更新日:2024年1月26日

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科学技術関連コラム

科学技術関連コラム

第9回:ジャーナリスト 三神 万里子 先生(神奈川県科学技術会議 委員)(令和5年1月掲載)

 科学技術にかかわるコラムを神奈川県科学技術会議の委員の皆様にご執筆いただいております。
 第9回目は、委員の三神万里子先生です。なお、コラムは随時更新予定です。

現役世代激減時代と科学技術振興
ジャーナリスト 三神万里子

三神万里子氏画像 2025年を境に現役世代激減期に入る日本は、今後三年間がいわば正念場だろう。科学技術を産業創出に結実させる人的・金銭的資源配分の精度と成長速度の向上が急務である。
 ボトルネックは複数ある。まず、行政の単年度予算主義では開発助成がロット単位の長期で出ず道半ばで資金切れになる。量産体制に脱皮できずラボは試作品を中小企業に作らせて論文を書いて終わる。大企業との共同開発に至っても、適切な利益・知財配分の契約手続きが取られなければ大手にソースコードやノウハウだけ奪われる。大手がそれを事業化するとは限らず結局、シーズは死蔵――少なからずこうした事態が数十年日本で続いてきた。
 海外の動きは速く多面的だ。ベンチャーキャピタルには大手ITベンダー出身のデータサイエンティストが控え巨大企業を短期間で生み出している(日本は大手企業間で人材を取り合っている)。投資リスクはスタートアップ期から簡易版デューデリジェンスを適時に入れて下げる。デューデリコストは大企業群が中立団体を介して助成する。自社で事業化できない段階から予備的にスクリーニングし、将来M&Aするためだ。この時、肝になるのが人材のナレッジとスキルを成長フェーズにあわせ補完することだが、デューデリ=(イコール)会計・法務と捉えがちな日本と異なり、成長期用の簡易版には人事組織系調査が組み込まれ、この情報もまたリスク評価指標に反映させるためデータ化している。人材補完は速度と国際競争力重視であり、国際人事界の8割がBtoB専門の世界最大SNSで国境を越えて直接スカウトすると回答している。
 神奈川県は東京都に次ぐ二位の人口規模、つまり首都以外の自治体トップを誇り研究・教育機関が集積、居住地としても知識層を魅了する稀有な場である。一連の日本の課題を突破するリーダーシップを発揮し、他地域ブロックに伝播させる影響力を期待したい。


科学技術関連コラムのバックナンバーはこちらです。

第1回「科学技術における基礎研究と応用研究の役割」
東京工業大学名誉教授・前学長 三島 良直 先生(神奈川県科学技術会議 前座長)

第2回「長生きと医療とサイボーグ」
慶応義塾大学理工学部機械工学科 松尾 亜紀子 先生(神奈川県科学技術会議 副座長)

第3回「良いアイデアを見つけるためには?」
日産自動車株式会社 フェロー 久村 春芳 様(神奈川県科学技術会議 委員)

第4回「ベンチャー企業の創出・成長支援の重要性」
(地独)神奈川県産業技術総合研究所 事業プロデューサー 馬来 義弘 様(神奈川県科学技術会議 委員)

第5回「最先端技術で最高の外科治療を実現する」
東京大学大学院工学系研究科 教授 小林 英津子 先生(神奈川県科学技術会議 委員)

第6回「科学技術人材の育つ環境」
東京工業大学名誉教授、日本工学会会長 岸本 喜久雄 先生(神奈川県科学技術会議 座長)

第7回「サイエンスインフォメーションコラム」
東京工業大学特命教授/名誉教授 柏木 孝夫 先生(神奈川県科学技術会議 委員)

第8回「科学技術の社会実装は県民意識の高まりから」
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社経済政策部主席研究員 吉本 陽子 先生(神奈川県科学技術会議 委員)

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