第25回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」開催結果

掲載日:2019年3月19日

概要

第25回ライブ画像

テーマ

子どもみらいをスマイル100歳に!

第3弾:「ともに生きる社会かながわ」の実現に向けて
~憲章の理念を広めるためにできること~

日時 平成30年11月6日(火曜) 18時30分から20時
会場 神奈川県庁本庁舎3階大会議場
参加者数 121名

※参加者配布資料はこちらからダウンロードできます。
1 次第
2 事例発表資料 市川 一宏氏(事情により、ビデオレターによる出演となりました。)
3 事例発表資料 大山 隆久氏

実施結果(動画版)

実施結果(テキスト版)

  1. 知事のあいさつ/ゲスト・プレゼンテーション
  2. 意見交換

 

1 知事のあいさつ/ゲスト・プレゼンテーション

司会

 皆様こんばんは。お足元の悪い中、当会場にお越しいただきまして誠にありがとうございます。ただ今から、第25回黒岩知事との対話の広場Live神奈川を開催いたします。
 本日は知事の挨拶、ゲストのプレゼンテーションに続き、会場の皆様との意見交換を進めてまいります。まず、本日のゲストをご紹介いたします。

 日本理化学工業株式会社代表取締役社長の大山隆久様です。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、既に神奈川県のホームページでお知らせしておりますが、もう1人のゲストのルーテル学院大学学長の市川一宏様は、本日ご事情により、残念ながら、ビデオレターによる出演となりますので、あらかじめご了承ください。

 また、会場の様子は、ライブ中継をするとともにツイッターによる会場以外からのご意見も受け付けております。後ほど意見交換の中でご紹介させていただくこともございます。
 インターネット中継をご覧の皆様にご案内申し上げます。この中継をご覧いただきながら、ツイッターでご意見を投稿できますので、是非お寄せください。

 ここで、皆様にお伝えしたいことがございます。

 神奈川県では、津久井やまゆり園事件のような大変痛ましい事件が二度と繰り返されないよう、ともに生きる社会かながわ憲章を策定し、これまでも様々な機会をとらえて憲章の理念を広める取組を進めてまいりました。
 つきましては、本日ここで、ともに生きる社会かながわ憲章を読み上げます。

ともに生きる社会かながわ憲章ともに生きる社会かながわ憲章

 一 私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします
 一 私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します
 一 私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します
 一 私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます
 平成28年10月14日神奈川県

 以上でございます。

 それではお待たせいたしました。黒岩知事からご挨拶を申し上げます。

知事

 こんばんは。神奈川県知事の黒岩祐治です。ようこそ県庁にお越しいただきました。
県民との対話の広場、ずっとシリーズでやっておりまして、とても楽しみにしておりました。直接皆さんとお話できるということでありまして、知事になって7年半経過しましたが、これまで参加された方が1万人を超えました。その中で、この話良いなと思ったら、すぐに実現したこともありますので、直接の対話の機会を有効に活かしていただきたいと思います。何でもよいから話をするというのではなくて、その都度、一応テーマを決めておりまして、それについて、まずは私からプレゼンテーションをさせていただきたいと思います。

