第23回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」開催結果(その2)

掲載日:2019年3月1日

実施結果(テキスト版)

  1. 知事のあいさつ/ゲスト・プレゼンテーション
  2. 意見交換

 

2 意見交換

参加者1

 皆さん、こんばんは。横浜市磯子区から来ましたヤマザキと申します。よろしくお願いします。相対的貧困の学校を支援していただければ、というご相談で参りました。
 知事は以前、報道のお仕事をされていた時、もう20年くらい前なのですけれども、ボストンのサドベリー・バレー・スクールというところを取材されているのですけれども、覚えていらっしゃいますか。
 何かと申しますと、アメリカには、カリキュラムがなく自由に決めて、年齢ミックスで、自分たちの校則は自分たちで決めるというような、そういった自主性を重んじる、逆に自分で責任を取っていくような学校があります。アメリカでは当然にそれが学校として州で認められているのですけれども、日本にもそういった学校が実はあります。自分の子どもが今、通っているのですけれども、湘南サドベリースクールという学校が茅ヶ崎にあります。もう10年前からある学校なのですが、学校と言っても、インターナショナルスクール等と同じです。行政からの認可がない学校です。一般の学校が行政からの支援を受けているのに対して、支援が受けられていないということで、相対的貧困という言葉を用いさせていただきました。今までであれば、そういった学校は、学校としては要件を満たしていないということで、行政からの支援を受けることは難しかったわけですけれども、2年前に教育機会確保法というものができまして、国としても、多様な学校を認めていこうという方針はできました。しかしながら、それを運用するための法律というものがなく、今始まったばかりのことですので、どこの県も行っていないと思います。
 湘南サドベリースクールを始めとする未認可のデモクラティックスクールと呼ばれるジャンルの学校に対して、できれば県として、グランドデザイン等に組み込んでいただいて、そういった学校を支援の対象として認められるかを検討していただき、可能であれば認可を受けたい学校はオファーを出してほしいと、そういった取組を行っていただけないかという話でございます。いかがでしょうか。

知事

 ありがとうございました。よく私のボストンの取材のことを覚えていらっしゃいましたね。随分前でしたが、思い出しました。フリースクールという言い方をしますか、その学校、本当に学校に見えないです。丸々一軒家で、そこで何も決まりがないのです。すごいですよ。何歳からとか何もないのです。赤ちゃんもいるし、大人みたいな人もいるし、カリキュラムも何もないのです。先生もいません。大人はいるけれども、先生ではない。それで、何をしていてもいいのです。見ていたら、ダラダラしているのだけど、フッと見ると、ある部屋に集まって、数人で勉強を始めたりとか、1日中、テレビゲームをやっている子、ずっとバスケットボールだけやっている子もいるのですね。これ学校かと思うのです。ところが話を聞いてみると、これはすごいなと思ったのだけど、ずっとテレビゲームをやっている子が永遠にテレビゲームばかりやっていることは、絶対あり得ないそうなんです。ずっとやっていると、パッと目覚めたようになって、解き始めるんだそうです。何か自分がその気にならないと、教育は意味がない、あなたこれしなさいと言って、教えて強制されてやるのは、全然身にならないという思想です。自分がその気になってやるまで、じっと周りは待っていて、そうしたら突然目覚めて、「先生、弁護士になるためにどうすればいいの。」「じゃ、あの学校入らなきゃいけないんだよ。」と。「あの学校に入るためには、どうすればいいの。」「この教科とこの教科とをマスターしなければいけないんだよ。」「これはどうやってやるの。」「ちょっとこの教科書やってごらん。」「先生、ここ分からないのだけど。」、先生じゃない、その大人に、「じゃあ、教えてあげよう、来いよ。」というように、どんどん目覚めていく。そういう学校の枠を超えたような学校で、それを紹介したのです。
 日本の中でも、そのようなものを学校と言うかどうか。難しいところですが、そこに対して県が支援できるかということです。これは、なかなかハードルが高いかもしれないです。学校の世界、教育の世界というのは、規制が非常に厳しいところがあります。学校はこういうものだという、しっかりしたものができ上がっている。そうではないものというと、塾も同じで、それは正に民間レベルの話ですよね。昔は、吉田松陰のように、私塾から始まったものもあるわけで。でも、制度として教育支援制度ができ上がってきた中で、それだけではうまく適応できない子どもたちがいるから、多様性ということを言い始めているのだけど、今この段階では、まだではないでしょうか。そういう学校がいろいろ出てきたときに、どうやって支援するかという判断基準が、ちょっと今は、私は思い浮かばないです。そういう判断基準の合意ができてくれば、こういうところだけは皆さんサポートして良いのではないですかという形になってくるかもしれませんが、まだちょっと早いのではないでしょうか。ボランタリー精神やお金を持った人が、そういうところにお金を出してくれるとか、そういう民間のお金の流れの中で、そういう学校が成立してくるという形の方が、むしろ現実的ではないかなと思います。ありがとうございました。はい、どうぞ。

