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更新日:2018年8月27日

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第104回神奈川県総合計画審議会 審議結果

第104回神奈川県総合計画審議会の審議結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

 
審議会等名称 第104回神奈川県総合計画審議会
開催日時 平成23年11月24日(木曜日)14時00分から16時00分まで
開催場所 神奈川県中央農業会館 5階 講堂
出席者

小林重敬、○鈴木佑司、○藤原まり子、川名和美、斎藤聖美、笹生悦子、角野てい子、野村芳広、広瀬研吉、藤井繁子、八木正幸、服部信明、内田みほこ、近藤大輔、根岸孝之、細谷政幸、八木大二郎〔計17名〕(順不同)(◎会長、○副会長)

次回開催予定日 未定
問い合わせ先

所属名 政策局政策調整部総合政策課、担当者名 一柳

電話番号 045-210-3061(直通)

ファックス番号 045-210-8819

審議経過

(事務局が委員数30名に対し、この時点で17名の出席を確認し、半数を超えるため、審議会が成立する旨発言。)

1 開会

 小林会長:それでは、ただ今から第104回神奈川県総合計画審議会を開会させていただきます。まず最初に、今回、当審議会に初めて出席される委員のご紹介をさせていただきます。おそれ入りますが、紹介された方はご起立をお願いいたします。細谷政幸委員でございます。

2 議事

議題 新たな総合計画の策定等について

 小林会長:それでは、議事に入らせていただきたいと思います。本日の議題はお手元の議事次第にございますように、「新たな総合計画の策定等について」の一議題でございます。前回、9月13日に開かれました当審議会におきまして、「総合計画の策定等基本方針」及び「新たな「実施計画」骨子」につきまして、熱心なご討議をいただいたところでございます。その後、計画策定専門部会で議論していただき、さらに、県議会や県民の皆様、市町村など幅広くご意見をいただきながら、策定等の作業を事務局で進めさせていただきました。本日、お手元にございます新たな総合計画の基本構想編及び実施計画編、それぞれの素案を作成いたしましたので、委員の皆様におかれましては、ご審議いただければと思います。それでは、早速審議に入りたいと存じますが、この素案につきましては、先ほどお話しいたしましたように、過日、11月10日に計画策定専門部会でご議論いただいておりますので、まず、鈴木部会長から部会での審議の内容についてご報告いただきたいと思います。

 鈴木副会長:部会長を引き受けさせていただいております、法政大学の鈴木と申します。前回、海外出張のため大変失礼いたしました。会長が仰いましたように、9月13日の審議会で、今年、我が国を襲った東日本大震災を踏まえて、基本構想を必要な限りにおいて見直すということと、プロジェクトを中心とした実施計画を策定することについて、審議をしていただきました。その際、ご了承をいただいた策定等基本方針と実施計画の骨子につきまして、県民の皆様方からの幅広いパブリックコメントをいただきながら、10月13日と11月10日、2回にわたりまして、部会で審議をいたしました。お手元にございますように、「かながわグランドデザイン 基本構想編」「かながわグランドデザイン 実施計画編」というふうに名を改めて提出をさせていただいております。では早速、この内容について事務局の方から説明をいただき、後で、私の方から、部会でどういう議論があったかをご紹介しながら、ご議論の素材とさせていただきます。

(資料1から3に基づき、事務局説明)

 鈴木副会長:大変丁寧な説明をしていただきましたので、私の方からは、簡単に三点ほど議論を紹介させていただきたいと存じます。

まず最初、前回の総合計画審議会で、東日本大震災や、福島第一原子力発電所の事故についてどのような対応をしたらよいか、知事から諮問され、部会で議論をいたしました。どの都道府県であれ、この変化について対応しないということはあり得ないので、これを重く受け止めるというのはもちろんですけれども、受け止め方において相当大きな議論がありました。先ほど、事務局からも説明がありましたように、この計画は、2025年までの計画ですので、突発的に起こったことであっても、長期に影響を与えるものについてはうまく取り込んで、具体的な施策として作り上げていくことが必要です。今回は、2025年までの長期の計画のもとに、26のプロジェクトを提案していますが、こういうものを全部うまく運用していくことが前提になります。何故そんなことを言うのかと言うと、実は、県の行政というのは、一つひとつのプロジェクトを全体としてうまく管理し、実現するということで成り立つ、一種の積分みたいなもので、ここにいる斎藤委員の表現を借りれば、足し算ではなくて掛け算でありますので、一つでもゼロになると全部がゼロになるという特徴を持っており、県には全体を総合的に運営していくということがどうしても求められます。そういう意味で、行政としてどう対応するか、基本構想編にしっかりと書き込むことと、もう一つ、原発事故だけでなく、他の課題との整合性をしっかり取ることにして、基本構想編の第2章の1「政策展開の基本的視点」に(1)のエネルギー政策、これはもちろん原発の問題がからんでいることは皆様のご承知のとおりでございますし、環境を入れた(2)、それから(3)、(4)という形で、この問題に十分対応するということが基本構想編の中に入れられております。「政策分野別の基本方向」の(1)に「エネルギー環境」が挙げられているのは、そういうことが大きく影響しています。

もう一つ、東日本大震災を受けて議論したのは、実施計画の計画期間が2年間でよいのかということでした。2年間でこういう大きなシステムを管理・運営していくことは大変難しく、数値目標を立てて運営していくには、どうしてもまとまった期間が必要だという議論が圧倒的でしたので、3年間という形にさせていただいたのが二点目でございます。