 今年は、「子どもみらいをスマイル100歳に!」というテーマを掲げております。

スマイル100歳にいのち輝くマグネット神奈川
 私が知事になる時に、こういう言葉を掲げました。「いのち輝く神奈川」を作りたい。いのち輝くためには何が大事ですか。医療が充実するということは大事ですが、逆に言うと、医療だけが充実しても、いのち輝かないわけですね。安全安心の食がなければならないし、その食を支える農業も、しっかりできていなければいけないし、エネルギーの問題、環境の問題、汚い空気では、なかなかいのち輝きません。労働環境、みんなが生き生きと働ける現場がないと、いのち輝かないし、産業が活性化していないと、いのち輝かないし、まちづくりも大事、教育も大事、ともに生きるという考え方も大事。いのち輝くためには、こういうものが全部連携していかないと、なかなかうまくいかないです。ところが、ここに縦割り行政というものがあり、つながっている役所が違うのです。だから、こういったことを乗り越えて行こうではないかということで、ずっと言い続けてきたのが、「いのち輝く」という県の政策の進め方です。
SDGs 最近こんな言葉がよく言われるようになっています。知っていますか、SDGs
(Sustainable Development Goals)。これを、絶対に覚えて帰ってください。国連が定める持続可能な開発目標です。今のままでは、地球は持続可能ではなくなるという危機感があります。地球が持続可能になるためには何が大事なのかということで、17の目標が書いてあります。よく見ると、すべての人に健康と福祉を、質の高い教育をみんなに、エネルギーをみんなにそしてクリーンに、働きがいも経済成長も、住み続けられるまちづくりをなど、先ほど言ったことと同じです。つまり、「いのち輝く」ということと、このSustainable Development Goals、SDGsは、同じなのです。国連もやっと神奈川の考え方に追い着いてきたなと思っているくらいであります。神奈川県はこのSDGs最先進県を目指そう、という大号令を発してやってきたら、こういうことになりました。SDGs未来都市
 「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」、両方に選ばれたのが全部で10自治体ですが、その中で都道府県として選ばれたのは神奈川県だけです。しかも、神奈川県の中の横浜市と鎌倉市も選ばれました。10の自治体の中の3つが神奈川県勢ということになります。
 そんな中で、我々が「いのち輝く神奈川」を目指していくゴールは何でしょうか。笑いみんなが笑っているような、そんな社会を目指していこうということで、超高齢社会になっても、笑いがあふれるまち神奈川、これを目指していこうと頑張っているところであります。
 その中で、今年の正月に、子どもたちが100歳までスマイル、笑顔で過ごせる持続可能な社会を目指して、こういう目標を掲げてやってまいりました。
共生でスマイル100歳 いろいろな政策を3つの柱にまとめてみました。「健康」でスマイル100歳、「学び」でスマイル100歳、「共生」でスマイル100歳。それぞれのテーマに応じて、各会場で議論をしています。今日のテーマは3番目、「共生」、ともに生きるということでスマイル100歳。それはどのようなことをすれば、実現可能なのかということを皆さんとともに議論したいと思います。「共生」でスマイル100歳でも、いろいろありますね。子どもの貧困対策の問題に焦点を絞って議論したこともありますし、かながわパラスポーツ、こういうことに焦点を絞ったこともあります。

ともに生きる社会かながわ憲章の推進 今日は、ともに生きる社会かながわ憲章の推進という視点から、「子どもみらいをスマイル100歳に!」ということを議論していきたいと考えています。津久井やまゆり園
 先ほど、話がありました2年前の7月26日、津久井やまゆり園で大変悲惨な事件が起きました。コミュニケーションが取れない人間は生きている意味がないのだと、勝手な、でたらめなことを考えた男が、19人もの障がい者の皆さんを惨殺したという大変残忍な事件がありました。我々は、こういったことを二度と起こしてはいけません。そのために県議会とともに、先ほど申し上げたような、ともに生きる社会かながわ憲章を取りまとめました。そして、この理念を幅広く、深く浸透させようということで、毎日努力しておりまして、今日はこのテーマについて、憲章の普及啓発に向けた取組皆さんと議論していきたいと思います。
 この字は、ダウン症の書家、金澤翔子さんが、非常に力強い字で書いてくださった「ともに生きる」という字であります。
推進週間 我々は職員とともに憲章の理念を普及させるためにTシャツも作って、いろいろな形でキャンペーンをやっていまして、みんなあつまれ「みんなあつまれ」というイベントも、今年は松田町等でやりました。みんなで集まっていろいろな絵を描いたり、障がいは関係なく、みんなでやりましょうということです。
市町村や団体との連携 また、鎌倉の大船祭りにも乗り出して行って、「ともに生きる」ののぼりを掲げるなど、いろいろなところに出かけて行って、普及啓発活動を続けているところであります。
障がい者理解促進の取組 つい先日、「バリアフリーフェスタかながわ」というイベントも開催しまして、バリアフリーをみんなで体験しようじゃないか、車いすに乗ってみたらどうなるか、皆さんやってみたらどうですかと体験していただきました。ちょっとした段差でもとても大変なのですよね。何となく分かっているつもりでいても、自分でやってみて、こんなに大変なのだと気付くと、車いすに乗っている方を見た時に気持ちが分かります。こういうことも大事なのかなと、こんなイベントもやっているところであります。

障がい者理解促進の取組
 そして、心のバリアフリー推進員養成研修などもやっておりまして、心のバリアフリーも、とても大事です。体だけの問題ではなくて、心のバリアフリーを学んでいただこうということで、会社の皆さんに、推進員の養成研修を受けていただいております。