参加者2

 こういう機会があることを、私、今回初めて知りまして、素晴らしい取組をなさっていると思って、感謝申し上げます。私は山形出身で、主人の転勤でいろいろな都道府県を経験しましたが、私は、今住んでいる横浜と神奈川県がすごく大好きです。南区から今日は参りました。
 冒頭に動画を拝見し、どなたがその企画をなさって、実際あのように振り付けなさったのかなと思ったのですが、県知事も若々しくダンスしてらっしゃって、神奈川県は素晴らしいなあと再認識しました。
 で、今、お話を伺ったこちらの方なのですが、ざっくりしか分からないのですが、その湘南サドベリースクールという素晴らしい理念を掲げた学校なのだと思うのですが、地域の学校ではなくて、そういうところに通わせられるということ自体、裕福でいらっしゃるのではないかなと思って、すごく羨ましく思いました。横浜市には、私立の素晴らしい学校がたくさんあります。でも私の山形市は、私立の小学校なんか、もちろんありませんし、中学もありませんから、横浜は、神奈川県もですが、いろいろな選択肢があって、すごく恵まれていると思います。恵まれているというのは、先ほど、いろいろ話が出ていますけれども、豊かな裕福な方たちに限られるわけです。
 先ほど県知事から、子どもの貧困というのは、どういうことで知れ渡ったのかという話がありましたけれども、私も普通に生活していると、もう子育ては終わっていますし、今現在、小学校のお子さんとか、中学の生徒さんとかと触れ合う機会はないのです。なぜ知ったかというと、私自身、子どもが大好きなので、小さい個人塾をやらせてもらっているのです。そこの生徒さんといろいろな話をする中で、現実はこうだということを直接聞くことができます。その後、NHKの報道ドキュメンタリー番組は本当に素晴らしく、それで普段そういうことに接することができない子育てが終わった私たちなんかも知ることができました。それで今、こういうお話を、研究者の方から伺う機会は本当になくて、いい機会を与えていただいたと思うのですが、先生は、系統立てて研究を進めていらっしゃって、それは素晴らしいと思うのですが、7年先を見越して考えられて、それも素晴らしいと思います。ただ、やはり、今困っている生徒さんたち、児童たちをどうするかという問題があって、米田さんたちが取り組んでいらっしゃると思うのですね。いろいろなことを総合して考えますと、すべて対症療法なのですよ。産前産後の母子ホーム、それは対症療法としては素晴らしいのですけれども、その期間が終わった後、社会に放り出されるわけですよ、お母さんとお子さんは。養育費などを別れた方が払えなかったら、結局、行政の支援を受けなければならないという、そういうことが起きてくるわけですね。そういうのが重なってくると、もう経済が破綻するのですよ。

知事

 分かりました。対症療法というのは、とても良いキーワードだと思いますね。ちょっと、それを聞いてみましょうか。

参加者2

 別にいいです。他の方たちの、ご意見を伺える時間の方が・・・。

知事

 でもね、重要な言葉ですね。

参加者2

 そうですか。

知事

 正におっしゃるとおりです。子どもの貧困があって、そこでこれをやる、あれをやるということは、言われてみれば対症療法です。そうじゃないですか。

新保 幸男氏(神奈川県立保健福祉大学 教授/神奈川県子ども・子育て支援推進協議会会長)

貧困の世代間連鎖 貧困の世代間連鎖というスライドです。これは、大きく3つの時期に分けて書いてありますけれども、先ほどお示しいただいた、産前産後のものは、不安定な出産前後というところに該当する施策です。ここで安定した出産ができて、安心して子どもを出産できて、そして胎児が健康状態で生まれることができる、もしくは、その後、乳児、0歳児の時に、生活が安定することができれば、その後の時期に不安定な養育環境から脱する可能性が高まるだろうと思います。

