科学技術関連コラム・バックナンバー(松尾副座長)

掲載日:2020年6月18日

科学技術関連コラム(第2回:慶應義塾大学理工学部機械工学科 松尾 亜紀子 先生(神奈川県科学技術会議 副座長))

掲載日:2020年2月7日

 このたび、新たに、科学技術にかかわるコラムを神奈川県科学技術会議の委員の皆様にご執筆いただくことにしました。
 コラムは随時更新予定です。第2回目は、副座長の松尾亜紀子先生です。

長生きと医療とサイボーグ
慶應義塾大学理工学部機械工学科 松尾亜紀子

matsuo「平均寿命」とは、その年に生まれた人が何年生きられるかを示したものである。日本は世界有数の長寿国家であり、2018年の平均寿命は、女性87.32歳、男性81.25歳であった。驚くことに100年前の日本人の平均寿命は43歳ほどである。今日の43歳は若く健康であり、死の影がある人など殆どいない。たった100年の月日が私達日本人を長寿の国へと導いてくれたのである。医療の進歩は素晴らしく、かつては不治の病であると言われていた癌でさえも多くの人が完治し、社会復帰を果たしている。ただし、未だに癌は死因の第一位であり、今後とも医療の進展が期待されているところである。
 さて、「再生・細胞医療」という言葉をご存じであろうか。これは、既存の治療法で治すことができない難治性の疾患や怪我を治療できる新たな医療で、細胞そのものを患部に移植し、正常な働きをする組織や臓器に「再生」させるものである。つまり、失われた機能を取り戻すことができる可能性がある。幼い頃のテレビアニメの中ではサイボーグ人間が登場し、幼心にも「再生」という革新的医療の姿を見ていたように思う。また、「2029年の日本」から物語がスタートするアニメ「攻殻機動隊」をご存じであろうか。この物語の中では、人の脳が直接インターネットにアクセスすることができ、生身の人間、電脳化した人間、サイボーグ、アンドロイドが混在し、社会が形成されている。この設定を今日の日本と照らし合わせると興味深いことが分かる。例えば電車の中の人を考えると、そこにいる殆どの人はスマートフォンを手に持ち、その画面を食い入るように見つめている。我々は脳にケーブルを直接接続することはないが、スマートフォンを介してインターネットといつでもどこでも結ばれている。つまり、ほぼ電脳化しているのである。残念ながらサイボーグ化には至ってないが、昨今の「再生・細胞医療」と「ロボット技術」の進展を鑑みると、サイボーグ化への道も遠く無いと思えてくる。
 神奈川県は2016年4月に、再生・細胞医療の産業化に向けて「ライフイノベーションセンター」を川崎市殿町に整備し、28の事業者が入居している。神奈川県が後押しした技術が社会を変えるかもしれない。期待したいと思う。

本文ここまで
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