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更新日:2023年10月26日

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神奈川県衛生研究所と理化学研究所が新型コロナウイルスの迅速検出法を開発しました。

今後、さらに改良を進めるとともに、実証研究なども開始します。

県は、外来感染症の防疫に資する技術開発研究に取り組んできたところですが、今般、神奈川県衛生研究所が新型コロナウイルスの3株をダイヤモンド・プリンセス号の乗船者の検体より分離することに成功し、それを用いて、神奈川県衛生研究所と国立研究開発法人理化学研究所(以下、「理化学研究所」という)が新型コロナウイルスの迅速検出法を開発しましたので、お知らせします。
今後、文部科学省及び国立研究開発法人科学技術振興機構(以下、「科学技術振興機構」という)から、緊急的な追加研究支援も頂きつつ、開発成果のさらなる改良を進めるとともに、研究機関や大学、医療機関等の協力を得ながら、実証研究にも取り組んでいきます。

1 これまでの研究内容等

県は、ヘルスケア・ニューフロンティアの取組(京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特区等)の中で、平成28年度から神奈川県衛生研究所と理化学研究所による外来感染症の防疫に資する技術開発研究を支援しています(*1)。
これまでの開発研究では、デングウイルス、ジカウイルス等の感染症を、理化学研究所が開発したSmartAmp(スマートアンプ)法(*2)を利用して検出する方法に取り組んできました。SmartAmp法は、一般的に、検出時間の短縮や高感度検出ができるなどといった特徴があります。
昨今の新型コロナウイルス感染症の国際的な広がりを踏まえ、県からの要請により、神奈川県衛生研究所と理化学研究所(*3)は、SmartAmp法を利用した新型コロナウイルスの検出方法の研究開発に着手しました。

(*1)平成28、29年度は、県の「先進異分野融合プロジェクト」、平成30、31年度は、科学技術振興機構「世界に誇る地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)推進プログラム」の一環として実施。
(*2)遺伝子を特異的に増幅して検出する簡便・迅速・安価な遺伝子検出技術。既存のリアルタイムPCR装置をそのまま利用することができるとともに、PCR法のような温度の上下を必要としないため、増幅時間の短縮及びエネルギー消費量の削減が可能な技術。
(*3)理化学研究所の支援:新型コロナウイルス検出に必要な試薬の調整、検体サンプルの処理・解析等のプロトコルを作成し神奈川県衛生研究所に提供。

2 今般の研究成果

神奈川県衛生研究所は、新型コロナウイルスの3株を、ダイヤモンド・プリンセス号の乗船者の独立した3検体から分離することに成功しました。この3株は、新型コロナウイルスの全ゲノム解析や迅速核酸検出法を開発するのに必要な試料となります。
この試料を用いて、神奈川県衛生研究所と理化学研究所は、新型コロナウイルスを迅速かつ高感度に検出する研究用試薬を開発し、実際の検体で性能を確認しました(*4)。
SmartAmp法を利用した新型コロナウイルスの新たな検出試薬は、リアルタイムPCR装置、等温増幅装置等を活用して、新型コロナウイルスの検出を行うことが可能な研究用試薬です。新型コロナウイルス感染症の検査法として現在使用されているリアルタイムPCR検査の方法(*5)との比較において、温度の上げ下げの必要がなく、一定温度による、より単純な工程で、より迅速、かつ、高感度で新型コロナウイルスの検出ができるとの実証結果が得られました。

(*4)「新型コロナウイルスの迅速核酸検出法の開発」(令和2年2月27日、神奈川県衛生研究所及び理化学研究所)(PDF:2,004KB)
(*5)以下の記述は、新型コロナウイルス感染症対策本部が令和2年2月13日に示した「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」の注釈から引用した。
・PCR検査:DNAを、その複製に関与するプライマー等を用いて大量に増幅させる方法。ごく微量のDNAであっても検出が可能なため、病原体の検出検査に汎用される。
・リアルタイムPCR装置:PCR検査において、DNA断片の増幅とその検出を同時に行う装置。迅速性に優れる。

3 今後の展開

県では、今回開発した新型コロナウイルスの迅速検出法のさらなる改良を行っていくとともに、SmartAmp法を利用した新型コロナウイルスの検出試薬に関する実証研究を、関係行政機関、研究機関、大学及び医療機関等と連携して開始することを予定しています。
その取組を推進するため、文部科学省・科学技術振興機構「世界に誇る地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)推進プログラム」の追加予算を配分して頂くこととなりました。県としては、本追加予算も有効に活用して、SmartAmp法を利用した新型コロナウイルスの検出試薬に関する実証研究を推進してまいります。

4 注意点

今回公表した研究成果は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に基づく体外診断用医薬品等の承認を現時点では得ておりません。あくまでも研究(実証研究)段階のものとなりますので、同法に抵触するような取扱や広報は避ける必要があることから、その点につきましてご配慮のほど、よろしくお願いします。

 
 

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