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更新日:2024年3月29日

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第25回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」開催結果(その2)

平成30年11月6日(火曜)に開催された、第25回黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川の実施結果についてご覧いただけます。

実施結果(テキスト版)

  1. 知事のあいさつ/ゲスト・プレゼンテーション
  2. 意見交換

 

2 意見交換

参加者1

 横浜市戸塚区から参りましたイチヤナギです。よろしくお願いいたします。私は精神障がい者です。でも、社会に負けないように、いろいろなことに努力しております。それで今年は、大学の社会福祉学科を受験することを決めて、願書も届きました。それとは別なのですが、うちは長男と次男と2人の息子を抱えておりますが、長男は32歳なのですが、中学校でいじめにあって、ひきこもりになりまして、その後ずっと中学校に行かなくて、年間で3日ぐらいしか行かなかったのですが、良い校長先生で、卒業はさせていただいたのですが、社会で、ちゃんとバリバリと働くようになりまして、今はJRのグリーンアテンダントをしております。
 それで高校の卒業検定がなかなか受けられないので、そのような勉強の場が欲しいなと思いまして、民間ではあるのですが、そういった場所は作れないでしょうかということをお伺いしたいのですが。

知事

 高校の卒業認定ですか。

参加者1

 高校の卒業認定のための勉強の場というのを作っていただけたらと存じます。

知事

 高校に行っていなくても、高校卒業認定は取れるのですよね。そのための勉強の場。教育関係の人はいますか。高校卒業認定を取るためのそういう場はありますか。

副知事

 関連して言えば、夜間中学校という例が具体的にあると思いますが、これについては、神奈川県としても、神奈川県内にも必要かなということで、今、設置に向けて検討しているところです。

参加者1

 はい。ありがとうございます。

参加者2

 私は、昨年、笹川記念保健協力財団の会長と県内の在宅看護センターを起業した看護師5名で知事のお部屋を表敬訪問させていただきましたオカモトと申します。日本財団在宅看護センターLanaケア湘南の訪問看護ステーションをやっております。高齢者のお看取り、在宅看護やリハビリに日々まい進しているのですが、昨今、喫緊の課題として医療ケアを日常的に受けて暮らす医療的ケア児と呼ばれる子どもたちとその家族を地域社会の一員としてどう支えていくことができるのか、この課題に取り組んでおります。重たい病気の子でも、お家で暮らすようになりまして、その生活の中で命に直結するケアが欠かせない子たちを私たち訪問看護師が支えております。ご両親たちが直面する悩みが様々あって深刻なのです。短時間でも子どもを預けて、お母さんが美容院、病院、親の介護をする時間がないのです。寝る時間がないというお母さんもいらっしゃいます。歩けて元気そうでも、医療ケアが必要だということを理由に、希望する保育園や学校に通えない子どもたちも少なくありません。未就学児は特に保育が受けられないのです。また、万が一に備えてということで、養護学校にお母さんが付き添うのです。お母さんが付き添うということは、お母さんが働けないということになり、社会参加や就業の機会がなくなってしまいます。これは納税者が減るのだということを考えています。そこで、私たち訪問看護師が、もっと地域で働きたいのです。今の制度だと、在宅においてケアをするということで、なかなかご自宅以外の所でのサービスが提供できない状況になっております。最近、少し加算が付いて、外でも働けるようになってはいるのですが、先方の施設の方で、そういうのはうちでは使いませんと言われてしまうのです。例えば、私たちが養護学校に行って、抜けてしまった胃ろうのチューブを交換すれば、その子はお腹を空かせてお家に帰って、お母さんが入れてくれるまでご飯が食べられないということが避けられます。

知事

 ありがとうございます。医療的ケア児の問題は、議会でも今よく取り上げられている問題であります。養護学校に訪問看護師さんが行って、ケア児のサポートをすることはできないのですか。