三点目は、数値目標です。資料2の基本構想編の40、41ページをお開きください。これは神奈川県の2025年までを見通した人口の予測ですが、左側に、年少人口、生産年齢人口、そして老年人口とあり、一番上の老年人口がどんどん増えていく、つまり急速に高齢社会に動いていくことを示しています。一方、右側の折れ線グラフを見ていただきますと、実は神奈川県は、他の県と違って2019年まで人口は伸び続けます。全国的にほとんどのところが高齢化と少子化、人口減少を経験する中で、こういう傾向を示すのは、魅力ある地域だけなんです。こういうものをにらんで、私たちは今回、実施計画編で26のプロジェクトを提案しています。これらのプロジェクトをうまく進行管理しパフォーマンスをよくしていくというのが私どもの役割です。例をあげて紹介しますと、地方政治がうまくいかなくなったイタリアで、1970年に州政府、ちょうど私どもの都道府県レベルですけれども、これが導入されたときに、パフォーマンスとして州政府に求められるのは三つあると言われました。包括的であること、内的な一貫性があること、信頼性があること。付け加えて、政府の訴える側とそれを選ぶ選挙民の目標と評価が一致していること、いわば県庁と県民の間の一致が見られること。こういうことから、私たちはこれまでずっと数値目標を掲げて、行政がどのように実現されてきたのか、パフォーマンスが何であったのか、県民に分かりやすい形で示すという議論をしてまいりました。今回、数値目標についても大変議論がありました。その一つは、数値目標というのは、県が低い目標値を立てれば100%実現することができるという手前味噌になりがちなことを防ぐということ。二点目は、数値目標というのは、行政が何を行ったのかという数値、これをアウトプットといいますが、それだけではなくて、その結果、県民のニーズにどれだけ対応できたかという成果、これをアウトカムと言いますが、この両方を上手に組み合わせて数値目標を作っていくということが大変重要になります。このことについては今回新たにいくつかの工夫をして、それぞれのプロジェクトに設定されています。中でも、県民がどのように感じているか、これを体感指標と言いますが、プロジェクト5の「犯罪や事故のない安全で安心なまちづくり」をごらんください。東日本大震災で、風評被害がどんなに恐ろしいか経験されたと思いますが、県民の受け止め方というのは行政にとって無視できないものでありますので、ここでは目標として、「犯罪や交通事故がなく安全で安心して暮らせること」に関する県民意識(満足度)を挙げています。これについては議論がありました。このような体感型でよいのか、具体的にどれだけ犯罪の検挙率が上がったのか示してほしいという意見もありました。しかし、できるだけ県民と県の間の一致した見方を採り入れているという形で、今回これを採用しました。

最後に、いくつか説明いただいたように、今回は県民に簡単に分かってもらえるように記述についても資料についても分かりやすい形で表記をするということになっていますので、誰が、誰と、どの期間、どれだけのことをするのかということが分かりやすいような記載にしているこということをご了解ください。

 小林会長:前回の当審議会での委員の様々なご意見を参考資料1にまとめられていますが、これを見るとただ今鈴木部会長からご説明いただいたポイントについて、各委員から意見を出されているということがよくお分かりいただけると思います。逆に言うと、審議会で各委員から出された意見を部会としてどう受け止めて素案に反映させるかという議論を2回にわたって真摯にやっていただいたと思っています。それではこれから、ただ今のご説明を受けまして、審議をいただきたいと思います。できるだけ多くの委員のご意見をいただきたいと思いますので、なるべく簡潔にご意見をください。

 斎藤委員:先ほど鈴木副会長から少子高齢化がいかに重要な問題であるかということのご指摘がありました。少子化、高齢化、両方とも女性の果たす役割が非常に大きいと思いますので、女性が働きやすく、住みやすく、生活しやすい神奈川というのはとても重要だと思います。そうした中、神奈川はM字カーブが全国平均よりもまだシャープに落ち込んでいる県であるにもかかわらず、男女共同参画が採り上げられていないということに違和感を持ちました。資料3の15ページ、柱IIIに「いのちが輝き誰もが自分らしくくらせる社会づくり」というのが出ていますが、ここで採り上げられているのは高齢者であり障害者であり、どちらかというとマイノリティのことが書かれています。また、20ページの10「一人ひとりが尊重される社会づくり」に外国人、留学生などと並んで男女共同参画のことが書いてありますが、これにとても違和感を持ちました。女性が、そして女性を支えつつ男性も活躍する、そういう社会が理想だと思うのですけれど、ここで男女共同参画社会の実現が外国人や留学生と同じレベルなのかということにすごく違和感があります。女性がマイノリティであるということは事実だと思いますので、もう少し女性に対する施策というものを強調していただきたいと思っています。昔は「女、子ども」と言われていましたが、今は「外国人、女」と引っくるめられるのかな、とこれを拝見して思いました。また、目標のところで、外国籍県民がくらしやすいことと、男女がともに個性や能力を発揮できることという、まったく違うものが指標として出てくるというのは、女性をどのように捉えているのかと思いました。もう少し神奈川県を支える女性に対する施策というのを強調していくような形でお考えいただけないかと思いました。

 小林会長:神奈川県がM字カーブの代表的な県であるというのは従来から言われていて、少しずつ改善されているのですけれど、相変わらず厳しいM字カーブです。それを受け止めて、これからの少子高齢化社会の中での女性の役割を考えると、このような位置づけではどうなのかというご意見ですが、委員の中でこれに付随する意見をいただける方があればいただきたい。

 内田委員:今まで商工労働局で女性の労働や雇用の創出といった分野、また県民局で男女共同参画という分野にかかわってきましたが、私も斎藤委員と同様、ここに位置づけられていることに違和感を持っていました。神奈川県の人口の半分が女性です。特に高齢社会になると、介護とか子育てとか結構な負担が女性にかかってくるわけです。今後は、人と人とが支えあわなくてはいけない。介護は割と、結婚していてもしていなくても女性が親の面倒をみたり、それから夫が先に病気になるパターンが多いですから、そうしたことがこれから頻繁に現れてきて、大きな介護問題になると思うのです。今後、超高齢社会を迎えますから、県民局の中に男女共同参画という形で入れるのではなくて、保健福祉局の中に、女性というキーワードはどうかと思いますけれど、雇用とは別に考えなければならない時期に来ていると思いますので、斎藤委員のお考えは本当に検討していただきたいと思います。

 野村委員:働く側の立場から今のお二人のご意見に賛同します。人口減少社会という意味で、これからは女性が、子育てとか介護とかではなく、社会の一員としてきちんと活躍をする必要があります。それは議会の場、こういう審議会の場、いろいろな場があると思いますが、そういう場にきちんと体制として参加して発言ができる、それをもって社会に貢献するといった、外国では一定比率での割り当てといった打ち出しもされて、女性が頑張っている国もたくさんあるわけです。神奈川県もぜひ男女共同参画の先進県として頑張れるようなしくみづくりを考えてもよいのではと思います。

 小林会長:部会でもその点について議論がございましたので、部会長から説明をお願いします。

 鈴木副会長:部会でもこの部分については突っ込んだ指摘がありました。一つには、女性の問題は女性の問題だけで解決できない、つまり政策分野のあらゆる点に男女共同参画型の社会づくりや政策の遂行が必要であるという点。すでに神奈川は、例えばエネルギー、環境、安心安全、あらゆる主要な分野において女性の参画を促進するような政策を体系的に実現しつつあるので、取り立てて男女共同参画社会を別個に掲げるというよりは、今の施策をきちんとやってほしいという議論がなされたこと。もう一つは、神奈川ではいくつか女性がとりわけ不利になる環境に置かれている分野があります。例えば保育施設が足りず全国的に見てもよくない、こういうところについては重点的にこの3年間で全国的な平均にせめて追いつくようにしてほしいということ。最後に若干の印象ですけれど、実は人種と女性とでは差別の問題は人種の方が早く受け止められるというのが世界的な傾向ですが、女性が政治的に差別されているということは事実としてあるので、これをどのように解決していったらよいか県でも引き続き検討する必要があるという点で意見が一致していました。事務局からはどうですか。

