第23回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」開催結果

掲載日:2019年2月13日

概要

第23回の開催画像です。

テーマ

子どもみらいをスマイル100歳に!

第1弾:子どものみらいと子育てをみんなで応援

日時 平成30年7月13日(金曜) 18時30分から20時
会場 神奈川県庁本庁舎3階大会議場
参加者数 83名

※参加者配布資料はこちらからダウンロードできます。
1 次第
2 事例発表資料 新保幸男氏
3 事例発表資料 米田佐知子氏

実施結果(テキスト版)

  1. 知事のあいさつ/ゲスト・プレゼンテーション
  2. 意見交換

1 知事のあいさつ/ゲスト・プレゼンテーション

司会

 皆様こんばんは。本日はお忙しい中、ご来場いただきまして誠にありがとうございます。ただいまから、第23回黒岩知事との対話の広場Live神奈川を開催いたします。
 本日は知事の挨拶、ゲストのプレゼンテーションに続き、会場の皆様との意見交換を進めてまいります。まず、本日のゲストをご紹介いたします。

 神奈川県立保健福祉大学教授/神奈川県子ども・子育て支援推進協議会会長 新保幸男様です。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、子どもの未来サポートオフィス代表 米田佐知子様です。どうぞよろしくお願いいたします。

 なお、本日はライブ中継とともにツイッターによる会場以外からのご意見も受け付けております。意見交換の中でご紹介させていただくこともございます。
 インターネット中継をご覧の皆様にご案内申し上げます。この中継をご覧いただきながらツイッターでご意見を投稿できますので、是非お寄せください。

 ここで、皆様にお伝えしたいことがございます。
 県では「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念を広めていくため、平成29年から津久井やまゆり園事件が発生した7月26日を含む週の月曜日から日曜日までの一週間を「ともに生きる社会かながわ推進週間」としております。今年度は7月23日月曜日から29日日曜日が推進週間となります。
 本日はここで、「ともに生きる社会かながわ憲章」を読み上げてまいります。

ともに生きる社会かながわ憲章ともに生きる社会かながわ憲章

一 私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします
一 私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します
一 私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します
一 私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます

平成28年10月14日神奈川県

 以上でございます。
 それでは大変お待たせいたしました。黒岩知事からご挨拶を申し上げます。

知事

 神奈川県知事の黒岩祐治です。ようこそ、県民との対話の広場にお越しいただきまして、ありがとうございます。これは継続的にずっとやっておりまして、いわゆる対話集会みたいなものなのですけれども、今日、ここでやっているライブ版は、インターネットで生中継されていますから、お家で見ていらっしゃる方も、ツイッターで議論に参加することができます。自由に皆さんとの対話をしながら、前へ進めていくということでありまして、シナリオはありません。前段部分、導入部分だけは若干のシナリオはありますけれども。私が、まずはプレゼンテーションをさせていただきたいと思います。
スマイル100歳に 今日は何の話をするのか。今年1年の、この対話の広場のメインのテーマは、これですね。「子どもみらいをスマイル100歳に!」、これを共通のテーマといたしました。いのち輝くマグネット神奈川