参加者2

 今はできないのです。

知事

 なぜできないのですか。

参加者2

 ボランティアではできるのです。お母さんの代わりということで。

特別支援教育課長

 県立の特別支援学校には、常時、看護師を配置しておりますので、看護師と教員が連携して医療ケアを実施しているというのが、現状でございます。

知事

 特別支援学校には、元々、いらっしゃるのですね。でも、そうではないところの話をされているのですね。

参加者2

 例えば、胃ろうのチューブが抜けてしまった、鼻からのチューブが抜けてしまったというと、学校の看護師さんは入れてくれないのです。

知事

 なぜ入れてくれないのですか。

特別支援教育課長

 緊急対応になりますので、すぐに救急搬送をして、やるということで対応しています。

知事

 抜けた時ですね。抜けないようにということでしょうね。

参加者2

 例えば、チューブが1センチ出てきてしまっても、学校の看護師さんは入れてくれないのです。そうすると、お母さんが学校に出向いて入れるか、若しくは、家に帰って、訪問看護師が自宅で入れるしかないのです。

知事

 これは、どうすれば良いのでしょう。

特別支援教育課長

 親御さんが来ていただければそれは対応できますが、やはり1センチというのが、非常に命に関わるようなことになりますので。

知事

 それをその場でスッと入れないと、逆に、正に命に関わってしまうわけですよね。

特別支援教育課長

 より安全に対処するために、救急搬送ということで対応していただいているということです。

知事

 この手の問題、実は、私は、前から関わってきました。たんの吸引の問題がありました。たんの吸引の問題で、ヘルパーさんが、たんの吸引をするのはいけない、家族だったら良いと言うのです。ALSの患者さんが、そうです。たんの吸引さえきちんとしていれば、何十年でも元気でいらっしゃる。体は不自由であっても元気でいらっしゃるのですが、たんの吸引ができなくなってしまったら、すぐ命に関わる状態になる。家族が普段やっているのだけれども、ヘルパーさんにやってくれと言ったら、それは医療行為だという話になってしまう。家族ができるのなら、ヘルパーさんもできるのではないかということです。実は、国の検討会のメンバーだったのですが、その時、大暴れしたのです。今のと似たような話ですよね。ヘルパーがやったら危険だと言って、でも危険だと言っても、そこにヘルパーさんしかいないのであれば、やり方を教えてもらえればできるではないかと言ったら、医師法違反だという話でした。医師法違反と言っても、家族はやっているのではないかと言いました。必要な人に必要なケアを届けることが大事なのではないか、そのための体制にすることが大事ではないか、と大暴れして、結果的にヘルパーさんも、ある程度研修を受けたら、それができるという形になったのです。だから、今おっしゃっている話は、これと似ていますよね。課題として、この辺の整理をして、真剣に取り組んでいきたいと思います。どうもありがとうございました。

参加者3

 寒川町から来ましたオノと申します。私の娘は、医療的ケア児の中でも人工呼吸器を装着しております。今年の4月から小学校1年生に上がりました。困っていることが2つあり、1つは、まだ、「ともに生きる」ということを学校では実感できていません。なぜなら先生方に、娘のことを怖いと言われてしまったり、イライラするとかイラつくという発言があったりして、学校に行けなくなってしまいました。また、人工呼吸器を着けている子どもは、神奈川県が通知を出しておりまして、親が付添いをしなければなりません。学校に看護師がいても、人工呼吸器の子どもについては、すべての医療ケアを親がやらなければいけないという通知が出ております。そのため、ほかの医療的ケア児よりも、かなり厳しい現実があることを、是非これから考えていってほしいと思っております。

知事

 ありがとうございます。お嬢さんも来ていただいて本当にありがとう。先ほどの話に似ていますよね、たんの吸引の問題とね。家族ならできるという。だから、家族はずっと学校にいなさいよという話ですね。

参加者3

 別室待機も許されません。

知事

 それはできないでしょうね。

参加者3

 送り迎えのスクールバスにも乗れませんし、遠足と校外活動の時も、バスに乗れませんし、とにかく呼吸とかと関係ないことも全部親がやるようにという通知が出ています。

知事

 ちょっとこの辺、県は、その問題についてどうやって受け止めているのか。何かしようとしているのか。

特別支援教育課長

 人工呼吸器のお子さんについて、保護者の方に付添いをしていただくというお話をしていただきましたが、医療ケアの人工呼吸器の問題については、ワーキンググループを作っていまして、今年一杯で、もう2年目になるのですが、ある程度の方向性を出したいと考えております。