参加者2

 私だけ発言したら申し訳ないので、県知事、適当に切り上げていただいていいです。私が申し上げたかったのは、対症療法でしかないのではないかということと、例えば、子どもの食堂にしましても、本来は親がやるべきことなのですよ。親がやるべきことを親がやれないから、そうならない親を育てなければいけない。でも、こうやって成人した私たちは、なかなか教育されない。ですから、私は、小学校、中学校、高校のうちから、先々を見越した教育の中で、そういうことに取り組んでいただけるのが、将来的に良いのではないかなと思います。ありがとうございます。長くなってごめんなさい。

知事

 すごく大事なポイントだと思います。対症療法だとの指摘というのは、正にそうだと思います。米田さん、どうぞ。

米田 佐知子氏(子どもの未来サポートオフィス代表)

 ご意見ありがとうございます。何をやったら解決するかというのは、多分1つではないと思うのです。だから、全部はできないけれど、でも、多様な人のつながりの中の「斜めの関係」づくりが、私たち市民でもできるというのが、地域食堂や子ども食堂なのだと思うのです。
 おっしゃるように、困窮している世帯は、環境が構造的にそこから抜け出せなくなっているので、そこを脱していくのは、もう個人の努力ではなくて、社会構造の話だと思うのです。
 実は、子どもの貧困率は、47都道府県で違うのですけれども、若者の非正規雇用率を都道府県別に並べてつなげると、それは子どもの貧困率と同じ形になります。だから、働き方と子どもの貧困は、実はすごく直結していて、親もなかなか脱せられない。そして、脱していくための、生きていく力を育むというところが、社会的相続でなかなかうまくいかない。そこをどう断ち切るか、その構造の部分を変えていくところは、政治の話なのかもしれません。
 私たちが地域でできることもやる一方で、声も上げる。両面が必要だということをおっしゃってくださっているのかなと思いました。その辺りについて、知事にお返しして良いですか。

知事

 本当に、これは、すごく重要なポイントだと思います。だから、子どもの貧困という問題で、では、子ども食堂で、この子たちにそういう場を作ってやればいいではないか、というのは、対症療法です。そもそも、何でこうなっているのかというところです。昔はそうではなかった。子ども食堂という場をわざわざ作らないと、そういう機能が動かない。でも、昔の日本というのは、隣同士で行ったり来たりして、私なんかも小さい時は、そうだったのですが、いつも誰か近所の人が家に来て、いつの間にかご飯を食べたりしていましたからね、自然に。コミュニティの中で支え合っていた。わざわざこんなことを言わなくても、自然にできていた部分があるのですよね。
 それとともに、今、非正規雇用という問題も出てきましたが、雇用のあり方の問題ともリンクしているかもしれないです。ひとり親家庭は、いきなり貧困になる可能性が高いと言われていて、そうしたら、1人で働いていて、非正規雇用になったときに給料が低くなるから、こういう問題が起きているのだということとつながっているかもしれないです。だから、一番最初に見せた、「いのち輝く」でも、いろいろなものがつながっているということと同じことなのです。それではどうすれば良いのかと言ったら、これは、根本的なところからやり直していかなければいけないし、非常に深い大きな問題があります。だから、子どもの問題をあえて出しているのです。神奈川県は、福祉子どもみらい局を、わざわざ今年、作りました。子どもに焦点を当てようと。なぜかと言ったら、社会のいろいろな歪みが、子どもに集中的に現れているのではないかというところからです。社会の歪みをどのようにして直していくかと言っても、ここをちょっと押せば良いという問題ではないですよね。だから、これは非常に深い問題です。でも、対症療法ではないかという言葉は非常に良いキーワードです。素晴らしかったです。ありがとうございました。はい、他にどうぞ。

参加者3

 横浜国際高校のアベと申します。子どもの貧困に関連して、子どもの進学についての話なのですが、今、急速なグローバル化が進んでいて、両親が外国人であったり、外国人のシングルマザーなどがいて、受験のシステムや、どういった奨学金の種類があるのかなどを知らない人も多いと思うのです。そういった人たちのために、英語など、外国語で説明会を開いたり、そういった人たちへの支援が必要だと思うのですが、神奈川県では、どういった対策を取っているのかを知りたいです。