 

 


ともに生きる これが「ともに生きる社会かながわ憲章」で、今日はこれを議論して深めていきたいと思っているところであります。この後、発表していただく事例は、素晴らしい会社で、びっくりしますよ。私も現場を見に行って、こんなことが実現できるのだと思って、びっくりしました。この事例を大山社長さんからご紹介いただきます。また、今日は来ていただけなかったのですが、市川先生のビデオレターもあります。この2つのプレゼンテーションの後、皆さんと議論していきたいと思います。ネットで見てくださっている方もいらっしゃいますから、ツイッター等でお寄せいただいた意見も、この中に織りまぜながら進めていきたいと思います。それでは、最後までお付き合いをよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

司会

 黒岩知事、ありがとうございました。続きまして、ゲストにプレゼンテーションをしていただきます。お一人目はルーテル学院大学学長の市川一宏様です。市川様は、ご事情により、本日ご欠席となりましたので、ビデオレターの形でプレゼンテーションをしていただきます。
 市川様は、各地域に合った地域福祉実践を研究テーマとして、行政、社会福祉協議会、民間団体における計画の策定、実施、評価及び調査研究等に多数関わり、希望あるまちづくり、共生型社会づくりにご尽力されていらっしゃいます。
 それでは、市川様のプレゼンテーションをご覧ください。

市川一宏氏(ルーテル学院大学学長)

 ともに生きる社会かながわの実現に向けて、黒岩知事との対話の広場にゲストとして出席できませんことを心よりお詫び申し上げます。
問題意識 さて、私が考えている問題について、申し上げさせていただきたいと思います。無縁時代、地域のつながりが希薄化し、家族の扶養・養育機能である「育て」、「育ち」、「分かち合う」関わりが弱体化し、孤立、ひきこもりが拡大しています。私は、ある意味でそれぞれの家族を社会が支援していくこと、これが大事であり、その意味では障がいの子どもを持っている親の支援、当然、子どもの支援とともにその兄弟の支援もとても大事であり、それを社会として、どう担っていくかが、私は問われていると思います。
 自己肯定感を見失い社会的孤立している方々、そしてその方々を社会的に排除しているケースが増加していると私は思っております。特にこの孤立・排除の中で、自分を肯定するという気持ちが衰えていく、そのことにどう対応するかが私たち自身に問われています。その中でも、障がいを持たれている方が自己肯定感を見失う、そういう危険は多いと私は認識しています。
 また、互いに支え合う関係が見失われています。あなたは受け手、あなたは支え手、こういった関係がボランティアや様々な活動の壁となっているのではないだろうか。このことも、また後で提言させていただきます。制度の狭間、制度・分野ごとの縦割り、これでは問題は解決しません。例えば、障がいについても多様でありますし、またそれによってもたらされる生活問題も多様です。これを高齢者福祉、障がい者福祉、児童福祉施策という形での縦割りでは、決して対応できない現状があると思っています。このような社会で、私は、地域の存在自体が問われている、そこに大きな問題意識を感じております。
今までの取組 今までの取組を振り返ってみたいと思います。私は約50年前、大学1年生の時、知的障がい児施設をボランティアとして訪問しました。その時に、普段の生活の中で、地域にいるはずなのにほとんど出会っていない障がいの方を覚えました。また、施設を訪問して、障がいを持たれている方に出会うことによって、なぜこの方々が地域ではなく、この施設での生活を余儀なくされているのか、私はそういう疑問を持ったわけであります。その時に、知的障がい者の父といわれる糸賀一雄先生は言われました。「この子らに世の光を」ではなく、「この子らを世の光に」。すなわち、この子らが生きていける社会こそ私たちが目指している社会だ。そしてその子は、その子なりに成長している。これを保障するのが私たちである。私はそこに感銘を覚え、今もってその理念が原点であるとしています。また、神奈川県みんなのバリアフリー条例や、いわゆる手話言語条例等、神奈川県は様々な試みをしてきました。特に、ともに生きる社会かながわ憲章、これは残念でありました津久井やまゆり園事件、その悲惨な事件、その悲しみと、その怒りを憲章に表したものだと思っています。私は、それが今どのように具体化されていくのかという、このような場を通した議論、それによってどのように一歩一歩、具体化されていくのか、これが課題であると思っています。
 それとともに、良き機会である2020年のオリンピック・パラリンピック競技大会、これを単なるお祭りにするのではなく、今までやっていた活動、志を持って、大会の運営に関わる、そしてその経験を持って地域へ戻っていく、そのような循環が私は必要だと思っているところでございます。
私が考えるこれからの挑戦 私の挑戦すべきと思っていることをお伝えします。ボランティア活動の意味を確認することが必要です。困っている方に「May I help you?」(どうしましたか)とお聞きし、お助けする。そして「Thank you.」と言われ、「It’s my pleasure.」(どういたしまして)というような関わりが大切ではないでしょうか。こういうような会話が、このような絆が広がることを願います。コミュニティとは相互の関わりを前提とします。相手を知り、相手がもつ多様性を理解し、自分の関わりと役割を知る。その関わりは、とても大切な自分の成長の時だと私は思っています。多様性、それぞれ違いがある。それぞれの違いを大切にすることを学ぶ。これは今、地域コミュニティに求められていることであります。また、そのような活動は、実践するか実践しないかという0か100ではなく、その間に、1から99、100の関わりがある。そのような試みをすべきだと思っています。日々の生活に根ざした活動
 最後のスライドになりますが、4番目、「日々の生活に根ざした活動」。オリンピックも単なるお祭りではない。正にそのような活動は、学びの時、生活の場、そして働いている場で問われていることで、そのような問いや実践をどのようにその場で生かしていくのかが、とても大事だと思います。そういう意味では、子どもたち、小学生、中学生、高校生が社会に出ていろいろなボランティアをする中で育てられていく、こういうようなことも大事だと私は思っています。
 5番目。「靴に足を合わせるのではなく、足に靴を合わせる。」私は、施策や活動が、いわゆる私たち自身の狭い領域ではなくて、当事者も参加して、当事者と一緒に検証して、その具体的な効果を理解し、具体的な取組を明らかにする。計画策定の場に当事者が参加する、評価の場に当事者が参加する、そういうような関わりがとても大事だと思っています。
 6番目は、希望を生みだす。「お金を失うと生活の危機、名誉を失うと心の危機、希望を失うと存在の危機」と言われています。今、私はそれぞれが一緒に歩むべきだと思っています。また一緒に歩んでいる人たちが本当に希望を持っているのかどうか、今こそ希望を持って、明日への社会を創造する、明日に向かって歩む活動、取組、たゆまず続けていく。様々な障壁が見えてきても、その障壁の認識をスタートとする。弛まない挑戦をしていくこと。私は黒岩知事との対話の広場が今日なされているそのことを、心より望むものです。ご静聴ありがとうございました。