知事

 この問題を何とか乗り越えようと、今、県も動いているところであります。しっかり今日の話を受けて、我々もフォローしていきたいと思います。ありがとうございました。

参加者4

 厚木市に住む精神障がい者の家族でフタミと申します。本日はこのような機会をいただき、素敵なお話も聞かせていただきまして、本当にありがとうございます。
 ともに生きる社会かながわの実現に向けてということで、障がい者が自分らしく生活できるようになるために、神奈川県は何ができるかということではないかと思うのですが、すべての重度障がい者が、分け隔てなく医療福祉を受けられる神奈川であってほしいということで提案があります。障がいは、身体、知的、精神の3障がいがありますが、神奈川県は、重度障害者医療費の公費負担を行ってくださっています。重い障がいを持つ方々にとっては収入が障害年金しかない場合も多く、障がいがあっても心身の健康な生活を保つために大変助かっています。うちの息子も、精神障がい者1級で対象者になっています。しかしながら、重度障がい者に対する医療費助成に関して、長い間ちょっと気になっていることがありまして、この機会に是非お話させていただきたいのですが、神奈川県は、現在、長い間、障がい種別による医療費助成について、格差があるままになっております。身体障がい者と知的障がい者の方々については、通院費、入院費ともに助成対象です。しかし、精神障がい者の方々については、1級の方に対して通院費のみの助成で、入院費は助成対象から外れております。そこが疑問でして、なぜ精神だけが差を設けられてしまうのでしょうか。県の福祉施策が、身体・知的と精神とで格差を設けているということは、神奈川県は精神障がいに偏見を持っていると思われても仕方がないという状況です。当事者と家族は、やはりともに生きる社会かながわという文字を見るたびに、ちょっと悲しい思いをしております。障害者基本法でも障害者総合支援法でも障がい種別による格差を設けておりません。ということは、障がい種別によって福祉施策に格差があってはならないということになるのではないかと思うのですが、神奈川県は格差があるままです。そこに合理的な理由が果たしてあるのでしょうか。ともに生きる社会かながわという言葉は、ひかれるものがあり、とても良い言葉だと思っています。ですので、その理念を広く知っていただくために、3障がいを平等に扱っていただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。

知事

 これも、担当から答えます。

障害福祉課長

 重度の障がい者の方に対する医療費助成、今、お話のありました精神障がいの方への適用については、平成24年から始まってございますが、お話にあったように、精神障がい者の方は、1級の通院についてのみになっております。従来、精神障がいのある方については、いわゆる社会的入院ということで、医療機関に長らく入院して、なかなか地域で生活できないという方が多いです。そういう背景もあって、平成24年に導入した際には、通院に限るということで県内市町村とも協議しながら制度を作ったというところでございます。社会的入院ということが次第になくなってきている状況があれば、市町村とも協議しながら、今後のことは考えていく必要があると思っております。

知事

 はい。こういう問題は、やはり長い歴史を引きずっている部分があるようですね。今、神奈川県も、そういう格差をなくしていこうということで、障がい者雇用、県も、今まで身体障がい者の方を雇用していましたし、知的障がい者の方の雇用もしていました。今度、精神障がい者の方も雇用するということで動き始めていますから、時代の流れは、やはりそうなってきているのですね。歴史を振り返ってみて、最近もいろいろなことで話題になり、つい最近までそういうことをやっていたのか、国全体を挙げてやっていたのかということが明らかになってきて、みんな、びっくりしています。ついこの間までは、当たり前のように国が法律を作ってまでやっていたことが明らかになってきているわけですから、そういった負の遺産というものを克服していかなければいけない、ちょうどそういう時期に入って来ているということなのです。我々も、ともに生きる社会ということを前面に出していますから、一気にはなかなか行かないですが、そちらの方向に向かって一歩ずつ頑張っていきたいと思っています。今日いただいたご意見は、しっかり県の職員も受け止めていますので、今後じっくり見ていただきたいと思います。