 私は知事になってから7年ですけれども、「いのち輝くマグネット神奈川」とずっと言ってきました。いのち輝く、これが一番大事なことだろうと。いのちは、では、どうやって輝くのですか。医療が充実する、これは大事です。でも、医療が充実していたら、いのち輝きますか。食も農業も、エネルギーも環境も、労働、産業、まちづくり、教育、共生、様々なもの、こういったものが全部、つながっていて輝いていないと、いのちは輝かないとずっと言い続けてきましSDGsた。
 最近、国連が、SDGs(Sustainable Development Goals)という言葉を定めました。つまり、持続可能な開発目標です。どういうことかと言いますと、今のまま行くと、地球は持続可能ではなくなってしまうというのです。だから、今のうちに何とかしないと、地球は持続可能にならないのです。17項目の目標があるのですが、例えば、「すべての人に健康と福祉を」、「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」、「働きがいも経済成長も」、「飢餓をゼロに」とか、教育の問題などがここに書いてあります。これは、先ほど言ったことと同じです。つまり、いのち輝くと言っていることと、SDGsと言っていることは同じで、県は先に言っていたぞということなのです。
笑い こういう社会では、何を目指して行くのでしょうか。圧倒的な勢いで超高齢社会が進んでいきますが、我々は、何を目指していくのかと。死なない社会を目指してくれというのは、無理ですね。病気がない社会というのも、無理ですね。いのち輝く社会とは具体的にどのようなものかと言ったら、笑いがあふれている社会ではないでしょうか。みんなが笑っている、そんな社会を目指していこうということです。だから、スマイル100歳に、と言っています。
 そして、「子どものみらい」です。今日、若い皆さんも来てくださっていますが、100歳まで生きることが当たり前になってきます。そういう時に、人生通じて、ずっと100歳になっても笑っているという、そのような社会を作っていきたいという思いで、「子どもみらいをスマイル100歳に!」ということを、今、県は掲げているところです。スマイル100歳共生でスマイル100歳

 そのような中で、子どもたちが100歳まで、生まれたばかりの赤ん坊も100歳までスマイルで過ごせる持続可能な社会を目指して、今までやってきた政策を、「健康」でスマイル100歳、「学び」でスマイル100歳、「共生」でスマイル100歳の3つにまとめて分類をしてみました。その中の1つ、「共生」でスマイル100歳と言った中に、いろいろな項目が入っていますが、「子どもの貧困対策の推進」、「子ども・子育て支援の推進」という項目があって、今日のこの回は、この部分に焦点を当てて議論をしようということです。また、これは、ずっとシリーズで続いていきますから、他の回ではまた別の視点で、この「子どもみらいをスマイル100歳に!」にということで議論をしていきたいと考えています。子どもの貧困率

 ところで、「子どもの貧困対策の推進」についてですが、これを見てください。子どもの貧困率13.9%という中で、子どもがいる家庭で、大人が1人だけの家庭は50.8%。大人が2人以上と比べると、随分多いですね。ということは、やはり、ひとり親家庭が貧困になる可能性が高いということが見えてきますね。県の取組強化
 県の取組としては、いろいろなことをやっていますが、ひとり親の家庭は、やはり特別に支援しなければいけないだろうということで、「カナ・カモミール」というサイトを作っています。いつでも気軽に情報収集できるような「カナ・カモミール」、それと「かながわひとり親家庭相談ダイヤル」、お悩みの方は、ここに電話してくださいといったサービスをやっています。
かながわ子どものみらい応援団 子どもたちは孤立しがちだという中で、みんなの食堂をやってみたり、放課後カフェ、みんなのたまりば、いろいろなことをやってらっしゃる方が今はいらっしゃいます。その良い例で、企業や大学、フードバンクなど、こういった外回りをみんなでマッチングしてつなげていくということは、大事だということです。今日も後からそのような話が出てくると思いますが、かながわ子どものみらい応援団というものを作って、これを全部つないでいこうということをやっています。アンバサダーに元プロテニスプレイヤーの杉山愛さんになっていただいています。かながわ子育て応援パスポート
 また、子ども・子育て支援の推進という中で、かながわ子育て応援パスポート、これを持っていると、いろいろな特典がありますよというものがあります。子育てをしているお母さんたち、お父さんたちを、これで応援していきましょうよ、ということです。

 


パパノミカタ さらに、「パパノミカタ」というサイトをやっています。ママは一生懸命がんばるが、パパはあまりがんばらないという人、いますね。パパが子育てといっても、何をすれば良いのか分からないという人のために、「パパノミカタ」というサイトを立ち上げ、これを見ると、パパは何をすれば良いのか分かるようにしています。

 