知事

 外国人に対する説明会ですか。確かに、外国人がすごく多いですよね、この神奈川県は。今、19万人ぐらいいるのかな、外国人。170カ国くらいの人が住んでいます。おっしゃるとおり、お金持ちの外国の人たちもたくさんいるけど、そうではない外国人もいるのですね。お家に帰ったら、日本語をしゃべれない、お母さん、お父さんが日本語をしゃべれないという子もいたりもするのです。そこで、その人たちに対しての奨学金制度を、皆さん集まってくださいと言ってお話するという機会は、ないですか。やりましょうか。やった方が良いですか。

参加者3

 そういう子どものチャンスがなくなるのが、もったいない気もするので、進学などについては、両親も、ちゃんと知る必要があると思うので、もしできればそういったことをお願いしたいです。

知事

 ありがとうございます。まずはホームページか何かで、すぐに分かるような形から考えたいと思います。具体的な提案、ありがとうございました。はい、どうぞ。

参加者4

 初めまして。横浜市戸塚区から来ましたワタナベと申します。よろしくお願いします。
 本日、子育てとみんなの応援というところに重点を置いて、先輩たちからの依頼で私たちは質問させていただきます。私たちは、保育士を目指しており、子育て支援の現状について研究しています。先輩方の活動は、電車に女性専用車両というものがありますが、子育て親子の優先車両というものの実現について、専門家の方々や県の方にお話を聞いて活動しています。電車の中で小さなお子様を連れて苦労している親御さんを見かけることが、しばしばあります。たまに、泣いているお子さんをお母様方があやそうとしているにもかかわらず、「うるせえ、静かにしろ。」といったような、心ない言葉をかける方が結構いらっしゃいます。
 子育ては、先ほどおっしゃったとおり、親だけではなく、社会全体でしていかないといけないこの時代に、皆さんで関心を持っていただけないかと思いました。子育て親子が優先して乗ることができる車両について、県知事からアドバイスをいただけたり、この後どんな活動があるのかなど、ご検討いただけないかと思います。ご意見よろしくお願いします。

知事

 ありがとうございます。すごく独創的な発想ですね。子育て親子の優先車両。その優先は、何時の時間帯で、どのようにすれば良いですかね。具体的にどうすれば良いですか。女性の専用車両の場合には、通勤時間帯ですよね。

参加者4

 そうですね。

知事

 先頭車両など、そこだけとしてやりますよね。親子の子育て専用車両というと、どのぐらいの時間帯に、どうやって作ればいいですか。

参加者4

 朝の時間に、個人的には作ってほしいですが、やはり出勤などがあるので、厳しいかな。ベビーカーをその時間に乗せると、結構周りに迷惑ではないですが、「うるせー」とか「黙れ」とかいう言葉が出てくるように思います。

知事

 ベビーカーがもっと乗りやすい車両を作れば良いということですか。ベビーカーのエリアを作るとか。そういう車両はあるのかな。

参加者4

 車いすは見かけるのですが、そういうところはないかなと思ったり、あと、そこで、コミュニケーション、先ほど、まず親子食堂の顔見知りになるという話がありましたが、母親同士も顔見知りになったら、過ごしやすい社会になっていくのではないかなと、個人的に思いました。

知事

 今おっしゃった中で、子育て親子の優先車両というのが、パッとイメージできないのですが、検討はしてみたいと思います。ただ、もっと大事なことをおっしゃったと思いますよね。子どもが泣いたら、「うるせー」とか言って、そういう感覚というのは、やはり非常に大きな根深い問題です。現実的に、そういう問題はありますよね、今。そういうところから変えていかないと、問題はなくなっていかないし、つながっていますよね。ありがとうございました。保育士を目指して頑張ってください。はい、次どうぞ。

参加者5

 ナルシマと申します。元土木の設計をやっていた者で、子ども食堂に関わって、非常に面白いと思いました。前の仕事では、ペーパーと計算だけだったのですが、人間関係でムーブメントというか、人々の動きが、それぞれ連携し合って解決していくことに非常に面白みを感じました。それと同時に、非常に悲惨な現状ということも知りました。
 私が一番問題に感じていることは、今、6人に1人が飢えているということで、その現状に、非常にショックを受けて子ども食堂に参加したのですが、来ている子どもを見ると、リッチかプアか分からないのですね。これから予備校に行くので忙しいなどと言われると、どうも貧困とは思えないわけで、そうなると、例えば、がんを撲滅するのに放射能を当てるのですが、この問題の解決に対して、ピンポイントに当てていないというか、自己満足に終わっていないかと感じています。私、ジャパニーズメンタリティーとか、日本人の感覚で強く感じたのは、イスラーム圏、エジプトで仕事をしていた時、あちらでは乞食とか貧しいというのは、アラーの神の仕業で自分のせいではないという、非常に開き直った明るいものがあるけれども、日本では、子どもが飢えているよりも、飢えの苦しさよりも、それがばれては恥だということが非常に強いという、そこに今、私は非常に問題を感じていまして、こういったものを、どのように対処して良いのか、教えていただきたいと思いました。

