと関わる中で就学時から日本語を学ぶ必要性を強く感じ、2022年に小・中学生を対象とした「寺子屋くすくすの木」を設立した。地域の教育力を生かし、複合総合福祉施設で不登校・外国籍住民への切れ目のない支援を行っている。

具体的には、「不登校児童生徒支援」「プレクラス」「プレスクール」「外国にルーツを持つ小1,2年生支援」「子どもの得意分野の発掘」「保護者相談や活動支援」に取り組んでいる。スタッフは子どもたちが好きなものに夢中になって、集中して活動できたことで自信が生まれ、助け合うことが自然にできるようになるなどの変化を感じている。

これまで活動を続けるために様々なことに取り組んできた。Facebook・Instagram配信、かわら版の発行などの広報に力を入れており、オンライン学習や保護者から希望の多かった送迎も取り入れた。さらに協働事業として愛川町教育委員会指導室(以下、「指導室」という。)と一緒に取り組んだことで、情報共有や関係部署への働きかけなどを円滑に行うことができた。また、地域共生福祉施設を活用して、ジョイントコンサートなどを開催している。

資金不足やスタッフ不足など様々な課題があるが、今後はアウトリーチで支援者が学校に出向き、空き教室で活動を行えるよう指導室と検討するなど、新たな取組も行っていきたい。

身近な場所から笑顔が広がり、世界が争いのない平和でありますようにと祈ります。

 

【質疑応答】
Q1.スタッフと子どもをマッチングする時に気を付けていること、合わなかった時の対応について知りたい。

A1.

(きらく楽習室)本団体のマッチングは塾には行けないこどもと社会貢献したい大人をマッチングするため、1対1のマッチングを指しているわけではない。これまでに先生と子どもが合わないことが2回ほどあり、先生を交代するなどの対応をした。

(あすのち)子どもたちが持参した教材に応じて一緒にサポートするスタッフを決めて実施している。また、異性が怖い、関係性を築くのに時間がかかるなど、子どもの状況に合わせて工夫している。ペアを変える時は、巡回スタッフが声をかけている。

(ファシリテーター)スタッフと子どもの相性をマッチングさせている。完全にペアを固定するのではなく、1対1でもその時々の1対1を作り上げているのがよいと思った。

 

Q2.助け合うことが自然にできるようになるにはどれぐらいの時間がかかるか。

A2.

(寺子屋くすくすの木)半年ぐらい経過すると空気が変わる。スタッフが得意分野を見つけてあげて、コミュニケーションを大切に関わることで子どもたちが変わってくる。「ここは大丈夫だ」と子どもたちが思えると、余裕が出てきて小さい子をサポートする様子が見られるようになる。

(ファシリテーター)少しずつ雰囲気が変わるのを見守ることも必要か。

(寺子屋くすくすの木)私たちは待つことがとても大事。

 

Q3.すごい勢いで成果をあげているようにみえるが、「原点と理念を常に問い直す」タイミングはあったのか。

A3.

(メダカのお弁当)様々なことをやっているといわれるが、できないことはやらない。できないことを始めると内に向けての活動が増え、外への広がりが難しくなることがあるため、線引きしている。

(ファシリテーター)できないことも含めて様々なことを始めたくなるNPOも多いが、異なる目線で取り組まれていることが参考になると思った。

 

交流会

団体や企業、社会福祉協議会、行政などの所属の方が参加され、グループ毎や会場全体で情報交換を行いました。参加者からは、「つながるきっかけになったのでよかった」「とてもいい意見交換ができた」「自分たちの活動にも役立てられそう」などの御感想をいただきました。