司会

 市川様、ビデオレターでのプレゼンテーション、どうもありがとうございました。続きまして、大山隆久様のプレゼンテーションに移ります。
 大山様は、広告製作会社勤務の後に、アメリカの大学院で組織論を学び、2008年より日本理化学工業株式会社代表取締役社長に就任されました。同社は、粉の出ない「ダストレスチョーク」でチョークのトップシェアを誇る一方で、障がいのある社員が、まず今ある能力で仕事ができるように、そして、その能力を、より高めていけるように、作業工程に様々な工夫を凝らしていらっしゃるそうです。
 それでは、大山様、よろしくお願いいたします。

大山隆久氏(日本理化学工業株式会社代表取締役社長)

 皆さんこんばんは。日本理化学工業の大山と申します。このような貴重な機会を頂戴しまして、またこの場を皆さんと共有させていただきますことを本当にうれしく、また、ありがたいと思っております。私の一番うれしいことは、弊社のことを知っていただくことです。後で質問の時間があるのか分からないのですが、是非、もし時間があったら、いろいろと質問していただけるとうれしいなと思っております。
会社概要 会社の概要ということで、簡単にお話をさせていただきたいのですが、昭和12年からダストレスチョークという、黒板で使うチョークを作っている会社です。工場が川崎と美唄にあります。社員が合わせて86名おりまして、そのうちの64人が知的障がいの社員で、そのうちの26名が重度の方です。重度というと、1つの指標ですけどIQ40以下ということで、例えば、字の読み書きとか、数字はちょっと苦手という人たちもおります。
 障がい者雇用は、昭和35年からスタートして、ちょうど来年が60年になります。計画があってやったわけではなくて、たまたまご縁からスタートしたわけですが、みんなのおかげで今があります。