参加者5

 横浜市青葉区から来ましたショウツです。よろしくお願いします。私が通っている市ケ尾高校では、課外活動として市ケ尾ユースプロジェクトと銘打ち、行政、NPO、近隣住民の方、近隣の市ケ尾中学校の生徒とともに、地域社会の課題解決に取り組んでいます。その1つとして障がい者と健常者のつながりを深めるというものがあります。特に今年は障がいを持つ児童に焦点を当てて活動をしております。活動の中で気付いたことの1つに、障がい者に働きかける他のNPO等の活動は多いものの、それを取り巻く一般社会へ働きかける活動が少ないように感じました。実際に活動した際にも障がい児童の保護者の方からもいわゆる社会に子どもを出すことに関しては敷居が高い、ちょっと難しいという話がありました。もちろん障がい者への支援も必要ではありますが、その周りの対策は不十分ではないでしょうか。知事がおっしゃったように型に合わせていくのではなく、我々の社会が型を合わせていってあげるということが大事だと思います。行政単位で行うことはもちろんのこと、先ほどの「バリアフリーフェスタかながわ」のような、みんなで体験するようなところに興味や関心を持って来る方は良いと思うのですが、来ない方も神奈川県にはいらっしゃると思います。そういう方に対しても、行政単位で行うことはもちろんのことでありますが、それより細やかな視点で、いわゆる民間だったり地域だったり、私のような学生でも行えることはないのでしょうか。ご意見を聞かせていただければと思います。

知事

 ありがとうございます。学生に何かできることありませんかというよりも、既にやっていらっしゃるのですよね。立派です。ただ単に頭の中で考えるだけではなくて、実際にアクションを起こされているわけですから。それはすごく立派なことだと思います。今度、是非、そこで得たものを具体に形にして、さらに実践してほしいし、今おっしゃったすごく良い言葉。先ほど話があった、仕事のやり方をその人に合わせていく、社会そのものをその人に合わせていくと解釈してくれたという、すごく大きなヒントですよね。これ、やはり実践があったからこそ、そういう言葉が出てくると思いますね。素晴らしいと思います。是非、頑張ってください。ありがとうございました。

参加者6

 専門学校で教員をしておりますフナジマと申します。インクルーシブ教育の現状課題認識と今後の展開について、今の方と同じような感覚を持っています。障がい福祉に関する手厚い保護は当然なのですが、それ以外の社会全体の課題認識、共感であるとか問題認識、あとは共生みたいなものをしっかりと教育という形で具体化していかないといけないと考えております。よろしくお願いします。

知事

 はい。インクルーシブ教育というのは、障がいのある方も一緒になって、別々ではなくて、一緒になって学んでいくということで、今、神奈川県の高校でパイロット的にやって、どんどん広げて行こうとしているところです。正に、ともに生きるということなのですが、障がいがある方を小さい頃から全然そばで見ていないで、ずっと育っているという人は、結構いるのです。その人に、いきなり、ともに生きるんだ、差別してはいけませんよと言ってもピンとこないでしょう。ところが、小さい時から一緒にいると、それが当たり前ということになってきます。だから教育現場で別々にその人たちだけというのではなくて、みんなで最初から、個性が違うこと、これはできるけれどこれはできない、それが個性の1つなのだということが当たり前になってくると、みんな自然に、ともに生きるということになってくると思うので、教育現場において、そういう形で進めるということは、とても大事だと思って、神奈川県もそれを強力に進めようとしているところであります。

参加者7

 横浜市金沢区から来ました。トヨカワと申します。よろしくお願いします。障がい者雇用の一般企業への啓発についてお尋ねしたいのですが、以前、私は、障がい者支援の仕事をしておりまして、その中で、精神障がい者の方だったのですが、その方のためにアルバイト求人雑誌に載っていた事業所に、こういう方がいるのですということを電話したら、露骨に、障がい者は雇いませんと言われてしまいました。その話とはまた別に、私の知人に、ホテルなどの清掃などを請け負う会社に勤めている人がいて、その人に障がい者雇用をやる気はないのかと聞いたら、先方に対して責任が持てないから無理だと露骨に言われてしまいました。普段、生活をしていて、企業へそういう啓発が行われているのかもしれないのですが、余り感じていることがないものですから、その辺がどうなっているのかを教えていただきたいと思います。よろしくお願います。

知事

 はい。ありがとうございます。大山社長のところは全く別格ですが、一般の企業の皆さんに、やはり一緒になって働いてもらいたいと思うのですが、なかなか理解できない。いきなり障がい者と言ったら、頭の中で、一緒にできないと勝手に考えてしまう。現実を知らないからです。我々は、障がい者雇用促進フォーラムというものを毎年行っていて、その成功事例と、実際に大山社長のような形で障がい者の方とともに働いている、こんな現場でこのようにやっていますという事例を紹介してもらって、そこに企業の人事担当者の人や経営者の皆さんに集まってもらって、講演があって、フォーラムで議論し合ってという形で行っています。それだったらできるのではという普及啓発は、ずっと継続をしてやっているのです。そういうことの積み重ねというのは、非常に大事だと思います。これからもがんばっていただきたいと思います。

参加者8

 私は、視界に砂嵐みたいなものが見えるという障がいのようなものがあるのですが、原因や治療法が分かっていないので、助けてもらえないかなと思っています。

知事

 視界にザーッと見えるのですか。眼科には行ったのですか。

参加者8

 はい。

知事

 どう言われました?