 川﨑政策調整部長:鈴木部会長の説明と、若干重なる部分もありますがご容赦ください。男女共同参画社会の実現に向けた取組みについては、当初の案では入っていませんでした。それは何故かと言いますと、資料3の69ページに「男女共同参画社会の実現」という項目で大きく5本の主要施策を立てています。これは県として着実に進めなくてはいけないというスタンスで取り組むものです。また、県全体で130本もの個別計画がある中で、男女共同参画推進プランは、環境基本計画、科学技術政策大綱とあわせて県議会の議決が必要とされており、重要な位置づけにあります。したがって、こうしたプランを通じて推進していくことを考えておりました。ただ、そうは言っても、先ほど、部会長の話にもありましたように、様々な場面で女性の果たす役割は大変大きく、また、女性の働き方も考えていかなければいけません。そこで関連のプロジェクトとして、38ページの23「産業人材の育成と就業支援」を部会でも紹介したのですが、ワークライフバランスの推進は男女共同参画とイコールではないというご意見も頂戴しましたので、この記述に加えて、「一人ひとりが尊重される社会づくり」にプロジェクトの重要な構成事業として位置づけた経過がございます。

 小林会長:いかがでしょうか。ただ今の部会長あるいは事務局のご説明は、神奈川県としては大きな政策として、女性問題は十分これまでもやってきたし、考えて位置づけてある。今回の基本構想編や、特に実施計画編の中で3年というスパンでやる内容についてのプロジェクトという中では、特にそれを表現するということは考えていないけれど、色々議論した結果、「男女共同参画社会の実現に向けた環境づくり」という項目を、ここに改めて入れたというご説明だったというふうに伺いましたが、もしそういうことだとするといかがでしょうか。

 斎藤委員:女性の重要性を皆様から強調していただいて、大変意を強くしているんですが、そのわりには、「一人ひとりが尊重される社会づくり」という抽象的な形で、女性の問題がちょっとトーンダウンされているような印象を受けましたので、もうちょっと強い形で神奈川県の女性というのを取り上げていただけたらと思います。

 角野委員:今の男女雇用機会均等法ができた後、男女、雇用の問題が出ておりますけれども、女性の後方支援となれば、やはり心配なのは、子どもといわゆる弱者の高齢者、障害者ですね。その意味でこれを見ていくと、保健医療の面からすると、3年間であっても非常に具体性が弱いんですね。それが残念だと思います。例えば、看護師にしても、神奈川県は、全国で看護師の充足率が一番悪い県、ワースト1です。そういう状況の神奈川ですから、もう少し具体性を持っていただかないと。ここには、「充足します」とか「支援します」とかとてもいいことが書いてあるけれども、具体性がない。女性が働くための病児保育への支援などが出てきてもいいはずなのに、「保育園を支援します」という程度の考え方、書き方にしかなっていない。その点は不満が残ります。

 小林会長:分かりました。先ほど部会長から人口動向について特段の説明がありました。この計画は、高齢社会、少子社会に向けて発信する構想でありプロジェクトであると考えると、先ほど、事務局からご説明があったように、神奈川県としては、十分考えて政策を進めているけれど、改めてこのような計画、プロジェクトを考えるに当たっては、高齢、少子社会をかなり注視して、構想を作っているわけですから、この段階で、あらためてそのことをどこかに強調しておくべきではないか、というご意見と受け止めます。そうすると、事務局としてもそれを受け止めて、修正し、審議会委員のご了解をいただいたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。

 鈴木副会長:賛成です。10年、15年前に比べると、行政が女性の問題をきちんと扱うことが常識化していきています。したがって、「女性」とわざわざ言わなくても、政策的な配慮やさまざまなプロセスが作られていることは間違いない。しかし、依然として、問題がなかなか解けていない背景には、十分に行き渡っていないどころか、ひょっとすると、まだまだ欠けているところがあるかもしれない。そこで、これを重く受け止めさせていただいて、よろしければ、事務局と相談させていただいて、少し、きちんと書き込みをする方向で、受け止めていたいと存じます。

 藤井委員:検討していただくのであれば、専業主婦になりたい若者もいらっしゃる。そういう人も肩身の狭い思いをしなくていいようにしていただきたいし、女性が活躍しようと思うのは、男性の働き方次第なので、男性が、子育て休暇を必ず取れる、むしろ取らないといけないくらいにしないと、ポジションも空かないし上手くいかない。家で面倒を見る人がいないため、保育所を頼らなければいけないということになるので、男性の働き方も変えていかなければいけない。

 服部委員:一点お願いと二点提案を申し上げます。これまで、骨子については、市町村に対して説明や意見聴取もしていただきありがとうございます。お願いの一点は、これからこの素案を議論し、深めていく過程においても、市町村との意見交換をしていただきたく、よろしくお願いします。

提案の一つ目ですが、前回の総合計画と見比べてみると、前回は、38の戦略プロジェクトには、ある地域を一つの括りにして、それぞれのエリアがどんなイメージで変わっていくのか、そこを重点化していくことを打ち出しているプロジェクトがありましたが、今回の中ではそれがない。もちろん、今回も課題として入っているのは承知していますが、見せ方として工夫が必要ではないのかと思います。

二つ目ですが、資料3の28ページ、15の「地域資源を活用したにぎわい拠点づくり」の中では、4つのエリアを捉えて打ち出しをしています。これはある面、重点化をしているということだと思います。地域資源を活用して各地域がマグネット力を、と知事が言われているわけで、今、市町村はそうした知事の考え方に基づいて、それぞれ自分達が持っている地域資源について、相当の意識をしながら取組みをしようとしています。その中で4つの地域の魅力づくりに特化していくことは、果たして県全体の計画として、相応しいのかどうか、いろいろな意見が出てくるだろうなと感じています。議論はあったと思いますが、その辺も配慮していただきたい。

 小林会長:二つのご意見について、事務局いかがですか。

 川﨑政策調整部長:市町村との意見交換、あるいは、お話をきちんとお伺いしながら進めていくことが基本です。引き続き、策定作業に当たってはそうさせていただきたいと思います。