知事

 ありがとうございます。確かに今の話、深いと思って聴いていました。貧しいということは、何かいけないことだという話がありましたが、日本は、そうだったかなと、ふと思いました。貧しいけれども、凛としているというか、それが、すごく格好が良いのだと、日本人は思っていなかったかと。例えば、土光さんという、昔、財界の大物がいましたが、行政改革だと言っているその土光さんが、目刺しを食べて、質素にして、そして、いろいろみんなに厳しいことも言うと、やはり聞かざるを得ないようなことがありました。日本人は、貧しいということを、ある種、誇りにしている部分があったのですよね。ガツガツ金だけ儲けるのは成り上がりだというくらいに、むしろバカにして、貧しくても、清く正しく美しくのようなことも、実はあったのではないでしょうか。
 ところが、今日の話を聞いても、貧困というのは、まずやはり良くないだろうというところから、始まっています。これは逆に丁寧に言わないといけないのですが、貧困になって苦しんでいる子がいるのに、それは日本人の美徳なのだから我慢しろと、いう話になってはいけません。いろいろ、今の話は考えさせられるお話でしたね。ありがとうございました。はい、どうぞ。

参加者6

 港南区から来たハシモトと申します。この1年半ほど、子ども食堂をやっておりまして、だいたい月1回、多いときは80人ぐらい来ます。実際にやっている中で、今のような高邁な理念の話ではなくて、具体的な疑問、質問をちょっとしてみたいのですが、1つは保険の問題です。今年からは、社協がやっているボランティア保険プランCというのができて、名簿の管理が楽になりました。個人情報を扱うため、名簿に書いてもらうのが非常に難しかったのですが、それが比較的楽になったのはありがたいです。ただ、今、1件当たり1回につき28円掛けるわけです。それが80人来て、年何回だと、結構、何万円という感じになります。我々は、資金としては、生協の応援であるとか、個人的な寄付金でまかなっております。それが、ボランティア活動で庭木を切るときのボランティア保険と、子ども食堂の子どもに掛けるお金が同じ値段というのが、今の社会情勢等々を考えて、子ども食堂の置かれている立場を考えると、もう少し保険的優遇になると、たった28円ですが、これが半分になるだけでもずいぶん違います。これは行政的にどうなのかということについて、知事のご意見が聞けたらありがたいです。これが1つ。
 それからもう1つ、最近感じておりますのは、ボランティア活動でやっているのですが、集まってきた子どもの中に、いろいろなレベルの子がいます。中には、ある意味、輪が乱れるケースもあります。子どもが原因で起こるときに、大人がどういう立場で対処すれば良いのでしょうか。それを我々は素人ですから、指導はできません。雰囲気作りでは、それが破壊されるケースも、子どもが原因になって起こるケースもあるわけです。そういったときに、親の建前、立場を壊さないように、ボランティア側から、調整、和解をさせなければいけないというとき、どうやって行けば良いのでしょうか。

知事

 具体の話ですけれども、米田さん、いかがですか。保険の話も含めて。

米田 佐知子氏(子どもの未来サポートオフィス代表)

 ありがとうございます。港南区、あの団体かなと思いながら、今、伺っていました。確かに保険を掛けることは、子どもを短い時間でもお預かりをしているということでまずとても大切なことです。活動を滞りなく回していくために、保険料だけでなく必要な費用があります。
 私は先ほど、持ち寄りで子ども食堂をみんなでやっている、という話をしたのですが、きっと運営をしてくださっている皆さんは、労力を持ち寄って、やってくださっている。みんなで安全な場を作るために、労力は提供できないけれども、応援の気持ちはある人たちがいるならば、例えば、その保険料を寄付で担ってくれる人たちを募る方法もあるのではないかなと思いました。
 「子ども食堂は対症療法だ」という話が先ほどありました。そして、そもそも構造を変えなければいけない。そうすると税金のような公的なお金は、子どもの貧困を解決するための構造的な取組や、本来のセーフティーネットに使われるべきではないか。民間の子ども食堂などは、応援の想いを集めて、みんながいろいろなものを持ち寄るから子どもたちの応援の輪が広がっていく、そういうタイプの活動だと思っています。活動は大変だと思うのですが、皆で子どもたちの応援のために、何か持ち寄りませんかと、保険料のお金も、是非募っていただけたら良いのではないかと思いました。もう1つは何でしたか。