参加者8

 いや、問題ないと。

知事

 問題ないと言われた。他の眼科にも行きましたか。

参加者8

 いや、行っていないです。

知事

 この場で答えられる先生いますか?医学的な話なので、他の先生にも診てもらったらどうでしょうか。

参加者8

 広めてもらったりできないですかね。こういう病気があるのですよ。

知事

 まずお医者さんに行っていただいて、診断していただいて、治療していただくというところから始めてはどうですか。

参加者8

 治療法も分かっていないし、原因も分かっていないのです。

知事

 それは、お医者さんに相談してみてくださいね。

参加者8

 医師でも知っている人が、ほとんどいないのです。

知事

 病院は、どこに行っても診てくれますよ。

参加者8

 病院は、どこに行っても無駄なのです。

参加者9

 横浜市のアイダと申します。やまゆりの事件から感じるのですが、障がい者は価値がないということで、極端な、殺しても構わないというような事件が起こったのですが、先ほどの大山さんのお話を聞いても、障がい者の価値というのは単に能力で測れるわけでありませんけれども、自分の好きなことは一生懸命やっているし、すごく集中力があるのですよね。私の周辺にもダウン症の子がおりまして、30代なのですが、その方は手話が得意なのです。よく音楽活動もされているようです。そういう方もいれば、私の甥なのですが、視覚障がいと知的障がいがあるのですが、毎週、大河ドラマを聴いていて、大河ドラマのメロディーを毎週聴いて覚えて、だいたい半年たつとピアノで弾けるようになるのです。私には到底そんなことはできないのですが、すごく集中力があります。障がい者の皆さんを見ていると、やはり芸術分野で、金澤さんの書も出ていますが、非常に力を持っている方が多いと思うのです。そうした分野も、大山さんも感じていらっしゃると思うのですが、やはり雇用の面と、障がい者が生き生きと芸術活動ができるような場を神奈川県として保障していくことも大事ではないかと思います。

知事

 ありがとうございます。ともに生きる社会かながわ憲章の理念を広めるために、「みんなあつまれ」というイベントをやったのです。その時に、いろいろなグループがあって、障がい者のアートをやっている方がいらしたのです。すごい天才がいるのです。彼が描いている工場の絵があり、もう芸術ですね。そのこだわりから何から、頭抜けています。世の中的に言うと、障がいを持ってらっしゃる方です。でも、芸術的才能でいったら、もう全然別の世界です。そんな方がたくさんいらっしゃる。その人たちの作品を集めて、それを商品にする。例えば、それをあしらったものをプリントして販売する。それは要するに、障がい者が作ったからかわいそうだから買って支援してあげようという発想ではないのです。そのアートが素晴らしいから買う。そういう中でやってらっしゃる方がいらっしゃるから、そういうところに、手を差し伸べて、そういう場を提供して差し上げるということが、ものすごく大事だなということを、私は、あのイベントを通じて痛感しました。天才だらけです。ありがとうございます。