また、前回はエリアごとのプロジェクトがあった、というお話がございましたが、今回も、基本構想編、実施計画編にそれぞれ県の事業を中心に、地域図と課題に対する取組みを、体系表とあわせて掲載させていただきました。前回に比べて、大幅に県民に分かりやすくするため、例えば写真を入れるとか、解説を加えるとか、丁寧にやっていこうと考えています。それに加えてもっと見やすくということだと思いますので、今後検討させていただきたいと思います。

二つ目のご提案であるにぎわい拠点についてですが、県として力を入れていく一方で、この4つの拠点については、それぞれ地元が大変な力を入れていて、県だけが行うというというわけではありません。市町村、民間などそれぞれが既に協議会や研究会、検討会を立ち上げていて、取組みが具体的に見え出してきているものに対して、県が後押しをするという視点で4つの拠点を整理しています。また、この4拠点で終わりということではなく、現時点で取組みが先行している部分について活性化につながるということから整理をしてこのような形になりました。これらの拠点に準ずるような取組みがありましたら、今後、詰めてまいりたいと考えております。

 服部委員:地域資源の取組みは、もう少し話を具体に詰めていただきたい。確かに部長のお話の状況はあるのかもしれませんが、県民にとってみると、ここに整理されている取組みは、顕在化するのに短い時間でできるということが、これを見ただけでは分からないわけです。そういったことがきちんと見えるような見せ方もしないと、総合計画という打ち出しでは、少し弱いと感じます。何か工夫をお願いしたいと思います。

 小林会長:事務局からお答えのあった内容が分かるように、この4つがどうして位置づいているのかが分かるような表現をどこかに加えられた方がよいというご意見でございます。私もそう考えます。行政は平等を旨とします。しかし、平等ですべての地域資源に注目してはどこも活性化しない。やはり、やる気があるところを上手く捉えて、そこを活用することは必要で、そういう趣旨で、先ほど事務局からお答えをいただいたので、そういうことが分かるような表現をどこかに入れた方がよいと思いますので、事務局で少し考えていただければと思います。

 近藤委員:前回の戦略プロジェクトが38本で、今回は26本です。総花的な総合計画の進行管理をするということで色々なプロジェクトがあると思うのですが、新たに東日本大震災による社会的変化を受けて基本構想や実施計画を見直すということで、以前の戦略プロジェクトよりもプロジェクトが増えると思っていました。ところが26本に減って、先ほどの新たな女性の観点の意見もあったところですが、どういうような整理をしたのか、考え方を聞かせていただきたい。

 川﨑政策調整部長:策定に当たっての基本的な考え方ですが、これについては、先般の当審議会で策定等基本方針をご審議いただき、大きな方向性を議論していただきました。基本的なベースはエネルギーの問題や震災対策が喫緊の課題であるという認識から、それを全面に取り上げたところでございます。

もう一点は、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現でございます。この「いのち輝く」とはどういう政策であれば県民に伝わるのか、あるいは「マグネット」によって地域の活性化につなげるには、どういった政策が効果的であるのかについて、一から庁内で議論を進めてまいりました。今回の策定作業のベースには職員参加の考え方もあり、広く庁内から職員が普段から感じていることを、それぞれの経験から提案をしていただき、200件を越える提案をいただきました。それを一つひとつ精査しながら、各部局からもご提案いただき、それらを集大成しながら、県が今やるべき喫緊の課題、あるいは重点的な政策を取り上げてきたという経過がございます。その一方では、厳しい財政状況等もございますし、地方分権という形で国から県、県から市への権限の移譲ということも考えなければならない。そういう整理の中で、優先的、選択と集中という視点から、政策の形成を図ってきたところでございます。

 小林会長:よろしいですか。総論的なご意見でしたが。

 近藤委員:多ければよいという問題ではありませんので、それなりにまとめたというのは分かりますが、残念ながら38本と26本のプロジェクトを見比べることができませんので、的確なコメントができませんが、少なくとも、新たな意見もあったわけですから、今後プロジェクトを増やしていくこともあってよいのではないでしょうか。

 吉川政策局長:近藤委員から言われたご指摘ですが、実は、私ども26本に仕上げるに当たり、どういった観点でまとめていくかについて、当審議会に諮る前まで、事務局として色々と悩んだ点がございます。見ていただきますと、主要施策についてはボリューム感を全く変えていません。今回、特徴的なのはプロジェクトで横断的な取組みを示していることです。端的に言うと、一つのプロジェクトを一つの部局で実施するのではなく、部局横断的に実施していくことが特徴です。数を増やす、あるいは減らすという議論の前に、横断的な課題を取り上げて、それを全庁の中で展開していく。従って、38本のボリューム感と違うのは、ここに一つの特徴としてあるのだと思います。それから、スピード感をもって2年、3年のうちに取り組んでいかなければならないという点は、委員の皆様方に色々と審議していただいた内容等にて、総花的ではなく選択と集中を念頭においてやっていくことなので、プロジェクトそのものについても、やらなければならないところに絞ったことが全体のトーンでございます。それぞれを見ていただきますと、かなり色々な分野にわたって、整理した形になっているということをご理解いただければと思います。

 根岸委員:先ほどの斎藤委員の話と似てくるかと思いますが、新エネルギーとか皆さんに受けやすいようなプロジェクトであったり、書き方が多く、女性といい、神奈川県内にあった潜在力というものに関する記載がないなという感じがします。そこで私が申し上げたいのが、神奈川県というのは、法人税で支えられてきた県でございます。そういった面で、神奈川県にあった中小企業や商店街、地元のことに対して触れられていないことにものすごく違和感を覚えてしまうところです。誘致していただいた日産など、元々ある企業や地元の商店に対しての触れ方が大変少なく、新規の産学連携であったりとか、外国企業ばかりが触れられていて、国も法人税が入らないから、消費税を5%、10%と言っている中で、神奈川にあった力、潜在力を伸ばしていくということに触れられていないことに関してご質問させていただきたいと思います。

 川﨑政策調整部長:まず、中小企業の取組みについては、県として中小企業活性化推進条例を制定し、これに基づく計画を立てており、その計画をPDCAサイクルでしっかりと検証しながら、既存の企業だけでなく新しい企業を呼び込むといった位置づけで政策の展開を図っているという特徴があります。今回のプロジェクトの扱いにつきましては、一つにはお手元の資料3の37ページの22「競争力の高い産業の創出・育成」といった視点から展開しておりまして、中身としては中小企業の技術高度化・国際化支援、あるいは成長分野の起業促進、企業誘致、科学技術の企業への技術支援、企業化支援などをこれまでの中小企業に対する支援を位置づけております。また、商店街につきましては30ページの16「行ってみたい神奈川の観光魅力づくり」をご覧ください。実は部会でも、商店街についてもう少ししっかりした位置づけをというご意見を頂戴いたしました。元々商店街につきましては、57ページの主要施策で、「商業など地域に根ざした産業の振興」という大きな位置づけをしており、さらに加えてこの30ページの16「行ってみたい神奈川の観光魅力づくり」という視点も大変重要な要素だということで、構成事業3の「商店街を核とした地域の魅力づくり」を書き加えたところです。