知事

 子どもが来て、その子が原因で場が乱れてしまったとき、どうやって指導すればいいのかです。

米田 佐知子氏(子どもの未来サポートオフィス代表)

 おっしゃるように、指導の場ではないのですよね。居場所なので、そこで何か、上から物を言うような人がいたら、「ここも指導的な場だ」と子どもが思うと、自分を緩やかに開けない子どもは来なくなってしまうと思います。見ていて、その子どもの振る舞いが、自分が嫌だなと思ったら、それは一般的な指導・教育ではなく、自分が一人の人間として「それは嫌だ」と感じることを子どもに表明しても良いと思います。そこを無理する必要はない。大人も子どもも一緒になって場を作り合っているので、そこをどうやって一緒に居心地の良い場にしていくのかということは、子どもにとっても、問うて良いところではないかと思います。
 もう1つは、先ほども申し上げたように、子どもの居場所づくりを長年やってきている先輩格のいろいろなNPOがあり、港南でも遊び場づくりや居場所づくりをやっている団体がありますので、是非そういう団体からも力や知恵を借り、相談しながら、連携して場を作っていっていただけると良いと思いました。

知事

 正に、米田さんは、子ども食堂同士のネットワークで、今のような問題をみんなで出して、どうやっているのか、共通の解決策を目指す、ということも、やっていらっしゃるわけですよね。

米田 佐知子氏(子どもの未来サポートオフィス代表)

 そうですね。「こんなケースの場合、そちらではどうしてる?」などと、ものすごく具体的にしていかないと、そのことについてどう考えたら良いか、なかなか意見も出しにくいと思うので、是非、そういう横のつながりも、生かしていただけたらなと思います。

知事

 はい、ありがとうございました。はい、どうぞ。

参加者7

 NPO法人子育ての輪Leiの理事をしておりますイソベと申します。中井町や、近隣の秦野や小田原、開成、大磯、二宮、いろいろな地域で活動をしています。活動自体は、お母さんや子どもたちの居場所づくりということで、コミュニティの場といったものを中心に活動しています。私たちは、あえて子ども食堂ではなくコミュニティ食堂という名前を使って、子どもたちの防災の啓発とかマーケット、そういったものをやっています。
 すべてコミュニケーションの場を作るということを軸にして活動しているのですが、私自身は小学校5年生と1年生の子どもがいる子育て世代の母親なので、子育てをしていて一番思うのは、とても窮屈だなということです。やはり自分たちが子どもだった頃は、子どもがいっぱいいて、どこで遊んでいても、誰も文句を言わなかったのですけれども、自分の子どもがちょっとそこでボールを蹴っていると、ここでボールを蹴らないでとか、家に当たったら嫌だ、車に当たったら嫌だと言われます。私は秦野なのですが、公園に行けば、ほぼボール遊び禁止です。では、子どもはどこで遊べばいいのかなと、日頃思っています。
 そんな思いもある中で、食堂などをして、同じようなことを感じているお母さんたちと一緒におしゃべりをする場作りをしているのですが、今一番思うのは、子ども、子どもと、何だか子どもが悪いように言われるのですが、子どもは何も悪くないと思うのですね。その環境というか、一番私たちが活動していて思うのは、親育ちで、お母さんたちがもっと成長して、子どもを育てていく上で、まだお母さん自身が育っていないなと。自分も、もちろんそうなのですが、一緒に子育てをしてくれる地域や、そういうつながりが、すごく今大事なのではないかなと思います。貧困にスポットを当てるよりは、なぜそうなってしまったのかなということを、私たちNPOなどはなかなかできないので、行政の方が、もっともっと取り組んでいってほしいなと思っています。