主力商品1 先ほどチョークの話をしましたが、チョークは粉が出て体に悪そうだというイメージを皆さんお持ちだと思うのですが、うちのチョークは、口にしても害のないチョークなのです。全然おいしくはないですが、安全なチョークです。国内のチョークのマーケットは、非常に小さいですが、おかげ様で、シェアは7割ぐらいです。7割もあったらすごいと思うかもしれないですが、本当に小さなマーケットですし、今、チョークを使う場面というのは、どんどん減っています。少子化が、30年、40年ぐらい前から始まり、また、ホワイトボードが投入されてきて、90年代になるとパソコンが普及し、先生も資料を配って授業をなされるし、2000年代になってくると、今度はデジタル化です。電子黒板とかプロジェクターで映して授業が成り立つというようなことで、本当に大変だなという、そういう危機感ばかりの会社でもあります。
主力商品2 でも、それでダメになったら、すみませんというわけにはいかないので、それに代わって次の柱を作ろうということで、とにかく今頑張っているのは、このキットパスというガラスとかつるつるした所に書いて消せる固形マーカーです。お子さんが、思い切りガラスにお絵描きできる、簡単に消せる、水溶性なので水で簡単に消えるのです。今日、ガラスがあったら、ここで書いてしまおうかなと思っていました。本当に簡単に書き消しもできるし、お絵描きというと、だいたい小さなお子さんの遊びと思うかもしれないですが、お絵描き自体が脳の活性と心の活性に非常に良いことですから、ここに書きましたが、「すべての世代で楽書き文化を!」、皆さんもそうですし、すべての世代の人たちに書く楽しさを、この商品で伝えていきたいと思っています。チョーク同様に子どもが口にしても害のない、女性の口紅、化粧品で使われる素材で作っているので、食べるものでもないですが、安心安全に、小さなお子さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで使っていただける商品です。経営理念
 我々の経営理念ということで、ここに書いてあります。ミッションというのは、2つです。物心両面の働く幸せの実現ということと、一番最後に書いている皆働社会の実現ということです。後で少しお話ができることがあればうれしいなと思うのですが、すべての企業は、物心両面の働く幸せが目的だと思います。僕らもそうです。みんな、生活があるわけですから、生活の糧を得る、そういう豊かさがあってこそ幸せですし、働くというのは人間的な成長の場だと思います。自己実現や自己肯定を感じられる場所でもあると思うので、そういう幸せを実現させること、これが我々企業の役割ではないかと思っております。
やっていること
 実際、今やっていることですが、一番最初に書いてあること、「(1)相手の理解力にあわせて段取りすること、教えること」、これがうちの中で一番大事にしていることです。先ほど、字の読み書きや数字の理解が難しい人もいるという話をしました。ここに書いてありますが、苦手を越えていけることを考えればいい。要は皆さんだってそうだし僕もそうだし、好きなことがあって嫌いなことがあったり、得意なことがあったり、苦手なことがあったりするのは、みんな一緒だと思うのですね。だから、うちの中の教えで、「簡単にあきらめてはいけない」があります。例えば、誰かに何かを教えた時に、その人ができなかったら、それは、教えた方が悪いのだよという教えがあるのです。非常に厳しい言葉なのですが、絶対にあきらめてはいけないのだ、必ず伝わる伝え方があるのだということでもあります。でも、できているという訳ではないですが、そういうことを意識してやっています。