参加者10

 大磯町から来ました神奈川県中途失聴・難聴者協会のフルカワと申します。私は大人になってから難聴になりましたので、見た目では聴こえないということが分からないと思うのですが、街で、私、聴こえませんと言ったところで、けげんな顔をされることが多いです。難聴は、誰もがなる可能性があります。日本の全人口のだいたい16パーセントぐらいは難聴者と言われています。高齢になった方も含めて、だいたい16パーセントということになっています。神奈川県が100歳まで元気に生きるためには、難聴という問題に取り組んでいかなければいけないと思います。
 今日、生中継があるということで、聴覚障がいの友達に見てくれとPRしてきたのですが、この場では手話通訳や要約筆記が見られるのですが、生中継は要約筆記と手話通訳が見られない状態になっているので、何を言っているのか分からないと言われました。是非、ワイプか何かで入れていただければと思います。
 大山社長のお話を聞きまして、素晴らしい取組だと思いました。今後この憲章の理念を広めるために私が必要だと思うことは2つあります。1つは、国連で2006年に障害者権利条約が締結されたのですが、その中に、私たちのことを私たち抜きで決めないでというスローガンがありました。この理念に基づいて、主要な会議や、何かを決める時には、障がい者を必ずその席に加えていただきたいというのが1つあります。神奈川県の幹部の方の中に障がい者がいらっしゃるのかどうか分かりませんが、私たちにもお声かけいただければと思います。
 もう1つですが、障がい者が表舞台に立てるように、そういう舞台を用意していただければと思います。例えば、研修の場などで私たち当事者が語れるような場を作っていただくとか。また、先ほど大山社長のお話を聞きましたが、できたらやっている作業風景も見せていただけると、もっと、私たちの心に響いたのではないかなと思います。是非、今後もいろいろな事例、成功事例を私たちにご紹介いただいて、もっともっとこの理念を広めていっていただければと思います。よろしくお願いします。

知事

 はい。ありがとうございました。中継は、やっているのですが、これ(手話等)が見られないというのは、課題として受け止めたいと思います。しかし、今日はこういう場で語っていただきましたので、ここで何かを決めるわけではないですが、決める担当者が、みんな聞いておりますので、その1つの場になったとは思います。

参加者11

 お話、ありがとうございます。就労支援を行っておりますイトウと申します。先ほどの知事のお話で、企業で雇用する側も、障がいのある方が、どんなことができるのか、イメージできないとおっしゃっていましたが、本当にそのとおりだなと思っております。障がい者雇用は、企業は法定雇用率を基に、基本的には雇用をしていて、2.2パーセント、2.3パーセントを目指すことが、まず第一の目標になっていると思います。ただ、法定雇用率のカウントに関しては週30時間になると0.5ポイント、40時間以上だと1ポイントという計算式ではないかと思うのですが、この週30時間の壁というものを企業の方が多く感じられているのではないかと現場で感じております。というのも、週30時間の業務を切り出すということになったときに、この仕事はできるのかという不安が、つきまとってしまうのです。そうなってくると、実習などでいろいろな方を受入れはしてくださるのですが、週30時間も業務が切り出せないというところで、雇用が進まないという問題が起きていると感じます。そこで1つ、私の方から提案としましては、国の仕組みでは、まだそういった仕組みはないですが、週30時間未満のものでも法定雇用率にカウントするとまではいかなくとも、例えば、企業のインセンティブになるような、法定雇用率に足りない分のお金を支払うという制度があると思うのですが、そこを軽減するとか、例えば、移行措置、だんだん週30時間に近づくのであれば、数年は認めるよとか、そういった、週30時間未満の雇用というものに関して、もう少し目を向けていただければと思います。以上です。

※障害者雇用率のカウントは原則として、週所定労働時間が30時間以上の場合は1人、20時間以上30時間未満の場合は0.5人

知事

 はい。ありがとうございます。これ今、本当に国全体の大きな問題になっているところです。法定雇用率というのは、従業員の中の何パーセントは障がいを持っている方に働いてもらうという国が定めたルールがあるのです。今、2.2パーセントですかね。神奈川県は、残念ながら、その法定雇用率に届いていないのです。だから、我々も、一生懸命、企業の皆さんに集まっていただいて、普及啓発しているところなのです。最近、話題になったのは、役所などでも法定雇用率に合わせるために数字をごまかしたのではないかとか、いろいろな人を障がい者扱いして、それは水増しなのではないかといった報道がありました。障害者手帳を持っている人は分かりやすいのですが、持っていない人をどのようにカウントするか、なかなか難しい問題もあるのです。こういった問題について、今、実は県の中でも検討会を設けて検討しておりまして、まずは県庁の中の職員で検討して、そしてそれをベースにしながら、障がい者雇用のあり方は、本当はどうあるべきなのか、今おっしゃった点も含めて、今、外部の有識者を集めて、これから委員会をスタートさせます。実は、その内容を、今日の記者会見で発表したばかりです。ホットなテーマで、非常にタイムリーなお話です。我々は受け止めて、この問題をその委員会の中での議論に反映させていきたいと思います。ありがとうございました。