知事

 はい、ありがとうございました。お隣の方もどうぞ。

参加者8

 一緒に活動させていただいている代表です。私がこのNPOを始めるきっかけは、自分の虐待にあります。幼少期に、母親、父親からの暴力があって、自己肯定感がものすごく低い中、育って大人になりました。
 たまたまこの県西地域に引っ越して来た時に、何にもコミュニケーションを取れる場所がなくて、妊娠してしまい、その後すぐに、3.11が起きました。どこに頼って良いのか路頭に迷っていたところ、たまたま彼女に出会うことがあり、私たちが母親たちを救っていける手立てはないか、ということをきっかけに、では、NPO法人で食堂を作ってみよう、防災活動をお母さんたちの目線で、お母さんが考えた活動をしていこうということを最初にしました。そこで、先ほど知事も、このパンフレットに出していましたが、主人がこの大切な時期に、なかなか手伝ってくれなかったのです。手伝ってくれたのは結局誰かと言ったら、この食堂に参加してくださっているボランティアの方だったり、実際は子どもたちでした。だから、親が育っていないと、案外子どもたちのほうがしっかりしていて、子ども食堂ではなく、本当にコミュニティで、みんなで育っていく食堂の方が、これからは良いのではないかと思っています。
 子ども食堂という名前をうたってしまうがために、逆に子どもたちの貧困が進んでしまっているのが現状ではないかと思っています。私も元々東京から越してきたので、東京には児童館などコミュニティを作る場所がたくさんあったのですが、特に神奈川県の県西地域は児童館のようなものが、全く開放されていないのが現状で、だったら公民館などの場所を借りて、開放してみようということがきっかけでした。今、実際に参加している方の中では、父子家庭はもちろん、母子家庭の方もいますし、がん治療で闘病中の方もお子さんを連れて来てくださっています。私も今、4番目の子の妊娠中で、3番目の子どもに食べさせながら、自分は立って食事をしていたり、なかなか落ち着いてご飯を食べる機会もない中、ママたちがサポートしてくれたり、子どもたちが食べたご飯を片付けてくれたり、そういったこともしてくれています。
 私が、いつも子ども食堂に対し疑問に思ってしまうのは、無料にしてしまうことがきっかけで、逆に貧困を育ててしまっているのではないかということです。何でも良いと思うのですが、例えば無料で食べられるのであれば、掃除はきちっとして帰ってもらう、テーブルを拭いて帰ってもらうなど、必ず、子どもたちに、ありがとうを言える何か形を残していけたら良いと思っています。無料で食べられることが当たり前になってしまっている子どもたちもすごく多くて、それは今後是非活動されていく方の中で、気を付けていっていただけると、より一層良いと思いました。

知事

 米田さん、いかがですか。

米田 佐知子氏(子どもの未来サポートオフィス代表)

 料金をいくら取るか問題、ありますよね。無料のところも、100円や300円のところもあります。先ほども申し上げたのですが、100円が多いのですね。私は実は、無料も100円も両方あっていいと思っているのです。というのは、月1回ぐらいなのだから、いろいろなところがあって、選んで使えるぐらい、たくさんできたら良いと思っています。
 ですから、やっている方々の考え方に合わせて、たくさんできていくということが大事で、大勢集まっているところもあれば、少人数のほっこりタイプが良いなど、子どもたちは必ずしも料金だけで見てないところもあると思うのですね。私が知っているところは、無料でも、今おっしゃったように、せめて、お手伝いをしようとか、何かしらの工夫はされているように思います。多様に、それぞれのやり方を尊重しながら、地域の中でたくさんある。あっちにもこっちにも子どもが行っているということをお互いに情報交換しながら一緒に見守れる、そんな体制が作れたら良いなと思っています。素敵な活動ですね。

知事

 本当に素敵な活動だと思います。親の問題は、確かにあります。この間も虐待の話がありましたが、可哀想に、かわいい子を虐待して殺してしまうという、そんな親もいるんですよね。

参加者8

 やはり自己肯定感は低くて、私はあまり自分が好きではないのですけれども、周りの、今、一緒に活動してくれている方たちがほめてくれたりとか。

知事

 でも、そんなお忙しい中、ようこそ、ここまで来ていただきまして、ありがとうございました。
 ツイッターでも来ていますね。ちゃんと中継を見てくださっている方がいて、ちょっと紹介してみましょうか。「子どもの貧困に対して対症療法だというのは、本当にそのとおりだと思った。」「子どもの貧困でもそうだけど、まずできることをやっていくのが大事だと思う。」そうですよね。
「アウェイ育児中」と書いてあります。「近所で親世代のご夫婦とあいさつを交わし、仲良くしてもらっている。子どもの面倒を見てもらうわけではないけれど、こんな親子がここにいることを知ってもらうだけでも違うと思う。地域の関係は大事。」そういうものなのですね。やはり、コミュニティですよね。
 「子育てをしていると、ついつい周りの友達と比べてしまい、自分の子どもができないことにイライラしてしまいます。どのように考えたら良いのでしょうか。」これ誰か答えてくれますか。自分の子ができないと言って、なんかイライラしてしまう。どのように考えたら良いのでしょうか。今できなくても将来できるかもしれないですし、子どもを育てるのは、長い時間かかる話ですから、あまりキリキリしない方が良い、と私は思いますけれども。さあ時間もなくなってまいりました。はい。どうぞ。