 根岸委員:お話は分かるのですが、先ほどの男女共同参画についても同じなんですけれども、成果がそれほど見えていないのに、どんどん新しいものばかり始めていると受け取れてしまうんですね。実際、地元の商店街や中小企業は良くなっていないですよね。良くなっていないのに、新しいことばかり、何か見栄えがするものばかり取り入れているように感じるので、その部分はもう少し元々ある潜在力を伸ばせる表現を加えていただけないかと思いました。

 小林会長:新しいものにだけ注目するのではなくて、在来からある神奈川県を支えてきたプラットフォームにある部分を、もう少し注目してはどうかというご意見です。このご意見をどういうふうに生かせるか少し検討させていただきたいと思いますが、事務局から重ねて説明がありますか。

 川﨑政策調整部長:新しいものももちろんですけれども、それ以上に、これまで取り組んだものを踏まえて、伸ばしていくという視点で、魅力の向上あるいは活性化という視点で表現しておりますので、従来からの取組みをしっかりと確認しながら施策を展開していくという視点でございます。

 野村委員:三点あります。まず、62ページの5「保健・医療・福祉人材の育成と確保・定着」で看護職員の確保の問題に触れています。一方で、介護職員の関係で、魅力をアピールするとか研修をするというんですが、高齢者への対応は、大変な労働なんですね。処遇改善の取組みは看護ではやっているではないかと。やはり魅力あるということで言えば、介護職員の皆さんは低賃金でそうした職に就かれている。そういうことが言われていますので、これに少し触れていただければありがたいと思います。

54ページの基地の関係ですが、日米地位協定の見直しに向けた取組みの促進もできれば入れてほしいと思います。これは県としてできないから入れていないのかもしれないが、県だけでは難しい問題である基地の返還や縮小も、入っているので、検討していただければと思います。

55ページのIII「産業・労働」の関係で、雇用というのはなかなか出てきていないんですが、55ページの冒頭に課題ということで、グローバル化の問題、産業構造の転換、操業環境の悪化、非正規労働者の増加、厳しい雇用情勢があるんですが、それに対応して雇用の確保、拡大に向けた施策の展開を就業支援というところで読み取ればよいのか、質問も含めてお願いします。

 小林会長:一点目はご意見として承っておくことにして、二点目の日米地位協定については事務局いかがですか。

 川﨑政策調整部長:日米地位協定についての表記についてのご質問だと思いますが、基地については基本構想編の中にも位置づけ、実施計画編にも県の取り組む事業として整理し、書き込んでおります。あくまでも県の事業がそこに入り込んでくるものですので、国の取組みが関係してくる話については、どういう書き方が可能なのか確認させていただきたいと思います。

 小林会長:三点目の雇用はどうですか。

 川﨑政策調整部長:雇用の問題につきましては、就業支援や、労働環境の整備、産業人材の育成などが関連いたしますが、実施計画の主要施策として、58ページに「生き生きと働くための就業支援と職業能力の向上」という項目を整理して、一つには、県として取り組める就業支援と労働環境の整備、それから大きな二つ目といたしましては、やはり産業人材を育成していくという視点があります。あわせてプロジェクトにおきましては、38ページの23「産業人材の育成と就業支援の充実」では具体的にキャリアカウンセリングやセミナー、あるいは相談による就業支援、障害者も含めた形での充実なども念頭に置きながらやっていきたいと考えております。

 広瀬委員:三点簡潔に意見を申し上げ、一点質問させていただきたいと思います。

資料3の6ページに26のプロジェクトがあるのですけれども、2の「エネルギー関連産業の集積促進」につきまして、エネルギーは地球環境に密接に関係しておりますので、ここは「エネルギー・環境関連産業の集積促進」としていただいた方がよいのではないかという意見です。

二点目は、8ページの柱Iに「いのちとマグネットの視点」とあるのですけれども、やはりエネルギー・環境については、幼稚園から小中高の子どもたちにはぜひ積極的に学んでもらいたいので、「育む」ということも入れていただいたらどうか。同様に、11ページの柱II「災害に強く安全で安心してくらせるまちづくり」にも「育む」という視点を入れていただいたらどうかというのが二点目の意見です。

三点目は、13ページですが、4の「大規模災害などに備える災害対応力の強化」の中に1「災害に強いまちづくり」というものがあります。その前の津波のプロジェクトでは津波に関する調査とあるのですけれども、災害に強いまちづくりのためにも、やはりきちんと調査をして、神奈川県の中での脆弱な点というのをしっかり把握して、その上で取り組んでいただくということが重要ではないかと思っていますので、そういう調査を入れたらどうかというのが三点目です。

質問は、参考資料3の数値目標なのですけれども、1の「『かながわスマートエネルギー構想』の推進」の一番目に「再生可能エネルギー等の導入などの割合」を2.3%から10%にするという非常に意欲的な目標が示されています。それから二番目に「太陽光発電の設備容量」が示されているのですが、「再生可能エネルギー等の導入などの割合」を達成するには、「太陽光発電の設備容量」がかなりの割合を占めると思うのですけれども、この一番と二番は独立した数値目標として考えているのか、相当密接な関係があって設定をされているのか、この点を伺いたいと思います。

 小林会長:最初の三点はご意見として承っておいて、質問がございました。「『かながわスマートエネルギー構想』の推進」の二つの数値目標は関連があるのかどうかということですね。

 川﨑政策調整部長:一番目の指標の2.3%でございますが、これは現在、県内の電力消費量が約502億kwであることを前提に、2014年度の時点で6%相当の「創エネ」、すなわち発電能力を高めることと、もう一つは「省エネ」で大体4%近くを見直して節電していくことと、この二つの数字が相まって10%をめざすということでございます。この6%につきましては、太陽光ですとか風力といった何度も何度も使えるようなものや、バイオ燃料のようにCO2排出をもたらさないようなものを、再生可能エネルギーの対象に加えております。数値目標につきましては、基本的には一つのプロジェクトに一つの目標を掲げて集中的に取り組むこととしておりますが、補助指標とか参考指標は重要なテーマだと思っております。今、ご質問をいただきました「太陽光発電の設備容量」が関連するのではないかということについては、確かに太陽光については、トレンドとして伸びてくれればこちらの設備容量も増えてくるかと思いますけれども、風力とか、地熱とか、あるいはLNGといった天然ガスもございます。この辺が一体として出てくるのかどうか、検証が必要ですので、預からせていただければと思っております。