 もう1つ、僕らは、当たり前なのですが、ボランティア企業ではなくて一般企業なのです。ですから、利益を上げ続けていかなければ継続はできない。当然、誰も守ってくれないわけですから、先ほど言った商品を作って、それをお客様に選んでいただいて、買っていただいて、そこに利益を生んで、続けていける。だから僕らがやっていることというのは、本当に切羽詰まって、チョークの状況もそうですが、一生懸命商品を作って、採用されたうちの社員たちに、少しでも成長してもらうこと、一人前の戦力として頑張ってもらうこと、それが、僕らがやっているすべてと言っていいことです。徹底的に障がい者雇用にこだわると、経営理念でも言っていますので、そこは絶対にブレさせない。その中で成長できる企業になってこそ、僕らの意味があるなと思っています。
雇用からの気づき 「雇用からの気づき」、これは1つの例ですが、普通、マニュアルで仕事のやり方が決まっていて、それを覚える人が一生懸命覚えていくというような形が仕事の覚え方としてはメインだと思います。うちも最初はそうでした。教え方が分からなかったので。教えても、すぐ忘れちゃう。また教える、忘れるというそんな繰り返しをしていて、これでは仕事にならないというときに、チョークの計量をする工程の時に発見したことだったのですが、ふと、確かに字の読み書きとか数字の理解は難しいが、会社に1人で通って来る時に、いくつも信号を渡って来る。その時に無事に来るということは、信号の色の意味はちゃんと分かっているのだなというところから、色で管理してみようということを発想してやったことなのですが、要は材料の名前で覚えるのではなくて、例えば、こういうバケツを用意して、その中に材料を入れて、今はもう、こういう天秤で測ることはないですが、ずばりの重りを作って、赤だったら、赤を乗せたら、赤のバケツから材料を取って、この線と線が真ん中に来て重なったところで止めるのだよとすれば、計量できるのではないかということで、実際にやってもらったら見事にできたのですね。でも、1回では不安だから二度、三度、あるいは色を変えて二度、三度やっても、やはり同じようにできた。そうしたら褒めるじゃないですか、よくできたねと。そうしたら、その人が、次に言ってくれた言葉が、「もっと測っていいですか」だったのですね。その言葉は、どういうことかというと、「僕はできるんだよ、もっと褒めてくれ。」という言葉だったのですね。それを聞いて、そうか、この子たちの理解力に合わせて、こういう段取りをしてあげることができたら、もっと彼らの能力を引き出してあげられるのではないかということを気付かせてもらったのです。
雇用からの気づき2 もう1つ、これはでき上がりのチョークですが、ちゃんとJISの規格で何ミリ以上何ミリ以下と決まっているのですね。当然、検査もするのです。検査には、数字が必要だと思いますか。こういう質問をしたら、必要ないのだなと思うかもしれないですが、必要ないのです。検査は、良いか悪いかを見付けてあげれば良いだけのことなので、実際、これを持って来たのですが、こういう治具を使うのですね。長さは普通、定規を使うし、太さはノギスというもので測ると思うのですが、これ、段差があるのです。ここで上限下限になっているので、チョークを当てたときに、間にあれば、OKということです。このチョークは、間に入っているのでOKなのです。今度、太さは、上が上限、真ん中に段差があって、下が下限になっているのです。ここでもし(途中で)止まってしまったら、太過ぎるからだめですよ。真ん中の段差を過ぎて下まで行ったら細過ぎるからだめですよ。このように、間で止まるチョークはOKですよと言ったら、多分、今日皆さん、初めて見たと思うのですが、これが良いチョークと分かりますよね。彼らにとって分かりやすいことは、僕らにとっても分かりやすいし、みんなにとって分かりやすいことになるので、ユニバーサルデザインの仕事になるのではないかなと思っています。本当にうちの社員には、いろいろな能力があり、彼らに支えられてしっかりやっていますので、よろしくお願いします。以上です。