女性の愛情曲線
 その中で、こんな面白いページがあります。女性の愛情曲線は、結婚前に上がって行きます。結婚直後は、頂点に高まっています。妊娠すると、彼への愛情は、どんどん冷めて子どもの方に全部集中していきます。そして、生まれたら、もう旦那さんのことなど忘れてしまったように落ちていきます。ここが境目なのです。ここから伸びていくのと、このまま落ち続けるというのがあります。伸びていくのは、パパが子育ての応援をしていると、女性の愛情曲線は、底を打って、だんだん上がって来るのですが、肝心な時にパパが子育てに協力しないと、女性の愛情は冷め続けていくということを表しています。こういうことも踏まえながら、この子どもたちが、未来、100歳までスマイルでいるために何が必要なのかということを、今日は、皆さんと共に議論したいと思います。これが私の今日のガイダンスであって、あとは、お二人のご専門の先生にプレゼンテーションをしていただいて、その後は、皆さんと自由に話をしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。

司会

 黒岩知事、ありがとうございました。続きまして、ゲストのお二人にプレゼンテーションをしていただきます。初めに、神奈川県立保健福祉大学教授/神奈川県子ども・子育て支援推進協議会会長 新保幸男様、お願いいたします。
 新保様は、社会福祉学がご専門で、社会福祉原理論、子ども家庭福祉政策、ヒューマンサービス理論などに関して研究を進め、子どもたちのためにできることについて積極的に発言していらっしゃいます。また、神奈川県子ども・子育て支援推進協議会では、会長として、子どもが健やかにいきいきと育っていくことができ、県民が安心して子どもを生み育てることができる神奈川の実現に向けて、意見のとりまとめに尽力していらっしゃいます。それでは、新保様、よろしくお願いいたします。

新保 幸男氏(神奈川県立保健福祉大学教授/神奈川県子ども・子育て支援推進協議会会長)

地域社会の予想 こんにちは。県立保健福祉大学の新保です。今日は、皆さんたちの将来についてのお話、そして今、皆さんたちの中で苦しんでいる人がいるとするならば、今のお話になるかもしれません。皆さんたちが、あと30年ぐらい経ったとき、社会がどうなっているかということを考えると、多分、人工知能、AI付きのロボットが街の中にあふれています。自分たちが嫌な仕事の多くを、人工知能を持ったロボットがやってくれるような社会になるかもしれません。そして多分、運転手がいない車が街の中を走っているという社会になります。iPS細胞という話を聞いたことがあるかもしれませんが、それを使って体の臓器の一部分が作られたり、もしかしたら、ものすごく効果的な薬が作られるかもしれない、そんな時代になります。一方で、私たちは、お父さんとお母さんと呼んでいる人たちから生まれてきますが、血のつながりがないお父さんと一緒に暮らす人たちも、多分、今よりは増えてきます。児童福祉法改正と最善の利益それから、お年寄りがものすごく多くおられる社会になります。こんな社会を、皆さんたち、特に今の高校生が30歳、40歳になった頃に、具体的に体験されると思います。
 一昨年、2016年に児童福祉法が改正され、その中で、その児童の「最善の利益」を考えながら、私たち大人は支援を行っていこうということを、我が国として、それともちろん神奈川県も、推進していこうと決めました。
 「最善の利益」と考えたときに、何年ぐらい先のことを専門家の人たちは考えているのかというと、だいたい5年から6年くらいです。専門職の人たちは、14歳の人の「最善の利益」を考えるときには20歳ぐらいのその人のことをイメージしながら、その人が、できるだけその人の想いを実現何年先を意識した最善の利益かできるように考えます。つまり、今の高校1年生ならば、20歳を過ぎたくらいのことを意識して、「最善の利益」を考えて支援していこうということが、今、行われています。

