第23回施策調査専門委員会審議結果

掲載日:2015年4月1日

審議(会議)結果

次の審議会等を下記のとおり開催した。

審議会等名称

水源環境保全・再生かながわ県民会議 第23回施策調査専門委員会

開催日時

平成25年3月22日(金曜日)10時00分から11時40分

開催場所

神奈川県中小企業共済会館6階 第3・4会議室

出席者【委員長・副委員長等】

木平 勇吉【委員長】

天野 望、伊集 守直、田中 充

オブザーバー委員 井伊 秀博、坂井 マスミ

次回開催予定日

未定

所属名、担当者名

水源環境保全課調整グループ、担当者名 高乘

電話番号 045-210-4352

掲載形式

  • 議事録

審議(会議)経過

議題:森林生態系効果把握手法等の検討について

  • 水源環境保全課 高乘副主幹から【資料1-1、1-2、3、4】により、自然環境保全センター 濵名研究企画部長から【資料2】により説明。

(田中委員)

 資料1-1に関して、「生態的ニッチ」や「カスケード効果」の文言の意味を教えていただきたい。

(木平委員長)

 ニッチというのは、適地という意味になります。

(自然環境保全センター)

 カスケード効果は、段階的な効果ということで、シカも一遍に減りませんので、徐々に減らしていった時に、それによって少しずつ回復状態が変わっていくとか、例えば平方キロメートル当たり20頭いたものが、10頭になった時にはこのように変わり、さらに5頭になるとこう変わってくるなど、効果の現れ方が段階的になるといった捉え方になるかと思います。

(天野委員)

 CVM法とはどういうものでしょうか。

(木平委員長)

 納税者や受益者の満足度を測るもので、これまでこの委員会ではそうした発想はなく、土や植物の状態がどうなったかという物理的なものを主に見てきましたが、こうした税金の評価というのは重要ですね。

(水源環境保全課)

 アンケートで、県民の方にこういう施策をやってこれだけの効果がありますよということをお示ししながら、それに対してあなたはいくら払いますか、5百円なのか、千円なのか、2千円かということに関して、アンケート方式で広く意見を収集して施策の経済的な価値を出していく方法です。

(伊集委員)

 これは評価の一つとして使うくらいに考えるのが良いと思います。政策の評価を市場サービスに置き換えて評価する、つまり金銭的にどのくらいの便益を生み出しているのかを見ますが、そもそも貨幣と交換出来ないものだから県がやっているので、市場による評価をすると問題が出てくる。

 市場であればお金を払うことで手に入り、所有権が移ることで、それに対する満足度が測れるので一対一で評価出来ると思いますが、この場合はサービスが自分だけのものではなく、皆のものになるので、便益を個別化して、お金の対価として評価しにくい性質があります。評価の一つとして、県民の満足度を探るような手法として活用できるかどうかとの認識でいた方が良いと思います。

(天野委員)

 この会社がその方法を提案したということでしょうか。

(木平委員長)

 この会社が事務局をやり、それぞれの専門家が集まり議論をしたわけです。その議論の内容をこの会社がまとめたということです。

(田中委員)

 10年間で400億円近い額の水源環境税を投入して、どのような効果があったかということですが、直接的な森林保全の効果以外にも間接的な部分がいろいろとあり、それをどう評価するかですね。

森林の状態評価や機能評価に目を向けたのは、水源環境保全という直接的な税の目的以外に、森林生態系や生物多様性といったものが間接的に広がり、それがまた森林に戻ってくるという構図を描いたわけです。森林整備は、水源環境保全を目的としたけれども、結果として見ると複合的な効果をもたらして、それが水源にも戻ってきているというシナリオで捉えているわけです。

 そうだとすれば、経済評価は、直接的に森林状態が改善していることに加えて、林業に及ぼす影響やシカが減ることによりどういう効果があるかなど、そうしたことにまで踏み込むかどうかですね。水源環境保全税の10年間を総合評価するとなると、経済評価の射程も広がるのではないかと直感的に思いました。この辺りについては、伊集委員はどうお考えでしょうか。

(木平委員長)