参加者12

 神奈川県中途失聴・難聴者協会のモリと申します。二宮町に住んでいます。難聴者協会の議長をやらせてもらっています。市町村の格差について確認をしたいのですが、意思疎通支援制度の中で、要約筆記や手話通訳の派遣をお願いしたときに、あるべき姿は、どんな場面でもどんな条件でも派遣すべきものが、実際は派遣されない。例えば、具体的な話をしますと、自分が障がいを持っていて、娘さんの結婚式のために要約筆記者の派遣を行政の方にお願いしたら、(娘さんの)結婚式には派遣はできません、当事者の結婚式だけしか認められませんと言われました。そういう町が実はあるのです。もっとひどいところでは、結婚式には全く派遣できないというところもあります。横浜や川崎では、そういうことはあまりないらしいのですが、県域では非常に格差があると感じています。本来であれば市町村は行政ですから、合理的配慮の義務があるわけです。合理的配慮という義務に基づいて、藤沢にあるセンターの職員に来ていただいて、市町村の格差についてただしましたら、市町村によっては財政の問題があるということで、「できる所とできない所がある。これは仕方ない。」というような回答でした。しかしながら、先ほども言いましたように、行政にやはり合理的配慮義務がある以上は、できれば知事ご自身が、きちんと指導してほしいと思います。要約筆記あるいは手話通訳もそうなのですが、その辺が浸透しないというのは、利用しにくいからなのですね。利用しやすい制度にしなければいけないと思うし、先ほどうちの協会のフルカワさんがお話をしましたが、聴覚障がいの手帳を持ってない方も(含めて)、今、16パーセント、約1,600万人いらっしゃるわけですね。お年寄りの方も。皆さんの両親でも、聴こえにくくなって、要約筆記や手話通訳があれば行けるのですが、なかなかそういう場がない。PRが非常に足りないと思います。今の格差の問題とPRの話をどのように考えていらっしゃいますか。

知事

 ありがとうございます。市町村に格差があるという現実をまず言っていただいた。ちょうど、この会場では、要約筆記と手話通訳の皆さんが一生懸命やってくださっていますが、なかなか重労働でもありますし、数もなかなか少ないという現実の中で、やりくりをしなければいけない。市町村、それぞれの事情もあるのでしょうね。その辺り、県としては広域的に見ているところですから、各市町村の状況を調べてみて、どのようにすれば良いのかを検討してみたいと思います。

参加者13

 横浜国際高校のクメです。先ほど知事がおっしゃっていたように、自分が小学生、中学生だった時に、障がい者の方との関わりは余りなくて、実際その人をパッと見たときにどうすれば良いんだというイメージが全く浮かばないという話をされていました。実際、私は中学生の時にも、障がい者だけのクラスというのがあって、そのクラスの子に対して、他のクラスの子たちが、卑猥な言葉を言ったり、そのような行動をとってしまうという現状が、私はすごく残念なことだなと思いました。友達が私に、あの子、○○だよねということを話しかけられて、自分はどう反応して良いかも分からずに、そのまま流してしまいました。実際、今、高校生になって、そのようなことをキッチリ、ちゃんと考えてみたところ、やはりそのようなことは、あってはならないことだなと思いました。実際そういうことが、まだ小中高、大人になってもあると思いますし、先ほど言っていたバイトの雇用、雇う時にも、そのように差別をされてしまうというこの現状がすごくいけないことだなと思いました。そして、日本理化学工業さんの、障がい者の方たちの長所を生かして事業を成功させるという話を聞いて、こういう会社もあれば、雇わない会社もあるということを感じて、そういう障がい者の方たちが、少しでも、私たちのこういう当たり前の世界の中で役立っていけるような場、少しでもこのようにチョークを作ったりする場、そういう場所をもっと増やして、チョーク以外にも、障がい者の方たちが活動できる範囲があれば良いなと、この話を聞いて感じました。

知事

 今日ここに来てみんなの話を聞きながら、感じたものがあるということの中での発表、そういう気付きがあるのは、非常にうれしいです。これだからこそ、我々がこういう会をやる意義があるとすごく思います。あなたのような若い方が、わざわざここに来たことによって、生の話を聞いて、そうだ、僕自身もこんなの見たことなかった、自分の中にもそういったものがあるのだなということに気付いたということは素晴らしいことだと思います。是非、形にしていってもらいたい。ありがとうございました。はい。時間も迫ってまいりました。他にどうぞ。