所得と発育不全 一方で、お金持ちの家で生まれた子どもと比較的低所得の家で生まれた子どもとの間で、発育を比べると、上手に発達できないという子どもが生じる割合は、低所得のご家庭の方が1.3倍ぐらい高いということが分かっています。その人の身体的な能力が仮に同じであったとしても、1年間に発達が不十分になる子どもが多い。つまり、貧困と言われることは、その後の人間の体や知的な能力の発達に悪影響を及ぼすということが分かってきました。
貧困の第2世代 特に親の世代が貧困であって、もう一度、貧困の中で子どもが生まれるという状況のことを、私はこれを研究者として、貧困の第2世代と言っています。貧困の第1世代というのは、子どもが成長していくどこかで、例えば、中学3年生の時に、お父さんが失業して、高校進学や大学進学するための経済的なものが少し弱くなった、だから進学しにくいという状態の人のこととし、生まれた時から貧乏の中で生まれ、そして0歳の時に十分に食事をすることができなかったという人たちのことを第2世代と区分しています。貧困の第1世代というのは、0歳、生まれた時から高校受験の時まではしっかりと勉強をする機会を持つ可能性があった人たちですので、その方たちは奨学金を用意することがその後の貧困から脱するためには有効な方法だと思います。一方で、第2世代、お父さん、お母さんが貧乏であった状態で生まれた子どもたちがそこから脱するためには、生まれる前後の支援が特に大事です。そして、後からなされるような子ども食堂や学習支援ということも同時並行して大事なのだろうと思います。特に、今日は、生まれる前後のことを考えてみたいと思います。
貧困の世代間連鎖 こちらが、生まれる前後のことです。その前には貧乏の状態であったり、お父さんやお母さんから暴力を受けるということなども含めて、出産する時期を迎えます。この出産をする時期というのは、隠れてしまって、貧乏が表に出てこないことも多いのだけれども、この時期を支援することが、貧困の第2世代に対する支援としては、とても大事だろうと思っています。

 貧困というと、ついつい隠してしまうところが、私たちにはあると思います。恥ずかしいと私たちが思う背景には、貧困の状態にあるというのは、怠惰、怠け者だからだという思いが、どうやら私たちの一人ひとりの中にあるのだろうと思います。でも、それ以外の理由で貧乏になることは、とてもたくさんあります。特に、生まれてから子どもの貧困をめぐる認識の推移育っていくプロセスで十分な教育を受けることができなかったり、安心して生活できなかったりということがきっかけとなって、相対的な貧困という状態になります。中間的な所得の人たちの半分以下の所得・収入で生活している人たちのことを、概念として相対的な貧困と言います。絶対的な貧困に比べると、私たちの周りに比較的多くおられる方たちです。その方たちに対する支援の必要性というのは、いろいろなことが言われています。特に今日は、後で米田さんから、食の重要性についての再認識のことが出ると思いますので、私からは、出産前後の時期のことについて、特にお話をしたいと思います。産前産後母子ホーム(仮称)
 今日、この場に来る前まで、私は内閣府の子どもの貧困対策に関する有識者会議に出ていました。そこでの話題の中で、生まれる前後の生活と食と安心して生むことができる環境を用意しようということで、産前産後母子ホームというものを地域社会に作っていったらどうかというものが出ました。例えば、DV、つまり、自分の恋人から暴力を受けて、望まない妊娠をした、そういう状態の女性が、その男性との間で結婚ができないということが分かった後で、子どもを産むと判断したときに、どうやって支援を行っていくのかということを考えると、これがどうしても必要である。今お話したことは、私には関係ないというふうに思うかもしれないけれども、多分、高校生の中には、残念な経験をした人たちが何人かいるかもしれません。その状態の人たちを、輝く社会につなげていくためには、どうしてもこの生まれる前後のところの支援を行う必要があるんだろうと思います。放っておいても輝くことができる人、これはその人の自由に生きてもらうということが可能かもしれないけれども、放っておいたのならば、いつまでもずっと苦しい生活の中で生き、そして、その子が産んだ子どもも悲しい人生を歩むということがないようにするためには、私たちは産前産後の時期にまずアプローチをして、そのことによって安心して成長できるような素地を作る必要があるというふうに考えます。
今、取り組むべきと考えること 今、取り組むべきと考えていること、これは、後で米田さんに話していただく、子ども食堂やフードバンク、学習支援などのことをやるべきだと思います。それから、今、申し上げました不安定な妊娠・出産をする女性の支援、そして何よりも、今日、ここに集まってきた皆さんたちのように、このテーマについて関心を持っていただく方を増やすということが私たちにとって必要ですし、今日ここに来ていただいた方たちには、このテーマに出会ったわけですから、関心を持って学んでいただいたり、もしよかったら、私のところの大学に入って来ていただいて、一緒に考えて、学んでいただいたりしながら、このテーマについて、県民の方々と一緒になって考えて前進していくことができるような、そういう雰囲気をこの神奈川の地に作っていきたいなと思います。ご静聴ありがとうございました。