 藤澤総合政策課長:あと、一つ目の数値目標につきましては、kwhを元に計算しております。火力発電などは稼働時間が関わりますので、県内の電力消費量はkwhになります。二つ目は設備容量ですので、kwになります。この2つは握握の仕方が異なっております。

 八木(正)委員:最初に二つ、記述について意見を述べたいと思います。資料2の基本構想編の素案の8ページ、9ページ目ですが、第1章の2として、「神奈川の将来像」が三点あげられています。中長期計画については、神奈川の将来像をできるだけ県民の皆さんに分かりやすく示すということが大切なことではないかと思っており、説明の中でも、分かりやすくここであげられているということですが、できましたら、それぞれの三点について、もう少し踏み込んだ解説をしてほしいと思います。前回の神奈川力構想でも、3本柱のところで、その下の階層で説明を加えて、全体で6ページ程度になっています。同程度の具体的にイメージしやすいような記述を深めていただきたいと思います。例えば、9ページ目の3に「県民総力戦で創る神奈川」と書いてありまして、「県民総力戦」というのは比喩的な言葉ですし、なおかつ、その中に「神奈川モデル」という新しい言葉が入ってきています。こういう記述ですと、理解がなかなか進まないのではないかという気がします。

二点目が、これも記述についての意見ですが、同じ資料の18ページ、19ページの「産業・労働」の「政策の基本方向」の説明です。大変すばらしい記述で、これから中小企業を含めて、こういう分野でこういうコンセプトで事業展開が必要ではないかということが、分かりやすく書いてあると思います。そういう点で言いますと、もう少し、こういうキーワードを入れたらと思う点がいくつかあります。主要施策の中には入っていますので、どうでしょうか。

一つは、「神奈川の力を生かした産業集積の促進」では、集積した企業が知恵の部分でネットワークや連携、相互の知恵の交換をすることで新しい付加価値が生まれることが重要だと思っていまして、そういう点でご検討いただけたらと思います。

二番目の「魅力ある地域資源を生かした産業の振興」の中でも、観光が大切で、重みのある産業として入っているのではないかと思いますが、マグネットということを考えますと、キーワードとして、外の力を中に取り込むインバウンドというコンセプトを入れていただくといいと感じました。

三番目に、19ページ「生き生きと働くための就業支援と職業能力の向上」は、とりわけ高齢者と若年者の就業が大切なポイントになります。対応する施策もありますので、言葉として基本方向の記述の中に入れることを検討していただきたいと思います。

それから、これはお尋ねなんですが、骨子案では、プロジェクトについて、「いのち輝くマグネット神奈川」を実現していくためのロードマップと取組みの成果を評価するための数値目標を示すとうたわれていました。ロードマップというと一般的に、例えばAという施策とBという施策が並列してあるとすると、どちらを優先してやるのか、あるいはAの効果がどうBに波及していくのかといったことを示すものと思っていたのですが、そういうことではないのでしょうか。あるいは、ロードマップについての考え方がどこにどう反映されたのか、ご説明いただきたいと思います。

 藤澤総合政策課長:将来像につきましては、それぞれの項目ごとに、主体あるいはそれぞれの担うべき役割を因数分解するような形で記述しておりました。ただ、それにつきましては、少し分かりにくいというようなご意見をいただいておりまして、今回は、そういう記述をするのではなく、ダイレクトに中身が分かるような形で整理をいたしました。ただ、今ご指摘いただいたように、「神奈川モデル」がどういうものか記述を加えることが可能かどうか検討してまいります。

 小林会長:後半のご質問についてはいかがですか。

 川﨑政策調整部長:骨子の段階でお示ししました数値目標とロードマップにつきましては、資料3の実施計画編にバーチャートで年度ごとに示してございます。これを私どもは、「行程表」というふうに呼ばせていただいておりまして、整備であれば整備の段階、取組みであれば取組みの内容を、年度区分があれば年度に応じて記載をしているもので、こういうものを踏まえて評価をしたり、総括したりという考え方です。

 笹生委員:先ほど八木委員が仰った意見、まさに私も同じように感じておりましたので、もう事務局の方からお答えいただきましたけれども、一応意見として申し上げたいと思います。今回の計画が2025年までの長期計画ということですので、その初年度として、「神奈川の将来像」については興味深く読むと思います。今回、黒岩知事を選択した県民の中には、知事の「人に優しい」とか、「いのちを大切にする」といった点に共感した方もいると思います。それに基づいて、1と2が作成されたという気がするのですが、3の、「県民総力戦」という言葉にはちょっと違和感があります。こちらの言葉は知事が普段使ってらっしゃるフレーズなのかどうか、県民が力を合わせるということを仰りたいのかなという気がするのですが、「戦」という字が入りますと、県民が何かと戦うというイメージも湧きます。3については、全体を読んでもぼやけた感じがしますので、表現についてご一考いただいた方がよいと感じました。また、「神奈川モデル」という新しい言葉が入ってきておりますので、それについては八木委員と全く同じ感想を持っております。こちらについても、少し説明不足といいますか、ちょっと唐突なイメージがありますので、説明ないし違う記載をしていただいたらもっと分かりやすいのではないかなと思います。さらに、1と2については非常に文学的な表現をしているので、3でアグレッシブな表現をされたいのかなという気はするんですけれども、3につきましてはご一考いただければと思います。

 八木(大)委員:私からは一点意見と一点要望を申し上げさせていただきたいと思います。一点は先ほどの服部委員からのお話と全く同じなんですけれども、実施計画編の15「地域資源を活用したにぎわい拠点づくり」ということで特に4つのにぎわい拠点を挙げられてますが、県が独自に実施主体となっていくのは湘南港ヨットハウスと女性センターの有効活用だけで、ほかは市町村や、民間と協働で取り組んでいくことになっています。そうした意味では、各市町村それぞれの基本構想や、基本計画の中にも、にぎわい拠点となるものを、それぞれがこだわって実施をしているので、何故4つなのかということを丁寧な前置きとして触れていただく、あるいは説明をきちっとしていただく必要があることを申し上げておきます。