参加者9

 同じく県西地区から来ました。遊Beingあしがらという、プレイパークや森の幼稚園のネットワークを主催しております。私自身は、第二の名刺活動ということで、仕事を持ちながら活動させていただいています。
 主にプレイパークについてですが、学びの前に、やはり遊びがあると思っているのです。子ども食堂も、一番最初にプレイパークで、貧困というか、困っている子どもたちを救い出したという経過もありまして、私たちも、現在活動する中で、たくさんの困っている子どもたちに出会っています。そこで、是非知事に、かながわ子どものみらい応援団の輪の中に、プレイパークという言葉を入れてほしいと思っているのです。それはなぜかというと、子育ては大事なのですけれども、「子育ち」も大事だと私は思っていて、子どもが伸び伸びと遊べるところをきちんと保証していくということが、子どもたちの将来、未来に向けて、とても大切なことなのではないかと思います。そこにただ大人がいるというだけでも良いのですが、その中にプレイリーダーというのが必ずいらっしゃるのですね。プレイリーダーが、子どもと同じ目線で、子どもの代弁者となって、いろいろなところにつなげていってくれることが必要ではないかと思っていますので、是非、かながわ子どものみらい応援団の中にプレイパークという言葉を入れて、県立公園の片隅にでも良いので、子どもたちが自由に伸び伸びと作って壊せる遊び場をお願いしたいと思っています。

知事

 とても良いご提案だと思いました。先ほどの件について、政策局長が答えます。

政策局長

 先ほど、外国語による高校受験のシステムであるとか、奨学金について説明会などを県の方でやっているかどうかというご質問がありましたけれども、今、調べまして、29年度の実績では、6か所で開催させていただいています。だいたい毎年9月から10月頃にやっているということが分かりました。その中で、通訳の方も付けて対応していただいています。
 それからもう1つ、高校入学のためのガイドブックや、就学支援金のパンフレットも、英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語など10カ国語で対応しています。大変貴重なご意見をいただいたと思っていますので、これからも、そういったところの充実に努めていきたいと思います。ありがとうございました。

知事

 県の職員は知らないのかと思われたかもしれないですけれども、あの人は、担当ではないですから。担当の人は、今日はここにいなかったので調べたということでありました。あっという間に時間が過ぎてしまって、皆さんからすごく活発な御意見をいただいて、私もいろいろ考えさせられました。
 新保さん、どうでした、今日参加されて。

新保 幸男氏(神奈川県立保健福祉大学 教授/神奈川県子ども・子育て支援推進協議会会長)

 制度が、その場限りのものだという意見がありました。私たちは、その場限りのものにしないように、一生懸命努力はしているつもりですけれども、その場限りに見えてしまう、そういうふうにしか評価していただけていない、成果が出せていないというのは、自分たちを振り返って反省しなければいけないなと思いました。

知事

 米田さん、最後に一言。

米田 佐知子氏(子どもの未来サポートオフィス代表)

 ありがとうございました。「子どもの育ち」は、みんなで寄ってたかって応援しなければいけないと思っているのです。先ほどお話があった、遊びは、すごく大事ですし、食べることも、学びも大事。それぞれの場が豊かになっていくように、是非、かながわ子どものみらい応援団で、みんなで育てていけたらなと思っています。どうもありがとうございました。

知事

 ありがとうございました。本当に今日は、すごく活発なご意見で、1つ1つ、なるほどと考えさせられる意見がたくさん出てまいりました。やはりこれは、何かをポンとやれば、パッと解決するという、こういう問題ではないと改めて実感しました。ですから、今年1年ずっとこのテーマで、いろいろな形で県民の皆さんとの対話をやって、その中で良い提案をどんどん実現してまいります。また、ここでも地域でもいろいろやっていますから、来ていただきたいと思います。長時間、お付き合いいただきまして、ありがとうございました。

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