参加者14

 川崎市宮前区で、ピッカという一般社団法人をやっている、代表理事の岩永と申します。先月は事例発表をさせていただき、ありがとうございました。福祉の現場にエンターテーメントを、ということをモットーに、僕らは、神奈川県でいろいろな各種チャレンジ教室をたくさん開いています。アートや音楽が、本当に障がいのある方にはとても喜んでもらえて、なおかつそれに携わり、それで表現し、舞台で発表することを、障がいのある方々と一緒に楽しんでいます。大山社長のことを、麻生養護学校からも、高津養護学校の先生からも、皆さんから聞いていて、今日、会えるのを、お話を聞けるのを楽しみにしておりました。60何名の障がいの方がチョークを作られている。僕らは、いろいろなアートの現場でも、クレヨンを使ったり、マッキーを使ったり、いろいろな布切れで切り貼りをやったりして、皆さんアートの表現をしています。キットパスを使ってやりたいなとずっと考えているのですが、作っている従業員の方はキットパスで何か表現したり、描いたり、そういうことを楽しんだりされるのかをお聞きしたいと思いました。もしそれができるのだったら、僕らも是非使わせてもらいたいなと思いました。

知事

 いかがでしょうか。

大山隆久氏(日本理化学工業株式会社代表取締役社長)

 うちの食堂は、ガラスが全部開放されているので、うちの社員は、いつもそこに絵を描いていて、うちの会社案内の表紙の絵は、彼らの作品の中から全部、絵を選んでデザインにしています。神奈川県にある藤沢育成会さんという福祉の現場では、絵にすごく力を入れていて、1年間、うちのキットパスを使っていただき、いろんな絵を描いてもらっています。エクルという工房の名前をそのまま利用させてもらい、キットパスエクルという商品で、彼らの絵をデザインにしました。少しでもそれが、彼らのインセンティブになるように、というようなこともあるので、やはり、アートというのは、すごく大きな力になると思うので、微力ですが、やっております。

知事

 はい、ありがとうございました。ツイッターでも、何件か来ていますので、ちょっとご紹介したいと思います。
 「何か特別なことでなくても、普通にコミュニケーションが取れるようになると良いと思います。」正にそのとおりですね。「以前、日本理化学工業は日本テレビのぶらり途中下車の旅に出ていたと記憶しています。その番組中、これほど障がい者雇用に積極的だとは微塵も感じませんでした。改めてすごいことだと思いました。」「精神障がい者の家族、すべての重度障がい者に医療福祉を。重度障がい者医療助成について、障がい種別によって格差がある。「ともに生きる社会かながわ」を見るたび悲しい思い。担当者から、社会的入院が多いという制度導入時の事情から。」と。それから、「障がいには軽度から自力で呼吸できないレベルの重度まであって、障がい者と一括りにできないのだろうと思います。それをすべてまとめて共生と言っても、レベルごとに適合した名案は出にくいのではないでしょうか。どのレベルならどんな共生手段があるか、改めて考えたいと思いました。」
 こういう風に、議論を真っ当に受けて真剣に考えてくださった、こういったツイッターからのご意見もありました。
 本当に、あっという間に時間が過ぎてしまいました。皆様と、もっともっと話をしたかったです。もっと手を挙げてくださった方がいらっしゃったので、もっと聞きたかったのですが、時間が来てしまいました。いろいろな意味で、まだまだ格差があるという話、こういった問題を、我々はしっかり受け止めながら、どうすればそれを乗り越えていけるかということを真剣に考えていきたいと思います。正に最後にご紹介したとおり、障がいと一言で言っても様々な障がいがあるし、いろいろなことがあって、それは、一括りには、なかなか言えないですが、もし1つだけ言うのであれば、ともに生きるということが、やはり大事なのだということを、そんな社会をみんなで目指していきましょうということを、繰り返し繰り返し、我々は確認し続けるということから始めていきたい、進めていきたいと思います。今日は最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

司会

 改めまして、ここでゲストの大山様に大きな拍手をお願いいたします。ありがとうございました。素晴らしいプレゼンテーションでした。そして会場で意見交換してくださった皆様にも、本当に素晴らしい意見交換、ありがとうございました。ここで拍手をしたいと思います。ありがとうございました。

 

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