 経済評価というのは、狭い意味ではなく、社会的にということだと理解しています。林業がどうなったとか、地域の生活がどうなったかということも経済評価に入るのではないかと期待しています。

(伊集委員)

 そういうことであれば、産業連関分析の手法を入れて評価することは可能かと思います。データが十分に取れるのであればという前提はありますが、波及効果ということですね。

(田中委員)

 森林の要素のみに着目するのも一つの考えだと思いますが、10年経った中間年で総合評価しましょうという話ですと、直接的に森林が回復したことへの県民の評価として、経済的、貨幣的にこれぐらい評価していますということがCVM等で出ると思いますが、それに加えて総合的な評価といった時にどこまで範囲を広げるか、考え方を整理しておく必要があると思います。

(木平委員長)

 その点については、資料4のロードマップで言うと、平成25から26年度で実施に向けた検討をしますね。そこでもう少し具体化しないといけないと思います。

(自然環境保全センター)

 資料4で見ていただいて、経済評価については、森林生態系だけでなく施策全体として捉えておりまして、河川なども含めた全体で見た時に、経済的な評価をどういう形でやっていくのかは検討していく必要があります。

 ワークショップでの専門家の先生の話で、水についてはダム何個分という形でやられている代替法の評価事例がありますが、生態的な視点になるとなかなか代替になるものがない。例えば絶滅種の絶滅してしまった価値というのは測れない部分があって、代替法やいろいろな手法がある中でそれぞれメリット、デメリットがあります。

 県民に理解してもらう評価として何を使うのが良いのか、CVMをベースとして考えていますが、これだけやってこれだけ良くなった、それで皆さんどれぐらい満足していますかと、今の評価の状態が施策をさらに10年続けた場合にどうなるかというシミュレーションの下に、そこまでいくならいくら払えるかなど、使えるものの性格に応じた評価の手法を25、26年に検討しながら決めていきたいと考えております。

(田中委員)

 その方向で良いと思いますが、従来の森林施策と特別対策事業をどう切り分けるかの点がなかなか難しいが、ひとまずやってみましょうとの考え方の整理はとても良いと思います。

 資料2に関して3点伺いますが、森林生態系効果把握の具体例、評価項目の考え方2について、林床植生の種類、嗜好、不嗜好種類の割合とありますが、整備したところと、していないところの差が出て来るような比較評価をしてはどうかという点が一つです。

 また、2点目として、森林の保全度、森林生態系の状態量が10段階で7にあるとか、いくつかの指標項目を総合化して、生態系の度合いがどのレベルに来ているのか、定量化が可能かどうかということです。

 3点目として、県民参加型とか、NPOなどの参加により面的に参加型で調査が出来るのかどうか、伺いたいと思います。

(自然環境保全センター)

 1点目については、これまでに調査を継続している中で、その都度の状態の変化を取っていますので、時間的な変化と状態の変化に関して、こういうものがどう変化したかを見るのが良いと思っていまして、過去がどうなっていて、整備した結果どうなのかを見ていきたいと考えています。当然、見られない部分も出てきますので、その場合は過去の状態の残っているところで変化を見ることも可能かと思います。具体的には、森林生態系ということで、丹沢大山総合調査のデータがありますので、専門家と連携協力しながら5年、10年経った時点での変化を見られないかといった連携の方向を模索していけたらと思います。

 定量化については、出来る限り定量化の方向で進めたいと考えています。種類や変化によって必ずしも増えたから良いものではない面もあるので、その辺をどう表現するかということはありますが、個々の調査項目については定量化できる形を取りたい。シカのいる、いないなどの変化を掛け合わせた中で、最後に絵にしていく時には、定量化の組み合わせでランクを決めて示すしかないのかなとの感じを持っております。

(木平委員長)

 こうしたものがあると分かりやすいかも知れませんが、どんなに専門家が集まって取り組んでも、なかなかきれいなものは出ないので、分かる範囲で少しでも分かりやすいものをと考えています。指標化については、数字としては分かっても、実態はよく分からないのであまり指標化には賛成しません。数量化の研究は過去からずっとやっているが、環境や森林の問題については、結局、数字の遊びのようなところがあり、研究者としては非常に面白いが、こうした税の世界では納得性が強くないと思います。先ほど事務局から説明があったように、もっと身近な事実を示していくことが有効だと感じます。

