子ども支援WEB講座(コロナ禍での子どもの貧困の現状)

掲載日:2020年12月2日

コロナ禍での子どもの貧困の現状

<筆者プロフィール>

阿部彩先生プロフィール写真

阿部 彩(あべ あや)氏

東京都立大学人文社会学部人間社会学科 教授

著書『子どもの貧困ー日本の不公平を考える』

『子供の貧困II(ローマ数字の2)-解決策を考える』岩波書店 など

コロナ禍での子どもの貧困の現状

阿部先生資料1

 

コロナ禍による子どもへの影響は甚大である。一つは、休校や活動自粛などによる子ども自身の生活基盤の崩壊である。海外の研究によると、災害等による休校はたとえ短期間であっても、子どもの将来の高校中退率や成人後の収入まで影響を及ぼす(※1)。家庭に余裕があれば、それら影響を緩和する対策を立てられるが、貧困世帯にはそれがかなわない。
二つ目の影響は、経済状況である。既に、収入低下や失職・転職は低所得層に偏っていることが分かっており(※2)、一律給付金などの一時的な救済措置が底をつき、貸付制度などの返済が始まっている秋以降は、これまで以上に子どもの生活そのものが脅かされるようになるであろう。

平時における貧困の現実

阿部先生資料2

 

忘れてはならないのは、貧困世帯の子どもたちは「平時」であってもさまざまな生活困難を抱えていることである。コロナ禍で電気代などの公共料金が払えなくなったといったケースを取り上げた報道が増えたが、公共料金や家賃を払えない世帯は「平時」においても相当数存在する。厚生労働省の研究機関の調査では、2017年時点においても、過去1年間に金銭的な理由で家賃が払えなかった世帯は、ふたり親世帯でも4.0%、ひとり親世帯では13.3%にも上る(※3)。
大阪府の調査では、中学2年生の家庭の2.3%が過去半年の間に電気・ガス等のライフラインを止められた経験がある(※4)。
食事が十分にとれない、宿題をする場所がない、病気になっても医療機関に行くことができない、といった生活困難は身近であり、クラスの数名が該当していても不思議ではないのである。ちなみに、生活保護を受給している人は人口の2%にも満たず、日本の社会保障制度は子どものいる世帯の困窮にはほとんど対処できていない。

コロナ禍での地域における子ども支援のありかた

阿部先生資料3

 

これら家庭の中での生活困難は外からは気付きにくい。しかし、コロナ禍の影響で生活困難は確実に拡大していくと予測される。学校や地域においては、どのような活動の場においても、そこに生活困難を抱える子ども・人が含まれることを想定している必要がある。貧困の子どもや保護者は、相談する相手がいなかったり、孤立している割合が貧困でない場合に比べ高いことがわかっている。

公的・民間のどのような支援についても、生活困難を抱える子どもや保護者が自ら支援を求めることには大きなハードルがある。学校や地域から、支援が必要な人を「探し出して」支援することも困難であるし、時によっては相手を傷つけることにもなる。だからこそ、誰でも気兼ねなく参加でき、「家の事情」によって何かをあきらめなくてよいように配慮した活動の展開が求められる。

<参考文献等>

※1 Belot&Webbink,2010,Do Teacher Strikes Harm Education Attainment of Students?Lavour 24(4):391-406.,Marcotte,2007,Schooling and test scores:A mother natural experiment.Economics of Educaton Review 26(5):629-640.

※2 JILPT(2020)「新型コロナウイルス感染拡大の仕事や生活への影響に関する調査」

※3 どちらも祖父母世帯を含まない二世代世帯の場合。国立社会保障・人口問題研究所(2018)「生活と支え合い調査 結果の概要」

※4 大阪府(2017)「大阪府子どもの生活に関する実態調査」

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