司会

 新保様、ありがとうございました。続きまして、子どもの未来サポートオフィス代表 米田佐知子様、お願いいたします。
 米田様は、子ども・子育て支援の社会資源をつなぎ、地域を通じて人と人がつながり支え合う関係づくりを進める様々な取組について、フリーランスの立場で、中間支援する活動を行っていらっしゃいます。それでは、米田様、よろしくお願いいたします。

米田 佐知子氏(子どもの未来サポートオフィス代表)

 ご紹介いただきました米田佐知子です。どうぞよろしく今日お話ししたいことお願いいたします。若い方が前にいらして、嬉しくなります。この会場、すごく世代が多様なのですね。
 今、新保先生から、何年か先を見た上で、今何をするかというお話をいただいたのですが、私からは、もうちょっと個人的な、そして地域の活動、今というところに少し照準を当てて、どうやってつながりを作っていくかという辺りをお話させていただきたいと思っています。
 皆さんのお手元には、レジュメが配られていると思いますので、そちらをご覧になりながら聴いていただけたらと思います。
 子どもの未来サポートオフィス今日、お話したいのは、具体的には地域の中での居場所、子ども食堂の話をしていこうと思います。先ほど少し紹介していただきましたけれども、フリーランスの立場で子どもたちの居場所を応援しています。横浜で子ども食堂をなさっている方のネットワーク作りとか、親子の広場とか、高校の中に居場所を作ったり、若者支援をする、そういった取組のお手伝いをさせていただいています。
 私自身は、実は大阪生まれの大阪育ちです。今の自分の生まれ育った市区町村ではないところで子育てをしている、アウェイ育児と言われる子育てをしている人たちが、7割ぐらいいると言われています。私もその一人でした。神奈川で出産、育児をしたのですが、友達や親戚もいないところ居場所がないでの子育ては、とても孤独で、子育てはもうやめたいと思うような辛い時期もありました。そんな時に、地域の中に居場所がないという思いをすごく強くしたのです。
 子どもが育っていくのに、いろいろな人に見守られて、いろいろな生き方、考え方に触れて育っていくことは大事だと思います。今日、来られている高校生の方々も思い返していただきたいのですが、周りにいる大人として、先生がいますよね。親がいますよね。その次に出てくるのは、もしかしたら塾の先生かもしれない、習い事の先生かもしれない。地域にどのぐらい知っているおじちゃんおばちゃんがいるだろうか。最近、友達同士の付き合いも、自分をキャラ設定してそれを演じているという話も結構聞きます。よく私たちは、斜めの関係と言うのですが、いろいろな大人に見守られて育っていきたいと思うのです。しかし、神奈川県の教育委員会が調査した子どもが育つには多様なひとの関わりが必要ところだと、いろいろな人と接して放課後を過ごしている子どもは1割しかいないというような結果が出ています。子どものいのちと育ちを支える活動は多様です。
 子どもの育ちを支えていくという活動が、市民ベースでもたくさんあり、今、新保先生から、切れ目ないというお話もあったのですけれども、子どもの年齢、乳幼児から学齢期、青年期まで多様です。そして、様々なテーマがあります。活動の形態もいろいろあって、相当多様な中で、今日は居場所というところにフォーカスしたいと思っているのですが、どんなものがあるのか、皆さんのお手元のレジュメにも書かせていただきました。親子が集まれるようなところ、遊びの支援、それから子ども食堂という食を介したもの、学習支援や生活支援、様々な形態のものがあると思います。
 ここからは子ども食堂というところに更にフォーカスしていきたいと思うのですが、子ども食堂のことを、どこかで聞いたことのあるという方は、どのぐらいいらっしゃいますか。半分くらいの方が知ってくださっているようですね。子ども食堂、実は、こんな定義になります。「子どもが1人でも来られる場所で、地域の人が、無料・低額で食事を提供しているところ。」みんなでおいしいねと言って食卓を囲む。食事をすると、人の気持ちが緩んだり開いたりするのですね。
 実は、子どもたちの中で、自己肯定感が低くなっていると言われています。どうせ自分なんて、困っている等で助けられるような、そんな存在ではないのだと、大人や社会を諦めているのです。けれども、どうやって信頼できる大人と出会っていくのか、気持ちが緩んだところで、子ども食堂のようなところで、是非、いろいろな大人と出会ってほしい、そんな取組が、実は広がっています。