司会

 大山様、素晴らしいプレゼンテーション、どうもありがとうございました。これより皆様との意見交換に移ります。ここからは、黒岩知事にマイクをお預けいたします。よろしくお願いいたします。

知事

 はい、よろしくお願いします。今、お二人の方のお話を聞いていただきました。大山社長のところは、もう1回繰り返しますと、86名の従業員のうち知的障がい者が64名です。重度の方が、その中に26名いらっしゃるということなのです。私も現場を見に行きましたが、皆さん、生き生きと働いていました。流れ工程の現場では、チョークを作るプロセス全部を、障がいのある方がやっていらっしゃるのです。見ていても全然分からない。どこに障がいがあるのですかということですが、しかも重度だという。見ていたら、もう一生懸命やっていらして、チョークを作る現場を初めて見ましたが、こねてこねて、(一定の)長さに切って、もう一生懸命やって。どうですか、大山さん、逆に彼らの方が優れた能力を持っている気もしたのですが。

大山隆久氏(日本理化学工業株式会社代表取締役社長)

 そうですね。正直、僕はあの現場に入っても力になれないことがたくさんあると思うのですが、本当に職人のように、特に集中力とか持続力というのは、いつ見ても本当にすごいなと思います。本当に、だから支えられて、先ほど言いましたが、そういう技術と責任感ですね。仕事に対する責任感で支えてもらっています。

知事

 それで、ちょっと休憩された時に意見交換をしたのです。みんな、すごくうれしそうで、すごいねと言ったら、その言葉にすごく反応してくれました。あの反応を見ているだけで、こちらもうれしくなるというか、いや本当にもう目から鱗という感じです。あれを見ていて、障がい者雇用というと今大きな話題にもなっていますが、障がい者の方は障がいを持っていてかわいそうだから雇用の場を作ってあげなければいけないのだという発想ではないですよね。

大山隆久氏(日本理化学工業株式会社代表取締役社長)

 間違いなくうちは戦力です。彼らがいないと経営ができない状態です。

知事

 そうでしょう。だから戦力ですよね、強力な。それは、見て実感をしました。もともとどういうきっかけで障がい者の方を雇うことになったのですか。

大山隆久氏(日本理化学工業株式会社代表取締役社長)

 父の代の時、60年ぐらい前の話ですが、当時大田区に工場があって、隣の世田谷区にあった青鳥養護学校(現:東京都立青鳥特別支援学校)の先生が就職依頼に来てくださいました。実習をするだけの約束だったのですが、実習の際に、2人の女性が、本当に一生懸命やってくれて、その一生懸命やってくれている姿を見た周りの社員たちが、この子たちを雇ってほしいと言ってくれたので、採用になった。そういう流れです。

知事

 それが、成果として上がったわけですね。

大山隆久氏(日本理化学工業株式会社代表取締役社長)

 そうですね。実際、その2人は、15歳と17歳で入ってくれたのですが、17歳で入った人は65歳まで、15歳で入ってくれた人は68歳までずっと働き続けて。

知事

 半世紀にわたり働き続けられたということですね。正に障がい者雇用のお手本のようなそんな感じがしたところでありました。本当は皆さんと議論しなければいけないのですが、せっかくだから、もうちょっとお話を。僕が感銘を受けたのは、仕事とは、そういうものなのだなと改めて気付かされましたが、我々は、この仕事をやりなさいと言うでしょう。どんな仕事でもそうですよね。新しい人が入ってきたら、はい、この仕事はこうやってやるのだよ、早く覚えてそのとおりやるようにしなさいよと言う。仕事の形に自分を合わせるわけです。障がい者の方には、それが苦手な人がいらっしゃいますね。だから逆の発想をしよう。仕事の形をその人に合わせる。分かりますか。仕事の形をその人の能力に合わせるという。先ほどの、赤だったらこっち、青だったらこっちというふうに、仕事の形を変えたら、障がい者の持っていらっしゃる能力で何の問題もなくできるし、チョークでも、完成品になっているかどうかというのは、すごい検査が必要なのですよね。太さとか長さとか。本当なら、あれはノギスで測るのですか。

大山隆久氏(日本理化学工業株式会社代表取締役社長)

 そういう検査をすると思います。

知事

 ここにポッと入ればOK、入らなければだめと言ったら、そのことをずっと練習したら、もうそれで完璧に仕事ができます。仕事の形をその人の能力に合わせるということは、障がい者雇用だけの問題ではないのではないか。みんなそれぞれ得意なものもあるし、不得手なものもあるし、不得手なことがいっぱいある人でもその仕事に合わせなさい、もっと頑張れ、努力しろと言っているけれども、実は仕事のやり方を変えれば、スッとできるようになるかもしれない。そういう価値観の転換のようなことを現場に行って感じました。ですから、このテーマで話をするときには、是非、大山社長に来ていただいてお話をしていただきたいと思って、熱烈なリクエストでゲストとして今日来ていただいたということでありました。こういった話を受けて、前段の市川先生の熱のこもったお話も聞いていただいて、今回、このテーマで、皆さんとともに様々な形で議論を展開していきたいと思います。
 ここから先、何のシナリオもありません。ここから先は、このテーマの中でお話をいただきたいと思うのですが、どんどん自由にしゃべってください。私はこんなことをやっていますよ、こんなことが疑問なのだ、県はこんなことをやったら良いのではないか、何でも結構です。それでは参りましょう。はい、どうぞ。

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本文ここまで
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