(田中委員)

 総体として、これだけお金を使ってどういう効果が出たのかという時に、土壌流出はこれぐらい良くなりましたと個別に言われても、それでは結論はどうなのかとのニーズもあるので、何らかの形で総合評価をする必要もあると思います。

 事業の評価の流れ図がありますが、森林生態系の健全化の3つの項目、植生の多様化、土壌の保全、野生生物の生息環境、この3つが資料2の項目と合致しているのでしょうか。

(自然環境保全センター)

 植生の多様化については、林床植生の出現種の種類の変化や、嗜好性、不嗜好性の種類のバリエーションなどがここに入ってきます。

 草丈など階層構造については、将来的になりますが見ていきたい。この中でペンディングにしているのは、希少種はまだこの調査項目には入れておりません。

土壌保全については、昆虫の種類や標徴種の種類の中の、土壌部分の表層性土壌動物層や菌類の変化で見ていければと思います。動物についてはシカをはじめ、鳥類については藪性鳥類を見るとか、分かりやすいもの、変化の出やすいものを今後検討して見ていければと考えています。

 将来的には、アンブレラ種については、種を追いかけるというよりは、生息環境のポテンシャル、どれぐらい生息環境の整備が出来ているかを見ていければと考えています。

(田中委員)

 要望したいのは、植生の部分は上手く反映されていると思いますが、土壌保全とか野生生物の生息環境の部分についても、評価項目の出し方と1次的、2次的アウトカムという3つの項目と上手く整合するように整理していただければと思います。こうした項目を見ることで、こちらのアウトカムにつながっていますというシナリオが見やすくなります。

(自然環境保全センター)

 変化が現れるのにどうしても時間がかかりますので、今の段階で何を見ていけば良いのかも含めて検討したいと考えており、一番敏感に見れるものをピックアップした中で見ていきたいと思います。第2期の来年、再来年ぐらいで検討して、出来れば時系列を見たいので、今の状態を見て、第3期の状態、第4期の状態を見ていければと考えています。

(田中委員)

 ロードマップでは、経済評価に関しては手法と対象について検討を始めるとのことですが、検討体制をどのように考えていますか。

(自然環境保全センター)

 経済評価については、専門家を入れたプロジェクトの中で具体的に検討する予定です。森林の部分だけでやるのであれば自然環境保全センター主体でやることになりますが、河川や地下水なども含めた施策全体での経済評価になりますと、どういう方法でやるのかは今後の検討になります。

 第2期ではとりあえず森林部分だけ経済評価するのかとか、方法については庁内でも検討しながら、県民会議に相談しながら進めていくことになるのではと考えております。

(木平委員長)

 内部だけでは当然出来ませんし、新たな専門家も必要でしょうし、市民レベルも必要だろうと思います。丹沢については、10年以上保全センターが中心でやってきて、総合調査時には神奈川県を中心とした研究者が随分多く参加して知識を持っているので、そうした人を出来るだけ活用した方が良いと思います。一般的な理論家でなく、地元についてよく知っている人達を含めた方が良いと思います。

(田中委員)

 検討体制は重要な課題でもあるので、透明性の高さや地域性を考慮した方が良いと思います。この前のワークショップでは、専門家として京都大学の栗山さんや統計数理研究所の吉本さんがメンバーに参加されていました。相応の検討体制を作っていただき、地元のメンバーですとか、場合によっては県民会議のメンバーにも入っていただき、進めるのが良いと思います。

(木平委員長)

 まず、県民会議でこういう方向でやった方が良いとのオーソライズが必要でしょうね。それに基づき詳細な形でこのようにやるという方向を決めることではないかと思います。

 全体的な印象としては難しいと感じます。この提案は非常に意欲的だし、是非やりたいのですが、この中の実現可能なところで落ち着ける必要があると思います。

(天野委員)

 水源環境保全・再生施策の評価については、状態評価、機能評価にとどまらず、最終的には経済評価に持っていきましょうと読めば良いのでしょうか。納税者が満足しているかどうかを見るためには、ここまでやらなければ分かりませんよということを提案しているわけですね。