こども食堂の背景 新保先生からも、子どもの貧困のお話があったのですが、その背景にあるものには、私は3つの子どもの貧困があると思っているのです。1つは経済的困窮、そして、人のつながりが薄い関係性の貧困、そして体験も貧しくなっているという体験の貧困です。
 この3つに対応するような居場所というのが、今、必要になってきていると思います。子どもの支援のどの部分を担うのか3つの居場所というところが、様々な子どもの状態のどこをケアしていくのかを整理したのが、この図なのですけれども、社会的養護と言われるような部分は、この辺りです。そして、広く子どもたちをケアしている子どもの居場所というのは、グラデーションのようになっていて、かなり多様に広がっているという状態です。子ども食堂と一口に言うのですけれども、私の整理の中では、子どもの状態に合わせて、子どもの困難をケアして行く措置型、そしてつながりをケアする居場所型、そして、体験をケアする食育型という3つがあると思っています。こういった居場所が、子どもたちの困ったというところを先駆けて、関係を作って予防していくとか、大変だということをキャッチして支援につなげていく、そんな窓口になるのではないかと思っています。
 子ども食堂は、ずいぶん広がってきたのですけれども、2012年、大田区で始まっています。でも、その前から、先ほどご紹介したような子どもの居場所では、食を介したつながりがたくさん広がっていました。
 この新聞記事は、2016年に出たものなのですが、この時には300か所でした。これが、今年の春、2,200か所を超えるというデータが出ています。神奈川県内では、私が集計を担当したのですが、約170の子ども食堂があると聞きまして、その後にも、来月始めるというところがどんどん出てきて、今も数が増え続けている状態です。どうして増え続けているのかというと、これまで子どもの支援をしてきた人たちが、もっと広がっているからなのですね。新しい層の広がり子どもの困難がメディアに載って、なんとかできないのか、放っておけないと思った人たちが、自分たちの身近なところで一緒に作って、食べられる、そんなことだったらできるよねということで、どんどん広がってきています。そういう地域から、市民が自ら福祉の仕組みとして、やらされてというのではない広がりが出てきていることが、ポイントだと思っています。また、地域の中の隙間、労力もお金も場所もこんなものが使えるのではと、持ち寄りでやっているというところもポイントになってきていると思っています。
 横浜の子ども食堂ということで、レジュメの裏面に少し書かせていただいたのですが、様々、多様な形になっています。自分の自宅で開くようなものだったり、飲食店を使ったものもあります。それから町内会館など公共施設を使ったものもありますし、お寺や教会を使ってというものもあります。地域のグループや市民団体が開催しているものが、横浜では半数です。73か所あるうちの40件が月1回の開催、子どもが100円ぐらいで食べられるというところが半数ぐらいという結果が調査で出てきています。横浜こども食堂ネットワーク準備会
 具体的な活動状況については、ネットワークでフェイスブックページを作っており、皆さんのレジュメにもWebサイトが載っていますので、是非のぞいていただきたいと思っています。
 大切なことは、今、子どもたち、そして大人も、実は地域でつながりがありませんので、子ども食堂のようなつながりを作るところで顔見知りをできるだけ増やすことです。いきなり信頼するというような関係作りは難しいのですが、まず月1回出会いましょう。そこから関係をどれだけ深められるのかを考えていきたいと思っています。
顔見知りを増やそう 今、子ども食堂から、多世代型の地域食堂という取組も進んでいます。ですが、先ほど申し上げたように、子どもたちは、どうせ自分なんてと思ってしまっています。だから、多世代型の子ども食堂の中でも、できるだけ子どもがいろいろな大人と出会えて関係を深めていけるように、子どもを中心に置きながら、地域のつながりを深めていただけたらと思っています。是非、皆さんの周りでも、子ども食堂などの、地域の居場所があると思いますし、そういうところを探して、のぞいて参加いただいて、まずは、顔見知りを作っていただけたらと思っております。私からは以上になります。どうもありがとうございました。