もう一点は要望なのですけれども、基本構想編の中でも私が思ったよりもかなり細部に渡って加筆修正がなされていると思います。その中で、県民あるいは首都圏の住民の4人に1人がかかっている花粉症の発生源対策について、本県が九都県市首脳会議で発案し、目標を定めながら取り組んでいくことになっています。また県議会の議論の中でも、さらに広域的な取組みを知事ご自身がお約束をされたという経緯もあります。そうした中で水源地域の自然環境保全については触れられていますが、主な花粉発生源であるスギの人工林対策については触れられていません。これだけ多くの人が花粉症という健康被害を受けているわけです。そうした意味からも、花粉発生源への取組みについては、きちっと課題も含めて、県が進められている花粉をまったく発生しない無花粉スギの開発の推進ですとか、あるいは現在手が入らなくなったスギの人工林について、今後自然林との混合林化等をめざしていく方針があるわけですから、こうした記述をどこかに盛り込んでいただきたい。これを見る限り、どこにもその花粉発生源対策の関係は触れられていないというのは、ちょっといかがなものかなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 小林会長:前半については先ほど議論させていただきましたので、後半については特に事務局からお答えはございますか。

 川﨑政策調整部長:花粉症対策につきましては、今委員からお話がございましたとおり、当時の八都県市、現在の九都県市でも、花粉症は国民的な病であり、季節には必ずやってきて、年々増えていることから、本県から提案をいたしました。花粉症については、医療費の問題もありますが、それ以前に健康の問題が大変大きいわけです。これについては、県の試験研究機関でもスギの苗から育てていこうと精力的に取り組んできた経過があります。ただ、この基本構想編は、20年間を長期展望したプランですので、そうした意味では、主要施策で取組みの内容をしっかりと記述しております。実施計画編の49ページの、「自然環境の保全・再生と活用」という柱に、119「地域の特性を生かした多彩な森林づくり」という施策がありますが、この二つ目の項目の2行目、花粉の少ないスギなどへの植え替えなど、県がこれまで研究し、取り組んできたものと、主要施策として着実にやっていくこととしております。

 川名委員:大分皆さんからも意見が出ていますが、「神奈川の将来像」の三つ目の「戦」というところはちょっと違和感があります。今、少年野球の選手宣誓でも「正々堂々と戦います」というと怒られるらしくて、「正々堂々とプレーします」と言うようですから、違う言葉がいいと思います。

それと全般的に、NPOという言葉が頻繁に出ていて、これは最近の流れとして当然なのですけど、単なるNPOで全部括ってしまっているのが気になります。おそらくソーシャルビジネスとかコミュニティビジネスとか、市民主体の非営利活動的なビジネスという意味で使っているのだと思うのですが、組織形態はNPOだけではなくて、株式会社ですとか、ソーシャルビジネス、コミュニティビジネスという言葉で括る場合が多いようですし、省庁の方もSB、CBという略語を使うこともあるくらいなのでソーシャルビジネス、コミュニティビジネス、もしくは社会的起業という形で表現した方が、よいと思います。その大きな括りの中のNPOという位置づけになっており、単なるNPOだけで括らない方がいいと思っています。

それから、資料2の18ページから19ページの「産業・労働」のところですが、地域資源の活用は、これまでも、そしてこれからも中小企業施策の柱になりますし、これは都会であっても地方であっても変わりはないでしょうから、神奈川県独自にこれまで培ってきた地域の資源をいかに生かすかが重要になると思います。伝統工芸品などという言葉を出していますけれども、例えば地場産業として、これからも根付いていくべき産業などをどう支援し残していくか、具体的に神奈川にしかない資源というものを明確にした方がいいと思っています。

それから神奈川県という枠にとらわれず、この地域の力で求心力のある自治体として、何ができるかという視点が見当たらない気がします。と言いますのは、震災以降、自治体間連携が非常に重要になってきており、何かがあったときに、力のある神奈川県が静岡、山梨など、近隣の県をどう引っ張っていけるのか、そういった災害対策を含めた力のある県としての役割みたいなものが、これから必要ではないかなと思いました。

 藤澤総合政策課長:「県民総力戦」の話ですが、知事は常々この国難を乗り切るためには、県民総力戦で取り組んで行かなければならないと申しております。また、そのために知恵袋会議という有識者の会議を作り、そこで得られたテーマについて、県民との対話の広場を設けて、ライブ中継も行いながら、県民の皆さんと幅広の議論をしております。それからこのほかにも県内7地域でそれぞれのマグネット力とは何かを議論していくものと、ソーラープロジェクトについて議論するもの、全部で三つの対話の広場を動かしていくことで、県民の全ての力を結集していくこととしておりまして、この部分については説明の仕方を整理させていただきたいと考えております。

 川﨑政策調整部長:NPO関係の表記の仕方については研究させていただきます。それから広域的な連携ですが、ここは大変重要な視点だと思っております。資料2の13ページに「政策展開の基本的視点」を8つ掲げてございますが、一番最後の(8)に分権改革の視点がございまして、広域連携の強化ということで、一番下の二行に、特に書き加えたテーマでして、災害や被災者支援に適切に対応するため、さらなる自治体間連携に取り組んでいく。実はこの視点は、一つの事業にかかるものではなくて、全ての課題にかかってくるものを整理しております。広域的な連携は、全ての課題についてそれぞれの部局が抱えている取組みの視点ですし、政策課題として横断的な取り組みを示す、プロジェクトの打ち出しをするという視点で、今回の実施計画をお示ししております。

 藤原副会長:簡単に二点申します。ただ今のご説明は、川名委員が発言したことと少しずれていると思いました。神奈川県だけでなく、他の自治体、都道府県との連携、特に災害時を想定したときの施策について、この中に特段取り上げられていないというのが、ご趣旨だと思いました。私もその点が、少し気になっておりました。

それから、全体のトーンですが、総合計画これは、全ての施策について、県として県民に何を提供するのか書かれているので、致し方ないかもしれませんが、高齢化、少子化が進んでいく中で、どんどん県がこれをやります、あれをやりますと書いていくと、結果的には依存度が高まっていく。すなわち、県民自体が担わなければいけないことがなかなか書きづらい。高齢化や少子化に伴う様々な問題は、県に担ってもらうために、我々が問題意識を持っているわけではなくて県民、国民が一体となって、自分たちもノウハウや労力を高めていかなければいけないと思いまして、これに関する施策が、「県民総力戦」に含まれるべきと思います。特に高齢者の介護については、情報が大変閉ざされている。介護を支援してくれる方も個人情報の関係で、あまり他言しないため、いい実例でもノウハウや情報が、広まらない。これだけ地域メディアがある中で、そろそろ福祉専門のチャンネルがあってもいいのではないでしょうか。いろいろな所でいろいろな試みがあって、単に、それを専門的に担う方にやってもらうのではなくて、人数を増やすとか、その方たちの待遇をよくするのみではなくて、全ての市民、国民がそれを担えるように、底上げする施策が基本だと思います。それをどこかに、工夫して伝わるような書き方をしてもらいたい。それから県にしていただきたいという点では、やはり21世紀に立ち行かないし、国民も自分たちの問題として、能力を高めていくことも施策の中に謳われるべきだと思います。