(田中委員)

 とどまらずというよりも、経済評価も一つの並列で考える方が近いと思います。元々経済評価をするために森林生態系評価をしようということではなく、水源環境保全施策をやってどれだけ森林生態系効果あるいは良質な水の安定的確保が図られたのか、全体的に科学的に見ていきましょうというのが、そもそものきっかけです。

 ただ、中間の折り返し地点が数年後に迫ってきているので、そこに向けては総合評価も必要だということで、経済評価の考え方が加わったのだと思います。経済評価が上位にあるわけではないと思います。

(木平委員長)

 大体こういう方向で行くということで県民会議に提案したいと思います。考え方としてはこれで良いと思います。

(田中委員)

 森林生態系効果把握については、モニタリングを25年度から始める、あるいは既に集まっているデータを解析するわけですね。その際、専門家による検討会は実施されるのですか。

(自然環境保全センター)

 評価のためのプロジェクトを作りながら進める予定です。

(田中委員)

 対照流域法のデータなり、成果というのは、森林生態系効果把握の中に上手く位置付けがされているのでしょうか。

(自然環境保全センター)

 基本的に対照流域法は水源かん養機能を見るための手法ですが、調査項目の中に生態的な視点のものもいくつか入っていますので、そうしたものは継続して生態系の方でどう使えるかを分析しながら、さらに森林生態系の要素として少し入れられるものがあれば検討していきたいと考えています。

(木平委員長)

 この件については、今日いただいた意見を加味して県民会議でまとめていただくことにしたいと思います。

閉会

(木平委員長)

 それでは、オブザーバーで参加された委員の皆さんからもコメントがあればお願いします。

(坂井オブザーバー委員)

 経済評価に関して、県民の満足度という話がありましたが、施策の県民への説明を十分に行い、きちんと理解してもらった上で評価してもらうことが重要で、そこを抜きにして満足度を測ることは不可能だと思います。私は、3月16日(土曜日)に横浜そごう前広場で開催した県民フォーラム「もり・みずカフェ」に参加いたしましたが、そこでの来場者の反応を見ても、日頃まったく森林に接していない県民が私達の説明を聞いて、県が公助として森林を維持しようと考えているということについて感動してくれているのだと感じました。公助はいずれ自助や共助に立ち返らなければならず、自助を伸ばす努力がこれから更に必要と感じます。また広い意味で見た時に、超過課税を続けることによる弊害もありますし、それによって得られたものもあります。

 経済という面では、目に見える短期的なものと、長期的に森林の価値を最大化していく上での振れ幅が出てくると思います。また、この税の効果を一般会計と分けて評価すること自体困難ですし、広域かつ公益的なものに経済評価を行うこと自体がなじまないと思います。

 そうすると、経済評価ということ自体にかなり無理があります。もう少し平たいところから見ていかないと、結果として相当飛躍してしまうと感じました。

 必要な視点としては、前に進めたり、何か新しいことを始めるよりも、これまでの6年間とそれ以前からの努力の積み重ねや実態に対する理解や感謝が大事だと思います。そういうことを県民に広く理解してもらい、ただ木を切るのではなく、木を植えてくれた人への感謝とそれを引き継ぎ守ってくれている人への理解をした上で、その上に何を積み上げるのが私達の仕事かという視点を持って評価を考えることが重要だと思います。また、最終的に問われるのは、この税金が終わった時に人が残るかどうかです。人が残らなければ良好な環境を維持し続けることはできませんので、その点が事業を経済評価するにあたっては特に重要だと思います。

(井伊オブザーバー委員)

 昨年から横浜市の小学校に出前授業をしていますが、資料2のような分かりやすい資料があると良いですね、これは欲しいなと思いました。

(木平委員長)

 それではこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

【会議終了】

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会議資料

次第

資料1-1 森林生態系効果把握手法等検討業務委託報告書について

資料1-2 水源環境保全・再生施策に係る森林水循環を考慮した森林生態系効果把握手法等検討業務委託報告書(概要編)(写)

資料2 森林生態系効果把握等に関する考え方

資料3 施策の総合評価の考え方について

資料4 施策評価のロードマップ骨子について

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