司会

 米田様、ありがとうございました。
 それでは、皆様との意見交換に移ります。ここからは黒岩知事にマイクをお預けいたします。どうぞ、よろしくお願いいたします。

知事

 はい、ここからは、正に皆さんとの対話です。皆さんが黙っていると、会が進まなくなりますから、どんどん発言してくださいね。今日のテーマであれば、どんなことを話していただいても結構です。どんどん話をしてください。
 まず、私からちょっときっかけを作りたいと思います。実は私も、知事になって7年です。今日のような話は、7年前には聞いたことがなかったのです。そもそも、子どもの貧困問題という表現そのものを聞いたことがなかったです。最近のことですよね。

新保 幸男氏(神奈川県立保健福祉大学教授/神奈川県子ども・子育て支援推進協議会会長)

 注目されたのは10年ぐらい前です。だから、知事が当選されるもうちょっと前ですね。

知事

 でも、一般的に、それほど言っていなかったですよね。

新保 幸男氏(神奈川県立保健福祉大学教授/神奈川県子ども・子育て支援推進協議会会長)

 そうですね。

知事

 なぜ今、急に子どもの貧困問題という言葉、これがクローズアップされたのでしょうかね。

新保 幸男氏(神奈川県立保健福祉大学教授/神奈川県子ども・子育て支援推進協議会会長)

 注目されたというのは、多分、小学校、中学校の現場で働いていらっしゃる学校の先生たちが気付き始めたのだろうと思います。学校で、ちょっと違う雰囲気の子どもたちがいるなということについて気付き始めたという時期があるのだろうと思います。
 それから、国際的に見るならば、国連が中心となって絶対的貧困ではなく相対的貧困に注目しようという考え方が、10年ぐらい前に日本に入ってきたということだろうと思います。実は、私自身は、もっと前、30年ぐらい前から、その研究をしていたのです。相対的貧困ということは、1960年代の半ばにイギリスで研究が進み、それを私自身は研究していたので、やっと日本が気付いたという感じを持っています。

知事

 相対的貧困と絶対的貧困、分かりますか。ちょっと言葉が難しいですね。実は、我々も、とても辛い経験をしたのです。県の政策にすごく理解を示してくれたある女子高校生が、いろいろなサポートをしてくれていたのだけれども、テレビカメラが彼女のお家に入ったのです。彼女は、私の家庭こそが貧困なのです、子どもの貧困問題は私のことなのですと、皆の前で堂々と言って、カメラが入ったのです。それが放送されたら、ネット上で彼女が、ボコボコに叩かれたのですね。なぜと言ったら、その部屋の中に、普通のものがあるじゃないかということでした。普通のものがちゃんとあるのに、それで貧困というのはなんだと言って、お前、貧困を売りにしているのかというように叩かれました。
 ちょっと待ってくれと思いました。それは要するに、貧困と言ったとき、絶対的な貧困とは、今日食べるものがないとか、もう明日死んでしまうかもしれないという話で、それはさすがに、今の日本では、ないですよね。アメリカの本当の貧困のところや、また、貧しい国に行けば、まだまだ飢餓という現実があります。先ほどSDGsを見ましたが、これは飢餓をなくそうという世界へのメッセージですから、飢餓に直面しているような人たちもいるわけですね。そういう絶対的貧困とは違い、相対的貧困と言ったら、隣の子と比べてとか、クラスの中でどうだと言ったときに、そこの中での貧困というのは明らかにあるわけです。では、相対的貧困だからたいしたことはないとは言えないですよね。皆さん、そこで辛い思いをしているということがあるから、そういう問題は出していこう、でも、絶対的貧困と相対的貧困は違いますよ、ということをずっと言っています。そこの勘違いがあると、話が伝わっていかないです。
 今日、議論しているのは、絶対的貧困の話ではないです。この今の日本で、飢餓をなくしましょうという話をしているのではないです。そうではなく、相対的貧困の中で苦しい思いをしている子どもたちがいる、その子たちに目を向けましょうと言っています。どうしてそうなっているのか、我々は、何をすれば良いのか、そういった議論をしていこうということです。米田さん、子ども食堂というのも、昔は聞いたことがなかったですよね。大田区で2012年に始まったとおっしゃいました。それが、広がっていったということですか。