 小林会長:それを黒岩知事は「県民総力戦」と表現して、ここに書いてあるように、「NPO、県民、企業、市町村とともに情報や目的を共有しながら」との記述になっているのでしょうが、ただ、「県民総力戦」という言葉が、よいのか否かとのご意見をいただいていますので、非常に重要な言葉ではあると思いますが、表現の仕方に、もし可能ならば、もうひと工夫できないかとの意見が審議会委員から多々あったと、黒岩知事にお伝えいただければと思います。

 斎藤委員:私が違和感を覚えたのは、11「健康で豊かな人生を築くスポーツ振興」についてです。私は税金を払う立場で、スポーツにお金を使うならば、他に使ってもらいたいと思います。

 小林会長:ご意見として承ります。

 鈴木副会長:様々なご提言ありがとうございました。全てとは言いませんが、実施計画編の下にございますサブタイトル「いのち輝くマグネット神奈川の実現に向けて」ということを巡って多くの議論がされたと思います。このコンセプトをどのように政策に落とし込んでいくかが、部会での議論が集中した点であります。資料3の2ページ、一番下の図を見ていただくと分かりやすいのですけども、この矢印は逆になっていますが、政治に責任をお持ちの知事が、比較的分かりやすい言葉で仰ったことを、行政でどう翻訳し、具体的な政策に作り上げていくか、なお、長期的な大きい課題と短期的にしなければいけない問題をどの様に縦糸と横糸で結んでいったらよいか、という難しい課題を実施計画編の3年の集大成として、26のプロジェクトに落とし込んでいくという作業を行ってきました。そこで出された意見の中には、基本構想編にかなり書き込んでありながら、もう少し丁寧な説明で、実施計画編の一つひとつのプロジェクトに分かりやすい格好で導線が分かるようにしてほしいという意見が幾つかあったこと。二つ目は、ここには書いてないけれども、主要施策として継続してやってきた問題に、今後どの様なアクセントが付くのかという説明をもう少し丁寧にした方がよいこと。三つ目は新しく見えるけれども、これまで、ある言葉で言ってきたことを少し修正して、同じ様な内容を、新しい時代の要請に応えて、違った角度で実行しようとすること。代々の知事が引き継いできた神奈川県の先進性を、黒岩知事も引き継いで発展させていくという役割を担っていますけれども、具体的な施策にしていくのは、やっぱりこの場にいらっしゃる審議会の委員の皆さんです。これまでの議論を考えますと、この26のプロジェクトの位置づけとして、主要施策全体の中でどの様な意味があるのか、3年間でどの程度のことができるのかもう少し丁寧にご説明させていただいた方が、分かりやすいだけではなくて、正確な理解をしていただけるので、そうした情報提供の仕方を工夫させていただければと思いました。

 小林会長:そろそろ時間でございますので、終了したいと思います。今日は非常に活発なご意見をいただきました。基本構想編、実施計画編について、重要な指摘をいただきました。したがいまして、この基本構想編、実施計画編がそのまま了承されたという、そういう受け取り方はできないと思いますので、ただ今、部会長からも、ご指摘いただきましたように、年明けにございます部会に向けて、さらに県民からの意見募集もその前に行われるということですから、この審議会でのご意見、それから県民参加でいただいたご意見、それらを含めて年明けの計画策定専門部会でご議論、ご審議いただき、その成案を得たものを書面協議という形で皆様にご提示し、ご意見をいただくという手続きを経た上で、3月下旬に答申を出すという、そういう道筋でこの審議会の答申をまとめさせていただきたいと思います。基本的に今回の基本構想編、実施計画編につきまして、こういう方向に持って行った方が、考えられている意見をより正確に反映できるのではないかというご意見を多々いただいていると思いますので、それを整理させていただいて、今お話しさせていただいたような手続きで3月下旬の審議会に臨ませていただきたいと思いますが、そういう形でよろしいでしょうか。

(異議なし)

 小林会長:それではそういう形で今後進めさせていただきたいと思います。書面協議の結果につきましては、私の方で皆さんのご意見を踏まえて、対応させていただくということで、一任いただきたいと思います。

 吉川政策局長:短時間の中で細部にわたりまして色々ご意見、ご提言、また私どもに対して、もう少し見直すようにとのご指示、につきまして、しっかりと受け止めさせていただいて、ただ今、お話がありましたように、会長と相談をさせていただきながら整理をいたします。何しろ、圧倒的なスピード感をもって、「いのち輝くマグネット神奈川」の実現のために、県政を推進して行くことが知事の思いです。そして、その中で私どもが、念頭に置いている大きな点は、実施計画編の中身は、できるだけ分かりやすいものにしたいというのが知事の思いです。ある意味では、分かりやすさを求めたために、逆に分かりにくくなる部分もあるのも事実だと思いますが、できるだけ県民の皆さん方の頭にすっと入るようなものを求めていきたいという知事の強い思いがあります。そうした中で、「神奈川モデル」というのは、まさに、一つの象徴です。例をあげますと、ポリオの不活化ワクチンの問題がありますが、二十数%の方が実際ワクチンの投与を受けていないという実態の中で、県民の視点で何をするのかと言ったときに、国で承認されていない安全な不活化ワクチンを投与するということは、まさに「神奈川モデル」となるものです。先ほど、「県民総力戦」という言葉についての議論がありましたが、「戦」という字が入っていると、何か戦うのかという話になってしまいますけれども、こうした「神奈川モデル」を、県民参加の中で作り上げていくのが知事の思いだと、これは先ほど会長からお話のあったとおりだと思っております。いずれにいたしましても、我々そういう思いを受けた中で、作業をさせていただいておりますので、知事が県民の方にお約束していることや、その中で使っている言葉はなかなか修正しがたい部分もあると思っております。総合計画については、今後この審議会でさらに議論していただくことになります。私どもも、24年度のスタートをめざして、全力をあげて取り組んでまいりますので、委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を、引き続きよろしくお願いしたいと思います。今日は、お忙しいところ、本当にありがとうございました。

3 閉会

 小林会長:一つだけ言い忘れました。当然の事ですが、答申を出す前に県議会の議決が必要ですので、そこは、議決をいただいた後、答申という流れになります。それでは、これを持ちまして終了させていただきます。どうもありがとうございました。

会議資料

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