米田 佐知子氏(子どもの未来サポートオフィス代表)

 2012年に始められた方が、学校の中で、実は、子どもが十分に食事をとれていなくて、1日バナナ1本で過ごしている子がいるという話を聞いた。そこで、地域の大人が何かできないのかと考えた。たまたま店舗を開いて地域の人たちの拠点になっていたので、ここで一緒に食事を作ってみんなで食べれば良い、子どもが1人でも来られるように「子ども食堂」という名前を付けましょうと始めたのが2012年だったのです。
 先ほど申し上げた、様々な子どもの居場所は、地域の中に、もっと前からあって、そこでは、子どもと一緒に食事をとると子どもの気持ちを緩ませることが、現場ではキャッチされていたので、一緒に作って食べるという活動自体は、実は古くからあるのです。「子ども食堂」という名前が付いて、そしてメディアに乗って広がり始めたのが、2012年だったということになります。

知事

 例えば、ファミリーレストランをやっている人が、ご飯を食べさせると、うちに来なくなるのではないかと言って反対したりするようなことはなかったですか。

米田 佐知子氏(子どもの未来サポートオフィス代表)

 実はそんなに開催頻度が高くないのですね。月に1回とか2回とか、最近は、毎日の子ども食堂も増えてきたのですが、飲食店の方々の営業を脅かすほどの頻度ではないのです。ですから、1回くらいで意味があるのかと逆に言われたりするのですけれども、そこで顔見知りになって、その後つながっていくのです。
 中には、飲食店の方々が店の休業日に子ども食堂をやっていたり、日時を限って子どもは無料といったタイプの子ども食堂なども出てきているのですね。ですから、子どもに自分の持っているもので何か協力できるかなって、いろいろな人が、あの手この手でやり始めているととらえていただいた方が良いかもしれません。

知事

 ニューヨークのハーレムを、昔、取材したことがありますが、NPOの人が食事を作って、ただで配ったりしているのです。ハーレムでホームレスに対して食事を配るという世界は普通にあるのですが、子どもたちに食事を振る舞わなければいけないということが、この今の豊かな日本であるということ自体が、信じられない気もしますが、食事だけではないのですね。

米田 佐知子氏(子どもの未来サポートオフィス代表)

 それは、実はすごく重要なポイントです。食事を振る舞っている場ではないということなのですね。食事を一緒にとりながら、そこで出会って関係性を育てていくということがあります。もちろん、来ている子どもの中には、先ほど申し上げたように、1日バナナ1本で、という子も混じっているかもしれない。その子にとっては、そこの食事は命をつなぐものかもしれない。そして食事と同時につながりもたくさん得ている。どちらかというと、そのつながりをしっかり作ってSOSが出せるような、そういう素地を作っていくということの方が、実は、子ども食堂では大事なのではないかと思っています。

知事

 子ども食堂というと、食べるところに焦点が当たるけれど、そういう居場所づくりということでもあるわけですね。はい、わかりました。
 さあ、皆さんこれから、どんどん意見を言っていただいて結構です。質問してもらっても結構です。私はこんなことをやっていますよと、私はこんな体験しましたよと、何でも結構です。それでは参りたいと思います。はい、どうぞ。

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本文ここまで
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